以下、本発明による油圧ショベルの実施の形態について、図1ないし図11を参照しつつ詳細に説明する。なお、図2中の紙面左側を油圧ショベル1の右側(右方)とし、紙面上側を油圧ショベル1の上側(上方)として説明する。
図1において、油圧ショベル1は、土砂等の掘削作業の他に、吊荷作業を行うことができるクレーン機能付きの油圧ショベルである。そして、油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前部に設けられた作業機4等を含んで構成されている。下部走行体2と上部旋回体3とは、本実施の形態による油圧ショベル1の車体を構成している。
作業機4は、基端が上部旋回体3に俯仰の動作が可能に取付けられたブーム5と、ブーム5の先端側に回動が可能に設けられたアーム6と、アーム6の先端側に回動が可能に設けられたバケット7と、ブーム5を駆動するブームシリンダ8と、アーム6を駆動するアームシリンダ9と、バケット7を駆動する作業具シリンダ10とを含んで構成されている。
ここで、本実施の形態に用いられるバケット7は、バックホウ式バケットとして構成され、作業具シリンダ10の駆動によって車体方向へ回動される。このバケット7は、作業具を構成している。バケット7の取付け部における背面板には、図1および図2に示すように、左,右方向に離間した2枚のブラケット7Aが設けられている。そして、バケット7は、各ブラケット7A間に挿通された連結軸11Aによってアーム6の先端側に回動可能に支持されると共に、各ブラケット7A間に挿通された連結ピン11Bによって後述の四辺形の吊り装置12を構成する一つである第2のリンク15に接続されている。
次に、本実施の形態に係る吊り装置12(作業具リンク装置)について説明する。この吊り装置12は、図1に示すように、バケット7のブラケット7A、アーム6のうち連結軸11Aと後述の連結軸14Aとの間、第1のリンク13、および第2のリンク15により四辺形を構成している。また、吊り装置12は、後述の第2のリンク15に取付けられたフック23とフック保持具30等を含んで構成されている。
第1のリンク13は、アーム6と作業具シリンダ10のロッド10Aとの間に設けられている。第1のリンク13の基端側は、アーム6の先端側からブーム5の先端側に向けて離間した位置で連結軸14Aによってアーム6に連結され、先端側は連結軸14Bによって作業具シリンダ10のロッド10Aの先端と後述する左,右のシリンダ側ボス19,20に連結されている。
第2のリンク15は、図2に示すように、後述する左,右のシリンダ側ボス19,20と左,右のバケット側ボス21,22との間を連結しており、内壁部16A,17A,18Aの内部にはフック格納空間S1を形成している。そして、第2のリンク15は、図4および図6に示すように、互いに間隔をもって配設され左,右のシリンダ側ボス19,20から左,右のバケット側ボス21,22に向けて延びる一対の連結板16,17と、各連結板16,17の幅方向の一側を閉塞する閉塞板18と、各連結板16,17の幅方向の他側が開口することにより形成されたフック出入口15Aとを有する箱状であって、その開口からフック格納空間S1まで連続した形で形成されている。
左連結板16は、左シリンダ側ボス19と左バケット側ボス21との間を延びている。即ち、左連結板16の長さ方向の一端側には、左シリンダ側ボス19が設けられ、他端側には左バケット側ボス21が設けられている。そして、左連結板16の幅方向の一端側には、閉塞板18の左端側が固着されている。一方、左連結板16の幅方向の他端側は、右側に向けて折曲げられ、先端がフック出入口15Aとなっている。また、図4および図5に示すように、左連結板16の内壁部16Aは、フック格納空間S1の左側の壁部となっている。
右連結板17は、左連結板16と左,右方向に間隔をもって配設され、この右連結板17は、右シリンダ側ボス20と右バケット側ボス22との間を延びている。即ち、右連結板17の長さ方向の一端側には、右シリンダ側ボス20が設けられ、他端側には右バケット側ボス22が設けられている。そして、右連結板17の幅方向の一端側には、閉塞板18の左端側が固着されている。一方、右連結板17の幅方向の他端側は、左側に向けて折曲られ、先端がフック出入口15Aとなっている。また、図4および図5に示すように、右連結板17の内壁部17Aは、フック格納空間S1の右側の壁部となっている。
閉塞板18は、各連結板16,17の幅方向の一側を閉塞している。この閉塞板18は、図4、図5に示すように、各連結板16,17間を接続し、左,右のシリンダ側ボス19,20から左,右のバケット側ボス21,22に向けて延びている。即ち、閉塞板18は、フック格納空間S1の底部を構成している。閉塞板18には、厚さ方向に貫通する3個のめねじ孔(図示せず)が設けられ、これらめねじ孔を用いて後述のフック保持具30が取付けられている。また、図4および図5に示すように、閉塞板18の内壁部18Aは、フック格納空間S1の底壁となっている。
左シリンダ側ボス19は、左連結板16の作業具シリンダ10側に設けられている。一方、右シリンダ側ボス20は、右連結板17の作業具シリンダ10側に設けられている。これら左,右のシリンダ側ボス19,20は、第1の連結部を構成するもので、左,右方向で対向して設けられている。そして、左シリンダ側ボス19と右シリンダ側ボス20との間に、作業具シリンダ10のロッド10Aの先端側を挿入し、第1のリンク13によって各シリンダ側ボス19,20を挟んだ状態で、これらシリンダ側ボス19,20、作業具シリンダ10のロッド10A、第1のリンク13が連結軸14Bによって連結されている。
左バケット側ボス21は、左連結板16のバケット7側に設けられている。一方、右バケット側ボス22は、右連結板17のバケット7側に設けられている。これら左,右のバケット側ボス21,22は、第2の連結部を構成するもので、左,右方向で対向して設けられている。そして、左バケット側ボス21と右バケット側ボス22との間に、後述するフック23のフック用ボス24を挿入し、バケット7に設けられた左,右のブラケット7Aによって各バケット側ボス21,22を挟んだ状態で、これらバケット側ボス21,22、フック用ボス24、左,右のブラケット7Aが連結ピン11Bによって連結されている。
フック23は、左,右のバケット側ボス21,22間に配置され、基端が連結ピン11Bにより左,右のバケット側ボス21,22に揺動可能に支持されている。このフック23は、例えば油圧ショベル1の掘削作業時には後述するフック保持具30によって第2のリンク15のフック格納空間S1内に格納された格納位置(図2、図4の位置)に保持されている。一方、フック23は、吊荷作業時には第2のリンク15のフック格納空間S1から離脱した作業位置へと移動する。そして、フック23は、後述のフック用ボス24、ブラケット25、継手部26、支持軸27、鉤部28等を含んで構成されている。
フック用ボス24は、左バケット側ボス21と右バケット側ボス22との間に配置されている。このフック用ボス24は、フック23の基端を構成するもので、連結ピン11Bを介して左,右のバケット側ボス21,22に格納位置と作業位置との間で揺動可能に支持されている。そして、フック用ボス24の外周側には、フック格納空間S1に向けて突出し、一定の間隔をもって対面する一対のブラケット25(図2〜図5に一方のみ図示)が設けられている。
継手部26は、フック用ボス24のブラケット25と後述する鉤部28との間を連結している。この継手部26は、各ブラケット25の間に配置されるボス部26Aと、ボス部26Aに一体形成された円筒部26Bとにより構成されている。ボス部26Aは、連結ピン11Bに対して直交する方向に延びる支持軸27によって各ブラケット25の間で回動可能に支持されている。これにより、継手部26は、フック用ボス24に左,右の連結板16,17の間(連結ピン11Bの軸方向)で揺動可能に支持されている。一方、継手部26の円筒部26B内には、スラスト軸受(図示せず)が配置され、このスラスト軸受を介して後述する鉤部28の基端側が回転可能に取付けられている。
鉤部28は、基端側28Aが継手部26の円筒部26Bにスラスト軸受(図示せず)を介して回転可能に取付けられている。また、鉤部28の先端側28Bの開口には、吊荷作業時に掛けられたワイヤロープ等が不用意に鉤部28から外れるのを抑制する外れ止め29が設けられている。図6に示すように、鉤部28の先端側28Bの外側面28B1は、フック23を後述のフック保持具30に保持したときに、フック保持具30の支持突起38に当接している。また、図7に示すように、鉤部28の先端側28Bの内側面28B2は、連結ピン11Bを左バケット側ボス21と右バケット側ボス22とから取外したときに、フック保持具30のフック掛止め突起39に当接している。
外れ止め29は、鉤部28の基端側28Aにばね(図示せず)を介して回動可能に取付けられている。この外れ止め29は、鉤部28の先端側28Bの内側面28B2を外側に向けて常時付勢している。これにより、外れ止め29の付勢力に抗してワイヤロープ等を鉤部28に掛けることができ、その後は外れ止め29が鉤部28の先端側28Bの開口を閉塞してワイヤロープ等が鉤部28から外れるのを抑制している。
次に、フック23を格納位置に保持するフック保持具30について説明する。
フック保持具30は、第2のリンク15の閉塞板18に取付けられている。このフック保持具30は、例えば油圧ショベル1が掘削作業を行う場合にフック23を格納位置に保持するためのものである。そして、フック保持具30は、取付板部31、左フックガイド33、右フックガイド34、ロック部材36、ばね37、支持突起38、フック掛止め突起39を含んで構成されている。この場合、取付板部31、左フックガイド33、右フックガイド34、支持突起38、およびフック掛止め突起39は、鋳造および鍛造により一体的に形成されている。
取付板部31は、フック格納空間S1内に位置して第2のリンク15の閉塞板18に3個のボルト32を用いて取付けられている。図8、図10に示すように、取付板部31は、長方形状に形成され、角隅部にはボルト32がそれぞれ挿通する3個のボルト挿通孔31Aが穿設されている。
また、取付板部31の中央部には、鉤部28の先端側28Bが挿入可能な開口部31Bが穿設されている。具体的には、開口部31Bは、後述の左フックガイド33と右フックガイド34との間、かつ後述の支持突起38とフック掛止め突起39との間に形成された後述する凹溝部40の底部側に設けられている。これにより、フック23を作業位置から格納位置に移動させたときおよび連結ピン11Bを左バケット側ボス21と右バケット側ボス22とから取外してフック23が自重によりフック掛止め突起39に向けて移動したときに、フック23の鉤部28の先端側28Bが取付板部31に衝突(干渉)しないので、取付板部31およびフック23の寿命が向上する。
左フックガイド33は、取付板部31の左端側に位置してフック出入口15Aに向けて延びている。この左フックガイド33は、フック格納空間S1内に位置して、取付板部31からフック23の格納位置と作業位置との間の移動方向に沿って延びる柱状体として形成されている。
図10に示すように、左フックガイド33のうちフック出入口15A側である先端は、凸状に湾曲した湾曲面33Aとして形成されている。これにより、左フックガイド33の剛性が向上する。従って、フック23を作業位置から格納位置に移動するときに、フック23の鉤部28が左フックガイド33の湾曲面33Aに衝突した場合の衝撃力を湾曲面33Aで分散させるので、左フックガイド33の寿命が向上する。
右フックガイド34は、左フックガイド33と左,右方向で対面し取付板部31の右端側に位置してフック出入口15A側に向けて延びている。左フックガイド33と右フックガイド34とは、一対のフックガイドを構成するもので、両者の間にはフック23の移動方向に延び、底部側が後述の凹溝部40となった鉤部格納空間S2が形成されている。この鉤部格納空間S2内にフック23を鉤部28の先端側28Bから挿入することにより、左フックガイド33と右フックガイド34とがフック23の鉤部28を左,右両側から挟む構成となっている。
右フックガイド34は、フック格納空間S1内に位置して、取付板部31からフック23の格納位置と作業位置との間の移動方向に沿って延びている。この右フックガイド34は、互いに上,下方向に一定間隔をもって対面する短板部34A,長板部34Bと、短板部34Aの右面と長板部34Bの右面との間を接続する接続部34Cとにより一体的に構成されている。短板部34Aは、フック格納空間S1内に位置して右シリンダ側ボス20側に設けられ、長板部34Bは、フック格納空間S1内に位置して右バケット側ボス22側に設けられている。そして、短板部34Aと長板部34Bとの間には、後述のロック部材36が配設されている。
図10に示すように、右フックガイド34の短板部34Aと長板部34Bとのうちフック出入口15A側である先端は、凸状に湾曲した湾曲面34A1,34B1として形成されている。これにより、右フックガイド34の剛性が向上する。従って、フック23を作業位置から格納位置に移動するときに、フック23の鉤部28が右フックガイド34の湾曲面34A1,34B1に衝突した場合の衝撃力を湾曲面34A1,34B1で分散させるので、右フックガイド34の寿命が向上する。
また、図9、図10に示すように、長板部34Bは、短板部34Aおよび後述のロック部材36よりも取付板部31からの高さ寸法が大きくなっている。これにより、長板部34Bは、ロック部材36を保護している。即ち、フック23を作業位置から格納位置に移動させたときに、フック23の鉤部28がロック部材36に衝突する前に長板部34Bに衝突する構成となっている。
また、短板部34Aは、ロック部材36よりも低くなっている。これにより、ロック部材36の操作部36Cは、短板部34Aよりも突出するので、作業者によるロック部材36の操作がし易くなっている。そして、右フックガイド34の短板部34Aと長板部34Bとの湾曲面34A1,34B1側には、ロック部材36を回動可能に支持する支持ピン35が設けられている。
ロック部材36は、右フックガイド34の短板部34Aと長板部34Bとの間に設けられている。このロック部材36は、例えば鋳造または鍛造により板体として形成され、右フックガイド34の短板部34Aと長板部34Bとに取付けられた支持ピン35に回動(進退)可能に支持されている。具体的には、ロック部材36は、支持ピン35を回動中心として、フック23を格納位置に保持する保持位置と、フック23を格納位置から解除する解除位置との間で移動可能となっている。
そして、ロック部材36は、フック23の鉤部28の内側面28B2に係止してフック23を格納位置に保持する保持部36Aと、フック23を鉤部格納空間S2に挿入するときにフック23の鉤部28によって押圧される被押圧部36Bと、被押圧部36Bから第2のリンク15のフック出入口15A側に向けて延びる操作部36Cとを含んで構成されている。
ロック部材36は、支持ピン35を中心としてフック23の作業位置と格納位置との間の移動方向と直交方向に回動する。ロック部材36は、保持部36Aが左フックガイド33に向けて進出した保持位置では、フック23の鉤部28の内側面28B2側に入り込み、フック23を左フックガイド33と右フックガイド34との間に固定して格納位置に保持する。また、保持部36Aが左フックガイド33側から後退した解除位置では、フック23が作業位置に向けて移動するのを許容する。
ばね37は、右フックガイド34の短板部34Aと長板部34Bとの間に設けられ、ロック部材36を保持位置に向けて常時付勢する付勢部材である。このばね37は、支持ピン35の外周側に巻回された状態で、短板部34Aと長板部34Bとの間に配設され、ロック部材36を保持位置に向けて常時付勢している。
次に、フック保持具30に設けられた支持突起38とフック掛止め突起39とについて説明する。
支持突起38は、取付板部31に形成された開口部31Bの上側に位置して取付板部31からフック出入口15A側に向けて突出している。具体的には、支持突起38は、左フックガイド33と右フックガイド34との間で左,右のシリンダ側ボス19,20側に位置して、取付板部31からフック出入口15A側に向けて突出している。この支持突起38は、フック23を鉤部28の先端側28Bからフック格納空間S1(鉤部格納空間S2内)に挿入したときに、フック23の鉤部28の先端側28Bの外側面28B1が当接してフック23を格納位置に支持している。
図6、図10に示すように、支持突起38のうちフック出入口15A側である先端は、鉤部28の先端側28Bの外側面28B1が当接する鉤部外側面当接部38Aとなっている。この鉤部外側面当接部38Aは、鉤部28の先端側28Bの外側面28B1に沿った凹湾曲面として形成されている。これにより、フック23を鉤部28の先端側28Bから鉤部格納空間S2内に挿入したときに、鉤部28の先端側28Bの外側面28B1が鉤部外側面当接部38Aに沿うように当接するので、フック23の鉤部28から支持突起38に対する面圧を低減できる。
また、支持突起38は、バケット7を他の作業具(例えば、グラップル等)に交換する場合に、フック23のフック用ボス24が左バケット側ボス21と右バケット側ボス22との間に位置決めされるように設けられている。即ち、フック23の鉤部28の先端側28Bを支持突起38に当接させると、フック用ボス24の軸線を左バケット側ボス21の軸線と右バケット側ボス22の軸線とに合わせることができるので、連結ピン11Bを容易に挿入できる。具体的には、作業機4を図1に示す姿勢とした状態で、バケット7を他の作業具(例えば、グラップル等)に交換する場合に連結ピン11Bを左バケット側ボス21、右バケット側ボス22、およびフック用ボス24から取外すと、フック23は自重により後述のフック掛止め突起39に向けて移動する。
そして、グラップル等を左バケット側ボス21、右バケット側ボス22、およびフック用ボス24に連結させるときには、フック23を鉤部28が支持突起38に当接するまで持上げることにより、フック用ボス24の位置決めがなされる。即ち、フック23の鉤部28の先端側28Bを支持突起38に当接させると、フック用ボス24の軸線を左バケット側ボス21の軸線と右バケット側ボス22の軸線とに合わせることができる。このため、連結ピン11Bをフック用ボス24、左バケット側ボス21、および右バケット側ボス22に容易に挿入できる。従って、作業具の交換を簡単に行えるので、作業具の交換作業の効率を向上することができる。
フック掛止め突起39は、取付板部31に形成された開口部31Bの下側に位置して取付板部31からフック出入口15A側に向けて突出している。具体的には、フック掛止め突起39は、左フックガイド33と右フックガイド34との間で左,右のバケット側ボス21,22側に位置して、取付板部31からフック出入口15A側に向けて突出している。
このフック掛止め突起39は、連結ピン11Bを左バケット側ボス21、右バケット側ボス22、およびフック用ボス24から取外してフック23が自重により左バケット側ボス21および右バケット側ボス22側に向けて移動したときに、フック23の鉤部28の先端側28Bの内側面28B2が当接することによりフック23を掛止めしている。
即ち、フック23は、連結ピン11Bを左バケット側ボス21、右バケット側ボス22、およびフック用ボス24から取外すと、鉤部28の外側面28B1が支持突起38に当接している格納位置からフック掛止め突起39に掛止めされる掛止位置(図3、図5、図7に示す位置)に移動する。フック23が掛止位置にあるときには、ロック部材36による鉤部28への係合と、フック掛止め突起39による掛止めとによりフック23が第2のリンク15から離脱するのを抑制している。
図6、図7に示すように、フック掛止め突起39のうちフック出入口15A側である先端は、外れ止め29が当接する外れ止め当接部39Aとなっている。図6に示すように、外れ止め当接部39Aは、フック23を鉤部28の先端側28Bから鉤部格納空間S2内に挿入したときに、外れ止め29がフック掛止め突起39を押圧する状態で当接する部位である。これにより、フック23をフック保持具30に保持させたときに、外れ止め29のフック掛止め突起39に対する付勢力によりフック23のがたつきを抑制しており、フック23を格納位置に安定した状態で格納できる。
また、フック掛止め突起39の上面側は、連結ピン11Bを左バケット側ボス21、右バケット側ボス22、およびフック用ボス24から取外してフック23が自重により左バケット側ボス21および右バケット側ボス22側に向けて移動したときに、鉤部28の先端側28Bの内側面28B2が当接する鉤部内側面当接部39Bとなっている。即ち、鉤部内側面当接部39Bは、フック掛止め突起39のうち支持突起38(鉤部外側面当接部38A)に対面して、鉤部28の先端側28Bの内側面28B2に沿った凹湾曲面として形成されている。
これにより、フック掛止め突起39は、連結ピン11Bを左バケット側ボス21、右バケット側ボス22、およびフック用ボス24から取外した場合に、フック23がこれ以上落下するのを規制して、フック23が第2のリンク15から抜け落ちるのを抑制する。また、図7に示すように、フック23がフック掛止め突起39に掛止めされている場合には、外れ止め29がフック掛止め突起39を押圧している。従って、フック23をフック掛止め突起39に掛止めさせたときに、外れ止め29のフック掛止め突起39に対する付勢力によりフック23のがたつきを抑制しており、作業具の交換作業の作業性を向上できる。
凹溝部40は、左フックガイド33と右フックガイド34の間に形成された鉤部格納空間S2の底部側に設けられている。具体的には、凹溝部40は、支持突起38とフック掛止め突起39との間に形成され、フック23が格納位置にあるときにフック23の鉤部28の先端側28Bが挿入する部分である。凹溝部40の底部側には、取付板部31の開口部31Bが設けられている。
図6、図7に示すように、凹溝部40の支持突起38とフック掛止め突起39との間の長さ寸法Lは、フック23の鉤部28が移動可能な長さとなっている。即ち、フック23の上,下方向の移動は、上限がフック用ボス24の左,右のバケット側ボス21,22に対する連結ピン11Bの芯を位置決めすることができる位置となり、下限がフック23の鉤部28がフック掛止め突起39に掛止めされる位置となっている。このフック23の移動量(即ち、長さ寸法L)は、フック23の形状、大きさ、重量等により適宜設定することができる。
本実施の形態による油圧ショベルは、上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1による掘削作業と吊荷作業とについて述べる。
まず、油圧ショベル1により吊荷作業を行う場合には、格納位置で保持されているフック23を作業位置に移動させる。この場合、作業者がロック部材36の操作部36Cを把持し、ばね37の付勢力に抗してロック部材36を解除位置へと回動変位させる。これにより、ロック部材36の保持部36Aをフック23の鉤部28から離脱させる。その後、連結ピン11Bを中心にしてフック23を格納位置から作業位置へと移動させることができる。
そして、作業位置へと移動したフック23にワイヤロープ等を介して吊荷(いずれも図示せず)を吊下げ、例えばブーム5を俯仰動させつつ上部旋回体3を旋回させることにより、吊荷を所望の位置へと搬送する吊荷作業を行うことができる。
次に、バケット7を用いた掘削作業を行う場合には、フック23を作業位置から格納位置に移動させる。この場合、作業者がフック23を把持して、このフック23を左,右のバケット側ボス21,22(連結ピン11B)を中心として左,右のシリンダ側ボス19,20側に向けて揺動させる。これにより、フック23を第2のリンク15のフック出入口15Aからフック格納空間S1内へと移動させる。
そして、フック23の鉤部28を先端側28Bからフック保持具30の鉤部格納空間S2内に挿入する。この場合、フック23は、鉤部28がロック部材36の被押圧部36Bを押圧しながら鉤部格納空間S2内に挿入される。そして、フック23の鉤部28の外側面28B1が支持突起38に当接すると、ロック部材36の保持部36Aが鉤部28の内側面28B2側に入り込み、フック23を格納位置に保持している。これにより、フック23は第2のリンク15内のフック格納空間S1に保持され、ブーム5、アーム6、およびバケット7を駆動させて掘削作業を行うことができる。
この場合、図6に示すように、フック23の外れ止め29は、フック保持具30のフック掛止め突起39の外れ止め当接部39Aに当接することにより、フック掛止め突起39を押圧している。これにより、例えば掘削作業時の振動によるフック23のがたつきが低減するので、フック23を安定してフック格納空間S1に格納することができる。
次に、作業機4のアーム6に取付けられたバケット7を他の作業具(例えば、グラップル、ブレーカ等)に交換する場合の作業について説明する。
まず、図1に示すように、バケット7の底面を地面に当接させた状態で、アーム6の先端側でアーム6とバケット7のブラケット7Aとを連結している連結軸11Aを取外す(抜く)。また、第2のリンク15とバケット7のブラケット7Aとを連結している連結ピン11Bを取外す(抜く)。これにより、バケット7を作業機4から取外すことができる。
次に、支持突起38とフック掛止め突起39とについて説明する。
図2、図4、図6、図11に示すように、フック23がフック保持具30により格納位置に保持されている状態では、鉤部28の外側面28B1がフック保持具30の支持突起38の鉤部外側面当接部38Aに当接している。この場合、鉤部外側面当接部38Aは、鉤部28の先端側28Bの外側面28B1に沿った凹湾曲面として形成されている。これにより、フック23を鉤部28の先端側28Bから鉤部格納空間S2内に挿入したときに、鉤部28の先端側28Bの外側面28B1が鉤部外側面当接部38Aに沿うように当接するので、フック23の鉤部28から支持突起38に対する面圧を低減できる。
そして、図3に示すように、バケット7を第2のリンク15から取外すために、連結ピン11Bをブラケット7A、左バケット側ボス21、右バケット側ボス22、およびフック用ボス24から抜くと、フック用ボス24と左,右のバケット側ボス21,22との連結が解除される。従って、フック23は、自重により下方(左,右のバケット側ボス21,22側)に向けて移動(落下)する。
この場合、図7に示すように、フック23は、鉤部28の先端側28Bがフック保持具30のフック掛止め突起39に掛止めされることにより、下方への移動(落下)が規制される。即ち、連結ピン11Bが取外されたときには、フック23は格納位置(図2、図6の位置)から掛止位置(図3、図7の位置)へと自重により移動する。フック23が掛止位置にあるときには、ロック部材36による保持(係合)と、フック掛止め突起39による掛止めとにより、フック23が第2のリンク15から離脱するのを抑制している。
フック23の鉤部28の先端側28Bの内側面28B2が当接するフック掛止め突起39の鉤部内側面当接部39Bは、鉤部28の先端側28Bの内側面28B2に沿って凹湾曲面として形成されている。これにより、鉤部28の先端側28Bの内側面28B2が鉤部内側面当接部39Bに当接したときの面圧を低減できる。
また、フック23が掛止位置にあるときには、フック23の外れ止め29がフック掛止め突起39の外れ止め当接部39Aに当接した状態でフック掛止め突起39を弾性的に押圧している。これにより、フック23は、がたつきが低減されるので、掛止位置に安定的に保持される。さらに、フック掛止め突起39は、連結ピン11Bを取外したときのみフック23の鉤部28が接触(干渉)するので、フック掛止め突起39の寿命を向上できる。
そして、グラップル等を左バケット側ボス21、右バケット側ボス22、およびフック用ボス24に連結させるときには、フック23を鉤部28の先端側28Bの外側面28B1が支持突起38の鉤部外側面当接部38Aに当接するまで持上げる。この場合、支持突起38は、鉤部28の先端側28Bの外側面28B1を鉤部外側面当接部38Aに当接させると、フック用ボス24、左,右のバケット側ボス21,22、および図示しないグラップル等のブラケットの位置決めがなされる位置に設けられている。これにより、連結ピン11Bをフック用ボス24、左,右のバケット側ボス21,22、および図示しないグラップル等のブラケットに容易に挿入できる。
かくして、本実施の形態は、基端を自走可能な車体に俯仰の動作が可能に取付けたブーム5と、前記ブーム5の先端側に回動が可能に取付けたアーム6と、前記アーム6の先端側に回動が可能に設けられた作業具(バケット7)と、前記作業具(バケット7)を回動させる作業具シリンダ10と、前記作業具シリンダ10側の第1の連結部(左,右のシリンダ側ボス19,20)と前記アーム6の先端側から前記ブーム5の先端側に向けて離間した位置との間を連結する第1のリンク13と、前記第1の連結部(左,右のシリンダ側ボス19,20)と前記作業具側(バケット7側)の第2の連結部(左,右のバケット側ボス21,22)との間を連結してフック出入口15Aとフック格納空間S1とを内壁部16A,17A,18Aに連続して形成している第2のリンク15と、基端を連結ピン11Bにより前記第2の連結部(左,右のバケット側ボス21,22)に格納位置と作業位置との間で揺動が可能に支持していると共に先端に鉤部28を有しているフック23と、前記第2のリンク15の前記フック格納空間S1内に設けられ前記フック23を前記格納位置に保持するフック保持具30とを備えた油圧ショベル1に関する。
ここで、前記フック保持具30には、前記フック23を前記鉤部28の先端側28Bから前記フック格納空間S1に挿入したときに前記フック23の前記鉤部28の先端側28Bの外側面28B1が当接することにより前記フック23を前記格納位置に支持する支持突起38と、前記支持突起38よりも前記第2の連結部側(左,右のバケット側ボス21,22側)に位置し、前記連結ピン11Bを取外して前記フック23が自重により前記第2の連結部側(左,右のバケット側ボス21,22側)に移動したときに前記フック23の先端側28Bの内側面28B2が当接することで前記フック23を掛止めするフック掛止め突起39とが備えられている。
また、前記支持突起38と前記フック掛止め突起39との間には、前記フック23が前記格納位置にあるときに前記フック23の前記鉤部28の先端側28Bが挿入する凹溝部40が形成されている。
また、前記凹溝部40は、前記支持突起38と前記フック掛止め突起39との間で前記フック23の前記鉤部28が移動可能な長さになっている。
また、前記第2のリンク15は、互いに間隔をもって配設され前記第1の連結部(左,右のシリンダ側ボス19,20)から前記第2の連結部(左,右のバケット側ボス21,22)に向けて延びる一対の連結板(左,右の連結板16,17)と、前記フック出入口15Aに対面して前記各連結板(左,右の連結板16,17)の幅方向の一側を閉塞する閉塞板18とを有している。
ここで、前記フック保持具30は、前記第2のリンク15の前記閉塞板18に取付けられた取付板部31と、前記フック格納空間S1内に位置して前記取付板部31に互いに間隔をもって設けられ前記フック出入口15Aに向けて延びている一対のフックガイド(左,右のフックガイド33,34)と、前記各フックガイド(左,右のフックガイド33,34)のうち一方のフックガイドに設けられ前記フック23を前記格納位置に保持する保持位置と前記フック23を前記格納位置から解除する解除位置との間で移動可能なロック部材36と、前記一対のフックガイド(左,右のフックガイド33,34)の間で前記第1の連結部側(左,右のシリンダ側ボス19,20側)に位置して前記取付板部31に設けられた前記支持突起38と、前記一対のフックガイド(左,右のフックガイド33,34)の間で前記第2の連結部側(左,右のバケット側ボス21,22側)に位置して前記取付板部31に設けられた前記フック掛止め突起39とからなっている。
これにより、フック保持具30に設けられた支持突起38は、フック23を格納位置に安定的に支持させることができる。また、フック保持具30に設けられたフック掛止め突起39は、連結ピン11Bを取外したときにフック23の鉤部28を掛止めする。この場合、フック掛止め突起39は、仮にロック部材36が摩耗してロック部材36のフック23に対する係合が緩くなっていた場合でも、フック23が第2のリンク15から離脱するのを抑制することができる。
また、フック23の上,下方向の移動は、上限がフック用ボス24の左,右のバケット側ボス21,22に対する連結ピン11Bの芯を位置決めすることができる位置となり、下限がフック23の鉤部28がフック掛止め突起39に掛止めされる位置となっている。従って、バケット7に代えて他の作業具を取付けるときに、フック23を鉤部28の先端側28Bの外側面28B1が支持突起38の鉤部外側面当接部38Aに当接するまで持上げると、フック用ボス24の位置決めを行うことができる。その結果、簡単に連結ピン11Bを左,右のバケット側ボス21,22、フック用ボス24、および他の作業具のブラケット(図示せず)に取付ける(差し込む)ことができるので、作業具の交換作業の作業性を向上できる。
さらに、フック保持具30の取付板部31には、左,右のフックガイド33,34、支持突起38、およびフック掛止め突起39が設けられているので、取付板部31を第2のリンク15の閉塞板18に取付けるだけで、簡単に左,右のフックガイド33,34、支持突起38、およびフック掛止め突起39をフック格納空間S1内に配設できる。従って、フック保持具30の取付作業の作業性を向上できる。
なお、上述した実施の形態では、ロック部材36は、支持ピン35を介して右フックガイド34に設けられた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばロック部材36は、支持ピン35を介して左フックガイド33に設けられていてもよい。
また、上述した実施の形態では、フック保持具30は、第2のリンク15の閉塞板18にボルト32を用いて取付けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばフック保持具30を閉塞板18に溶接等により固着させてもよい。
また、上述した実施の形態では、フック保持具30は、取付板部31、左フックガイド33、右フックガイド34、支持突起38、およびフック掛止め突起39を鋳造および鍛造により一体的に形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば金属板材を加工して取付板部31、左フックガイド33、右フックガイド34、支持突起38、およびフック掛止め突起39を別個に形成してもよい。
また、フック保持具30の取付板部31、左フックガイド33、右フックガイド34、支持突起38、およびフック掛止め突起39を別個に閉塞板18にそれぞれ取付けてもよい。この場合、取付板部31を用いずに、左フックガイド33、右フックガイド34、支持突起38、およびフック掛止め突起39を閉塞板18に直接取付けてもよい。
また、上述した実施の形態では、連結ピン11Bを取外してフック23が自重により掛止め位置に移動したときに、ロック部材36による鉤部28への係合と、鉤部28がフック掛止め突起39に掛止めされることによりフック23が第2のリンク15から外れるのを抑制した場合について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば連結ピン11Bを取外してフック23が自重により掛止め位置に移動したときに、ロック部材36による係合が解除されて、フック掛止め突起39の掛止めだけでフック23を第2のリンク15から外れるのを抑制させてもよい。
また、上述した実施の形態では、フック保持具30は、下部走行体2に履帯を備えた油圧ショベル1の作業機4(第2のリンク15)に用いた場合について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばフック保持具30は、下部走行体に車輪を備えたホイール式の油圧ショベルの作業機(第2のリンク15)に適用してもよい。