以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下説明は、図中に矢印で示す上下、左右、前後を使用する。なお、図1に示すテーブルこんろ1(以下、単に、こんろ1と称する。)は、テーブルこんろであるが、ビルトインこんろ等であってもよい。
図1を参照して、こんろ1の構造について説明する。こんろ1は、器具本体を構成する筐体2と、トッププレート3とを備える。筐体2は、上面に開口部25(図2参照)を備え、略直方体状に形成された金属製である。筐体2の内部には、左右一対のガスバーナ5,5が配置されている。ガスバーナ5,5の各周囲には、五徳6,6がそれぞれ配置されている。五徳6,6の各上部には、鍋、フライパン等を含む調理器具等の被加熱物(図示せず)が載置される。
ガスバーナ5は、筐体2の内部に配置されたバーナ本体50(図2参照)と、バーナヘッド52とを主に備える。バーナ本体50の上部にバーナヘッド52が載置されることで、バーナヘッド52の外周部に多数の炎口51が形成される。バーナヘッド52の中央には、内部にサーミスタを格納し、鍋底温度等、被加熱物の温度を検知するための鍋センサ53が、バーナヘッド52およびバーナ本体50の中央を貫通するように設けられている。バーナヘッド52後方の炎口51近傍には、放電による点火を行うための点火電極54(図5参照)および火炎の有無を検知するための熱電対55(図5参照)が設けられている。
筐体2の正面中央には、グリル扉10が設けられている。グリル扉10の下部には、取っ手10Aが前方に突出して設けられている。こんろ1の使用者は、取っ手10Aを把持してグリル扉10を引き出すことで、グリル庫7(図3参照)を開閉できる。
グリル扉10の右側には、点火スイッチ11,12等がそれぞれ設けられている。点火スイッチ11は、グリル扉10の右側に隣接して設けられ、右側のガスバーナ5の点火/消火の操作を行う。点火スイッチ12は、点火スイッチ11の右隣に設けられ、グリル庫7の内部に設けられたグリルバーナ7E(図2参照)の点火/消火の操作を行う。グリル扉10の左側には、点火スイッチ13、電池ケース14等がそれぞれ設けられている。点火スイッチ13は、グリル扉10の左側に隣接して設けられ、左側のガスバーナ5の点火/消火の操作を行う。電池ケース14は、点火スイッチ13の左隣に設けられ、こんろ1の電源として、例えば二つの乾電池(図示せず)を格納する。
トッププレート3は、筐体2の開口部25を閉塞して、筐体2の上部に固定されている。トッププレート3は、例えばホーロー加工された一枚の板金をプレス加工することで形成される。トッププレート3の上面31の外周縁部を除く領域には、一段下方に低くなった平面視略長方形状の凹部32が設けられている。凹部32には、左右一対の略円形のバーナ開口4,4が形成されており、トッププレート3が筐体2の上部に設置されることで、ガスバーナ5が筐体2側から上方に突出して、各バーナ開口4の中央に臨む。凹部32においてバーナ開口4,4およびその周辺部は、それぞれ同じ構成を備える。バーナ開口4の周縁部には、五徳装着部33が設けられている。五徳装着部33は、トッププレート3に五徳6を配置するために設けられる部位である。五徳装着部33は、平面視略円形状に形成され、凹部32よりも上方に膨出する。五徳装着部33には、五徳6の五徳リング6Aが上方から装着される。
トッププレート3の後方には、複数の排気孔を備える排気口カバー7Bが設置されている。排気口カバー7Bは、トッププレート3の後方に設けられる排気口(図示せず)を上側から覆うカバー部材である。排気口は、筐体2内に設置されるグリル庫7(図3参照)の内部と後述する排気部7C(図2参照)を介して連通する。トッププレート3の外縁には、上面31から延設された板金が筐体2上部の外周に沿うように下方に折り返された外周部39が設けられている。トッププレート3は、筐体2の上部に配置され、外周部39の複数の所定位置においてねじ止めされて筐体2に固定されている。
図2および図3を参照して、筐体2の内部構造について説明する。筐体2は、前壁21、右側壁22、左側壁23、後壁24、底壁(図示せず)を備える。前壁21、右側壁22、左側壁23、後壁24によって囲まれてなる筐体2の開口部25の内側に、グリル庫7、遮熱板40、一対の取付台60,60、ガスバーナ5,5等が備えられている。グリル庫7は、開口部25の略中央に配置される略直方体状である。グリル庫7の後部には、グリル庫7の内部と前述のトッププレート3の排気口とに連通してグリル庫7内部の燃焼排気をこんろ1の外部へ排出するための排気部7Cが設けられている。
遮熱板40は、筐体2の内部に取り付けられることで、上下方向においてグリル庫7とトッププレート3との間に位置に配置され、グリル庫7の上側を覆う平面視略長方形状の板状である。遮熱板40は、グリル庫7内のグリルバーナ7Eによる加熱調理に伴ってグリル庫7から発生する熱を受け止めて、グリル庫7の熱がトッププレート3に直接伝導することを防止する。遮熱板40は、弾性変形する金属で形成されている。本実施形態において、遮熱板40は、表面にアルミニウムめっきが施された薄手の鉄板で形成されている。
一対の取付台60,60は、筐体2の左部および右部から開口部25の内側へ向けて延び、筐体2の内部にガスバーナ5,5を固定するための骨組である。左側の取付台60は、開口部25の前後方向における略中央において、左側壁23とグリル庫7との間に架設される。右側の取付台60は、開口部25の前後方向における略中央において、右側壁22とグリル庫7との間に架設される。取付台60は、前後方向において対称となるように形成されており、左側の取付台60と右側の取付台60とは同一形状である。左側の取付台60は左側のガスバーナ5を、右側の取付台60は右側のガスバーナ5を、それぞれの上部において支持する。一対の取付台60,60は、左側壁23および右側壁22とグリル庫7とを架設することで、こんろ1全体の強度を向上する役割も担う。一対の取付台60,60の左側壁23側および右側壁22側の端部には、垂直上方に延びる壁部613が立設されている。一対の取付台60,60のグリル庫7側の端部には、グリル庫7における左側壁23側および右側壁22側の縁部の上面から上方に延出する延出部610が設けられている。延出部610は、前後方向に所定の長さを有して垂直上方に延びる壁部614と、壁部614の上端から筐体2の内側に向かって略水平に延びる上側部615とを備える。
ガスバーナ5,5は、後述する取付座70(図5参照)を介して、一対の取付台60,60のそれぞれに対してねじ止めによって取り付けられている。ガスバーナ5のバーナ本体50の下部には、ガスと空気の混合気をバーナ本体50に向けて通過させる混合管部が接続されている。
図3および図4を参照して、遮熱板40の構造について説明する。遮熱板40は、上面部41、二つの接続部412、左縁部42、右縁部44を備える。上面部41は、遮熱板40の上面をなし、略水平方向に延びる略長形状の面部である。上面部41の左部および右部における前後方向略中央には、上面部41の上面に対して上方に所定の高さを有して隆起するとともに、左右方向に所定の幅を有して前後方向に沿って延びる二つの隆起部411が設けられている。隆起部411は、遮熱板40が筐体2の内部に取り付けられた状態で、取付台60における延出部610の上側部615の形状に沿って、上側部615を上方から覆うように形成されている。
二つの接続部412は、上面部41の左端および右端から下方に傾斜して延びる面部である。左縁部42は、上面部41よりも一段下方に低くなった部分であり、左側の接続部412の下端から左方向に延びる面部である。左縁部42は、左方に向けて下方に緩やかに傾斜している。左縁部42の左端の前後方向略中央には、被支持部43が設けられている。被支持部43は、後述の支持台63、差込部65および支持台63によって支持される取付座70において遮熱板40が支持される部分である。被支持部43は、切欠き部431と鉤状部432とを備える。切欠き部431は、左縁部42の前後方向略中央が凹状に右方に切り欠かれて形成された部分である。図4のW1領域に示すように、鉤状部432は、切欠き部431の前縁部の左部から下方に延出するとともに、下方に延出した部分の上下方向における略中央に奥部432Aを有する窪みが設けられることで、開口部を左側に向けた略U字形状の鉤状に形成された部分である。
右縁部44は、上面部41よりも一段下方に低くなった部分であり、右側の接続部412の下端から右方向に延びる面部である。右縁部44は、左縁部42と同様に、右方に向けて下方に緩やかに傾斜している。右縁部44の前端には、被支持部46が設けられている。被支持部46は、後述する支持台63、差込部65および支持台63によって支持される取付座70において遮熱板40が支持される部分である。被支持部46は、切欠き部461と鉤状部462とを備える。切欠き部461は、右縁部44の前後方向略中央が凹状に左方に切り欠かれて形成された部分である。鉤状部462は、切欠き部461の前縁部の右部から下方に延出するとともに、下方に延出した部分の上下方向における略中央に奥部462Aを有する窪みが設けられることで、開口部を右側に向けた略U字形状の鉤状に形成された部分である。なお、右縁部44のうち切欠き部461よりも後方の部分は、右方に向けて略水平に延び、その略中央にグリルバーナ7Eとの干渉を避けるための孔部が設けられている。鉤状部432,462は、それぞれ左右対称の形状を有する。また、切欠き部461および鉤状部462は、切欠き部431および鉤状部432と前後方向において同じ位置に配置されている。このため、支持台63、差込部65および支持台63によって支持される取付座70において被支持部43,46が支持されたときに、遮熱板40が安定した姿勢を備えることができる。以下、これら支持台63、差込部65および支持台63によって支持される取付座70を合わせて、支持部600ともいう。支持部600は、遮熱板40に当接することで遮熱板40を筐体2の内部において支持する部位である。
図5および図6を参照して、取付台60の詳細構造について説明する。なお、左側の取付台60と右側の取付台60とは同一形状であるので、図5および図6では、左側の取付台60を示し、右側の取付台60についての説明を省略する。取付台60は、左右方向に延びる金属製の帯状である。取付台60には、センサ開口612、支持台62,63および差込部65が設けられている。センサ開口612は、鍋センサ53を取付台60に挿通させるため、取付台60の上面61略中央に形成された平面視略長方形状の孔部である。
支持台62,63は、所定の高さを有し、後述の取付座70を支持するための部位である。支持台62は、センサ開口612の左側に設けられている。支持台62は、上面61の一部が上方に折り曲げられて立設する立設部621と、立設部621の上端から左方に略水平に延びる板状の上側固定部622とを備える。支持台63は、センサ開口612の右側に設けられており、センサ開口612を挟んで支持台62と対向している。支持台63は、上面61の一部が上方に折り曲げられて立設する立設部631と、立設部631の上端から右方に略水平に延びる板状の上側固定部632とを備える。上側固定部622,632には固定穴623,633がそれぞれ設けられている。なお、上側固定部622,632は、上面61に対して、延出部610の上側部615よりも低い位置に配置されている。
差込部65は、支持台63に隣接して上面61に設けられた孔部のうち、支持台62の前方において、前後方向の長さを僅かに備えて平面視左右方向に延びるスリットを形成する部分である(図6参照)。図7に示すように、左側の取付台60における差込部65の左側壁23側の端部651が、遮熱板40の被支持部43における鉤状部432を係止する。また、右側の取付台60における差込部65の右側壁22側の端部651が、遮熱板40の被支持部46における鉤状部462を係止する。
取付台60の左端には、略垂直上方に延びる壁部613が立設されている。壁部613は、取付台60が左側壁23とグリル庫7との間に架設されるときに左側壁23に当接して、取付台60を左右方向において位置決めする(図3参照)。取付台60の右端に設けられている延出部610は、遮熱板40をグリル庫7の上面とトッププレート3の下面との間において支持するために設けられている。上面61のうち壁部613と支持台62との間の部分には固定穴611が設けられている。
図5に示すように、取付台60には、取付座70、突出部80、およびガスバーナ5が取り付けられる。取付座70は、ガスバーナ5、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55を取付台60に固定するための部材である。取付座70は、平面視略長方形状であり、前端部の左右方向略中央が凹状に後方に切り欠かれた金属製である。取付座70は、第一固定部72、第二固定部73、第三固定部76および下方延出部77を備える。第一固定部72は、取付座70後部の左右方向略中央に設けられ、点火電極54を取付座70に固定するための部位である。第二固定部73は、取付座70後部において第一固定部72の右側に設けられ、熱電対55を取付座70に固定するための部位である。第三固定部76は、取付座70前部の左右方向略中央において下方に延設され、鍋センサ53を取付座70に固定するための部位である。下方延出部77は、取付座70の右端が前後方向に所定の長さを有して下方に折り曲げられて形成された部分である。なお、取付座70の左部には固定穴741、右部には固定穴751がそれぞれ設けられている。
取付台60に取付座70を取り付ける場合、取付台60の上側固定部622に設けられている固定穴623と、取付座70の固定穴741とが上下方向に重なり合うように位置決めされる。また、上側固定部632に設けられている固定穴633と、取付座70の固定穴751とが上下方向に重なり合うように位置決めされる。そして、固定穴623,633に固定穴741,751が重なり合った状態で、支持台62,63の上に取付座70が載置される。
ガスバーナ5のバーナ本体50の左右の側部にはフランジ部57,58がそれぞれ設けられている。フランジ部57,58には、固定穴571,581がそれぞれ設けられている。バーナ本体50を取付台60に取り付ける場合、フランジ部57の固定穴571が、上側固定部622の固定穴623および左側板部74の固定穴741に対して、上下方向に重なるように位置決めされる。また、フランジ部58の固定穴581が、上側固定部632の固定穴623および右側板部75の固定穴751に対して、上下方向に重なるように位置決めされる。そして、図示しないねじが、上側固定部622の固定穴623および取付座70の固定穴741を介して、フランジ部57の固定穴571にねじ止めされる。また、図示しないねじが、上側固定部632の固定穴633および取付座70の固定穴751を介して、フランジ部58の固定穴581にねじ止めされる。その後、バーナヘッド52がバーナ本体50の上部に配置される。
突出部80は、取付台60に対して取付座70の左側に取り付けられ、上面61に対して上方に突出して設けられる部分である。突出部80は、上方へ突出する段部を形成するように所定の幅で金属製の板が折り曲げられて形成されている。突出部80が上面61に接する基部の略中央には、図示しないねじ孔が設けられている。取付台60にガスバーナ5が取り付けられた後、突出部80は、このねじ孔を介してねじ91によって取付台60の固定穴611にねじ止めされる。
図7から図9を参照して、支持台63、差込部65および支持台63によって支持される取付座70、即ち支持部600において、遮熱板40の被支持部43,46が支持される機構について説明する。図7に示すように、遮熱板40の左縁部42および右縁部44は、支持台63の上側固定部632をくぐるようにして配置される。そして、差込部65(図6参照)に対して被支持部43,46における鉤状部432,462が差し込まれる。そして、差込部65に差し込まれた鉤状部432,462が端部651において係止されることで、遮熱板40が筐体2の内部において支持される。詳細は後述するが、この状態で、図9に示すように、下方延出部77の下端が、切欠き部431,461の縁部に上側から当接して、遮熱板40をさらに支持する。このとき、延出部610が遮熱板40を下側から支持しているので、延出部610が遮熱板40に当接する隆起部411と被支持部43,46との間に位置する左縁部42、右縁部44および二つの接続部には、張力が作用している。
図7のW2領域に示すように、右側の取付台60の差込部65に鉤状部432が差し込まれて係止された状態で、差込部65の端部651が鉤状部432の奥部432Aに当接している。これと同様に、左側の取付台60の差込部65に遮熱板40の鉤状部462が差し込まれて係止された状態で、差込部65の端部651が鉤状部462の奥部462Aに当接している。ここで、左側の取付台60における差込部65の端部651と、右側の取付台60における差込部65の端部651との間の長さM1は、遮熱板40における鉤状部432の奥部432Aと鉤状部462の奥部462Aとの間の長さL1(図4参照)よりも僅かに短くされている。差込部65の端部651は、支持部600のうち左側壁23および右側壁22に最も近接する部分である。遮熱板40の鉤状部432,462の奥部432A,462Aは、被支持部43,46のうち左側壁23および右側壁22に最も近接する部分である。遮熱板40は弾性変形する金属で形成されているので、遮熱板40は、全体的に上方に僅かに湾曲した状態で、取付台60の差込部65によって鉤状部432,462が係止される。なお、図7においては、遮熱板40の全体が上方に湾曲している様子を模式的に示している。また、左側の取付台60における下方延出部77と、右側の取付台60における下方延出部77との間の長さM2(図9参照)は、遮熱板40における切欠き部431の右縁部と切欠き部461の左縁部との間の長さL2(図9参照)よりも僅かに短くされている。下方延出部77は、支持部600のうち左側壁23および右側壁22に最も離間する部分である。遮熱板40の切欠き部431の右縁部および切欠き部461の左縁部は、被支持部43,46のうち左側壁23および右側壁22に最も離間する部分である。
このように、遮熱板40が上方に湾曲して取付台60に対して支持される場合、遮熱板40は、上方に湾曲した形状から湾曲していない元の形状へ復元しようとする。遮熱板40が湾曲変形から復元しようとする際には、左側の取付台60の差込部65の端部651に奥部432Aを含む鉤状部432の内側が、右側の取付台60の差込部65の端部651に奥部462Aを含む鉤状部462の内側が、それぞれ押し付けられる。これにより、遮熱板40が左右方向に位置決めされた状態で、取付台60の差込部65の端部651に対して遮熱板40の鉤状部432,462が強固に係止される。また、鉤状部432,462のそれぞれは、端部651を上下に挟んでいるので、鉤状部432,462の上下方向における位置が定まり、鉤状部432,462が差込部65から外れにくい。また、鉤状部432,462が差込部65の端部651を挟持することで、奥部432A,462Aが端部651に当接するので、遮熱板40の左右方向の位置が定まる。前述のように、差込部65の前後方向の長さは僅かであるので、差込部65の端部651に支持された鉤状部432,462は、前後方向にずれにくい。本実施形態では、鉤状部432,462の後方に隣接して支持台63の立設部631が立設されているので、鉤状部432,462の後方への位置ずれが、立設部631によって効果的に阻害される。このようにして、こんろ1は、遮熱板40の形状復元力を用いることで、遮熱板40を取付台60に支持させるための特段の機構を設けることなく、遮熱板40を取付台60に安定して支持させることができる。また、遮熱板40を湾曲変形した状態で取付台60に支持させる場合、二つの接続部412、左縁部42および右縁部44が上面部41よりも下方に配置されるので、遮熱板40が湾曲変形した状態に保たれやすい。
作業者が遮熱板40を取付台60に支持させる場合、遮熱板40が上方に湾曲するように遮熱板40に外力を加えながら、遮熱板40の鉤状部432,462を取付台60のスリット部に係止させる必要がある。本実施形態では、遮熱板40の上面部41に設けられている隆起部411の下面に延出部610の上側部615を当接させることで、上側部615が隆起部411の内側に納まり、取付台60に対して遮熱板40が位置決めされる。このため、遮熱板40に外力を加えながらの作業であっても、取付台60に対する遮熱板40の位置決めを容易に行える。
図8に示すように、切欠き部431は、前後に所定の幅を有して左縁部42を切り欠いており、その幅は、下方延出部77が設けられている側の取付座70の端部の前後方向の長さよりも僅かに長くされている。また、切欠き部431は、取付台60に遮熱板40が支持された状態で、取付座70の配置される位置に対応した前後方向の位置に設けられている。仮に左縁部42に切欠き部431が設けられていない場合、取付座70との干渉を避けるため遮熱板40に左右から外力を加えて大きく湾曲させつつ、左縁部42を取付座70の下方をくぐらせながら鉤状部432を差込部65に係止させる作業を行う必要がある。本実施形態では、切欠き部431が上記の幅および配置を備えているので、遮熱板40の湾曲変形の度合いを少なくしても、取付台60への遮熱板40の取付時に左縁部42が取付座70に干渉し難い。このため、取付台60に遮熱板40を支持させる作業が容易になる。なお、右縁部44における切欠き部461の幅および配置も、切欠き部431と同様に、取付座70の下方延出部77が設けられている側の端部の長さおよび取付座70の位置に対応している。
また、鉤状部432,462は、被支持部43,46において切欠き部431,461に連続して形成されている。このため、左縁部42および右縁部44を取付座70の下方をくぐらせながら鉤状部432,462を差込部65に係止させる際に、取付座70に左縁部42および右縁部44が干渉しないので、差込部65への遮熱板40の取付が容易になる。
また、遮熱板40の鉤状部432,462を差込部65に係止させる作業を行う場合、作業者は、左縁部42および右縁部44を取付座70の下方をくぐらせながら鉤状部432,462を差込部65に係止させる。本実施形態では、左縁部42および右縁部44が左方および右方へ向けてそれぞれ下り傾斜しているので、左縁部42および右縁部44を取付座70の下方にくぐらせやすく、取付台60に遮熱板40を取り付けやすい。
取付台60に遮熱板40が取り付けられると、左側の取付台60における取付座70の右端が延出部610の上側部615よりも低い位置において右方へ延びる。そして、図8に示すように、下方延出部77の下端が、切欠き部431の右奥部分に接する部分の左縁部42の上側に当接する。下方延出部77の下端は、前後方向に所定の長さで延びて切欠き部431の縁部の上側から当接することで、遮熱板40が前後方向に位置ずれすることを防止している。なお、図9に示すように、切欠き部461の左奥部分に接する部分の右縁部44にも、取付座70の下方延出部77の下端が上側から当接する。取付座70の下方延出部77の下端が、切欠き部431,461の縁部に当接することで、切欠き部431,461近傍の左縁部42および右縁部44の形状が安定する。このため、鉤状部432,462が差込部65に対してずれにくくなり、遮熱板40の前後方向への位置ずれが効果的に防止される。
図9のW3領域に示すように、延出部610の上側部615は、下方延出部77の下端よりも上方において、遮熱板40の隆起部411の下面に当接している。また、遮熱板40の左縁部42の左端部は、鉤状部432において、下方延出部77の下端よりも下方に位置する取付台60の差込部65の端部651に係止されている(図7参照)。このため、鉤状部432によって左縁部42の左端部は、差込部65に向けて下方に引き付けられている。このとき、延出部610の上側部615が下側から当接することによって、隆起部411が左縁部42の左端部に対して上方に持ち上げられる。これにより、遮熱板40のうち隆起部411と遮熱板40の左縁部42の左端部との間の部分に上下方向に張力が作用している。なお、遮熱板40の右縁部44の左端部は、鉤状部462において右側の取付台60の差込部65の端部651に係止されており、鉤状部432によって右縁部44の右端部は、差込部65に向けて下方に引き付けられている。
このとき、遮熱板40には、湾曲変形に対する復元力が作用しており、遮熱板40の左縁部42の左端部は、取付台60の差込部65の端部651に向けて左方へ押し出すようにして差込部65に支持されている。よって、隆起部411と遮熱板40の左縁部42の左端部との間の部分には、左右方向の張力も作用している。従って、遮熱板40の隆起部411と遮熱板40の左縁部42の左端部との間の部分には、上下方向および左右方向の張力が作用することで突っ張った状態になり、当該部分の形状が安定する。このため、遮熱板40の左縁部42の左端部は、安定して取付台60に支持される。なお、遮熱板40の隆起部411と遮熱板40の右縁部44の右端部との間の部分についても同様に上下方向および左右方向の張力が作用することで形状が安定するので、右縁部44の右端部が安定して取付台60に支持される。
この状態において、遮熱板40には湾曲変形に対する復元力が作用しているので、遮熱板40には、復元力に対する反力が、取付台60の差込部65の端部651から作用する。図9のW3領域に示すように、このとき、取付座70の下方延出部77の下端は、切欠き部431の右奥の縁部に上側から当接している。これにより、遮熱板40の左縁部42に下方延出部77の下端が当接する部分に対して、左縁部42の左端部を、反力に対して左方へ向けて押し出す方向の力が作用する。この力は、湾曲変形の復元力に対する反力に逆らうように、左縁部42の左端部を左方に向けて押し戻すように作用するので、鉤状部432,462が取付台60の差込部65から外れにくくなる。このように、こんろ1は、取付座70の下方延出部77の下端を遮熱板40の左縁部42に当接させることで、遮熱板40の左縁部42の左端部を、取付台60に安定して支持させることができる。なお、図9に示すように、右側の取付台60に取り付けられている取付座70の下方延出部77下端が、遮熱板40の右縁部44における切欠き部461の左奥の縁部に上側から当接するので、右縁部44の右端部を反力に対して右方へ向けて押し出す方向の力が、右縁部44に作用する。これにより、右縁部44の右端部が、取付台60に安定して支持される。
以上説明したように、遮熱板40の左縁部42の被支持部43に設けられている鉤状部432は、左側の取付台60に設けられた差込部65の端部651に係止される。また、遮熱板40の右縁部44の被支持部46に設けられている鉤状部462は、右側の取付台60における差込部65の端部651に係止される。また、下方延出部77の下端が、切欠き部431,461の縁部のそれぞれに当接する。遮熱板40における鉤状部432の奥部432Aと鉤状部462の奥部462Aとの間の長さL1よりも、左側の取付台60における差込部65の端部651と、右側の取付台60における差込部65の端部651との間の長さM1よりも僅かに短くされている。従って、遮熱板40は、全体的に上方に僅かに湾曲した状態で、取付台60の差込部65に鉤状部432,462が係止される。この状態で、遮熱板40は、上方に湾曲した形状から湾曲していない元の形状へ復元しようとする。遮熱板40が湾曲変形から復元しようとする際には、左側の取付台60の差込部65の端部651に鉤状部432の奥部432Aが、右側の取付台60の差込部65の端部651に鉤状部462の奥部462Aが、それぞれ押し付けられる。よって、遮熱板40を固定するためのねじ止め部等、他の機構を特段に設けることなく、遮熱板40が支持台63、差込部65および支持台63によって支持される取付座70において取付台60に安定して支持される。
一対の取付台60,60のグリル庫7側の端部には、グリル庫7における左側壁23側および右側壁22側の縁部の上面から上方に延出する延出部610が設けられている。延出部610の上側部615は、遮熱板40の隆起部411の下面に当接して、隆起部411,411を左縁部42の左端部および右縁部44の右端部に対して上方に持ち上げる。また、遮熱板40の左縁部42の左端部および右縁部44の右端部は、鉤状部432,462において、取付台60の差込部65の端部651に係止されている。このため、鉤状部432,462によって左縁部42の左端部および右縁部44の右端部が、差込部65に向けて下方に引き付けられている。また、遮熱板40には、湾曲変形に対する復元力が作用しているので、遮熱板40の左縁部42の左端部は、左側の取付台60の差込部65の端部651に向けて左方へ押し出すようにして差込部65に支持されている。また、遮熱板40の右縁部44の左端部は、右側の取付台60の差込部65の端部651に向けて右方へ押し出すようにして差込部65に支持されている。このため、遮熱板40の隆起部411と遮熱板40の左縁部42の左端部との間の部分および隆起部411と右縁部44の左端部との間の部分には、上下方向および左右方向の張力が作用することで突っ張った状態になり、当該部分の形状が安定する。これにより、遮熱板40の左縁部42の左端部および右縁部44の右端部が、安定して取付台60に支持される。また、遮熱板40とグリル庫7の上面との間隔は、延出部610によって所定の間隔に規制される。この場合、グリル庫7で発生した熱は、遮熱板40とグリル庫7の上面との間隔に入り込んだ空気を介して遮熱板40に伝導されるので、グリル庫7の上面に遮熱板40が接触している場合に比べて遮熱板40の温度が高くなりにくい。延出部610の上側部615は、取付台60の差込部65よりも上方に配置されるので、延出部610は遮熱板40が上方に湾曲変形した状態を保ちながら、グリル庫7の上方において遮熱板40を支持できる。
遮熱板40の上面部41に設けられている二つの隆起部411は、遮熱板40が取付台60に対して取り付けられた状態で、取付台60における延出部610の上側部615の形状に沿って、上側部615を上方から覆うように形成されている。よって、遮熱板40の上面部41に設けられている隆起部411の下面に延出部610の上側部615を当接させることで、上側部615が隆起部411の内側に納まるので、取付台60に対する遮熱板40の位置決めが容易である。また、トッププレート3が熱歪みによって下方に変位することがあっても、遮熱板40の上面部41において隆起部411が上方に隆起しているので、トッププレート3が隆起部411よりも下方に変位することが規制される。即ち、トッププレート3が下方に変位しても、トッププレート3が遮熱板40の全体に接触することが防止されるので、トッププレート3の温度が上昇し難い。
遮熱板40には湾曲変形に対する復元力が作用しており、復元力に対する反力が、取付台60の差込部65の端部651から遮熱板40に作用する。この反力の作用によって遮熱板40がさらに上方に大きく湾曲変形したような場合には、取付台60の差込部65から鉤状部432,462が外れやすくなる可能性がある。このとき、取付座70の下方延出部77の下端は、左縁部42における切欠き部431の右奥の縁部および右縁部44における切欠き部461の左奥の縁部のそれぞれに、上側から当接している。これにより、左縁部42および右縁部44に下方延出部77の下端が当接する部分に対して、左縁部42の左端部および右縁部44の右端部を、反力に対して押し出す方向の力が作用する。この力は、湾曲変形の復元力に対する反力に逆らう方向に作用するので、鉤状部432,462が取付台60の差込部65から外れにくくなる。従って、遮熱板40は、取付台60によってより強固に支持される。
仮に左縁部42および右縁部44に切欠き部431,461が設けられていない場合、取付座70との干渉を避けるため遮熱板40に左右から外力を加えて大きく湾曲させつつ、左縁部42を取付座70の下方をくぐらせながら鉤状部432,462を差込部65に係止させる作業を行う必要がある。本実施形態では、切欠き部431,461の前後方向の長さが、下方延出部77が設けられている側の取付座70の端部の前後方向の長さよりも僅かに長くされている。また、切欠き部431,461は、取付台60に遮熱板40が支持された状態で、取付座70の配置される位置に対応した前後方向の位置に設けられている。このため、遮熱板40を取付台60に取り付けるときに、遮熱板40の湾曲変形の度合いを少なくしても、取付台60への遮熱板40の取付時に左縁部42が取付座70に干渉し難い。このため、取付台60への遮熱板40の取付時に遮熱板40に加える外力を小さくできる、取付台60に遮熱板40を支持させる作業が容易になる。また、取付座70の下方延出部77は、前後方向に所定の長さで延びて切欠き部431,461の縁部の上側から当接することで、遮熱板40が前後方向に位置ずれすることを防止している。取付座70の下方延出部77の下端が、切欠き部431,461の縁部に当接することで、切欠き部431,461近傍の左縁部42および右縁部44の形状が安定する。このため、鉤状部432,462が差込部65に対してずれにくくなり、遮熱板40の前後方向への位置ずれが効果的に防止される。
差込部65は、支持台62に隣接したスリット形状を有しているので、差込部65の端部651に支持された鉤状部432,462は、前後方向にずれにくい。また、鉤状部432,462のそれぞれは、差込部65の端部651を上下に挟んでいるので、鉤状部432,462が差込部65から外れにくい。鉤状部432,462の差込部65の端部651を挟持することで、奥部432A,462Aが端部651に当接するので、遮熱板40の左右方向の位置が定まる。このため、遮熱板40の前後方向および左右方向への位置ずれを防止するための他の機構を設けることなく、遮熱板40が取付台60に対して安定して取り付けられる。
遮熱板40の左縁部42および右縁部44は、左方および右方へ向けてそれぞれ下り傾斜している。このため、左縁部42および右縁部44を取付座70の下方にくぐらせやすく、取付台60に遮熱板40を取り付けやすい。また、左縁部42および右縁部44が上面部41よりも下方に配置されるので、遮熱板40が湾曲変形した状態に保たれやすい。
本実施形態において、こんろ1が、本発明の「こんろ」に相当する。筐体2が、本発明の「筐体」に相当する。トッププレート3が、本発明の「天板」に相当する。グリル庫7が、本発明の「グリル庫」に相当する。遮熱板40が、本発明の「遮熱板」に相当する。支持台63、差込部65および支持台63によって支持される取付座70が、本発明の「支持部」に相当する。被支持部43,46が、本発明の「被支持部」に相当する。切欠き部431,461が、本発明の「切欠き部」に相当する。鉤状部432,462が、本発明の「鉤状部」に相当する。左縁部42および右縁部44が、本発明の「面部」に相当する。延出部610が、本発明の「突出部」に相当する。支持台62および取付座70が、本発明の「延出部」に相当する。下方延出部77が、本発明の「屈曲部」に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、切欠き部431,461が左縁部42および右縁部44を遮熱板40の内側に向けて切り欠く深さが上記実施形態よりも浅くされていてもよい。具体的には、取付台60に対して遮熱板40が取り付けられた状態で、切欠き部431の右奥部が左側の取付台60の支持台63の立設部631に右側から当接し、切欠き部461の左奥部が右側の取付台60の支持台63の立設部631に左側から当接してもよい。この場合、遮熱板40の左端部および右端部が筐体2の内部において支持される部分が前後方向において増加するので、遮熱板40がより安定して筐体2内部において支持される。
また、左縁部42および右縁部44に切欠き部431,461が設けられていなくてもよい。この場合であっても、取付座70との干渉を避けるように遮熱板40を湾曲させることで、遮熱板40を取付台60に取り付ける作業を行うことができる。さらに、左縁部42および右縁部44に鉤状部432,462が設けられていなくてもよい。この場合において、例えば、左縁部42の左端を支持台63の立設部631に右側から当接させ、右縁部44の右端を支持台63の立設部631に左側から当接させることで遮熱板40を二つの支持台63によって左右に挟持させて、遮熱板40を筐体2内部に取り付けることができる。この場合、立設部631が本発明の「支持部」に相当し、左縁部42の左端および右縁部44の右端が本発明の「被支持部」に相当する。即ち、本発明に係る「支持部」は、遮熱板40に対して当接することで遮熱板40を筐体2の内部において支持する部位であればよい。
上記実施形態において、下方延出部77は、左縁部42における切欠き部431の右奥部分および右縁部44における切欠き部461の左奥部分のそれぞれに上側から当接している。下方延出部77は、例えば、切欠き部431,461の前側の縁部、切欠き部431,461の後側の縁部に当接してもよい。また、上記のように、左縁部42および右縁部44に切欠き部431,461が設けられない場合には、下方延出部77は左縁部42および右縁部44のいずれかの部分に上側から当接していればよい。
上記実施形態において、下方延出部77は、取付座70の端部において前後方向に所定の長さで延び、下方延出部77下端の前後方向における全体が切欠き部431,461の縁部の上側から当接するように形成されているが、下方延出部77の形状はこれに限られない。例えば、前後方向に延びる下方延出部77の下端のうち前端部および後端部等の複数の部分が他の部分よりも下方に突出しており、下方に突出した部分が切欠き部431,461の縁部の上側から当接するように形成されていてもよい。この場合であっても、前後方向の異なる位置で下方延出部77が切欠き部431,461近傍の左縁部42および右縁部44に当接するので、遮熱板40の前後方向への位置ずれが防止される。
上記実施形態において、下方延出部77は取付座70の端部が下方に折り曲げられて形成されているが、例えば、支持台63の上側固定部632の端部が下方に折り曲げられることで、下方延出部77に相当する形状に形成されていてもよい。また、取付座70に下方延出部77が設けられておらず、略水平方向に延びる取付座70の端部が、左縁部42および右縁部44の上側から当接する構成であってもよい。また、略水平方向に延びる上側固定部632の端部が左縁部42および右縁部44の上側から当接する構成であってもよい。
上記実施形態では、延出部610、支持台63、差込部65、取付座70の下方延出部77が取付台60の一部分、または取付台60に対して取り付けられる部分として構成されている。これにより、こんろ1は、筐体2内部の部品点数の増加を抑制している。延出部610、支持台63、差込部65、取付座70の下方延出部77は必ずしも取付台60の一部分、または取付台60に対して取り付けられる部分として構成されていなくてもよく、筐体2内部の構成として設けられていればよい。
上記実施形態において、一対の取付台60,60における差込部65同士の間の長さM1は、遮熱板40における鉤状部432の奥部432Aと鉤状部462の奥部462Aとの間の長さL1よりも短くされている。グリル庫7の大きさ、グリル庫7とトッププレート3との間の長さ、遮熱板40の材質および形状、筐体2内部における差込部65の配置等に伴い、遮熱板40を湾曲変形させる度合いは様々であり、遮熱板40に作用する復元力の大きさ、遮熱板40に作用する張力の大きさも様々である。このため、長さL1と長さM1の差は、事前の実験等に応じて、差込部65において遮熱板40を安定して支持させるために最適な長さを設定してよい。長さL2と長さM2の差においても同様である。