一例として示す鉄骨構造物10Aの正面図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る鉄骨構造物の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、一例として示す新設鉄骨第1間柱12の上面図であり、図3は、一例として示す鋼材スリーブ14の斜視図である。図4は、一例として示す第1増設部材16の斜視図であり、図5は、一例として示す第2増設部材21の斜視図である。図1では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。鉄骨構造物10A(鉄骨構造物10B~10Nを含む)は、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等の既設のあらゆる既設建造物に構築される。
鉄骨構造物10Aは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト15および複数の第1増設部材16と、複数本の挿入ボルト17および充填材18と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。
なお、図1では、1本の新設鉄骨第1間柱12および1本の新設鉄骨第2間柱19を図示しているが、実際には、複数本の新設鉄骨第1間柱12および複数本の新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に取り付けられる(図8や図10、図13、図15、図17、図19、図22、図24、図26、図28、図29、図30、図31も同様)。鋼材スリーブ14の個数、第1および第2連結ボルト15,22の本数、挿入ボルト17の本数、第1および第2増設部材16,21の数について特に制限はなく、鉄骨構造物10Aの大きさや求められる強度等によってそれらの数を決定する。
既設鉄骨梁11には、鋼材から作られた水平方向へ延びるH形鋼23(第2のH形鋼)が使用されている。既設鉄骨梁11であるH形鋼23は、水平方向へ延びる上フランジ24と、上フランジ24に平行して水平方向へ延びる下フランジ25と、それらフランジ24,25の間に位置して水平方向へ延びるウェブ26とから形成されている。上フランジ24と下フランジ25とウェブ26とには、ボルト孔27が穿孔されている。
既設鉄骨梁11は、H形鋼から形成された既設の主柱(図示せず)に連結されている。なお、既設鉄骨梁11がH形鋼ではなく、I形鋼やT形鋼、山形鋼、溝形鋼、Z形鋼等であってもよく、既設の主柱がH形鋼ではなく、I形鋼やT形鋼、山形鋼、溝形鋼、Z形鋼、口形鋼、日形鋼、O形鋼等であってもよい。既設鉄骨梁11(上フランジ24)の上には、所定の厚み寸法の既設コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)が施工されている。コンクリートスラブ28の所定の箇所には、水平方向へ並ぶ断面円形の貫通孔29および断面円形の挿入孔30が穿孔されている。
新設鉄骨第1間柱12は、既設鉄骨梁11に取り付けられて既設鉄骨梁11から垂直方向上方へ延びている。新設鉄骨第1間柱12には、鋼材から作られた垂直方向へ延びるH形鋼31(第1のH形鋼)が使用されている。新設鉄骨第1間柱12であるH形鋼31は、垂直方向へ延びる一方のフランジ32と、一方のフランジ32に平行して垂直方向へ延びる他方のフランジ33と、それらフランジ32,33の間に位置して垂直方向へ延びるウェブ34とから形成されている。なお、新設鉄骨第1間柱12がH形鋼ではなく、I形鋼やT形鋼、山形鋼、溝形鋼、Z形鋼、口形鋼、日形鋼、O形鋼等であってもよい。
第1連結板13は、鋼材から作られ、板状に成形されて所定面積および所定厚みを有する。第1連結板13は、新設鉄骨第1間柱12の下端(フランジ32,33およびウェブ34の下端)に溶接によって取り付けられている(溶着されている)。第1連結板13は、新設鉄骨第1間柱12の下端において水平方向へ延びている。第1連結板13は、工場においてあらかじめ新設鉄骨第1間柱12の下端に取り付けられ、現場に搬送される。
第1連結板13は、新設鉄骨第1間柱12であるH形鋼31の一方のフランジ32と他方のフランジ33との間に延びる中央部35と、H形鋼31のそれらフランジ32,33から水平方向側方に延びる両側部36,37とを有する。第1連結板13の中央部35および両側部36,37には、ボルト孔27が穿孔されている。第1連結板13は、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)の上に配置(載置)されている。第1連結板13とコンクリートスラブ28との間には、充填材38が充填されている。充填材38は、第1連結板13とコンクリートスラブ28との間において硬化している。充填材18,38(後記する充填材61を含む)には、無収縮モルタルや高強度コンクリート等の無機系の充填材、エポキシ樹脂等の有機系の充填材等の使用可能なあらゆる充填材を使用することができる。
それら鋼材スリーブ14(管材)は、鋼材から作られ、その断面形状が円形の筒状に成形されている。鋼材スリーブ14は、コンクリートスラブ28に穿孔された貫通孔29に挿通されて垂直方向へ延びている。鋼材スリーブ14は、その上端が第1連結板13の下面に当接していることが好ましい。それら第1連結ボルト15は、鋼材から作られている。第1連結ボルト15は、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通され、第1連結板13から既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の上フランジ24に向かって垂直方向へ延びている。
第1連結ボルト15は、第1連結板13の両側部36,37に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着され、第1連結板13の中央部35であって一方のフランジ32の近傍に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着されているとともに、第1連結板13の中央部35であって他方のフランジ33の近傍に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着されている。第1連結ボルト15は、第1連結板13から垂直方向上方へ露出する螺子部39にナット40(固定手段)が螺着され、第1連結板13に強固に連結されている。
それら第1増設部材16は、鋼材から作られ、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の上フランジ24の側(上フランジ24の直下)に配置されている。第1増設部材16は、既設鉄骨梁11のウェブ26に平行して垂直方向へ延びる所定面積および所定厚みの取付板部41と、既設鉄骨梁11の上フランジ24に平行して水平方向へ延びる所定面積および所定厚みの接続板部42と、取付板部41および接続板部42の中央に位置して垂直方向へ延びる所定面積および所定厚みの補強板部43とから形成されている。第1増設部材16では、取付板部41や接続板部42、補強板部43が一体に成形されている。取付板部41および接続板部42には、ボルト孔27が穿孔されている。
それら第1増設部材16は、その取付板部41に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁11(H形鋼23)に強固に固定されている。固定ボルト44には、ナット(図示せず)が螺着されている。第1連結ボルト15は、第1増設部材16の接続板部42のボルト孔27に挿通され、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されているとともに、第1連結板13のボルト孔27に挿通または螺着されている。第1連結ボルト15は、ナット40によって第1連結板13に固定されることで、第1連結板13と第1増設部材16とを連結している。
鉄骨構造物10Aでは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト15によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とが連結されることで、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端が既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24に連結され、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に取り付けられている。
鉄骨構造物10Aでは、第1連結ボルト15が引っ張り応力に抵抗し、鋼材スリーブ14が圧縮応力に抵抗するから、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成している。曲げ抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の両側部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成され、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍に形成されるとともに、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の他方のフランジ33の近傍に形成される。
それら挿入ボルト17は、鋼材から作られている。挿入ボルト17は、第1連結板13の中央部35に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着され、第1連結板13から既設鉄骨梁11(上フランジ24)に向かって垂直方向へ延びている。挿入ボルト17は、第1連結板13を挟むように螺着されたナット40によって第1連結板13に取り付けられている。挿入ボルト17の第1連結板13から下方へ露出する露出部分45(頭部を含む)は、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に穿孔された挿入孔30に挿入されている。なお、図1では、挿入孔30がコンクリートスラブ28を貫通しているが、挿入ボルト17(後記する挿入棒62、金属柱63、コネクト部材67)を挿入するのに十分な深さがあればよく、挿入孔30がコンクリートスラブ28を途中までに穿孔した断面円形の穴溝であってもよい。
充填材18は、挿入孔30に充填されている。挿入孔30では、充填材18が硬化し、挿入ボルト17と硬化した充填材18とが一体になっている。鉄骨構造物10Aでは、挿入ボルト17と挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。せん断抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31のウェブ34に沿って形成されている。
新設鉄骨第2間柱19は、新設鉄骨第1間柱12の下方に位置し、既設鉄骨梁11に取り付けられて既設鉄骨梁11から垂直方向下方へ延びている。新設鉄骨第2間柱19には、鋼材から作られた垂直方向へ延びるH形鋼46(第3のH形鋼)が使用されている。新設鉄骨第2間柱19は、垂直方向へ延びる一方のフランジ47と、一方のフランジ47に平行して垂直方向へ延びる他方のフランジ48と、それらフランジ47,48の間に位置して垂直方向へ延びるウェブ49とから形成されている。なお、新設鉄骨第2間柱19がH形鋼46ではなく、I形鋼やT形鋼、山形鋼、溝形鋼、Z形鋼、口形鋼、日形鋼、O形鋼等であってもよい。
第2連結板20は、鋼材から作られ、板状に成形されて所定面積および所定厚みを有する。第2連結板20は、新設鉄骨第2間柱19の上端(フランジ47,48およびウェブ49の上端)に溶接によって取り付けられている(溶着されている)。第2連結板20は、新設鉄骨第2間柱19の上端において水平方向へ延びている。第2連結板20は、工場においてあらかじめ新設鉄骨第2間柱19の上端に取り付けられ、現場に搬送される。第2連結板20は、新設鉄骨第2間柱19であるH形鋼46の一方のフランジ47と他方のフランジ48との間に延びる中央部50と、H形鋼46のそれらフランジ47,48から水平方向側方に延びる両側部51,52とを有する。第2連結板20の中央部50および両側部51,52には、ボルト孔27が穿孔されている。
それら第2増設部材21は、鋼材から作られ、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25の側(下フランジ25の直上)に配置されている。第2増設部材21は、H形鋼23のウェブ26に平行して垂直方向へ延びる所定面積および所定厚みの取付板部53と、H形鋼23の下フランジ25に平行して水平方向へ延びる所定面積および所定厚みの接続板部54と、取付板部53および接続板部54の中央に位置して垂直方向へ延びる所定面積および所定厚みの補強板部55とから形成されている。第2増設部材21では、取付板部53や接続板部54、補強板部55が一体に成形されている。取付板部53および接続板部54には、ボルト孔27が穿孔されている。第2増設部材21は、その取付板部53に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁に強固に固定されている。固定ボルト44には、ナット(図示せず)が螺着されている。
それら第2連結ボルト22は、鋼材から作られている。第2連結ボルト22は、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25から第2連結板20に向かって垂直方向へ延びている。第2連結ボルト22は、第2増設部材21の接続板部54のボルト孔27に挿通され、第2連結板20の中央部50および両側部51,52に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着されている。第2連結ボルト22は、第2連結板20から垂直方向下方へ露出する螺子部56にナット40(固定手段)が螺着され、第2連結板20に強固に連結されている。第2連結ボルト22は、第2増設部材21と第2連結板20とを連結するとともに、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25に新設鉄骨第2間柱19を連結する。
図6は、図1の鉄骨構造物10Aを構築するための連結工程の一例を示す正面図である。連結工程では、それら第1連結ボルト15によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とを連結し、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端を既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24に連結するとともに、曲げ抵抗・伝達手段を形成(構築)する。さらに、それら第2連結ボルト22によって第2増設部材21(既設鉄骨梁11)と第2連結板20(新設鉄骨第2間柱19)とを連結するとともに、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の下フランジ25と第2連結板20とを連結し、新設鉄骨第2間柱19を形成するH形鋼46(第3のH形鋼)の上端を既設鉄骨梁11の下フランジ25に連結する。
連結工程では、既設鉄骨梁11に対する新設鉄骨第1間柱12の設置箇所を選定し、図6の(a)に示すように、設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置に電動ドリルドライバー(図示せず)のドリルビット57によって貫通孔29を穿孔し、既設鉄骨梁11の上フランジ24にボルト孔27を穿孔するとともに、既設鉄骨梁11の下フランジ25にボルト孔27を穿孔する。次に、図6の(b)に示すように、ドリルビット57によって穿孔したコンクリートスラブ28の貫通孔29の周囲をコア抜きドリル58を利用してコア抜きし、コンクリートスラブ28に断面円形の貫通孔29を穿孔する。なお、貫通孔29の穿孔手順は図示のそれに限らず、公知の全ての穿孔手順によって貫通孔29を穿孔することができる(後記する貫通孔29の穿孔手順も同様)。
コア抜きドリル58によってコンクリートスラブ28に貫通孔29を穿孔した後、図6の(c)に示すように、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を挿入し、貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置する。鋼材スリーブ14は、その下端が既設鉄骨梁11の上フランジ24に当接し、その上端が第1連結板13の下面に当接するように設置する。鋼材スリーブ14の上端と第1連結板13の下面との間に隙間が生じる場合は、その隙間にフィラープレートを差し込み、または、鋼材スリーブ14を長めに作り、貫通孔29に設置した後、余分な部分を削除する。あるいは、鋼材スリーブ14に長さ調節機構を形成し、現場において調節機構を利用して長さ調節を行う。
貫通孔29に鋼材スリーブ14を挿入・設置した後、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所のコンクリートスラブ28の上に第1連結板13を配置する。次に、図6の(d)に示すように、第1連結ボルト15の頭部を下にした状態で、第1増設部材16の接続板部42に穿孔されたボルト孔27に第1増設部材16の下方から上方に向かって第1連結ボルト15を挿入しつつ、第1連結ボルト15を既設鉄骨梁11の上フランジ24のボルト孔27に挿通するとともに鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通する。なお、第1連結ボルト15を上方から下方に向かって挿入する場合もある。第1増設部材16は、その取付板部41に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁11に固定されている。
第1連結ボルト15を鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通した後、図6の(e)に示すように、第1連結ボルト15の螺子部39を第1連結板13に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着し、第1連結板13の上方へ露出する第1連結ボルト15の螺子部39にナット40(固定手段)を螺着する。第1連結板13の上方へ露出する第1連結ボルト15の螺子部39にナット40を螺着することで、第1連結板13と第1増設部材16とが連結され、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12が連結される。
第1連結板13とコンクリートスラブ28の表面との間のスペースには充填材38が充填される。充填材38は、養生期間が経過すると、スペースにおいて硬化する。なお、既設鉄骨梁11の上フランジ24(コンクリートスラブ28の表面)に対する第1連結板13(新設鉄骨第1間柱12)の平行状態が充填材38によって調節されている。
第1連結板13と第1増設部材16とを連結した後、または、第1連結板13と第1増設部材16とを連結すると同時に、あるいは、第1連結板13と第1増設部材16とを連結する前に、図6の(d)に示すように、第2連結ボルト22の頭部を上にした状態で、第2増設部材21の接続板部54に穿孔されたボルト孔27に第2増設部材21の上方から下方に向かって第2連結ボルト22を挿入し、第2連結ボルト22を既設鉄骨梁11の下フランジ25のボルト孔27に挿通する。第2連結ボルト22を下方から上方に向かって挿入する場合もある。第2連結ボルト22の螺子部56を第2連結板20に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着し、図6の(e)に示すように、第2連結板20の下方へ露出する第2連結ボルト22の螺子部56にナット40(固定手段)を螺着する。
第2連結板20の下方へ露出する第2連結ボルト22の螺子部56にナット40を螺着することで、第2増設部材21と第2連結板20とが連結され、既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とが連結され、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19が連結される。なお、第2増設部材21は、その取付板部53に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁11に固定されている。
鉄骨構造物10Aでは、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14とから既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段が形成される。曲げ抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の両側部であって新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成され、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍に形成されるとともに、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の他方のフランジ33の近傍に形成される。
図7は、図1の鉄骨構造物10Aを構築するための接続工程の一例を示す正面図である。接続工程では、それら挿入ボルト17によって第1連結板13(新設鉄骨第1間柱12)とコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)とを接続し、せん断抵抗・伝達手段を形成(構築)する。接続工程では、図7の(a)に示すように、既設鉄骨梁11に対する新設鉄骨第1間柱12の設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置にコア抜きドリル58を利用して挿入孔30を穿孔する。
次に、図7の(b)に示すように、挿入ボルト17の頭部を下にした状態で、第1連結板13に穿孔されたボルト孔27に第1連結板13の下方から上方に向かって挿入ボルト17の螺子部59を挿入または螺着し、第1連結板13を挟むようにナット40を挿入ボルト17の螺子部59に螺着して挿入ボルト17を第1連結板13に取り付ける。なお、挿入ボルト17に頭部がない場合もある。第1連結板13のボルト孔27の近傍には、充填材18を充填する充填材充填口60が形成されている。
挿入ボルト17を第1連結板13に取り付けた後、図7の(c)に示すように、第1連結板13を挿入孔30に向かって下方へ移動させ、第1連結板13から下方へ露出する挿入ボルト17の露出部分45をコンクリートスラブ28の挿入孔30に挿入し、第1連結板13をコンクリートスラブ28の上に設置する。次に、第1連結板13の充填材充填口60から挿入孔30に充填材18を充填(注入)する。挿入孔30に充填された充填材18は、養生期間が経過すると、挿入孔30おいて硬化する。
挿入孔30では、図7の(d)に示すように、挿入ボルト17が挿入孔30において硬化した充填材18と一体になっている。鉄骨構造物10Aでは、挿入ボルト17と挿入孔30において硬化した充填材18とから既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段が形成される。せん断抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31のウェブ34に沿って形成される。
接続工程の他の一例としては、コンクリートスラブ28の所定の位置に挿入孔30を穿孔した後、挿入孔30に充填材18を充填する。次に、挿入ボルト17(露出部分45)をコンクリートスラブ28の挿入孔30(充填材18)に挿入し、第1連結板13のボルト孔27に挿入ボルト17を挿通して第1連結板13をコンクリートスラブ28の上に設置し、ナット40を挿入ボルト17の螺子部59に螺着して挿入ボルト17を第1連結板13に取り付ける。または、挿入ボルト17を取り付けた第1連結板13を挿入孔30に向かって下方へ移動させ、第1連結板13から下方へ露出する挿入ボルト17の露出部分45をコンクリートスラブ28の挿入孔30(充填材18)に挿入し、第1連結板13をコンクリートスラブ28の上に設置する。この場合、第1連結板13に充填材充填口60は作られない。
鉄骨構造物10Aは、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に貫通孔29を穿孔し、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端に取り付けられた第1連結板13が既設鉄骨梁11のH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に配置(載置)され、コンクリートスラブ28の貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14に挿通された第1連結ボルト15によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とを連結し、第2連結ボルト22によって第2増設部材21(既設鉄骨梁11)と第2連結板20とを連結することで、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されるから、第1連結ボルト15を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔し、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置し、第1連結ボルト15によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結しつつ、第2連結ボルト22によって既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がなく、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Aは、はつり音およびはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができるから、平日の昼間の時間に作業を行うことができ、平日の昼間の時間を有効に使って短時間に効率よく既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を取り付けることができる。鉄骨構造物10Aは、コンクリートをはつる必要がないから、はつり箇所に対する復旧工事を行う手間と時間とを節約することができるとともに、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)の耐力の低下やコンクリートスラブ28の変形を防ぎつつ、既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を短時間に効率よく取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を短時間に効率よく取り付けることができる。
鉄骨構造物10Aは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト15を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、第2連結ボルト22を利用して新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を安全に取り付けることができる。
鉄骨構造物10Aは、挿入孔30に挿入された挿入ボルト17と挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力が生じた際に、挿入孔30に挿入された挿入ボルト17と挿入孔30において硬化した充填材18とから形成されたせん断抵抗・伝達手段がそのせん断応力に抵抗しつつ、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間においてせん断応力の円滑な伝達を行うことができる。
鉄骨構造物10Aは、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15と貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に曲げ応力が生じた際に、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15と貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14とから形成された曲げ抵抗・伝達手段がその曲げ応力に抵抗しつつ、既設鉄骨梁11やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間において曲げ応力の円滑な伝達を行うことができる。
鉄骨構造物10Aでは、新設鉄骨第1間柱12のH形鋼31のウェブ34に沿ってせん断抵抗・伝達手段が形成され、新設鉄骨第1間柱12のH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに曲げ抵抗・伝達手段が形成されているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力や曲げ応力が生じた際に、新設鉄骨第1間柱12を形成する第1のH形鋼31のウェブ34に沿って形成されたせん断抵抗・伝達手段や新設鉄骨第1間柱12を形成する第1のH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成された曲げ抵抗・伝達手段がせん断応力や曲げ応力に十分に抵抗しつつ、既設鉄骨梁11(H形鋼23)やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との間においてせん断応力や曲げ応力の円滑な伝達を行うことができる。
図8は、他の一例として示す鉄骨構造物10Bの正面図である。図8では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。鉄骨構造物10Bは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト15および複数の第1増設部材16と、複数本の挿入ボルト17および充填材18,61と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。鋼材スリーブ14の個数、第1および第2連結ボルト15,22の本数、挿入ボルト17の本数、第1および第2増設部材16,21の数について特に制限はなく、鉄骨構造物10Bの大きさや求められる強度等によってそれらの数を決定する。
鉄骨構造物10Bを形成する既設鉄骨梁11や新設鉄骨第1間柱12には、図1のそれらと同一のH形鋼23,31(第1のH形鋼、第2のH形鋼)が使用されている。既設鉄骨梁11(上フランジ24)の上には、既設コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)が施工され、コンクリートスラブ28の所定の箇所には、水平方向へ並ぶ断面円形の貫通孔29および断面円形の挿入孔30が穿孔されている。
鉄骨構造物10Bを形成する第1連結板13は、図1のそれと同一であり、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)の上に配置(載置)されている。第1連結板13のボルト孔27の近傍には、充填材61を充填する充填材充填口60が形成されている。第1連結板13とコンクリートスラブ28との間には、充填材38が充填されている。鉄骨構造物10Bを形成するそれら鋼材スリーブ14は、図1のそれと同一であり、コンクリートスラブ28に穿孔された貫通孔29に挿入・設置されている。
鉄骨構造物10Bを形成するそれら第1連結ボルト15は、図1のそれと同一であり、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されて第1連結板13から既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の上フランジ24に向かって垂直方向へ延びている。第1連結ボルト15は、第1連結板13から垂直方向上方へ露出する螺子部39にナット40(固定手段)が螺着され、第1連結板13に連結されている。鉄骨構造物10Bを形成するそれら第1増設部材16は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11の上フランジ24の側(上フランジ24の直下)に配置されている。第1増設部材16は、固定ボルト44およびナットによって既設鉄骨梁11のウェブ26に固定されている。
第1連結ボルト15は、第1増設部材16の接続板部42のボルト孔27に挿通され、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されているとともに、第1連結板13のボルト孔27に挿通または螺着され、螺子部39に螺着されたナット40によって第1連結板13に固定されることで、第1連結板13と第1増設部材16とを連結している。鉄骨構造物10Bを形成する充填材61は、コンクリートスラブ28に穿孔された貫通孔29に充填され、貫通孔29において硬化している。
鉄骨構造物10Bでは、貫通孔29と鋼材スリーブ14の外周面との間隙が充填材61によって埋められているとともに、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14の内周面との間隙が充填材61によって埋められている。貫通孔29では、充填材61が硬化し、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14と硬化した充填材61とが一体になっている。
鉄骨構造物10Bでは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト15によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とが連結されることで、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端が既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24に連結され、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に取り付けられている。
鉄骨構造物10Bでは、第1連結ボルト15が引っ張り応力に抵抗し、鋼材スリーブ14と充填材61とが圧縮応力に抵抗するから、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14と充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成している。曲げ抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の両側部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成され、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍に形成されるとともに、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の他方のフランジ33の近傍に形成される。
鉄骨構造物10Bを形成するそれら挿入ボルト17は、図1のそれと同一であり、第1連結板13の中央部35に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着され、第1連結板13から既設鉄骨梁11(上フランジ24)に向かって垂直方向へ延びている。挿入ボルト17は、第1連結板13を挟むように螺着されたナット40によって第1連結板13に取り付けられている。挿入ボルト17の第1連結板13から下方へ露出する露出部分45(頭部を含む)は、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に穿孔された挿入孔30に挿入されている。
充填材18は、挿入孔30に充填されている。挿入孔30では、充填材18が硬化し、挿入ボルト17と硬化した充填材18とが一体になっている。鉄骨構造物10Bでは、挿入ボルト17と挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。せん断抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31のウェブ34に沿って形成されている。
鉄骨構造物10Bを形成する新設鉄骨第2間柱19には、図1のそれと同一のH形鋼46(第3のH形鋼)が使用されている。新設鉄骨第2間柱19は、新設鉄骨第1間柱12の下方に位置し、既設鉄骨梁11に取り付けられて既設鉄骨梁11から垂直方向下方へ延びている。鉄骨構造物10Bを形成する第2連結板20は、図1のそれと同一であり、新設鉄骨第2間柱19の上端(フランジ47,48およびウェブ49の上端)に溶接によって取り付けられている。第2連結板20の中央部50および両側部51,52には、ボルト孔27が穿孔されている。
鉄骨構造物10Bを形成する第2増設部材21は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25の側(下フランジ25の直上)に配置されている。第2増設部材21は、その取付板部53に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁11に固定されている。固定ボルト44には、ナット(図示せず)が螺着されている。
鉄骨構造物10Bを形成する第2連結ボルト22は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25から第2連結板20に向かって垂直方向へ延びている。第2連結ボルト22は、第2増設部材21の接続板部54のボルト孔27に挿通され、第2連結板20の中央部50および両側部51,52に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着されている。第2連結ボルト22は、第2増設部材21と第2連結板20とを連結するとともに、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25と第2連結板20(新設鉄骨第2間柱19)とを連結する。
図9は、図8の鉄骨構造物10Bを構築するための連結工程の一例を示す正面図である。なお、図8の鉄骨構造物10Bを構築するための接続工程は、図1の鉄骨構造物10Aを構築するための接続工程と同一である(図7参照)。連結工程では、既設鉄骨梁11に対する新設鉄骨第1間柱12の設置箇所を選定し、図9の(a)に示すように、設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置に電動ドリルドライバー(図示せず)のドリルビット57によって貫通孔29を穿孔し、既設鉄骨梁11の上フランジ24にボルト孔27を穿孔するとともに、既設鉄骨梁11の下フランジ25にボルト孔27を穿孔する。次に、図9の(b)に示すように、ドリルビット57によって穿孔したコンクリートスラブ28の貫通孔29の周囲をコア抜きドリル58を利用してコア抜きし、コンクリートスラブ28に断面円形の貫通孔29を穿孔する。
コア抜きドリル58によってコンクリートスラブ28に貫通孔29を穿孔した後、図9の(c)に示すように、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を挿入し、貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置する。鋼材スリーブ14は、その下端が既設鉄骨梁11の上フランジ24に当接し、その上端が第1連結板13の下面に当接するように設置する。鋼材スリーブ14の上端と第1連結板13の下面との間に隙間が生じる場合は、既述の方法でその隙間を埋める。貫通孔29に鋼材スリーブ14を挿入・設置した後、図9の(d)に示すように、貫通孔29に充填材61を充填し、その充填材61によって貫通孔29と鋼材スリーブ14の外周面との間隙を埋める。
次に、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所のコンクリートスラブ28の上に第1連結板13を配置(載置)し、図9の(e)に示すように、第1連結ボルト15の頭部を下にした状態で、第1増設部材16の接続板部42に穿孔されたボルト孔27に第1増設部材16の下方から上方に向かって第1連結ボルト15を挿入しつつ、第1連結ボルト15を既設鉄骨梁11の上フランジ24のボルト孔27に挿通するとともに鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通する。なお、充填材61によって第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14の内周面との間隙を埋める。第1増設部材16は、その取付板部41に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11であるH形鋼23のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁11に固定されている。
第1連結ボルト15を鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通した後、図9の(f)に示すように、第1連結ボルト15の螺子部39を第1連結板13に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着し、第1連結板13の上方へ露出する第1連結ボルト15の螺子部39にナット40(固定手段)を螺着する。第1連結板13の上方へ露出する第1連結ボルト15の螺子部39にナット40を螺着することで、第1連結板13と第1増設部材16とが連結され、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12が連結される。
第1連結板13と第1増設部材16とを連結した後、または、第1連結板13と第1増設部材16とを連結すると同時に、あるいは、第1連結板13と第1増設部材16とを連結する前に、図9の(e)に示すように、第2連結ボルト22の頭部を上にした状態で、第2増設部材21の接続板部54に穿孔されたボルト孔27に第2増設部材21の上方から下方に向かって第2連結ボルト22を挿入し、第2連結ボルト22を既設鉄骨梁11の下フランジ25のボルト孔27に挿通する。なお、第2増設部材21は、その取付板部53に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11であるH形鋼23のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁11に固定されている。
第2連結ボルト22の螺子部56を第2連結板20に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着し、図9の(f)に示すように、第2連結板20の下方へ露出する第2連結ボルト22の螺子部56にナット40(固定手段)を螺着する。第2連結板20の下方へ露出する第2連結ボルト22の螺子部56にナット40を螺着することで、第2増設部材21と第2連結板20とが連結され、既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とが連結され、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19が連結される。
第1連結板13とコンクリートスラブ28の表面との間のスペースには充填材38が充填される。充填材38は、養生期間が経過すると、スペースにおいて硬化する。なお、既設鉄骨梁11の上フランジ24(コンクリートスラブ28の表面)に対する第1連結板13(新設鉄骨第1間柱12)の平行状態が充填材38によって調節されている。
鉄骨構造物10Bでは、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14と充填材61とから既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段が形成される。曲げ抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の両側部であって新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成され、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍に形成されるとともに、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の他方のフランジ33の近傍に形成される。
鉄骨構造物10Bは、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に貫通孔29を穿孔し、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端に取り付けられた第1連結板13が既設鉄骨梁11のH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に配置(載置)され、コンクリートスラブ28の貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14に挿通された第1連結ボルト15によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とを連結し、第2連結ボルト22によって第2増設部材21(既設鉄骨梁11)と第2連結板20とを連結することで、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されるから、第1連結ボルト15を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔し、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置するとともに、貫通孔29に充填材61を充填し、第1連結ボルト15によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結しつつ、第2連結ボルト22によって既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がなく、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Bは、はつり音およびはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができるから、平日の昼間の時間に作業を行うことができ、平日の昼間の時間を有効に使って短時間に効率よく既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を取り付けることができる。鉄骨構造物10Bは、コンクリートをはつる必要がないから、はつり箇所に対する復旧工事を行う手間と時間とを節約することができるとともに、コンクリートスラブ28の耐力の低下やコンクリートスラブ28の変形を防ぎつつ、既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を短時間に効率よく取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を短時間に効率よく取り付けることができる。
鉄骨構造物10Bは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト15を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、第2連結ボルト22を利用して新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を安全に取り付けることができる。
鉄骨構造物10Bは、挿入孔30に挿入された挿入ボルト17と挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力が生じた際に、挿入孔30に挿入された挿入ボルト17と挿入孔30において硬化した充填材18とから形成されたせん断抵抗・伝達手段がそのせん断応力に抵抗しつつ、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間においてせん断応力の円滑な伝達を行うことができる。
鉄骨構造物10Bは、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15と貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14と貫通孔29において硬化した充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に曲げ応力が生じた際に、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15と貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14と貫通孔29において硬化した充填材61とから形成された曲げ抵抗・伝達手段がその曲げ応力に抵抗しつつ、既設鉄骨梁11やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間において曲げ応力の円滑な伝達を行うことができる。
鉄骨構造物10Bでは、新設鉄骨第1間柱12のH形鋼31のウェブ34に沿ってせん断抵抗・伝達手段が形成され、新設鉄骨第1間柱12のH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに曲げ抵抗・伝達手段が形成されているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力や曲げ応力が生じた際に、新設鉄骨第1間柱12を形成する第1のH形鋼31のウェブ34に沿って形成されたせん断抵抗・伝達手段や新設鉄骨第1間柱12を形成する第1のH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成された曲げ抵抗・伝達手段がせん断応力や曲げ応力に十分に抵抗しつつ、既設鉄骨梁11(H形鋼23)やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との間においてせん断応力や曲げ応力の円滑な伝達を行うことができる。
図10は、他の一例として示す鉄骨構造物10Cの正面図である。図10では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。鉄骨構造物10Cは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数本の第1連結ボルト15と、複数の第1増設部材16および複数本の挿入棒62と、充填材18,61と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。第1および第2連結ボルト15,22の本数、挿入棒62の本数、第1および第2増設部材16,21の数について特に制限はなく、鉄骨構造物10Cの大きさや求められる強度等によってそれらの数を決定する。
鉄骨構造物10Cを形成する既設鉄骨梁11や新設鉄骨第1間柱12には、図1のそれらと同一のH形鋼23,31(第1のH形鋼、第2のH形鋼)が使用されている。既設鉄骨梁11(上フランジ24)の上には、既設コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)が施工され、コンクリートスラブ28の所定の箇所には、水平方向へ並ぶ断面円形の貫通孔29および断面円形の挿入孔30が穿孔されている。
鉄骨構造物10Cを形成する第1連結板13は、図1のそれと同一であり、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)の上に配置(載置)されている。第1連結板13のボルト孔27の近傍と挿入棒62の近傍とには、充填材18,61を充填する充填材充填口60が形成されている(図11,12参照)。第1連結板13とコンクリートスラブ28との間には、充填材38が充填されている。鉄骨構造物10Cを形成するそれら第1連結ボルト15は、図1のそれと同一であり、貫通孔29に挿通されて第1連結板13から既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の上フランジ24に向かって垂直方向へ延びている。第1連結ボルト15は、第1連結板13から垂直方向上方へ露出する螺子部39にナット40(固定手段)が螺着され、第1連結板13に連結されている。鉄骨構造物10Cを形成するそれら第1増設部材16は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11の上フランジ24の側(上フランジ24の直下)に配置されている。第1増設部材16は、固定ボルト44およびナットによって既設鉄骨梁11のウェブ26に固定されている。
第1連結ボルト15は、第1増設部材16の接続板部42のボルト孔27に挿通され、貫通孔29に挿通されているとともに、第1連結板13のボルト孔27に挿通または螺着され、螺子部39に螺着されたナット40によって第1連結板13に固定されることで、第1連結板13と第1増設部材16とを連結している。鉄骨構造物10Cを形成する充填材61は、コンクリートスラブ28に穿孔された貫通孔29に充填され、貫通孔29において硬化している。貫通孔29では、充填材61が硬化し、第1連結ボルト15と硬化した充填材61とが一体になっている。
鉄骨構造物10Cでは、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とが連結されることで、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端が既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24に連結され、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に取り付けられている。
鉄骨構造物10Cでは、第1連結ボルト15が引っ張り応力に抵抗し、貫通孔29において硬化した充填材61が圧縮応力に抵抗するから、第1連結ボルト15と貫通孔29において硬化した充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成している。曲げ抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の両側部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成され、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍に形成されるとともに、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の他方のフランジ33の近傍に形成される。
それら挿入棒62は、鋼材から作られている。挿入棒62は、第1連結板13の中央部35に溶接によって固定され、第1連結板13から既設鉄骨梁11(上フランジ24)に向かって垂直方向へ延びている。挿入棒62(頭部を含む)は、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に穿孔された挿入孔30に挿入されている。挿入孔30には、充填材18が充填されている。挿入孔30では、充填材18が硬化し、挿入棒62と硬化した充填材18とが一体になっている。
鉄骨構造物10Cでは、挿入棒62と挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。せん断抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31のウェブ34に沿って形成されている。
鉄骨構造物10Cを形成する新設鉄骨第2間柱19には、図1のそれと同一のH形鋼46(第3のH形鋼)が使用されている。新設鉄骨第2間柱19は、新設鉄骨第1間柱12の下方に位置し、既設鉄骨梁11に取り付けられて既設鉄骨梁11から垂直方向下方へ延びている。鉄骨構造物10Cを形成する第2連結板20は、図1のそれと同一であり、新設鉄骨第2間柱19の上端(フランジ47,48およびウェブ49の上端)に溶接によって取り付けられている。第2連結板20の中央部50および両側部51,52には、ボルト孔27が穿孔されている。
鉄骨構造物10Cを形成する第2増設部材21は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25の側(下フランジ25の直上)に配置されている。第2増設部材21は、その取付板部53に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁11に固定されている。固定ボルト44には、ナット(図示せず)が螺着されている。
鉄骨構造物10Cを形成する第2連結ボルト22は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25から第2連結板20に向かって垂直方向へ延びている。第2連結ボルト22は、第2増設部材21の接続板部54のボルト孔27に挿通され、第2連結板20の中央部50および両側部51,52に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着されている。第2連結ボルト22は、第2増設部材21と第2連結板20とを連結するとともに、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25と第2連結板20(新設鉄骨第2間柱19)とを連結する。
図11は、図10の鉄骨構造物10Cを構築するための連結工程の一例を示す正面図である。連結工程では、図11の(a)に示すように、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置に電動ドリルドライバーのドリルビット57によって貫通孔29を穿孔し、既設鉄骨梁11の上フランジ24にボルト孔27を穿孔するとともに、既設鉄骨梁11の下フランジ25にボルト孔27を穿孔する。
ドリルビット57によって貫通孔29およびボルト孔27を穿孔した後、図11の(b)に示すように、第1連結ボルト15の頭部を下にした状態で、第1増設部材16の接続板部42に穿孔されたボルト孔27に第1増設部材16の下方から上方に向かって第1連結ボルト15を挿入しつつ、第1連結ボルト15を既設鉄骨梁11の上フランジ24のボルト孔27に挿通するとともに貫通孔29に挿通する。なお、第1連結ボルト15を上方から下方に向かって挿入する場合もある。第1増設部材16は、その取付板部41に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁11に固定されている。
第1連結ボルト15を貫通孔29に挿通した後、第1連結ボルト15の螺子部39を第1連結板13に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着し、第1連結板13の上方へ露出する第1連結ボルト15の螺子部39にナット40(固定手段)を螺着する。次に、図11の(c)に示すように、第1連結板13の充填材充填口60から貫通孔29に充填材61を充填(注入)し、その充填材61によって貫通孔29と第1連結ボルト15の外周面との間隙を埋める。貫通孔29に充填された充填材61は、養生期間が経過すると、貫通孔29において硬化する。貫通孔29では、図11の(d)に示すように、第1連結ボルト15が貫通孔29において硬化した充填材61と一体になっている。
第1連結板13の上方へ露出する第1連結ボルト15の螺子部39にナット40を螺着することで、第1連結板13と第1増設部材16とが連結され、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12が連結される。第1連結板13とコンクリートスラブ28の表面との間のスペースには充填材38が充填される。なお、既設鉄骨梁11の上フランジ24(コンクリートスラブ28の表面)に対する第1連結板13(新設鉄骨第1間柱12)の平行状態が充填材38によって調節されている。鉄骨構造物10Cでは、第1連結ボルト15と貫通孔29において硬化した充填材61とから既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に生じる曲げ応力に抗する曲げ抵抗・伝達手段が形成される。
図10の鉄骨構造物10Cを構築するための連結工程の他の一例としては、コンクリートスラブ28の所定の位置に貫通孔29を穿孔した後、貫通孔29に充填材61を充填し、第1増設部材16の接続板部42に穿孔されたボルト孔27に第1連結ボルト15を挿入しつつ、第1連結ボルト15を既設鉄骨梁11の上フランジ24のボルト孔27に挿通するとともに貫通孔29(充填材61)に挿通する。次に、第1連結ボルト15の螺子部39を第1連結板13に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着し、第1連結板13の上方へ露出する第1連結ボルト15の螺子部39にナット40(固定手段)を螺着する。この場合、第1連結板13に充填材充填口60は作られない。
第1連結板13と第1増設部材16とを連結した後、または、第1連結板13と第1増設部材16とを連結すると同時に、あるいは、第1連結板13と第1増設部材16とを連結する前に、図11の(c)に示すように、第2連結ボルト22の頭部を上にした状態で、第2増設部材21の接続板部54に穿孔されたボルト孔27に第2増設部材21の上方から下方に向かって第2連結ボルト22を挿入し、第2連結ボルト22を既設鉄骨梁11の下フランジ25のボルト孔27に挿通する。第2連結ボルト22の螺子部56を第2連結板20に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着し、図11の(d)に示すように、第2連結板20の下方へ露出する第2連結ボルト22の螺子部56にナット40(固定手段)を螺着する。
第2連結板20の下方へ露出する第2連結ボルト22の螺子部56にナット40を螺着することで、第2増設部材21と第2連結板20とが連結され、既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とが連結され、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19が連結される。なお、第2増設部材21は、その取付板部53に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁11に固定されている。
図12は、図10の鉄骨構造物10Cを構築するための接続工程の一例を示す正面図である。接続工程では、図12の(a)に示すように、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置にコア抜きドリル58を利用して挿入孔30を穿孔する。次に、図12の(b)に示すように、第1連結板13に固定された挿入棒62を挿入孔30に向かって下方へ移動させ、挿入棒62を挿入孔30に挿入し、第1連結板13をコンクリートスラブ28の上に設置する。
挿入棒62を挿入孔30に挿入した後、図12の(c)に示すように、充填材充填口60から挿入孔に充填材18を充填(注入)する。挿入孔30に充填された充填材18は、養生期間が経過すると、挿入孔30において硬化する。挿入孔30では、図12の(d)に示すように、挿入棒62が挿入孔30において硬化した充填材18と一体になっている。鉄骨構造物10Cでは、挿入棒62と挿入孔30において硬化した充填材18とから既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段が形成される。
図10の鉄骨構造物10Cを構築するための接続工程の他の一例としては、コンクリートスラブ28の所定の位置に挿入孔30を穿孔した後、挿入孔30に充填材18を充填する。挿入孔30に充填材18を充填した後、第1連結板13に固定された挿入棒62を挿入孔30に向かって下方へ移動させ、挿入棒62を挿入孔30(充填材18)に挿入し、第1連結板13をコンクリートスラブ28の上に設置する。この場合、第1連結板13に充填材充填口60は作られない。
鉄骨構造物10Cは、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に貫通孔29を穿孔し、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端に取り付けられた第1連結板13が既設鉄骨梁11のH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に配置(載置)され、コンクリートスラブ28の貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とを連結し、第2連結ボルト22によって第2増設部材21(既設鉄骨梁11)と第2連結板20とを連結することで、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されるから、第1連結ボルト15を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔し、その貫通孔29に充填材61を充填するとともに、第1連結ボルト15によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結しつつ、第2連結ボルト22によって既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がなく、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Cは、はつり音およびはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができるから、平日の昼間の時間に作業を行うことができ、平日の昼間の時間を有効に使って短時間に効率よく既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を取り付けることができる。鉄骨構造物10Cは、コンクリートをはつる必要がないから、はつり箇所に対する復旧工事を行う手間と時間とを節約することができるとともに、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)の耐力の低下やコンクリートスラブ28の変形を防ぎつつ、既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を短時間に効率よく取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を短時間に効率よく取り付けることができる。
鉄骨構造物10Cは、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、第2連結ボルト22を利用して新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を安全に取り付けることができる。
鉄骨構造物10Cは、挿入孔30に挿入された挿入棒62と挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力が生じた際に、挿入孔30に挿入された挿入棒62と挿入孔30において硬化した充填材18とから形成されたせん断抵抗・伝達手段がそのせん断応力に抵抗しつつ、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間においてせん断応力の円滑な伝達を行うことができる。
鉄骨構造物10Cは、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15と貫通孔29において硬化した充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱(H形鋼27)との接合部に生じる曲げ応力に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に曲げ応力が生じた際に、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15と貫通孔29において硬化した充填材61とから形成された曲げ抵抗・伝達手段がその曲げ応力に抵抗しつつ、既設鉄骨梁11やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間において曲げ応力の円滑な伝達を行うことができる。
鉄骨構造物10Cでは、新設鉄骨第1間柱12のH形鋼31のウェブ34に沿ってせん断抵抗・伝達手段が形成され、新設鉄骨第1間柱12のH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに曲げ抵抗・伝達手段が形成されているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力や曲げ応力が生じた際に、新設鉄骨第1間柱12を形成する第1のH形鋼31のウェブ34に沿って形成されたせん断抵抗・伝達手段や新設鉄骨第1間柱12を形成する第1のH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成された曲げ抵抗・伝達手段がせん断応力や曲げ応力に十分に抵抗しつつ、既設鉄骨梁11(H形鋼23)やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との間においてせん断応力や曲げ応力の円滑な伝達を行うことができる。
図13は、他の一例として示す鉄骨構造物10Dの正面図である。図13では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。鉄骨構造物10Dは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト15および複数の第1増設部材16と、充填材61および複数本の金属柱63と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。鋼材スリーブ14の個数、第1および第2連結ボルト15,22の本数、金属柱63の本数、第1および第2増設部材16,21の数について特に制限はなく、鉄骨構造物10Dの大きさや求められる強度等によってそれらの数を決定する。
鉄骨構造物10Dを形成する既設鉄骨梁11や新設鉄骨第1間柱12には、図1のそれらと同一のH形鋼23,31(第1のH形鋼、第2のH形鋼)が使用されている。既設鉄骨梁11(上フランジ24)の上には、既設コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)が施工され、コンクリートスラブ28の所定の箇所には、水平方向へ並ぶ断面円形の貫通孔29および断面円形の挿入孔30が穿孔されている。
鉄骨構造物10Dを形成する第1連結板13は、図1のそれと同一であるが、第1連結板13の中央部31にはボルト孔27ではなく挿通孔64が穿孔されている。第1連結板13は、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)の上に配置(載置)されている。第1連結板13とコンクリートスラブ28との間には、充填材38が充填されている。鉄骨構造物10Dを形成するそれら鋼材スリーブ14は、図1のそれと同一であり、コンクリートスラブ28に穿孔された貫通孔29に挿入・設置されている。
鉄骨構造物10Dを形成するそれら第1連結ボルト15は、図1のそれと同一であり、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されて第1連結板13から既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の上フランジ24に向かって垂直方向へ延びている。第1連結ボルト15は、第1連結板13から垂直方向上方へ露出する螺子部39にナット40(固定手段)が螺着され、第1連結板13に連結されている。鉄骨構造物10Dを形成するそれら第1増設部材16は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11の上フランジ24の側(上フランジ24の直下)に配置されている。第1増設部材16は、固定ボルト44およびナットによって既設鉄骨梁11のウェブ26に固定されている。
第1連結ボルト15は、第1増設部材16の接続板部42のボルト孔27に挿通され、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されているとともに、第1連結板13のボルト孔27に挿通または螺着され、螺子部39に螺着されたナット40によって第1連結板13に固定されることで、第1連結板13と第1増設部材16とを連結している。鉄骨構造物10Dを形成する充填材61は、コンクリートスラブ28に穿孔された貫通孔29に充填され、貫通孔29において硬化している。
鉄骨構造物10Dでは、貫通孔29と鋼材スリーブ14の外周面との間隙が充填材61によって埋められているとともに、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14の内周面との間隙が充填材61によって埋められている。貫通孔29では、充填材61が硬化し、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14と硬化した充填材61とが一体になっている。
鉄骨構造物10Dでは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト15によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とが連結されることで、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端が既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24に連結され、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に取り付けられている。
鉄骨構造物10Dでは、第1連結ボルト15が引っ張り応力に抵抗し、鋼材スリーブ14と充填材61とが圧縮応力に抵抗するから、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14と充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成している。曲げ抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の両側部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成され、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍に形成されるとともに、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の他方のフランジ33の近傍に形成される。
それら金属柱63は、鋼材から作られて円柱状に成形されている。金属柱63は、第1連結板13から既設鉄骨梁11(上フランジ24)に向かって垂直方向へ延びている。金属柱63は、第1連結板13の中央部35に穿孔された挿通孔64に挿入されているとともに、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に穿孔された挿入孔30に挿入されている。なお、金属柱63の形状(直径や長さを含む)は、必要な耐力等を勘案して決定する。図13では、金属柱63がコンクリートスラブ28を貫通して既設鉄骨梁11(上フランジ24)に達しているが、コンクリートスラブ28の途中までに延びていてもよい。
鉄骨構造物10Dでは、金属柱63が既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵・伝達抗手段を形成している。せん断抵・伝達抗手段は、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31のウェブ34に沿って形成されている。
鉄骨構造物10Dを形成する新設鉄骨第2間柱19には、図1のそれと同一のH形鋼46(第3のH形鋼)が使用されている。新設鉄骨第2間柱19は、新設鉄骨第1間柱12の下方に位置し、既設鉄骨梁11に取り付けられて既設鉄骨梁11から垂直方向下方へ延びている。鉄骨構造物10Dを形成する第2連結板20は、図1のそれと同一であり、新設鉄骨第2間柱19の上端(フランジ47,48およびウェブ49の上端)に溶接によって取り付けられている。第2連結板20の中央部50および両側部51,52には、ボルト孔27が穿孔されている。
鉄骨構造物10Dを形成する第2増設部材21は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25の側(下フランジ25の直上)に配置されている。第2増設部材21は、その取付板部53に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁11に固定されている。固定ボルト44には、ナット(図示せず)が螺着されている。
鉄骨構造物10Dを形成する第2連結ボルト22は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25から第2連結板20に向かって垂直方向へ延びている。第2連結ボルト22は、第2増設部材21の接続板部54のボルト孔27に挿通され、第2連結板20の中央部50および両側部51,52に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着されている。第2連結ボルト22は、第2増設部材21と第2連結板20とを連結するとともに、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25と第2連結板20(新設鉄骨第2間柱19)とを連結する。
図14は、図13の鉄骨構造物10Dを構築するための接続工程の一例を示す正面図である。なお、図13の鉄骨構造物10Dを構築するための連結工程は、図8の鉄骨構造物10Bを構築するための連結工程と同一である。接続工程では、図14の(a)に示すように、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置にコア抜きドリル58を利用して挿入孔30を穿孔する。次に、図14の(b)に示すように、金属柱63を挿入孔30に挿入する。金属柱63を挿入孔30に挿入した後、図14の(c)に示すように、第1連結板13をコンクリートスラブ28の上に配置(載置)し、図14の(d)に示すように、第1連結板13に穿孔された挿通孔64に金属柱63の頂部65を挿入する。鉄骨構造物10Dでは、金属柱63によって既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段が形成される。
鉄骨構造物10Dは、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に貫通孔29を穿孔し、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端に取り付けられた第1連結板13が既設鉄骨梁11のH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に配置(載置)され、コンクリートスラブ28の貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14に挿通された第1連結ボルト15によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とを連結し、第2連結ボルト22によって第2増設部材21(既設鉄骨梁11)と第2連結板20とを連結することで、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されるから、第1連結ボルト15を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔し、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置するとともに、貫通孔29に充填材61を充填し、第1連結ボルト15によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結しつつ、第2連結ボルト22によって既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がなく、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Dは、はつり音およびはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができるから、平日の昼間の時間に作業を行うことができ、平日の昼間の時間を有効に使って短時間に効率よく既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を取り付けることができる。鉄骨構造物10Dは、コンクリートをはつる必要がないから、はつり箇所に対する復旧工事を行う手間と時間とを節約することができるとともに、コンクリートスラブ28の耐力の低下やコンクリートスラブ28の変形を防ぎつつ、既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を短時間に効率よく取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を短時間に効率よく取り付けることができる。
鉄骨構造物10Dは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト15を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、第2連結ボルト22を利用して新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を安全に取り付けることができる。
鉄骨構造物10Dは、挿通孔64および挿入孔30に挿入された金属柱63が既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力が生じた際に、挿通孔64および挿入孔30に挿入された金属柱63によって形成されたせん断抵抗・伝達手段がそのせん断応力に抵抗しつつ、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間においてせん断応力の円滑な伝達を行うことができる。
鉄骨構造物10Dは、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15と貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14と貫通孔29において硬化した充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に曲げ応力が生じた際に、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15と貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14と貫通孔29において硬化した充填材61とから形成された曲げ抵抗・伝達手段がその曲げ応力に抵抗しつつ、既設鉄骨梁11やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間において曲げ応力の円滑な伝達を行うことができる。
鉄骨構造物10Dでは、新設鉄骨第1間柱12のH形鋼31のウェブ34に沿ってせん断抵抗・伝達手段が形成され、新設鉄骨第1間柱12のH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに曲げ抵抗・伝達手段が形成されているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力や曲げ応力が生じた際に、新設鉄骨第1間柱12を形成する第1のH形鋼31のウェブ34に沿って形成されたせん断抵抗・伝達手段や新設鉄骨第1間柱12を形成する第1のH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成された曲げ抵抗・伝達手段がせん断応力や曲げ応力に十分に抵抗しつつ、既設鉄骨梁11(H形鋼23)やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との間においてせん断応力や曲げ応力の円滑な伝達を行うことができる。
図15は、他の一例として示す鉄骨構造物10Eの正面図である。図15では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。図15に示す鉄骨構造物10Eが図13に示す鉄骨構造物10Dと異なるところは、第1連結板13に穿孔された挿通孔64およびコンクリートスラブ28に穿孔された挿入孔30と挿通孔64および挿入孔30に挿入された金属柱63の外周面との間の間隙に充填材18が充填されている点にあり、その他の構成は図13の鉄骨構造物10Dのそれらと同一であるから、鉄骨構造物10Dと同一の符号を付すとともに、鉄骨構造物10Dの説明を援用することで、この鉄骨構造物10Eの構成の詳細な説明は省略する。
鉄骨構造物10Eは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト15および複数の第1増設部材16と、充填材18,61および複数本の金属柱63と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。金属柱63は、第1連結板13の中央部35に穿孔された挿通孔64に挿入されているとともに、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に穿孔された挿入孔30に挿入されている。挿入孔30に充填された充填材18によって挿入孔30と金属柱63の外周面との間隙が埋められている。金属柱63の頂部65の外周面と第1連結板13の挿通孔64との間に生じた間隙に充填材18が充填され、充填材18によってその間隙が埋められている。
鉄骨構造物10Eでは、金属柱63が挿通孔64および挿入孔30において硬化した充填材18(充填材)と一体になり、金属柱63と挿通孔64および挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。せん断抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31のウェブ34に沿って形成されている。
図16は、図15の鉄骨構造物10Eを構築するための接続工程の一例を示す正面図である。なお、図15の鉄骨構造物10Eを構築するための連結工程は、図8の鉄骨構造物10Bを構築するための連結工程と同一である。接続工程では、図16の(a)に示すように、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置にコア抜きドリル58を利用して挿入孔30を穿孔する。次に、図16の(b)に示すように、金属柱63を挿入孔30に挿入する。金属柱63を挿入孔30に挿入した後、図16の(c)に示すように、挿入孔30と金属柱63の外周面との間の間隙に充填材18を充填し、充填材18によって挿入孔30と金属柱63の外周面との間隙を埋める。なお、挿入孔30に充填材18を充填した後に金属柱63を挿入孔30に挿入してもよい。
充填材18を充填した後、図16の(d)に示すように、第1連結板13をコンクリートスラブ28の上に配置(載置)し、図16の(e)に示すように、第1連結板13に穿孔された挿通孔64に金属柱63の頂部65を挿入する。金属柱63の頂部65の外周面と第1連結板13の挿通孔64との間に生じた間隙に充填材18を充填し、充填材18によってその間隙を埋める。鉄骨構造物10Eでは、金属柱63と挿通孔64および挿入孔30において硬化した充填材18とから既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段が形成される。
鉄骨構造物10Eは、鉄骨構造物10Dが有する効果に加え、以下の効果を有する。鉄骨構造物10Eは、金属柱63と挿通孔64および挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力が生じた際に、挿通孔64および挿入孔30に挿入された金属柱63と挿通孔64および挿入孔30において硬化した充填材18とから形成されたせん断抵抗・伝達手段がそのせん断応力に抵抗しつつ、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間においてせん断応力の円滑な伝達を行うことができる。
図17は、他の一例として示す鉄骨構造物10Fの正面図である。図17では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。図17に示す鉄骨構造物10Fが図13に示す鉄骨構造物10Dと異なるところは、第1連結板13に穿孔された挿通孔64およびコンクリートスラブ28に穿孔された挿入孔30と挿通孔64および挿入孔30に挿入された金属柱63の外周面との間の間隙に充填材18が充填されている点、金属柱63の頂部65を押さえる押さえ板66を有する点にあり、その他の構成は図13の鉄骨構造物10Dのそれらと同一であるから、鉄骨構造物10Dと同一の符号を付すとともに、鉄骨構造物10Dの説明を援用することで、この鉄骨構造物10Fの構成の詳細な説明は省略する。
鉄骨構造物10Fは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト15および複数の第1増設部材16と、充填材18,61および複数本の金属柱63と、押さえ板66と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。金属柱63は、第1連結板13の中央部35に穿孔された挿通孔64に挿入されているとともに、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に穿孔された挿入孔30に挿入されている。挿入孔30と金属柱63の外周面との間の間隙に充填材18が充填され、挿入孔30において硬化した充填材18によって挿入孔30と金属柱63の外周面との間隙が埋められている。金属柱63の頂部65の外周面と第1連結板13の挿通孔64との間に生じた間隙に充填材18が充填され、充填材18によってその間隙が埋められている。
押さえ板66は、鋼材から作られて板状に成形されている。押さえ板66は、第1連結板13の挿通孔64およびコンクリートスラブ28の挿入孔30に挿入された金属柱63の頂部65を含むその近傍に配置され、金属柱63の頂部65の直上に載置されている。押さえ板66は、それに穿孔されたボルト孔27と第1連結板13に穿孔されたボルト孔27とに固定ボルト44が螺着されることで、第1連結板13の上面に固定されている。押さえ板66は、第1連結板13に固定されることで、金属柱63の頂部65を押さえ、金属柱63の挿通孔64および挿入孔30からの抜脱を防いでいる。
鉄骨構造物10Fでは、金属柱63が挿通孔64および挿入孔30において硬化した充填材18と一体になり、金属柱63と挿通孔64および挿入孔30において硬化した充填材18と金属柱63の頂部65を押さえる押さえ板66とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。せん断抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31のウェブ34に沿って形成されている。
図18は、図17の鉄骨構造物10Fを構築するための接続工程の一例を示す正面図である。なお、図17の鉄骨構造物10Fを構築するための連結工程は、図8の鉄骨構造物10Bを構築するための連結工程と同一である。接続工程では、図18の(a)に示すように、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置にコア抜きドリル58を利用して挿入孔30を穿孔する。次に、図18の(b)に示すように、金属柱63を挿入孔30に挿入する。金属柱63を挿入孔30に挿入した後、図18の(c)に示すように、挿入孔30と金属柱63の外周面との間の間隙に充填材18を充填し、充填材18によって挿入孔30と金属柱63の外周面との間隙を埋める。
充填材18を充填した後、図18の(d)に示すように、第1連結板13をコンクリートスラブ28の上に配置(載置)し、第1連結板13に穿孔された挿通孔64に金属柱63の頂部65を挿入する。金属柱63の頂部65の外周面と第1連結板13の挿通孔64との間に生じた間隙に充填材18を充填し、充填材18によって間隙を埋める。次に、図18の(e)に示すように、押さえ板66を金属柱63の頂部65の直上に載置する。押さえ板66は、第1連結板13の挿通孔64およびコンクリートスラブ28の挿入孔30に挿入された金属柱63の頂部65を含むその近傍に配置される。押さえ板66を金属柱63の頂部65の直上に載置した後、図18の(f)に示すように、押さえ板66に穿孔されたボルト孔27と第1連結板13に穿孔されたボルト孔27とに固定ボルト44を螺着し、押さえ板66を第1連結板13の上面に固定する。鉄骨構造物10Fでは、金属柱63と挿通孔64および挿入孔30において硬化した充填材18と押さえ板66とから既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段が形成される。
鉄骨構造物10Fは、鉄骨構造物10Dが有する効果に加え、以下の効果を有する。鉄骨構造物10Fは、金属柱63と挿通孔64および挿入孔30において硬化した充填材18と金属柱63の頂部65を押さえる押さえ板66とが既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力が生じた際に、挿通孔64および挿入孔30に挿入された金属柱63と挿通孔64および挿入孔30において硬化した充填材18と金属柱63の頂部65を押さえる押さえ板66とから形成されたせん断抵抗・伝達手段がそのせん断応力に抵抗しつつ、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間においてせん断応力の円滑な伝達を行うことができる。
図19は、他の一例として示す鉄骨構造物10Gの正面図であり、図20は、一例として示すコネクト部材67の斜視図である。図19では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。鉄骨構造物10Gは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト15および複数の第1増設部材16と、複数のコネクト部材67および充填材18,61と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。鋼材スリーブ14の個数、第1および第2連結ボルト15,22の本数、第1および第2増設部材16,21の数、コネクト部材67の数について特に制限はなく、鉄骨構造物10Gの大きさや求められる強度等によってそれらの数を決定する。
鉄骨構造物10Gを形成する既設鉄骨梁11や新設鉄骨第1間柱12には、図1のそれらと同一のH形鋼23,31(第1のH形鋼、第2のH形鋼)が使用されている。既設鉄骨梁11(上フランジ24)の上には、既設コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)が施工され、コンクリートスラブ28の所定の箇所には、水平方向へ並ぶ断面円形の貫通孔29および断面円形の挿入孔30が穿孔されている。鉄骨構造物10Gを形成する第1連結板13は、図1のそれと同一であり、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)の上に配置(載置)されている。第1連結板13とコンクリートスラブ28との間には、充填材38が充填されている。
鉄骨構造物10Gを形成する鋼材スリーブ14は、図1のそれと同一であり、コンクリートスラブ28に穿孔された貫通孔29に設置されて垂直方向へ延びている。鉄骨構造物10Gを形成するそれら第1連結ボルト15は、図1のそれと同一であり、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されて第1連結板13から既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の上フランジ24に向かって垂直方向へ延びている。第1連結ボルト15は、第1連結板13から垂直方向上方へ露出する螺子部39にナット40(固定手段)が螺着され、第1連結板13に連結されている。
鉄骨構造物10Gを形成する第1増設部材16は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11の上フランジ24の側(上フランジ24の直下)に配置されている。第1増設部材16は、固定ボルト44およびナットによって既設鉄骨梁11のウェブ26に固定されている。第1連結ボルト15は、第1増設部材16の接続板部42のボルト孔27に挿通され、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されているとともに、第1連結板13のボルト孔27に挿通または螺着され、螺子部39に螺着されたナット40によって第1連結板13に固定されることで、第1連結板13と第1増設部材16とを連結している。鉄骨構造物10Gを形成する充填材61は、コンクリートスラブ28に穿孔された貫通孔29に充填され、貫通孔29において硬化している。
鉄骨構造物10Gでは、貫通孔29と鋼材スリーブ14の外周面との間隙が充填材61によって埋められているとともに、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14の内周面との間隙が充填材61によって埋められている。貫通孔29では、充填材61が硬化し、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14と硬化した充填材61とが一体になっている。
鉄骨構造物10Gでは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト15によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とが連結されることで、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端が既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24に連結され、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に取り付けられている。
鉄骨構造物10Gでは、第1連結ボルト15が引っ張り応力に抵抗し、鋼材スリーブ14と充填材61とが圧縮応力に抵抗するから、第1連結ボルト15と鋼材スリーブ14と充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成している。曲げ抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の両側部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成され、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の一方のフランジ32の近傍に形成されるとともに、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31の他方のフランジ33の近傍に形成される。
それらコネクト部材67は、鋼材から作られている。コネクト部材67は、脚部68と板状ベース69と接続ボルト70とから形成されている。脚部68は、垂直方向へ延びていてコンクリートスラブ28の上面からその内部(挿入孔30)に埋め込まれる(食い込む)。板状ベース69は、円盤状に成形され、脚部68につながって水平方向へ延びている。板状ベース69の中央部には、接続ボルト70の螺子部71を螺着するボルト孔27が形成されている。脚部68と板状ベース69とは、一体に作られている。
接続ボルト70は、その頭部が板状ベース69の下方に位置した状態で、その螺子部71が板状ベース69のボルト孔27に螺着されている。接続ボルト70の螺子部71のうちの板状ベース69から上方へ露出する部分にナット40が螺着されることで、接続ボルト70が板状ベース69に取り付けられている。鉄骨構造物10Gでは、コネクト部材67(脚部68)が挿入孔29において硬化した充填材18と一体になり、コネクト部材67と挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。せん断抵抗・伝達手段は、新設鉄骨第1間柱12の中央部であって、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31のウェブ34に沿って形成されている。
鉄骨構造物10Gを形成する新設鉄骨第2間柱19には、図1のそれと同一のH形鋼46(第3のH形鋼)が使用されている。新設鉄骨第2間柱19は、新設鉄骨第1間柱12の下方に位置し、既設鉄骨梁11に取り付けられて既設鉄骨梁11から垂直方向下方へ延びている。鉄骨構造物10Gを形成する第2連結板20は、図1のそれと同一であり、新設鉄骨第2間柱19の上端(フランジ47,48およびウェブ49の上端)に溶接によって取り付けられている。第2連結板20の中央部50および両側部51,52には、ボルト孔27が穿孔されている。
鉄骨構造物10Gを形成する第2増設部材21は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25の側(下フランジ25の直上)に配置されている。第2増設部材21は、その取付板部53に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11のウェブ26のボルト孔27とに挿通または螺着された固定ボルト44によって既設鉄骨梁11に固定されている。固定ボルト44には、ナット(図示せず)が螺着されている。
鉄骨構造物10Gを形成する第2連結ボルト22は、図1のそれと同一であり、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25から第2連結板20に向かって垂直方向へ延びている。第2連結ボルト22は、第2増設部材21の接続板部54のボルト孔27に挿通され、第2連結板20の中央部50および両側部51,52に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着されている。第2連結ボルト22は、第2増設部材21と第2連結板20とを連結するとともに、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25と第2連結板20(新設鉄骨第2間柱19)とを連結する。
図21は、図19の鉄骨構造物10Gを構築するための接続工程の一例を示す正面図である。なお、図19の鉄骨構造物10Gを構築するための連結工程は、図8の鉄骨構造物10Bを構築するための連結工程と同一である。接続工程では、図21の(a)に示すように、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置にコア抜きドリル58を利用して挿入孔30を穿孔し、図21の(b)に示すように、その挿入孔30に充填材18を充填する。次に、図21の(c)に示すように、コネクト部材67を挿入孔30(充填材18)に進入させ、図21の(d)に示すように、コネクト部材67の脚部68と板状ベース69と接続ボルト70の頭部とを挿入孔30に挿入・設置する。
コネクト部材67の脚部68と板状ベース69と接続ボルト70の頭部とを挿入孔30に挿入すると、脚部68が挿入孔30の周縁部に埋め込まれる。挿入孔30において硬化した充填材18によって挿入孔30とコネクト部材67の脚部68との間隙が埋められている。なお、挿入孔30に充填材18が充填されていなくてもよく、挿入孔30への充填材18の充填作業を省くこともできる。次に、図21の(e)に示すように、第1連結板13のボルト孔27に接続ボルト70の螺子部71を挿通し、螺子部71にナット40を螺着することで、コネクト部材67を第1連結板13に取り付ける。
鉄骨構造物10Gでは、コネクト部材67と挿入孔30において硬化した充填材18とによって既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段が形成される。
鉄骨構造物10Gは、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に貫通孔29を穿孔し、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端に取り付けられた第1連結板13が既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に配置(載置)され、コンクリートスラブ28の貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14に挿通された第1連結ボルト15によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とを連結し、第2連結ボルト22によって第2増設部材21(既設鉄骨梁11)と第2連結板20とを連結することで、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されるから、第1連結ボルト15を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔し、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置するとともに、貫通孔29に充填材61を充填し、第1連結ボルト15によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結しつつ、第2連結ボルト22によって既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がなく、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Gは、はつり音およびはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができるから、平日の昼間の時間に作業を行うことができ、平日の昼間の時間を有効に使って短時間に効率よく既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を取り付けることができる。鉄骨構造物10Gは、コンクリートをはつる必要がないから、はつり箇所に対する復旧工事を行う手間と時間とを節約することができるとともに、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)の耐力の低下やコンクリートスラブ28の変形を防ぎつつ、既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を短時間に効率よく取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を短時間に効率よく取り付けることができる。
鉄骨構造物10Gは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト15を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、第2連結ボルト22を利用して新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を安全に取り付けることができる。
鉄骨構造物10Gは、挿入孔30に挿入されたコネクト部材67(脚部68)と挿入孔30において硬化した充填材18が既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力が生じた際に、挿入孔30に挿入されたコネクト部材67(脚部68)と挿入孔30において硬化した充填材18とから形成されたせん断抵抗・伝達手段がそのせん断応力に抵抗しつつ、コンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間においてせん断応力の円滑な伝達を行うことができる。
鉄骨構造物10Gは、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15と貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14と貫通孔29において硬化した充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成しているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に曲げ応力が生じた際に、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト15と貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14と貫通孔29において硬化した充填材61とから形成された曲げ抵抗・伝達手段によってその曲げ応力に抵抗しつつ、既設鉄骨梁11やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間において曲げ応力の円滑な伝達を行うことができる。
鉄骨構造物10Gでは、新設鉄骨第1間柱12のH形鋼31のウェブ34に沿ってせん断抵抗・伝達手段が形成され、新設鉄骨第1間柱12のH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに曲げ抵抗・伝達手段が形成されているから、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部にせん断応力や曲げ応力が生じた際に、新設鉄骨第1間柱12を形成する第1のH形鋼31のウェブ34に沿って形成されたせん断抵抗・伝達手段や新設鉄骨第1間柱12を形成する第1のH形鋼31の一方のフランジ32の近傍と他方のフランジ33の近傍とに形成された曲げ抵抗・伝達手段がせん断応力や曲げ応力に十分に抵抗しつつ、既設鉄骨梁11(H形鋼23)やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との間においてせん断応力や曲げ応力の円滑な伝達を行うことができる。
図22は、他の一例として示す鉄骨構造物10Hの正面図である。図22では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。この鉄骨構造物10Hが図1のそれと異なるところは、第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16とが連結されているとともに第2連結板20と第2増設部材21とが連結されている点にあり、その他の構成は図1の鉄骨構造物10Aのそれらと同一であるから、鉄骨構造物10Aと同一の符号を付すとともに、鉄骨構造物10Aの説明を援用することで、この鉄骨構造物10Hの構成の詳細な説明は省略する。
鉄骨構造物10Hは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト72および複数の第1増設部材16と、複数本の挿入ボルト17および充填材18と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。鉄骨構造物10Hを形成する第1連結ボルト72は、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されて第1連結板13から既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の上フランジ24に向かって垂直方向へ延びているとともに、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25に向かって垂直方向へ延びている。
第1連結ボルト72は、第2連結板20のボルト孔27と既設鉄骨梁11の下フランジ25のボルト孔27と第2増設部材21の接続板部54のボルト孔27とに挿通され、第1増設部材16の接続板部42のボルト孔27と既設鉄骨梁11の上フランジ24のボルト孔27とに挿通されているとともに、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されている。さらに、第1連結板13のボルト孔27に挿通または螺着され、螺子部39に螺着されたナット40(固定手段)によって第1連結板13および第2連結板20に固定されることで、第1連結板13と第1増設部材16とを連結し、第2連結板20と第2増設部材21とを連結している。
鉄骨構造物10Hでは、第1連結ボルト72と鋼材スリーブ14とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成している。鉄骨構造物10Hでは、挿入ボルト17と挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。
図23は、図22の鉄骨構造物10Hを構築するための連結工程の一例を示す正面図である。なお、図22の鉄骨構造物10Hを構築するための接続工程は、図1の鉄骨構造物10Aを構築するための接続工程と同一である(図7参照)。連結工程では、それら第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とを連結するとともに、第2連結板20と第2増設部材21(既設鉄骨梁11)とを連結し、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端を既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24に連結し、新設鉄骨第2間柱19を形成するH形鋼46(第3のH形鋼)の上端を既設鉄骨梁11の下フランジ25に連結するとともに、曲げ抵抗・伝達手段を形成する。
連結工程では、図23の(a)に示すように、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置に電動ドリルドライバーのドリルビット57によって貫通孔29を穿孔し、既設鉄骨梁11の上フランジ24および下フランジ25にボルト孔27を穿孔する。次に、図23の(b)に示すように、コア抜きドリル58を利用してドリルビット57によって穿孔したコンクリートスラブ28の貫通孔29の周囲をコア抜きし、コンクリートスラブ28に断面円形の貫通孔29を穿孔する。
コア抜きドリル58によってコンクリートスラブ28に貫通孔29を穿孔した後、図23の(c)に示すように、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置(挿入)する。鋼材スリーブ14は、その下端が既設鉄骨梁11の上フランジ24に当接し、その上端が第1連結板13の下面に当接するように設置する。鋼材スリーブ14の上端と第1連結板13の下面との間に隙間が生じる場合は、既述の方法でその隙間を埋める。なお、第1増設部材16および第2増設部材21は、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23のウェブ26に固定されている。
貫通孔29に鋼材スリーブ14を挿入・設置した後、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所のコンクリートスラブ28の上に第1連結板13を配置する。次に、図23の(d)に示すように、コンクリートスラブ28の上に第1連結板13を配置(載置)し、第1連結ボルト72の頭部を下にした状態で、第2連結板20に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11の下フランジ25に穿孔されたボルト孔27と第2増設部材21の接続板部54に穿孔されたボルト孔27とに第1連結ボルト72を挿通し、第1増設部材16の接続板部42に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11の上フランジ24のボルト孔27と鋼材スリーブ14(貫通孔29)とに第1連結ボルト72を挿通する。なお、第1連結ボルト72を上方から下方に向かって挿入する場合もある。
第1連結ボルト72を鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通した後、図23の(e)に示すように、第1連結ボルト72の螺子部39を第1連結板13に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着し、第1連結板13の上方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39と第1増設部材16の下方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39とにナット40(固定手段)を螺着するとともに、第2増設部材21の上方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39と第2連結板20の下方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39とにナット40(固定手段)を螺着する。
第1連結ボルト72の各螺子部39にナット40を螺着することで、第1連結板13と第1増設部材16とが連結され、第2増設部材21と第2連結板20とが連結され、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12および新設鉄骨第2間柱19が連結される。第1連結板13とコンクリートスラブ28の表面との間のスペースには充填材38が充填される。なお、既設鉄骨梁11の上フランジ24(コンクリートスラブ28の表面)に対する第1連結板13の平行状態が充填材38によって調節されている。
鉄骨構造物10Hは、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に貫通孔29を穿孔し、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端に取り付けられた第1連結板13が既設鉄骨梁11のH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に配置され、コンクリートスラブ28の貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14に挿通された第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とを連結するとともに、第1連結ボルト72によって第2増設部材21(既設鉄骨梁11)と第2連結板20とを連結することで、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されるから、第1連結ボルト72を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔し、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置し、第1連結ボルト72によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結するとともに既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がないから、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Hは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト72を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を安全に取り付けることができる。なお、鉄骨構造物10Hのその他の効果は、図1の鉄骨構造物10Aが有する効果と同一である。
図24は、他の一例として示す鉄骨構造物10Iの正面図である。図24では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。この鉄骨構造物10Iが図8のそれと異なるところは、第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16とが連結されているとともに第2連結板20と第2増設部材21とが連結されている点にあり、その他の構成は図8の鉄骨構造物10Bのそれらと同一であるから、鉄骨構造物10Bと同一の符号を付すとともに、鉄骨構造物10Bの説明を援用することで、この鉄骨構造物10Iの構成の詳細な説明は省略する。
鉄骨構造物10Iは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト72および複数の第1増設部材16と、複数本の挿入ボルト17および充填材18,61と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。鉄骨構造物10Iを形成する第1連結ボルト72は、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されて第1連結板13から既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の上フランジ24に向かって垂直方向へ延びているとともに、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25に向かって垂直方向へ延びている。
第1連結ボルト72は、第2連結板20のボルト孔27と既設鉄骨梁11の下フランジ25のボルト孔27と第2増設部材21の接続板部20のボルト孔27とに挿通され、第1増設部材16の接続板部42のボルト孔27と既設鉄骨梁11の上フランジ24のボルト孔27とに挿通されているとともに、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されている。さらに、第1連結板13のボルト孔27に挿通または螺着され、螺子部39に螺着されたナット40(固定手段)によって第1連結板13および第2連結板54に固定されることで、第1連結板13と第1増設部材16とを連結し、第2連結板20と第2増設部材21とを連結している。
鉄骨構造物10Iを形成する充填材61は、コンクリートスラブ28に穿孔された貫通孔29に充填され、貫通孔29において硬化している。鉄骨構造物10Iでは、貫通孔29と鋼材スリーブ14の外周面との間隙が充填材61によって埋められているとともに、第1連結ボルト72と鋼材スリーブ14の内周面との間隙が充填材61によって埋められている。貫通孔29では、充填材61が硬化し、第1連結ボルト72と鋼材スリーブ14と硬化した充填材61とが一体になっている。
図25は、図24の鉄骨構造物10Iを構築するための連結工程の一例を示す正面図である。なお、図24の鉄骨構造物10Iを構築するための接続工程は、図1の鉄骨構造物10Aを施工するためのそれら工程と同一である(図7参照)。連結工程では、図25の(a)に示すように、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置に電動ドリルドライバーのドリルビット57によって貫通孔29を穿孔し、既設鉄骨梁11の上フランジ24および下フランジ25にボルト孔27を穿孔する。次に、図25の(b)に示すように、コア抜きドリル58を利用してドリルビット57によって穿孔したコンクリートスラブ28の貫通孔29の周囲をコア抜きし、コンクリートスラブ28に断面円形の貫通孔29を穿孔する。
コア抜きドリル58によってコンクリートスラブ28に貫通孔29を穿孔した後、図25の(c)に示すように、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置(挿入)する。鋼材スリーブ14は、その下端が既設鉄骨梁11の上フランジ24に当接し、その上端が第1連結板13の下面に当接するように設置する。鋼材スリーブ14の上端と第1連結板13の下面との間に隙間が生じる場合は、既述の方法でその隙間を埋める。なお、第1増設部材16および第2増設部材21は、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23のウェブ26に固定されている。
貫通孔29に鋼材スリーブ14を挿入・設置した後、図25の(d)に示すように、貫通孔29に充填材61を充填し、その充填材61によって貫通孔29と鋼材スリーブ14の外周面との間隙を埋めるとともに、第1連結ボルト72と鋼材スリーブ14の内周面との間隙を埋める。貫通孔29に充填材61を充填した後、図25の(e)に示すように、コンクリートスラブ28の上に第1連結板13を配置(載置)し、第1連結ボルト72の頭部を下にした状態で、第2連結板20に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11の下フランジ25に穿孔されたボルト孔27と第2増設部材21の接続板部54に穿孔されたボルト孔27とに第1連結ボルト72を挿通し、第1増設部材16の接続板部42に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11の上フランジ24のボルト孔27と鋼材スリーブ14(貫通孔29)とに第1連結ボルト72を挿通する。
第1連結ボルト72を鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通した後、図25の(f)に示すように、第1連結ボルト72の螺子部39を第1連結板13に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着し、第1連結板13の上方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39と第1増設部材16の下方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39とにナット40(固定手段)を螺着するとともに、第2増設部材21の上方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39と第2連結板20の下方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39とにナット40(固定手段)を螺着する。
第1連結ボルト72の各螺子部39にナット40を螺着することで、第1連結板13と第1増設部材16とが連結され、第2増設部材21と第2連結板20とが連結され、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12および新設鉄骨第2間柱19が連結される。第1連結板13とコンクリートスラブ28の表面との間のスペースには充填材38が充填される。なお、既設鉄骨梁11の上フランジ24(コンクリートスラブ28の表面)に対する第1連結板13の平行状態が充填材38によって調節されている。
鉄骨構造物10Iでは、第1連結ボルト72と鋼材スリーブ14と充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成している。鉄骨構造物10Iでは、挿入ボルト17と挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。
鉄骨構造物10Iは、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に貫通孔29を穿孔し、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端に取り付けられた第1連結板13が既設鉄骨梁11のH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に配置され、コンクリートスラブ28の貫通孔29に設置された鋼材スリーブ14に挿通された第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とを連結するとともに、第1連結ボルト72によって第2増設部材21(既設鉄骨梁11)と第2連結板20とを連結することで、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されるから、第1連結ボルト72を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔し、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置するとともに、貫通孔29に充填材61を充填し、第1連結ボルト72によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結するとともに既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がないから、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Iは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト72を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を安全に取り付けることができる。なお、鉄骨構造物10Iのその他の効果は、図8の鉄骨構造物10Bが有する効果と同一である。
図26は、他の一例として示す鉄骨構造物10Jの正面図である。図26では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。この鉄骨構造物10Jが図10のそれと異なるところは、第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16とが連結されているとともに第2連結板20と第2増設部材21とが連結されている点にあり、その他の構成は図10の鉄骨構造物10Cのそれらと同一であるから、鉄骨構造物10Cと同一の符号を付すとともに、鉄骨構造物10Cの説明を援用することで、この鉄骨構造物10Jの構成の詳細な説明は省略する。
鉄骨構造物10Jは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数本の第1連結ボルト72と、複数の第1増設部材16および複数本の挿入棒62と、充填材18,61および新設鉄骨第2間柱19と、第2連結板20および複数の第2増設部材21と、複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。 鉄骨構造物10Jを形成する第1連結ボルト72は、貫通孔29に挿通されて第1連結板13から既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の上フランジ24に向かって垂直方向へ延びているとともに、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23の下フランジ25に向かって垂直方向へ延びている。
第1連結ボルト72は、第2連結板20のボルト孔27と既設鉄骨梁11の下フランジ25のボルト孔27と第2増設部材21の接続板部20のボルト孔27とに挿通され、第1増設部材16の接続板部42のボルト孔27と既設鉄骨梁11の上フランジ24のボルト孔27とに挿通されているとともに、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通されている。さらに、第1連結板13のボルト孔27に挿通または螺着され、螺子部39に螺着されたナット40(固定手段)によって第1連結板13および第2連結板54に固定されることで、第1連結板13と第1増設部材16とを連結し、第2連結板20と第2増設部材21とを連結している。
鉄骨構造物10Jでは、第1連結ボルト72と充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成している。鉄骨構造物10Jでは、挿入棒62と挿入孔30において硬化した充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。
図27は、図26の鉄骨構造物10Jを構築するための連結工程の一例を示す正面図である。なお、図26の鉄骨構造物10Jを構築するための接続工程は、図10の鉄骨構造物10Cを構築するための接続工程と同一である(図12参照)。連結工程では、それら第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とを連結するとともに第2連結板20と第2増設部材21(既設鉄骨梁11)とを連結し、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端を既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24に連結し、新設鉄骨第2間柱19を形成するH形鋼46(第3のH形鋼)の上端を既設鉄骨梁11の下フランジ25に連結するとともに、曲げ抵抗・伝達手段を形成する。
連結工程では、図27の(a)に示すように、新設鉄骨第1間柱12の設置箇所に施工されたコンクリートスラブ28の所定の位置に電動ドリルドライバーのドリルビット57によって貫通孔29を穿孔し、既設鉄骨梁11の上フランジ24および下フランジ25にボルト孔27を穿孔する。次に、図27の(b)に示すように、第1連結ボルト72の頭部を下にした状態で、第2連結板20に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11の下フランジ25に穿孔されたボルト孔27と第2増設部材21の接続板部54に穿孔されたボルト孔27とに第1連結ボルト72を挿通し、第1増設部材16の接続板部42に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11の上フランジ24のボルト孔27と貫通孔29とに第1連結ボルト72を挿通する。なお、第1増設部材16および第2増設部材21は、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23のウェブ26に固定されている。
第1連結ボルト72を貫通孔29に挿通した後、図27の(c)に示すように、第1連結ボルト72の螺子部39を第1連結板13に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着し、第1連結板13の上方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39と第1増設部材16の下方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39とにナット40(固定手段)を螺着するとともに、第2増設部材21の上方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39と第2連結板20の下方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39とにナット40(固定手段)を螺着する。次に、第1連結板13の充填材充填口60から貫通孔29に充填材61を充填(注入)し、その充填材61によって貫通孔29と第1連結ボルト72の外周面との間隙を埋める。貫通孔29では、図27の(d)に示すように、第1連結ボルト72が貫通孔29において硬化した充填材61と一体になっている。
第1連結ボルト72の各螺子部39にナット40を螺着することで、第1連結板13と第1増設部材16とが連結され、第2増設部材21と第2連結板20とが連結され、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12および新設鉄骨第2間柱19が連結される。第1連結板13とコンクリートスラブ28の表面との間のスペースには充填材38が充填される。なお、既設鉄骨梁11の上フランジ24(コンクリートスラブ28の表面)に対する第1連結板13の平行状態が充填材38によって調節されている。
図26の鉄骨構造物10Jを構築するための連結工程の他の一例としては、コンクリートスラブ28の所定の位置に貫通孔29を穿孔した後、貫通孔29に充填材61を充填する。次に、第2連結板20に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11の下フランジ25に穿孔されたボルト孔27と第2増設部材21の接続板部54に穿孔されたボルト孔27とに第1連結ボルト72を挿通し、第1増設部材16の接続板部42に穿孔されたボルト孔27と既設鉄骨梁11の上フランジ24のボルト孔27と貫通孔29とに第1連結ボルト72を挿通する。
さらに、第1連結ボルト72の螺子部39を第1連結板13に穿孔されたボルト孔27に挿入または螺着し、第1連結板13の上方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39と第1増設部材16の下方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39とにナット40(固定手段)を螺着するとともに、第2増設部材21の上方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39と第2連結板20の下方へ露出する第1連結ボルト72の螺子部39とにナット40(固定手段)を螺着する。この場合、第1連結板13に充填材充填口60は作られない。
鉄骨構造物10Jは、既設鉄骨梁11を形成するH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に貫通孔29を穿孔し、新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31(第1のH形鋼)の下端に取り付けられた第1連結板13が既設鉄骨梁11のH形鋼23(第2のH形鋼)の上フランジ24の上に施工されたコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)に配置され、コンクリートスラブ28に穿孔された貫通孔29に挿通された第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16(既設鉄骨梁11)とを連結するとともに、第1連結ボルト72によって第2増設部材21(既設鉄骨梁11)と第2連結板20とを連結することで、新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されるから、第1連結ボルト72を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔するとともに、その貫通孔29に充填材61を充填し、第1連結ボルト72によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結するとともに既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がないから、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Jは、貫通孔29に挿通された第1連結ボルト72を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11(H形鋼23)に新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19(H形鋼46)を安全に取り付けることができる。なお、鉄骨構造物10Jのその他の効果は、図10の鉄骨構造物10Cが有する効果と同一である。
図28は、他の一例として示す鉄骨構造物10Kの正面図である。図28では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。この鉄骨構造物10Kが図13のそれと異なるところは、第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16とが連結されているとともに第2連結板20と第2増設部材21とが連結されている点にあり、その他の構成は図13の鉄骨構造物10Dのそれらと同一であるから、鉄骨構造物10Dと同一の符号を付すとともに、鉄骨構造物10Dの説明を援用することで、この鉄骨構造物10Kの構成の詳細な説明は省略する。
鉄骨構造物10Kは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト72および複数の第1増設部材16と、充填材61および複数本の金属柱63と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。なお、図28の鉄骨構造物10Kを構築するための連結工程は、図24の鉄骨構造物10Iを構築するための連結工程と同一であり(図25参照)、図28の鉄骨構造物10Kを構築するための接続工程は、図13の鉄骨構造物10Dを構築するための接続工程と同一である(図14参照)。
鉄骨構造物10Kでは、第1連結ボルト72と鋼材スリーブ14と充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成し、金属柱63が既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。
鉄骨構造物10Kは、第1連結ボルト72を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔し、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置するとともに、貫通孔29に充填材61を充填し、第1連結ボルト72によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結するとともに既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がないから、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Kは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト72を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を安全に取り付けることができる。なお、鉄骨構造物10Kのその他の効果は、図13の鉄骨構造物10Dが有する効果と同一である。
図29は、他の一例として示す鉄骨構造物10Lの正面図である。図29では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。この鉄骨構造物10Lが図15のそれと異なるところは、第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16とが連結されているとともに第2連結板20と第2増設部材21とが連結されている点にあり、その他の構成は図15の鉄骨構造物10Eのそれらと同一であるから、鉄骨構造物10Eと同一の符号を付すとともに、鉄骨構造物10Eの説明を援用することで、この鉄骨構造物10Lの構成の詳細な説明は省略する。
鉄骨構造物10Lは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト72および複数の第1増設部材16と、充填材18,61および複数本の金属柱63と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。なお、図29の鉄骨構造物10Lを構築するための連結工程は、図24の鉄骨構造物10Iを構築するための連結工程と同一であり(図25参照)、図29の鉄骨構造物10Lを構築するための接続工程は、図15の鉄骨構造物10Eを構築するための接続工程と同一である(図16参照)。
鉄骨構造物10Lでは、第1連結ボルト72と鋼材スリーブ14と充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成し、金属柱63と充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。
鉄骨構造物10Lは、第1連結ボルト72を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔し、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置するとともに、貫通孔29に充填材61を充填し、第1連結ボルト72によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結するとともに既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がないから、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Lは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト72を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を安全に取り付けることができる。なお、鉄骨構造物10Lのその他の効果は、図15の鉄骨構造物10Eが有する効果と同一である。
図30は、他の一例として示す鉄骨構造物10Mの正面図である。図30では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。この鉄骨構造物10Mが図17のそれと異なるところは、第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16とが連結されているとともに第2連結板20と第2増設部材21とが連結されている点にあり、その他の構成は図17の鉄骨構造物10Fのそれらと同一であるから、鉄骨構造物10Fと同一の符号を付すとともに、鉄骨構造物10Fの説明を援用することで、この鉄骨構造物10Mの構成の詳細な説明は省略する。
鉄骨構造物10Mは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト72および複数の第1増設部材16と、充填材18,61および複数本の金属柱63と、押さえ板66と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。なお、図30の鉄骨構造物10Mを構築するための連結工程は、図24の鉄骨構造物10Iを構築するための連結工程と同一であり(図25参照)、図30の鉄骨構造物10Mを構築するための接続工程は、図17の鉄骨構造物10Fを構築するための接続工程と同一である(図18参照)。
鉄骨構造物10Mでは、第1連結ボルト72と鋼材スリーブ14と充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成し、金属柱63と充填材18と押さえ板66とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。
鉄骨構造物10Mは、第1連結ボルト72を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔し、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置するとともに、貫通孔29に充填材61を充填し、第1連結ボルト72によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結するとともに既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がないから、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Mは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト72を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を安全に取り付けることができる。なお、鉄骨構造物10Mのその他の効果は、図17の鉄骨構造物10Fが有する効果と同一である。
図31は、他の一例として示す鉄骨構造物10Nの正面図である。図31では、垂直方向を矢印Aで示し、水平方向を矢印Bで示す。この鉄骨構造物10Nが図19のそれと異なるところは、第1連結ボルト72によって第1連結板13と第1増設部材16とが連結されているとともに第2連結板20と第2増設部材21とが連結されている点にあり、その他の構成は図19の鉄骨構造物10Gのそれらと同一であるから、鉄骨構造物10Gと同一の符号を付すとともに、鉄骨構造物10Gの説明を援用することで、この鉄骨構造物10Nの構成の詳細な説明は省略する。
鉄骨構造物10Nは、既設建造物の既設鉄骨梁11および新設鉄骨第1間柱12と、第1連結板13および複数個の鋼材スリーブ14(管材)と、複数本の第1連結ボルト72および複数の第1増設部材16と、複数のコネクト部材67および充填材18,61と、新設鉄骨第2間柱19および第2連結板20と、複数の第2増設部材21および複数本の第2連結ボルト22とから形成されている。なお、図31の鉄骨構造物10Nを構築するための連結工程は、図24の鉄骨構造物10Iを構築するための連結工程と同一であり(図25参照)、図31の鉄骨構造物10Nを構築するための接続工程は、図19の鉄骨構造物10Gを構築するための接続工程と同一である(図21参照)。
鉄骨構造物10Nでは、第1連結ボルト72と鋼材スリーブ14と充填材61とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じる曲げ応力(引っ張り応力および圧縮応力)に抗する曲げ抵抗・伝達手段を形成し、コネクト部材67と充填材18とが既設鉄骨梁11(H形鋼23)と新設鉄骨第1間柱12(H形鋼31)との接合部に生じるせん断応力に抗するせん断抵抗・伝達手段を形成している。
鉄骨構造物10Nは、第1連結ボルト72を挿通する貫通孔29をコンクリートスラブ28に穿孔し、その貫通孔29に鋼材スリーブ14を設置するとともに、貫通孔29に充填材61を充填し、第1連結ボルト72によって既設鉄骨梁11の上フランジ24と第1連結板13とを連結するとともに既設鉄骨梁11の下フランジ25と第2連結板20とを連結すればよく、はつり工事を行う必要がないから、はつり音やはつり振動の発生や多量の塵埃の発生を防ぐことができ、静音および清浄な環境を維持した状態で、既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を取り付けることができるとともに、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を取り付けることができる。
鉄骨構造物10Nは、鋼材スリーブ14(貫通孔29)に挿通された第1連結ボルト72を利用して新設鉄骨第1間柱12が既設鉄骨梁11に連結され、新設鉄骨第2間柱19が既設鉄骨梁11に連結されているから、溶接作業を必要とせず、溶接の熱による鉄骨部材の耐力の低下や鉄骨部材の変形を防ぐことができ、火災発生の危険がなく、超高層ビルや高層ビル、中層ビル、低層ビル、工場等のあらゆる既設建造物の既設鉄骨梁11に新設鉄骨第1間柱12を安全に取り付けることができ、既設鉄骨梁11に新設鉄骨第2間柱19を安全に取り付けることができる。なお、鉄骨構造物10Nのその他の効果は、図19の鉄骨構造物10Gが有する効果と同一である。
図32は、他の一例として示す新設鉄骨第1間柱12の上面図である。図32に示す新設鉄骨第1間柱12は、金属柱63が第1連結板13の端縁近傍(外周縁近傍)に設置された場合の例である。金属柱63は、必ずしも第1連結板13の中(第1連結板13の外周縁の内側)に設置されていなくてもよく、金属柱63が第1連結板13に部分的に支持されていればせん断抵抗・伝達手段として機能するから、図32に示すように、金属柱63が第1連結板13の端縁近傍に設置され、金属柱63の一部が第1連結板13の端縁からはみ出していてもよい。なお、図32に示す新設鉄骨第1間柱12では、せん断抵抗・伝達手段が挿入ボルト17や挿入棒62、コネクト部材67によって形成されていてもよい。
図33は、他の一例として示す新設鉄骨第1間柱12の上面図である。図33に示す新設鉄骨第1間柱12は、挿入ボルト17が新設鉄骨第1間柱12の中央部であって新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31のウェブ34に沿って配置され、せん断抵抗・伝達手段が新設鉄骨第1間柱12を形成するH形鋼31のウェブ34に沿って形成されているのみならず、挿入ボルト17が第1連結ボルト72の横方向外方であって新設鉄骨第1間柱12の両側部に配置され、せん断抵抗・伝達手段が曲げ抵抗・伝達手段の横方向外方であって新設鉄骨第1間柱12の両側部に形成されている。なお、挿入ボルト17が第1連結ボルト72の横方向外方であって新設鉄骨第1間柱12の両側部のみに配置され、せん断抵抗・伝達手段が新設鉄骨第1間柱12の両側部であって曲げ抵抗・伝達手段の横方向外方であって新設鉄骨第1間柱12の両側部のみに形成され、せん断抵抗・伝達手段が新設鉄骨第1間柱12の中央部に形成されていなくてもよい。なお、図33に示す新設鉄骨第1間柱12では、せん断抵抗・伝達手段が挿入棒62や金属柱63、コネクト部材67によって形成されていてもよい。
図34は、他の一例として示す鋼材スリーブ14の斜視図である。図34に示す鋼材スリーブ14は、円筒状の鋼材スリーブ14の頂部73に径方向外方へ延びる所定厚みのフランジ74が形成されている。フランジ74は、第1連結板13の下面に当接する場合と第1連結板13の下面に当接しない場合とがある。フランジ74が第1連結板13の下面に当接する場合は、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に曲げ応力が生じた際に、第1連結板13からフランジ74に圧縮応力が伝達され、フランジ74から鋼材スリーブ14に圧縮応力が伝達されるから、フランジ74を介して第1連結板13から鋼材スリーブ14に圧縮応力が伝達され、既設鉄骨梁11やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間で曲げ応力を効率よく伝達することができる。
フランジ74が第1連結板13の下面に当接しない場合では、既設建造物に地震等の外力が作用し、既設鉄骨梁11と新設鉄骨第1間柱12との接合部に曲げ応力が生じた際に、フランジ74が第1連結板13の下面に当接していなくても、第1連結板13から充填材38に圧縮応力が伝達され、充填材38からフランジ74に圧縮応力が伝達され、フランジ74から鋼材スリーブ14に圧縮応力が伝達されるから、充填材38およびフランジ74を介して第1連結板13から鋼材スリーブ14に圧縮応力が伝達され、既設鉄骨梁11やコンクリートスラブ28(コンクリート躯体)と新設鉄骨第1間柱12との間で曲げ応力を効率よく伝達することができる。
図1の鉄骨構造物10Aや図8の鉄骨構造物10Bでは、せん断抵抗・伝達手段として図10や図13、図15、図17、図19に示すせん断抵抗・伝達手段を採用することができる。図10の鉄骨構造物10Cでは、せん断抵抗・伝達手段として図1や図13、図15、図17、図19に示すせん断抵抗・伝達手段を採用することができる。図22の鉄骨構造物10Hや図24の鉄骨構造物10Iでは、せん断抵抗・伝達手段として図26や図28、図29、図30、図31に示すせん断抵抗・伝達手段を採用することができる。図26の鉄骨構造物10Jでは、図22や図28、図29、図30、図31に示すせん断抵抗・伝達手段を採用することができる。