以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、本実施形態に係る注出口組合体の構成を詳細に説明する。図1は本実施形態に係る注出口組合体10の一例が示された平面図であり、図2は図1における注出口組合体10のA矢視側面図であり、図3は図1における注出口組合体10のB矢視側面図であり、図4は図3における注出口組合体のC−C線断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1および図2における右側を右とし、左側を左とする。また、図2における後述する蓋部50側を上とし、後述する注出口本体20側を下とする。
図1〜図4に示されるように、本実施形態に係る注出口組合体10は、注出口本体20と蓋部50等から構成される。
注出口本体20は、円筒状の円筒部21と、円筒部21の下端部に設けられ、後述する容器90に固着される取付部40とを備える。ここで、図1〜図4における直線L1は円筒部21の中心を示すものであり、直線L2は直線L1と交わるとともに左右方向に延びる直線であり、直線L3は直線L1と交わるとともに直線L2と直交する直線である。
円筒部21の上端には、円筒部21の内周面22から内方に向けて突出し、先細り形状である環状の内側突起部23を有する。内側突起部23の先端は薄肉部24であり、この薄肉部24を介して注出口本体20と後述する蓋部50とが連結されている。
また、円筒部21は、第2係止部として、外周面25から外方に突出する環状の係止リブ26を備える。ここで、第2係止部は、注出口本体の再封時に、後述する第1係止部と係止するものである。係止リブ26の下面27は水平面であり、係止リブ26の上面28は外方端から円筒部21の外周面25へ向けて下方から上方に傾いたテーパー面であり、上面28と下面27との間には円周面である側面29が形成されている。なお、係止リブ26は、上述の形状に限定されるものではなく、後述する第1係止部と係止する形状であればよい。
また、円筒部21は、係止リブ26を切り欠いた間隙部30を2つ備える。この2つの間隙部30は、周方向に等間隔に、つまり直線L1を軸として軸対称に備えられる。そして、環状に延びる係止リブ26は、この2つの間隙部30によって2つに分割されている。
また、円筒部21は、外周面25から外方に突出し、上下方向へ延伸する規制リブ31を2つ備える。規制リブ31は、後述する第1係止部に対応して配設されるものであり、左右にそれぞれ配置されている。規制リブ31は、間隙部30によって分割された係止リブ26の一端に連結し、下端は後述する取付部40に連結し、上端は係止リブ26より上方に位置している。また、規制リブ31の外周面25からの突出高さは、係止リブ26の突出高さよりも高い。
規制リブ31の上端には、上下方向に延伸する補強リブ32を備える。補強リブ32の上端は、補強連結部としての薄肉部33である。薄肉部33は後述する蓋部50と連結している。
また、円筒部21は、外周面25から外方に突出した突起部34を2つ備える。突起部34は、略半球状の突起である。突起部34は、後述する第1係止部に対応して配設されるものであり、係止リブ26の下方であって、規制リブ31から周方向に所定の間隔を隔てて配設されている。なお、突起部34は、上述の形状に限定されるものではなく、係止リブ26よりも突出高さが低い形状であればよく、例えば、上下方向に延伸し、断面が円弧状や三角形の突起であってもよい。
取付部40は、円筒状の基部41と、基部41の上端に設けられた天部42と、下端に設けられたフランジ部43とを備える。円筒状の基部41は円筒部21より外径が大きく、基部41は天部42を介して円筒部21の下端部に連設している。取付部40の天部42には、上述した規制リブ31が連結している。フランジ部43は、円板形状であり、フランジ部43の天面44が容器90に固着される。なお、フランジ部43は容器90との固着に用いられるものであり、その形状は、上述の円板形状に限定されるものではなく、容器90と接合される平坦な天面44を有するものであればよく、例えば、図1における外形が四角形や多角形等であってもよい。
基部41の外周面には、外方へ突出した爪部45が4つ設けられている。4つの爪部45は、周方向に略等間隔に配設されている。爪部45の下面46は水平面であり、爪部45の上面47は外方端から基部41の外周面へ向けて下方から上方に傾いたテーパー面である。なお、爪部45は容器90の固着に用いられるものであり、その数や形状は上述の形態に限定されるものではなく、例えば、基部41の外周面から連続的に外方へ突出した環状のリブであってもよく、形状、大きさ、数などは適宜設計できる。また、爪部45を備えない構成であってもよい。
蓋部50は、円柱状の天部51と、天部51の裏面52から垂下した円筒状の嵌合部53と、嵌合部53の外方であって天部51の裏面52から垂下した左右2つの第1係止部としての係止アーム54とを備える。ここで、第1係止部としての係止アーム54は、注出口本体の再封時に、上述した第2係止部としての係止リブ26と係止するものである。
円柱状の天部51の表面55は、内方から外方に向けて上方から下方に傾いたテーパー面56を有する。このテーパー面56を含む表面55には、滑り止めに用いられる凹凸によるローレット57が形成されている。なお、天部51は、上述の形状に限定されるものではなく、例えば、左右方向に延伸する立方体であってもよい。また、天部51は、テーパー面56やローレット57を備えない構成であってもよく、ローレット57に替わって滑り止めに用いられるシボを備える構成であってもよい。
円筒状の嵌合部53の内周面58は下方から上方に向かって縮径している。嵌合部53は、外周面59から外方に突出する環状の嵌合突起部60を備える。嵌合部53は、嵌合突起部60の上端61と天部51の裏面52との間に所定の間隔を有する。嵌合突起部60は、頂部62から下方に向かって縮径するテーパー部63を有し、テーパー部63の下端は嵌合部53の下端まで延伸している。また、嵌合突起部60の頂部62の直径D1は、注出口本体20の円筒部21の内周面22の直径D2よりも大である。
左右2つの係止アーム54は、天部51の外縁と連設するとともに、左右対称に、つまり、直線L1を軸として軸対称に配設されている。係止アーム54は、下端部に内方へ突出する係止突起部64を有する。つまり、係止アーム54は、図2において略L字形状である。また、係止突起部64の上面65および下面66は外方から内方に向けて下方から上方に傾いたテーパー面であり、上面65と下面66との間には水平面に対して垂直な平面である側面67が形成されている。
そして、上述したように、円筒部21の内側突起部23の先端の薄肉部24は、嵌合突起部60のテーパー部63に連結し、注出口本体20と蓋部50とが連結されている。また、補強リブ32の上端の薄肉部33は、係止突起部64のテーパー面である下面66に連結し、注出口本体20と係止アーム54とが連結されている。つまり、蓋部50は、薄肉部24とともに薄肉部33によって注出口本体20と連結している。
なお、注出口本体20における間隙部30、規制リブ31、補強リブ32、突起部34のそれぞれは、蓋部50の第1係止部としての係止アーム54に対応して形成されており、それぞれの位置関係等については後述する。
注出口組合体10は、注出口本体20と蓋部50とが薄肉部24および薄肉部33によって連結した状態で一体的に形成される。また、注出口組合体10は、好ましくは合成樹脂を用いて形成されるが、内容物の品質に影響を与えず、内容物に接触しても衛生的に支障のないものであればその材料は特に限定されない。例えば、注出口組合体10は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネートなどを材料とし、射出成形によって形成する。
次に、注出口組合体10の容器90への固着について説明する。容器90は、紙を基材層とし、この基材層の表面および裏面に例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂層を積層した積層材料から形成される、いわゆる紙容器である。なお、積層構成は特に限定されるものでははく、アルミニウム箔等の金属箔等から構成されるバリア層や印刷層等を備える構成であってもよい。容器90に予め形成された穴に注出口組合体20を容器内側から挿入し、穴の外縁部は爪部45を乗り越えて、容器90を構成する積層材料を爪部45とフランジ部43との間に配置する。
そして、フランジ部43の天面44と容器90の内面とを熱融着や接着剤によって固着し、注出口組合体10を容器90へ固着する。なお、注出口組合体10を穴に挿入する際、爪部45の上面47はテーパー面であり、下面46は水平面であるため、注出口組合体10を穴に挿入しやすいとともに、挿入された注出口組合体10はこの穴から外れ難く、注出口組合体10の容器90への固着が容易に行える。
次に、注出口本体20の初期開封方法について説明する。注出口本体20または容器90を一方の手で押さえ、他方の手で蓋部50を注出口本体20に対して傾倒させ、薄肉部24および薄肉部33を破断し、蓋部50を注出口本体20から剥離する。蓋部50が注出口本体20から剥離することで、注出口本体20の円筒部21の上端に開口が形成され、円筒部21の内部が流出流路となって内容物の注出が可能となり、初期開封がなされる。ここで、蓋部50の注出口本体20に対する傾倒は、係止アーム54が位置しない方向への傾倒が望ましく、小さな力で蓋部50を注出口本体20から剥離することができるとともに、係止アーム54が破損することを抑止することができる。
なお、蓋部50の注出口本体20からの剥離の方法は、薄肉部24および薄肉部33が破断されてなされれば特に限定されるものではない。例えば、蓋部50を注出口本体20に対して捻る、または引っ張ることによって薄肉部24および薄肉部33を破断してもよい。ここで、蓋部50は、薄肉部24だけではなく、薄肉部33によっても注出口本体20と連結しているため、例えば、輸送時の容器の落下や係止アーム54の他部材への引っ掛かりによって注出口本体20が誤って初期開封されることを防止することができる。したがって、取扱性に優れた製品を提供することができる。
次に、注出口本体20の再封方法について説明する。図5は、注出口本体20が再封されるに際し、蓋部50を注出口本体20に嵌合する前の状態の一例が示された概略図である。図6は、注出口本体20が再封されるに際し、蓋部50を注出口本体20に嵌合した状態の一例が示された概略図である。なお、図5および図6は平面図であって、蓋部50に関しては係止アーム54のみ破線で記載されており、蓋部50のその他の構成の記載は省略されている。
注出口本体20から剥離した蓋部50を注出口本体20の上方から被せ、注出口本体20と蓋部50とを注出口本体20から蓋部50が剥離される前の位置関係にする。すると、注出口本体20から剥離した蓋部50の円筒状の嵌合部53の先端は、注出口本体20の円筒部21の内部に挿入される。この時、円筒状の嵌合部53の先端の直径は、薄肉部24が破断した内側突起部23の先端の直径よりも少であるため、嵌合部53の先端を注出口本体20の円筒部21の内部に容易に挿入することできる。
そして、図5に示すように、蓋部50の係止アーム54を、注出口本体20の間隙部30に対応する位置(間隙部30の上方)に位置させる。この状態において、蓋部50を注出口本体20へ向かって押し込み、蓋部50の円筒状の嵌合部53を注出口本体20の円筒部21の内部に更に挿入する。ここで、嵌合部53は、内方に撓みながら円筒部21の内部に挿入される。これは、嵌合突起部60の頂部62の直径D1が、円筒部21の内周面22の直径D2よりも大だからである。
なお、嵌合突起部60は嵌合部53の下端まで延伸するテーパー部63を有するため、嵌合部53を注出口本体20の円筒部21の内部に挿入する際の抵抗を軽減することができ、容易に挿入することができる。
そして、係止アーム54の係止突起部64の上面65が係止リブ26の下面27の下方に位置するまで、蓋部50を注出口本体20へ押し込み、蓋部50を注出口本体20に嵌合させる。なお、係止アーム54の下端が取付部40の天部42に当接するまで蓋部50を注出口本体20へ押し込むことで、係止突起部64の上面65が係止リブ26の下面27の下方に位置するため、押し込み量を確認する必要はない。
ここで、蓋部50を注出口本体20へ押し込む際、係止アーム54の係止突起部64は間隙部30を通過し、係止リブ26に当接することがない。したがって、係止アーム54はこの押し込み時の妨げとならず、蓋部50を注出口本体20に容易に嵌合させることができる。
次に、上述のように蓋部50が注出口本体20に嵌合した状態で、蓋部50を注出口本体20に対して、図5における時計回りに回転する。つまり、周方向に延伸した係止リブ26に沿って時計周りに蓋部50を回転する。この際、係止アーム54の係止突起部64は、係止リブ26の下方に位置する。
蓋部50を注出口本体20に対して回転することで、係止アーム54の係止突起部64と突起部34とが当接する。この時、蓋部50を注出口本体20に対して更に回転し、係止アーム54の係止突起部64は突起部34を乗り越えさせる。そして、係止アーム54の係止突起部64を規制リブ31と突起部34との間に位置させ、再封が完了する。
なお、更に蓋部50を注出口本体20に対して回転した場合、係止アーム54が規制リブ31に当接し、蓋部50の回転は規制される。したがって、再封が完了した時、規制リブ31によって蓋部50の更なる回転(時計回りの回転)が規制されるため、再封が完了したことを確実に認識でき、再封不良を防止することができる。
ここで、図6は、上述の再封が完了し、係止アーム54は規制リブ31に当接した状態である。また、図7は、図6における蓋部50が注出口本体20に嵌合し、再封が完了した状態を説明する断面図である。
なお、再封が完了した状態からの開封は、上述の再封と逆の手順によって行う。蓋部50を注出口本体20に対して、図6における反時計回りに回転し、係止アーム54の係止突起部64は突起部34を乗り越えさせる。そして、図5に示すように、蓋部50の係止アーム54が注出口本体20の間隙部30に対応する位置まで、蓋部50を注出口本体20に対して回転する。そして、蓋部50を注出口本体20から引き抜くことで開封される。
ここで、再封状態における注出口本体20は、図7に示すように、円筒部21の内周面22に嵌合突起部60の頂部62が当接して密着することで密封されている。なお、嵌合突起部60の頂部62の直径D1は、円筒部21の内周面22の直径D2よりも大であるため、蓋部50の円筒状の嵌合部53が内方に撓んだ状態で円筒部21の内部に嵌合している。したがって、嵌合部53の弾性力によって、嵌合突起部60の頂部62は円筒部21の内周面22に押し付けられているため、流出流路は強固に密封されている。
また、初期開封時に破断される薄肉部24は、嵌合突起部60の頂部62より下方のテーパー部63で連結する構成である。したがって、薄肉部24が破断された端部はテーパー部63に位置するため、流出流路を密封する頂部62に影響を及ぼすことがなく、密封性が低下する恐れがない。
また、初期開封前の蓋部50は、嵌合部53が注出口本体20への嵌合方向を向いた形態で注出口本体20と連結しており、嵌合部53が外方に大きく露出することがない。したがって、蓋部50の嵌合部53を比較的衛生的に保つことができ、蓋部50によって注出口本体20を再封しても、注出口本体20の内部が汚染されにくい。
また、係止アーム54は係止突起部64が係止リブ26に係止しており、蓋部50が注出口本体20に対して係合している。つまり、再封時において、蓋部50は注出口本体20に強固に固定されている。したがって、例えば、容器90が把持されて形状が大きく変形して容器90の内圧が上昇するような場合であっても、蓋部50が注出口本体20から外れて内容物が飛び出す事態を抑止できる。
なお、蓋部50と注出口本体20との係合力は、係止アーム54の係止突起部64と係止リブ26との係止代によって決まるものであり、適宜設計できる。ここで、係止アーム54と係止リブ26とは、注出口本体20の注出流路となる円筒部21の外方に位置している。したがって、係止突起部64と係止リブ26との係止代を容易に大きく(変更)することが可能であり、その設計の自由度が高い。更に、流出流路を密封するための嵌合部53とは別部材として係止アーム54は形成されている。したがって、密封性や嵌合性が低下することなく、蓋部50と注出口本体20との係合力を強くすることができる。
また、蓋部50を注出口本体20に対して回転し、係止アーム54の係止突起部64を係止リブ26に係止する際、係止突起部64は突起部34を乗り越えて係止するため、その時の接合感によって再封されことを確実に認識でき、再封不良を防止することができる。また、目視することなく再封されたことを認識できるため、再封動作が簡略化される。
また、再封状態から開封するためには、蓋部50を注出口本体20に対して回転して、係止アーム54の係止突起部64は突起部34を乗り越えさせる必要があり、突起部34が蓋部50の回転の抵抗として働く。したがって、蓋部50は、係止アーム54の係止突起部64が規制リブ31と突起部34との間に位置した再封状態に保持されるため、誤って蓋部50が注出口本体20に対して回転し、注出口本体が開封されることがない。
なお、突起部34の形状や大きさは特に限定されるものではないが、突起部34の突出高さは、係止リブ26の突出高さよりも低いことが好ましい。再封時および開封時に、蓋部50の係止突起部64が突起部34を乗り越える際、係止突起部64と係止リブ26との係止が誤って外れることを防止するためである。
また、再封状態から開封する際、蓋部50の係止アーム54が注出口本体20の間隙部30に対応した位置(間隙部30の下方)に位置するまで蓋部50を回転させる必要がある。ここで、規制リブ31は、係止リブ26の端部に連結して上下方向に延伸している。つまり、規制リブ31は、間隙部30の一端に沿って上下方向に延伸している。したがって、蓋部50を規制リブ31に当接するまで回転(反時計周りに回転)することで、係止アーム54は間隙部30に対応する箇所に位置するため、開封時の蓋部50の位置合わせが容易であり、開封動作が簡略化される。
また、図7に示すように、蓋部50が注出口本体20に嵌合した状態において、薄肉部24が破断した内側突起部23の先端は、嵌合突起部60の上端61と天部51の裏面52との間に位置するとともに、嵌合部53の外周面59と当接している。したがって、内側突起部23の先端と嵌合部53の外周面59との当接によっても流出流路を密封することができるため、流出流路の密封性が向上する。また、係止アーム54の係止突起部64が係止リブ26に係止していない状態であって、蓋部50が注出口本体20に嵌合した状態においては、内側突起部23の先端が嵌合部53の嵌合突起部60に引っ掛かる構成である。したがって、再封の最中に誤って蓋部50が注出口本体20から外れにくく、内容物が飛び出す事態を抑止できる。
ここで、上述したように、注出口本体20における2つの間隙部30、2つの規制リブ31、2つの補強リブ32、2つの突起部34は、蓋部50の左右2つの係止アーム54に対応してそれぞれ配設されており、これらの対応関係によって上述した再封および開封が可能である。図5および図6に示すように、2つの間隙部30、2つの規制リブ31、2つの補強リブ32、2つの突起部34は、直線L1を軸とした軸対称であって相対する位置にそれぞれ配設されている。
そして、再封時および開封時に係止アーム54の係止突起部64が間隙部30を通過するため、係止アーム54の幅W1は、間隙部30の幅W2よりも小である。また、再封時に係止アーム54の係止突起部64を規制リブ31と突起部34との間に位置させるため、係止アーム54の幅W1は、規制リブ31と突起部34との距離W3よりも小である。なお、再封動作および開封動作を容易にするために幅W2は広い方が好ましく、再封時に蓋部50のがたつきを低減するために距離W3は短い方が好ましい。つまり、W2はW3よりも大であることが好ましい。
また、初期開封前の係止アーム54、規制リブ31、補強リブ32は、直線L2上であってそれぞれ左右に設けられるが、このような構成にすることで、注出口組合体10の射出成形時の金型構造が単純となり、製造が容易となる。
また、注出口組合体10は、間隙部30、規制リブ31、補強リブ32、突起部34等を備えない構成であってもよい。このような構成にすることで、単純な構造となり、製造が容易となる。
なお、図示による説明は省略するが、間隙部30を備えない形態における再封は、係止アーム54の位置合わせをすることがなく、蓋部50を注出口本体20へ向かって押し込むことのみによって行われる。より詳細には、上述の実施形態と同様に、蓋部50の円筒状の嵌合部53の先端を注出口本体20の円筒部21の内部に挿入し、更に、蓋部50を注出口本体20へ向かって押し込む。この時、係止アーム54の係止突起部64は、係止アーム54が天部51の裏面52との連結部近傍を基点として外方へ撓むことで係止リブ26を乗り越え、係止リブ26に係止する。
ここで、係止突起部64の下面66は内方に向けて下方から上方に傾いたテーパー面であり、係止リブ26の上面28は外方端から円筒部21の外周面25へ向けて下方から上方に傾いたテーパー面である。そして、係止突起部64が係止リブ26を乗り越える際、係止突起部64のテーパー面である下面66と係止リブ26のテーパー面である上面28とが当接し、係止アーム54が外方へ撓む。したがって、この係止突起部64のテーパー面である下面66と係止リブ26のテーパー面である上面28とにより、蓋部50を注出口本体20へ向かって押し込む力の一部が係止アーム54を外方へ撓ませる力として効果的に作用し、小さな力で蓋部50を注出口本体20に嵌合することができる。一方で、係止突起部64の上面65は外方から内方に向けて下方から上方に傾いたテーパー面であり、係止リブ26の下面27は水平面であるため、係止アーム54の係止突起部64は係止リブ26に強固に係止することができる。したがって、このような構成とすることで、再封時において、比較的小さな力で蓋部50を注出口本体20に嵌合することができるとともに、再封動作が簡略化される。
また、第1係止部と第2係止部は、上述の係止アーム54と係止リブ26の構成に限定されるのもではない。再封時に、蓋部50に設けられた第1係止部と注出口本体20に設けられた第2係止部とが係止することで蓋部50と注出口本体20とを係合するとともに、第1係止部材と第2係止部材とは流出流路を密封する部材とは別部材である構成であればよい。
例えば、図示による説明は省略するが、係止リブ26が、間隙部30から規制リブ31に向けて徐々に下方へ傾斜する構成としてもよい。このような構成にすることで、再封動作において蓋部50を回転して係止アーム54を係止リブ26に係止することが容易にできるとともに、再封が完了した状態での蓋部50の上下方向のがたつきを低減することができ、密封性も向上する。
また、第1係止部と第2係止部は、図8および図9に示すような構成であってもよい。ここで、図8は第1係合部および第2係合部の変形例が示された側面図であり、図9は図8における蓋部50が注出口本体20に嵌合した状態を説明する断面図である。なお、第1係止部と第2係止部以外の構成は上述の実施形態と同じであるため、それらの構成については説明を省略する。
この変形例における第1係止部は、上述の係止アーム54において、外形を大きくすることなくその厚みを増加した左右2つの係止アーム154である。より詳細には、係止アーム154は、嵌合部53の外方であって天部51の裏面52から垂下している。そして、係止アーム154は、天部51の外縁と連設するとともに、左右対称に、つまり、直線L1を軸として軸対称に配設されている。また、係止アーム154は、下端部の内側に係止凹部164を有する。
また、この変形例における第2係止部は、円筒部21の外周面25から外方に突出する環状の係止リブ126である。なお、円筒部21は、上述の実施形態と同様に、係止リブ126を切り欠いた間隙部30を2つ備える。そして、再封時に、係止アーム154の係止凹部164が係止リブ126に係止し、蓋部50が注出口本体20に対して係合する。なお、再封は上述の実施形態と同様の方法によって行われる。
このような構成にすることによって、再封時における蓋部50の上下方向のがたつきを低減することができる。また、係止アーム154は、蓋部50の外形を大きくすることなく上述の係止アーム54より上部が幅広に形成されており、天部51との連設部の剛性が高い。したがって、省スペースで係止アーム154の剛性を高めることができ、蓋部50と注出口本体20との係合力を更に強くすることができる。なお、係止リブ126は、その上下方向の厚みを、間隙部30から規制リブ31に向けて徐々に増加する構成としてもよい。このような構成にすることで、再封時に、蓋部50は注出口本体20に対して螺合状態に係合することができ、蓋部50と注出口本体20との係合力を更に強くすることができる。また、再封が完了した状態での蓋部50の上下方向のがたつきを低減することができ、密封性が向上する。
また、図8および図9に示す変形例において、係止アーム154の係止凹部164と、円筒部21の係止リブ126とが逆となる構成であってもよい。つまり、係止アーム154は下端部に内方へ向けて突出する突起部を有し、円筒部21は外周面25に内方へ窪む凹部を有する構成とし、この突起部が凹部に係止する構成であってもよい。
また、第1係止部と第2係止部の数や配設位置等は特に限定されるものではなく、適宜設計できる。なお、第1係止部と第2係止部は、蓋部50と注出口本体20とを係合する構成であれば良いものの、蓋部50と注出口本体20との係合力を向上する観点から、第1係止部は少なくとも2つ以上備えることが好ましく、第1係止部は周方向に等間隔に、つまり直線L1を軸として軸対称に備えることが好ましい。
また、注出口組合体10が取付けられる容器90は、上述の紙容器に限定されるものではない。例えば、合成樹脂フィルムから形成される包装容器であってもよく、注出口組合体10の包装容器への取付けは、容器90の場合と同様である。包装容器に予め形成された穴に注出口組合体10を容器内側から挿入し、合成樹脂フィルムの内面とフランジ部43の天面44とを熱融着や接着剤によって固着し、注出口組合体10を包装容器へ固着する。
なお、合成樹脂フィルムから形成される包装容器の形態は、4方シールの平袋や、両側部に内側に折り込まれた折込部を有するガゼット型の袋などであってもよい。また、樹脂フィルムは、単層の合成樹脂フィルムであってもよく、多層の合成樹脂フィルムであってもよい。そして、多層の合成樹脂フィルムの場合、例えば、外側から順に、表面層、バリア層、ヒートシール層を積層した3層構造の合成樹脂フィルムとすることができ、それぞれの材料としては、例えば、表面層にはポリエチレンテレフタラート、バリア層にはアルミニウム箔、ヒートシール層にはポリエチレンを用いることができる。
また、取付部40は上述の構成に限定されるものではなく、注出口組合体10が取付けられる容器の形態に適合した構成とすればよい。例えば、図10および図11に示すような取付部140であっても良い。ここで、図10は注出口組合体の変形例が示された平面図であり、図11は図10における注出口組合体の部分断面図である。また、容器190は、合成樹脂フィルムを重ね合わせて内容物を収容する包装容器である。なお、取付部140以外の構成は上述の図1〜図7に示される実施形態と同じであるため、それらの構成については説明を省略する。
取付部140は、円筒状の基部141と、基部141の上端に設けられた天部142と、基部141の下端に設けられたフランジ部143と、フランジ部143の下方に連設する固着部144とを備える。フランジ部143は、板状部材であり、図10において左右方向に延伸した略八角形である。固着部144は、図10において、左右方向に延伸するとともに左右の端部に向けて厚みが減少する舟形である。また、固着部144は、中央部に上下方向に貫通する貫通穴145を有し、この貫通穴145は基部141の円筒内部に連通する。また、固着部144は、貫通穴145の両側に、下端から上方へ延びる円柱状の切り欠き部146を有する。
そして、容器190を構成する一方の合成樹脂フィルムの内面を固着部144の前側面147に固着し、他方の合成樹脂フィルムの内面を固着部144の後側面148に固着することで、容器190に注出口組合体10が取付けられる。なお、熱融着や接着剤によって合成樹脂フィルムと固着部144とは固着される。
したがって、取付部をこのような構成にすることで、合成樹脂フィルムを重ね合わせて内容物を収容する包装容器に注出口組合体を取り付ける穴を形成することなく適用することが可能となる。ここで、フランジ部143は、注出口組合体10を容器190へ取り付ける際の位置合わせ等に用いられる。また、固着部144は、切り欠き部146を有するので、厚肉部位がなく、射出成形時の成形不良を防止することができる。
また、図12に示すような取付部240であっても良い。ここで、図12は注出口組合体の別の変形例が示された部分断面図である。また、容器290は、内容物の充填および流出流路となる円筒状の口部を有する容器であって、例えば、ガラスや合成樹脂から形成されるボトル容器である。なお、取付部240以外の構成は上述の図1〜図7に示される実施形態と同じであるため、それらの構成については説明を省略する。
取付部240は、円筒状の基部241と、基部241の上端に設けられた天部242と、天部242の下面243から垂下した円筒状の嵌合リング244とを備える。基部241は、下端部に内方へ突出する環状の突起部245を備える。また、嵌合リング244は、外周面から外方に突出する環状の突起部246を備える。なお、容器290は円筒状の口部291を備え、この口部291は外周面から外方へ突出する環状の突起部292を有する。
注出口組合体10は、取付部240の突起部245が容器290の突起部292に係止することによって取付けられる。この時、取付部240の嵌合リング244は、口部291の内部に挿入される。そして、嵌合リング244の環状の突起部246が口部291の内周面に当接して密着することで口部291は密封されている。したがって、取付部をこのような構成にすることで、円筒状の口部を有する容器にも注出口組合体を適用することが可能となる。
また、注出口組合体10は、図13、図14に示すように、蓋部50が開口部70を備える構成であってあっても良い。ここで、図13は、注出口組合体10の別の変形例が示された平面図であり、図14は、図13における注出口組合体10のD−D線断面図である。なお、図13、図14に示される注出口組合体10の変形例は、上述の図1〜図7に示される注出口組合体10の蓋部50の天部51に、更に開口部70と閉塞部としての蓋材71とを備える構成であり、この開口部70と蓋材71の構成以外は、上述の図1〜図7に示される注出口組合体10と同様の構成である。そして、上述の図1〜図7に示される注出口組合体10と同様の構成については、同一の符号が付された上で、その説明は適宜省略される。また、図14は、上述の図4、図7、図9と同様に、注出口組合体10の鉛直断面図である。
図13、図14に示すように、蓋部50は、天部51の表面55と裏面52との間を貫通して円筒状の嵌合部53の内部と連通する開口部70を備える。開口部70は、平面視において、中心が直線L1上に位置する円形である。つまり、開口部70の中心は、円筒状の円筒部21及び円筒状の嵌合部53の筒軸(直線L1)上に位置している。
また、蓋部50は、開口部70を閉塞する閉塞部としてのシート状の蓋材71を備える。シート状の蓋材71は、合成樹脂フィルムから構成される。蓋材71は、平面視において、中心が直線L1上に位置する円形である。蓋材71は、蓋部50の天部51の表面55に、熱融着(ヒートシール接着)や接着剤などによって固着されて開口部70を閉塞する。
蓋材71を構成する合成樹脂フィルムは、単層の合成樹脂フィルムであってもよく、多層の合成樹脂フィルムであってもよく、その構成は、蓋部50を構成する材料や内容物などに応じて適宜設計できる。例えば、多層の合成樹脂フィルムの場合には、外側から順に、表面層、基材層、ヒートシール層を積層した3層構造の合成樹脂フィルムや、外側から順に、表面層、基材層、バリア層、ヒートシール層を積層した4層構造の合成樹脂フィルム等とすることができる。それぞれの層における材料としては、例えば、表面層にはポリエチレンテレフタラート、基材層にはナイロン、バリア層にはアルミニウム箔、ヒートシール層にはポリエチレンを用いることができる。また、合成樹脂フィルムは、更に印刷層を備える構成であってもよい。
次に、このような構成の注出口組合体10が取り付けられた容器390の一例について説明する。図15は、図13における注出口組合体10が取り付けられた容器390の一例が示された平面図であり、図16は、図15における容器390のE−E線断面図である。なお、図15、図16において、容器390は載置された状態であり、後述する裏側フィルム391bが接地し、後述する表側フィルム391a及び注出口組合体10が上方に位置している。また、図15において、2枚の合成樹脂フィルム391が熱融着される部位は、ハッチングによって示される。また、図16は、容器390が模式的に示された鉛直断面図である。
容器390は、重ね合わされた2枚の合成樹脂フィルム391からなり、この表側フィルム391aと裏側フィルム391bとに内容物が保持されるように構成される。容器390は、平面視において、矩形状である。容器390は、その周縁である、トップシール部392、2つのサイドシール部393、393、ボトムシール部394において、重ね合わされた表側フィルム391aと、裏側フィルム391bとのそれぞれの対向面が熱融着(ヒートシール接着)されている。つまり、容器390は、上述した4方シールの平袋である。そして、注出口組合体10は、上述したように、表側フィルム391aに予め形成された穴に、内面側(容器の内方側)から挿入され、フランジ部43の天面44と表側フィルム391aの内面とが熱融着や接着剤によって固着され、容器390に取り付けられている。なお、詳細については後述するが、注出口組合体10は、蓋材71が取り付けられていない状態、つまり開口部70が開放している状態で容器390に取り付けられている。そして、容器390に内容物を充填した後、蓋材71によって開口部70が閉塞される。
次に、このような構成の容器390の製造方法の一例を説明する。表側フィルム391aを作成するためのロール状のフィルム原反と、裏側フィルム391bを作成するためのロール状のフィルム原反と、蓋材71が取り付けられていない注出口組合体10と、蓋材71とを準備する。
表側フィルム391aを作成するためのフィルム原反を繰り出し、注出口組合体10を挿入するための穴を打ち抜き加工によって形成する。この穴の径は、注出口組合体10の円筒状の基部41の外径に対応している。
このフィルムに形成された穴に、蓋材71が取り付けられていない注出口組合体10を、製袋された際に内面となる側から挿入する。なお、穴の外縁が爪部45を乗り越えるように注出口組合体10を挿入し、爪部45とフランジ部43との間にフィルムを配置させる。穴に挿入された注出口組合体10は、爪部45とフランジ部43によって、フィルムに仮止めされる。
注出口組合体10がフィルムに仮止めされた状態で、フランジ部43の天面44とフィルムの天面44と対向する面(製袋された際に内面となる面)とを熱融着し、フィルムに注出口組合体10を固着する。
裏側フィルム391bを作成するためのフィルム原反を繰り出し、注出口組合体10が固着されたフィルムと重ね合わせる。重ね合わせられた2つのフィルムの両側端部におけるそれぞれの対向面を熱融着させる。なお、この両側端部は、製袋された際に2つのサイドシール部393、393に対応する部位であり、重ね合わせられた2つのフィルムが搬送される方向と直交する方向の両側端部である。
また、重ね合わせられた2つのフィルムの対向面を、搬送される方向に対して横切るように間欠的に熱融着させる。なお、この間欠的に熱融着される部位は、製袋された際にトップシール部392、ボトムシール部394に対応する部位である。そして、重ね合わせられた2つのフィルムをこの間欠的に熱融融着された部位で切断して個別に切り離すことで、注出口組合体10が取り付けられた容器390が製袋される。
なお、このような注出口組合体10が取り付けられた容器390の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、予備包装体を作成した後、注出口組合体10を取り付けるような製造方法であってもよい。図示による説明は省略するが、まず、表側フィルム391aに注出口組合体10が挿入される穴が形成され、表側フィルム391aと裏側フィルム391bとが2つのサイドシール部393、393及びボトムシール部394におけるそれぞれの対向面が熱融着された予備包装体を作成する。つまり、この予備包装体は、上述の容器390において、注出口組合体10を備えず、トップシール部392におけるそれぞれの対向面が熱融着される前の状態の包装体である。この予備包装体の開放されているトップシール部392において、表側フィルム391aと裏側フィルム391bとを離間させて開口を形成する。この開口から注出口組合体10を予備包装体の内部に挿入し、更に予備包装体の内部から表側フィルム391aに形成された穴に注出口組合体10を挿し込む。なお、上述の場合と同様に、この穴の外縁が爪部45を乗り越えるように注出口組合体10を挿入し、爪部45とフランジ部43との間に表側フィルム391aを配置させる。次に、フランジ部43の天面44と表側フィルム391aの内面とを熱融着し、表側フィルム391aに注出口組合体10を固着する。そして、予備包装体の開放されているトップシール部392において、表側フィルム391aと裏側フィルム391bとを熱融着させることで、容器390が製袋させる。ここで、予備包装体は、上述の構成に限定されるものではなく、注出口組合体10が挿入される穴が形成され、周縁の一部に未接着部を有する構成であれば良い。例えば、予備包装体は、上述の容器390において、注出口組合体10を備えず、ボトムシール部394が開放されている包装体であっても良い。
上述のように注出口組合体10が取り付けられた容器390では、図15、図16に示されるように、裏側フィルム391bが接地し、注出口組合体10が上方に位置して載置された状態で、注出口組合体10の天部51の開口部70から内容物を充填する。そして、内容物を充填した後に、蓋材71を天部51に固着して開口部70を閉塞し、容器390を密封させる。そして、図17に示されるように、注出口組合体10が取り付けられた容器390に内容物が充填された充填体400が作製される。なお、図17は、図15における容器390に内容物が充填された充填体400の一例が模式的に示された断面図であり、上述の図16と同様に、充填体400の鉛直断面図である。
ここで、容器390は、裏側フィルム391bが接地し、注出口組合体10が上方に位置して載置された状態で、注出口組合体10の天部51の開口部70から内容物を充填する。つまり、容器390は、開口部70が最上部に位置するともに、上方に向かって開放している。また、容器390は、載置されているので、安定した状態である。したがって、容器390は、内容物を満注附近まで容易に充填することができ、充填体400の生産性が向上する。特に、容器390の大きさが大きくなるにつれて、つまり、充填体400の容量が大きくなるにつて、上述の効果が増大する。
ここで、上述のような合成樹脂フィルムから構成される容器に内容物が充填された充填体は、一部が接着される前の状態である予備包装体に、この未接着部を離間して形成した開口から内容物を充填し、充填後にこの未接着部を接着して密封することによっても製造することができる。しかしながら、このような場合には、内容物を充填する際に予備包装体の開口が上方に位置するように、予備包装体を吊るすように支持する必要がある。しかしながら、上述のような容器390は、注出口組合体10の開口部70と内容物を充填させるノズルとの位置関係がずれないように注出口組合体10を保持するだけでよく、容器390全体を支持する必要がない。したがって、容器390は、内容物を満注附近まで容易に充填することができ、特に、容器390の大きさが大きい場合には、有用であり、充填体の生産性の向上が図れる。
なお、容器390は、4方シールの平袋に限定されるものではなく、上述したように、両側部に内側に折り込まれた折込部を有するガゼット型の袋等であっても良い。そして、容器の形態は、載置した状態において、開口部70が最上部に位置するともに、上方に向かって開放する構成であれば、上述と同様の効果が得られる。
また、開口部70は、天部51の表面55と裏面52との間を貫通して嵌合部53の内部と連通する構成であれば良く、例えば、開口部70の平面視における形状は、四角形、楕円形、不規則な形状であっても良く、天部51の形状や製品の意匠性等に応じて適宜設計できる。しかしながら、内容物を充填させるノズルの形状に対応する形状であることが好ましく、円形であることが好ましい。また、開口部70の中心は、円筒状の円筒部21及び円筒状の嵌合部53の筒軸上に位置していることが好ましく、内容物の充填速度を速くすることができる。
また、開口部70を閉塞する閉塞部は、上述の蓋材71の構成に限定されるものではなく、天部51に取り付けられることによって、開口部70を閉塞する構成であれば良い。例えば、閉塞部は、合成樹脂フィルムに替わって、合成樹脂から形成される板状部材であっても良い。また、図示による説明は省略するが、閉塞部は、天部51の表面55の側から開口部70に嵌入され、天部51に取り付けられるとともに、開口部70を閉塞する構成であっても良い。このような開口部70に嵌入される閉塞部としては、例えば、開口部70の形状に対応した円柱状の胴部と、この胴部の上端に設けられる板状のフランジ部とから構成される栓状の部材とすることができる。
また、注出口組合体10は、図18〜図21に示すように、きっかけ突起部80や凹部81を備える構成であっても良い。ここで、図18は、注出口組合体10の別の変形例が示された断面図であり、図19は、図18における注出口組合体10のF−F線断面図であり、図20は、図18における注出口組合体10の薄肉部124が示された拡大断面図であり、図21は、図18における注出口組合体10のG−G線断面図である。なお、図18〜図21に示される注出口組合体10の変形例は、上述の図1〜図7に示される注出口組合体10の薄肉部24近傍が異なる構成であり、薄肉部24近傍の構成以外は、上述の図1〜図7に示される注出口組合体10と同様の構成である。そして、上述の図1〜図7に示される注出口組合体10と同様の構成については、同一の符号が付された上で、その説明は適宜省略される。また、図18は、上述の図4、図7、図9、図14と同様に、注出口組合体10の鉛直断面図である。また、図21は、きっかけ突起部80を横切る水平断面図である。
図18〜図21に示すように、蓋部50は、上述の図1〜図7に示される注出口組合体10と同様に、天部51の裏面52から垂下した円筒状の嵌合部53を備える。嵌合部53は、外周面59から外方に突出する環状の嵌合突起部60を備える。嵌合突起部60は、頂部62から下方に向かって縮径するテーパー部63を有し、テーパー部63の下端は嵌合部53の下端まで延伸している。そして、この変形例においては、テーパー部63の下端部に、内方にむかって窪む環状の凹部81が形成されている。
また、注出口本体20は、円筒部21の上端に、円筒部21の内周面22から内方に向けて延びる環状の薄肉部124を有する。そして、この薄肉部124の端部は、テーパー部63の下端部に形成された凹部81に連結されている。したがって、注出口本体20と蓋部50は、この薄肉部124を介して連結されている。
また、薄肉部124は、その外面側(上面側)であって、嵌合部53の凹部81から径方向外方に延びる6つのきっかけ突起部80を有する。図21に示すように、6つのきっかけ突起部80は、周方向に略等間隔で配置され、径方向外方へ向かって先細り形状である。薄肉部124の外面側に形成されたきっかけ突起部80の上部は、嵌合部53に連結されている。つまり、きっかけ突起部80は、凹部81の薄肉部124より上方側を埋めるように構成されている。そして、薄肉部124は、嵌合部53と連結する部位において、きっかけ突起部80が形成された箇所の剛性が向上されている。
そして、上述のようにきっかけ突起部80を備える注出口組合体10は、初期開封時における薄肉部124の破断が容易となり、初期開封性が向上される。ここで、薄肉部124がきっかけ突起部80を備えない場合、薄肉部124を破断させるために、蓋部50を注出口本体20に対して傾倒させたり、捻ったり、引っ張ったりした際に薄肉部124に作用する力は、周方向に略均等となるように加わりやすい。これは、薄肉部124の嵌合部53と連結した部位の形態が周方向で略同一であるためである。しかしながら、上述のように薄肉部124がきっかけ突起部80を備えることにより、薄肉部124に作用する力は、剛性が向上されたきっかけ突起部80に集中しやすい。そして、薄肉部124は、いずれかのきっかけ突起部80の縁を起点として裂かれる。この裂け目は、薄肉部124の嵌合部53と連結した縁に沿って伝播し、薄肉部124が破断され、蓋部50を注出口本体20から剥離される。したがって、より小さな力によって蓋部50を注出口本体20から剥離させることができ、初期開封性が向上される。
ここで、きっかけ突起部80は径方向外方へ向かって先細り形状である。したがって、薄肉部124に作用する力は、きっかけ突起部80の縁の内で、その先細りの先端に集中しやすく、より小さな力によって薄肉部124を破断させることができ、更に初期開封性が向上される。
また、きっかけ突起部80は、薄肉部124の外面側に形成されているので、注出口組合体10が容器90に取り付けられた状態において、きっかけ突起部80を目視することができる。したがって、初期開封時に、きっかけ突起部80へ力が集中するように、蓋部50を注出口本体20に対して傾倒させたり、捻ったり、引っ張ったりすることができるので、薄肉部124の破断がより容易となり、初期開封性が向上される。
なお、薄肉部124の肉厚T1は、0.1mm以上、0.3mm以下であることが好ましい。肉厚T1が0.1mmより小であると、注出口組合体が射出成形される際に、薄肉部124における樹脂の流動性が低下して成形性が悪くなりやすい。一方で、肉厚T1が0.3mmより大であると、初期開封する際に、薄肉部124を破断させにくくなり、初期開封性が悪くなりやすい。なお、上述の図1〜図7に示される注出口組合体10の薄肉部24の肉厚も同様である。
また、薄肉部124の径方向の幅W4は、0.1mm以上、1.0mm以下であることが好ましい。幅W4が0.1mmより小であると、初期開封する際に、薄肉部124を破断させにくくなり、初期開封性が悪くなりやすい。一方で、幅W4が1.0mmより大であると、注出口組合体が射出成形される際に、薄肉部124における樹脂の流動性が低下して成形性が悪くなりやすい。なお、薄肉部124の径方向の幅W4とは、円筒部21の内周面22と薄肉部124の内面との間に形成されるR面取り部の端から薄肉部124の嵌合部53と連結した縁までの距離である。なお、上述の図1〜図7に示される注出口組合体10の薄肉部24の径方向の幅も同様である。
また、きっかけ突起部80の径方向の長さW5は、0.3mm以上であることが好ましい。長さW5が0.3mmより小であると、上述した初期開封性が向上する効果が発揮されにくくなる。なお、きっかけ突起部80の先端は、薄肉部124の円筒部21の側の端(円筒部21の内周面22と薄肉部124の内面との間に形成されるR面取り部の端)から0.1mm以上離れていることが好ましい。きっかけ突起部80の先端が薄肉部124の円筒部21の側の端から0.1mm以上離れていない場合には、初期開封する際に、薄肉部124を破断させにくくなり、初期開封性が悪くなりやすい。
また、きっかけ突起部80の周方向の幅W6は、0.2mm以上、2.0mm以下であることが好ましい。幅W6が0.2mmより小、または2.0mmより大であると、上述した初期開封性が向上する効果が発揮されにくくなる。
また、きっかけ突起部80の厚みT2は、0.2mm以上であることが好ましい。厚みT2が0.2mmより小であると、上述した初期開封性が向上する効果が発揮されにくくなる。
また、薄肉部124は、テーパー部63の下端部に形成された凹部81に連結されているので、薄肉部124が破断された際に嵌合部53の側に形成されるその破断片、つまり破断された薄肉部124によるバリは、テーパー部63より外方に突出しにくい。したがって、再封時に、薄肉部124の破断片は、嵌合部53を円筒部21の内部へ挿入する際の妨げになりにくく、再封が容易に行え、使い勝手が良い。
なお、薄肉部124に形成されるきっかけ突起部80の数や配置、形状等は、上述の構成に限定されるものではなく、嵌合部53から径方向に延びる突起であって、少なくとも一つ形成されていればよい。例えば、きっかけ突起部80は、薄肉部124の外面(上面)と内面(下面)の両側の面から突出するように形成されてもよく、図22、及び図23に示されるように、薄肉部124の内面側(下面側)に形成されたきっかけ突起部180であってもよい。ここで、図22は、きっかけ突起部80の変形例が示された拡大断面図であり、上述の図20と同様に、薄肉部124の近傍が示されている。また、図23は、図22のきっかけ突起部180を有する注出口組合体10の底面図である。きっかけ突起部180の下端は嵌合部53の先端(下端)に位置している。また、きっかけ突起部180は、きっかけ突起部80と同様に、径方向外方へ向かって先細り形状であり、周方向に略等間隔で6つ配設されている。このような構成にすることで、注出口組合体の外観を良好に維持できるとともに、薄肉部124の嵌合部53と連結した部位の形態が比較的単純な形状となり、射出成形に用いる金型の作成が容易となる。
また、図示による説明は省略するが、注出口組合体10は、図18〜図21に示されるきっかけ突起部80を備える注出口組合体10において、凹部81を備えない構成であってもよい。つまり、薄肉部124は、図1〜図7に示された薄肉部24と同様に、嵌合突起部60のテーパー部63に直接連結される構成であってもよい。このような構成であっても、きっかけ突起部80によって、初期開封性が向上される。
なお、以上に説明がなされた本実施形態にかかる注出口組合体10やその変形例等は、矛盾の生じない範囲で組み合わせることができる。例えば、図18〜図21に示される注出口組合体10の変形例において、図13、図14に示された開口部70や蓋材71を備える構成にしてもよい。