JP6138719B2 - 耐震補強構造体の構築方法 - Google Patents

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Description

本発明は、既存建物の外部に、既存建物と連結スラブで連結された、耐震補強用の構造体である補強フレームを新設する耐震補強構造体の構築方法に関する。
既存建物の耐震補強方法には、主に、既存建物内部の柱、梁、耐震壁などの構造部材を補強又は新設する方法と、既存建物の外部に耐震補強用の構造体を新設して、この構造体に既存建物の応力を負担させる方法とがある。
既存建物内部の構造部材を補強又は新設する場合は、工事期間内は居住者などを退避させる必要がある、補強後は構造部材の断面積が増えた分内部空間が狭くなる、室内など狭い空間内で工事を行う必要がある、などの問題がある。
外部に耐震補強用の構造体を新設する場合は、耐震補強用の構造体を新設する敷地を必要とするが、上述した内部の構造部材を補強又は新設する場合における問題は生じない。
外部に新設する耐震補強用の構造体は既存建物と構造的に一体化する必要があり、これらを連結する連結部材は十分な剛性及び耐力を有する必要がある。このような連結方法として、既存スラブと新設スラブとを連結する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、外部の耐震補強用の構造体(外フレーム)をフルプレキャスト部材で構築し、外フレームのベランダ支持部と既存ベランダ(既存スラブ)とに亘って連結用鋼管(短管)を設置した状態で、既存ベランダとベランダ支持部とを連結することが開示されている。しかしながら、この連結用鋼管は、既設建物に作用する剪断力を外フレームに伝達するが、ベランダ支持部と既存ベランダとの連結にはあまり寄与しない。
そこで、特許文献2には、外部の耐震補強用の構造体をプレキャスト部材で構築し、既存スラブと新設スラブ(連結用スラブ)との間に上下に鍔を付けた連結用鋼管を設置した状態で、既存スラブの下側に連結した新設スラブを構築することが開示されている。この連結用鋼管は、鋼管本体によって剪断力を伝達すると共に、上下の鍔が存在するため既存スラブと新設スラブとを安定的に連結する。
なお、特許文献3には、既存梁の側面に仮設の足場ブラケットを設置し、ハーフプレキャストのバルコニーと配筋を足場ブラケットの上に設置することが記載されている。
特許第3522255号公報 特開2014−001550号公報 特公昭63−34926号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載された構築方法では、プレキャスト柱上にプレキャスト梁を設置した後に、新設スラブを構築するための型枠を設置している。そのため、この場合、作業者は、ベランダから見上げながら、新設スラブを構築するための型枠及び鉄筋を設置する必要があるため、作業効率が良好でない。
本発明は、以上の点に鑑み、作業効率の向上を図ることが可能な耐震補強構造体の構築方法を提供することを目的とする。
本発明は、既存建物の外部に構築された新設柱と新設梁とからなる補強フレームを前記既存建物と一体に連結するために、前記既存建物の既存梁と前記新設梁との間において、前記既存梁から前記新設梁側に張り出した既存スラブの下面に、コンクリートによって前記既存スラブと一体に新設スラブを構築した耐震補強構造体の構築方法であって、前記既存スラブに上下に貫通した貫通孔を形成する工程と、前記既存梁の前記新設梁に対向する面から突出するアンカーを設置する工程と、前記既存梁の前記新設梁に対向する面に先端支持部材を設置する工程と、地上にて、前記新設梁と前記新設柱との接合部となる部分と前記新設梁となる部分とが一体になったプレキャスト梁の下に揚重ブラケットを設けと、当該揚重ブラケット上に前記新設スラブを構築するための型枠及び鉄筋を載置してユニットを形成する工程と、前記ユニットを揚重して、前記接合部となる部分を前記新設柱の上に設置し、且つ、前記揚重ブラケットの前記既存建物側の先端部が前記先端支持部材で支持されるように、前記ユニットを設置する工程と、前記接合部となる部分の上に前記新設柱となるプレキャスト柱を設置する工程と、前記貫通孔内に連結部材を設置する工程と、前記プレキャスト梁と前記プレキャスト柱とを接合する工程と、前記貫通孔を介して、前記既存スラブの上方からコンクリートを打設する工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、地上にて、新設梁と新設柱との接合部となる部分と新設梁となる部分とが一体になったプレキャスト梁の下に揚重ブラケットを設け、当該揚重ブラケット上に新設スラブを構築するための型枠及び鉄筋を載置してユニットを形成する工程を備える。そのため、新設スラブを構築するための型枠の連結及び鉄筋の結束などの作業を地上で行うことができる。よって、プレキャスト柱上にプレキャスト梁を設置した後に、新設スラブを構築するための型枠をベランダから見上げながら設置する上記特許文献2に記載された場合と比較して、作業効率の向上を図ることが可能となる。
本発明において、前記揚重ブラケット上には、前記既存梁側の1枚分の前記新設スラブを構築するための型枠を載置せず、当該型枠は、前記ユニットを設置した後、所定の場所に設置することが好ましい。
この場合、ユニットが所定の位置に設置されたとき、当該型枠が設置される箇所は、型枠が存在せず、隙間とすることが可能である。よって、この隙間から、アンカーと新設スラブを構築するための鉄筋とに対して、互いの干渉や型枠との被り厚さなどに関する位置調整を行うことが可能となり、作業効率の向上を図ることが可能となる。
また、本発明において、隣接する前記プレキャスト梁の前記新設梁となる部分同士を接合する工程をさらに備え、隣接する前記新設スラブを連結して構築するために前記鉄筋を連結することが好ましい。
この場合、隣接するユニット間の隙間になる部分に配筋と型枠を設置することで、既存梁の長手方向に連続する新設梁及び新設スラブを構築することが可能となる。
また、本発明において、隣接する前記新設スラブを連結して構築するために、前記ユニットの型枠の端部の間に新たに型枠を設置すると共に、前記新たに設置する型枠の下に該型枠を支持するブラケットを設置することが好ましい。
この場合、隣接するユニットの型枠間に新たに型枠を設置するので、既存梁の長手方向に連続する新設梁及び新設スラブを構築することが可能となる。そして、新たに設置した型枠をブラケットで安定的に支持することができる。
また、本発明において、隣接する前記プレキャスト梁の前記新設梁となる部分同士を接合する工程をさらに備え、前記ユニットの型枠の幅方向の端部に、少なくとも前記既存スラブの下端から前記型枠の上端まで鉛直方向に仕切る型枠を設置することが好ましい。
この場合、隣接する新設スラブをユニットごとに独立して構築することができる。
また、本発明において、前記既存建物の外部の前記ユニットが設置される部分を除いた部分に支柱を設置し、前記支柱と連結させた壁つなぎを前記ユニットが設置される部分を通さずに前記既存建物に固定して、昇降足場を設置する工程を含むことが好ましい。
この場合、各階ごとにユニットを設置する際に、足場を解体する必要がなく、作業効率の向上を図ることが可能となる。なお、既存梁の長手方向に複数のユニットが隣接して設置される場合には、既存梁の長手方向ではこれらのユニット間に位置すると共に、平面視ではユニットより既存梁側とは反対側に位置するように、支柱を設けることが好ましい。そして、壁つなぎは、平面視図では隣接するユニット間に、高さ方向では新設梁の上端と上階の新設スラブの底を構築するための型枠の下端との間に設けることが好ましい。
本発明の実施形態に係る耐震補強構造体を示す説明図。 図1のII−II線断面図。 既存建物とユニットとを示す断面図。 ユニットを既存建物に設置した状態を示す上面図。 ユニットを既存建物に設置した状態を示す断面図。
本発明の実施形態に係る耐震補強構造体について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本耐震補強構造体は、既存建物10の外部に構築された補強フレーム20を、連結スラブ30で既存建物10と一体に連結したものである。連結スラブ30は、既存建物10のスラブ(既存スラブ)11と新設スラブ31とから構成される。新設スラブ31は、既存梁12から新設梁21側に張り出した既存スラブ11の下面に、コンクリートによって既存スラブ11と一体に新たに構築される。
既存建物10は、梁(既存梁)12や柱(既存柱)13などからなり、外周の既存梁12から外側に向って、バルコニーや共用廊下などを構成する既存スラブ11が設置されている。既存建物10は、例えば、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションやアパートなどの集合住宅やオフィスビルである。
補強フレーム20は、既存建物10の地震力を負担させる耐震補強用の構造体であり、既存建物10とは独立して新たに構築される。補強フレーム20は、新設された基礎(新設基礎)23を有し、新設された梁(新設梁)21、柱(新設柱)22などから構成される架構である。
以下、本発明の実施形態に係る耐震補強構造体の構築方法について図面を参照して説明する。
まず、当該階の既存建物10に対する作業をする工程を行う。具体的には、図2に示すように、既存スラブ11に上下に貫通する貫通孔11aを形成する。この貫通孔11aは、既存梁12の長手方向に沿って、直線状、千鳥状などに複数形成する。各貫通孔11aに、それぞれ段差面11bを設け、段差面11bより上側部分は、段差面11bより下側部分よりも大径とする。貫通孔11aはコアドリルなどを用いて削孔して形成する。
また、図3に示すように、既存梁12の新設梁21に対向する面(新設柱22側の面)に、既存側アンカー41を後施工によって設置する。既存側アンカー41は、ケミカルアンカーであっても機械式アンカーであってもよい。また、既存側アンカー41の元端部に新設スラブ31との接合を強化するためにスパイラル筋(図示しない)を設けてもよい。さらに、既存梁12の新設梁21に対向する面に、後述する揚重ブラケット51の先端部を支持する先端支持部材42を設置する。
なお、当該階の1階下の部分における新設柱22が設置されている。この新設柱22は、1階部分の柱に相当する場合には既存の工法で構築すればよく、2階以上の部分の柱に相当する場合には、後述するプレキャスト柱61からなるものである。
なお、貫通孔11a、既存側アンカー41、及び先端支持部材42を設ける作業を行うために、図示しないが、仮設足場を設ける必要がある。しかし、後述する揚重ブラケット51を用いてプレキャスト梁52を設置する工程などでは邪魔となるため、足場を解体する必要がある。
そこで、リフトクライマー等の昇降足場を使用することが好ましい。この場合、足場の解体作業とプレキャスト梁52などの設置の進捗状況に応じて、足場をせり上げる作業が不要となり、工期を短縮することが可能となる。
なお、揚重ブラケット51を用いた作業の邪魔にならないように、ユニット50が設置される部分を除いた部分に、昇降足場の支柱及び壁つなぎを設置する(図4参照)。具体的には、昇降足場の支柱は、既存梁12の長手方向では隣接するユニット50間に位置すると共に、平面視ではユニット50より既存梁12側とは反対側に位置するように設けることが好ましい。そして、支柱と連結され、既存建物10に固定される昇降足場の壁つなぎは、平面視では隣接するユニット50間に、高さ方向は新設梁21の上端と上階の新設スラブ31の底を構築するための型枠53の下端との間に設けることが好ましい。
次に、プレキャスト梁52の下面に揚重ブラケット51を固定し、当該揚重ブラケット51上に、型枠53及び鉄筋54を載置してなるユニット50を準備する工程を行う。この工程は、前述した既存建物10に対する作業を行う工程と同時に、又はそれより前に行ってもよい。
プレキャスト梁52は、新設梁21と新設柱22との接合部となる部分52a(以下、単に接合部52aという)、及び新設梁21となる部分52b(以下、単に新設梁部52bという。図4参照)を一体に形成したプレキャスト部材である。プレキャスト梁52の内部には、図示しないが、鉄筋が適宜配筋されている。接合部52aには、上下方向に貫通する貫通孔52cが形成されている。また、接合部52aの既存梁12側の側面には、既存梁12側に突出する新設側アンカー52dが設けられている。
揚重ブラケット51は、例えば鉄鋼板などを組み合わせて構成されており、その上面に載置面を有している。揚重ブラケット51の既存梁12とは反対側(図2中左側)の載置面上に、プレキャスト梁52の新設梁部52bを載置して、固定する(図4も参照)。また、揚重ブラケット51の既存梁12側(図2中右側)の載置面上に、新設スラブ31を構築するための型枠53を載置し、さらに、この型枠53の上に新設スラブ31を構築するための鉄筋54を載置する。
新設スラブ31を構築する際に底となる型枠53は、揚重ブラケット51の先端側の1枚分の型枠55(以下、先端型枠55という)(図4参照)を除いて、互いに連結されている。ただし、これら型枠53は連結されていなくてもよい。なお、この先端型枠55は、ユニット50中に含まれていない。そして、鉄筋54は、配筋が容易となるような態様で結束されている。鉄筋54の一部は新設側アンカー52dと結合されていてもよい。型枠53の連結や鉄筋54の結束、及びこれらの揚重ブラケット51上への載置は地上で行う。
なお、新設スラブ31の底を形成する型枠53は、メタルフォームであることが好ましい。メタルフォームは、高強度であり、後工程で連結が容易である点で好ましい。
図4に示すように、プレキャスト梁52は、新設梁部52bを、既存梁12の長手方向にそれぞれ隣接する接合部52a間までの幅の半分の幅(半スパン分の幅)を前記長手方向両側にそれぞれ有している。
次に、ユニット50を所定位置に設置する工程を行う。図3に示すように、具体的には、図示しないワイヤーなどをプレキャスト梁52の新設梁部52bに掛けて、ユニット50を吊り上げ、新設柱22の上面にプレキャスト梁52の接合部52aが設置され、且つ、先端支持部材42が揚重ブラケット51の先端部を支持する状態となるように、ユニット50を設置する。
この際、ユニット50には揚重ブラケット51、型枠53、鉄筋54が設置されており、既存建物10には既存スラブ11が存在するので、ユニット50を上方から吊下して設置することができず、水平方向に移動させて設置する必要がある。
ユニット50は、揚重ブラケット51、プレキャスト梁52、型枠53、鉄筋54などによって、既存建物10と反対側に重心が偏っている。そこで、揚重時はワイヤー長をチェーンブロックで調整してバランスを取って水平状態に保持しながら、ユニット50を既存建物10側(図2中右側)に挿入する。
図5に示すように、ユニット50が、所定の位置に支持されることにより、プレキャスト梁52の接合部52aが新設柱22の上面に載置されると共に、先端型枠55(図4参照)を除く型枠53が所定の位置に配置された状態で揚重ブラケット51に支持される。さらに、型枠53の上には、新設スラブ31を構築するための鉄筋54が載置されている。
図4を参照して、先端型枠55は揚重ブラケット51に載置されておらず、この型枠55が位置すべき部分には隙間が生じている。この隙間から、既存側アンカー41やスパイラル筋と新設スラブ31用の鉄筋54とに対して、互いの干渉や型枠53との被り厚さなどに関する位置調整や結束等の作業を行う。なお、図4では、鉄筋54は省略されている。
次に、先端型枠55を設置する工程を行う。先端型枠55は、前述したユニット50間の隙間から挿入し、既存梁12の長手方向にスライドさせて、それぞれを所定の位置に設置し、隣接する他の型枠53と固定する。
次に、隣接して配置されたユニット50同士を接合する工程を行う。この工程では、隣接するプレキャスト梁52の新設梁部52b同士を接合する工程、及び、隣接するユニット50間に新設スラブ31の鉄筋54を配筋し、鉄筋54の下側に型枠56を設置する工程を含む。
隣接するプレキャスト梁52の新設梁部52b同士の接合は、従来の接合方法を用いて、接合する。具体的には、例えば、対向する新設梁部52bの端面から突出する梁主筋57をスリーブジョイント58などで接合し、適宜、剪断補強筋を配置する。例えば、スリーブジョイント58を一方の梁主筋57の先端に設置して、このスリーブジョイント58に他方の梁主筋57の先端を挿入すればよい。また、図示しないが、接続すべき2本の梁主筋57の先端にそれぞれスリーブジョイント58を設置して、これらスリーブジョイント58を新たな鉄筋で接続してもよい。
ユニット50間の新設スラブ31を構築するための鉄筋54は、予め何れか一方のユニット50に結束した状態で載置しておき、両ユニット50を設置した後に、ユニット50間の所定の位置に移動させて、他の鉄筋54と結束する。
ユニット50間に位置する型枠56は、先端型枠55を全て設置した後に設置する。ユニット50間に位置する型枠56を支持するために、ユニット50の幅方向の端部に、ブラケット59を設けてもよい。なお、このブラケット59は、ユニット50中に最初から存在するものであっても、ユニット50間に位置する型枠56以外の型枠53,55を全て設置した後に設置してもよい。また、ユニット50間に位置する型枠56は、ブラケット59を用いず、支保工で支持してもよい。
なお、ユニット50間のプレキャスト梁52の新設梁部52bを連結する部分を構築するための型枠は、図示しないが、従来の一般的な型枠を用い、この型枠を支保工又はブラケットで支持すればよい。また、既存スラブ11の立ち上がり部(バルコニー手摺)との間にスタイロフォーム等を詰め込んで型枠としてもよい。
次に、図5に示すように、図示しないワイヤーなどでプレキャスト柱61を吊り上げて、プレキャスト梁52の接合部52aの上にプレキャスト柱61を設置する工程を行う。プレキャスト柱61は、プレキャスト部材であり、新設柱22となるものである。プレキャスト柱61の内部には、図示しないが、鉄筋が適宜に配筋されている。
プレキャスト柱61は、下面から柱主筋62が下方に向って突出し、上面には上階用のプレキャスト柱61の柱主筋62が挿入されるスリーブ63が設けられている。下面から突出する柱主筋62の長さは、接合部52aの貫通孔52cを貫通し、下階用のプレキャスト柱61のスリーブ63に定着長以上の長さを挿入可能な長さである。
プレキャスト柱61の下面から突出する柱主筋62を、プレキャスト梁52の接合部52aに設けられた貫通孔52cを貫通させて、当該接合部52aの下面と接触して設置された下階用のプレキャスト柱61の上面に設けられたスリーブ63内に定着長以上の長さを挿入させた状態として、プレキャスト柱61をプレキャスト梁52の接合部52aの上に設置する。
そして、以上の各工程を、プレキャスト梁52及びプレキャスト柱61が所定の階層まで組み立てられるまで行う。
その後、プレキャスト梁52の接合部52aとプレキャスト柱61とを接合する工程を行う。具体的には、プレキャスト柱61の図示しない注入口からグラウトを注入して、プレキャスト梁52の接合部52aに形成された貫通孔52c、及び接合部52aとプレキャスト柱61の隙間をグラウトで充填させる。このとき、プレキャスト梁52の接合部52aとプレキャスト柱61との間に、図示しない目地材を設置し、確認箇所以外からグラウトが漏れないようにする。
その後、新設スラブ31を構築するための型枠53,55,56及び鉄筋54の調整、並びに連結部材70を設置する工程を行う。
図2に示すように、連結部材70は、上下に開口を有する円筒状の鋼管71と、鋼管71の上下端付近にそれぞれ固定された上部鋼板72及び下部鋼板73とから形成されている。上部鋼板72及び下部鋼板73は、共に中央に円形状の穴が形成されたドーナツ状の円盤形状であり、中央の穴を通した鋼管71に溶接などによって固定されている。
上部鋼板72は、貫通孔11aの段差面11bより上側の部分より小径であるが、貫通孔11aの段差面11bより下側の部分より大径であり、貫通孔11aの段差面11bで支持される。一方、下部鋼板73は、貫通孔11aの段差面11bより下側の部分より小径であり、貫通孔11aを通過して、新設スラブ31の内部に位置する。
貫通孔11a内に位置する連結部材70の上下方向の長さは、鋼管71の外径以上であることが好ましい。また、新設スラブ31の内部に位置する連結部材70の上下方向の長さも、鋼管71の外径以上であることが好ましい。連結部材70の上下端は、最小かぶり厚さを確保できることが好ましい。
次に、新設梁21の接合部と新設スラブ31を構築するためにコンクリートを打設する工程を行う。具体的には、連結部材70の鋼管71の内部を介して既存スラブ11の上側からコンクリートを打設する。コンクリートは、少なくとも既存スラブ11の下面を超えるまで打設する。
なお、既存スラブ11の貫通孔11aに設置された連結部材70の内部を介してコンクリートを打設するとき、型枠53,55,56に大きな圧力が作用する。そのため、貫通孔11aの下方に揚重ブラケット51を設置することが好ましい。図5に示すように、揚重ブラケット51は、先端側が先端支持部材42によって、基端側がプレキャスト梁52によってそれぞれ支持されているので、コンクリート打設時の荷重を支持することが可能である。
貫通孔11aの下方に揚重ブラケット51を配置できない場合や、揚重ブラケット51だけで圧力に支持することができない場合は、型枠53,55,56を支持する支保工を設置すればよい。
その後、コンクリートが硬化することによって、既存スラブ11及び既存梁12と一体化した新設スラブ31が構築される。そして、この新設スラブ31は、貫通孔11a内から連続して位置した連結部材70によって既存スラブ11と連結されていると共に、既存側アンカー41と連結された鉄筋54によって既存梁12とも連結されている。
なお、新設梁21の接合部と新設スラブ31を構築するためにコンクリートを打設する工程は、プレキャスト梁52及びプレキャスト柱61を全階層分又は複数層分設置した状態で行うことが作業効率の点からは好ましいが、各階層毎に行ってもよい。
その後、上部鋼板72に少なくとも2つの小開口を設けておき、コンクリートが硬化した後、小開口の1つから、連結部材70の外周面と貫通孔11aの内周面との間の隙間にグラウトを充填する工程を行う。グラウトは、無収縮モルタルなどのセメント系材料である。上部鋼板72に形成された他の小開口が、グラウト充填時の空気抜き用の孔となる。その後、グラウトが硬化することによって、グラウト硬化部81が形成される。
最後に、先端支持部材42、揚重ブラケット51、ブラケット59及び支保工などを取り外す工程を行う。
以上のように、本発明の実施形態に係る耐震補強構造体の構築方法によれば、新設スラブ31を構築するための型枠53と鉄筋54を、プレキャスト梁52を載置した揚重ブラケット51で支持して、これらをユニット50とすることによって、型枠53の設置と鉄筋54の配筋作業を地上で行うことができる。そのため、上記特許文献2に記載のように、既存スラブ11上に立ち馬等を設置して、作業者が見上げながら作業する場合と比較して、作業効率の向上を図ることが可能となる。
また、既存梁12に設置した先端支持部材42で揚重ブラケット51の先端を支持するので、揚重ブラケット51がコンクリート打設時の荷重を支持することが可能となり、既存スラブ11上に支保工を設置する作業を省略することが可能となる。さらに、これにより、工事期間中に、既存建物10に居住者が居住しても、景観や採光が悪化することを回避することが可能となる。
また、プレキャスト梁52を新設柱22上に設置するまで先端型枠55を設置しないので、既存梁12から突出した既存側アンカー41やスパイラル筋と新設スラブ31を構築するための鉄筋54とが干渉する場合又はこれらの被りが不足する場合、これらを適正となるように調整する作業を行うことができる。
また、既存梁12の新設梁21に対向する面から突出された既存側アンカー41が新設スラブ31の内部に配筋された鉄筋54と結合され、且つ、新設梁21の既存梁12に対向する面から突出された新設側アンカー52dが新設スラブ31の内部に配筋された鉄筋54と結合されているので、新設スラブ31は既存梁12及び新設梁21とそれぞれ連結されている。さらに、既存スラブ11の貫通孔11a内及び新設スラブ31内に連続して位置した連結部材70によって、新設スラブ31は既存スラブ11と連結されている。これらにより、既存梁12と新設梁21との間で既存スラブ11と新設スラブ31とが構造的に一体化された連結スラブ30を構築することができる。
よって、地震時の既存建物10の剪断力は、アンカー41,52d及び、設置する場合はスパイラル筋に加えて、連結部材70も介して、補強フレーム20に伝達される。具体的には、地震時に既存建物10に発生する剪断力は、既存スラブ11から連結部材70を介して、且つ、既存梁12から既存側アンカー41を介して、新設スラブ31に伝達され、そして、新設スラブ31から新設側アンカー52dを介して新設梁21に伝達される。よって、地震時に既存建物10にかかる応力を補強フレーム20に確実に伝達して、既存建物10の損傷を防ぐことが可能となる。
さらに、連結部材70の上部鋼板72が既存スラブ11に形成された貫通孔11aの段差面11bで支持されているので、既存スラブ11に連結部材70を確実且つ安定的に定位置に定着させることができる。
また、連結部材70の下部鋼板73は、コンクリートで外部を囲まれて新設スラブ31の内部に配置されているので、新設スラブ31が下降などして既存スラブ11との連結が消失することを防止することができる。そのため、下部鋼板73の厚さや大きさは、その自重や振動などによって新設スラブ31と既存スラブ11との間に隙間などが生じないように、新設スラブ31を支えることができる厚さや大きさに定められる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、隣接するプレキャスト梁52の新設梁部52b同士を接合して、新設柱22間に亘る新設梁21を構築する場合について説明した。しかし、隣接するプレキャスト梁52の新設梁部52bの間に隙間を有するものであってもよい。
また、隣接するユニット50間の接合部分においても、新設スラブ31を構築する場合について説明した。しかし、応力伝達の観点などから問題がない場合には、隣接するユニット50間の接合部分に、新設スラブ31を構築しなくともよい。
また、既存梁12の長手方向に新設スラブ31を連続して構築する場合について説明した。しかし、ユニット50ごとに独立して新設スラブ31を構築してもよい。この場合、ユニット50の型枠53の幅方向の端部に、少なくとも既存スラブ11の下端から型枠53の上端まで鉛直方向に仕切る型枠を設置すればよい。
また、プレキャスト柱61の下面から柱主筋62が突出する場合について説明した。しかし、プレキャスト柱61の下面にも上面と同様にスリーブを設置してもよい。この場合、プレキャスト柱の上面にプレキャスト梁52の接合部52aを載させた後、接合部52aを貫通し、プレキャスト柱の上下面にそれぞれ設けたスリーブに定着可能な長さを有する鉄筋を挿入した後に、上階用のプレキャスト柱を載せればよい。
また、連結部材は、連結部材70に限定されず、上記特許文献1に記載された連結部材を含む従来の連結部材を用いてもよく、応力上必要がない場合は用いなくてもよい。コンクリートを貫通孔11aの上端付近まで打設し、コンクリートが硬化する前に、連結部材70を埋め込んでもよい。
10…既存建物、 11…既存スラブ、 12…既存梁、 13…既存柱、 11a…貫通孔、 11b…段差面、 20…補強フレーム、 21…新設梁、 22…新設柱、 23…新設基礎、 30…連結スラブ、 31…新設スラブ、 41…既存側アンカー、 42…先端支持部材、 50…ユニット、 51…揚重ブラケット、 52…プレキャスト梁、 52a…接合部となる部分、接合部、 52b…新設梁となる部分、新設梁部、 52c…貫通孔、 52d…新設側アンカー、 53…型枠、 54…鉄筋、 55…揚重ブラケットの先端側の1枚分の型枠、先端型枠(型枠)、 56…ユニット間に位置する型枠(型枠)、 57…梁主筋、 58…スリーブジョイント、 59…ブラケット、 61…プレキャスト柱、 62…柱主筋、 63…スリーブ、 70…連結部材、 71…鋼管、 72…上部鋼板、 73…下部鋼板、81…グラウト硬化部。

Claims (6)

  1. 既存建物の外部に構築された新設柱と新設梁とからなる補強フレームを前記既存建物と一体に連結するために、前記既存建物の既存梁と前記新設梁との間において、前記既存梁から前記新設梁側に張り出した既存スラブの下面に、コンクリートによって前記既存スラブと一体に新設スラブを構築した耐震補強構造体の構築方法であって、
    前記既存スラブに上下に貫通した貫通孔を形成する工程と、
    前記既存梁の前記新設梁に対向する面から突出するアンカーを設置する工程と、
    前記既存梁の前記新設梁に対向する面に先端支持部材を設置する工程と、
    地上にて、前記新設梁と前記新設柱との接合部となる部分と前記新設梁となる部分とが一体になったプレキャスト梁の下に揚重ブラケットを設け、当該揚重ブラケット上に前記新設スラブを構築するための型枠及び鉄筋を載置してユニットを形成する工程と、
    前記ユニットを揚重して、前記接合部となる部分を前記新設柱の上に設置し、且つ、前記揚重ブラケットの前記既存建物側の先端部が前記先端支持部材で支持されるように、前記ユニットを設置する工程と、
    前記接合部となる部分の上に前記新設柱となるプレキャスト柱を設置する工程と、
    前記貫通孔内に連結部材を設置する工程と、
    前記プレキャスト梁と前記プレキャスト柱とを接合する工程と、
    前記貫通孔を介して、前記既存スラブの上方からコンクリートを打設する工程とを備えることを特徴とする耐震補強構造体の構築方法。
  2. 前記揚重ブラケット上には、前記既存梁側の1枚分の前記新設スラブを構築するための型枠を載置せず、当該型枠は、前記ユニットを設置した後、所定の場所に設置することを特徴とする請求項1に記載の耐震補強構造体の構築方法。
  3. 隣接する前記プレキャスト梁の前記新設梁となる部分同士を接合する工程をさらに備え、
    隣接する前記新設スラブを連結して構築するために前記鉄筋を連結することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐震補強構造体の構築方法。
  4. 隣接する前記新設スラブを連結して構築するために、前記ユニットの型枠の端部の間に新たに型枠を設置すると共に、前記新たに設置する型枠の下に該型枠を支持するブラケットを設置することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の耐震補強構造体の構築方法。
  5. 隣接する前記プレキャスト梁の前記新設梁となる部分同士を接合する工程をさらに備え、
    前記ユニットの型枠の幅方向の端部に、少なくとも前記既存スラブの下端から前記型枠の上端まで鉛直方向に仕切る型枠を設置することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐震補強構造体の構築方法。
  6. 前記既存建物の外部の前記ユニットが設置される部分を除いた部分に支柱を設置し、前記支柱と連結させた壁つなぎを前記ユニットが設置される部分を通さずに前記既存建物に固定して、昇降足場を設置する工程を含むことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の耐震補強構造体の構築方法。
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