JP6649104B2 - クレーン - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンを動力源として油圧ポンプを駆動すると共に、操作入力に応じて油圧ポンプの運転状態をアンロード状態からオンロード状態へと切り換える作業車両に関する。
この種の作業車両としては、例えばクローラクレーンが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示されるクローラクレーンは、エンジンによって油圧ポンプを駆動して圧油を発生し、発生した圧油を、切換制御弁装置を介して各油圧アクチュエータへと供給している。
特開2009−121514号公報
しかしながら、上記従来技術では、オペレータの操作部の操作に応じて、油圧ポンプの運転状態が圧油を無負荷で循環するアンロード状態から圧油を負荷経由で循環するオンロード状態(圧油を油圧アクチュエータに供給する状態)へと切り換わった際に、エンジンのトルクが負荷に負けてしまい、エンジンストールが発生する場合があった。このエンジンストールは、例えば、冬季のエンジン始動後等、圧油温度が低く圧油の粘性が高いときに発生しやすい。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、アンロード状態からオンロード状態へと切り換わった際のエンジントルクの不足によるエンジンストールの発生を防止し得るクレーン及びエンジンストール防止装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るクレーンは、エンジンを駆動源として油圧ポンプを駆動すると共に、操作部を介した操作入力に応じて前記油圧ポンプで発生した圧油を無負荷で循環するアンロード状態から前記圧油を負荷経由で循環するオンロード状態へと切り換える動作を行うクレーンであって、前記圧油の圧力を通常作動時の圧力よりも低い予め設定した設定圧力に制限するリリーフ弁と、前記リリーフ弁を作動させるためのリリーフ弁作動用電磁弁と、前記アンロード状態のときに前記操作入力を受け付けたと判定すると、該操作入力の継続時間が予め設定した設定時間以上となるまでは前記リリーフ弁作動用電磁弁を制御して前記リリーフ弁を作動し前記圧油の圧力を前記設定圧力に制限するエンジンストール防止処理部と、を備える。
また、本発明の一態様に係るクレーンにおいて、当該クレーンは、トラックのエンジンを駆動源として油圧ポンプを駆動すると共に、操作部を介した操作入力に応じて前記油圧ポンプで発生した圧油を無負荷で循環するアンロード状態から前記圧油を負荷経由で循環するオンロード状態へと切り換える動作を行う、車両搭載型クレーンであることは好ましい。
また、本発明の一態様に係るクレーンにおいて、フックを格納する際に前記圧油の圧力を前記設定圧力に制限するフック格納油圧制御処理部を備え、前記リリーフ弁及び前記リリーフ弁作動用電磁弁を、前記フック格納油圧制御処理部と前記エンジンストール防止処理部とで兼用することは好ましい。
また、本発明の一態様に係るクレーンにおいて、前記油圧ポンプは固定容量型のポンプであることは好ましい。
また、本発明の一態様に係るクレーンにおいて、前記油圧ポンプの運転状態を、開状態のときに前記アンロード状態とし閉状態のときに前記オンロード状態とするアンロード弁と、該アンロード弁を作動させるためのアンロード弁作動用電磁弁とを備え、前記アンロード弁作動用電磁弁は、ON状態及びOFF状態のいずれか一方のときに前記アンロード弁を開状態とし、ON状態及びOFF状態のいずれか他方のときに前記アンロード弁を閉状態とするON−OFF型の電磁弁であることは好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るエンジンストール防止装置は、エンジンを駆動源として油圧ポンプを駆動すると共に、操作部の操作入力に応じて前記油圧ポンプで発生した圧油を無負荷で循環するアンロード状態から前記圧油を負荷経由で循環するオンロード状態へと切り換える動作を行う作業車両に適用されるエンジンストール防止装置であって、前記作業車両は、前記圧油の圧力を通常作動時の圧力よりも低い予め設定した設定圧力に制限するリリーフ弁と、前記リリーフ弁を作動させるためのリリーフ弁作動用電磁弁とを備えており、前記アンロード状態のときに前記操作入力を受け付けたと判定すると、該操作入力の継続時間が予め設定した設定時間以上となるまでは前記リリーフ弁作動用電磁弁を制御して前記リリーフ弁を作動し前記圧油の圧力を前記設定圧力に制限するエンジンストール防止処理部を備える。
本発明によれば、未操作状態であるアンロード状態から、操作入力に応じてアンロード状態を解除すると共に、操作入力の継続時間が予め設定した設定時間以上となるまでリリーフ弁を作動させて圧油の圧力を通常作動時よりも低い設定圧力に制限するようにした。これによって、アンロード状態からオンロード状態へと切り換わった直後のエンジン回転数が低くエンジントルクが小さくなる期間を低圧設定にして必要トルクを低減することが可能となる。その結果、アンロード状態からオンロード状態へと切り換えた際に、必要トルクがエンジントルクを上回ることを防止して、エンジントルクの不足によるエンジンストールの発生を防止することが可能となる。
本発明に係るクレーンの一実施形態であるクローラクレーンの右側面図である。同図では、機体上にアウトリガ装置を格納した状態を示している。 実施形態に係るクレーン装置の先端側の詳細な構成を示す部分斜視図である。 実施形態に係る油圧回路の一例を示す図である。 実施形態に係るコントローラの信号の入出力関係を示すブロック図である。 実施形態に係るコントローラのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 実施形態に係るクレーン作動制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 実施形態に係るクローラクレーンのエンジントルクとエンジン回転数とスロットル開度との関係を示すタイムチャートである。 (a)は、エンジンストール防止処理を行わなかった場合のエンジントルクと必要トルクとの関係を示すタイムチャートであり、(b)は、エンジンストール防止処理を行った場合のエンジントルクと必要トルクとの関係を示すタイムチャートである。
以下、本発明に係るエンジンストール防止装置を備える作業車両の一実施形態であるクローラクレーンについて、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
(構成)
図1に示すように、このクローラクレーン1は、機体2にオペレータが搭乗せずに走行する小型のクローラクレーンである。機体2の後部には、オペレータが立って操作するための操縦部4が、走行時の操作位置(同図左側の位置)に設けられている。操縦部4には、左右一対の走行操作レバー40R及び40Lがオペレータの立つ側に向けて斜め上方に張り出している。操縦部4正面の機体2の中央には、原動部5および不図示のコントロールボックスを備えている。
原動部5の筐体内部には、図3に示す、エンジン50と、このエンジン50を駆動源として駆動する圧油供給装置51と、この圧油供給装置51から供給される圧油の油路を切換制御する各種切換制御弁が積層されたコントロールバルブ52とが設けられている。また、コントロールボックスの内部には、図4に示す、コントローラ20と、受信機21とが設けられている。
さらに、このクローラクレーン1は、図1に示すように、機体2の下部に、クローラ装置3が装備され、機体2の上部に、クレーン装置6と、複数のアウトリガ装置10とが搭載されている。
なお、このクローラクレーン1は、オペレータが立って操作するための操縦部4に、走行モードとクレーンモードとを切り換えるための走行−クレーン切換スイッチ(不図示)が設けられている。
さらに、このクローラクレーン1は、機体2の前部に、クレーン装置6及びアウトリガ装置10を操作するための各種操作レバーや各種操作スイッチを備えた機体側操作装置500(後述)が設けられている。
上記各種操作レバー(不図示)は、各種油圧アクチュエータにそれぞれ対応して設けられており、中立位置から機体2に対して接近又は離間する方向に傾倒することで操作レバーに対応する油圧アクチュエータを駆動することが可能となっている。
具体的に、各種操作レバーは、クレーン装置6の左旋回動作及び右旋回動作を操作するレバー、ブーム7(後述)の伸縮動作を操作するレバー、フック8(後述)の巻上動作及び巻下動作を操作するレバー、ブーム7の起伏動作を操作するレバーを含む。
また、上記各種操作スイッチ(不図示)は、クレーン操作−アウトリガ操作切換スイッチ、複数のアウトリガ装置10のうちから操作するアウトリガ装置を選択するためのアウトリガ選択スイッチ、選択したアウトリガ装置を操作するアウトリガ操作スイッチ、フック8をフック格納位置まで格納するためのフック格納スイッチなどを含む。
なお、クレーン操作−アウトリガ操作切換スイッチは、クレーンモードにおいて、クレーン装置6を操作可能とするためのクレーン操作モードとアウトリガ装置10を操作可能とするためのアウトリガ操作モードとを切り換えるためのスイッチである。
上記各モード切り換えスイッチによって、上述のクローラ装置3、アウトリガ装置10およびクレーン装置6は、安全のため同時には作動できないように構成されている。
さらに、このクローラクレーン1は、クレーン操作を遠隔で行うことが可能な遠隔操作装置501(後述)を備えている。この遠隔操作装置501は、図示省略するが、遠隔操作装置501の筺体に設けられた各種操作レバーや各種操作スイッチにより、機体側操作装置500の操作レバー及び操作スイッチと同等の操作が可能に構成されている。
なお、遠隔操作装置501には、後述するアウトリガシリンダ77FR、77FL、77BR及び77BLを作動させる操作スイッチや、フック8を格納位置まで巻き上げるフック格納動作を実行するフック格納スイッチを含んでいる。
クローラ装置3は、例えばゴム製の履帯が機体2の左右に装着されている。そして、図3に示すように、これら左右の履帯それぞれに対応する二つの走行用油圧モータ31L及び31Rを備えている。走行用油圧モータ31L及び31Rは、何れも圧油供給装置51から走行用切換制御弁30を介して圧油を個別に供給することによりそれぞれが独立して作動するようになっている。
これにより、このクローラクレーン1は、走行モードにおいて、圧油供給装置51を作動させ、左右一対の走行操作レバー40L及び40Rを同時に前進または後退操作することで、機体2下部のクローラ装置3を駆動して車両速度が人の歩く速度程度で前進または後退方向に走行可能である。また、クローラ装置3を有する機体2が右折ないし左折する場合、左右一対の走行操作レバー40L及び40Rを個別に前進または後退操作することで、対応する左右の履帯を個別に駆動できるため、単純に左右の速度差で回頭可能である。
クレーン装置6は、図1及び図2に示すように、機体2の上部に旋回自在に設けられたコラム(不図示)と、コラムの内部に設けられたウインチ(不図示)と、コラムの上端部に起伏自在に枢支されたブーム7と、ブーム7の先端部から吊り下げられたフック8と、フック巻上用ワイヤロープ13と、ブーム7の先端部に設けられた滑車17とを有する。
具体的に、ウインチからフック巻上用ワイヤロープ13をブーム7の先端部に導いて、ブーム7の先端部の滑車17を介してフック8に掛け回すことにより、フック8がブーム7の先端部から吊り下げられている。
クレーン装置6は、さらに、巻過検出用ウェイト14と、巻過用ワイヤロープ15と、巻過防止装置18と、コードリール19とを有する。
巻過防止装置18は、ブーム7の先端部に取付けられた巻過検出スイッチ16を備えている。また、巻過検出用ウェイト14は、巻過検出スイッチ16の作動リンクから、巻過用ワイヤロープ15で吊り下げられている。図2に示すように、巻過用ワイヤロープ15が張っている状態(弛んでいない状態)で巻過検出用ウェイト14が吊り下げられている状態では、巻過検出スイッチ16はON状態となる。
一方、ウインチによりフック巻上用ワイヤロープ13が巻上げられフック8がブーム7の先端近くまで上昇すると、巻過検出用ウェイト14がフック8の上端部に当接してフック8が上昇する。これにより、巻過検出用ウェイト14が持上げられ、巻過用ワイヤロープ15が弛んで巻過検出用ウェイト14によって引下げられていた作動リンクが元の位置に復帰し、巻過検出スイッチ16がOFF状態となる。
ここで、巻過防止装置18は、コードリール19の信号線を介してコントローラ20と接続されており、図4の信号の入出力関係を示すブロック図で示すと、上記の巻過検出スイッチ16がON状態になるときでは、巻過防止装置18はコントローラ20に信号Roを送信する。相対して、巻過検出スイッチ16がOFF状態になるときでは、巻過防止装置18はコントローラ20に信号Roを送信しない。
コントローラ20は、巻過防止装置18からの信号Roを受信しなくなることでフック8の巻過状態を検出する。そしてそれによってコントローラ20は、後述するアンロード弁作動用ソレノイド171に作動信号Uoを出力して、アンロード弁作動用ソレノイド171をOFF状態からON状態に切り換える。
なお、本実施形態では、エンジン50の始動と同時にコントローラ20に電源が供給され、アンロード弁作動用ソレノイド171に作動信号Uoを出力するように構成されている。即ち、アンロード弁作動用ソレノイド171は、エンジン50の始動と同時にON状態になり、アンロード状態となる。
本実施形態のコントローラ20は、巻過防止装置18からの巻過検出信号Roの入力に応じて、ブーム7の起立動作及び伸長動作と、フック8の巻上動作とを不能とする巻過防止制御を行うように構成されている。
さらに、クレーン装置6は、図3に示すように、コラムの旋回、ブーム7の伸縮、ウインチの巻上げ及び巻下げ、及びブーム7の起伏を行うための油圧アクチュエータとして、旋回用油圧モータ600、ブーム伸縮用油圧シリンダ601、ウインチ用油圧モータ602、及びブーム起伏用油圧シリンダ603を備えている。
そして、これらの油圧アクチュエータ600、601、602及び603は、図3に示すように、何れも圧油供給装置51からコントロールバルブ52を介して圧油を供給することにより作動するように構成されている。
機体2には、図1に示すように、機体2の前後左右のそれぞれ四隅に合計4本のアウトリガ装置10を配置している。
さらに、これら4本のアウトリガ装置10は、図3に示すように、各アウトリガ装置10を張出動作させるための油圧アクチュエータとして、右前アウトリガシリンダ77FR、左前アウトリガシリンダ77FL、右後アウトリガシリンダ77BR、及び左後アウトリガシリンダ77BLを備えている。
そして、これらアウトリガシリンダ77FR、77FL、77BR及び77BLは、何れも圧油供給装置51からコントロールバルブ52を介して圧油を供給することにより作動するように構成されている。
これら4本のアウトリガ装置10は、図1に示す格納された状態から、水平方向に回動させることで、機体に対して放射状の張り出し位置に位置させられるように構成されている。そして、張り出し位置に位置させた後は、例えばオペレータの手によって、各アウトリガ装置10のインナボックスを引き出し、更に、機体側操作装置500又は遠隔操作装置501の操作によって、各アウトリガ装置10の下部を地上に接地させ且つ機体2を持ち上げることで、全周同一の吊上げ性能を確保しつつ、機体2の安定を図るようになっている。
一方、圧油供給装置51は、図3に示すように、エンジン50を駆動源として駆動する固定容量型の油圧ポンプ60と、左吐出ポート61Lと、右吐出ポート61Rと、主管路62と、戻り管路63と、タンク64とを備えている。ここで、固定容量型の油圧ポンプ60は、圧油の流量が一定流量で固定されたものである。なお、固定容量型の油圧ポンプとしては、流量の調整が一切できないものと、流量の微調整は手動で可能であるが、作動時は手動設定した一定流量で固定される構成のものとを含む。
また、コントロールバルブ52は、クレーン用切換制御弁70と、アウトリガ用切換制御弁71と、旋回用切換制御弁72と、ブーム伸縮用切換制御弁73と、ウインチ用切換制御弁74と、ブーム起伏用切換制御弁75とを備えている。
各切換制御弁70〜75は、信号線(図示略)を介してコントローラ20に接続されており、遠隔操作装置501の操作信号Rctrに応じたコントローラ20からの制御信号に基づいて油路の切換動作を実行する。
走行用切換制御弁30は、右側の走行操作レバー40Rの操作に応じて走行用油圧モータ31Rに対する圧油の油路を切り換える右走行用切換制御弁(不図示)と、左側の走行操作レバー40Lの操作に応じて走行用油圧モータ31Lに対する圧油の油路を切り換える左走行用切換制御弁(不図示)とを備えている。
油圧ポンプ60から吐出された圧油は、走行用切換制御弁30に供給され、供給された圧油は、走行操作レバー40R及び40Lがニュートラルの状態のときに、走行用切換制御弁30を素通りして、主管路62に流れ込み、該主管路62を介してコントロールバルブ52へと向けて供給される。また、油圧ポンプ60から吐出された圧油は、戻り管路63を介してタンク64に戻されるようになっている。
クレーン用切換制御弁70は、主管路62と戻り管路63との間に設けられた、メインリリーフ弁(アンロード弁)170と、アンロード弁作動用ソレノイド171と、フック格納用リリーフ弁172とを備えている。
アンロード弁作動用ソレノイド171は、ON−OFF型の電磁弁から構成されており、機体側操作装置500における、フック格納スイッチによるフック格納作動操作信号Ctr又は遠隔操作装置501における、フック格納スイッチによるフック格納作動操作信号Rctrをコントローラ20が受けることにより、そこから送信されるコントローラ20からの作動信号Uoに応じてON状態又はOFF状態のいずれか一方の状態となる。そして、ON状態のときにメインリリーフ弁170を開状態とし、主管路62と戻り管路63とを連通させるようになっている。図3に示す例では、油圧ポンプ60から吐出した圧油を、走行用切換制御弁30、クレーン用切換制御弁70以外の他の切換制御弁を介さずに戻り管路63を介してタンク64に戻すようになっている。すなわち、油圧ポンプ60の運転状態を、圧油を無負荷で循環するアンロード状態(無負荷運転状態)にさせることが可能となっている。
フック格納用リリーフ弁172は、フックリリーフソレノイド172aと、フックリリーフ弁172bとを備えている。
フックリリーフソレノイド172aは、ON−OFF型の電磁弁から構成されており、機体側操作装置500における、フック格納スイッチによるフック格納作動操作信号Ctr又は遠隔操作装置501における、フック格納スイッチによるフック格納作動操作信号Rctrをコントローラ20が受けることにより、そこから送信されるコントローラ20からの作動信号Hrに応じてON状態又はOFF状態のいずれか一方の状態となる。そして、ON状態のときに主管路62からの圧油の油路を、フックリリーフ弁172bを圧油が流れる油路へと切り換える。
ここで、フックリリーフ弁172bは、その設定リリーフ圧が、通常作動時のリリーフ圧であるメイン設定圧Pmよりも低い低設定圧Ps(Pm>Ps)となっている。従って、フックリリーフソレノイド172aをON状態としてフックリリーフ弁172bを作動することで、圧油の圧力上限を低設定圧Psに制限することが可能である。
なお、本実施形態のコントローラ20は、オペレータの操作によってフック格納スイッチがON状態となったことに応じて、フックリリーフソレノイド172aをON状態にして圧力上限を低設定圧Psとするフック格納油圧制御を実施する。さらに、フック格納スイッチがON状態となっている間は、低設定圧Psの圧油によるフック8の巻上げ動作の作動制御を行うように構成されている。
これによって、フック格納スイッチがON状態の間は、フック8の巻過防止装置18による停止位置から格納位置までの巻上げ動作を可能にすると共に、フック8の巻上げ動作を低速に制限してフック8とブーム7の先端との接触による双方の損傷を防ぐことが可能となる。
アウトリガ用切換制御弁71は、機体側操作装置500からの操作信号Ctr又は遠隔操作装置501からの操作信号Rctrに応じたコントローラ20からの作動信号Actr1に応じて、アウトリガシリンダ切換弁76に対する圧油の油路を切り換える。
アウトリガシリンダ切換弁76は、機体側操作装置500の操作レバーの操作量に応じて又は遠隔操作装置501の操作に応じたコントローラ20からの作動信号Actr2〜5に応じて、アウトリガシリンダ77FR、77FL、77BR及び77BLに対する圧油の油路を切り換える。
旋回用切換制御弁72は、機体側操作装置500の操作レバーの操作量に応じて又は遠隔操作装置501の操作に応じたコントローラ20からの作動信号Tctrに応じて、旋回用油圧モータ600に対する圧油の油路を切り換える。
ブーム伸縮用切換制御弁73は、機体側操作装置500の操作レバーの操作量に応じて又は遠隔操作装置501の操作に応じたコントローラ20からの作動信号Bctr2に応じて、ブーム伸縮用油圧シリンダ601に対する圧油の油路を切り換える。
ウインチ用切換制御弁74は、機体側操作装置500の操作レバーの操作量に応じて又は遠隔操作装置501の操作に応じたコントローラ20からの作動信号Wctrに応じて、ウインチ用油圧モータ602に対する圧油の油路を切り換える。
ブーム起伏用切換制御弁75は、機体側操作装置500の操作レバーの操作量に応じて又は遠隔操作装置501の操作に応じたコントローラ20からの作動信号Bctr1に応じて、ブーム起伏用油圧シリンダ603に対する圧油の油路を切り換える。
各切換制御弁71〜75は、それぞれ差動トランス(不図示)を備えており、各差動トランスで検出された各切換制御弁71〜75の切換位置L1〜L5の検出信号(以下、「切換位置信号」と記載する場合がある)は、図4に示すように、コントローラ20へと入力されるようになっている。すなわち、コントローラ20は、切換位置信号L1〜L5によって、各切換制御弁71〜75の作動内容(切換位置)を把握することが可能となっている。
コントローラ20には、図4に示すように、機体側操作装置500からの操作信号Ctr、遠隔操作装置501からの遠隔操作信号Rctr、各種切換制御弁からの切換位置信号L1〜L5、巻過防止装置18からの巻過検出信号Ro等が入力されている。そして、コントローラ20は、これら入力信号に応じて、クローラクレーン1の備える油路切換用の電磁弁等の各種電気装置を作動制御する。
なお、遠隔操作装置501の操作に応じて無線送信される遠隔操作信号Rctrは、図4に示すように、受信機21を介して、コントローラ20に入力されるようになっている。
また、コントローラ20は、図5に示すように、所定の制御プログラムに基づいて、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)200と、制御プログラムを含む各種データを格納しているROM(Read Only Memory)201と、ROM201等から読み出したデータやCPU200の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM(Random Access Memory)202と、時間計測用のタイマ203とを備えている。
コントローラ20は、さらに、上述した受信機21、機体側操作装置500、遠隔操作装置501、及びコントロールバルブ52等を含めた各装置に対してデータの入出力を媒介する入出力I/F(インターフェース)204と、データ転送用の各種内外バス205とを備えている。各種内外バス205によって、CPU200、ROM201、RAM202及びタイマ203との間が接続されていると共に、このバス205に入出力I/F204を介して上記各装置が接続されている。
そして、電源を投入すると、ROM201等に記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、ROM201に予め記憶された各種の制御プログラムをRAM202にロードし、RAM202にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU200が各種リソースを駆使して演算処理を行うことで上記各装置を作動制御するための各機能をソフトウェア上で実現できるようになっている。
また、本実施形態のクローラクレーン1は、エンジン50が始動して、コントローラ20に電源が供給されると、同時にアンロード弁作動用ソレノイド171をON状態として油圧ポンプ60の運転状態を、圧油を負荷経由で循環するオンロード状態(有負荷運転状態)からアンロード状態へと切り換える。その後、クレーン操作モードに移行して、オペレータの機体側操作装置500又は遠隔操作装置501の操作による操作入力を検出すると、アンロード弁作動用ソレノイド171をOFF状態として、油圧ポンプ60の運転状態をアンロード状態からオンロード状態へと切り換える。オンロード状態へと移行後は、操作入力が継続することに応じてスロットル開度を大きくしていきエンジン50の回転数を操作量に応じた目標回転数へと向けて増加する処理を行う。
ここで、アンロード状態からオンロード状態へと切り換わった直後は、エンジン回転数が低い状態で急激に油圧が立ち上がる状態となるため、圧油をメイン設定圧Pmまで立ち上げるのに必要なトルクに対してエンジントルクが不足し、エンジンストールが発生する場合がある。
そこで、本実施形態のコントローラ20は、エンジン50が始動後のアンロード状態において、機体側操作装置500又は遠隔操作装置501が操作されたことに応じて、フック格納用リリーフ弁172を利用して圧油の圧力上限を一時的に低設定圧Psに制限する処理(以下、「エンジンストール防止処理」と称す)を実行することで、エンジントルクの不足によるエンジンストールの発生を防止するように構成されている。
(クレーン作動制御処理)
次に、図6に基づき、コントローラ20で実行される、上記フック格納油圧制御処理及び上記エンジンストール防止処理を含むクレーン作動制御処理の処理手順の一例を説明する。なお、クレーン作動制御処理は、所定周期で繰り返し実行される処理である。また、図6のフローチャートは、クレーン操作モードに移行した後の処理となる。
コントローラ20において、プログラムが実行されてクレーン作動制御処理が開始され、その後クレーン操作モードに移行すると、図6に示すように、まずステップS100に移行する。
ステップS100では、コントローラ20は、タイマ203をリセットすることで操作入力の継続時間Tcの計測時間をリセットする。その後、ステップS101に移行する。
ステップS101では、コントローラ20は、タイマ203のカウントを開始することで、継続時間Tcの時間計測を開始する。その後、ステップS102に移行する。
ステップS102では、コントローラ20は、フック格納スイッチがON状態であるか否かを判定する。そして、ON状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS103に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS108に移行する。
ステップS103に移行した場合は、コントローラ20は、アンロード弁作動用ソレノイド171がON状態であるときは、アンロード弁作動用ソレノイド171をOFF状態へと切り換える。すなわち、油圧ポンプ60の運転状態がアンロード状態であるときは、オンロード状態へと切り換える。一方、アンロード弁作動用ソレノイド171がOFF状態であるときはOFF状態を維持して、ステップS104に移行する。すなわち、油圧ポンプ60の運転状態がオンロード状態であるときはオンロード状態を維持する。
具体的に、コントローラ20は、作動信号Uoのアンロード弁作動用ソレノイド171への出力を切断(停止)して、アンロード弁作動用ソレノイド171をON状態からOFF状態に切り換える。これにより、メインリリーフ弁170を閉状態にして、アンロード状態をオンロード状態に切り換える。一方、オンロード状態であるときは、作動信号Uoの切断状態を維持してオンロード状態を維持する。
ステップS104では、コントローラ20は、フックリリーフソレノイド172aがOFF状態であるときはON状態に切り換え、一方、ON状態であるときはON状態を維持する。その後、ステップS106に移行する。
すなわち、フックリリーフソレノイド172aがOFF状態のときはON状態にして、主管路62からの圧油の油路を、フックリリーフ弁172bを流れる油路に切り換える。これによって、圧油の圧力上限を低設定圧Psへと制限する。
ステップS106では、コントローラ20は、ウインチ用油圧モータ602を駆動制御して、フック8を格納位置まで巻き上げるフック格納動作を実行する。その後、ステップS107に移行する。
具体的に、コントローラ20は、作動信号Wctrによってウインチ用切換制御弁74を制御して、主管路62からフックリリーフ弁172bを介して流れてくる圧油の油路を、ウインチ用油圧モータ602をフック8の巻き上げ方向に回転する油路へと切り換える。
これにより、低設定圧Psに制限された圧油によってウインチ用油圧モータ602が巻き上げ方向に低速回転してフック8が通常時よりも低速で巻き上げられる。
ステップS107では、フック格納スイッチがOFF状態になったか否かを判定し、OFF状態になったと判定した場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS106に移行する。
一方、ステップS102において、フック格納スイッチがOFF状態でありステップS108に移行した場合は、コントローラ20は、クローラクレーン1の各油圧アクチュエータを作動させる操作入力があったか否かを判定する。そして、操作入力があったと判定した場合(Yes)は、ステップS110に移行し、操作入力がなかったと判定した場合(No)は、ステップS119に移行する。
ステップS110に移行した場合は、コントローラ20は、アンロード弁作動用ソレノイド171がON状態であるときはOFF状態へと切り換える。すなわち、油圧ポンプ60の運転状態がアンロード状態であるときはオンロード状態へと切り換える。一方、アンロード弁作動用ソレノイド171がOFF状態であるときは、そのままOFF状態を維持して、ステップS112に移行する。すなわち、油圧ポンプ60の運転状態がオンロード状態であるときはオンロード状態をそのまま維持する。
ステップS112では、コントローラ20は、操作入力の継続時間Tcが予め設定した設定時間X(秒)未満か否かを判定し、X秒未満であると判定した場合(Yes)は、ステップS114に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS118に移行する。
ここで、設定時間Xは、アンロード状態からオンロード状態に切り換わった際のエンジンストールの発生を防止可能な長さでかつ可能な限り短時間であることが望ましい。
ステップS114に移行した場合は、コントローラ20は、フックリリーフソレノイド172aがOFF状態であるときはON状態に切り換え、一方、ON状態であるときはON状態のまま維持する。その後、ステップS116に移行する。
すなわち、ステップS112〜S114の処理によって、継続時間Tcが設定時間X秒未満の間は、フックリリーフソレノイド172aをON状態にして、圧油の圧力上限を低設定圧Psへと制限する。
ステップS116では、コントローラ20は、操作入力に応じた作動制御を実行して、ステップS102に移行する。
具体的に、コントローラ20は、操作入力内容に対応する切換制御弁に対して作動信号を出力して主管路62からの圧油の油路を切り換え、操作入力内容に対応する作動内容で油圧アクチュエータを作動させる。
一方、ステップS112において、操作入力の継続時間TcがX秒以上でありステップS118に移行した場合は、コントローラ20は、フックリリーフソレノイド172aをON状態からOFF状態に切り換えて、ステップS116に移行する。
すなわち、継続時間TcがX秒以上となったと判定すると、圧油の圧力を低設定圧Psからメイン設定圧Pmへと切り換える。
また、ステップS108において、操作入力がなくステップS119に移行した場合は、コントローラ20は、タイマ203をリセットすることで継続時間Tcの計測時間をリセットして、ステップS120に移行する。
ステップS120では、コントローラ20は、アンロード弁作動用ソレノイド171をON状態のまま維持してアンロード状態を継続する。その後、ステップS102に移行する。
ここで、コントローラ20が、エンジンストール防止装置、エンジンストール防止処理部およびフック格納油圧制御部に対応する。また、機体側操作装置500及び遠隔操作装置501が、操作部に対応し、フックリリーフソレノイド172aが、リリーフ弁作動用ソレノイドに対応し、フックリリーフ弁172bが、リリーフ弁に対応する。
(動作、および作用効果)
次に、図7〜8を参照して、本実施形態のクローラクレーン1の動作、および作用効果について説明する。
このクローラクレーン1で作業をするときは、オペレータは、アウトリガ装置を手動で上記張り出し位置に位置させた後、機体側操作装置500又は遠隔操作装置501を操作して、アウトリガ操作モードに切り換え、アウトリガ操作用の各操作スイッチの操作によって各アウトリガ装置10を所望の展開状態に設置する。その後、クレーン操作モードに切り換え、各種操作レバーを操作して、クレーン装置6のブーム7を旋回、起伏、伸縮させるとともに、ウインチによりフック8に吊り下げた吊荷の巻上げ、巻下げを適宜行って所望のクレーン作業を行うことができる。
このとき、クレーン操作モードにおいて、アンロード状態(クレーン未操作によるエンジン50がアイドリング状態)となっているときに、オペレータが操作レバーを操作すると、コントローラ20は、その操作入力に応じてアンロード状態をオンロード状態に切り換えると共に、エンジンストール防止処理を実行する。
具体的に、コントローラ20は、操作入力を検出すると、まず、アンロード弁作動用ソレノイド171をOFF状態にしてアンロード状態を解除しオンロード状態へと移行する。また、コントローラ20は、クレーン操作モードへの切り換えに応じてタイマ203を利用し、操作入力の継続時間Tcの測定を開始する。
続いて、コントローラ20は、継続時間Tcが設定時間X秒(例えば0.5秒)未満であるか否かを判定する。現在は測定開始直後であり継続時間Tcは設定時間X秒未満となるので、フックリリーフソレノイド172aをON状態として、圧油の油路を、フックリリーフ弁172bを圧油が流れる油路へと切り換える。これにより、フックリリーフ弁172bによって圧油の圧力上限を低設定圧Ps(例えば、4.90[MPa])に制限し、低設定圧Psの圧油によって操作入力内容に対応する油圧アクチュエータを作動させる。
引き続き、操作レバーの操作入力が継続して行われることで、タイマ203によって測定される継続時間Tcが設定時間X秒未満の間は、フックリリーフソレノイド172aがON状態で維持され、圧油の圧力が低設定圧Psに保たれる。
その後、継続時間Tcが設定時間X秒以上となると、コントローラ20は、フックリリーフソレノイド172aをOFF状態にして、圧油の圧力上限をメイン設定圧Pm(例えば、20.6[MPa])に切り換え、引き続きメイン設定圧Pmに向けて油圧を立ち上げると共に、メイン設定圧Pmを上限とした圧油によって操作入力内容に対応する油圧アクチュエータを作動させる。
ここで、本実施形態のクローラクレーン1のエンジントルクとエンジン回転数とスロットル開度との関係は、例えば、図7に示すようになる。
すなわち、レバー操作の開始前は、エンジン50がアイドリング状態であると共に、油圧ポンプ60の運転状態はアンロード状態となっているためエンジントルク及びエンジン回転数は低い値(アイドリングの回転数及びこの回転数に応じたトルク)で一定となっている。
その後、レバー操作が開始されると、油圧ポンプ60はオンロード状態となってメイン設定圧Pmに向けて油圧が急激に立ち上がるためエンジン回転数及びエンジントルクが一時的に低下する。その一方で、スロットル開度は大きくなっていき、スロットル開度の上昇に応じて、エンジン回転数及びエンジントルクも上昇していく。
図7に示すようなエンジン駆動状態のときに、エンジンストール防止処理を行わなかった場合、図8(a)に示すように、レバー操作の開始後すぐに、必要トルクがエンジントルクを上回ってしまい、エンジントルクの不足が原因でエンジンストールが発生する場合がある。特に、冬季などの気温が低い場合、圧油の温度が低くなって粘度が高くなるためエンジンストールが発生しやすくなる。また、エンジン50の排気量が小さい場合もエンジントルクが比較的小さくなるためエンジンストールが発生しやすくなる。
これに対して、上記エンジンストール防止処理を実行した場合、図8(b)に示すように、レバー操作開始後すぐに油圧ポンプ60が低設定圧Psで作動することになるため、図8(a)に示す、必要トルクがエンジントルクを超える期間において、必要トルクをエンジントルクよりも低く抑えることが可能となる。この必要トルクを低く抑えている期間は、スロットル開度が徐々に大きくなっており、エンジン回転数が上昇しエンジントルクが上昇していく。そのため、この期間終了後のメイン設定圧Pmへの立ち上がり時において、エンジントルクを必要トルクよりも大きくすることが可能となる。これによって、アンロード状態からオンロード状態へと切り換えたときのエンジントルクの不足によるエンジンストールの発生を防止することが可能となる。
特に、本実施形態のクローラクレーン1は、固定容量型の油圧ポンプ60と、ON−OFF型のアンロード弁作動用ソレノイド171とを備えた構成となっている。そのため、油圧ポンプによって圧油の流量を制御してエンジンストールの発生を防止したり、アンロード弁作動用ソレノイドを比例制御してメインリリーフ弁(アンロード弁)170の開度を調整してエンジンストールの発生を防止したりすることができない。
本実施形態の構成であれば、フック8の格納の際に用いられるフック格納用リリーフ弁172を兼用してエンジンストール防止処理を実行するように構成したので、専用のリリーフ弁を追加する必要もなく簡易なプログラムの変更のみでエンジンストール防止処理を実行することが可能となる。加えて、可変流量型の油圧ポンプへの変更や、比例型のソレノイドへの変更等をする必要もないため、低コストでエンジンストールの発生を防止することが可能となる。
また、予めエンジン回転数を上げた状態でクレーン操作をすることでエンジンストールの発生を防止するといった対策も可能であるが、この場合は、エンジンストール防止のための余計な騒音の発生や燃費の悪化などが生じる。これに対して、本実施形態の構成であれば、エンジンストール防止のための騒音を低減し、かつ燃費の悪化も抑えることが可能となる。
以上説明したように、上記エンジンストール防止処理を実行する機能(以下、「エンジンストール防止機能」と記載する場合がある)を実装したコントローラ20(エンジンストール防止装置に対応)を備えたクローラクレーン1によれば、油圧ポンプ60の運転状態がアンロード状態のときの操作入力に応じて、操作入力の継続時間Tcが予め設定した設定時間X秒以上となるまでフックリリーフソレノイド172aを作動させて圧油の圧力をメイン設定圧Pmよりも低い低設定圧Psに制限するようにした。これによって、アンロード状態からオンロード状態へと切り換わった直後のエンジン回転数が低くエンジントルクが小さくなる期間において、圧油の圧力上限を低設定圧Psに制限して必要トルクを低減することが可能となる。その結果、アンロード状態からオンロード状態へと切り換えた際に、必要トルクがエンジントルクを上回ることを防止して、エンジントルクの不足によるエンジンストールの発生を防止することが可能となる。
(変形例)
なお、本発明に係るエンジンストール防止装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
(1)上記実施形態では、アンロード状態からオンロード状態へと切り換わる操作入力がある毎に上記エンジンストール防止処理を実行する構成としたが、この構成に限らない。例えば、エンジンストール防止処理の実行条件を設定し、実行条件を満たしたときだけエンジンストール防止処理を実行する構成としてもよい。この構成とすることで、実行条件を満たさないときはエンジンストール防止処理を実行しないようにすることが可能となり、エンジンストール防止処理を実行した場合に生じる油圧立ち上がりの遅れを抑制することが可能となる。
ここで、アンロード状態からオンロード状態に切り換えたときのエンジンストールは、圧油の粘度が高くなるほど発生しやすくなる。このことから、例えば、圧油の粘度を測定又は推定し、測定又は推定した圧油の粘度がエンジンストールの発生する可能性のある粘度であるときのみにエンジンストール防止処理を実行するといった実行条件を設定する。
具体例を挙げると、圧油の温度が低いときに粘度は高くなるので圧油の温度が所定温度以下のとき又は外気温が所定温度以下のときに圧油の粘度が高い状態であると推定してエンジンストール防止処理を実行する構成としてもよい。
また、温度の測定には別途温度センサを設ける必要があることから、車両のエンジン回転数を制御する既存のアクセルシリンダ(不図示)の作動時間をタイマ203で測定し、その作動時間が所定時間以上のときにエンジンストール防止処理を実行する構成としてもよい。
具体的に、エンジン始動後にアクセルシリンダを一旦作動させて、その後、アクセルシリンダのメインスプールが中立位置まで復帰するまでの時間を計測し、この復帰時間が所定時間以上のときに圧油の粘度が高い状態であると推定しエンジンストール防止処理を実行する。この構成とすることで、温度センサを別途設ける必要が無いため温度を測定する構成と比較して低コストで粘度の推定を行うことが可能となる。
なお、アクセルシリンダは、図示省略するが、メインスプールと、比例ソレノイド(比例電磁式パイロット弁)と、差動トランスとを備えている。比例ソレノイドは、パイロット圧油が供給される第1ポートが常時閉、タンク64へ圧油を戻す第2ポートが常時開となっており、コントローラ20から制御電流が入力されると、パイロットスプールは入力電流値によって第1ポートの開口量を制御するように作動する。これにより、メインスプールの油室へのパイロット圧油の供給が制御される。差動トランスは、メインスプールの変位を検出してコントローラ20にフィードバックする。
コントローラ20は、機体側操作装置500又は遠隔操作装置501の操作量等に基づいてアクセル操作量を求め、必要なアクセル制御信号をアクセルシリンダの比例ソレノイドに出力し、アクセルシリンダを作動させるようになっている。また、アクセルシリンダの差動トランスは、その検出値をコントローラ20にフィードバックし、コントローラ20は過不足が有れば必要な補正を行う。
(2)上記実施形態では、操作入力の継続時間Tcが一定の設定時間X秒未満の間は、フックリリーフ弁172bを作動して圧油の圧力上限を低設定圧Psに制限する構成としたが、この構成に限らない。例えば、圧油の粘度を測定又は推定し、測定又は推定した粘度の高さに応じて設定時間Xを可変とする構成としてもよい。具体的に、圧油の粘度が高いほど設定時間Xを長くする。この構成であれば、粘度の高さに応じた適切な設定時間Xを設定することが可能となり、例えば圧油の粘度が比較的低い場合に設定時間Xを短くすることで、圧油の粘度が比較的低い場合に油圧立ち上がりの遅れを小さくすることが可能となる。
(3)上記実施形態では、フック格納用リリーフ弁をフック格納油圧制御処理とエンジンストール防止処理とで兼用する構成としたが、この構成に限らない。例えば、フック格納用リリーフ弁を備えていない作業車両などに適用する場合は、専用のリリーフ弁及びソレノイドを設ける構成としてもよい。
(4)上記実施形態では、本発明に係るエンジンストール防止装置を装備するクレーンとして、クローラクレーンを例に説明したが、これに限らず、本発明は、クレーンであればトラック等の車両に搭載されるクレーンや、車輪で走行するクレーン等の、種々のクレーンに適用可能である。また、エンジンで油圧ポンプを駆動し、操作入力に応じてアンロード状態からオンロード状態へと切り換える動作を行うものであれば、クレーン以外の他の作業車両にも適用可能である。
1 クローラクレーン(作業車両)
2 機体
3 クローラ装置
4 操縦部
5 原動部
6 クレーン装置
7 ブーム
8 フック
10 アウトリガ装置
13 フック巻上用ワイヤロープ
14 巻過検出用ウェイト
15 巻過用ワイヤロープ
16 巻過検出スイッチ
17 滑車
18 巻過防止装置
19 コードリール
20 コントローラ
21 受信機
40 走行操作レバー
50 エンジン
51 圧油供給装置
52 コントロールバルブ
60 油圧ポンプ
62 主管路
63 戻り管路
64 タンク
70 クレーン用切換制御弁
71 アウトリガ用切換制御弁
72 旋回用切換制御弁
73 ブーム伸縮用切換制御弁
74 ウインチ用切換制御弁
75 ブーム起伏用切換制御弁
76 アウトリガシリンダ切換弁
170 メインリリーフ弁(アンロード弁)
171 アンロード弁作動用ソレノイド
172 フック格納用リリーフ弁
172a フックリリーフソレノイド
172b フックリリーフ弁
500 機体側操作装置
501 遠隔操作装置

Claims (4)

  1. エンジンを駆動源として油圧ポンプを駆動すると共に、操作部を介した操作入力に応じて前記油圧ポンプで発生した圧油を無負荷で循環するアンロード状態から前記圧油を負荷経由で循環するオンロード状態へと切り換える動作を行うクレーンであって、
    前記圧油の圧力を通常作動時の圧力よりも低い予め設定した設定圧力に制限するリリーフ弁と、
    前記リリーフ弁を作動させるためのリリーフ弁作動用電磁弁と、
    前記アンロード状態のときに前記操作入力を受け付けたと判定すると、該操作入力の継続時間が予め設定した設定時間以上となるまでは前記リリーフ弁作動用電磁弁を制御して前記リリーフ弁を作動し前記圧油の圧力を前記設定圧力に制限するエンジンストール防止処理部と、
    フックを格納する際に前記圧油の圧力を前記設定圧力に制限するフック格納油圧制御処理部と、を備え
    前記リリーフ弁及び前記リリーフ弁作動用電磁弁を、前記フック格納油圧制御処理部と前記エンジンストール防止処理部とで兼用することを特徴とするクレーン。
  2. トラックのエンジンを駆動源として油圧ポンプを駆動すると共に、操作部を介した操作入力に応じて前記油圧ポンプで発生した圧油を無負荷で循環するアンロード状態から前記圧油を負荷経由で循環するオンロード状態へと切り換える動作を行う車両搭載型クレーンであって、
    前記圧油の圧力を通常作動時の圧力よりも低い予め設定した設定圧力に制限するリリーフ弁と、
    前記リリーフ弁を作動させるためのリリーフ弁作動用電磁弁と、
    前記アンロード状態のときに前記操作入力を受け付けたと判定すると、該操作入力の継続時間が予め設定した設定時間以上となるまでは前記リリーフ弁作動用電磁弁を制御して前記リリーフ弁を作動し前記圧油の圧力を前記設定圧力に制限するエンジンストール防止処理部と、
    フックを格納する際に前記圧油の圧力を前記設定圧力に制限するフック格納油圧制御処理部と、を備え、
    前記リリーフ弁及び前記リリーフ弁作動用電磁弁を、前記フック格納油圧制御処理部と前記エンジンストール防止処理部とで兼用すことを特徴とするクレーン。
  3. 前記油圧ポンプは固定容量型のポンプである請求項1又は2に記載のクレーン。
  4. 前記油圧ポンプの運転状態を、開状態のときに前記アンロード状態とし閉状態のときに前記オンロード状態とするアンロード弁と、
    前記アンロード弁を作動させるためのアンロード弁作動用電磁弁と、を備え、
    前記アンロード弁作動用電磁弁は、ON状態及びOFF状態のいずれか一方のときに前記アンロード弁を開状態とし、ON状態及びOFF状態のいずれか他方のときに前記アンロード弁を閉状態とするON−OFF型の電磁弁である請求項1からのいずれか1項に記載のクレーン。
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