JP6652382B2 - 組成物 - Google Patents

組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6652382B2
JP6652382B2 JP2015256584A JP2015256584A JP6652382B2 JP 6652382 B2 JP6652382 B2 JP 6652382B2 JP 2015256584 A JP2015256584 A JP 2015256584A JP 2015256584 A JP2015256584 A JP 2015256584A JP 6652382 B2 JP6652382 B2 JP 6652382B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
less
mass
hydrocarbon group
long
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015256584A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017119761A (ja
Inventor
浩司 長澤
浩司 長澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2015256584A priority Critical patent/JP6652382B2/ja
Publication of JP2017119761A publication Critical patent/JP2017119761A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6652382B2 publication Critical patent/JP6652382B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

本発明は、組成物、スラリー組成物、スラリー組成物の製造方法及びキットに関する。
従来の建築技術として、港湾・橋梁・海底トンネルなど、施工環境に水が存在する現場では、セメントスラリー(ペースト、モルタル、またはコンクリート)の水への拡散を抑制するため、添加剤として増粘剤が一般に用いられる。増粘剤はその高い粘弾性により、無機粒子をスラリー内部に保持することで、水への拡散を著しく抑制する。その結果、水中にセメントスラリーを直接打設可能となるなど高い効果を示す。
一般に、増粘剤には高分子量のポリオキシエチレン、多糖、改質セルロースなどの有機系高分子が用いられる。しかし、これらの有機系高分子によって得られる粘弾性は、せん断力が加わった際の粘性低下(チキソトロピー性)が少ないため、例えば配管を通してセメントスラリーを輸送する際、通常よりも著しく高い圧力が必要であるといった課題がある。さらに、多糖、改質セルロースなどの有機系高分子は一般にセメント粒子に吸着する性質を有するため、セメントの水和反応を遅延させるといった課題がある。
一方で、セメントスラリー中に特定のアニオン界面活性剤と特定のカチオン界面活性剤を一定比率で添加することで、紐状ミセルと呼ばれる擬似的な高分子が形成され、高い粘弾性を得られることが知られている(特許文献1)。この擬似的な高分子は疎水性相互作用、水素結合等といった共有結合以外の分子間相互作用によって構築されているため、一定のせん断力を受けると擬似高分子構造が崩壊し粘性が低下するといった特徴を有している(高いチキソトロピー性)。そのため、せん断力のかかる輸送中は擬似高分子構造が崩壊して低粘度化し、せん断力が除かれた打設現場では擬似高分子構造が再生され粘性が戻るといった、これまでの有機高分子系増粘剤にはない性能(ポンプ圧送性と粘性の両立)を示す。
アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤によって形成される紐状ミセルは、水中において、親水基を外側(水相側)、疎水部を内側(油相側)に向けて配列していると考えられている。紐状ミセルの示す粘弾性は疎水部の炭素数に相関があり、界面活性剤のクラフト点以上の温度では、炭素数が多い程、一定温度・添加量において高い粘弾性を示す。粘弾性は擬似高分子である紐状ミセル同士の絡み合いによって発現するが、紐状ミセル同士が絡んだ際、一定の確率でミセル同士にすり抜けが起こる。この時、疎水部の炭素数が多いほど、疎水部の体積が増加し、紐状ミセル同士のすり抜けが困難となる。その結果、すり抜けの確率が減少し、絡み合いが強化され、系全体の粘弾性が向上するものと推察される。
アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤によって形成される紐状ミセルは静電相互作用、及び疎水性相互作用によって凝集・自己配列し、擬似高分子を形成している。よって、一般の高分子のように共有結合によって化学構造が固定されていないため、ミセル形状の安定性が溶媒分子の運動に大きく影響を受ける。すなわち、水中で使用する場合、水溶液の温度が上昇すると水分子の運動性増加によって紐状ミセル構造が乱され、粘弾性が低下する傾向にある。この現象により、高い温度の水溶液系では所定の粘弾性が得られず、実用面において用途が限定されるといった課題がある。例えば、熱交換器用冷却水の配管摩擦抵抗低減剤として紐状ミセルの添加が検討されているが、冷却水の温度が上昇する配管部分において、その効果が低下する。また石油掘削用途において、ボーリング孔用注入スラリーとして増粘型のセメントペーストが使用されるが、掘削孔内の温度は60〜100℃にもなり、通常の紐状ミセルを添加しても粘弾性発現効果が小さい。しかし、紐状ミセルは低添加量で粘弾性を発現可能であり、また構造の再生力(せん断が除かれれば再配列する)といった一般高分子にはない特長があり、このような高温領域に適用可能な紐状ミセルの開発が望まれている。
上記の温度に関する課題を克服するため、非特許文献1は、アニオン界面活性剤に高分子を使用し、より強固な絡み合いを発現する紐状ミセルを形成するアプローチ(ハイブリッド紐状ミセル)を提案し、特定の共重合比のスチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体であるアニオン界面活性剤と、特定のカチオン界面活性剤で紐状ミセルが形成されることを開示している。
特許文献2は、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物塩と水とカチオン性材料とを含む耐硫酸性付与剤を開示している。
特許文献3は、アルキルエーテル脂肪酸塩、第4級アンモニウム塩、非イオン性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物を開示している。
特許文献4は、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物またはその塩、ジアルキルスルホコハク酸またはその塩、及びカチオン界面活性剤からなるセメント分散剤を開示している。
特許文献5は、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤と、ロジンポリオキシアルキレン付加物等の樹脂酸系界面活性剤又は第四級アンモニウム塩系界面活性剤とを有効成分とする農薬用効力増強剤組成物を開示している。
特開2003−313536号公報 特開2010−228985号公報 特開昭57−202931号公報 特開平8−231256号公報 特開平8−151302号公報
K. Nakamura、T Shikata、「Formation and Physicochemical Features of Hybrid Threadlike Micellesin Aqueous Solution」、ChemPhysChem、 2007年、第8巻、p.2568−2574
しかし、非特許文献1のスチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体は、原料コスト、合成経路の複雑さ等の入手の容易さに課題があり、実用面においては改良の余地がある。
本発明は、例えば15〜70℃の幅広い温度領域でも高い粘弾性を示す組成物を提供する。また本発明は、分離安定性に優れるスラリー組成物及びスラリー組成物の製造方法を提供する。
本発明は、(A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基という)を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)及び水を含み、
(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、35/65以上50/50以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、25/75以上55/45以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、5/95以上45/55以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、5/95以上35/65以下である、
組成物に関する。
また本発明は、(A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)と(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基という)を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)から形成された紐状ミセル及び水を含む、組成物に関する。
また本発明は、(A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基という)を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)及び水を含み、動的粘弾性がMaxwell型である、組成物に関する。
また本発明は、(A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基という)を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)、粉体及び水を混合する、スラリー組成物の製造方法であって、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、35/65以上50/50以下で用い、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、25/75以上55/45以下で用い、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、5/95以上45/55以下で用い、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、5/95以上35/65以下で用いる、
スラリー組成物の製造方法に関する。
また本発明は、(A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)、粉体及び水を混合して、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセルを含有するスラリー組成物を調製する、
スラリー組成物の製造方法に関する。
また本発明は、(A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)を含む水溶液と、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基という)を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)を含む水溶液を含んで構成されるキットであって、
(A)成分を含む水溶液と(B)成分を含む水溶液が、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、35/65以上50/50以下となるように混合され、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、25/75以上55/45以下となるように混合され、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、5/95以上45/55以下となるように混合され、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、5/95以上35/65以下となるように混合される、
キットに関する。
また本発明は、(A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)を含む水溶液と、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)を含む水溶液を含んで構成されるキットであって、
(A)成分を含む水溶液と(B)成分を含む水溶液が、紐状ミセルを形成するように混合される、キットに関する。
また本発明は、(A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)を含む水溶液と、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)を含む水溶液を含んで構成されるキットであって、
(A)成分を含む水溶液と(B)成分を含む水溶液が、Maxwell型の動的粘弾性を示すように混合される、キットに関する。
以下、重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を(A)成分、平均炭素数14以上24以下の炭化水素基を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤を(B)成分という。
本発明によれば、例えば15〜70℃の幅広い温度領域でも高い粘弾性を示す組成物が提供される。また本発明によれば、分離安定性に優れるスラリー組成物及びスラリー組成物の製造方法が提供される。
紐状ミセル独特の特異的挙動を示すMaxwell模型を示す図。 Maxwell模型のG’(ω)、G’’(ω)模式的曲線を示すグラフ。 実施例3−1の組成物の測定温度40℃における動的粘弾性特性をプロットしたグラフ 実施例1−4の組成物を用いたスラリー組成物の水中不分離性評価における水相の濁り状態を示す写真である。 比較例2−14の組成物を用いたスラリー組成物の水中不分離性評価における水相の濁り状態を示す写真である。
本発明者らは、特定のナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、NSFともいう)と特定のカチオン界面活性剤とを特定の質量比で混合することで、ハイブリッド紐状ミセルが形成可能であることを見出した。
ハイブリッド紐状ミセルは、NSFが螺旋状になり、NSFの硫酸基とカチオン活性剤のカチオン部分が結合し、カチオン界面活性剤が疎水部を内側に向けた状態で螺旋状に配置されることで、円筒形になっていると考えられる。通常の2種の界面活性剤から形成されるものは紐状ミセルと呼ばれるが、本発明ではポリマーによって紐状ミセルを形成していると考えられるものをハイブリッド紐状ミセルと呼ぶ。このハイブリッド紐状ミセルは、通常の紐状ミセルと比べ絡み合いが強いため、例えば15〜70℃の幅広い温度領域の組成物中においても粘弾性を制御可能である。またNSFの分子量やカチオン界面活性剤の炭素数を使用する温度に合わせて適宜選択することで、用途に合わせた製品形態、粘弾性、材料コストを設定することが出来る。さらに、NSFはコンクリート分散剤として世界中の市場において安価に出回っており、容易に入手可能である点も実用上大きな利点である。
<組成物>
本発明の組成物は、(A)成分、(B)成分及び水を含有し、
(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、35/65以上50/50以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、25/75以上55/45以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、5/95以上45/55以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、5/95以上35/65以下である。
また本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセル及び水を含有する。
また本発明の組成物は、(A)成分、(B)成分及び水を含有し、動的粘弾性がMaxwell型である。
本発明の組成物とは、上記3つの組成物のことをいう。
本発明の組成物は、(A)成分として、重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を含有する。
(A)成分の重量平均分子量は、得られる組成物の粘弾性向上の観点から、1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、そして、製造時において高濃度縮合体の流動性を確保する観点から、100000以下、好ましくは70000以下、より好ましくは50000以下、更に好ましくは30000以下、より更に好ましくは15000以下である。
なお(A)成分の重量平均分子量は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを標準物質としたGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー法:UV検出)測定による面積比較により算出した。具体的な条件は下記の通りである。
[GPC条件]
カラム:G4000SWXL+G2000SWXL(東ソー株式会社)
溶離液:30mM CHCOONa/CHCN=6/4
流量:0.7ml/min
検出:UV280nm
サンプルサイズ:0.2mg/ml
標準物質:西尾工業(株)製 ポリスチレンスルホン酸ソーダ換算(単分散ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:分子量、206、1,800、4,000、8,000、18,000、35,000、88,000、780,000)
検出器:東ソー株式会社 UV−8020
(A)成分以外のナフタレン環を有さない低分子芳香族化合物と(B)成分を用いても、紐状ミセルを形成することが可能であるが、これらはハイブリッド紐状ミセルを形成し得ず、よって例えば15〜70℃の幅広い温度領域において高い粘弾性を得ることができない。また(A)成分以外のナフタレン環を有する芳香族化合物の縮合物においても、縮合度が小さいものは同様の傾向であり、本発明の(A)成分として不適切である。
(A)成分は市販のものを用いることができるが、(A)成分の製造方法は、例えば、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとを縮合反応により縮合物を得る方法が挙げられる。前記縮合物の中和を行ってもよい。また、中和で副生する水不溶解物を除去してもよい。具体的には、ナフタレンスルホン酸を得るために、ナフタレン1モルに対して、硫酸1.2〜1.4モルを用い、150〜165℃で2〜5時間反応させてスルホン化物を得る。次いで、該スルホン化物1モルに対して、ホルムアルデヒドとして0.95〜0.99モルとなるようにホルマリンを85〜95℃で、3〜6時間かけて滴下し、滴下後95〜105℃で縮合反応を行う。さらに、得られる縮合物の水溶液は酸性度が高いので貯槽等の金属腐食を抑制する観点から、得られた縮合物に、水と中和剤を加え、80〜95℃で中和工程を行うことができる。中和剤は、ナフタレンスルホン酸と未反応硫酸に対してそれぞれ1.0〜1.1モル倍添加することが好ましい。また、中和により生じる水不溶解物を除去することができ、その方法として好ましくは濾過による分離が挙げられる。これらの工程によって、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物水溶性塩の水溶液が得られる。この水溶液は、そのまま本発明の(A)成分の水溶液として使用することができる。前記水溶液中のナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の濃度は用途にもよるが、輸送時の経済性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。更に必要に応じて該水溶液を乾燥、粉末化して粉末状のナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩を得ることができ、これを粉末状の(A)成分として本発明に使用することができる。乾燥、粉末化は、噴霧乾燥、ドラム乾燥、凍結乾燥等により行うことができる。
本発明の組成物は、(B)成分として平均炭素数14以上24以下の炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基ともいう)を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤を含有する。
長鎖炭化水素基は、直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又は直鎖若しくは分岐鎖アルケニル基が好ましい。長鎖炭化水素基の平均炭素数は、ハイブリッド紐状ミセルの絡み合いを強化し粘弾性を高める観点から、14以上、好ましくは16以上、より好ましくは16超、そして、入手の容易性(原料コスト)の観点から、24以下、好ましくは22以下である。
(B)成分として、好ましいカチオン性界面活性剤は、下記一般式(B−1)で表されるカチオン性界面活性剤が挙げられる。
〔式中、Rは平均炭素数14以上24以下のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基、R2は炭素数1以上24以下のアルキル基又は炭素数2以上24以下のアルケニル基、R3及びR4は、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基である。Xは陰イオン基を表す。〕
一般式(B−1)において、Rは、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、平均炭素数が14以上、好ましくは16以上、より好ましくは16超、そして、炭素数24以下、好ましくは22以下である。また、R2、R3及びR4は、それぞれ、メチル基が好ましい。Xはハロゲン化物イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオンから選ばれる陰イオン基が好ましく、ハロゲン化物イオンから選ばれる陰イオン基がより好ましく、塩化物イオンが更に好ましい。
(B)成分としては、平均炭素数14以上24以下の炭化水素基を少なくとも1つ有する第4級アンモニウム塩が好ましい。(B)成分として、例えば、アルキル(平均炭素数14以上24以下)トリメチルアンモニウム塩、アルキル(平均炭素数14以上24以下)ピリジニウム塩、アルキル(平均炭素数14以上24以下)イミダゾリニウム塩、アルキル(平均炭素数14以上24以下)ジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドコシルトリメチルアンモニウムクロライド、タロートリメチルアンモニウムクロライド、タロートリメチルアンモニウムブロマイド、水素化タロートリメチルアンモニウムクロライド、水素化タロートリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルエチルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルエチルジメチルアンモニウムクロライド、へキサデシルプロピルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、1,1−ジメチル−2−ヘキサデシルイミダゾリニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。(B)成分は、融点が比較的低く、室温における取扱いが簡便である観点から、好ましくはアルキル(平均炭素数14以上24以下)トリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドコシルトリメチルアンモニウムクロライドであり、入手の容易性(原料コスト)の観点から、より好ましくはヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドコシルトリメチルアンモニウムクロライドである。また、上記のアルキル基の炭素数の異なるカチオン性界面活性剤を2種類以上併用することができる。
本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.002質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.02質量部以上であり、より更に好ましくは0.05質量部以上、より更に好ましくは0.1質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上、より更に好ましくは1質量部以上、より更に好ましくは1.5質量部以上、より更に好ましくは2質量部以上であり、そして、水硬性組成物の水和反応を阻害させない観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、より更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは8質量部以下である。
また本発明の組成物は、(A)成分の含有量が、水100質量部に対して、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、そして、水硬性組成物の水和反応を阻害させない観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
また本発明の組成物は、(B)成分の含有量が、水100質量部に対して、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、そして、組成物の泡立ち抑制の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分の合計含有量が所定の範囲内であり、かつ(A)成分と(B)成分の各含有量が所定の範囲内であることが好ましい。
紐状に配列するには、(B)成分のカチオン界面活性剤のパッキングパラメータである疎水部と親水部の体積比(疎水部/親水部)が約1/2になる必要があると考えられる。疎水部の大きさは一定なので、カチオン界面活性剤のカチオン電荷をNSFが中和することでパッキングパラメータが変化すると考えられる。よって、特定比率でNSFを添加して適切に電荷を中和したときに紐状に配列すると考えられるので、(A)成分と(B)成分を特定の比率で用いる必要があると考えられる。
また、NSFは適度な水溶性を得る観点と容易に製造できる観点とから特定の重量平均分子量を持つ必要があると考えられる。
本発明の組成物は、実用上十分な粘弾性を得る観点から、(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、35/65以上、そして、50/50以下であり、好ましくは45/55以下である。
また、実用上十分な粘弾性を得る観点から、(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、25/75以上、そして、55/45以下である。さらに、(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超17以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは35/65以上、そして、好ましくは45/55以下であり、(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が17超18以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは45/55以下、より好ましくは35/65以下である。
また、実用上十分な粘弾性を得る観点から、(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、5/95以上、好ましくは15/85以上、より好ましくは25/75以上、そして、45/55以下、好ましくは35/65以下である。
また、実用上十分な粘弾性を得る観点から、(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、5/95以上、好ましくは15/85以上、そして、35/65以下、好ましくは25/75以下である。
本発明の組成物の芳香環を1つのみ有するアニオン性芳香族化合物の含有量は、水100質量部に対して、好ましくは0.6質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下であり、また含有しないことが更に好ましい。
芳香環を1つのみ有するアニオン性芳香族化合物としては、芳香環を有するカルボン酸及びその塩、芳香環を有するホスホン酸及びその塩、芳香環を有するスルホン酸及びその塩が挙げられ、具体的には、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸及びこれらの塩が挙げられる。
本発明の組成物は、アニオン性芳香族化合物を上記の含有量にした場合、高温領域における減粘を抑制でき、幅広い温度領域でも高い粘弾性を示す本発明の効果を維持できる。
本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセル(ハイブリッド紐状ミセル)を含有する。そして、このハイブリッド紐状ミセルは、温度による構造変化が少なく安定であり、また、せん断力が加わった際の粘性低下(チキソトロピー性)のため、配管と水との摩擦抵抗を低減させる組成物の圧送方法として好適である。このハイブリッド紐状ミセルを形成するには、上記の(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好適である。
こうした特性から、本発明の組成物は、増粘剤、レオロジー改質剤、チキソトロピー付与剤などとして適度な粘弾性が要求される用途に好適に用いられる。例えば、増粘ゲル化剤、増泡剤、配管摩擦抵抗低減剤、インク用添加剤、農薬助剤、潤滑剤、ワックス、などとして有用であり、また水硬性組成物のレオロジー改質剤として、材料分離抑制、水中分離抑制用途に特に有用である。例えば、吹付用コンクリート用、トンネル補修用、水平でない壁への施工用、坑井掘削用添加剤、夏や亜熱帯や熱帯など水硬性組成物の混練温度が高い場合の、工事領域を枠で囲って枠内の水を排水することなしに、護岸工事を行う用途などに用いることが出来る。
本発明の組成物において、(A)成分と(B)成分からハイブリッド紐状ミセルが形成していることは電子顕微鏡写真により確認できる。
また本発明の組成物において、(A)成分と(B)成分からハイブリッド紐状ミセルが形成している場合、組成物の動的粘弾性がMaxwell型を示す。すなわち、本発明の組成物において、(A)成分と(B)成分からハイブリッド紐状ミセルが形成していることは、組成物の動的粘弾性がMaxwell型を示すか否かにより確認できる。
組成物中の動的粘弾性がMaxwell型を示すとは、振動周波数ωに対する損失弾性率曲線G’’が単一の極大値を有することであり、その確認方法としては、特開2009−227659号公報、段落[0023]〜[0025]に記載の方法のようにCole−Coleプロットを描き半円弧状になることで確認することが出来る。
紐状ミセルの粘弾性挙動については、その絡み合いの程度にもよるが、十分に発達した紐状ミセルでは単一の緩和時間を有するMaxwell模型で記述出来る。これはフック弾性成分を示すバネ1個と、ニュートン粘性成分を示すダッシュポット1個を直列につないだモデルで示される(図1)。
図1で示される単一のMaxwell模型で定義される液体は、紐状ミセル溶液以外報告されておらず、紐状ミセル独特の特異的挙動ということが出来る。
<Maxwell模型における弾性率>
単一のMaxwell模型で定義される十分に発達した紐状ミセル溶液は、ストレス制御式レオメーターを用いて動的粘弾性測定を行ったときに、以下の式に対応する挙動を示す。
このとき、G’(ω)(Pa)は貯蔵弾性率、G’’(ω)(Pa)は損失弾性率、ω(rad・s−1)は与える剪断応力の角速度(角周波数)、τ(s)は緩和時間を示す。ここで緩和時間τ(s)とは与える剪断応力の初期値が、1/e(eは自然対数の底=2.718)になるまでに要する時間を表す。G’(ω)はサンプルに対して剪断応力をかけたときに、エネルギーを貯蔵する部位、つまり図1のモデル図におけるバネの部分の弾性率変化に対応し、G’’(ω)はエネルギー損失の部位、つまり図1のモデル図におけるダッシュポット部分の粘性率変化に対応している。
この挙動を横軸ω、縦軸にG’(ω)、G’’(ω)を模式的に図示すると図2のように表される。
上記式のGは図2の高周波数側で得られるG’のプラトー領域における平坦弾性率を表す。
上記式から導けるように、G’曲線とG’’曲線はω=1/τにおいてG’ = G’’となり交差する。また、上記式で示される動的粘弾性挙動を示す場合、Cole−Coleプロット(G’’ vs G’)を取ると、完全にG’軸上に中心を持つ半円状にデータが重なるという性質を持つ。すなわち、Cole−Coleプロット(G’’ vs G’)を取ることにより、簡易的に紐状ミセルの形成を判別できる。
本発明の組成物は、配管摩擦抵抗低減剤として用いることができる。
配管摩擦抵抗低減剤とは、密閉循環系を形成する配管中の水に添加することにより、配管と水との摩擦抵抗を低減させて冷温水ポンプの搬送動力(圧送エネルギー)を軽減させる剤をいう。
配管摩擦抵抗低減剤は、本発明の組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
冷温水ポンプの密閉循環系の水に、本発明の配管摩擦低減剤を添加すると、(A)成分と(B)成分がハイブリッド紐状ミセルを形成し、このハイブリッド紐状ミセルが循環水の乱れのエネルギー(乱流渦)を吸収し、循環水の流れを乱流から層流に変化させることができる。これにより、配管内の摩擦が低減されるため、冷温水ポンプの搬送動力を低減させることができる。
本発明の組成物は、増粘ゲル化剤として用いることができる。
増粘ゲル化剤は、本発明の組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明の増粘ゲル化剤は、(A)成分と(B)成分がハイブリッド紐状ミセルを形成することで、高い粘弾性を有するため、例えば、洗浄剤組成物に添加すれば、垂直又は傾斜した硬質等の汚れた表面に対して、より長い間付着させることができ、高い洗浄効果を上げることができる。
<スラリー組成物>
本発明のスラリー組成物は、(A)、(B)、粉体及び水を含有し、
(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、35/65以上50/50以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、25/75以上55/45以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、5/95以上45/55以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、5/95以上35/65以下である。
また本発明のスラリー組成物は、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセル、粉体及び水を含有する。
また本発明のスラリー組成物は、(A)成分、(B)成分、粉体及び水を含有し、該スラリー組成物の(A)成分、(B)成分及び水の組成で調製した水溶液の動的粘弾性がMaxwell型となる、スラリー組成物である。
本発明のスラリー組成物は、上記3つのスラリー組成物のことをいう。
また本発明のスラリー組成物は、本発明の組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明の粉体としては、本発明の効果に影響のない範囲内で無機粉体を用いることができる。無機粉体としては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。無機粉体のうち、水硬性粉体を用いるものが、水硬性スラリー組成物である。
(1)セメント、石膏などの水硬性粉体
(2)フライアッシュ、シリカフューム、火山灰、けい酸白土などのポソラン作用を持つ粉体
(3)石炭灰、高炉スラグ、けい藻土などの潜在水硬性粉体
(4)カオリン、ケイ酸アルミニウム、クレー、タルク、マイカ、ケイ酸カルシウム、セリサイト、ベントナイトなどのケイ酸塩
(5)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸鉛などの炭酸塩
(6)硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩
(7)ストロンチウムクロメート、ピグメントイエローなどのクロム酸塩
(8)モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム亜鉛、モリブデン酸マグネシウムなどのモリブデン酸塩
(9)アルミナ、酸化アンチモン、酸化チタニウム、酸化コバルト、四酸化三鉄、三酸化ニ鉄、四酸化三鉛、一酸化鉛、酸化クロムグリーン、三酸化タングステン、酸化イットリウムなどの金属酸化物
(10)水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、メタチタン酸などの金属水酸化物
(11)炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ホウ素、炭化チタンなどの金属炭化物
(12)窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、チタン酸バリウム、サチンホワイト、カーボンブラック、グラファイト、クロムイエロー、硫化水銀、ウルトラマリン、パリスブルー、チタニウムイエロー、クロムバーミリオン、リトポン、アセト亜ヒ酸銅、ニッケル、銀、パラジウム、チタン酸ジルコン酸鉛などの、上記(1)〜(11)に分類されない他の無機粉体
本発明のスラリー組成物は、水/粉体比(W/P)が、スラリー組成物の流動性を確保する観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、そして、スラリー組成物の材料分離を抑える観点から、好ましくは1000質量%以下、より好ましくは800質量%以下、更に好ましくは500質量%以下である。
ここで、水/粉体比(W/P)は、スラリー組成物中の水と粉体の質量百分率(質量%)であり、水/粉体×100で算出される。
<スラリー組成物の製造方法>
本発明のスラリー組成物の製造方法は、(A)成分、(B)成分、粉体及び水を混合する、スラリー組成物の製造方法であって、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、35/65以上50/50以下で用い、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、25/75以上55/45以下で用い、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、5/95以上45/55以下で用い、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、5/95以上35/65以下で用いる、
スラリー組成物の製造方法である。
また本発明のスラリー組成物の製造方法は、(A)成分、(B)成分、粉体及び水を混合して、(A)成分と(B)成分から形成されたハイブリッド紐状ミセルを含有するスラリー組成物を調製する、
スラリー組成物の製造方法である。
本発明のスラリー組成物の製造方法は、上記2つのスラリー組成物の製造方法をいう。
また本発明のスラリー組成物の製造方法は、本発明の組成物及びスラリー組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明のスラリー組成物の製造方法は、(A)成分の粉体への吸着を低減する観点から、水と粉体とを含むスラリーを調製し、(A)成分と(B)成分を該スラリーに添加し、混合してスラリー組成物を製造することが好ましい。
すなわち、本発明のスラリー組成物の製造方法は、水と粉体とを含むスラリーを調製し、(A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物と(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤を該スラリーに添加し、混合する、スラリー組成物の製造方法である。
水と粉体とを含むスラリーは、(A)成分の粉体への吸着を低減する観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、そして、好ましくは5分以下、より好ましくは4分以下、混練した後に、(A)成分と(B)成分を該スラリーに添加する。
(A)成分と(B)成分は、該スラリーに同時に添加しても良いが、該スラリーに(A)成分を添加して、1分以上5分以下混練した後、(B)成分を添加し混合する方法がより好ましい。
本発明のスラリー組成物及びスラリー組成物の製造方法は、分離安定性に優れ、下記の水硬性スラリー組成物及び水硬性スラリー組成物の製造方法として有用である。
本発明のスラリー組成物は粘性だけでなく、高い粘弾性も併せ持つため、分離安定性に優れていると考えられる。高い粘性だけではスラリーの粒子がゆっくりと沈降してしまうためだと考えらえる。
<水硬性スラリー組成物>
本発明の水硬性スラリー組成物は、(A)成分、(B)成分、水硬性粉体及び水を含有し、
(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、35/65以上50/50以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、25/75以上55/45以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、5/95以上45/55以下であり、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、5/95以上35/65以下である。
また本発明の水硬性スラリー組成物は、(A)成分と(B)成分から形成されたハイブリッド紐状ミセル、水硬性粉体及び水を含有する。
また本発明の水硬性スラリー組成物は、(A)成分、(B)成分、水硬性粉体及び水を含有し、該水硬性スラリー組成物の(A)成分、(B)成分及び水の組成で調製した水溶液の動的粘弾性がMaxwell型となる、水硬性スラリー組成物である。
本発明の水硬性スラリー組成物は、上記3つの水硬性スラリー組成物のことをいう。
本発明の水硬性スラリー組成物は、本発明の組成物、スラリー組成物及びスラリー組成物の製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明の水硬性スラリー組成物に使用される水硬性粉体とは、水と混合することで硬化する粉体であり、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。これらの中でも、水硬性スラリー組成物の必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントから選ばれるセメントが好ましく、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメントがより好ましい。
また、水硬性粉体には、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等が含まれてよく、また、非水硬性の石灰石微粉末等が含まれていてもよい。水硬性粉体として、セメントと高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等とが混合されたシリカヒュームセメントや高炉セメントを用いてもよい。
本発明の水硬性スラリー組成物は、骨材を含有することが好ましい。骨材は、細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
本発明の水硬性スラリー組成物には、本発明の効果に影響ない範囲で、水硬性組成物用として一般的に用いられる分散剤を用いることが出来る。
分散剤を加える時は、水と粉体と分散剤を混練後、(A)成分を加えて混練し、その後(B)成分を加えて混合することが好ましい。
本発明の水硬性スラリー組成物において、分散剤としてNSFを用いることが出来る。分散剤としてNSFを用いる時は(A)成分と同じものを用いることが出来る。NSF以外の分散剤は、ポリカルボン酸系、メラミン系重合体、フェノール系重合体、リグニン系重合体が挙げられ、水硬性スラリー組成物の必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、好ましくはポリカルボン酸系、メラミン系重合体、フェノール系重合体から選ばれる分散剤であり、より好ましくはポリカルボン酸系、フェノール系重合体から選ばれる分散剤である。
メラミン系重合体としてはメラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物(例えば花王株式会社製マイテイ150−V2)、フェノール系重合体としては、フェノールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(特開昭49−104919号公報に記載の化合物等)、リグニン系重合体としてはリグニンスルホン酸塩(ボレガード社製ウルトラジンNA、日本製紙ケミカル株式会社製サンエキス、バニレックス、パールレックス等)等を用いることができる。
ポリカルボン酸系共重合体としては、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体(例えば特開平8−12397号公報に記載の化合物等)、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールとマレイン酸等のジカルボン酸との共重合体等を用いることができる。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるカルボン酸の意味である。
ポリカルボン酸系共重合体としては、下記の一般式(1)で表される単量体(1)と下記の一般式(2)で表される単量体(2)とを重合して得られる共重合体〔以下、ポリカルボン酸系共重合体(I)という〕を用いることができる。
〔式中、
1、R2:水素原子、又はメチル基
p1:0以上2以下の数
q:0又は1の数
AO:炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基
r:AOの平均付加モル数であり、5以上150以下の数、
3:水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基
を表す。〕
〔式中、
4、R5、R6:水素原子、メチル基、又は(CH2p2COOM2
1、M2:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又は置換アルキルアンモニウム
p2:0以上2以下の数
を表す。なお、(CH2p2COOM2はCOOM1と無水物を形成していてもよい。〕
一般式(1)中、AOは、水硬性スラリー組成物の流動性の観点から、好ましくは炭素数2又は3、より好ましくは炭素数2のアルキレンオキシ基(エチレンオキシ基)である。
rは、水硬性スラリー組成物の24時間後の強度向上の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは9以上、更に好ましくは20以上、より更に好ましくは50以上、より更に好ましくは70以上の数である。rは、水硬性スラリー組成物の初期流動性の観点から、好ましくは150以下、より好ましくは130以下の数である。
qが0の場合は、p1は好ましくは1又は2である。qが1の場合は、p1は好ましくは0である。共重合体の重合時の重合性の観点から、qは1が好ましい。qが0の場合は、単量体の製造の容易性の観点からR3は水素原子が好ましい。qが1の場合は、単量体の製造の容易性の観点からR3は炭素数1以上4以下のアルキル基が好ましく、さらに水溶性の観点からメチル基がより好ましい。
単量体(1)として、例えば、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル及びアルケニルアルコールにアルキレンオキシドが付加したエーテル等を用いることができる。単量体(1)は、共重合体の重合時の重合性の観点から、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましい。
ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルとして、片末端封鎖されたアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を用いることができる。具体的には、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート及びエトキシポリエチレングリコールメタクリレート等の1種以上を用いることができる。
また、アルケニルアルコールにアルキレンオキシドが付加したエーテルとして、アリルアルコールのエチレンオキサイド付加物等を用いることができる。具体的には、メタリルアルコールのエチレンオキサイド付加物及び3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキサイド付加物等を用いることができる。
単量体(2)としては、アクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸等から選ばれる1種以上を用いることができる。単量体(2)は、単量体(1)のqが1の場合は、共重合体の重合時の重合性の観点から、メタクリル酸又はその塩が好ましく、単量体(1)のqが0の場合は、共重合体の重合時の重合性の観点から、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸が好ましい。
水硬性スラリー組成物は、本発明の効果に影響ない範囲で、更にその他の成分を含有することもできる。例えば、AE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、消泡剤等が挙げられる。
本発明の水硬性スラリー組成物は、(A)成分と(B)成分の合計含有量が、水硬性粉体100質量部に対して、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.002質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.02質量部以上であり、より更に好ましくは0.05質量部以上、より更に好ましくは0.1質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上、より更に好ましくは1質量部以上、より更に好ましくは1.5質量部以上、より更に好ましくは2質量部以上であり、そして、水硬性スラリー組成物の水和反応を阻害させない観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、より更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは8質量部以下である。
また本発明の水硬性スラリー組成物は、(A)成分の含有量が、水硬性粉体100質量部に対して、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、そして、水硬性スラリー組成物の水和反応を阻害させない観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
また本発明の水硬性スラリー組成物は、(B)成分の含有量が、水硬性粉体100質量部に対して、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、そして、水硬性スラリー組成物中における泡立ち抑制の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
本発明の水硬性スラリー組成物は、(A)成分と(B)成分の合計含有量が所定の範囲内であり、かつ(A)成分と(B)成分の各含有量が所定の範囲内であることが好ましい。
本発明の水硬性スラリー組成物は、実用上十分な粘弾性を得る観点から、(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、35/65以上、そして、50/50以下であり、好ましくは45/55以下である。
また(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、25/75以上、そして、55/45以下、である。さらに、(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超17以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは35/65以上、そして、好ましくは45/55以下であり、(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が17超18以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは45/55以下、より好ましくは35/65以下である。
また、(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、5/95以上、好ましくは15/85以上、より好ましくは25/75以上、そして、45/55以下、好ましくは35/65以下である。
また、(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、5/95以上、好ましくは15/85以上、そして、35/65以下、好ましくは25/75以下である。
本発明の水硬性スラリー組成物は、分散剤の含有量が、水硬性粉体100質量部に対して、実用上十分な流動性を得る観点から、好ましくは0.0005質量部以上、より好ましくは0.001質量部以上、更に好ましくは0.005質量部以上、そして、水硬性組成物の水和反応を阻害しない観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
本発明の水硬性スラリー組成物は、水/水硬性粉体比(W/P)が、水硬性スラリー組成物の流動性を確保する観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、そして、水硬性スラリー組成物の水硬性を確保する観点から、好ましくは500質量%以下、より好ましくは400質量%以下、更に好ましくは300質量%以下である。
ここで、水/水硬性粉体比(W/P)は、水硬性スラリー組成物中の水と水硬性粉体の質量百分率(質量%)であり、水/水硬性粉体×100で算出される。水/水硬性粉体比は、水和反応により硬化する物性を有する粉体の量に基づいて算出される。
<水硬性スラリー組成物の製造方法、圧送方法>
本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法は、(A)成分、(B)成分、水硬性粉体及び水を混合する、水硬性スラリー組成物の製造方法であって、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、35/65以上50/50以下で用い、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、25/75以上55/45以下で用い、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、5/95以上45/55以下で用い、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、5/95以上35/65以下で用いる、
水硬性スラリー組成物の製造方法である。
また本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法は、(A)成分、(B)成分、水硬性粉体及び水を混合して、(A)成分と(B)成分から形成されたハイブリッド紐状ミセルを含有する水硬性スラリー組成物を調製する、
水硬性スラリー組成物の製造方法である。
本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法は、上記2つの水硬性スラリー組成物の製造方法のことをいう。
本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法は、本発明の組成物、スラリー組成物、スラリー組成物の製造方法及び水硬性スラリー組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法は、(A)成分の粉体への吸着を低減する観点から、水と水硬性粉体とを含むスラリーを調製し、(A)成分と(B)成分を該スラリーに添加し、混合して水硬性スラリー組成物を製造することが好ましい。
すなわち、本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法は、水と水硬性粉体とを含むスラリーを調製し、(A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物と(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤を該スラリーに添加し、混合する、水硬性スラリー組成物の製造方法である。
水と水硬性粉体とを含むスラリーは、(A)成分の粉体への吸着を低減する観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、そして、好ましくは5分以下、より好ましくは4分以下、混練した後に、(A)成分と(B)成分を該スラリーに添加する。
(A)成分と(B)成分は、該スラリーに同時に添加しても良いが、該スラリーに(A)成分を添加して、1分以上5分以下混練した後、(B)成分を添加し混合する方法がより好ましい。
本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法において、分散剤を添加する場合、本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法は、水と水硬性粉体と分散剤とを含むスラリーを調整し、該スラリーに前記質量比(A)/(B)を満たす量の(A)成分を添加し混合した後、前記質量比(A)/(B)を満たす量の(B)成分を添加し混合して、水硬性スラリー組成物を製造することが好ましい。
分散剤としてNSFを用いる時は(A)成分と同じものを用いることが出来る。
本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法において、各成分の混合は、既存の装置を全て使用可能であり、例えば、傾胴ミキサー、パン型ミキサー、二軸強制ミキサー、オムニミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、及びナウターミキサーなどが挙げられる。
本発明に係る水硬性スラリー組成物の打設の方法は、水硬性スラリー組成物をポンプで圧送する工程と、ポンプで圧送された水硬性スラリー組成物を打設する工程、を有する方法が挙げられる。
本発明により、前記本発明の水硬性スラリー組成物は、打設場所まで運搬しその後型枠に流し込み打設を行う。運搬方法は、一般的に用いる方法が挙げられ、特に限定されるものでは無いが、ポンプで圧送する方法、ミキサー車で運搬する方法、混合機からホッパーに流し込み移動させる方法等が挙げられる。粘性が低減できる観点から、ミキサー車やホッパーで運搬できない場所に打設する場合などは、低い能力のポンプでも圧送出来る利点があり、特にポンプで圧送する運搬方法が好適である。
本発明の水硬性スラリー組成物をポンプ圧送する場合は、所望の物性に調整され、練りあがった水硬性スラリー組成物を、適切に配設された配管にポンプで圧送することで実施できる。ミキサー車などで搬送後に、水硬性組成物をポンプ車などのポンプを用いて圧送することもできる。
ポンプの種類は、一般的に用いるスクイーズ式とピストン式などが挙げられ、特に限定されるものではない。
<キット>
本発明のキットは、(A)成分を含む水溶液と、(B)成分を含む水溶液を含んで構成されるキットであって、
(A)成分を含む水溶液と(B)成分を含む水溶液が、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、35/65以上50/50以下となるように混合され、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、25/75以上55/45以下となるように混合され、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、5/95以上45/55以下となるように混合され、
(B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、5/95以上35/65以下となるように混合される、
キットである。
また本発明のキットは、(A)成分を含む水溶液と、(B)成分を含む水溶液を含んで構成されるキットであって、
(A)成分を含む水溶液と(B)成分を含む水溶液が、ハイブリッド紐状ミセルを形成するように混合される、キットである。
また本発明のキットは、(A)成分を含む水溶液と、(B)成分を含む水溶液を含んで構成されるキットであって、
(A)成分を含む水溶液と(B)成分を含む水溶液が、Maxwell型の動的粘弾性を示すように混合される、キットである。
本発明のキットは、上記3つのキットのことをいう。
また本発明のキットは、本発明の組成物、スラリー組成物、スラリー組成物の製造方法、水硬性スラリー組成物及び水硬性スラリー組成物の製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明のキットは、成分を分けて保存できる容器に収容し、使用時に混合して用いる。特に、(A)成分を含む水溶液と(B)成分を含む水溶液とを、それぞれ分離して保持する容器に充填してなるキットが好ましい。
本発明のキットを用いることで、本発明のスラリー組成物又は水硬性スラリー組成物を得ることができる。すなわち、本発明のキットは、スラリー組成物製造用又は水硬性スラリー組成物製造用として好適である。また本発明のキットは、配管摩擦抵抗低減剤用又は増粘ゲル化剤用としても好適である。
表1〜4に示した(A)成分、(A)成分の比較化合物となる(A’)成分、(B)成分、及び(B)成分の比較化合物となる(B’)成分は、以下のものを用いた。
(A)成分
・NSF1:花王株式会社製、デモールNL、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、重量平均分子量(表中、Mwとする)3800
・NSF2:花王株式会社製、マイテイ150、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、重量平均分子量13000
(A’)成分
・パラトルエンスルホン酸ナトリウム:和光純薬工業株式会社製、試薬、分子量194
(B)成分
・ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド:花王株式会社製、コータミン60w、長鎖炭化水素基の平均炭素数16
・アルキルトリメチルアンモニウムクロライド〔C16/C18=60/40(質量比)〕:花王株式会社製、コータミン68w、長鎖炭化水素基の平均炭素数16.8
・アルキルトリメチルアンモニウムクロライド〔C16/C18=17/83(質量比)〕:花王株式会社製、コータミン86w、長鎖炭化水素基の平均炭素数17.7
・ドコシルトリメチルアンモニウムクロライド:花王株式会社製、コータミン2285E−E、長鎖炭化水素基の平均炭素数22
長鎖炭化水素基の平均炭素数は、(B)成分の原料である3級アルキルアミンをGC(ガスクロマトグラフィー)測定によるピーク面積比較により算出した。具体的な条件は下記の通りである。
<GCの測定条件>
サンプル調製:ヘキサン溶液
GC装置:Agilent 6850(アジレント・テクノロジー株式会社製)
カラム:キャピラリーカラム、J&W DB−17HT(アジレント・テクノロジー株式会社製)
温度、昇温速度 30℃/分 60→320℃
注入口;60℃
検出器;320℃
検出器:FID
キャリアガス:ヘリウム
(B’)成分
・テトラブチルアンモニウムクロライド:東京化成工業株式会社製、試薬
・ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド:和光純薬工業株式会社製、試薬
・ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド:花王株式会社製、コータミン24P
<組成物の調製方法>
20℃の水に、(A)成分又は(A’)成分を添加し、市販のハンドミキサーを用いて、均一に溶解するまで、約1分間、撹拌した。次に(B)成分又は(B’)成分を添加し、市販のハンドミキサーを用いて、粘弾性が発現するまで、約2分間、撹拌し、表1〜4記載の各組成物を得た。なお、組成物が十分に混合可能であれば、撹拌方法は特に問わない。本発明の組成物の調製方法は、上記の調製方法に限定されるものではない。
<貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’、複素粘度│η*│の評価>
調製した各組成物に対して、下記条件にて、各組成物の各温度(20℃、40℃、60℃)における動的粘弾性測定を行い、角周波数ω=1.34(1/s)における貯蔵弾性率G’(Pa)と損失弾性率G’’(Pa)を得た。それらの値を用いて複素粘度の絶対値η*(Pa・s)を算出した。
・測定装置名:(株)アントンパール・ジャパン製 MCR301
・アプリケーション:RHEOPLUS
・測定治具:コーンプレートCP−50(d=0.097mm)
・ひずみ:10%
・角周波数測定範囲:0.00624〜62.4(1/s)
複素粘度の絶対値η*は、静的粘弾性測定における粘度と相関のあるパラメータである。特定の各周波数ω1におけるG’の絶対値を底辺、G’’の絶対値を立辺とする直角三角形の斜辺の値としてG*の絶対値が求まり、このG*をω1で除することにより、絶対値のη*が算出される。
各組成物の測定結果から、複素粘度|η*|×測定温度の総和の値を算出した。この総和が大きいほど、幅広い温度で高い粘弾性を示すと考えられる。界面活性剤の添加量を一定とした場合、各温度における複素粘度|η*|はアルキル鎖を持つ界面活性剤のクラフト点と、形成した紐状ミセルの緩和時間によって支配されている。紐状ミセルの緩和時間とは、紐状ミセルの絡み合い具合を示すパラメータであり、図2に示すようなMaxwell型曲線において、損失弾性率G’’が極大値を示す角周波数ωの逆数によって算出される。この緩和時間は一般にアルキル鎖長が長い界面活性剤ほど長い。一般にクラフト点の高い界面活性剤(ドコシルトリメチルアンモニウムクロライドなど)はクラフト点以上の温度をかけなければ界面活性能を示さず、したがってクラフト点未満の温度における紐状ミセル形成能は低く、高い粘弾性を得ることはできない。低温領域で粘弾性を得たい場合は、クラフト点が低い(アルキル鎖長が短い)界面活性剤を選択すべきである。一方、クラフト点以上の温度において、紐状ミセルが十分に形成されている場合、紐状ミセルの緩和時間は、一般にアルキル鎖長が長い界面活性剤ほど長い。この緩和時間は溶媒温度が上昇すると低下し、溶媒の運動性上昇の影響によって絡み合いが弱くなってゆくことが分かる。したがって、クラフト点以上の温度で比較した時は、緩和時間の長い紐状ミセルほど、高温でも粘弾性を示すことができる。よって、これらのバランスを考慮して、いずれかの温度で高い複素粘度|η*|を示すことが分かる複素粘度|η*|×測定温度の総和の値を採用した。
比較例2−1の組成物は従来品であり、動的粘弾性を有するのは20℃近辺のみと狭いため、例えば、組成物中の水100質量部に対する(A)成分と(B)成分の含有量の合計が比較例2−1の組成物と同じ3質量部において、この組成物の複素粘度と測定温度の積の総和を上回る組成物を実施例とし、下回るものを比較例とした。
また、動的粘弾性特性は応力の向きと大きさが時間と共に変わり、例えば水硬性組成物の混練では一定の力が一方向にかかり続けるとの違いがあるが、動的粘弾性特性の角周波数が1〜10程度が、水硬性組成物の混練時の状態に近いと言われている。このため、角周波数が1〜10の範囲であれば、どの角周波数でも複素粘度の測定結果として用いることができると考えられるが、本発明では1.34の時の複素粘度を代表値とした。
これらの結果を表1〜表4に示した。
表中の水100質量部に対する(A)と(B)の含有量の合計は、(A)成分と(B)成分の各有効分量の合計である。
また比較例の一部は、(A’)を(A)、(B’)を(B)として、水100質量部に対する(A)と(B)の含有量の合計及び(A)/(B)質量比を示した。
また表中の「分離」とは、組成物中に沈殿物が析出した状態のことを指し、動的粘弾性測定を行わなかった。
<ハイブリッド紐状ミセル(Maxwell型)の確認>
実施例3−1の組成物の測定温度40℃における動的粘弾性特性をプロットしたグラフを図3に示す。この曲線は特開2009−227659号公報、段落[0023]〜[0025]に記載された理論式に乗っており、G’’が単一の極大値を有していることから、Maxwell型を示していることが分かる。その他の実施例の組成物については、各温度において、同様に動的粘弾性特性を測定し、温度が上昇するほど、Maxwell型曲線がニュートン流体型に近づいていく傾向を示したが、Maxwell型であることを確認した。
<水中不分離性の評価>
水中不分離性は、コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(JSCE−D 104−2007)付属書2における、水中不分離性コンクリートの水中分離度試験方法と類似する以下の方法で評価した。
実施例1−4と比較例2−14の組成物を用いて水中不分離性の評価を行った。具体的な調製方法は、水とセメント(普通ポルトランドセメント、太平洋セメント製と住友大阪セメント製を質量比1/1で混合した物)400gを混合し、モルタルミキサーを用いて20℃で1分間撹拌し、その後、(A)成分の40質量%の水溶液を添加し20℃で1分間混合した。(B)成分又は(B’)成分の28質量%の水溶液を添加し、更に1分間撹拌を続けることで、粘弾性を有する水硬性スラリー組成物を調製した。
最初にセメントに添加した水量と(A)成分の水溶液の水量と(B)成分又は(B’)成分の水溶液の水量との合計は400gとなるように調製した。
なお、水100質量部に対する(A)成分と(B)成分又は(B’)成分の含有量と、(A)/(B)質量比は、実施例1−4又は比較例2−14の組成物と同様になるように調製した。調製した各水硬性組成物の水/水硬性粉体比(W/P)は100質量%であった。
水中分離度試験として、調製した各水硬性スラリー組成物の約100gを約200mLの水中へ添加し、水硬性スラリー組成物の水中での飛散具合を目視で確認した。
結果を図4、図5に示した。図4は、実施例1−4の水溶液を用いた水硬性スラリー組成物の水中不分離性評価における水相の濁り状態を示す写真である。図5は、比較例2−14の水溶液を用いた水硬性スラリー組成物の水中不分離性評価における水相の濁り状態を示す写真である。
図4中、実施例1−4は、水中に投入した後も分離せず、ビーカー中の水相越しから、背景の縞模様が確認でき、水相の濁りがなく、水中不分離性に優れていることが分かる。図5中、実施例2−14は、ビーカー中の水相越しから、背景の縞模様が確認できず、水相の濁りが有り、水硬性スラリー組成物が水中で飛散していることが分かる。

Claims (22)

  1. (A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)、
    (B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基という)を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)及び水を含み、
    (A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、35/65以上50/50以下であり、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、25/75以上55/45以下であり、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、5/95以上45/55以下であり、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、5/95以上35/65以下であり、
    (A)成分と(B)成分の含有量の合計が、水100質量部に対して0.5質量部以上8質量部以下である、組成物。
  2. (A)成分の重量平均分子量が、3000以上20000以下である、請求項1に記載の組成物。
  3. (A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)と(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基という)を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)から形成された紐状ミセル及び水を含み、
    (A)成分と(B)成分の含有量の合計が、水100質量部に対して0.5質量部以上8質量部以下である、組成物。
  4. (A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、35/65以上50/50以下であり、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、25/75以上55/45以下であり、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、5/95以上45/55以下であり、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、5/95以上35/65以下である、請求項に記載の組成物。
  5. (A)成分の重量平均分子量が、3000以上20000以下である、請求項3又は4に記載の組成物。
  6. (A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基という)を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)及び水を含み、動的粘弾性がMaxwell型であり、
    (A)成分と(B)成分の含有量の合計が、水100質量部に対して0.5質量部以上8質量部以下である、組成物。
  7. (A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、35/65以上50/50以下であり、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、25/75以上55/45以下であり、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、5/95以上45/55以下であり、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、5/95以上35/65以下である、請求項に記載の組成物。
  8. (A)成分の重量平均分子量が、3000以上20000以下である、請求項6又は7に記載の組成物。
  9. 請求項1〜の何れか1項に記載の組成物及び粉体を含有するスラリー組成物。
  10. 粉体が水硬性粉体である、請求項に記載のスラリー組成物。
  11. (A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基という)を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)、粉体及び水を混合する、スラリー組成物の製造方法であって、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、35/65以上50/50以下で用い、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、25/75以上55/45以下で用い、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、5/95以上45/55以下で用い、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、5/95以上35/65以下で用い、
    (A)成分と(B)成分の混合量の合計が、水100質量部に対して0.5質量部以上8質量部以下で用いる、
    スラリー組成物の製造方法。
  12. (A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)、粉体及び水を混合して、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセルを含有するスラリー組成物を調製する、スラリー組成物の製造方法であって、
    (A)成分と(B)成分の混合量の合計が、水100質量部に対して0.5質量部以上8質量部以下で用いる、
    スラリー組成物の製造方法。
  13. 水と粉体とを含むスラリーを調製し、(A)成分と(B)成分を該スラリーに添加し、混合する、請求項11又は12に記載のスラリー組成物の製造方法。
  14. 水と粉体とを含むスラリーを調製し、該スラリーに(A)成分を添加し混合した後、(B)成分を添加し混合する、請求項1113の何れか1項に記載のスラリー組成物の製造方法。
  15. 水と粉体と分散剤とを含むスラリーを調整し、該スラリーに前記質量比(A)/(B)を満たす量の(A)成分を添加し混合した後、前記質量比(A)/(B)を満たす量の(B)成分を添加し混合する、請求項11に記載のスラリー組成物の製造方法。
  16. 分散剤がナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物である請求項15に記載のスラリー組成物の製造方法。
  17. 粉体が水硬性粉体である、請求項1116の何れか1項に記載のスラリー組成物の製造方法。
  18. (A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)を含む水溶液と、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基(以下、長鎖炭化水素基という)を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)を含む水溶液を含んで構成される、(A)成分、(B)成分及び水を含む組成物の調製に用いられるキットであって、
    (A)成分を含む水溶液と(B)成分を含む水溶液が、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が14以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、35/65以上50/50以下となるように混合され、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が16超18以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、25/75以上55/45以下となるように混合され、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が1000以上5000以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、5/95以上45/55以下となるように混合され、
    (B)成分の長鎖炭化水素基の平均炭素数が18超24以下で、かつ、(A)成分の重量平均分子量が5000超100000以下の場合、(A)成分と(B)成分とを、質量比(A)/(B)が、5/95以上35/65以下となるように混合され、
    前記組成物中の水100質量部に対して、(A)成分と(B)成分の含有量の合計が、0.5質量部以上8質量部以下となるように混合される、
    キット。
  19. (A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)を含む水溶液と、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)を含む水溶液を含んで構成される、(A)成分、(B)成分及び水を含む組成物の調製に用いられるキットであって、
    (A)成分を含む水溶液と(B)成分を含む水溶液が、
    紐状ミセルを形成するように混合され、
    前記組成物中の水100質量部に対して、(A)成分と(B)成分の含有量の合計が、0.5質量部以上8質量部以下となるように混合される、
    キット。
  20. (A)重量平均分子量が1000以上100000以下である、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(以下、(A)成分という)を含む水溶液と、(B)平均炭素数14以上24以下の炭化水素基を少なくとも1つ有するカチオン性界面活性剤(以下、(B)成分という)を含む水溶液を含んで構成される、(A)成分、(B)成分及び水を含む組成物の調製に用いられるキットであって、
    (A)成分を含む水溶液と(B)成分を含む水溶液が、
    Maxwell型の動的粘弾性を示すように混合され、
    前記組成物中の水100質量部に対して、(A)成分と(B)成分の含有量の合計が、0.5質量部以上8質量部以下となるように混合される、
    キット。
  21. 粉体スラリー組成物製造用である、請求項1820の何れか1項に記載のキット。
  22. 水硬性スラリー組成物製造用である、請求項1820の何れか1項に記載のキット。
JP2015256584A 2015-12-28 2015-12-28 組成物 Active JP6652382B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015256584A JP6652382B2 (ja) 2015-12-28 2015-12-28 組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015256584A JP6652382B2 (ja) 2015-12-28 2015-12-28 組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017119761A JP2017119761A (ja) 2017-07-06
JP6652382B2 true JP6652382B2 (ja) 2020-02-19

Family

ID=59271622

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015256584A Active JP6652382B2 (ja) 2015-12-28 2015-12-28 組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6652382B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7514679B2 (ja) 2020-07-27 2024-07-11 日本製紙株式会社 付加製造用セメント組成物とその製造方法
JP7514678B2 (ja) 2020-07-27 2024-07-11 日本製紙株式会社 セメント組成物の製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08231256A (ja) * 1995-02-28 1996-09-10 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd セメント分散剤
JP3875137B2 (ja) * 2001-06-15 2007-01-31 花王株式会社 スラリーレオロジー改質剤
JP5296571B2 (ja) * 2008-02-27 2013-09-25 株式会社ファンケル 紐状ミセル形成組成物
JP5446375B2 (ja) * 2009-03-27 2014-03-19 宇部興産株式会社 耐硫酸性付与剤、耐硫酸性モルタル組成物並びに耐硫酸性コンクリート組成物及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017119761A (ja) 2017-07-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6689784B2 (ja) レオロジー改質剤
JP6180783B2 (ja) 水硬性組成物
JP6706233B2 (ja) レオロジー改質剤
JP6689676B2 (ja) 水硬性組成物用分散剤組成物
JP6275467B2 (ja) 水硬性組成物
JP6171038B2 (ja) 水硬性組成物用分散剤組成物
JP6652382B2 (ja) 組成物
JP4439904B2 (ja) 水硬性組成物
JP2020138899A (ja) ジオポリマー用減粘剤及びジオポリマー硬化体
JP7098582B2 (ja) 無機粒子含有組成物用添加剤
JP6818732B2 (ja) レオロジー改質剤
JP4407941B2 (ja) 水硬性組成物
JP2019104878A (ja) レオロジー改質剤
JP2009155173A (ja) 水硬性組成物用混和剤
JP6689677B2 (ja) 水硬性組成物用分散剤組成物
JP7362243B2 (ja) レオロジー改質剤
JP7256095B2 (ja) 水硬性組成物用増粘剤組成物
JP2018043919A (ja) 水硬性組成物用分散剤組成物
JP2023046000A (ja) 粉末状増粘剤組成物
JP6924688B2 (ja) 水底地盤改良用注入材
JP2022184203A (ja) グラウト製造用添加剤組成物
JP2023046002A (ja) 粉末状増粘剤組成物の製造方法
JP2023135188A (ja) スラリーの製造方法
JP2015196613A (ja) セメント添加剤
JP2021172530A (ja) 水硬性組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180912

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190730

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190902

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200123

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6652382

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250