JP2016530419A - 機械的掘削機のための安全昇降システム - Google Patents

機械的掘削機のための安全昇降システム Download PDF

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Abstract

本発明は、可動の連結具(例えば、チェーン)と、連結具の変位のために連結具に結合されるように適合されたアクチュエータと、連結具の変位を制限するように構成された当接部材と、連結具に装着されたフックを解放可能に保持するように配置された保持組立体とを備える、掘削機のための昇降システムを提供する。アクチュエータは、フックが組立体に保持されない第1の位置とフックが組立体によって保持される第2の位置との間で、連結具を可逆的に変位させるように動作し得る。結果として、連結具は、昇降システムに関係する作業員への損害または危害を回避するために、安全にしまい込まれ得る。【選択図】図1

Description

本発明は、昇降システムに関し、特には、機械的掘削機のための安全昇降システムに関する。
掘削具(digger)、JCB、機械的シャベルおよび360度掘削機などの機械的掘削機は、建設現場で、および採鉱や解体を含む重工業全般で、一般的に使用される。概して、このような掘削機は、典型的には、同様の基本的設計を共有し、したがって通常、油圧ピストンまたはラム(常に「クラウニングラム」と称される)を介して制御されるブームアームを備え、油圧ピストンまたはラムは、ほとんどの場合、ブームアームの上部に適切なブラケットを介して取り付けられる。
クラウニングラムは、通常、一対の傾斜リンク(tipping link)に接続され、傾斜リンク自体は、例えばバケット、爪またはドリルなどのツールまたは装着部品を全体的なブームアーム組立体に固定する役割を果たすクイックヒッチ(すなわち、ラッチ装置)に接続される。これらの部品のそれぞれは、典型的には、一連のピンを介して互いに対して接続される。
したがって、ツールまたは装着部品は、クラウニングラムおよびブームアームの制御された動作によって操作され、ツールまたは装着部品を、掘削、昇降、または解体作業などが行われるべき場所に正確に位置決めすることが可能になる。
しかしながら、典型的にはツールまたは装着部品をブームアームに接続しないで実行されたほうが良い特定の作業があり、このような場合は、様々な種類の物体を持ち上げるために、1つまたは複数の、金属チェーンなどの連結具がブームアームの端部に装着されることが一般的である。このような例の一つは、舗装部品(例えば、舗装スラブおよび/または縁部材(edging))または木製またはコンクリート製の枕木などの物体を持ち上げる必要がある場合に起こる。このような事例では、チェーンが物体に(例えば、フックおよびハーネスを介して)装着され、クラウニングラムおよびブームアームの制御された操作を介して物体を持ち上げ、所望の位置に移送することを可能にする。
しかしながら、このようなチェーンを使用することの重大な欠点は、掘削機が使用されていないとき、および、ブームアームに装着部品が接続されていないときに、チェーンがぶら下がったり、自由に垂れ下がったりすることを許容すると、チェーンが、ともすれば損害または危害を引き起こす場合があることである。その結果、作業員は、典型的には、昇降作業が完了した後でチェーンをブームアームから取り外す必要がある。したがって、いったん取り外されとき、チェーンは通常、掘削機自体(例えば、内装された保管室)にしまい込まれるか、さもなければ安全な保管場所に移送されなければならない。通常の場合で25kgを超え、時には100kgを超えることもあるチェーンの重量のため、このような作業は困難を伴う。したがって、チェーンを再取り付けする逆の作業は、手動でチェーンをブームアームまで持ち上げ、アームに掛け金で再接続する間、チェーンが支持される必要があるため、作業員にとってよりいっそう難しい作業になり得る。
それ故、この作業は、ともすれば一人の作業員に危険を及ぼすばかりでなく、実行のために何人かの作業員の補助が必要であり得、これは時間とリソースの無駄であるばかりでなく、より多くの作業員を損害または危害の可能性に晒すことにもなり得る。さらにまた、チェーンの取り外しおよび再取り付けは、険悪な天候状況においても行う必要があり得、関係者全員にとって概して不快であるばかりでなく、作業員に更なる危害の恐れをもたらすことになり得る。
それ故、本発明の目的は、関係する作業員に損害または危害を与えることなく昇降作業を実行することを可能にする、掘削機のための着脱可能なおよび/または恒久的な昇降システムを提供することで、当技術分野における上述の問題の、全てではないとしてもそのいくつかに、対処することである。
本発明の一態様によると、掘削機のための安全な昇降システムであって、
可動の連結具と、
連結具の変位のために連結具に結合されるように構成されたアクチュエータと、
連結具の変位を制限するように構成された当接部材と、
連結具に装着されたフックを解放可能に保持するように配置された保持組立体と
を備え、
アクチュエータは、フックが組立体に保持されない第1の位置とフックが組立体によって保持される第2の位置との間で、連結具を可逆的に変位させるように動作し得る、昇降システム、が提供される。
フックが保持組立体に保持されない第1の位置とフックが保持組立体によって保持される第2の位置との間で、連結具を可逆的に変位させるように動作し得るアクチュエータを少なくとも備える昇降システムを提供することは、先行技術よりも特段に有利であると考えられる。
これにより、フックを可逆的に移動し、第2の位置においてフックに掛け金をかける/固定する機能は、効果的に連結具を「しまい込む」能力、またはさもなければ掘削機のブームアームに対する連結具の相対的な移動/変位を制限する能力を提供する。この動作の結果、連結具が、ブームアームからぶら下がったり、自由に垂れ下がったりすることが防止され、このことは、掘削機の作業間の連結具の取り外しおよび再取り付けの必要性を回避するばかりでなく、重要なことには、連結具が作業員と不測の接触をする危険がなくなるため、掘削機に関係する作業員への損害または危害の恐れを最小化する。
「掘削機」という語によって我々が意味するのは、それらが移動式または固定式であろうと、および/または、それらが油圧、電気および/または空気圧によって動作するものであろうと任意の機械的な掘削機であり、特には、掘削具、JCB、機械的シャベルおよび360度掘削機の非網羅的な一覧を、制限なく含むと意図される。
さらにまた、本明細書において「連結具」と呼ばれるものはいずれも、機械的なフックまたはフック状の部品を組み込んだチェーン、ケーブル、つなぎ綱、およびチェーン、ケーブルまたはつなぎ綱の形態の他の任意のセグメント化された機械的結合具の全ての形態を含むと意図されることを理解されたい。最も好ましくは、本発明に関連する連結具は、肉厚な金属チェーンであろう。
本発明の昇降システムは、任意の既存の種類の掘削機に後付けされ得、または掘削機の新規の製作において取り付けられ得る。昇降システムが後付けされる場合は、システムは、特定のブームアームおよび掘削機自体の大きさおよび/または物理的寸法構成に適するまたは適合するように拡大縮小され得る。したがって、本システムは、本質的には拡大縮小可能であり、本明細書において説明される任意の修正を施された、全てではないとしても大部分の型式の掘削機と共に使用され得ることを理解されたい。
アクチュエータは、チェーンなどの連結具に、連結具の変位のために結合されるように適合される。アクチュエータは、好ましくは、剛性のブラケットおよびピンなどの適切な結合具を介して、掘削機のブームアームに恒久的にまたは取り外し可能に装着される。
特定の好ましい実施形態において、アクチュエータは、油圧の作用によって可逆的に伸縮するように動作し得る油圧ピストンまたはラムの形態である。他の実施形態において、アクチュエータは、電機または空気圧によって駆動され得、または場合によりこれら3つ全ての組み合わせによって駆動され得る。
アクチュエータが、油圧ピストンまたはラムである場合は、ピストン/ラムは、掘削機の既存の油圧システムに直接的に結合され得る。さらにまた、掘削機の制御システム(通常は掘削機の運転室または着座領域内に設けられる)は、既存の制御システムを介してアクチュエータを動作可能に制御するスイッチ装置(例えば、スイッチ、ボタン、レバー、ジョイスティックなど)を組み込むように修正もされ得る。したがって、好ましい実施形態において、電気スイッチが、油圧システムを始動させ、それによって油圧ラムを伸長または後退させるために使用され得る。
好ましくは、昇降システムは、アクチュエータの端部に結合される係合部材をさらに備え、係合部材は、フックが保持組立体に保持されていないとき、すなわち、連結具が第1の位置に変位したときに、当接部材と係合するように構成される。
係合部材は、最も好ましくは、ピストンラムブロックの形態であり、油圧ラムの伸長可能な端部に接続または他の方法で結合される。
ピストンラムブロックは、好ましくは連結具がアクチュエータに結合されることを可能にする結合手段を含む中実の本体を備え得る。本体は、本体の残りの部分の寸法と比較すると小さい寸法の首部を含む形状に形成され得る。首部は、好ましくは油圧ラムに接続される部分である。
結合手段は、好ましくは油圧ラムの移動方向に沿って突出する一対の突起の形態であり得る。この突起の役割は、好ましくはチェーンのリンクおよび突起を貫通するピンまたはボルトなどの適切な保持手段を介して、チェーンがピストンラムブロックに結合されることを可能にすることである。
当接部材は、連結具の変位を制限するように構成される。好ましい実施形態において、当接部材は、ピストンブロック筐体の形態であり、ピストンブロック筐体は、好ましくは、連結具が通過可能な孔を備える。代替的な実施形態において、この孔は、上部が開放されたチャネルまたは凹部などによって置き換えられ得る。
ピストンブロック筐体は、略逆「U字形」または馬蹄形の中実の本体を備え得る。しかしながら、昇降システムの特定の用途および/または実装態様に応じて、任意の他の適切な形状が使用され得る。
ピストンブロック筐体は、好ましくは、アクチュエータの作用によってピストンブロック筐体内へ伸長し得、また、そこから後退し得るピストンラムブロックの移動を禁止する当接面を備える。当接面は、ピストンブロック筐体の内壁または他の表面に相当し得る。
好ましい実施形態において、昇降システムは、係合部材の変位を案内するための少なくとも1つのガイドレールをさらに備え得る。最も好ましくは、昇降システムは、掘削機のブームアームの少なくとも一部分に沿ってアクチュエータの移動方向と略同軸に延びる一対のガイドレールを組み込む。
それ故、特定の好ましい実施形態においては、ガイドレールは、当接部材からブームアームの上面に沿って延び、係合部材がレールに沿って位置し案内されることを可能にし、それによってアクチュエータの伸縮中に、係合部材と当接部材との確実な位置合わせを可能にする。
係合部材は、ガイドレールと係合するように適合された、少なくとも1つの横方向に延びるピンまたは突出部を備え得る。最も好ましくは、係合部材は、係合部材のそれぞれの側部において向かい合って対向する一対のピンを備える。ピンの役割は、レールとの適当な係合および位置合わせを保証することであり、レール自体は、好ましくは、ピンを受け入れるための各々の窪んだチャネルまたは溝を備える。しかしながら、理解されようが、任意の適切なスロットおよびピンの配列が、係合部材の移動および位置合わせを案内するために使用され得る。
ガイドレールは、飛散物および異物(例えば、土、石、埃、泥など)が、レールの概ね間の領域に進入することを防止するために、任意の適切な手段で覆われ得る。ガイドレールの被覆手段は、連結具が通過するときの連結具のカチャカチャまたはガタンという音を低減することを意図する下方向に向けられた繊維、指状物、粒状仕上げ(stipples)などを備えるプラスチックのライナも含み得る。
保持組立体は、連結具に装着されたフックを解放可能に保持するように配置される。特定の好ましい実施形態において、保持組立体は、フックを保持するための自動把持機構を備える。
把持機構は、好ましくは、フックを把持するために互いに向かって付勢される一対の枢動可能面を備える。例示的な実施形態において、枢動可能面は、ばねによって負荷がかけられた一対の櫂状部材の形態であり、一対の櫂状部材は、屈折可能であり、自動的にフックを圧迫し、それによってフックを解放可能にその間に把持する。
保持部材は、連結具がその一端部を通過し他端部から出ることが可能な略平坦な矩形の箱の形態であり得る。一端部の開孔または開口は、フックが箱の中に進入し、箱から退出することが可能な寸法に形成される。好ましくは、ばねによって負荷がかけられた櫂状部材は、フックが箱に進入したときに、フックを解放可能に把持するように、開口に隣接して配置される。
フックに接触する櫂状部材の表面は、フックのより容易な把持を促す各々の凹部を含み得る。
保持組立体は、好ましくは、フック放出機構をさらに備える。フック放出機構は、連結具が通過可能な開孔を含む付勢板を備え得る。付勢板は、好ましくは、ばねによって負荷がかけられ、最も好ましくは、一対の圧縮可能なばねを備える。
アクチュエータが、係合部材を当接部材から後退させるとき、連結具は、保持組立体を通って引っ張られ、フックが保持組立体内の櫂状部材と係合される。フックは、好ましくは、付勢板を圧迫し、付勢板は、アクチュエータが再び伸長されたときに、圧縮可能なばねによって放出力をフックに供給する。このように、付勢板は、フックを効果的に押し出しまたはキックし、フックが保持組立体から放出されることを可能にする。フックが保持されている間は、連結具は、それによって本質的にしまい込まれ、さもなければ、移動することを禁じられ/防止され、連結具がブームアームに対してぶら下がったり、自由に垂れ下がったりすることを回避する。結果として、連結具が掘削機に関係する作業員と不測の接触をする恐れが殆どまたは全くなくなる一方、連結具をしまい込んだことで掘削機の使用の間の連結具の取り外しおよび再取り付けの必要もなくなる。
「しまい込む(stow)」または「しまい込んでいる(stowing)」という語によって我々が意味するのは、掘削機への装着部品が取り外されたときに、連結具が、掘削機のブームアームに対して、ブームアームに隣接して、またはブームアームに他の形で関連して、安全に保持され、危害をもたらす状態からそのように脱していることであることを理解されたい。それ故、連結具がしまい込まれたとき、連結具は、第2の位置に変位し、フックは組立体によって保持される。またはその逆に、フックが組立体によって保持されるとき、連結具は、安全にしまい込まれる。
保持組立体は、飛散物および異物(例えば、土、石、埃、泥など)が、組立体に進入することを防止するために、任意の適切な手段で覆われ得る。箱状に構成されているため、覆いは単純な蓋またはキャップなどに相当し得る。
好ましい実施形態において、保持組立体の付勢板の開孔は、フックの相補的な形状の首部を受け入れるために先細りの縁部を有し得る。これは、アクチュエータが伸長されたときに放出機構が最大限の放出力を供給するように、フックが完全に板と係合することを保証するためである。
略円錐形状の首部を有するフックを使用することが、最も好ましく、というのは、このようなフックは、付勢板と完全に係合するばかりでなく、保持組立体に進入したときに、フックが本質的に平坦に横たわることも保証するからである。好ましくは、円錐形状の首部は、可動の連結具がフックに接続する場所に平坦な面が隣接して存在するような、先端を切り取られた形状を有する。平坦な面は、付勢板との完全な係合を促し得るので有利である。
好ましくは、円錐形状の首部において、連結具に隣接する部分は、フックに隣接する部分よりも狭い。有利には、これは、保持組立体内でフックを定位置に案内することを促す。
好ましくは、円錐形状の首部の断面は円形ではなく、ある寸法において他よりも大きな延長部を有する。例えば、円錐形状の首部の断面は楕円形であり得、または断面が繭形(obround)であり得る。
保持組立体は、フックを付勢板内に案内するための傾斜した面(例えば、斜面(ramp))として働くとともに、組立体内での連結具の容易な変位を促しもする当て板も含み得る。さらに、当て板は、付勢板および組立体それ自体の中を通るときに連結具がたてる「カチャカチャ」または「ガタン」といういかなる騒音も低減することもできる。
既に述べたように、本発明の昇降システムは、既存の掘削機に後付けされ得、または、新規の掘削機の製作の一部として取り付けられ得る。いくつかの場合において、クラウニングラムの位置および配置を修正する必要があり得る。それ故、少なくともいくつかの種類の掘削機において、アクチュエータのための空間を作り出すために、クラウニングラムのブラケットは約10〜15mmだけまたはそれ以上に大きくされる必要があり得ると想定される。さらにまた、アクチュエータの軸方向移動もさらに受け入れるための凹部またはチャネルがブームアームの上面に削られまたは穴あけされる場合もあり得る。
ブームアームに何らかの構造的な変更がなされる場合は、追加的な支持を提供するために、1つまたは複数の補強板がアームに固定され得る。しかしながら、多くの場合、これは必要とされないであろう。
更なる修正としては、クイックヒッチに関連する1つまたは複数の油圧供給路および/またはパイプの再配置/再位置決めの必要性も含み得る。しかしながら、全ての修正は、当業者の能力の範囲内に十分あるものであろう。
ブームアームの損耗を防ぐために、また、騒音を低減するために、プラスチックの当て板またはシム(shim)が、ブームアームの上面に取り付けられ得、連結具がアームを擦ることまたはアームとカチャカチャとぶつかることを回避する。したがって、シムは、当接部材と保持組立体との間に取り付けられ得る。
さらに、金属の当て板が、ブームアームの端部に固定され得、好ましくは、上向きの縁を有して連結具のための案内部として働き、且つ、クイックヒッチがブームアームに固定される隙間に連結具が進入することを防止する。
理解されるように、前述の実施形態において説明されたような昇降システムは、有利には可動部品の数が少なく、また、例示的な実施形態において、保持組立体自体は、動作のために電子装置又油圧装置を必要としない。したがって、昇降システムは、信頼性が高いだけでなく、点検および保守が容易であり、それによって使用寿命の長期化を促す。
さらにまた、システム全体は、典型的には、重さが約100kg以下であるので、掘削機の性能には影響せず、その何らかの能力をいかなる形でも妨げることはない。
本発明は、前述の実施形態のいずれかによる昇降システムを備える掘削機も提供する。
本発明に関連して説明されるどの実施形態も互いに排他的なものではなく、したがって、1つの実施形態の特徴および機能は、任意の他の実施形態の特徴および機能と交換可能にまたは追加的に、制限なく使用され得ることを理解されたい。
次に、本発明の実施形態が、例示として、添付の図面を参照して詳細に説明される。
本発明の特定の好ましい実施形態と関連する例示的なブームアームの側面図である。 図1の実施形態の側面拡大図である。 本発明による昇降システムの特に好ましい実施形態の平面図である。 図4aは本発明の特に好ましい実施形態による当接部材および係合部材の平面図である。 図4bは本発明の特に好ましい実施形態による当接部材および係合部材の側方端面図である。 本発明の特に好ましい実施形態による保持組立体の平面図である。 図6aは本発明の特に好ましい実施形態によるフックおよび連結具の側面図である。 図6bは本発明の特に好ましい実施形態によるフックおよび連結具の傾斜図である。
図1を参照すると、本発明による昇降システム10の特に好ましい実施形態が図示されている。昇降システム10は、ブームアーム31とブームアーム31の上部にブラケット33を介して取り付けられた油圧(クラウニング)ラム32とを有する例示的な掘削機30に装着されたところが図示されている。従来技術において慣習的に知られているように、クラウニングラム32は、傾斜リンク34に接続され、傾斜リンク34は、ひいてはツールまたは取り付け部品36(破線で示される)をブームアーム31に固定するように働くクイックヒッチ35に接続される。
昇降システム10は、可動の連結具14と、連結具14に結合されるように構成されたアクチュエータ11と、連結具14の変位を制限するように構成された当接部材12と、連結具14に装着されたフック15を解放可能に保持するように配置された保持組立体13とを備える。当業者は、「フック」という用語が、負荷を可動の連結具14に接続するための任意の適切な機構を包含することを理解されよう。このような適切な機構は、開フック、閉フック(これはアイレットと称されることがある)などを含み得る。
図1の例において、連結具は肉厚な金属チェーン14である。他の実施形態において、連結具は、可撓性の部材の他の形態であり得る。
アクチュエータ11は、油圧の作用によって可逆的に伸縮するように動作し得る油圧ピストンまたはラムの形態である。油圧ラム11は、剛性のブラケットおよびピン16を介して掘削機30のブームアーム31に装着される。
油圧ラム11は、掘削機30の既存の油圧システム37に直接結合される。使用される掘削機の特定の実施態様および/または種類に応じて、油圧供給路/パイプに対するいくつかの修正が必要とされ得る場合がある。しかしながら、この修正は面倒なものではなく、当業者の知識および専門技術の範囲内に十分あるものであろう。したがって、本発明の昇降システムは、全てではないとしても大部分の掘削機に後付けされ得る。
さらにまた、掘削機30の制御システム(通常は、図面に図示されていない掘削機の運転室または着座領域内に設けられる)もまた、既存の制御システムを介して油圧ラム11を動作可能に制御する適切なスイッチ装置(例えば、スイッチ、ボタン、レバー、ジョイスティックなど)を組み込むように修正もされ得る。この場合もやはり、このような修正は、当業者にとっては日常的な作業であろう。
したがって、実際には、電気スイッチ(不図示)が、油圧システム37を始動させ、それによって油圧ラム11を伸長または後退させるために使用されるであろう。
次に、図1および図2を参照すると、昇降システム10は、油圧ラム11の端部に結合された係合部材11aをさらに備え、係合部材11aは、フック15が保持組立体13に保持されていないとき、すなわち、(さらに詳細に後述されるように)チェーン14が第1の位置に変位したときに、当接部材12と係合するように構成される。
係合部材11aは、ピストンラムブロックの形態であり、油圧ラム11の伸長可能な端部に溶接される。
ピストンラムブロック11aは、チェーン14が油圧ラム11に結合されることを可能にする結合手段11bを含む中実の本体を備える。図3および図4aに最もよく図示されるように、本体は、本体の残りの部分の寸法と比較的小さい寸法の首部を含む形状に形成され得る。図3に図示されるように、首部は、油圧ラム11に溶接される部分である。
図4aを参照すると、結合手段11bは、油圧ラム11の移動方向に沿って突出する一対の突起の形態である(図3参照)。この突起の役割は、チェーン14のリンクおよび突起を貫通するピンまたはボルトなどの適切な保持手段を介して、チェーン14がピストンラムブロック11aに結合されることを可能にすることである。
当接部材12は、チェーン14の変位を制限するように構成され、ピストンブロック筐体の形態である。ピストンブロック筐体12は、チェーン14が通過可能な孔を備える(図2、図3および図4a参照)。
図3および図4aに図示されるように、ピストンブロック筐体12は、略逆「U字形」または馬蹄形の中実の本体を備える。中実の本体は、大型鋳鋼から製作され、図1および図2に図示されるように、ブームアーム31の上面に溶接される。
ピストンブロック筐体12は(図4aに図示されるように)、油圧ラム11の作用によってピストンブロック筐体12内へ伸長し得、また、そこから後退し得る(図3および図4a参照)ピストンラムブロック11aの移動を禁止する当接面12aを備える。当接面12aは、ピストンブロック筐体12の内壁に相当し、鋳造法によって、またはさもなければ、本体が鋳造された後に加工されることによって作り出され得る。
昇降システム10は、掘削機30のブームアーム31の少なくとも一部分に沿って油圧ラム11の移動方向と略同軸に延びる一対のガイドレール17をさらに備える(図3および図4a参照)。
図3に図示されるように、ガイドレール17は、ピストンブロック筐体12からブームアーム31の上面に沿って延び、ピストンラムブロック11aがレール17に沿って位置し案内されることを可能にする。このようにして、油圧ラム11の伸縮中に、ピストンラムブロック11aとピストンブロック筐体12との確実な位置合わせが達成される。
図4aおよび図4bを参照すると、ピストンラムブロック11aは、ピストンラムブロック11aのそれぞれの側部において向かい合って対向する一対のピンまたは突出部11c(破線で図示される)を備える。ピン11cの役割は、レール17との適当な係合および位置合わせを保証することであり、レール17自体は、ピン11cを受け入れるための各々の窪んだチャネルまたは溝を備える(図4bの破線を参照)。
図3および図4aには図示されていないが、ガイドレール17は、金属シート(例えば、軽鋼)などで作られた取り外し可能なアクセスカバーで覆われ得、アクセスカバーはレール17にネジ留めまたはボルト留めされて、任意の飛散物および異物(例えば、土、石、埃、泥など)が、レールの間の領域に進入することを防止する。ガイドレール17の被覆手段は、チェーン14が通過するときのチェーン14のカチャカチャまたはガタンという音を低減することを意図する下方向に向けられた繊維、指状物、粒状仕上げなどを備えるプラスチックのライナも含み得る。
保持組立体13は、チェーン14に自動把持機構を介して装着されたフック15を解放可能に保持するように配置される。
図3および図5を参照すると、把持機構は、フック15を把持するために互いに向かって付勢される一対の枢動可能面13aを備える。枢動可能面13aは、ばねによって負荷がかけられた一対の櫂状部材の形態であり、一対の櫂状部材は、屈折可能であり、自動的にフック15を圧迫し、それによってフックを解放可能にその間に把持する。
保持部材13は、チェーン14がその一端部を通過し他端部から出ることが可能な略平坦な矩形の箱の形態である(図3参照)。この箱は鋼板から作られ、その厚さは典型的には4〜12mmである。一端部の開孔または開口13bは、フック15が箱の中に進入し、箱から退出することが可能な寸法に形成される。ばねによって負荷がかけられた櫂状部材13aは、フックが箱に進入したときに、圧縮可能なばね13cの作用でフック15を解放可能に把持するように、開口13bに隣接して配置される。
フック15に接触する櫂状部材13aの表面は、フックのより容易な把持を促す各々の凹部を含み得る。櫂状部材13aは、鍛鋼で作られる。
保持組立体13は、フック放出機構をさらに備える。フック放出機構は、チェーン14が通過可能な開孔を含む付勢板13dを含む(図3参照)。付勢板13dは、ばねによって負荷がかけられ、一対の圧縮性のばね13eを備える。
使用中に、油圧ラム11がピストンラムブロック11aをピストンブロック筐体12から後退させるとき、チェーン14は、保持組立体13を通って引っ張られ、フック15が、保持組立体13内の櫂状部材13aと係合される(図3参照)。フック15は、次に付勢板13dを圧迫し、付勢板13dは、油圧ラム11が再び伸長されたときに、圧縮可能なばね13eによって放出力をフック15に供給する。
このように、付勢板13dは、フック15を効果的に押し出しまたはキックし、フックが保持組立体13から放出されることを可能にする。フック15が保持されている間は、チェーン14はそれによって本質的にしまい込まれ、さもなければ、移動することを禁じられ/防止され、チェーン14がブームアーム31に対してぶら下がったり、自由に垂れ下がったりすることを回避する。結果として、チェーン14が掘削機30に関係する作業員と不測の接触をする恐れが殆どまたは全くなくなる一方、チェーン14をしまい込んだことで掘削機30を使用する間のチェーンの取り外しおよび再取り付けの必要もなくなる。
明確さのために図示されていないが、保持組立体13は、飛散物および異物(例えば、土、石、埃、泥など)が、組立体の機構に進入することを防止するために、取り外し可能な蓋、カバーまたはキャップで覆われ得る。
保持組立体13の付勢板13dの開孔は、フック15の相補的な形状の首部を受け入れるために先細りの縁部(不図示)を有し得る。これは、油圧ラム11が伸長されたときに放出機構が最大限の放出力を供給するように、フック15が完全に板13dと係合することを保証するためである。
略円錐形状の首部50を有するフック15を使用することが、最も好ましく、というのは、このようなフックは完全に付勢板13dと係合するばかりでなく、このことは保持組立体13に進入したときに、フックが本質的に平坦に横たわることも保証するからである(図3参照)。
図6aおよび図6bに図示されるように、円錐形状の首部50は、連結具14に隣接する端部領域に平坦な面52を有するように先端を切り取られた形状を有し得る。好都合には、フック15は、保持組立体内でフックが本質的に平坦に横たわることを保証することを助ける平坦な面53を有する。説明されている実施形態において、円錐形状の首部50は、時に「繭形」と称される断面、すなわち、その端点における接線である平行な直線で結ばれた2つの半円からなる断面を有する。
図5に図示されるように、保持組立体13は、フック15を付勢板13d内に案内するための傾斜した面(例えば、斜面)として働くとともに、組立体13内でのチェーン14の容易な変位を促しもする当て板13fも含む。さらに、当て板13fは、付勢板13dおよび組立体それ自体の中を通るときにチェーンがたてる「カチャカチャ」または「ガタン」というあらゆる騒音を低減することもできる。
円錐形状の首部50は、フック15に隣接する部分より連結具14に隣接して狭くなり得る。
連結具14は、フック15の円錐形状の首部50を貫通するバー、ボルトまたはピン54などによって、フック15に枢動可能に接続され得る。
既に述べたように、本発明の昇降システム10は、既存の掘削機掘削機30に後付けされ得、または、新規の掘削機の製作の一部として取り付けられ得る。いくつかの場合において、クラウニングラム32の位置および配置を修正する必要があり得る。それ故、少なくともいくつかの種類の掘削機において、油圧ラム11のための空間を作り出すために、クラウニングラムのブラケット33は約10〜15mmだけまたはそれ以上に大きくされる必要があり得ると想定される。さらにまた、油圧ラム11の軸方向移動もさらに受け入れるため約10〜15mmの凹部またはチャネルがブームアーム31の上面に削られまたは穴あけされ、溶接される場合もあり得る。
ブームアーム31に何らかの構造的な変更がなされる場合は、追加的な支持を提供するために、1つまたは複数の厚さ約5〜6mmの金属補強板(不図示)がアームに固定され得る。しかしながら、多くの場合、これは必要とされないであろう。
更なる修正としては、クイックヒッチ35に関連する1つまたは複数の油圧供給路および/またはパイプの再配置/再位置決めの必要性も含み得る。しかしながら、全ての修正は、当業者の能力の範囲内に十分あるものであろう。
ブームアーム31の損耗を防ぐために、また、騒音を低減するために、プラスチックの当て板またはシム(不図示)が、ブームアーム31の表面に取り付けられ得、チェーン14がアームを擦ることまたはアームとカチャカチャとぶつかることを回避する。したがって、シムは、ピストンブロック筐体12と保持組立体13との間に取り付けられ得る。シムの厚さは約5mmである。
さらに、金属の当て板(不図示)が、ブームアーム31の端部に固定され得、上向きの縁を有してチェーン14のための案内部として働き、且つ、クイックヒッチ35がブームアーム31に固定される隙間にチェーンが進入することを防止する。ここでもまた、当て板は、厚さが約5mmであり、上向きの縁の高さは約20mmである。
前述の実施形態から理解されるように、本発明は、拡大縮小可能で取り付けが簡単な、掘削機のための信頼性のある安全な昇降システムを提供する。しかしながら、本発明の1つまたは複数の原理は、連結具または類似の部品がシステムに携わる作業員に損害または危害を与える恐れのある他の昇降システムに、それが移動式および固定式のどちらであっても、また、その大きさに関わらず、拡大適用が可能であることを理解されたい。
上述の実施形態は単なる例示として説明される。発明から逸脱することなく、多くの変形が可能である。

Claims (17)

  1. 掘削機のための昇降システムであって、
    可動の連結具と、
    前記連結具の変位のために前記連結具に結合されるように構成されたアクチュエータと、
    前記連結具の前記変位を制限するように構成された当接部材と、
    前記連結具に装着されたフックを解放可能に保持するように配置された保持組立体と
    を備え、
    前記アクチュエータは、前記フックが前記組立体に保持されない第1の位置と前記フックが前記組立体によって保持される第2の位置との間で、前記連結具を可逆的に変位させるように動作し得る、昇降システム。
  2. 前記保持組立体は、前記フックを保持するための自動把持機構を備える、請求項1に記載の昇降システム。
  3. 前記把持機構は、前記フックを把持するために互いに向かって付勢される一対の枢動可能面を備える、請求項2に記載の昇降システム。
  4. 前記枢動可能面は、ばねによって負荷がかけられた一対の櫂状部材の形態である、請求項3に記載の昇降システム。
  5. 前記保持組立体は、フック放出機構をさらに備える、請求項2から4のいずれかに記載の昇降システム。
  6. 前記フック放出機構は、前記連結具が通過可能な開孔を含む付勢板を備える、請求項5に記載の昇降システム。
  7. 前記付勢板はばねによって負荷がかけられる、請求項6に記載の昇降システム。
  8. 前記開孔は、前記フックの相補的な形状の首部を受け入れるために先細りの縁部を有する、請求項6または7に記載の昇降システム。
  9. 前記当接部材は、ピストンブロック筐体の形態である、請求項1から8のいずれかに記載の昇降システム。
  10. 前記ピストンブロック筐体は、前記連結具が通過可能な孔を備える、請求項9に記載の昇降システム。
  11. 前記アクチュエータの端部に結合される係合部材をさらに備え、前記係合部材は、前記フックが前記組立体に保持されていないときに前記当接部材と係合するように構成される、請求項1から10のいずれかに記載の昇降システム。
  12. 前記係合部材は、ピストンラムブロックの形態である、請求項11に記載の昇降システム。
  13. 前記当接部材は、前記ピストンラムブロックの移動を禁止する当接面を備える、請求項12に記載の昇降システム。
  14. 前記係合部材の前記変位を案内するための、少なくとも1つのガイドレールをさらに備える、請求項11から13のいずれかに記載の昇降システム。
  15. 前記係合部材は、前記ガイドレールと係合するように適合された少なくとも1つの横方向に延びるピンを備える、請求項14に記載の昇降システム。
  16. 前記アクチュエータは、油圧ラムである、請求項1から15のいずれかに記載の昇降システム。
  17. 請求項1から16のいずれかに記載の昇降システムを備える、掘削機。
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