JP6655889B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本実施例に係る定着装置を搭載する画像形成装置100の横断側面の概略構成を表す模式断面図である。この画像形成装置は電子写真式のレーザービームプリンターである。
以下の説明において、定着装置及び定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。長さとは長手方向の寸法である。幅とは短手方向の寸法である。
定着ローラ30は、鉄、SUS、アルミニウム等の金属材料からなる丸軸状の芯金30Aを有している。そしてこの芯金30Aの外周面上にシリコーンゴムなどを主成分とする弾性層30Bが形成され、この弾性層30Bの外周面上にPTFE、PFA又はFEPなどを主成分とする離型層30Cが形成されている。この定着ローラ30は、芯金30Aの長手方向両端部が装置フレーム(不図示)の長手方向両側の側板(不図示)に軸受(不図示)を介して回転可能に支持されている。また、定着ローラ30は回転中心軸となる芯金30A側(回転中心軸側)に弾性層30Bを有することで表面硬度が約50°となっている。
加熱ユニット10は、ヒータ15と、ヒータホルダ19と、加熱回転体としての筒状の加熱フィルム16(第1のフィルム)、加熱フィルムの回転軌道を規制する加熱フィルム規制部材20(第1の規制部材)と、を有している。加熱フィルム規制部材20は、定着ローラ30の母線方向に関し加熱フィルム16の端部の内面に接触するように設けられている。ヒータホルダ19は、所定の耐熱性材料を用いて横断面略凹字形状に形成されている。そしてヒータホルダ19の長手方向の両端部がフィルム規制部材20に抱きかかえられて、装置フレームの長手方向両側の側板に支持されている。ヒータ15はヒータホルダ19の長手方向に沿ってヒータホルダ19の平坦面に設けられた溝に支持されており、ヒータ15を支持させたヒータホルダ19に加熱フィルム16をルーズに外嵌させている。ヒータ15と、加熱フィルム16と、ヒータホルダ19は、何れも長手方向に長い部材である。ヒータ15は、アルミナ、窒化アルミ等のセラミックを主成分とする薄板状のヒータ基板面に銀、パラジウム等を主成分とした通電発熱抵抗体が長手方向に沿って設けられている。またこの基板面には、ガラス等の耐熱性の高い保護層が通電発熱抵抗体を覆うように設けられている。
加圧ユニット50は、加圧回転体としての筒状の加圧フィルム51(第2のフィルム)と、ニップ部形成部材としての加圧ホルダ52と、加圧フィルム51の形状を規制する加圧フィルム規制部材53と、を有している。加圧ホルダ52は所定の耐熱性材料を用いて横断面が略凹字形状に形成されている。そして加圧ホルダ52の長手方向の両端部が加圧フィルム規制部材53に保持され、装置フレームの長手方向両側の側板に支持されている。そしてこの加圧ホルダ52に加圧フィルム51をルーズに外嵌させている。加圧フィルム51と、加圧ホルダ52は、何れも長手方向に長い部材である。尚、ニップ部形成部材としてアルミニウム等で形成された金属板を用いても良い。金属板を加圧フィルム51の内面に接触させて加圧フィルム51を介して定着ローラ30と共にニップ部を形成する構成としても良い。金属板をニップ部形成部材として用いる場合は、記録材搬送方向の長さをヒータ15よりも長くすることが好ましい。
加圧フィルム規制部材53は加熱フィルム規制部材20と同様に、フィルム内周面と摺動してフィルム形状を規制する面53Aとフィルム端部が突き当たりフィルムの長手方向への寄りを規制する面53Bとで構成されている。加圧フィルム規制部材53の材料は摺動性が高く熱変形温度が200℃を超える樹脂であるフッ素樹脂、ポリイミド、またはポリアミドイミド等から形成されるものが好ましく、本実施例ではポリイミドを用いている。
図5はヒータ15と通電制御系とを表す説明図である。図1、図2及び図5を参照して定着装置109の加熱定着動作を説明する。制御部101は、プリント指令に応じて実行される画像形成シーケンスに従い駆動源としての駆動モータ(不図示)を回転駆動する。この駆動モータの出力軸の回転は所定のギア列(不図示)を介して定着ローラ30の芯金30Aに伝達される。これにより定着ローラ30は矢印方向へ所定の周速度(プロセススピード)で回転する。定着ローラ30の回転駆動は定着ニップ部N1において定着ローラ30の表面と加圧フィルム51の表面との間に生じる摩擦力によって加圧フィルム51に伝わる。これにより加圧フィルム51は加圧フィルム51の内周面(内面)が加圧ホルダ52の平坦面52A、加圧フィルム規制部材53の面53Aと接触しながらフィルム形状を規制された状態で定着ローラ30の回転に追従して矢印方向へ回転する。また定着ローラ30の回転駆動は、加熱ニップ部N2において定着ローラ30の表面と加熱フィルム16の表面との間に生じる摩擦力によって加熱フィルム16に伝わる。これにより加熱フィルム16は加熱フィルム16の内周面(内面)がヒータ23の外表面、加熱フィルム規制部材20のフィルム摺擦面20Aと接触しながらフィルム形状を規制された状態で定着ローラ30の回転に追従して矢印方向へ回転する。
図6は定着ローラ30が回転し始めるときの加熱ニップN2における加熱フィルム16が定着ローラ30から受ける摩擦力Fhと方向、定着ニップN1における加圧フィルム51が定着ローラ30から受ける摩擦力Fpと方向を示した断面模式図である。本実施例の定着装置では加熱フィルム16の表面が定着ローラ30の表面から受ける摩擦力Fhが、加圧フィルム51表面が定着ローラ30表面から受ける摩擦力Fpよりも大きくなるように構成する。摩擦力Fh、摩擦力Fpは、例えば以下のように測定し、比較する。
定着ローラ駆動トルクTh
=摩擦力Fh×定着ローラ半径r+定着ローラ軸受の摩擦抵抗Fhj×軸半径rj
定着ローラ駆動トルクTp
=摩擦力Fp×定着ローラ半径r+定着ローラ軸受の摩擦抵抗Fpj×軸半径rj
定着ローラ軸受の摩擦抵抗分Frh、Frpが無視できるほど小さい場合、駆動トルクThと駆動トルクTpを比較し、Thが大きければ、摩擦力Fhが摩擦力Fpよりも大きいと言える。定着ローラ30の軸受けがすべり軸受のような摩擦抵抗の大きい場合や軸径が大きい場合は、定着ローラ自体を回転させる為のトルクFhj×rj、Fpj×rjが無視できない。このような場合は、トルク測定時のみ、定着ローラ自体の回転抵抗を十分小さくできる部材を使用する。例えば、すべり軸受をころがり軸受に変更する、軸受にグリスを塗布する、などして定着ローラ自体を回転させるトルクを無視できる大きさにすれば良い。そして、定着ローラ30の駆動トルクを測定し摩擦力の比較を行う。また、定着ローラ30に対する加熱ユニット10の付勢力と、加圧ユニット50の付勢力と、が同等ならば、定着ローラ30の駆動トルクTh測定時と、Tp測定時の定着ローラ30の軸を軸受けに押し付ける力は同等となる。つまり、定着ローラ30の軸受の摩擦抵抗分はほぼ同等になる。駆動トルクThと駆動トルクTpを比較し、駆動トルクThが大きければ、摩擦力Fhが摩擦力Fpよりも大きいと判断できる。摩擦力Fh、Fpが温度によって変化する場合は、各部材の温度を、実際の定着処理時にシートPが定着ニップへ突入する直前の温度と同等の温度にして、駆動トルク測定を行う。例えば、図7(a)に示すように加圧ユニット50を離間し、定着ローラ30に対して加熱ユニット10のみを当接した状態とし、定着ローラ30を駆動して加熱フィルム16を従動回転させる。そして、ヒータ15に通電発熱させて、ヒータ15および加熱フィルム16、定着ローラ30を加熱定着動作時のシートPの定着ニップN1突入直前と同等の温度まで昇温させ、定着ローラ30の軸上の駆動トルクThを計測する。
摩擦力Fhを摩擦力Fpよりも大きくする手段としては、例えば、加熱フィルム16の内面がその接触部材から受ける摩擦力を。加圧フィルム51の内面がその接触部材から受ける摩擦力よりも大きくする。具体的には、加熱フィルム16の内面が、加熱フィルム規制部材20の面20Aから受ける摩擦力を、加圧フィルム51の内面が、加圧フィルム規制部材53の面53Aから受ける摩擦力よりも大きくなるよう構成する。図8は図2に示す定着装置109の断面形状を、二次元変位センサを用いて測定した結果である。二次元変位センサを定着ニップN1の入り口側と出口側に配置し、両側から測定することによって定着器全体の二次元断面形状を測定している。測定はキーエンス製の高精度二次元レーザ変位センサLJ−G5000(コントローラ部)、LJ−G200(ヘッド部)を用いた。
定着ニップN1にてシートP上のトナー画像を加熱定着する際に、シートPに含まれる紙繊維や、炭酸カルシウム、タルクなどの無機物からなる填料(充填剤)などの紙粉が脱落する。この無機物からなる微量な紙粉に、同じく定着ローラに付着した微量のトナーが付着し、混ざって汚れの原因となるコンタミネーショントナーとなる。このコンタミネーショントナーをトナーTcと記す。これらトナーTcや紙粉は、定着ローラ30の回転に伴い加熱ニップN2において加熱フィルム16に接触する。紙粉やトナーTcが加熱フィルム16へ転移してしまうと、加熱フィルム16表面の離型性を悪化させトナーや紙紛を集めてさらに成長する。トナーは高い温度の部材から低い温度の部材に転移する傾向があり、基本的には加熱フィルム16から定着ローラ30に転移し易い傾向をもっているものの、トナーTcは紙粉と混ざっている為、熱を加えても軟化しにくく粘着性も低い。よって、加熱フィルム16表面と定着ローラ30表面の温度差だけでは剥がれにくくなっている。加熱フィルム16表面に固着したトナーTcは、定着ローラ30への伝熱ムラを発生させ、シートP上の定着トナー画像の光沢ムラやスジなどの画像不良を発生させる。また、加熱フィルム16表面で大きく成長した後に、不定期に定着ローラ30へ移りシートPへ転移して画像不良を発生させる。
本実施例では、従来課題だった加熱フィルム表面16へのトナー付着、蓄積を抑制できる。そのメカニズムについて説明する。加熱ニップN2、定着ニップN1において、定着ローラ30とフィルムに挟まれたトナーTcや紙粉には、以下の2種類の力が働いている。
Wr:トナーTcや紙粉が定着ローラ30に付着する力
Wf:トナーTcや紙粉が加熱フィルム16、加圧フィルム51へ付着する力
定着ローラ30表面上のトナーTcや紙粉は、Wf>Wrであればフィルムに転移する可能性が高く、Wf<Wrであれば定着ローラ30表面上に留まる可能性が高い。付着力Wf、Wrは、トナーの粘着性、分子間力、静電気力、凹凸などへの力学的な付着力などからなる。定着ローラ30やフィルムが加圧もされず、変形も少ない状態では各部材表面の表面エネルギーや表面あらさ、帯電量、温度などによって支配的に決まる。しかし、加熱ニップN2、定着ニップN1では以下に述べる作用によって大きく変化し、その影響が支配的になる。
本実施例における定着装置の効果を実験により確認した。実験に用いた画像形成装置は、プロセススピードが90mm/sで、14枚/分のフルカラープリント出力が可能なレーザービームプリンターである。実験に用いた本実施例における定着装置の構成を示す。
定着ローラ温度、加圧フィルム温度は制御されないが、非接触温度計にて測定したところ、加熱動作時のシートPが定着ニップN1に突入する直前の温度は、定着ローラ温度が150℃、加圧フィルム温度が70℃であった。プリントモードは2枚ジョブを10分間の間欠時間でプリントするモードとした。加熱フィルム16表面のトナー汚れレベルと画像へのトナーTcの吐き出し有無を所定枚数で確認した結果を表2に示す。
本実施例における画像形成装置および定着装置は実施例1と同様であり、加熱フィルム規制部材20と加圧フィルム規制部材53の形状はニップ部のみでフィルム形状を規制している場合のフィルム形状に倣った形状になっている。
本実施例における定着装置の効果を実験により確認した。本実験における画像形成装置は、例えば、坪量80g/m2紙を定着させる定着モードにおいて、画像形成装置が気温15℃環境に置かれた場合のフルカラープリントでは、ヒータ15は、目標温度200℃で制御される。定着ローラ温度、加圧フィルム温度は制御されないが、非接触温度計にて測定したところ、加熱動作時のシートPが定着ニップN1に突入する直前の温度は、定着ローラ温度が150℃、加圧フィルム温度が70℃であった。
本実施例における画像形成装置および定着装置は実施例1と同様であるが、図12のように定着ローラ30と定着ニップN1を形成する加圧部材を加圧ローラ17とする。加圧ローラ17は芯金17Aと、芯金の外側に形成される弾性層17Bと、弾性層17Bの外側に形成される離型層17Cと、を有する。芯金17Aは、アルミニウムなどの金属で形成される。弾性層17Bは、シリコーンゴム等によって形成される。離型層17Cは、PTFE、PFA又はFEP等などで形成される。加圧ローラ17は、定着ローラ30の回転によって回転する。実施例1と同様に加熱フィルム16は、定着ローラ30との接触面において摩擦力Fhを受けて従動回転する。また、加圧ローラ17は定着ローラ30との接触面において摩擦力Fpを受けて従動回転する。
16 加熱フィルム
30 定着ローラ
17 加圧ローラ
N1 定着ニップ
N2 加熱ニップ
P 記録材
10 加熱ユニット
50 加圧ユニット
51 加圧フィルム
T トナー
Claims (4)
- ローラと、
前記ローラに接触して圧接部を形成する加熱回転体と、
前記ローラに接触してニップ部を形成する加圧回転体と、
を備え、前記ローラの回転によって前記加熱回転体と前記加圧回転体とが回転し、前記ニップ部でトナー像が形成された記録材を搬送しながら加熱して前記トナー像を記録材に定着する定着装置において、
前記圧接部における前記加熱回転体の表面及び前記ニップ部における前記加圧回転体の表面のマイクロ硬度はいずれも、前記ローラの表面のマイクロ硬度よりも高く、
前記圧接部において前記加熱回転体から前記ローラに作用する摩擦力は、前記ニップ部において前記加圧回転体から前記ローラに作用する摩擦力よりも大きいことを特徴とする定着装置。 - 前記加熱回転体の前記ローラに対する付勢力は、前記加圧回転体の前記ローラに対する付勢力と同じであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 筒状の第1のフィルムと、前記第1のフィルムの内面に接触し前記ローラと共に前記第1のフィルムを介して圧接部を形成する圧接部形成部材と、前記ローラの母線方向に関し前記第1のフィルムの端部の内面を規制する第1の規制部材と、を備えた加熱ユニットと、
筒状の第2のフィルムと、前記第2のフィルムの内面に接触し前記ローラと共に前記第2のフィルムを介してニップ部を形成するニップ部形成部材と、前記ローラの母線方向に関し前記第2のフィルムの端部の内面を規制する第2の規制部材と、を備えた加圧ユニットと、
をさらに有し、前記ローラの回転によって前記第1のフィルムと前記第2のフィルムが回転し、前記ニップ部でトナー像が形成された記録材を搬送しながら加熱し前記トナー像を記録材に定着する定着装置において、
前記圧接部における前記第1のフィルムの表面のマイクロ硬度及び前記ニップ部における前記第2のフィルムの表面のマイクロ硬度はいずれも、前記ローラの表面のマイクロ硬度よりも大きく、
前記第1の規制部材を設けた場合の前記第1のフィルムの横断面の外郭が前記第1の規制部材を外した場合の前記第1のフィルムの横断面の外郭に対して外側に食み出した領域の面積は、前記第2の規制部材を設けた場合の前記第2のフィルムの横断面の外郭が前記第2の規制部材を外した場合の前記第2のフィルムの横断面の外郭に対して外側に食み出した領域の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記加熱ユニットの前記ローラに対する付勢力は、前記加圧ユニットの前記ローラに対する付勢力と同じであることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
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