JP6654855B2 - コーヒー抽出液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コーヒー抽出液の製造方法に関する。
コーヒー飲料には、ポリフェノールの一種である、クロロゲン酸、フェルラキナ酸等のクロロゲン酸類が含まれており、このクロロゲン酸類は優れた生理活性を有することが知られている。しかしながら、クロロゲン酸類による生理活性は、コーヒー飲料に含まれているヒドロキシヒドロキノンにより阻害されることが報告されている。したがって、クロロゲン酸類による生理活性を有効に発現させるためには、コーヒー飲料中のヒドロキシヒドロキノンを低減することが有利である。
そこで、細孔半径が0.7ナノメートル(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体の30%以上である多孔質吸着体の存在下に、コーヒー豆からコーヒー抽出液を抽出することで、クロロゲン酸類量を一定範囲に保持しつつ、ヒドロキシヒドロキノン含量を十分な血圧降下作用が得られる濃度に低下させることができ、かつすっきりとした風味のコーヒー飲料が得られることが報告されている(特許文献1)。
また、コーヒー飲料は、特に容器詰コーヒー飲料とした場合に、長期保存時等における沈殿物発生が抑制されていることが品質上好ましい。コーヒー飲料の沈殿防止方法として、マンナン分解酵素による処理とアルカリ性ナトリウム塩又はアルカリ性カリウム塩の添加とを併用する方法が提案されている(特許文献2)。
特開2007−54056号公報 特開平7−184546号公報
コーヒー飲料は、焙煎コーヒー豆由来の香ばしい芳香、コク、後引きがなくキレのよい良質な苦味などを有しており、嗜好性の高いものであるが、従来の多孔質吸着体を用いたヒドロキシヒドロキノンの吸着除去においては、ヒドロキシヒドロキノンだけでなく香味成分も同時に吸着除去されるため、風味バランスが損なわれやすい。また、高濃度のクロロゲン酸類を含有するコーヒー飲料の場合、保存中に沈殿物の発生が起こりやすい。そのため、コク、良質な苦味などの風味を損なうことなく、ヒドロキシヒドロキノンを低減しつつ、保存安定性にも優れるコーヒー飲料を簡便にできる手法が求められている。
本発明の課題は、ヒドロキシヒドロキノンを低減しつつ、保存安定性に優れ、かつコク及び苦味の良好なコーヒー飲料の原料として有用なコーヒー抽出液の製造方法を提供することにある。
本発明者は、通液方向の上流側から、深焙煎の第1の焙煎コーヒー豆、第1の焙煎コーヒー豆よりもL値の高い第2の焙煎コーヒー豆、活性炭の順に抽出機内に仕込み、該抽出機内に抽出溶媒を供給してコーヒー抽出液を製造することで、コク、良質な苦味などの風味を損なうことなく、ヒドロキシヒドロキノンを低減しつつ、保存安定性にも優れるコーヒー抽出液が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、抽出機内に、通液方向の上流側から次の成分(A)〜(C)を
(A)L値が14〜20である第1の焙煎コーヒー豆、
(B)第1の焙煎コーヒー豆よりもL値の高い第2の焙煎コーヒー豆、及び
(C)活性炭
の順に仕込み、抽出溶媒を供給してコーヒー抽出液を得る抽出工程を含み、
成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が0.2〜0.8である、
コーヒー抽出液の製造方法を提供するものである。
本発明はまた、上記製造方法により得られたコーヒー抽出液を容器に充填する工程を含む、容器詰コーヒー飲料の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、ヒドロキシヒドロキノンを低減しつつ、保存安定性に優れ、かつコク及び苦味の良好なコーヒー飲料の原料として有用なコーヒー抽出液を簡便な操作で製造することができる。
<コーヒー抽出液の製造方法>
本発明のコーヒー抽出液の製造方法においては、先ず(A)第1の焙煎コーヒー豆、(B)第2の焙煎コーヒー豆、及び活性炭を抽出機内に仕込む。
抽出機としては、例えば、ドリップ抽出機、カラム抽出機を挙げることができる。抽出機は、抽出槽の上方にシャワーノズルを備え、抽出槽内に焙煎コーヒー豆及び活性炭と、コーヒー抽出液とを固液分離可能な構造体を有するものが好ましく、加熱又は冷却可能な構造(例えば、電気ヒーター、温水や蒸気、冷水が通液可能なジャケット)を有していてもよい。構造体としては、例えば、金網(メッシュ)、パンチングメタル等を用いることができる。構造体の形状としては、平板状、円錐状、角錐状等の種々のものが挙げられるが、仕込みの均一性の観点から、平板状のものが好ましい。また、構造体の開口径は、焙煎コーヒー豆及び活性炭の平均粒径より小さい目開きであれば、特に限定されない。
〔(A)第1の焙煎コーヒー豆〕
(A)第1の焙煎コーヒー豆はL値が14〜20であるが、コクの観点から、14.5以上が好ましく、15以上がより好ましく、15.5以上が更に好ましく、また苦味の観点から、19.5以下が好ましく、19以下がより好ましく、18.5以下が更に好ましい。かかるL値の範囲としては、好ましくは14.5〜19.5、より好ましくは15〜19、更に好ましくは15.5〜18.5である。ここで、本明細書において「L値」とは、黒をL値0とし、また白をL値100として、焙煎コーヒー豆の明度を色差計で測定したものである。なお、(A)第1の焙煎コーヒー豆の焙煎方法及び焙煎条件は特に限定されない。また、(A)第1の焙煎コーヒー豆として、2種類以上の焙煎度の異なるコーヒー豆を使用することも可能であり、焙煎度の異なるコーヒー豆を使用する場合、L値が上記範囲外のものを用いても差し支えないが、L値の平均値が上記範囲内となるように適宜組み合わせて使用することが好ましい。L値の平均値は、使用する焙煎コーヒー豆のL値に、当該焙煎コーヒー豆の含有質量比を乗じた値の総和として求められる。2種類以上の焙煎度の異なるコーヒー豆を使用する場合は、それらを混合して一つの層を形成しても、焙煎度ごとに層を形成しても良い。その場合、焙煎コーヒー豆の積層順序は通液方向の上流側にL値の低い豆を仕込むことが好ましい。
(A)第1の焙煎コーヒー豆の豆種及び産地は特に限定されず、嗜好性に応じて適宜選択することができる。例えば、焙煎コーヒー豆の豆種としては、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種等が挙げられ、またコーヒー豆の産地としては、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム、インドネシア等を挙げることができる。また、豆種又は産地の異なる焙煎コーヒー豆を2種以上使用してもよく、その場合、それらを混合して一つの層を形成しても、豆種又は産地ごとに層を形成してもよい。複数層形成する場合、L値が同じであれば、焙煎コーヒー豆の積層順序は特に限定されない。
(A)第1の焙煎コーヒー豆は、未粉砕のものでも、粉砕されたものでもよいが、抽出効率の観点から、粉砕されたものが好ましい。粉砕方法は特に限定されず、公知の方法及び装置を用いることができるが、例えば、カッターミル、ハンマーミル、ジェットミル、インパクトミル、ウィレー粉砕機等の粉砕装置を挙げることができる。
粉砕された(A)第1の焙煎コーヒー豆は、粗挽き、中挽き及び細挽きのいずれでもよいが、抽出効率の観点から、細挽きが好ましい。粉砕された(A)第1の焙煎コーヒー豆の平均粒径は、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、5mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、1.5mm以下が更に好ましく、また風味の観点から、0.01mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.1mm以上が更に好ましい。かかる平均粒径の範囲としては、好ましくは0.01〜5mm、より好ましくは0.05〜2.5mm、更に好ましくは0.1〜1.5mmである。ここで、本明細書において「焙煎コーヒー豆の平均粒径」とは、レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積粒度分布曲線において50%(d50)に相当する粒子径である。
このような平均粒径が制御された焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆を粉砕し篩分けして所望の平均粒径を有する焙煎コーヒー豆を採取すればよい。なお、篩として、例えば、Tyler標準篩、ASTM標準篩、JIS標準篩等を用いることができる。
〔(B)第2の焙煎コーヒー豆〕
(B)第2の焙煎コーヒー豆は、(A)第1の焙煎コーヒー豆よりもL値の高いものであれば特に限定されないが、コクの観点から、第1の焙煎コーヒー豆よりもL値が3以上高いものが好ましく、5以上高いものがより好ましく、7以上高いものが更に好ましい。
また、(B)第2の焙煎コーヒー豆のL値としては、コクの観点から、L値は21以上が好ましく、22以上がより好ましく、23以上が更に好ましく、そして苦味の観点から、35以下が好ましく、30以下がより好ましく、28以下が更に好ましい。かかるL値の範囲としては、好ましくは21〜35、より好ましくは22〜30、更に好ましくは23〜28である。更に好ましい(B)第2の焙煎コーヒー豆は、かかるL値の範囲内であって、(A)第1の焙煎コーヒー豆よりもL値が、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは7以上高いものである。なお、(B)第2の焙煎コーヒー豆の焙煎方法及び焙煎条件は、(A)第1の焙煎コーヒー豆と同様に特に限定されず、所望の焙煎度の焙煎コーヒー豆が得られるように適宜選択することが可能であり、焙煎度が上記範囲内であれば市販の焙煎コーヒー豆を使用しても構わない。
(B)第2の焙煎コーヒー豆においても(A)第1の焙煎コーヒー豆と同様に、焙煎度の異なる2種以上の焙煎コーヒー豆を使用してもよく、また豆種又は産地の異なる焙煎コーヒー豆を2種以上使用しても構わない。なお、焙煎コーヒー豆の豆種及び産地は嗜好性に応じて適宜選択することが可能であり、豆種及び産地の具体例としては、(A)第1の焙煎コーヒー豆と同様のものを挙げることができる。2種以上の焙煎コーヒー豆を使用する場合、それらを混合して一つの層を形成しても、焙煎度、豆種又は産地ごとに層を形成してもよい。焙煎度の異なる焙煎コーヒー豆を複数層形成する場合、焙煎コーヒー豆の積層順序は通液方向の上流側にL値の低い豆を仕込むことが好ましい。
(B)第2の焙煎コーヒー豆は、コーヒー風味の増強の観点から、粉砕されたものが好ましい。粉砕された(B)第2の焙煎コーヒー豆は、粗挽き、中挽き及び細挽きのいずれでもよいが、抽出効率の観点から、細挽きが好ましく、(B)第2の焙煎コーヒー豆の平均粒径は、(A)第1の焙煎コーヒー豆において説明した平均粒径と同一の範囲を採用することができる。なお、粉砕方法及び分級方法は特に限定されず、(A)第1の焙煎コーヒー豆と同様の方法を採用することができる。
(A)第1の焙煎コーヒー豆及び(B)第2の焙煎コーヒー豆の使用量は、(A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆との質量比[(A)/(B)]として0.2〜0.8であるが、コク及び苦味の観点から、0.25以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.35以上が更に好ましく、また保存安定性の観点から、0.7以下が好ましく、0.65以下がより好ましく、0.6以下が更に好ましく、0.55以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(A)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.25〜0.7、より好ましくは0.3〜0.65、更に好ましくは0.35〜0.6、殊好ましくは0.35〜0.55である。なお、(A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆の各使用量は、抽出スケール等に応じて適宜選択することが可能であるが、コーヒー抽出液から調製されたコーヒー飲料100g当たりの焙煎コーヒー豆の使用量が生豆換算で1g以上となる量が好ましく、2.5g以上となる量がより好ましく、5g以上となる量が更に好ましい。ここで、生豆換算値は、焙煎コーヒー豆1gが生コーヒー豆1.3gに相当するものとする(改訂新版・ソフトドリンクス、監修:全国清涼飲料工業会、発行:光琳、平成元年12月25日発行 421頁記載)。
〔(C)活性炭〕
(C)活性炭の由来原料としては、例えば、オガコ、石炭、ヤシ殻等が挙げられ、中でも、ヤシ殻活性炭が好ましい。また、水蒸気等のガスにより賦活した活性炭が好ましく使用される。また、(C)活性炭の形状は、粉末状、粒状及び繊維状のいずれでもよいが、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、粉末状、粒状が好ましい。
(C)活性炭の平均粒径は、ヒドロキシヒドロキノン低減、風味の観点から、0.01mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.1mm以上が更に好ましく、0.2mm以上がより更に好ましく、そして2mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、0.8mm以下が更に好ましく、0.4mm以下がより更に好ましい。(C)活性炭の平均粒径の範囲としては、好ましくは0.01〜2mm、より好ましくは0.05〜1.5mm、更に好ましくは0.1〜0.8mm、より更に好ましくは0.2〜0.4mmである。ここで、本明細書において「活性炭の平均粒径」とは、JIS K1474の6.3に基づき粒度を求め、次に6.4に基づき粒度分布を求め、更に同項b)の7)に基づいて算出された質量平均粒径を意味する。
また、(C)活性炭は、ヒドロキシヒドロキノン低減、風味の観点から、平均細孔半径が30Å以下が好ましく、25Å以下がより好ましく、20Å以下が更に好ましく、そして3Å以上が好ましく、5Å以上がより好ましく、7Å以上が更に好ましい。かかる平均細孔半径の範囲としては、好ましくは3〜30Å、より好ましくは5〜25Å、更に好ましくは7〜20Åである。ここで、本明細書において「活性炭の平均細孔半径」とは、MP法により得られた細孔分布曲線のピークトップを示す細孔半径の値をいい、MP法とは、文献(Colloid and Interface Science, 26, 46(1968))に記載の細孔測定法である。なお、平均細孔半径は、BELSORP−mini(マイクロトラック・ベル社製)等を用いて窒素吸着法により測定することができる。
このような活性炭の市販品としては、白鷺WH2c LSS(日本エンバイロケミカルズ株式会社)、太閣CW(二村化学工業株式会社)、クラレコールGW、クラレコールGW−H(以上、クラレケミカル株式会社)等を挙げることができる。
また、活性炭繊維としては、ファインガード(東邦レーヨン社製)等のポリアクリロニトリル系、アドール(ユニチカ社製)等のピッチ系、クラクティブ(クラレ社製)等のフェノール系、Kフィルター(東洋紡績社製)等のセルロース系等が挙げられる。
なお、(C)活性炭は、そのまま利用しても、加熱殺菌したものを用いてもよい。加熱殺菌方法としては、例えば、日本にあっては食品衛生法に定められた殺菌方法を適用することが可能であり、より具体的には、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。
(C)活性炭の使用量は、ヒドロキシヒドロキノン低減、風味の観点から、(A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆の合計量に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、そして50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましく、35質量%以下が殊更に好ましい。かかる使用量の範囲としては、(A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆の合計量に対して、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜45質量%、更に好ましくは15〜40質量%、殊更に好ましくは15〜35質量%である。
〔仕込み〕
焙煎コーヒー豆と活性炭を仕込む方法としては、通液方向の上流側から、(A)第1の焙煎コーヒー豆、(B)第2の焙煎コーヒー豆、(C)活性炭の順となるように層状に仕込むことが好ましい。例えば、抽出機の上方から通液する場合、抽出機内の装着された仕切板上に(C)活性炭を仕込み、高さが均一になるように(C)活性炭の上面を平らにならし、次いで(C)活性炭を覆うように(B)第2の焙煎コーヒー豆を仕込み、高さが均一になるように(B)第2の焙煎コーヒー豆の上面を平らにならし、そして(B)第2の焙煎コーヒー豆を覆うように(A)第1の焙煎コーヒー豆を仕込み、高さが均一になるように(A)第1の焙煎コーヒー豆の上面を平らにならすという操作を行う積層方法を採用することができる。
また、活性炭を仕込んだ後、ヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、活性炭を水性溶媒で洗浄してもよい。活性炭の洗浄は、例えば、抽出機内に活性炭を仕込んだ後、焙煎コーヒー豆を仕込む前に、抽出機内に水性溶媒を通液すればよい。なお、洗浄に使用した水性溶媒は抽出機外に排出する。水性溶媒としては、水、含水アルコール、炭酸水等を挙げることができるが、抽出に使用する溶媒と同一のものを使用することが好ましい。水性溶媒による洗浄は殺菌を兼ね備えることが好ましく、かかる観点から、水性溶媒の温度は、60〜100℃が好ましく、70〜95℃が更に好ましい。
洗浄に用いる水性溶媒の量は、活性炭に対して、5質量倍以上が好ましく、10質量倍以上がより好ましく、15質量倍以上が更に好ましく、そして200質量倍以下が好ましく、130質量倍以下がより好ましく、100質量倍以下が更に好ましく、50質量倍以下が更に好ましい。かかる水性溶媒の使用量の範囲としては、活性炭に対して、好ましくは5〜200質量倍、より好ましくは10〜130質量倍、更に好ましくは15〜100質量倍、殊更に好ましくは15〜50質量倍である。
〔抽出工程〕
次に、抽出機内に抽出溶媒を供給する。これにより、焙煎コーヒー豆からのコーヒー抽出液の抽出、及び該コーヒー抽出液と活性炭との接触処理を同一系内で略同時に行うことが可能になるため、コーヒー抽出液の製造と、活性炭との接触処理とを個別に行う必要がなく、またそれぞれの工程を行うための装置を要しない。したがって、製造に要する労力(工程数、時間等)及びコストを大幅に削減することが可能になる。
また、(A)第1の焙煎コーヒー豆はL値が低いため、(A)第1の焙煎コーヒー豆から得られるコーヒー抽出液は、良質な苦味を有するものの、焙煎により生成したヒドロキシヒドロキノンが含まれている。(A)第1の焙煎コーヒー豆から得られるコーヒー抽出液は、(C)活性炭と接触することにより、良質な苦味を保ちつつ、ヒドロキシヒドロキノンを低減することができる。更に、(B)第2の焙煎コーヒー豆はL値が高く、(B)第2の焙煎コーヒー豆から得られるコーヒー抽出液はクロロゲン酸類を豊富に含むため、コクを増強することができる。
抽出溶媒としては、例えば、水、含水アルコール、炭酸水等が挙げられる。中でも、風味の観点から、水が好ましい。水としては、水道水、天然水、蒸留水、イオン交換水等を適宜選択して使用することができる。含水アルコールとしては、含水エタノールが好ましく、アルコール濃度は、適宜選択可能である。なお、抽出溶媒中に、例えば、炭酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アルコルビン酸ナトリウム等のpH調整剤を含有させてpHを調整してもよい。抽出溶媒のpH(20℃)は、通常4〜10であり、風味の観点から、5〜7が好ましい。
抽出溶媒の温度は、70〜100℃であるが、クロロゲン酸類の増量の観点から、80℃以上が好ましく、85℃以上がより好ましく、90℃以上が更に好ましく、また風味の観点から、99℃以下が好ましく、98℃以下が更に好ましい。抽出溶媒の温度の範囲としては、好ましくは80〜100℃、より好ましくは85〜99℃、更に好ましくは90〜98℃である。
抽出溶媒の供給方法としては、例えば、抽出機の下方から上方(上昇流)に供給する方法、又は上方から下方(下降流)に供給する方法が挙げられ、適宜選択することができる。例えば、上方にシャワーノズルを備える抽出機を用いて製造する場合、抽出溶媒を下降流で供給することが好ましい。
抽出溶媒の供給速度は適宜設定可能であるが、例えば、ドリップ抽出機又はカラム抽出機を使用する場合、風味の観点から、(A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆の合計量1kg当たり、0.08kg/分以上が好ましく、0.1kg/分以上がより好ましく、0.15kg/分以上が更に好ましく、そしてヒドロキシヒドロキノン低減の観点から、0.5kg/分以下が好ましく、0.4kg/分以下がより好ましく、0.3kg/分以下が更に好ましい。かかる供給速度の範囲としては、(A)第1の焙煎コーヒー豆と(A)第2の焙煎コーヒー豆の合計量1kg当たり、好ましくは0.08〜0.5kg/分、より好ましくは0.1〜0.4kg/分、更に好ましくは0.15〜0.3kg/分である。
また、抽出工程においては、抽出機内に抽出溶媒を一定量供給した後、抽出溶媒の供給を停止し、その状態を所定時間保持する工程を有していてもよい。これにより、焙煎コーヒー豆を膨潤させて、クロロゲン酸類の抽出を促進させることができる。
この場合、抽出溶媒の供給量は、A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆の合計量に対して、0.5質量倍以上が好ましく、1質量倍以上がより好ましく、1.5質量倍以上が更に好ましく、そして10質量倍以下が好ましく、7質量倍以下がより好ましく、5質量倍以下が更に好ましい。かかる抽出溶媒の供給量の範囲としては、A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆の合計量に対して、好ましくは0.5〜10質量倍、より好ましくは1〜7質量倍、更に好ましくは1.5〜5質量倍である。
また、保持時間は、風味の観点から、1分以上が好ましく、3分以上がより好ましく、5分以上が更に好ましく、そして20分以下が好ましく、18分以下がより好ましく、16分以下が更に好ましい。保持時間の範囲としては、好ましくは1〜20分、より好ましくは3〜18分、更に好ましくは5〜16分である。
次に、コーヒー抽出液を抽出機外に排出する。コーヒー抽出液を抽出機外に排出する際には、抽出溶媒の供給を同時に行うことが好ましい。抽出溶媒の供給は連続的でもよいが、間欠的でも差し支えない。
コーヒー抽出液の排出速度は、抽出溶媒の供給速度と略同一とすることが好ましい。具体的には、(A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆の合計量1kg当たり、0.08kg/分以上が好ましく、0.1kg/分以上がより好ましく、0.15kg/分以上が更に好ましく、そして、0.5kg/分以下が好ましく、0.4kg/分以下がより好ましく、0.3kg/分以下が更に好ましい。かかる供給速度の範囲としては、(A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆の合計量1kg当たり、好ましくは0.08〜0.5kg/分、より好ましくは0.1〜0.4kg/分、更に好ましくは0.15〜0.3kg/分である。
次に、コーヒー抽出液の排出を停止するが、コーヒー抽出液の抽出倍率、すなわち、A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆の合計量に対するコーヒー抽出液の質量の割合が所定値に達したときに停止することが好ましい。
抽出倍率(コーヒー抽出液の質量/(A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆の合計量)は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上が更に好ましく、そして15以下が好ましく、13以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。かかる抽出倍率の範囲としては、好ましくは1〜15質量倍、より好ましくは3〜13質量倍、更に好ましくは4〜12質量倍である。
〔固液分離〕
抽出工程後、排出されたコーヒー抽出液を冷却し、必要により固液分離してもよい。固液分離としては、例えば、ろ過、膜処理、遠心分離等が挙げられ、1種又は2種以上組み合わせて行うこともできる。
ろ過は、例えば、ろ紙、ステンレス等の金属製フィルタ等によるフィルタ分離を採用することができる。ろ紙ろ過においては、ろ紙上にろ過助剤をプレコートしてもよい。フィルタのメッシュサイズは、例えば、18〜300メッシュである。
膜ろ過は、一般的なろ過条件で処理することができる。膜孔径は、夾雑物除去の観点から、0.1μm以上が好ましく、0.15μm以上がより好ましく、0.2μm以上が更に好ましく、またクロロゲン酸類の回収率、ろ過効率の観点から、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、2μm以下が更に好ましい。かかる膜孔径の範囲としては、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.15〜5μm、更に好ましくは0.2〜2μmである。なお、膜孔径の測定方法としては、水銀圧入法、バブルポイント試験、細菌ろ過法等を用いた一般的な測定方法が挙げられるが、バブルポイント試験で求めた値を用いることが好ましい。
膜の材質としては、例えば、高分子膜、セラミック膜、ステンレス膜等が挙げることができる。また、膜の形態としては、平膜、スパイラル膜、中空糸膜、モノリス型膜、ペンシル型膜等が挙げられる。
遠心分離は、分離板型、円筒型、デカンター型などの一般的な機器を使用することができる。遠心分離条件としては、温度が、好ましくは5〜70℃、更に好ましくは10〜40℃である。回転数と時間は、例えば、分離板型の場合、回転数は、好ましくは2000〜10000r/min、より好ましくは2500〜9000r/min、更に好ましくは3000〜8000r/minであり、時間は、好ましくは0.2〜75分、より好ましくは0.5〜60分、更に好ましくは1〜30分である。
〔マンナン分解酵素処理〕
本発明においては、抽出工程後のコーヒー抽出液、あるいは固液分離後のコーヒー抽出液に、マンナン分解酵素を添加してもよい。これにより、保存時における沈澱の発生を抑制し、コーヒー飲料の保存安定性を高めることができる。
マンナン分解酵素はその起源には制限はなく、マンナン分解活性を有すればすべて使用可能である。例えば、起源としては、糸状菌(Aspergillus aculeatus, Aspergillus awamori, Aspergillus niger, Aspergillus oryzae, Aspergillus usamii, Humicola insolens, Trichoderma harzianum, Trichoderma koningii, Trichoderma longibrachiatum, Trichoderma viride)、枯草菌(Bacillus subtilis)、担子菌(Corticium, Pycnoporus coccineus)等を挙げることができる。マンナン分解酵素には、α及びβ型が存在するが、β型が好ましい。
酵素処理の条件は、使用する酵素の起源や活性によって、反応温度、時間、pH、添加量等を適宜選択することができる。例えば、Aspergillus aculeatus由来、500U/gのマンナナーゼを用いる場合、添加量は、コーヒー抽出液中の固形分1g当たり、好ましくは0.1〜100U、より好ましくは0.2〜50U、更に好ましくは0.3〜10U、殊更に好ましくは0.4〜3Uである。ここで、1Uとは、40℃、pH5.0の条件で、1分間に1μmolのマンノースに相当する還元力増加をもたらす量とする。また、添加した酵素は、反応後に除去することを要しない。
<容器詰コーヒー飲料の製造方法>
本発明の容器詰コーヒー飲料の製造方法は、前述の製造方法により得られたコーヒー抽出液を容器に充填する工程を含むものである。
コーヒー抽出液は、後述する加熱殺菌前に、pH調整剤を添加して所望のpHに調整することができる。コーヒー抽出液のpH(20℃)は、保存安定性、風味バランスの観点から、5以上が好ましく、5.5以上がより好ましく、6以上が更に好ましく、そして7以下が好ましく、6.8以下がより好ましく、6.5以下が更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは5〜7、より好ましくは5.5〜6.8、更に好ましくは6〜6.5である。pH調整剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アルコルビン酸ナトリウム等が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、コーヒー抽出液は、所望のBrixとなるように、必要により濃縮又は希釈してから配合することもできる。コーヒー抽出液のBrixは、風味バランスの観点から、1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2以上が更に好ましく、そして7以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。かかるBrixの範囲としては、好ましくは1〜7、より好ましくは1.5〜6、更に好ましくは2〜5である。なお、Brixは、コーヒー抽出液を、20℃にて糖度計を用いて測定することができる。糖度計としては、例えば、Atago RX−5000(Atago社製)を使用することができる。
本発明のコーヒー飲料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器に充填することができる。この場合、容器に詰めて50〜500mLの缶入りコーヒー飲料とすることができる。缶入りコーヒー飲料は、シングルストレングスであることが好ましい。ここでシングルストレングスとは、容器詰コーヒー飲料を開封した後、そのまま飲めるものをいう。
また、本発明の容器詰コーヒー飲料は、加熱殺菌されていてもよい。加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されるものではない。例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。また、容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、金属缶のように、飲料を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌できる場合にあってはレトルト殺菌を採用することができる。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、飲料をあらかじめ上記と同等の殺菌条件で加熱殺菌し、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、ホットパック充填等を採用することができる。
本発明の容器詰コーヒー飲料には、所望により、甘味料、乳成分、酸化防止剤、香料、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、無機塩、色素、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、アミノ酸、品質安定剤等の添加剤の1種又は2種以上を配合してもよい。本発明の容器詰コーヒー飲料は、ブラックコーヒー飲料、ミルクコーヒー飲料とすることもできる。
本発明の容器詰コーヒー飲料中のクロロゲン酸類の含有量は、生理効果の観点から、0.06質量%以上が好ましく、0.07質量%以上がより好ましく、0.08質量%以上が更に好ましく、また風味バランスの観点から、0.45質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.35質量%以下が更に好ましい。かかるクロロゲン酸類の含有量の範囲としては、容器詰コーヒー飲料中に、好ましくは0.06〜0.45質量%、より好ましくは0.07〜0.4質量%、更に好ましくは0.08〜0.35質量%である。ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸を併せての総称であり、クロロゲン酸類の含有量は上記6種の合計量に基づいて定義される。
本発明の容器詰コーヒー飲料中のヒドロキシヒドロキノンの含有量は、生理効果の観点から、容器詰コーヒー飲料1kg当たり、2mg以下が好ましく、1.5mg以下が好ましく、1mg以下が更に好ましい。かかるヒドロキシヒドロキノンの含有量の下限値は特に限定されず、容器詰コーヒー飲料1kg当たり、0.000mgであってもよいが、生産効率の観点から、0.001mg以上が好ましく、0.01mg以上が更に好ましい。かかるヒドロキシヒドロキノンの含有量の範囲としては、容器詰コーヒー飲料1kg当たり、好ましくは0.001〜2mg、より好ましくは0.001〜1.5mg、更に好ましくは0.001〜1mgである。ここで、「ヒドロキシヒドロキノンの含有量が0.000mg」とは、後掲の実施例に記載の「ヒドロキシヒドロキノンの分析」において、ヒドロキシヒドロキノンの含有量が検出限界以下である場合も包含する概念である。
本発明の容器詰コーヒー飲料は、(a)クロロゲン酸類と(b)ヒドロキシヒドロキノンとの質量比[(b)/(a)]が、生理効果の観点から、0.002以下が好ましく、0.001以下がよりより好ましく、0.0005以下が更に好ましい。かかる質量比[(b)/(a)]の下限値は特に限定されず、0であってもよいが、生産効率の観点から、0.00001以上が好ましく、0.0001以上が更に好ましい。かかる質量比[(b)/(a)]の範囲としては、好ましくは0.00001〜0.002、より好ましくは0.00001〜0.001、更に好ましくは0.0001〜0.0005である。
本発明の容器詰コーヒー飲料のpH(20℃)は、風味バランスの観点から、4.5以上が好ましく、4.8以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、そして、7以下が好ましく、6.5以下がより好ましく、6以下が更に好ましい。かかるpH(20℃)の範囲としては、好ましくは4.5〜7、より好ましくは4.8〜6.5、更に好ましくは5〜6である。
1.クロロゲン酸類の分析
分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)
・ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)
・オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・UV−VIS検出器設定波長:325nm
・カラムオーブン設定温度:35℃
・溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液
・溶離液B:アセトニトリル
濃度勾配条件
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
HPLCでは、試料1gを精秤後、溶離液Aにて10mLにメスアップし、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供した。
クロロゲン酸類の保持時間(単位:分)6種のクロロゲン酸類
・モノカフェオイルキナ酸:5.3、8.8、11.6の計3点
・モノフェルラキナ酸:13.0、19.9、21.0の計3点
ここで求めた6種のクロロゲン酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、質量%を求めた。
2.ヒドロキシヒドロキノンの分析
ヒドロキシヒドロキノンの分析法は次の通りである。
分析機器はHPLC−電気化学検出器(クーロメトリック型)であるクーロアレイシステム(モデル5600A、開発・製造:米国ESA社、輸入・販売:エム・シー・メディカル(株))を使用した。
装置の構成ユニットの名称・型番は次の通りである。
・アナリティカルセル:モデル5010、クーロアレイオーガナイザー
・クーロアレイエレクトロニクスモジュール・ソフトウエア:モデル5600A
・溶媒送液モジュール:モデル582、グラジエントミキサー
・オートサンプラー:モデル542、パルスダンパー
・デガッサー:Degasys Ultimate DU3003
・カラムオーブン:505
・カラム:CAPCELL PAK C18 AQ 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μm((株)資生堂)
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・電気化学検出器の印加電圧:200mV
・カラムオーブン設定温度:40℃
・溶離液C:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液
・溶離液D:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、50(V/V)%メタノール溶液
溶離液C及びDの調製には、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))、高速液体クロマトグラフィー用メタノール(関東化学(株))、リン酸(特級、和光純薬工業(株))、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(60%水溶液、東京化成工業(株))を用いた。
濃度勾配条件
時間 溶離液C 溶離液D
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
10.1分 0% 100%
20.0分 0% 100%
20.1分 100% 0%
50.0分 100% 0%
分析試料の調製は、試料5gを精秤後、0.5(W/V)%リン酸、0.5mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液にて10mLにメスアップし、この溶液について遠心分離を行い上清を得た。この上清について、ボンドエルートSCX(固相充填量:500mg、リザーバ容量:3mL、ジーエルサイエンス(株))に通液し、初通過液約0.5mLを除いて通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過し、速やかに分析に供した。
HPLC−電気化学検出器の上記の条件における分析において、ヒドロキシヒドロキノンの保持時間は、6.38分であった。得られたピークの面積値から、ヒドロキシヒドロキノン(和光純薬工業(株))を標準物質とし、質量%を求めた。
3.L値の測定
試料を、色差計((株)日本電色社製 スペクトロフォトメーター SE2000)を用いて測定した。
4.保存安定性の評価
各実施例及び比較例で得られた缶入りコーヒー飲料を65℃で10日間保存後、内容物を取り出し、その外観を専門パネル5名により下記に示す指標で評価し、その後平均スコアを算出した。
評価基準
実施例1の缶入りコーヒー飲料の保存安定性を評点1とし、比較例3の缶入りコーヒー飲料の保存安定性を評点3として、下記の3段階で評価を行った。
評点1:沈殿が全くない
2:沈殿はないが、浮遊物がある
3:沈殿がある
5.官能評価
各実施例及び比較例で得られた缶入りコーヒー飲料の「コク」、「良質な苦味」について、専門パネル5名により下記に示す指標で評価し、その後平均スコアを算出した。
評価基準
1)コク
実施例7の缶入りコーヒー飲料のコクを評点1とし、比較例4の缶入りコーヒー飲料のコクを評点4として、下記の4段階で評価を行った。
評点1:コクが十分ある
2:コクがある
3:コクがやや弱い
4:コクがない
2)良質な苦味
実施例7の缶入りコーヒー飲料の苦味を評点1とし、比較例4の缶入りコーヒー飲料の苦味を評点4として、下記の4段階で評価を行った。
評点1:シャープな苦味が強く感じられ、苦味の後引きがない
2:シャープな苦味が感じられ、苦味の後引きがほとんどない
3:シャープな苦味が感じられるが、苦味の後引きがややある
4:シャープな苦味が感じられるが、苦味の後引きがある
実施例1
カラム抽出機(内径73mm、長さ590mm)内に、水蒸気賦活化ヤシ殻活性炭90g(クラレコールGW32/60、平均粒径0.358mm、平均細孔半径2.0nm、第1の焙煎コーヒー豆と第2の焙煎コーヒー豆の合計量に対して22.5質量%)を仕込み、高さが均一になるように活性炭の上面を平らにならした。次いで、L26の第2の焙煎コーヒー豆(ベトナム産、ロブスタ種、平均粒径0.965mm)280gを、活性炭を覆うように仕込み、高さが均一になるように第2の焙煎コーヒー豆の上面を平らにならした。次いで、L15.5の第1の焙煎コーヒー豆(ブラジル産、アラビカ種、平均粒径0.965mm)120gを、第2の焙煎コーヒー豆を覆うように、高さが均一になるように第1の焙煎コーヒー豆の上面を平らにならした。次いで、カラム抽出機の上方から95℃のイオン交換水2kgを、0.0798kg/分の速度で供給し、焙煎コーヒー豆からのコーヒー抽出液の抽出と、該コーヒー抽出液の活性炭処理を同時に行い、Brix4.09%のコーヒー抽出液を得た。得られたコーヒー抽出液を25℃以下に冷却した後、フィルタ処理(NXA0.5−30−U−M7S、日本ポール社製)を行い、500U/gの活性を有するAspergillus aculeatus由来のマンナナーゼ(MCE−0055、三菱化学フーズ社製)をコーヒー固形分1g当たり0.84U添加し、25℃で60分攪拌した。次いで、マンナナーゼ処理後のコーヒー抽出液を、炭酸水素ナトリウムを溶解した水溶液でpH6.5に調整した後、Brixが2.30%になるようイオン交換水で希釈しコーヒー飲料を得た。次いで、コーヒー飲料を75℃まで加温し、190g入り缶容器に充填、密封後、129℃で8.5分間の殺菌を行い、pH5.8の缶入りコーヒー飲料を得た。得られた缶入りコーヒー飲料について分析及び評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例2及び3
第2の焙煎コーヒー豆のL値を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、缶入りコーヒー飲料を製造した。得られた缶入りコーヒー飲料について分析及び評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例4及び5
第1の焙煎コーヒー豆のL値を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、缶入りコーヒー飲料を製造した。得られた缶入りコーヒー飲料について分析及び評価を行った。その結果を表1に示す。
比較例1
第1の焙煎コーヒー豆と第2の焙煎コーヒー豆を混床で抽出したこと以外は、実施例1と同様の操作により、缶入りコーヒー飲料を製造した。得られた缶入りコーヒー飲料について分析及び評価を行った。その結果を表1に示す。
比較例2
活性炭上に、第1の焙煎コーヒー豆、第2の焙煎コーヒー豆の順に積層して抽出したこと以外は、実施例1と同様の操作により、缶入りコーヒー飲料を製造した。得られた缶入りコーヒー飲料について分析及び評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0006654855
表1から、通液方向の上流側から、第1の焙煎コーヒー豆、第2の焙煎コーヒー豆、活性炭の順に仕込み、通液することにより、コク、良質な苦味などの風味を損なうことなく、ヒドロキシヒドロキノンを低減しつつ、保存安定性にも優れるコーヒー飲料の原料として有用なコーヒー抽出液が得られることがわかる。
実施例6、7及び比較例3、4
第1の焙煎コーヒー豆と第2の焙煎コーヒー豆の質量比を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、缶入りコーヒー飲料を製造した。得られた缶入りコーヒー飲料について分析及び評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0006654855
表2から、第1の焙煎コーヒー豆と第2の焙煎コーヒー豆を特定の質量比にすることで、コク、良質な苦味などの風味を損なうことなく、ヒドロキシヒドロキノンを低減しつつ、保存安定性にも優れるコーヒー飲料の原料として有用なコーヒー抽出液が得られることがわかる。

Claims (8)

  1. 抽出機内に、通液方向の上流側から下流側に向けて次の成分(A)〜(C)を、
    (A)L値が14〜20である第1の焙煎コーヒー豆、
    (B)L値が21〜35である第2の焙煎コーヒー豆、及び
    (C)活性炭
    の順に配置されるように仕込み、を供給してコーヒー抽出液を得る抽出工程を含み、
    (A)第1の焙煎コーヒー豆と(B)第2の焙煎コーヒー豆との質量比[(A)/(B)]が0.25〜0.8である、
    コーヒー抽出液の製造方法。
  2. (C)活性炭の使用量が(A)第1の焙煎コーヒー豆及び(B)第2の焙煎コーヒー豆の合計量に対して5〜50質量%である、請求項項に記載のコーヒー抽出液の製造方法。
  3. の使用量が焙煎コーヒー豆の総量に対して0.5〜10質量倍である、請求項1又は2記載のコーヒー抽出液の製造方法。
  4. (A)第1の焙煎コーヒー豆及び(B)第2の焙煎コーヒー豆が粉砕されたものである、請求項1〜のいずれか一項に記載のコーヒー抽出液の製造方法。
  5. 抽出工程後に、コーヒー抽出液を固液分離する工程を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のコーヒー抽出液の製造方法。
  6. 抽出工程後に、コーヒー抽出液にマンナン分解酵素を添加する工程を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のコーヒー抽出液の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法によってコーヒー抽出液を得る工程、及び得られたコーヒー抽出液を容器に充填する工程を含む、容器詰コーヒー飲料の製造方法。
  8. 容器詰コーヒー飲料中のクロロゲン酸類の含有量が0.06〜0.45質量%である、請求項記載の容器詰コーヒー飲料の製造方法。
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