以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。図1において、左斜め下方、右斜め上方、右斜め下方、左斜め上方を、夫々、コンロ1の前方、後方、右方、左方とする。図2において、下方、上方、右方、左方を、夫々、天板3の前方、後方、右方、左方とする。なお、図1に示すコンロ1は図示しないキッチンのカウンタートップに設置されるビルトインコンロである。
図1,図2を参照し、コンロ1の全体構造について説明する。図1に示すように、コンロ1は器具本体2を備える。器具本体2は上部が開口する略直方体状であり、内側に各種バーナ5〜7、グリル庫(図示略)、ガス供給機構(図示略)等を備える。器具本体2上部には天板3が取り付けられている。天板3の後端側を除く前側部分にはガラストッププレート21(以下「トッププレート21」と呼ぶ)が設けられている。天板3の後端側にはアルミ製の中板22が設けられている。天板3の外周にはアルミ枠23が設けられている。アルミ枠23の下部にはゴム製のパッキン24(図3参照)が貼着されている。
トッププレート21の右手前にはバーナ開口25(図2参照)、略中央奥にはバーナ開口26(図2参照)、左手前にはバーナ開口27(図2参照)が夫々設けられている。バーナ開口25には右バーナ5、バーナ開口26には奥バーナ6、バーナ開口27には左バーナ7が、器具本体2側から上方に突出して各々設けられている。
図1に示すように、バーナ開口25における右バーナ5周囲の隙間はカバーリング31で塞がれている。カバーリング31はバーナ開口25にパッキン38(図2参照)を介して装着されている。それ故、煮汁等がバーナ開口25から器具本体2内に侵入するのを防止できる。なお、パッキン38の材質は例えばカーボンであるが、耐熱性、耐水性、摺動性を備えた材質であればよい。
カバーリング31には、穴36と溝37(図2参照)が設けられている。穴36と溝37には、器具本体2側に設けられたイグナイタ95と熱伝対96が上方に夫々突出している。さらに、カバーリング31の外周を囲むようにして、五徳リング91が設置されている。なお、詳述しないが、奥バーナ6及び左バーナ7においても、右バーナ5と同様に、カバーリング32,33、及び五徳リング92,93が各々設けられている。カバーリング32,33にも、イグナイタ及び熱伝対用の穴と溝(図示略)が各々設けられている。
図2に示すように、中板22には器具本体2内のグリル庫と連通する排気口42(図2参照)が設けられている。排気口42は平面視横長長方形状である。排気口42には一対の遮炎カバー98,99(図1参照)が設置されている。
図1に示すように、器具本体2の前壁11の正面中央にはグリル開口12が設けられている。グリル開口12にはグリル扉13が前後方向にスライド可能に設けられている。グリル扉13上側にはグリル窓13Aが設けられている。グリル窓13Aの下方には取手13Bが設けられている。取手13Bでグリル扉13を手前側に引き出すと、焼き網と受け皿(図示略)を同時に取り出すことができる。
グリル開口12の右側には、点火スイッチ14,15が各々設けられている。点火スイッチ14は右バーナ5を点火/消火する為に押下される。点火スイッチ15はグリル庫内に設けられたグリルバーナ(図示略)を点火/消火する為に押下される。グリル開口12の左側には、点火スイッチ16,17が各々設けられている。点火スイッチ16は奥バーナ6を点火/消火する為に押下される。点火スイッチ17は左バーナ7を点火/消火する為に押下される点火スイッチ14,15の下側には操作パネル18が器具本体2内に収納可能に設けられている。点火スイッチ16,17の下側には電池ボックス19が設けられている。電池ボックス19はコンロ1の電源を供給する乾電池を格納する。
なお、器具本体2正面において、前壁11の上端部と天板3の前端部との間には、前面枠10が設けられている。前面枠10は前壁11及び天板3の前端部よりも奥側に位置する。前面枠10の前方には、キッチンのカウンタートップ前側の梁部材(図示略)が嵌め込まれる。
図2,図3,図9を参照し、天板3の構造について説明する。天板3は、トッププレート21、中板22、アルミ枠23を備える。トッププレート21は、図9に示すように、例えばホーロー用鋼板21Aの上面にガラスコート21Bを施して形成されている。なお、トッププレート21は強化ガラスやその他の材質で形成したものでもよい。またガラスコート21Bは複数の層で形成してもよい。図2,図3に示すように、バーナ開口25〜27は、器具本体2側に設けられた右バーナ5、奥バーナ6、左バーナ7の各位置に夫々対応している。バーナ開口25〜27は平面視円形状であり、右バーナ5、奥バーナ6、左バーナ7の各バーナヘッドの径よりも大きく形成されている。上述のように、これらバーナ開口25〜27には、カバーリング31〜33が各々装着されている。
図2に示すように、中板22は平面視横長長方形状である。排気口42の右側には固定穴44が設けられている。固定穴44には螺子(図示略)が差し込まれ、器具本体2側の梁部材に設けられた第一螺子穴(図示略)に締結される。排気口42の左側にも固定穴47が設けられている。固定穴47にも螺子(図示略)が差し込まれ、器具本体2側の梁部材に設けられた第二螺子穴(図示略)に締結される。
図3を参照し、天板3の裏面構造について説明する。なお、図3は図2に示す天板3の裏表をひっくり返して裏面を上に向けた状態の平面図であるが、説明の便宜上、図3においても図2の方向の定義に準じて説明する。天板3の裏面側において、後端部にはつなぎ板51が設けられている。つなぎ板51は中板22とアルミ枠23とを連結する。トッププレート21の裏面には、金属製の熱拡散板55が接着剤で固定されている。それ故、トッププレート21が各バーナ5〜7の燃焼熱によって部分的に膨張して歪んでしまうのを防止できる。また、各バーナ5〜7からトッププレート21に伝わる熱は、熱拡散板55から器具本体2の内側に放出されるので、トッププレート21が過度に高温になるのを防止できる。
さらに、熱拡散板55は前方部56と後方部57を備える。前方部56はトッププレート21の前側部分、後方部57はトッププレート21の後ろ側部分である。前方部56はバーナ開口25,27の領域を含む横長長方形状に形成され、後方部57はバーナ開口26の領域を含む横長長方形状に形成されている。前方部56と後方部57の間には所定の隙間が形成されている。なお、前方部56と後方部57において、各バーナ開口25〜27に対応する各位置には円形状の開口(図示略)が設けられ、各バーナ5〜7を挿入できるようになっている。
また、前方部56の前端部にはリブ56A、後端部にはリブ56Bが、トッププレート21の裏面に対して略直角に折り曲げられて各々形成されている。リブ56A,56Bは前方部56の剛性を補強する。後方部57の前端部にはリブ57A、後端部にはリブ57Bが、トッププレート21の裏面に対して略直角に折り曲げられて各々形成されている。リブ57A,57Bは後方部57の剛性を補強する。
そして、前方部56のバーナ開口25に対応する領域には、押さえ板61が押し当てられている。後述するが、押さえ板61は矩形状に形成され、トッププレート21を間に挟み込んだ状態で、3つの螺子65で、バーナ開口25からトッププレート21の裏面側に突出するカバーリング31の下端部に固定されている。前方部56のバーナ開口27に対応する領域には、押さえ板63が押し当てられている。なお、押さえ板63も、トッププレート21を間に挟み込んだ状態で、バーナ開口27からトッププレート21の裏面側に突出するカバーリング33の下端部に固定されている。他方、後方部57のバーナ開口26に対応する領域には、押さえ板62が押し当てられている。押さえ板62も、トッププレート21を間に挟み込んだ状態で、バーナ開口26からトッププレート21の裏面側に突出するカバーリング32の下端部に固定されている。なお、螺子65が本発明の「留め具」に相当する。
さらに、前方部56において、押さえ板61が押し当てられる領域の左右両側には、一対の位置決め突起59が各々設けられている。右側の一対の位置決め突起59は、押さえ板61の右端部の前後方向両端部に各々当接する。左側の一対の位置決め突起59は、押さえ板61の左端部の前後方向両端部に各々当接する。従って、押さえ板61をトッププレート21に取り付ける際には、これら4つの位置決め突起59の内側に押さえ板61を配置すればよい。それ故、前方部56に対する押さえ板61の位置決めが容易である。なお、前方部56において、押さえ板63が押し当てられる領域の左右両側にも、一対の位置決め突起59が各々設けられている。また、後方部57においても、押さえ板62が押し当てられる領域の左右両側にも、一対の位置決め突起59が各々設けられている。
また、トッププレート21の裏面側には、左前角部(図2の右前角部に相当)である天板3のコーナRから右方と後方に各々延出する略L字状のコーナ板52が、アルミ枠23に沿って熱拡散板55の上に重ねて固定されている。その反対側であって、右前角部(図2の左前角部に相当)である天板3のコーナLから左方と後方に各々延出する略L字状のコーナ板53が、アルミ枠23に沿って熱拡散板55の上に重ねて固定されている。これらコーナ板52,53は、天板3のコーナR,Lから前端部及び左右両端部にかかる部分を補強する。
また、コーナR近傍には、側面視L字状の係止爪28が設けられている。コーナL近傍には、側面視L字状の係止爪29が設けられている。係止爪28,29は前面枠10の左右両側に各々設けられた後述する係止穴105,106(図4参照)に各々係止する。これにより、天板3の前端側が器具本体2に仮固定される。
図4を参照し、前面枠10の構造について説明する。前面枠10は本体部101と受け部102を備え、断面T字状に形成されている。本体部101は正面視横長長方形状に形成されている。受け部102は平面視略長方形状に形成され、本体部101の上端部に略直角に連結されている。受け部102の上面には、天板3のアルミ枠23がパッキン24(図9参照)を介して載置される。本体部101の上側の左右両端部近傍には、正面視長方形状の係止穴105,106が設けられている。係止穴105は右側、係止穴106は左側に位置する。係止穴105には、天板3の係止爪28(図3参照)が係止する。係止穴106には、係止爪29(図3参照)が係止する。
図5〜図7を参照し、カバーリング31の形状について具体的に説明する。なお、カバーリング32,33はカバーリング31と同形状であるので、説明を省略する。カバーリング31は、筒部31Aとフランジ部31Bを備え、アルミダイキャスト製である。図7に示すように、筒部31Aは短軸筒状に形成され且つ上下方向に延設されている。筒部31Aの外径は、バーナ開口25の内径よりもやや短い。フランジ部31Bは筒部31Aの上端部から径方向外側に鍔状に延出する。図5,図6に示すように、筒部31A内には、円形の穴部34が形成されている。穴部34の内径はバーナ5の外径と略同一である。穴部34の内縁部には、上述の穴36と溝37が設けられている。
図5に示すように、フランジ部31B上面と筒部31Aの上端面との境界には、一対の位置決め突起131が穴部34を挟んで互いに対向する位置に各々設けられている。一対の位置決め突起131は、カバーリング31の上面に設置される五徳リング91(図1参照)の底面に設けられた一対の凹部(図示略)に各々係合する。これにより、五徳リング91はフランジ部31B上面に位置決めされる。図6に示すように、筒部31Aの下端面には、3つの螺子穴39が穴部34を軸中心に対して周方向に等間隔で並んで設けられている。これら螺子穴39には、後述する押さえ板61の固定穴68(図8参照)を介して、螺子65(図3参照)が各々締結される。なお、螺子穴39の数はこれより多くても少なくてもよい。
図8,図9を参照し、押さえ板61の形状について具体的に説明する。押さえ板61は、平面視長方形状の金属板である。材質は例えば鉄、ステンレス等が適用可能である。押さえ板61は中央に略円形の穴部64を備える。穴部64は、器具本体2に設けられたバーナ5を挿入させる為の穴である。穴部64の周囲には、3つの固定穴68が穴部64を軸中心に対して周方向に等間隔で並んで設けられている。3つの固定穴68の各位置は、カバーリング31に設けられた3つの螺子穴39の各位置に夫々対応する。さらに、押さえ板61の上面61Aにおける四隅(本発明の「頂点部」に相当)には、半球状のボス部69が、下面61B(図9参照)側から上面61A側に向けて凸状に打ち抜き成型(図9参照)されている。これら4つのボス部69の各位置は、カバーリング31の軸中心に対して周方向に等間隔となる各位置に対応し且つ3つの固定穴68よりも外側に位置している。なお、ボス部69は本発明の「突出部」に相当する。
図9を参照し、カバーリング31の固定構造について詳細に説明する。ここでは、バーナ開口25に装着するカバーリング31の固定構造について説明する。カバーリング31の筒部31Aは、バーナ開口25に対し上側から挿入されている。フランジ部31Bは、トッププレート21上面のバーナ開口25の周縁部にパッキン38を介して係止している。よって、パッキン38はフランジ部31B下面と、トッププレート21上面との間に挟まれた状態である。バーナ開口25の内周縁と、筒部31Aの外周面との間には、所定の隙間9が形成されている。それ故、この状態では、カバーリング31はバーナ開口25の内側にて隙間9の範囲内で移動可能である。筒部31Aの下部はバーナ開口25を介してトッププレート21裏面側に突出している。
筒部31Aの下端面には、押さえ板61が押し当てられている。さらに、押さえ板61に設けられた3つの固定穴68(図8参照)を介して、筒部31Aの下端面に設けられた3つの螺子穴39に対し、螺子65が夫々締結されている。押さえ板61の上面61Aの四隅に設けられた4つのボス部69の各頂上部は、トッププレート21裏面に何れも当接している。
ここで、筒部31Aのトッププレート21裏面から下方に突出する長さは、ボス部69の高さよりもやや短くされている。押さえ板61は4つのボス部69によって四隅の高さ位置が固定された状態で、その中央部が筒部31Aの下端面に対し螺子65で締結されている。それ故、押さえ板61は螺子65で締結した部分とボス部69との間が上方に湾曲してやや反った状態となっている。押さえ板61には、金属剛性によって元の平板形状に戻ろうとする弾性復帰力が生じる。これにより、押さえ板61の外周部は4つのボス部69を介して、トッププレート21裏面に対して適度な圧力で押し付けられる。押さえ板61とフランジ部31Bとの間に、トッププレート21及びパッキン38が挟圧される。
このように、押さえ板61の上面61Aではなく、各ボス部69の頂点がトッププレート21下面に当接することで、螺子65の締結力そのものではなく、その分散力が、トッププレート21におけるバーナ開口25の周縁部とパッキン38に作用する。これにより、バーナ開口25の周縁部とパッキン38との間の摺動抵抗を低くできる。よって、トッププレート21に対するカバーリング31の摺動性を向上できる。
また、トッププレート21裏面と、押さえ板61の上面61Aにおける4つのボス部69を除く部分との間には、隙間8が形成されている。それ故、トッププレート21裏面と、押さえ板61の上面61Aとの間にパッキンを設ける必要がないので、部品コストを削減できる。なお、カバーリング32,33についてもカバーリング31と同じ固定構造である。
さらに、図3に示すように、天板3の裏面において、押さえ板61の左右両端部には、一対の位置決め突起59が夫々設けられている。右側の一対の位置決め突起59は、押さえ板61の右端部の前後方向両端部に各々当接している。左側の一対の位置決め突起59は、押さえ板61の左端部の前後方向両端部に各々当接している。これにより、押さえ板61がトッププレート21裏面に対して回転してしまうのを防止できる。また、これら4つの位置決め突起59は、押さえ板61の左右の両端部に各々当接することで、カバーリング31に固定された押さえ板61を、天板3の前後方向にガイドすることもできる。これにより、カバーリング31をトッププレート21に対して前後方向に移動させる際の作業性を向上できる。なお、位置決め突起59が本発明の「位置決め部」に相当する。
次に、器具本体2上部に対する天板3の取り付け作業について説明する。施工業者は、先ず、天板3を両手で持ち、器具本体2の上方にて、天板3の前端側を下げた状態で傾斜させ、前方にスライドさせながら、器具本体2の前面枠10に設けられた係止穴105,106(図4参照)に対し、天板3裏面の前端部に設けられた係止爪28,29(図3参照)を後方から引っ掛ける。次いで、施工業者は、係止穴105,106に対し、係止爪28,29を係合させながら、天板3を傾けた状態から後端側を水平なる方向に徐々に降ろす。このとき、各カバーリング31〜33の各穴部34(図2参照)に対して、各バーナ5〜7がずれることなく挿入されるように、各カバーリング31〜33の位置を夫々前後左右に夫々移動させる。カバーリング31〜33は、上記の固定構造を備えるので、トッププレート21に対して良好に摺動させることができるので、カバーリング31〜33の位置調節の作業を簡単かつ速やかに行うことができる。
ところで、この取り付け作業では、天板3を前方向にスライドさせながら、器具本体2上部に対して天板3を位置決めするので、器具本体2に対して天板3の位置は左右方向よりも前後方向の位置が大きく変わる。そこで、本実施形態では、天板3裏面側において、押さえ板61〜63を複数の位置決め突起59によって前後方向(係止爪28,29の係止穴105,106に対する差し込み方向)にガイドするように構成している。それ故、前方向にスライドする天板3の位置に合わせ、カバーリング31〜33を前後方向に容易かつ速やかに移動させることができる。こうして、各カバーリング31〜33の各穴部34に対して各バーナ5〜7が挿入される。なお、各カバーリング31〜33において、穴36にイグナイタ95、溝37に熱伝対96が挿入される。そして、各バーナ開口25〜27における各バーナ5〜7周囲の隙間は、カバーリング31〜33で埋められる。
施工業者は、天板3を器具本体2上部に載置し終えると、天板3は、アルミ枠23に設けられたパッキン24により、器具本体2上部の開口端よりやや浮いた状態となっている。施工業者は、天板3を器具本体2上部に対して手で押さえつけながら、天板3の排気口42の左右両側に各々設けられた固定穴44,47に対し、螺子(図示略)を夫々差し込み、器具本体2側に設けられた第一螺子穴及び第二螺子穴(図示略)に各々締結する。こうして、器具本体2上部に天板3が固定され、取り付け作業が完了する。
以上説明したように、本実施形態のコンロ1では、天板3に設けたバーナ開口25〜27から器具本体2側に設けた各バーナ5〜7が上方に突出している。バーナ開口25〜27にはパッキン38を介してカバーリング31〜33が取り付けられている。バーナ開口25に装着するカバーリング31は筒部31Aとフランジ部31Bを備える。筒部31Aの外径はバーナ開口25の内径よりも小径に形成されている。筒部31Aはバーナ開口25の内側に挿入される。フランジ部31Bは筒部31Aの上端部から外側に張り出してバーナ開口25の周縁部の上面に載置される。フランジ部31Bと周縁部との間には環状のパッキン38が挟持されている。筒部31A下部には押さえ板61が螺子65で締結されている。これにより、押さえ板61とフランジ部31Bとによって、トッププレート21におけるバーナ開口25の周縁部とパッキン38とが挟圧される。
そして、押さえ板61の四隅には、トッププレート21下面に当接する上向きのボス部69が設けられている。ボス部69の頂点がトッププレート21下面に当接することで、螺子65の締結力そのものではなく、その分散力が、トッププレート21のバーナ開口25の周縁部とパッキン38とに作用する。これにより、バーナ開口25の周縁部とパッキン38との間の摺動抵抗を低くすることができる。よって、トッププレート21に対するカバーリング31の摺動性を高めることができる。このようにして、天板3を器具本体2に取り付ける際に、カバーリング31〜33と各バーナ5〜7との位置合わせを容易にできる。
また本実施形態では特に、ボス部69は、押さえ板61において、少なくとも螺子65で締結した位置よりも外側に設けられている。これにより、押さえ板61の螺子65で締結した部分とボス部69との間が撓んで天板3側に反った形状となる。これにより、押さえ板61に弾性復帰力が生じるため、押さえ板61の外周部がボス部69を介してトッププレート21裏面に押し付けられた状態となる。この状態によって、押さえ板61とフランジ部31Bとの間に、トッププレート21のバーナ開口25の周縁部とパッキン38とを挟圧しつつ、トッププレート21に対するカバーリング31の摺動性を高めることができる。
また本実施形態では特に、ボス部69は、カバーリング31の軸中心に対して周方向に等間隔で複数設けられるので、螺子65の締結力を押さえ板61に対してバランス良く生じさせることができる。
また本実施形態では特に、押さえ板61は矩形状に形成され、ボス部69は押さえ板61の頂点部である四隅に設けられているので、ボス部69は螺子65で締結した位置よりも外側に位置させることができる。
また本実施形態では特に、トッププレート21裏面には、押さえ板61の互いに対向する一対の端部に各々当接することによって、トッププレート21裏面における押さえ板61の位置決めを行う複数の位置決め突起59が各々設けられている。これにより、トッププレート21裏面における押さえ板61の位置決めを行うことができるので、施工性が向上する。
また本実施形態では特に、複数の位置決め突起59は、押さえ板61一対の端部の各々に対して、該端部の長手方向の一端側と他端側とに夫々当接するので、押さえ板61がトッププレート21に対して回転してしまうのを防止できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態のコンロ1はビルトインコンロであるが、テーブルコンロであってもよい。
また、上記実施形態は、複数のバーナ5〜7を備えるものであるが、バーナは1つ又は2つでもよく、数は限定しない。さらにグリルは無くてもよい。
また、上記実施形態では、押さえ板61は長方形状であるが、形状はこれ以外でもよく、例えば、円形であってもよい。
また、上記実施形態では、各押さえ板61〜63の左右両端部の前後に位置決め突起59を各々設けることにより、押さえ板61〜63を、天板3の前後方向にガイドして位置決めするが、例えば、位置決め突起59を各押さえ板61〜63の左右両端部の中間位置に1つずつ夫々配置してもよい。また、上記実施形態のように、天板3の前端部を器具本体2の前端に引っ掛けるものではなく、例えば、天板3の左端部又は右端部を器具本体2の左端又は右端に引っ掛けるようなものであれば、位置決め突起59を各押さえ板の前後の両端部の左右に夫々配置し、各押さえ板を天板3の左右方向にガイドするようにしてもよい。即ち、天板3に設けた係止爪の器具本体側の係止穴に対する差し込み方向に対して、カバーリング31〜33を移動させるようにするのがよい。また、位置決め突起59の数は上記実施形態に限らず、省略することも可能である。
また、上記実施形態は、天板3裏面の前端側に設けた一対の係止爪28,29を、前方にスライドさせながら、器具本体2の前面枠10に設けた係止穴105,106に引っ掛け、天板3を斜めに傾けた状態から後端側を水平なる方向に徐々に降ろし、器具本体2上部に天板3を位置決めして固定するコンロである。しかしながら、これ以外にも、例えば、天板に前後方向にスライド可能な係止爪を設け、器具本体の上部に天板を位置決めしてから、係止爪をスライドさせ、器具本体側の係止穴に係止させるコンロにも適用可能である。
図10を参照して、天板の係止爪をスライド可能なコンロに本発明を適用した変形例について説明する。本変形例であるコンロは天板130を備え、上記実施形態と同じ器具本体2(図1参照)に取り付けるものである。なお、天板130は、上記実施形態の天板3の裏面構造を一部変更しただけであるので、異なる点を中心に説明する。なお、図10は天板130の裏表をひっくり返して裏面を上に向けた状態の平面図であるが、説明の便宜上、図10においても図2の方向の定義に準じて説明する。
天板130はトッププレート21を備える。トッププレート21裏面側において、左端側にはトップ固定板71、右端側にはトップ固定板72が夫々前後方向に移動可能に設けられている。トップ固定板71,72の各前端部には、係止爪部76,86が各々設けられている。トップ固定板71,72は、操作螺子45,48を夫々前方にスライド操作することによって前方に移動され、係止爪部76,86が、前面枠10の左右両側に各々設けられた係止穴105,106(図4参照)に各々係止する。これにより、天板130が器具本体2に仮固定される。なお、操作螺子45,48は、天板130の後端側の排気口42の左右両側に各々設けられたガイド穴(図示略)に遊挿されている。ガイド穴は天板130の前後方向に長い長穴である。操作螺子45,48は平座金一体螺子である。それ故、操作螺子45,48は緩めることによってガイド穴に沿って移動可能となり、締めることによって天板130に対して位置が固定される。
また、コーナR近傍には、側面視L字状の係止爪支持部94が設けられている。係止爪支持部94には支持穴94Aが設けられている。支持穴94Aにはトップ固定板71の係止爪部76が挿入されている。コーナL近傍には、側面視L字状の係止爪支持部97が設けられている。係止爪支持部97には支持穴97Aが設けられている。支持穴97Aにはトップ固定板72の係止爪部86が挿入されている。これにより、係止爪支持部94,97は、トップ固定板71の係止爪部76及びトップ固定板72の係止爪部86を各々支持する。
トップ固定板71,72の構造について説明する。なお、トップ固定板72はトップ固定板71と左右対称であるので説明を省略する。また、ここでは、天板130を裏返しにした状態で配置したときのトップ固定板71の向きで説明する。
トップ固定板71は平面視略L字状である。トップ固定板71は、所定幅を有し且つ前後方向に延出する細長長方形状の本体部73と、該本体部73の後端部に設けられ、本体部73より一段トッププレート21裏面側に低くなった固定部74と、本体部73の前端部から右側方に向けて略直角に折り返して延出する細長長方形状の支持部75と、該支持部75の前端部右側から前方に突出する係止爪部76とを備える。係止爪部76の先端部は斜め上方(器具本体2側)に折曲している。
本体部73の右端部後方側には、トッププレート21裏面に向かって延出する起立部77が設けられ、右端部前方側には、トッププレート21裏面に向かって延出する起立部78が設けられている。起立部77と起立部78は前後方向に離間している。起立部77の延出方向先端部には右側方に略直角に折り返した折返部79が設けられている。折返部79の前端部には差込部80が設けられている。起立部78の延出方向先端部には右側方に略直角に折り返した折返部81が設けられている。
固定部74には第1固定穴(図示略)と第2固定穴84が設けられている。第1固定穴は固定穴84の後方に設けられ、天板130の中板22に設けたガイド穴(図示略)の位置に対応する。第1固定穴には操作螺子45の先端部が固定されている。固定穴84は、トップ固定板71が最前方に移動したときの天板130の中板22に設けた天板側固定穴(図示略)に対応する。なお、トップ固定板72も係止爪部86及び差込部88等を備えている。
天板130へのトップ固定板71の取付構造について説明する。トップ固定板71は、天板130裏面の左側に配置される。固定部74は天板130に設けたガイド穴(図示略)を介して操作螺子45によって固定される。折返部79は熱拡散板55の後方部57のリブ57A,57Bの間に配置される。折返部81は熱拡散板55の前方部56のリブ56A,56Bの間に配置される。差込部80は、後方部57のリブ57Aの左側に設けた差込穴57Cに差し込まれる。さらに、係止爪部76は、係止爪支持部94の支持穴94Aに挿入される。これにより、トップ固定板71は、天板130裏面から脱落することなく、前後方向に移動可能に支持される。なお、トップ固定板72においても、トップ固定板71と同様に、差込部88は、後方部57のリブ57Aの右側に設けた差込穴57Cに差し込まれ、係止爪部86は、係止爪支持部97の支持穴97Aに挿入される。これにより、トップ固定板72も、天板130裏面から脱落することなく、前後方向に移動可能に支持される。
器具本体2上部への天板130の取り付け作業について説明する。施工業者は、器具本体2に取り付ける前の天板130について、操作螺子45,48を何れも緩めて最後方位置に移動させておく。よって、一対のトップ固定板71,72は何れも最後方に位置する。施行業者は、この状態の天板130を両手で持ち上げ、器具本体2上部に対して位置合わせを行う。このとき、上記実施形態と同じように、器具本体2側の各バーナ5〜7の各位置を基準として、各カバーリング31〜33の位置を夫々前後左右に夫々移動させる。カバーリング31〜33は、上記の固定構造により、トッププレート21に対して良好に摺動させることができるので、カバーリング31〜33の位置調節の作業を簡単かつ速やかに行うことができる。天板130は表面側を上、裏面側を下にした状態で、器具本体2上部に正確に位置決めされ、アルミ枠23に設けられたパッキン24により、器具本体2上部の開口端よりやや浮いた状態となる。
次いで、施工業者は、器具本体2上部に正確に位置決めされた天板130を左右片側ずつ順に器具本体2上部に固定していく。例えば天板130の右端側を器具本体2上部に対して手で押さえ付けながら、操作螺子45をガイド穴に沿って前方にスライド移動させ、係止爪部76を前面枠10に設けられた係止穴105に係止させる。次いで、操作螺子45を締める。これにより、天板130に対してトップ固定板71の位置が固定される。施工業者は、天板130の天板側固定穴から螺子(図示略)を差し込み、トップ固定板71の固定穴84を介して、器具本体2側の梁部材に設けられた第一螺子穴に締結する。これにより天板130の右端側が器具本体2上部に対して固定される。
そして、トップ固定板72においても、トップ固定板72と同じ工程を経ることによって、係止爪部86が前面枠10に設けられた係止穴106に係止する。次いで、操作螺子48を締める。これにより、天板130に対してトップ固定板72の位置が固定される。施工業者は、天板130の固定穴47から螺子(図示略)を差し込み、トップ固定板72の固定穴87を介して、器具本体2側の梁部材に設けられた第二螺子穴に締結する。これにより天板130の左端側が器具本体2上部に対して固定される。こうして、天板130の全体が器具本体2上部に対して確実に固定される。
以上説明したように、本変形例のコンロでは、トッププレート21裏面側において、左端側にトップ固定板71、右端側にトップ固定板72が夫々前後方向に移動可能に設けられている。トップ固定板71,72の各前端部には、係止爪部76,86が各々設けられている。施工業者は、器具本体2上部に対して天板130の位置合わせを行った後で、操作螺子45,48を操作し、トップ固定板71,72を前方に移動させ、係止爪部76,86を、前面枠10の係止穴105,106に各々係止させる。このようなコンロにおいても、器具本体2上部に対して天板130の位置合わせを行う際に、上記実施形態と同じように、器具本体2側の各バーナ5〜7の各位置を基準として、各カバーリング31〜33の位置を夫々前後左右に夫々移動させることができる。カバーリング31〜33は、上記の固定構造により、トッププレート21に対して良好に摺動させることができるので、カバーリング31〜33の位置調節の作業を簡単かつ速やかに行うことができる。