JP2014041246A - 定着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】絞り加工による有底円筒素管を経て形成された金属基層を有する定着フィルムのフランジとの摺擦による長手方向端部の摩耗、座屈、クラック等の発生を低減できる定着装置の提供。
【解決手段】記録材の片側端面を所定の搬送基準に沿わせて記録材の搬送を行う片側搬送基準の画像形成装置に使用される定着装置であって、絞り加工による有底円筒素管を経て形成された金属素管を基層に用いる筒状の定着フィルム11でありヒータと接触しつつ移動する定着フィルム11を有し、定着フィルムは、基層について有底円筒素管の絞り加工のときの有底側が片側搬送基準と反対側となる向きに配置されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真複写機や電子写真プリンタ等の画像形成装置に使用される定着装置(定着器)に関する。特に、記録材の片側端面を所定の搬送基準に沿わせて記録材の搬送を行う片側搬送基準の画像形成装置に使用される定着装置に関する。
従来の電子写真複写機や電子写真プリンタに使用される定着装置(定着器)として、フィルム加熱方式の定着装置が知られている。特許文献1にはこのタイプの定着装置が記載されている。このタイプの定着装置は、細長いセラミック基板上に通電発熱抵抗体を有するヒータと、ヒータを保持するホルダと、ホルダとヒータに接触しつつ回転移動する定着フィルムと、定着フィルムを介してヒータとニップ部を形成する加圧ローラと、を有している。未定着トナー画像を担持する記録材は定着装置のニップ部で挟持搬送されつつ加熱され、これにより記録材上の画像は記録材に定着される。
このタイプの定着装置は、ヒータへの通電を開始し定着可能温度まで昇温するのに要する時間が短いというメリットを有する。従って、この定着装置を搭載するプリンタは、プリント指令の入力後、1枚目の画像を出力するまでの時間(FPOT:First Print Out Time)を短くできる。また、このタイプの定着装置は、プリント指令を待つ待機中の消費電力が少ないというメリットもある。
一般に、モノクロ画像形成装置に使用されるフィルム加熱方式の定着装置においては、定着フィルムの基層の材料に、PI(ポリイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の耐熱樹脂を用いる。一方、カラー画像形成装置や高速モノクロ画像形成装置に使用されるフィルム加熱方式の定着装置、特に、基層の上に弾性層を設けてなる定着フィルムを有する定着装置では、定着フィルムの基層の材料に、より熱伝導率の高い金属を用いることが多い。
このような定着フィルムの基層に使用される可撓性エンドレス金属スリーブ(金属基層)として、電鋳法では無く、塑性加工にて得られる金属薄肉環状体が特許文献2に示されている。
特許文献2に示される可撓性エンドレス金属スリーブの加工方法では、まず金属薄板を深絞りプレス加工し、有底円筒素管を作製する。必要に応じて有底円筒素管に焼鈍処理を行う。次にこの有底円筒素管の側壁にスピニング加工などの塑性加工を施し、前記側壁の肉厚を薄くし、長尺化を行い、所定の長さになるように加工した後、両端をカットし、金属素管として可撓性エンドレス金属スリーブを得ている。
また、片側通紙基準の画像形成装置(いわゆる幅の異なる紙サイズの通紙に対し、一方の紙端を片側の通紙基線に合わせて通紙する画像形成装置)に使用される定着装置の一例として、特許文献3に示す定着装置が知られている。片側通紙基準の画像形成装置は、給送ローラを通紙基準側に設けるだけで良いなど、中央通紙基準の画像形成装置に比べて低コスト化を図ることが可能である。
特開2009−58890号公報 特許第3406293号公報 特許第2776101号公報
金属基層を使用した定着フィルムを有するフィルム加熱方式の定着装置を片側通紙基準の画像形成装置で使用した場合、定着フィルムの長手方向において通紙基準とは反対側の記録材が通過しない領域(非通紙部)が過昇温(非通紙部昇温)することがある。定着フィルムに非通紙部昇温が発生すると、加圧ローラは加圧ローラの長手方向に温度ムラ(通紙基準側に比べ、定着フィルムの非通紙部昇温している領域と対応する領域の温度が高くなる(長手温度分布ムラ))が発生してしまう。この加圧ローラ長手温度分布ムラにより加圧ローラの上記領域が熱膨張して、加圧ローラ外径長手ムラ(通紙基準側に比べ、定着フィルムの非通紙部昇温している領域と対応する領域の外径が大きくなる)が発生する。
この加圧ローラ外径長手ムラが発生すると、定着フィルムと加圧ローラの回転状態での摩擦力が通紙基準側よりも非通紙部昇温側で大きくなり、定着フィルムを非通紙部昇温側に寄せるスラスト方向寄り力が発生する。これにより定着フィルムが非通紙部昇温側へ寄り、定着フィルム端部が非通紙部昇温側の端部規制部材に押しつけられ、定着フィルム端部が摩耗したり、定着フィルム端部に座屈、クラック等が発生したりして、定着フィルムの耐久寿命が短くなることがあった。
そこで、片側通紙基準の画像形成装置において、定着フィルムの非通紙部昇温を抑えるため、特許文献3の図7に示されるように、ヒータの発熱体を記録材のサイズに応じて多分岐させることが考えられるが、ヒータの構成が複雑になってしまう。
本発明の目的は、片側通紙基準の画像形成装置に使用される定着装置であって、金属基層を有する定着フィルムのフランジとの摺擦による長手方向端部の摩耗、座屈、クラック等の発生を低減できる定着装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る定着装置の構成は、記録材の片側端面を所定の搬送基準に沿わせて記録材の搬送を行う片側搬送基準の画像形成装置に使用される定着装置であって、ヒータと、絞り加工による有底円筒素管を経て形成された金属素管を基層に用いる筒状の定着フィルムであり前記ヒータと接触しつつ移動する定着フィルムと、前記ヒータと定着フィルムを介してニップ部を形成する加圧ローラと、前記定着フィルムが記録材の搬送方向と直交する前記定着フィルムの長手方向に移動した際に前記定着フィルムの長手方向端部と接触して前記定着フィルムの長手方向への移動を規制するフランジと、を有し、前記ニップ部で未定着トナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材に未定着トナー画像を加熱定着する定着装置において、前記定着フィルムは、前記基層について前記有底円筒素管の絞り加工のときの有底側が前記片側搬送基準と反対側となる向きに配置されていることを特徴とする。
上記課題を解決するための本発明に係る定着装置の他の構成は、記録材の片側端面を所定の搬送基準に沿わせて記録材の搬送を行う片側搬送基準の画像形成装置に使用される定着装置であって、ヒータと、絞り加工による有底円筒素管を経て形成された金属素管を基層に用いる筒状の定着フィルムであり前記ヒータと接触しつつ移動する定着フィルムと、前記ヒータと前記定着フィルムを介してニップ部を形成する加圧ローラと、前記定着フィルムが記録材の搬送方向と直交する前記定着フィルムの長手方向に移動した際に前記定着フィルムの長手方向端部と接触して前記定着フィルムの長手方向への移動を規制するフランジと、を有し、前記ニップ部で未定着トナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材に未定着トナー画像を加熱定着する定着装置において、前記加圧ローラの記録材が通過しない領域で発生する前記定着フィルムの前記片側搬送基準とは反対側への寄り力を打ち消す方向に、前記定着フィルムの前記片側搬送基準側への寄り力を発生させる手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、片側通紙基準の画像形成装置に使用される定着装置であって、金属基層を有する定着フィルムのフランジとの摺擦による長手方向端部の摩耗、座屈、クラック等の発生を低減できる定着装置の提供を実現できる。
(a)は実施例1に係る定着装置の片側搬送基準の説明図、(b)は同定着装置において片側搬送基準で記録材を搬送した際の記録材が通過する領域(通紙部)と記録材が通過しない領域(非通紙部)の加圧ローラ表面温度を表わす説明図 画像形成装置の一例の概略構成を表わす横断面図 (a)は定着装置の概略構成を表わす横断面図、(b)は定着フィルムの層構成を表わす横断面図 ヒータの抵抗発熱体側からの上面図 定着フィルムの定着フィルム寄り力による定着フィルム寄り速度と定着フィルム寄り力の関係を確認した結果を表わす図 定着フィルム寄り力と定着フィルムの長手方向端部の摩耗速度の関係を確認した結果を表わす図 実施例2に係る定着装置を説明する図であって、加圧ローラに対し、定着フィルムを所定の交差角を設けて配置した状態を表わす図 実施例2に係る定着装置の定着フィルムの交差角と、交差角起因の定着フィルム寄り速度を測定した結果を表わす図 実施例3に係る定着装置を説明する図であって、テーパ形状の外形形状を有する定着フィルムと、加圧ローラを表わす図 実施例3に係る定着装置の定着フィルムのテーパ量と定着フィルムの寄り力の関係を確認した結果を表わす図
以下、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。
[実施例1]
(1)画像形成装置全体の説明
図2は本発明に係る定着装置を搭載する画像形成装置の一例の概略構成を表わす横断面図である。この画像形成装置は、記録材の片側端面を所定の搬送基準用ガイド(不図示(以下、搬送基準と記す)に沿わせて記録材の搬送を行う片側搬送基準の構成を適用した電子写真画像形成プロセス利用のフルカラーレーザープリンタである。
本実施例に示す画像形成装置は、イエロー色の画像を形成する画像形成部1aと、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部1bと、シアン色の画像を形成する画像形成部1cと、ブラック色の画像を形成する画像形成部1dなどを有している。これらの4つの画像形成部1a,1b,1c,1dは一定の間隔をおいて一列に配置されている。
本実施例の画像形成装置は、ホストコンピュータなどの外部装置(不図示)からのプリント指令に基づき、所定のモータ(不図示)が回転駆動される。これにより各画像形成部1a,1b,1c,1dに設けられた感光ドラム2と、駆動ローラ9とテンションローラ10に巻き掛けられた中間転写ベルト8が所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向へ回転される。
画像形成部1aにおいて、帯電ローラ3は感光ドラム2の外周面(表面)を所定の極性・電位に一様に帯電する(帯電工程)。次に感光ドラム2表面の帯電面に対し、露光装置6から発射されたレーザビームによる走査露光が施され(露光工程)、感光ドラム2表面の帯電面に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置4でイエロートナーを用いて現像され(現像工程)、感光ドラム2表面にイエロートナー画像が形成される。
画像形成部1b,1c,1dにおいても同様の帯電工程、露光工程、現像工程の画像形成プロセスが行われる。これにより、画像形成部1bの感光ドラム2表面にマゼンタトナー画像が、画像形成部1cの感光ドラム2表面にシアントナー画像が、画像形成部1dの感光ドラム2表面にブラックトナー画像が、それぞれ、形成される。
一方、給送カセット14からピックアップローラ(不図示)で1枚ずつ繰り出された記録材Pはレジストローラ16によって所定のタイミングで中間転写ベルト8の外周面(表面)上に送り出される。この記録材Pは中間転写ベルト8の回転によって各画像形成部1a,1b,1c,1dの感光ドラム2表面と中間転写ベルト8表面とで形成された転写ニップ部に搬送される。そしてこの記録材Pに対し、感光ドラム2表面の各色のトナー画像が転写ニップ部で転写ローラ7により順次重ね転写され(転写工程)、記録材P上に4色の未定着カラートナー画像(以下、未定着トナー画像と記す)が形成される。
各画像形成部1a,1b,1c,1dにおいて感光ドラム2表面に残る転写残トナーはドラムクリーニング5により除去されて回収され、これにより感光ドラム2は次の画像形成に供される。
未定着トナー画像が形成された記録材Pは中間転写ベルト8表面から分離され、定着装置13の入り口ガイド23によって定着ニップ部(ニップ部)Nに導入される。そしてこの記録材Pが定着ニップ部Nを通過することにより未定着トナー画像が記録材P上に定着される。未定着トナー画像が定着された記録材Pは印刷物(プリント)として排出ローラ17によって排出トレイ18上に排出される。
以上がフルカラー画像出力時の画像形成プロセスである。モノクロ画像出力時は、上記の画像形成プロセスをブラック色の画像を形成する画像形成部1dにおいてのみ行う。
(2)定着装置13
(2−1)定着装置13の構成
以下の説明において、定着装置及びこの定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向をいう。長手幅とは長手方向の寸法である。短手幅とは短手方向の寸法である。記録材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。記録材幅とは長手方向の寸法をいう。
図3において、(a)は定着装置13の概略構成を表わす横断面図、(b)は定着フィルム11の層構成を表わす横断面図である。
本実施例に示す定着装置は、図3(a)に示されるように、定着フィルムユニット25と、加圧ローラ12と、に大別される。定着フィルムユニット25は、筒状の定着フィルム11と、セラミックヒータ(以下、ヒータと記す)19と、ヒータホルダ20と、メインサーミスタ21と、サブサーミスタ22と、加圧ステー26と、フランジ30a,30bなどを有している。ヒータ19と、ヒータホルダ20と、加圧ステー26と、定着フィルム11と、加圧ローラ12は、何れも長手方向に長い部材である。
定着フィルムユニット25において、ヒータホルダ20は、耐熱性の高い液晶ポリマー樹脂を用いて横断面略C字形状に作製してある。このヒータホルダ20は、ヒータホルダ20の短手方向の上面中央でヒータ19を支持すると共に、ヒータホルダ20の短手方向両側の弧状部で定着フィルム11の回転をガイドするようになっている。本実施例では、ヒータホルダ20の材料に用いる液晶ポリマーとして、住友化学(株)の型番 E5204L Bを使用した。この液晶ポリマーの最大使用可能温度(荷重撓み温度)は、約351℃である。
メインサーミスタ21は、ステンレス製の弾性変形可能なアーム27の先端にサーミスタ素子を取り付けた構成としてある。このメインサーミスタ21は、アーム27の基端部をヒータホルダ20に支持させ、アーム27の弾性を利用して定着フィルム11の内周面(内面)に押し当てている。アーム27は定着フィルム11内面に対して定着フィルム11の径方向に揺動可能である。このため定着フィルム11内面の動きが不安定になった状態においても、サーミスタ素子が定着フィルム11内面に常に接する状態に保たれる。
メインサーミスタ21は、定着フィルム11の長手方向において大サイズの記録材と小サイズの記録材が必ず通過する領域に配置されている。CPUとRAMやROMなどのメモリからなる制御部(不図示)は、メインサーミスタ21からの出力信号をもとに、ヒータ19の所定の目標温度に対応する通電量を決定し、トライアック(不図示)等の給電制御回路を制御してヒータ19への通電を制御する。
サブサーミスタ22は、ヒータ19のヒータホルダ20側の裏面においてヒータ19の長手方向端部に配置され、ヒータ19が何らかの理由により過昇温した際にリミッタ制御を行う役割を果たす。このサブサーミスタ22は、定着フィルム11の長手方向において小サイズの記録材が通過しない領域(非通紙部)と対応するヒータ19の長手方向端部に配置され、小サイズの記録材を定着ニップ部Nに通紙(導入)した際のヒータ19の温度を検知する。制御部は、サブサーミスタ22からの出力信号をもとに定着フィルム11の非通紙部が過昇温しているか否かを判断する。そして非通紙部が過昇温している(非通紙部昇温)と判断した場合に、ヒータ19への通電を下げる制御を行う。これにより定着フィルム11の非通紙部昇温が抑制される。
図3(b)に示すように、定着フィルム11は、金属基層(以下、基層とも記す)11aとして厚さ約30umの厚みのエンドレスベルト状に形成したステンレス製(以下SUSと称す。本実施例では一例としてSUS304を使用している)フィルムを有している。そしてこの金属基層11aの外周面上にシリコーンゴム層からなる弾性層11bを形成し、更にこの弾性層11bの外周面上に離型性層11cとして厚み約20umのフッ素樹脂であるPFA樹脂チューブを被覆したものである。
本実施例に使用している金属基層11aは、特許文献2に示されるような加工方法を用いて作られたもので有る。金属基層11aの加工方法については追って詳しく説明する。
弾性層11bとしてのシリコーンゴム層には、極力熱伝導率の高い材料を用い、定着フィルム11の熱容量を小さくすることが、温度立上げの観点からは望ましい。本実施例では、熱伝導率が約1.4W/mKと、シリコーンゴムとしては、熱伝導率が高い部類に属する材料を用いた。
一方、OHT透過性や、画質の観点からは、定着フィルム11のシリコーンゴム層を極力厚くすることが望ましい。本発明者等の検討によれば、満足のいくレベルの画質を得るためには、200um以上のゴム厚みが必要であることが分かっている。本実施例の定着フィルム11におけるシリコーンゴム層の厚みは約250〜300umとした。
また、定着フィルム11の内径は24mmとした。
定着フィルム11の長手幅は、記録材Pとして、Letterサイズ、Legalサイズ(用紙幅約216mm)に対応するため、約240mmとしている。
更に、弾性層11bの外周面上に離型性層11cとしてフッ素樹脂層を設けることで、定着フィルム11の外周面(表面)の未定着トナー画像tに対する離型性を向上できる。これにより定着フィルム11表面にトナーが一旦付着し、再度記録材Pに移動することで発生するオフセット現象を防止することができる。
また、定着フィルム11表面の離型性層11cを、PFAチューブとすることで、より簡便に、均一な離型性層を形成することが可能となる。
加圧ローラ12は、芯金12aの長手方向両端部の軸部間の外周面上に弾性層12bとして厚み約2.5mmの導電シリコーンゴム層を形成し、その弾性層12bの外周面上に離型性層12cとして厚み約50umの導電PFA樹脂チューブを被覆してなる。加圧ローラ12の長手幅は、記録材Pとして、Letterサイズ、Legalサイズ用紙に対応するため、約225mmとしている。加圧ローラ12の外径としては、定着に必要な短手幅が安定して得られるようにΦ25とし、加圧力215.6N(22Kgf)で短手幅約7〜8mmの定着ニップ部Nを得ている。
図3(a)では、定着フィルムユニット25の構成を説明する都合上、定着フィルム11の外径を加圧ローラ12の外径よりも比較的大きく表わしている。
入り口ガイド23は、転写ニップ部を抜けた記録材Pを定着ニップ部Nに正確にガイドするように導く役割を果たす。
加圧ローラ12は、芯金12aの軸部が定着フレーム24に左右の側板(不図示)に軸受を介して回転可能に支持されている。入り口ガイド23は、定着フレーム24の所定の位置に組みつけられる。
加圧ローラ12の下方には定着フィルムユニット25が定着フィルム11を介してヒータ19と対向する位置に配設されている。そしてこの位置で定着フィルムユニット25のヒータホルダ20の長手方向両端部が定着フレーム24の左右の側板に支持されている。
ヒータホルダ20上に配設された加圧ステー26の長手方向一端部はフランジ(規制部材)30a(図1(a)参照)に支持され、同加圧ステー26の長手方向他端部はフランジ(規制部材)30b(図1(a)参照)に支持されている。フランジ30a,30bの材料として、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)などの樹脂が用いられる。また、強度を持たせるために、樹脂の充填材として、ガラスファイバー等を入れているものが一般的である。
フランジ30aは、基部30a1と、規制部30a2と、ガイド部30a3などを有している。基部30a1は、加圧ステー26の長手方向一端部が嵌合可能な所定の形状に形成してある。規制部30a2は、基部30a1の内側端部の外周から定着フィルム11の径方向に突出するように形成してある。規制部30a2の外径は定着フィルム11の外径よりも大きくなっている。ガイド部30a3は、規制部30a2の内側面(突き当て面)から定着フィルム11の内部に突出するように形成してある。このガイド部30a3は、定着フィルム11の回転をガイド可能な所定の形状に形成してある。このガイド部30a3の外径は定着フィルム11の内径よりも僅かに小さくなっている。
フランジ30bは、基部30b1と、規制部30b2と、ガイド部30b3などを有している。基部30b1は、加圧ステー26の長手方向他端部が嵌合可能な所定の形状に形成してある。規制部30b2は、基部30b1の内側端部の外周から定着フィルム11の径方向に突出するように形成してある。規制部30b2の外径は定着フィルム11の外径よりも大きくなっている。ガイド部30b3は、規制部30b2の内側面(突き当て面)から定着フィルム11の内部に突出するように形成してある。このガイド部30b3は、定着フィルム11の回転をガイド可能な所定の形状に形成してある。このガイド部30b3の外径は定着フィルム11の内径よりも僅かに小さくなっている。
フランジ30aとフランジ30bは、それぞれ、基部30a1,30b1が定着フレーム24の左右の側板に支持されている。そしてこのフランジ30aとフランジ30bは、定着フレーム24の左右の側板の外側で加圧ステー26の長手方向両端部側に配設された加圧機構(不図示)により、所定の力で加圧ローラ12の母線方向と直交する垂直方向へ加圧されている。この加圧機構による加圧力は、215.6N(約22kgf(片側約11kgf))程度である。
この加圧力により加圧ローラ12を定着フィルム11を介してヒータ19に加圧し加圧ローラ12の弾性層12bを所定量弾性変形させることによって、定着フィルム11表面と加圧ローラ12表面とで所定幅の上記定着ニップ部Nを形成している。図1(a)では、定着フィルムユニット25のフランジの構成を説明する都合上、定着フィルム11と加圧ローラ12を逆に表わすと共に、定着フィルム11の外径を加圧ローラ12の外径よりも比較的大きく表わしている。
図3(a)と図4を参照して、ヒータ19の構成を説明する。図4はヒータ19の抵抗発熱体19b側からの上面図である。
ヒータ19は、セラミックス製の基板19aを有している。基板19aとして、長手幅約285mm、短手幅約7.4mm、厚さ約0.6mmのALN(窒化アルミ)を使用した。基板19aの定着ニップ部N側とは反対側の裏面上に、抵抗を調整したAgPd(銀パラジウム合金)の発熱ペーストをスクリーン印刷して2つの抵抗発熱体19bを形成している。更に基板19aの定着ニップ部N側の裏面上に、抵抗発熱体19bを保護するためのガラス保護膜19cをコーティングしている。
また、基板19aの定着ニップ部N側の表面上に、定着フィルム11の内周面(内面)が摺動する摺動層19dとして厚さ約6umのポリイミド樹脂コート層を設けている。
図4に示されるように、基板19aの長手方向一端部には、2つの抵抗発熱体19bそれぞれに導電パターン19eを介して給電するための電極19fが設けられている。また同基板19aの長手方向他端部には、2つの抵抗発熱体19bに電気的に接続された導電パターン19gが設けられている。電極19fには給電用コネクタ(不図示)より給電される。
2つの抵抗発熱体19bの長手幅は約220mmである。そしてこの2つの抵抗発熱体19bの最大通紙幅に対応する記録材Pが定着ニップ部Nに導入(通紙)された場合の定着フィルム11の長手端部温度低下を防止するため、2つの抵抗発熱体19bの長手方向両端部の一部が細く加工してある。これにより2つの抵抗発熱体19bの長手方向両端部の発熱量を約5%程度大きくしている。
(2−2)定着装置13の動作
本実施例の定着装置13は、制御部がプリント指令に基づいて所定のモータ(不図示)を回転駆動する。このモータの回転駆動によって加圧ローラ12は所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向(図3(a)参照)へ回転する。加圧ローラ12の回転は定着ニップ部Nにおいて加圧ローラ12表面と定着フィルム11表面との摩擦力によって定着フィルム11に伝達される。これによって定着フィルム11は定着フィルム11内面がヒータ19の摺動層19dと接触しつつ加圧ローラ12の回転に追従して矢印方向へ回転(移動)する。定着フィルム11内面にはグリスが塗布され、ヒータホルダ20と定着フィルム11内面との摺動性を確保している。
また、制御部がプリント指令に基づいて通電制御回路(不図示)を立ち上げる。この通電制御回路の立ち上げによって交流電源(不図示)から給電用コネクタ、ヒータ19の電極19f、導電パターン19eを介して抵抗発熱体19bに通電される。これによって抵抗発熱体19bが発熱しヒータ19が急速に昇温して定着フィルム11を内周面側から加熱する。制御部はメインサーミスタ21からの出力信号を取り込む。そしてこの出力信号に基づき抵抗発熱体19bに印加する電圧のデューティー比や波数などを決定し適切に通電制御回路を制御して定着フィルム11内面の温度を所定の定着温度(目標温度)に維持する。
制御部がモータを回転駆動し、かつ抵抗発熱体19bに対し通電している状態において、未定着トナー画像tを担持した記録材Pが定着ニップ部Nに片側搬送基準にて通紙される。この記録材Pは定着ニップ部Nで定着フィルム11表面と加圧ローラ12表面とで挟持されその状態に搬送(挟持搬送)される。この搬送過程において記録材上のトナー画像tは定着フィルム11により加熱されて溶融すると共に定着ニップ部Nのニップ圧を受けて記録材上に加熱定着される。トナー画像tが定着された記録材Pは定着フィルム11表面から分離し排出ローラ17によって定着装置13から排出される。
(2−3)片側搬送基準、及び定着フィルム11のスラスト方向寄り力の説明
図1において、(a)は定着装置13の片側搬送基準の説明図、(b)は片側搬送基準で記録材Pを搬送した際の記録材Pが通過する領域(通紙部)と記録材Pが通過しない領域(非通紙部)の加圧ローラ12表面温度を表わす説明図である。
記録材Pの記録材幅が異なっていても、定着装置13のニップ部Nには、未定着トナー画像tを担持する小サイズの記録材Pが記録材Pの片側端面を所定の片側搬送基準線Lに沿わせた状態に搬送される(図1(a)参照)。この場合、定着フィルム11の長手方向において片側搬送基準線Lとは反対側の記録材Pが通過しない領域(非通紙部)が過昇温(非通紙部昇温)する。
すると、加圧ローラ12の長手方向の加圧ローラ長手位置において記録材Pが通過する領域(通紙部)に比べ記録材Pが通過しない領域(非通紙部)の方が加圧ローラ表面温度は高くなり、加圧ローラ12の長手方向に温度ムラ(長手温度分布ムラ)が発生する。そしてこの加圧ローラ12の長手温度分布ムラにより加圧ローラ12の非通紙部が熱膨張する。これにより加圧ローラ12の通紙部の外径に比べ非通紙部の外径が大きくなり、加圧ローラ12の長手方向に外径ムラ(長手外径ムラ)が発生する。
この加圧ローラ12の長手外径ムラにより定着フィルム11と加圧ローラ12の回転状態での定着フィルム11と加圧ローラ12との摩擦力が通紙部よりも非通紙部で大きくなる(図1(b)参照)。これにより定着フィルム11を非通紙部側(図1(a)のB側)に寄せるスラスト方向寄り力(以下、定着フィルム寄り力と記す)が発生する。
(2−4)定着フィルム11の金属基層11aの加工方法
本実施例の定着装置13は、絞り加工による有底円筒素管を経て形成された金属素管を基層11aに用いる定着フィルム11を有し、この基層11aの有底円筒素管の絞り加工のときの有底側を片側搬送基準と反対側となる向きに配置していることを特徴とする。
本実施例の定着装置13の定着フィルム11に使用される金属基層11aは以下の方法によって加工される。
まず、特許文献2に示される加工方法のように、金属薄肉鋼平板から深絞りプレス加工(絞り加工)により有底素管(有底円筒素管)を作製する。この有底素管の状態で有底側と口元側とで、肉厚及びビッカース硬度の差が発生する。ビッカース硬度の長手ムラは、焼鈍処理を行うことで均一化を行えるものの肉厚の長手ムラは無くならない。
次に、このような長手肉厚ムラの有る有底素管にスピニング加工等の塑性加工を施すことで所定の長手幅、厚みの有底素管へと加工する。この状態では有底円筒素管であるため、その有底円筒素管の長手方向両端の有底側と口元側を所定の寸法に切断することにより、所定の長手幅、所定の肉厚を有する金属素管を得ることができる。
しかし、自ずと塑性加工後の完成された金属素管の長手方向では肉厚減少率(塑性加工前後の肉厚変化)が異なるため、加工硬化の程度も異なり、強度の差が生じることになる。
特許文献2の表2に示される有底素管を塑性加工により厚み0.03mmに加工した場合、口元側5mm相当位置の肉厚減少率は、(0.585−0.03)/0.585=約95%である。一方、底側65mm相当位置の肉厚減少率は、(0.414−0.03)/0.414=約92.7%である。従って、有底素管時の元口元側は肉厚減少率が元有底側よりも高く加工率が高いため、塑性加工による加工硬化の程度が大きい。
このため、元口元側は強度が弱く、元有底側は強度が強くなり、金属素管の端部強度に差が生じることになる。
一方、小サイズの記録材Pを定着装置13の定着ニップ部Nに通紙した場合の定着フィルム11の非通紙部昇温の一例について、以下に説明する。
片側搬送基準の画像形成装置に用いられる小サイズの記録材Pの一例として、キヤノン(株)製プリンター用普通紙 CS−814(登録商標)、B5サイズ紙(幅182mm×長さ257mm)、坪量81.4g/m^2のものを使用した。定着温度約180℃、毎分30枚の生産性にて連続プリントした場合、加圧ローラ12の非通紙部昇温は、約220℃程度であった。この場合、定着フィルム寄り速度は約100um/secで図1(a)のB側(非通紙部側)へ定着フィルム11の寄りが発生した。
定着フィルム11の定着フィルム寄り力による定着フィルム寄り速度と定着フィルム寄り力の関係を確認した結果を図5に示す。図5において、横軸に定着フィルム寄り速度を取り、縦軸に定着フィルム寄り力を取った。
定着フィルム寄り速度は以下の方法で測定を行った。所定時間での定着フィルム端部とフランジ規制部との距離変化量を測定することで定着フィルム寄り速度を測定した。たとえば、10秒間(10sec)で、定着フィルム端部とフランジ規制部との距離変化量が0.6mmだった場合、定着フィルム寄り速度は、0.6mm/10sec=60um/secとなる。
また、定着フィルム寄り力は以下の方法で測定を行った。フランジガイド部の一部に切欠きを追加工で設けたものを用意し、定着フィルム端部がフランジ規制部に当接していない状態で、フランジ切欠き部にレバー部材を入れ、定着フィルム端部がフランジ規制部に突き当たる前にレバー部材に当接するようにする。そして定着フィルム端部からレバー部材に加わる定着フィルム寄り力をレバー部材に当接した圧力センサーで測定することで、定着フィルム寄り力を測定した。
図5に示すように、定着フィルム寄り速度が約100um/secの場合、定着フィルム寄り力は約2.0Nであった。
定着フィルム11が図1(a)のB側に寄ると、定着フィルム11の長手方向端面がフランジ30bの規制部30b2の内側面に突き当たり、定着フィルム11の長手方向端面が規制部30b2と摺擦する。このため、定着フィルム11の長手方向端部に摩耗が発生する。
定着フィルム11の寄り力を振り、定着フィルム11の長手方向端部の摩耗速度(定着フィルム端部削れ速度)を確認した結果を図6に示す。図6において、横軸に定着フィルム寄り力を取り、縦軸に定着フィルム端部削れ速度を取った。
定着フィルム寄り力が小さい場合は、定着フィルム端部削れはほぼ無視できる程度であるのに対して、定着フィルム寄り力が約1.5N程度より大きくなると定着フィルム端部削れが発生し始めている。このような状態では、定着フィルム寄り力、及び規制部30b2との摺動摩擦力による応力が繰り返し定着フィルム11の長手方向端部に加わるため、定着フィルム11の長手方向端部の強度が弱い場合、所定の寿命を全うせずにクラック等が発生してしまう。
本実施例の定着装置13と比較例(従来例)の定着装置(不図示)との構成で、定着フィルム11の寿命を確認した結果を表1に示す。
本実施例の定着装置13と比較例の定着装置は、定着フィルムの金属基層の向きを逆にした点を除いて、同じ構成としてある。比較例の定着装置では、片側搬送基準側であるA側(図1(a)参照)に金属基層の元有底側が向き、片側搬送基準側とは反対側の定着フィルム寄り側であるB側(図1(a)参照)に金属基層の元口元側が向くように定着フィルムを配置している。本実施例の定着装置では、片側搬送基準側であるA側(図1(a)参照)に金属基層11aの元口元側が向き、片側搬送基準側とは反対側の定着フィルム寄り側であるB側(図1(a)参照)に金属基層11aの元有底側が向くように定着フィルムを配置している。
本実施例の定着装置13の定着フィルムと比較例の定着装置の定着フィルムの耐久寿命を比較した。記録材Pとして、キヤノン(株)製プリンター用普通紙 CS−814(登録商標)、B5サイズ紙(幅182mm×長さ257mm)、坪量81.4g/m^2のものを使用した。
本実施例の定着装置13を搭載したレーザープリンタと、従来例の定着装置を搭載したレーザープリンタを用いて、以下の条件でB5サイズ紙に連続プリントした。定着温度約180℃、毎分30枚の生産性にて連続プリントした場合、比較例の定着装置においては、約7万枚連続プリントにて定着フィルムのB側でクラックが発生した。これに対し、本実施例の定着装置13においては、約15万枚連続プリントしても定着フィルムのA側とB側の双方にクラックの発生は無かった。
以上説明したように、本実施例の定着装置13は、定着フィルム11の基層11aとして絞り加工による有底円筒素管を経て形成された金属素管を用いている。そして定着フィルム11は、基層11aについて有底円筒素管の絞り加工のときの有底側が片側搬送基準と反対側となる向きに配置されている。このように定着フィルム11を配置するという簡易な構成で定着フィルム11のフランジ30bとの摺擦による長手方向端部の摩耗、座屈、クラック等の発生を低減できる。これにより定着フィルム11の耐久性を大幅に向上させることができた。
[実施例2]
定着装置の他の例を説明する。本実施例においては、実施例1の定着装置13と同じ部材、部分に同一の符号を付して、その同じ部材、部分についての再度の説明を省略する。
本実施例に示す定着装置13は、加圧ローラ12の上述した長手温度分布ムラによる定着フィルム11のスラスト方向寄り力を打ち消す力が働くような手段を有することを特徴とする。つまり、加圧ローラ12の記録材が通過しない領域で発生する定着フィルム11の片側搬送基準とは反対側への寄り力を打ち消す方向に、定着フィルム11の寄り力を発生させる手段を有することを特徴とする。
定着フィルム11の寄り力を打ち消す力が働く手段の一構成例として、加圧ローラ12に対し、定着フィルム11を所定の交差角を設けて配置した例を説明する。
図7は本実施例の定着装置13を説明する図であって、加圧ローラ12に対し、定着フィルム11を所定の交差角θを設けて配置した状態を表わす図である。
本実施例の定着装置13では、図7に示すように、加圧ローラ12の長手方向軸線に対して定着フィルム11の長手方向軸線が所定の角度(交差角θ)を以って交差するように、加圧ローラ12に対し、定着フィルム11を配置している。つまり、定着フィルムの寄り力を発生させる手段は、加圧ローラ12に対し、定着フィルム11を所定の交差角θを設けて配置している。これにより加圧ローラ12の定着フィルム寄り側であるB側への定着フィルム寄り力を打ち消す方向に定着フィルム寄り力を発生させることが出来る。
本発明者等が、加圧ローラ12の長手温度分布ムラが少ない状態(加圧ローラ長手温度ムラ起因の定着フィルム寄り力が小さい状態)にて、定着フィルム11の交差角と、交差角起因の定着フィルム寄り速度を測定した結果を図8に示す。図8において、横軸に交差角を取り、縦軸に定着フィルム寄り速度を取った。
実施例1と同様、記録材Pとして、キヤノン(株)製プリンター用普通紙 CS−814(登録商標)、B5サイズ紙、坪量81.4g/m^2のものを使用した。定着温度約180℃、毎分30枚の生産性にて連続プリントした場合、加圧ローラ12の非通紙部昇温は約220℃程度であった。この場合の加圧ローラ長手温度分布ムラ起因の定着フィルム寄り速度は約100um/minで定着フィルム寄り力は約2.0Nである。
したがって、定着フィルム11の交差角θを約0.095degに設定すると、交差角起因の定着フィルム寄り速度は約100um/minとなり、加圧ローラ長手温度分布ムラ起因の定着フィルム寄りをほぼ打ち消し合わせることが出来た。
この状態の定着装置13の耐久性を確認した結果を表2に示す。
表2における実施例2−1と実施例2−2から分かるように、定着装置13への定着フィルム11配置の向きに拘わらず、所定の耐久枚数である連続プリント15万枚にて、定着フィルム11にはクラック等の発生は無かった。
定着フィルム11の交差角θの設定については、本実施例での数値に限られず、定着装置13の設定諸元に応じた加圧ローラ温度分布ムラ起因の定着フィルム寄り力に応じて好適な設定とすることにより、同様な効果が得られる。
以上説明したように、本実施例の定着装置13は、加圧ローラ12に対し、定着フィルム11を所定の交差角θを設けて配置するという簡易な構成で定着フィルム11のフランジ30bとの摺擦による長手方向端部の摩耗、座屈、クラック等の発生を低減できる。これにより定着フィルム11の耐久性を向上させることが出来る。
[実施例3]
定着装置の他の例を説明する。本実施例においても、実施例1の定着装置13と同じ部材、部分に同一の符号を付して、その同じ部材、部分についての再度の説明を省略する。
本実施例に示す定着装置13は、実施例2で説明した定着フィルム11の寄り力を発生させる手段として、下記のような構成を採用したものである。
図9は本実施例の定着装置13を説明する図であって、テーパ形状の外形形状を有する定着フィルム11と、加圧ローラ12を表わす図である。図9では、定着フィルム11の外形形状の説明のため、定着フィルム11のテーパ形状を実際のテーパ形状よりも誇張して記載している。
本実施例の定着装置13は、図9に示すように、定着フィルム11の外形形状が定着フィルム11の長手方向両端部に外径差を有するテーパ形状であり、このテーパ形状の外径の大きい側が片側搬送基準と反対側になる向きに配置するという構成を採用した。これにより加圧ローラ12の定着フィルム寄り側であるB側への定着フィルム寄り力を打ち消す方向に定着フィルム寄り力を発生させることが出来る。
本発明者等が、加圧ローラ12の長手温度分布ムラ起因の定着フィルム寄り力が小さい状態で、定着フィルム11のテーパ量と定着フィルム11の寄り力の関係を確認した結果を図10に示す。図10において、横軸に定着フィルム両端外形差を取り、縦軸に定着フィルム寄り速度を取った。
実施例1と同様、記録材Pとして、キヤノン(株)製プリンター用普通紙 CS−814(登録商標)、B5サイズ紙、坪量81.4g/m^2のものを使用した。定着温度約180℃、毎分30枚の生産性にて連続プリントした場合、加圧ローラ12の非通紙部昇温は、約220℃程度であった。この場合の加圧ローラ長手温度ムラ起因の定着フィルム寄り速度は約100um/minで定着フィルム寄り力は約2.0Nである。
したがって、定着フィルム11のテーパ量を約26umに設定すると、定着フィルムテーパ形状起因の定着フィルム寄り速度は約100um/minとなり、加圧ローラ長手温度分布ムラ起因の定着フィルム寄りをほぼ打ち消し合わせることが出来た。
この状態で定着装置13の耐久性を確認した結果を表3に示す。
表3における実施例3−1と実施例3−2から分かるように、定着装置13への定着フィルム11配置の向きに拘わらず、所定の耐久枚数である連続プリント15万枚にて、定着フィルム11にはクラック等の発生は無かった。
定着フィルム11のテーパ量設定については、本実施例での数値に限られず、定着装置の設定諸元に応じた加圧ローラ温度分布ムラ起因の定着フィルム寄り力に応じて好適な設定とすることで同様な効果が得られる。
以上説明したように、本実施例の定着装置13は、定着フィルム11の外形形状が定着フィルム11の長手方向両端部に外径差を有するテーパ形状であり、このテーパ形状の外径の大きい側が片側搬送基準と反対側になる向きに配置したものである。このように定着フィルム11を配置するという簡易な構成で定着フィルム11のフランジ30bとの摺擦による長手方向端部の摩耗、座屈、クラック等の発生を低減できる。これにより定着フィルム11の耐久性を向上させることが出来る。
11:定着フィルム、11a:基層、12:加圧ローラ、19:ヒータ、30b:フランジ、N:定着ニップ部、P:記録材、θ:交差角、t:未定着トナー画像

Claims (4)

  1. 記録材の片側端面を所定の搬送基準に沿わせて記録材の搬送を行う片側搬送基準の画像形成装置に使用される定着装置であって、ヒータと、絞り加工による有底円筒素管を経て形成された金属素管を基層に用いる筒状の定着フィルムであり前記ヒータと接触しつつ移動する定着フィルムと、前記ヒータと定着フィルムを介してニップ部を形成する加圧ローラと、前記定着フィルムが記録材の搬送方向と直交する前記定着フィルムの長手方向に移動した際に前記定着フィルムの長手方向端部と接触して前記定着フィルムの長手方向への移動を規制するフランジと、を有し、前記ニップ部で未定着トナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材に未定着トナー画像を加熱定着する定着装置において、
    前記定着フィルムは、前記基層について前記有底円筒素管の絞り加工のときの有底側が前記片側搬送基準と反対側となる向きに配置されていることを特徴とする定着装置。
  2. 記録材の片側端面を所定の搬送基準に沿わせて記録材の搬送を行う片側搬送基準の画像形成装置に使用される定着装置であって、ヒータと、絞り加工による有底円筒素管を経て形成された金属素管を基層に用いる筒状の定着フィルムであり前記ヒータと接触しつつ移動する定着フィルムと、前記ヒータと前記定着フィルムを介してニップ部を形成する加圧ローラと、前記定着フィルムが記録材の搬送方向と直交する前記定着フィルムの長手方向に移動した際に前記定着フィルムの長手方向端部と接触して前記定着フィルムの長手方向への移動を規制するフランジと、を有し、前記ニップ部で未定着トナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材に未定着トナー画像を加熱定着する定着装置において、
    前記加圧ローラの記録材が通過しない領域で発生する前記定着フィルムの前記片側搬送基準とは反対側への寄り力を打ち消す方向に、前記定着フィルムの寄り力を発生させる手段を有することを特徴とする定着装置。
  3. 前記定着フィルムの寄り力を発生させる手段は、前記加圧ローラに対し、前記定着フィルムを所定の交差角を設けて配置したことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記定着フィルムの寄り力を発生させる手段は、前記定着フィルムの外形形状が前記定着フィルムの長手方向両端部に外径差を有するテーパ形状であり、前記テーパ形状の外径の大きい側が前記片側搬送基準と反対側となる向きに配置されていることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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