JP6639840B2 - クッションパッド - Google Patents
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Description
ところが、不織布が網目構造であるため、パッド本体の発泡成形で発泡原料が不織布を通過し、不織布の裏面側にしみ出してしまう問題がある。しみ出しが起こると、車体側の金属部材との擦れ音が発生し、異音対策を講じたことにならない。
こうしたことから、発泡成形時における不織布裏面側への発泡原料のしみ出し防止対策発明が提案されている(例えば特許文献1)。
近年登場したハイブリッドカーは低速になると静かで、一層の異音対策が求められるようになり、また高級車では昇降時等で座席の各所に手をついても異音が発生しない品質向上要求が出てきており、特許文献1の発明はこうした要求に対して万全とはいえない。
しかし、(イ)の割符設定は効果大であるが、部品代や人件費のコスト増が問題になる。(ロ)の音消しテープは剥がれる問題、(ハ)のプレスフェルトは重量的に重く、軽量化を目指す車両への適用に問題がある。また、パッド本体の厚みが相対的に薄い部分に異音対策品として硬いプレスフェルトが取付けられると、他の部分との硬さの違いが際立ち、違和感を与えてしまう問題もある。(ニ)の異音防止スプレーは恒久的でなく一時的な対策にとどまる問題がある。
シートパッド1は、背もたれ用のバックパッドや着座した乗員の下半身を受け支えるクッションパッドである。本発明は車両後部座席の図1〜図4のようなクッションパッド1Aに適用する。クッションパッド1Aに表皮HYを被せてシートクッションの形にすれば、公知のバックパッド1Bに表皮HYを被せたシートバックSBと公知のヘッドレストとで、補助席形成部24が付加された車両用座席シートを形成する(図1,図12)。
クッションパッド1Aは、発泡体からなるパッド本体2と、裏当て材3とバリア部材4とを具備する。
発泡体からなるパッド本体2は、図12のように、乗員の臀部及び大腿部を支えるメイン部21と、該メイン部21の両側で隆起して、臀部及び大腿部の側部を支えるサイド部22と、バックパッド1Bとの合わせ部23(以下、単に「合わせ部」ともいう。)と、車載したクッションパッドの車幅方向中央部分にあたる補助席形成部24と、に大別される。
このパッド本体2の裏面2bに裏当て材3が被着される。
裏当て材3は、車体側金属部材との接触による擦れ音等が発生するのを防止する役目を担う。裏当て材3がその大きさをパッド本体2の裏面外周縁よりも一回り小さくして、パッド本体裏面2bのほぼ全域に設けられる。バックパッドとの合わせ部23の裏面23bにも図4のごとく裏当て材3が配設されるが、この部位はパッド本体の厚みTが薄く、パッド本体2の発泡成形で、裏当て材3の裏面(クッションパッド裏面1b)側へ発泡原料gがしみ出し易くなっている。これを防ぐべく、バリア部材4が配設される。
裏当て材3への粘着剤付きテープ5の貼着にあたっては、まず、パッド本体の厚みTが相対的に薄い部分となるバックパッドとの合わせ部23にて、発泡成形で発泡原料gの裏当て材3の裏面へのしみ出しを防止できる必要大きさに、片面に剥離紙の付いた粘着剤付きテープ5をカットする。次いで、図示しない剥離紙を剥がし、図3(イ),図5のごとく粘着剤側を裏当て材3に対向させて、粘着剤付きテープ5のバリア部材4を裏当て材3に貼着する。これだけで、粘着剤層52が膜状となったバリア部材4付き裏当て材3が出来上がる。
尚、バリア部材4は、図1のごとくバックパッドとの合わせ部23の裏面23b側で、部分的に一つ設けたが、バリア部材4をしみ出し部分Sの防止に必要な箇所に複数設けることもでき、さらに、図4の合わせ部23で、車幅方向(紙面垂直方向になる)の全域にバリア部材4を設けることもできる。
符号23aは合わせ部23の表面、符号27は吊込み溝、符号27aは横溝、符号27bは縦溝を示す。
クッションパッドの製造方法は、裏当て材3とバリア部材4と発泡型7とを用いて、例えば図6の発泡型7に該裏当て材3、該バリア部材4をセットした後、発泡原料gの注入及び型閉じを経て、図1〜図4のようなクッションパッド1Aを成形する。
裏当て材3とバリア部材4は、(1)のクッションパッドで述べたものと同様で、その詳細説明を省く。
まず、発泡成形に先立ち、クッションパッド裏面1bの大きさに合わせてカットした裏当て材3に、粘着剤付きテープ5からなるバリア部材4を貼着し、バリア部材4付き裏当て材3を作製する(図5)。粘着剤付きテープ5は、型閉じで、下型型面8aと上型型面9aとの垂直方向のキャビティ幅tが相対的に小さい部分に配される裏当て材3の部位に、粘着剤側の面を対向させて貼着する。本発明は、下型型面8aと上型型面9aとの垂直方向のキャビティ幅tが相対的に小さい部分に配される裏当て材3の部位を、バックパッドとの合わせ部23の裏面側形成型面93に配される裏当て材3の部位とする。裏当て材3は、図5のごとくクッションパッド1Aの裏面形状に予め付形形成されたものにしたが、平面状体のままであってもよい。
ここで、上型9と下型8との型閉じで、パッド本体2の十分なクッション性が必要なメイン部21等では、下型型面8aと上型型面9aとの垂直方向のキャビティ幅tが大きくなるが、車両後方部になるバックパッドとの合わせ部23ではそのキャビティ幅tが小さく設定される(図4)。この合わせ部23の部位は、型閉じで、図7のごとく下型型面8aと上型型面9aとが至近距離になる。
本実施形態は、発泡型7へのバリア部材4付き裏当て材3のセット後、型開状態のまま、下型8のキャビティCを形成する型面8aに注入ホースNL等を使用してパッド本体2成形用ウレタン発泡原液等の発泡原料gを所定量注入する(図6)。続いて、上型9を作動させ型閉じする(図7)。上型9と下型8との型閉じで、裏当て材3,バリア部材4がインサートされたクッションパッド1A用キャビティCができる。尚、発泡型7へのバリア部材4付き裏当て材3のセット後、発泡原料gを注入し、その後、型閉じしたが、発泡型7にバリア部材4付き裏当て材3をセットした後、型閉じし、その後、発泡原料gを注入することもできる。
しかるに、本実施形態では、合わせ部23の裏面側形成型面93に配された裏当て材3の部位に、図9ごとくの粘着剤付きテープ5のバリア部材4を設けて、発泡原料gが浸入しようとするその面を、粘着剤の面状層52で覆ってブロックする。粘着剤の層52がバリアになって、不織布からなる裏当て材3へ発泡原料gが浸入するのを阻止する。発泡成形の際、発泡原料gが液状のまま又はこれに近い状態で裏当て材3に達するような合わせ部23の裏面側形成型面93に在る裏当て材3の部分は、該裏当て材3の発泡原料gに面する側を、バリア部材4の粘着剤の層52が封じることによって、裏当て材3の網目空隙内へ発泡原料gが入らないようになる。発泡成形過程で、裏当て材3の裏面への発泡原料gのしみ出しが起こらない。
一方、図9で、粘着剤付きテープ5の端縁521近くでは、垂直方向のキャビティ幅tがある程度確保されているので、発泡原料gが端縁521に達するまでに、その発泡硬化が進んでおり、これ以上の高さに配された裏当て材3の部分ではその裏面への発泡原料gの浸透、しみ出しはない。
合わせ部23の裏面側形成型面93に配された裏当て材3の部位に、粘着剤のバリア部材4を設けているので、発泡成形の初期段階で、発泡原料gが裏当て材3の網目に浸入しようとしても、図10のごとく浸入しようとするその面を粘着剤の層6で覆ってブロックする。発泡原料gが液状のまま又はこれに近い状態で裏当て材3に達するような合わせ部23の裏面側形成型面93にある裏当て材3の部分は、該裏当て材3の発泡原料gに面する側を、粘着剤層6でガードしている。裏当て材3の裏面への発泡原料gのしみ出し部分Sや裏当て材3の裏面に達する発泡原料gの含浸部分Gを発生させない所望のクッションパッド1A製品となる。他の構成は、粘着剤付きテープ5の説明と同様で、その説明を省く。
図中、符号80はメイン部21の表面側形成型面、符号82はメイン部の車両前方部表面側形成型面、符号83は合わせ部23の表面側形成型面、符号89は下型8の型合せ面、符号90はメイン部21の裏面側形成型面、符号92はメイン部の車両前方部裏面側形成型面、符号99は上型9の型合せ面を示す。
このように構成したクッションパッドによれば、パッド本体の厚みTが相対的に薄い部分、製法でいえば、型閉じで下型型面8aと上型型面9aとの垂直方向のキャビティ幅tが相対的に小さい部分、でパッド本体2側に面する裏当て材3の部位に、バリア部材4の粘着剤層52が膜状付着しているので、発泡成形初期段階で、発泡原料gが液状のまま不織布製裏当て材3の当該部位に達しても、該バリア部材4が遮断阻止し、裏当て材3内へ発泡原料gを入り込ませない。
発泡原料gが液状又はこれに近い状態のまま裏当て材3に接する虞のある面域に、バリア部材4の粘着剤による層52が形成されると、パッド本体2の発泡成形で、裏当て材3の不織布内へ液状発泡原料gが浸入しようとしても、その手前の粘着剤層52でブロックされる。したがって、パッド本体2の発泡成形で、発泡原料gが裏当て材3の裏面へ浸み出すのを効果的に遮断阻止し、車両組付け用金属部材Kとの間で発生する異音をなくすことができる。
このように、本クッションパッドは、上述した数々の優れた効果を発揮し極めて有益である。
2 パッド本体
2b パッド本体裏面(裏面)
23 バックパッドとの合わせ部(合わせ部)
3 裏当て材
4 バリア部材
5 粘着剤付きテープ
51 テープ
52 粘着剤層(粘着剤の層)
6 粘着剤層(粘着剤の層)
K 金属部材(車両組付け用金属部材)
Claims (3)
- 発泡体からなるパッド本体と、
パッド本体裏面のほぼ全域に設けられる大きさにして、該パッド本体の発泡成形で、その裏面に被着一体化されるシート状不織布からなる裏当て材と、を具備する車両用座席のクッションパッドにおいて、
粘着剤層を有する粘着剤付きテープで構成し、且つ該テープを不織布からなる不織布テープとして、前記パッド本体の厚みが相対的に薄い部分にあたるバックパッドとの合わせ部で、前記裏当て材が金属部材と近接又は接触する該合わせ部の裏面側に配設されて、前記パッド本体に一体化されたバリア部材を、さらに具備し、
前記合わせ部の裏面側に配される前記裏当て材の部分に、前記粘着剤層が面状に付着されたバリア部材付き裏当て材になり、且つ該バリア部材が、パッド本体側に向いて前記裏当て材に覆われた状態で、パッド本体に一体化していることを特徴とするクッションパッド。 - 前記バリア部材が、前記不織布テープの片面に前記粘着剤層を有する不織布基材の片面テープである請求項1記載のクッションパッド。
- 前記粘着剤が感圧性接着剤である請求項1又は2に記載のクッションパッド。
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