JP6638647B2 - 多孔質材料及び多孔質シート - Google Patents

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Description

本発明は、フィブロイン多孔質体を用いて得られる多孔質材料及び多孔質シートに関するものである。
タンパク質、糖類等の生物由来物質を利用して作製可能である多孔質体は、癒着防止剤、創傷被覆材、薬剤徐放担体等の医療分野、微生物、細菌等の住処になる支持体として活用しうる浄水分野、細胞培養支持体(足場材料)、組織再生支持体等として活用しうる組織工学及び再生医療工学分野、エステティックサロン及び個人での使用による保湿等を目的とした化粧品・エステ分野、紙おむつ、生理用品等の生活日用品分野など、産業上幅広い分野で利用される。
上記のような幅広い分野に用いられる多孔質体を構成する材料として、セルロース、キチン等の糖類、コラーゲン、ケラチン、フィブロイン等のタンパク質群などの生体由来物質が知られている。これらの生体由来物質のうち、フィブロイン、とりわけシルクフィブロインは、原料の安定供給、価格の安定性から工業的に利用される。さらに、衣類用途以外に、手術用縫合糸として長く使用されてきた実績があり、近年、食品及び化粧品の添加物としても利用されている。シルクフィブロインは人体に対する安全性に優れる材料であるため、多孔質体を形成する材料としての使用が検討されている。
シルクフィブロイン多孔質体を作製する手法に関しては、いくつか報告がある。例えば、シルクフィブロイン水溶液を急速冷凍したのち結晶化溶媒に浸漬し、融解と結晶化を同時進行することによって得る方法(特許文献1)、シルクフィブロイン水溶液を冷凍した後に長時間凍結状態を維持することで多孔質体を作製する手法(特許文献2)、シルクフィブロイン水溶液に対して少量の水溶性有機溶媒を添加した後に、一定時間冷凍して融解することによってシルクフィブロイン多孔質体が得られる手法である(特許文献3)。
特開平8−41097号公報 特開2006−249115号公報 特許第3412014号公報
上記の手法によって作製した多孔質体は水を含んだ湿潤状態では柔らかいものの、凍結乾燥等の乾燥により水を除去した乾燥状態では脆く、クラックが発生する等して加工性、及び外観に劣るという課題があった。
ところで、上記の産業分野の中でも、生体親和性が高いというフィブロイン多孔質体の特性に着目し、特に、フィブロイン多孔質体の医療分野、組織工学及び再生医療工学分野での利用が検討されている。例えば、創傷被覆材は、創傷部に貼付することによる痛みの緩和、また該創傷部をぶつけた際の痛みを軽減するものとしてだけではなく、傷口等から滲み出してくる滲出液を吸収して創傷部に保持し、該滲出液に含まれる成分を積極的に活用することで、創傷を治癒させる湿潤療法に活用しうるものとして注目されている。
これらの用途に適用する場合、フィブロイン多孔質体には、上記の加工性、及び外観に加えて、滲出液等を吸収する吸水性、傷口等を保護するためのクッション性、伸縮に対する追随性も求められる。
本発明は、乾燥状態でも柔らかく、乾燥後の外観及びスライス加工性に優れ、かつ吸水性、弾力性及び追随性にも優れるフィブロイン多孔質体を用いた多孔質材料及び多孔質シートを提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により当該課題を解決できることを見出した。
[1]フィブロイン多孔質体が、分子量が1,000以下の水酸基含有化合物を20〜75質量%含むことを特徴とする多孔質材料。
[2]前記水酸基含有化合物が、グリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、乳酸、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、アルコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルから選択される1種以上である[1]に記載の多孔質材料。
[3]前記水酸基含有化合物がグリセリンである[1]に記載の多孔質材料。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の多孔質材料からなり、膜厚が0.1〜50mmである多孔質シート。
本発明に係る多孔質材料及び多孔質シートは、乾燥状態でも柔らかく、乾燥後の外観及びスライス加工性に優れ、かつ吸水性、弾力性及び追随性にも優れる。
実施例1で製造された多孔質材料の乾燥後の外観を示す写真である。 実施例1で製造された多孔質材料をスライス加工して得られた多孔質シートの外観を示す写真である。 比較例1で製造された多孔質材料の乾燥後の外観を示す写真である。 比較例1で製造された多孔質材料をスライス加工して得られた多孔質シートの外観を示す写真である。 比較例2で製造された多孔質材料の乾燥後の外観を示す写真である。 比較例2で製造された多孔質材料をスライス加工して得られた多孔質シートの外観を示す写真である。
〔多孔質材料〕
本発明に係る多孔質材料は、フィブロイン多孔質体が、分子量が1,000以下の水酸基含有化合物を20〜75質量%含むことを特徴とするものである。すなわち、本発明の多孔質材料においては、フィブロイン多孔質体が上記水酸基含有化合物を保持している。
上記水酸基含有化合物としては、1分子当り1つ以上の水酸基を有するものであればよく、1分子当り1〜10の水酸基を有するものが好ましく、1分子当り1〜4の水酸基を有するものがより好ましい。
また、水酸基含有化合物の分子量は、1,000以下であり、800以下あることが好ましく、500以下であることがより好ましい。水酸基含有化合物の分子量の下限は特に制限はないが、50以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましい。
水酸基含有化合物の具体例としては、例えば、グリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、乳酸、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、アルコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、このうち1種又は2種以上を用いることができる。ハンドリング性、スライス加工性及び安全性の観点から、グリセリン、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ポリグリセリン、乳酸、プロピレングリコール及びブチレングリコールが好ましい。これらの中でも、グリセリンは、肌を保湿する効果があるので、スキンケア材料、創傷被覆材等の肌に貼り付けて使用する用途において特に好ましい。
本発明に係る多孔質材料、すなわち水酸基含有化合物を含むフィブロイン多孔質体中の水酸基含有化合物の含有量は、20〜75質量%であることを要する。また、水酸基含有化合物の含有量は、25〜60質量%であることがより好ましく、25〜45質量%であることがさらに好ましい。水酸基含有化合物の含有量が上記範囲内であると、柔軟性、加工性及びハンドリング性に優れる多孔質材料を得ることができる。より具体的には、20質量%以上であると柔軟性に優れ、乾燥時に割れにくく、脆くなることがなく、スライス加工時に割れにくく、また優れたハンドリング性が得られる。一方、75質量%以下であると柔軟性に優れ、凍結乾燥前後での収縮が小さく、多孔質材料の表面のタックが良好であり、スライス加工時にロールに巻きつきにくく、優れたハンドリング性が得られる。
また、本発明の多孔質材料は、上記範囲内において含有量を変化させることで、その硬さを調整することができる。水酸基含有化合物の含有量を多くするほど、多孔質材料は柔軟になる。
フィブロイン多孔質体の原料として用いられるフィブロインとしては、例えば、家蚕、野蚕、天蚕等の天然蚕、トランスジェニック蚕などから産生されるシルクフィブロイン等が挙げられる。本発明においては、乾燥状態でも柔らかく、乾燥後の外観、スライス加工性に優れる多孔質材料及び多孔質シートを得る観点から、シルクフィブロインを原料とすることが好ましい。
以下、フィブロインとして好ましいシルクフィブロインを例にとって説明する。シルクフィブロイン多孔質体は、シルクフィブロイン溶液から得られるが、水に溶解させる場合、シルクフィブロインは水に対する溶解性が悪く、直接水に溶解することは困難である。シルクフィブロイン水溶液を得る方法としては、公知のいかなる手法を用いてもよいが、高濃度の臭化リチウム水溶液にシルクフィブロインを溶解後、透析により脱塩し、シルクフィブロイン水溶液を得る方法が好適に挙げられる。また、水溶液中のシルクフィブロインの濃度調整の方法としては、風乾による濃縮を経る手法が簡便で好ましい。
シルクフィブロイン多孔質体は、その製造方法は問わないが、例えば、シルクフィブロイン水溶液を急速冷凍したのち結晶化溶媒に浸漬し、融解と結晶化を同時進行することによって得る方法(特許文献1)、シルクフィブロイン水溶液を冷凍した後に長時間凍結状態を維持することで多孔質体を作製する手法(特許文献2)、シルクフィブロイン水溶液に対して少量の水溶性液状有機物質を添加した後に、一定時間冷凍して融解することによって多孔質体を得る手法(特許文献3)が挙げられる。
また、シルクフィブロイン多孔質体は、シルクフィブロイン水溶液に特定の添加剤を加えて、該水溶液を凍結させ、次いで融解させることにより製造することが好ましい。
シルクフィブロイン多孔質体の製造において、シルクフィブロインの濃度は、シルクフィブロイン溶液中で10〜400g/Lであることが好ましく、15〜200g/Lであることがより好ましく、20〜120g/Lであることがさらに好ましい。この範囲内に設定することで、十分な強度を持ったシルクフィブロイン多孔質体を効率的に製造することができる。
前記添加剤としては、カルボン酸類、アミノ酸、及び水溶性液状有機物質等が好ましく挙げられる。また、シルクフィブロイン多孔質体の製造において用いられるカルボン酸類としては、pKaが、5.0以下のものが好ましく、3.0〜5.0のものがより好ましく、3.5〜5.0のものがさらに好ましい。
カルボン酸類としては、少なくとも分子中に一つのカルボキシ基を有する有機酸であれば特に制限はないが、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等が挙げられる。カルボン酸類としては、カルボン酸類が好ましく、炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸がより好ましく、炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸がさらに好ましい。これらの脂肪族カルボン酸は飽和であってもよく、不飽和であってもよい。このようなカルボン酸として、具体的には、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、アクリル酸、2−ブテン酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸等のジカルボン酸などが好ましく挙げられる。これらは単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。人体への安全性を考慮すると、酢酸、乳酸及びコハク酸がより好ましい。
前記アミノ酸としては、特に制限はなく、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、メチオニン等のモノアミノカルボン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等のモノアミノジカルボン酸(酸性アミノ酸)などの脂肪族アミノ酸;フェニルアラニン等の芳香族アミノ酸;ヒドロキシプロリン等の複素環を有するアミノ酸などが好ましく挙げられ、中でも形状の調整が容易な観点から酸性アミノ酸、及びヒドロキシプロリン、セリン、スレオニン等のオキシアミノ酸が好ましい。同様な観点で、酸性アミノ酸の中でもモノアミノカルボン酸がより好ましく、アスパラギン酸及びグルタミン酸が特に好ましく、オキシアミノ酸の中でもヒドロキシプロリンがより好ましい。これらのアミノ酸は、いずれか1種を単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、アミノ酸には、L型とD型の光学異性体があるが、L型とD型を用いた場合に、得られる多孔質体に違いが見られないため、どちらのアミノ酸を用いてもよい。
前記水溶性液状有機物質は、常温(20℃)で液状であり、常温(20℃)で水と混合した際に、分離せずに溶解、又は混和するものをいう。水溶性液状有機物質としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール類;ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン、アセトン、アセトニトリルなどが好ましく挙げられる。これらは単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。人体への安全性を考慮すると、エタノール、ジメチルスルホキシド、グリセリン及びアセトンが好ましく、エタノール及びグリセリンがより好ましい。
シルクフィブロイン水溶液に添加剤を用いる場合の添加剤の含有量は、0.1〜18体積%であることが好ましく、0.1〜5.0体積%であることがより好ましく、0.5〜4.0体積%であることがさらに好ましい。この範囲内に設定することで、十分な強度を持った多孔質体を製造することができる。
また、アミノ酸の含有量は、シルクフィブロインに対して、1〜500質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。
シルクフィブロイン水溶液の凍結は、シルクフィブロイン水溶液に添加剤を加えた溶液を容器に流し込み、該容器を液冷式の低温恒温槽中に入れることで行うことが好ましい。
凍結温度としては、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液が凍結する温度であれば特に制限はないが、−5〜−40℃程度が好ましく、−10〜−30℃程度がより好ましく、−15〜−25℃がさらに好ましい。凍結時間としては、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液が十分に凍結し、かつ凍結状態を一定時間保持できるよう、2時間以上であることが好ましく、4時間以上であることがさらに好ましい。また、特に−15〜−25℃の温度条件下、1時間から100時間保持して凍結することが好ましい。
ここで、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液を一気に凍結温度まで下げて凍結してもよいが、凍結の前に過冷却状態を経ることが、均一な構造のシルクフィブロイン多孔質体を得る上で好ましい。例えば、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液を一旦、−5℃程度で2時間程度保持して、その後、凍結温度まで下げて凍結することで、均一な構造のシルクフィブロイン多孔質体を得ることができる。−5℃から凍結温度までにかける時間を調整することで、多孔質体の構造、強度をある程度制御することが可能である。
上記の手法でシルクフィブロイン水溶液を凍結させた後、次いで凍結した水分を融解することによって、シルクフィブロイン多孔質体が得られる。融解の方法としては、特に制限はなく、自然融解、恒温槽等での保管などの方法が好ましく挙げられる。
このようにして得られたシルクフィブロイン多孔質体には添加剤が含まれており、用途に応じて添加剤を除去する必要がある場合には、適当な方法でシルクフィブロイン多孔質体から添加剤を除去して用いることができる。例えば、シルクフィブロイン多孔質体を、純水中に浸漬して、添加剤を除去することが最も簡便な方法として挙げられる。
シルクフィブロイン多孔質体は、スポンジ状の多孔質構造を有しており、通常このシルクフィブロイン多孔質体には凍結乾燥等により水除去を行わなければ水が含まれ、含水状態で柔らかい構造物である。また、シルクフィブロイン多孔質体を凍結乾燥することにより、シルクフィブロイン多孔質体の乾燥品を得ることができる。凍結乾燥は、水分を完全に昇華させずに乾燥を終えると、残った水分の表面張力の影響で空孔が潰れてしまうため、水分が完全に昇華するまで乾燥することが好ましい。例えば、温度条件として−5〜−80℃程度であることが好ましい。
このシルクフィブロイン多孔質体は、シルクフィブロイン多孔質体作製時の容器を適宜選択することにより、フィルム状、シート状、ブロック状、管状、球状等、目的に応じた形状とすることができる。
容器としては、シルクフィブロイン溶液が流出しない形状及び形態のものであれば制限はなく、その素材としては、鉄、ステンレス、アルミニウム、金、銀、銅等の熱伝導率が高い素材を用いることが、凍結に要する工程時間を短縮できる観点から好ましい。また、型及び容器の壁の厚さは、その機能と凍結の際の膨張等による変形等を防止する観点から、0.5mm以上であることが好ましく、取り扱いが容易で、冷却効率的な観点から、より好ましくは1〜3mmである。
ここで用いられる型及び容器は、シルクフィブロイン多孔質体の固着の予防を目的として、その内側のシルクフィブロイン溶液と接する内壁面に、離型層を設けることができる。
離型層としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂からなるシート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)等からなる離型処理されたシート、また、上記フッ素樹脂からなるコーティング層などが好ましく挙げられる。これらの離型層を用いた場合、シルクフィブロイン多孔質体の表面には細孔が少なく平滑なフィルム層が形成される。また、フィルム層を設けたくない場合は、ろ紙等といった表面が粗いシートを用いることで、フィルム層の大部分を剥離させることができる。離型層の採用については、例えば、化粧品及びエステ分野の用途において、揮発しやすい化粧成分を含有させて用いる場合で、該化粧成分の揮発を抑えてより長時間の化粧成分の効果を得ようとする場合は、フィルム層を有することが好ましいので、採用することが好ましい。このように、離型層は、フィルム層の要否に応じて、適宜選択すればよい。
また、離型層の厚さは、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。離型層の厚さが上記範囲内であると、熱伝導を阻害しにくいため、凍結に要する工程時間を短縮することができる。
このシルクフィブロイン多孔質体は、上記した融解する工程に次いで、切削加工、切断加工を施してもよい。シルクフィブロイン多孔質体をシート形状とする場合において、多孔質層のみからなる多孔質体とする場合には、容器の材質を選択するほかに、フィルム層を切除することで、表面構造を選択することができる。具体的には、例えば、テフロン(登録商標)シート等の離型層をその内壁面に設けたブロック状の型あるいは容器を用い、該型あるいは容器から取り出してから、側面の四面のフィルム層を取り除き、多孔質層の部分を切削あるいは切除する等して、多孔質層のみからなる多孔質体を得ることができる。また、一面のみにテフロン(登録商標)シート等の離型層をその内壁面に設け、その他の面の内壁面にろ紙を設けた型あるいは容器を用い、一面のみにフィルム層を有する多孔質体を得ることもできる。
シルクフィブロイン多孔質体に水酸基含有化合物を含有させる方法は特に限定されず、シルクフィブロイン多孔質体を製造する際に、シルクフィブロイン溶液に配合する方法、シルクフィブロイン多孔質体の作製後に、その全体が浸る程度の水酸基含有化合物を含む溶液に浸漬させる方法であってもよい。
水酸基含有化合物を含む溶液中の、水酸基含有化合物の含有量は特に制限はなく、例えば0.5〜20体積%であることが好ましく、1〜10体積%であることがより好ましい。含有量が上記範囲内であると、シルクフィブロイン多孔質体中に水酸基含有化合物が十分に導入され、乾燥に適した水酸基含有化合物を含んだフィブロイン多孔質体が得られる。
浸漬時間も特に制限はないが、シルクフィブロイン多孔質体内の水酸基含有化合物の濃度が均一になる時間であればよく、例えば、1〜48時間であることが好ましく、12〜36時間であることがより好ましい。浸漬時間が上記範囲内であると、シルクフィブロイン多孔質体中に水酸基含有化合物が十分に導入され、またシルクフィブロイン多孔質体内における濃度のばらつきが生じることがなく、均一に水酸基含有化合物が含まれた、均質な多孔質材料が得られる。
このようにして得られる本発明の多孔質材料において、水酸基含有化合物は、該多孔質材料を構成するシルクフィブロイン多孔質体の細孔内、及び該多孔質体自体を構成するように多孔質体の構造内に存在することで、可塑効果、保湿効果及び吸水性が発現する。このような構成であることから、本発明の多孔質材料は、乾燥状態でも柔らかく及び乾燥後の外観及びスライス加工性に優れるものになっていると考えられる。
〔多孔質シート〕
本発明に係る多孔質シートは、上記多孔質材料からなり、その膜厚は、0.1〜50mmであり、0.2〜10mmであることが好ましく、0.5〜5mmであることがより好ましい。
多孔質シートは、上記多孔質材料をスライスすることで容易に製造することができる。
〔創傷被覆材〕
本発明の創傷被覆材は、上記の本発明の多孔質材料、又は多孔質シートを用いたものである。本発明の多孔質材料、多孔質シートは、乾燥状態でも柔らかく、乾燥後の外観及びスライス加工性に優れ、かつ吸水性、弾力性及び追随性にも優れている。そのため、本発明の創傷被覆材は、創傷部に貼付することによる痛みの緩和し、また該創傷部をぶつけた際の痛みを軽減するという特性、傷口等から滲み出してくる滲出液を吸収して創傷部に保持し、該滲出液に含まれる成分を積極的に活用し得る特性、腕、膝及び肘といった湾曲部位及び稼動部に用い得る特性に優れており、湿潤療法にも好適に用いることができ、また、加工性に優れ、所望のサイズに切り分けて使用することができるので、利便性にも優れたものとなる。
本発明の創傷被覆材は、吸水性に優れた特性をいかし、薬剤を含ませることができる。薬剤を含ませることにより、本発明の創傷被覆材に創傷の治癒を促進する機能を付与することができる。薬剤を含ませる場合、例えば、殺菌剤、抗生物質、生理活性物質等の薬剤を、本発明の創傷被覆材に含浸もしくは塗布すればよい。これらの薬剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の創傷被覆材は、多孔質材料、又は多孔質シートを、ドレッシングフィルム、包帯、粘着テープ等で固定する形態で用いることができる。
本発明の創傷被覆材は、乾燥状態でも柔らかいため、グリセリン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の保湿剤を含ませて用いることもできるが、そのまま用いることもできる。なお、保湿剤を含ませた状態の場合には、使用直前まで、水分量を保った状態で、乾燥を防ぐように、本発明の創傷被覆材を密閉状態にしておくことが好ましい。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
(シルクフィブロイン溶液の調製)
シルクフィブロイン水溶液は、シルクフィブロイン粉末(「シルクパウダーIM(商品名)」、KBセーレン(株)製)を9M臭化リチウム水溶液に溶解し、遠心分離で不溶物を除去したのち、超純水に対して透析を繰り返すことによって得た。得られたシルクフィブロイン水溶液を透析チューブ中で風乾し濃縮した。この濃縮液に添加剤として酢酸を添加し、シルクフィブロイン濃度が30g/L、酢酸濃度が2体積%であるシルクフィブロイン溶液を調製した。
(シルクフィブロイン多孔質体の製造)
このシルクフィブロイン溶液をアルミ板で作製した型(内側サイズ;400mm×300mm×20mm、60mm×30mm×10mm、100mm×10mm×10mm)に流し込み、予め−5℃に冷却しておいた液冷式低温恒温槽((株)前川製作所製)に入れて−5℃で2時間静置した。冷媒としては、「ナイブラインZ1(商品名)」(丸善石油化学(株)製)を用いた。
その後、−3℃/時間の速度で−20℃まで冷却し、そのままの温度で5時間保持して凍結した。凍結した試料を自然解凍で室温に戻してから、型から取り出し、超純水に浸漬し、超純水を1日2回、3日間交換することによって、使用した酢酸を除去した。その後、凍結乾燥機(「FD−550P(型番)」、東京理化機械(株)製)を用いて3日間凍結乾燥し、内径60mm×30mm×10mmの型で作製したシルクフィブロイン多孔質体の乾燥質量を測定した。
(水酸基含有化合物の導入)
上記のようにして作製したシルクフィブロイン多孔質体の全体が浸る程度の5体積%グリセリン水溶液を用意し、24時間静置した状態で浸漬させ、その後これを凍結乾燥して多孔質材料を得た。また、この凍結乾燥後の多孔質材料の乾燥質量を測定した。
多孔質材料中の水酸基含有化合物の含有量(質量%)は、多孔質材料に導入された水酸基含有化合物の質量を、水酸基含有化合物が導入された後の多孔質材料の乾燥質量で割ったものとし、以下の式で算出した。
(多孔質材料中の水酸基含有化合物の含有量(質量%))=((水酸基化合物導入後の多孔質材料の乾燥質量)−(水酸基含有化合物の未導入のシルクフィブロイン多孔質体の乾燥質量))/(水酸基含有化合物の導入後のシルクフィブロイン多孔質体の乾燥質量)×100
上述のようにして得た多孔質材料について、以下に示すようにして乾燥後の外観とスライス加工性とを評価した。評価結果を第1表に示す。
(乾燥後の外観)
乾燥後の多孔質材料の外観を観察し、目視で認識できる程度(幅0.3mm以上、長さ2mm以上)のクラックの有無と外観の状態を評価した。クラックの数が1つでもあれば「C」とし、クラックはないが多孔質材料に析出物等の外観異常がある場合は「B」とし、クラックも外観異常もないものは「A」と判定した。
(スライス加工性)
乾燥後の多孔質材料を、スライス装置((有)北島マシンナイフ製)を用いてスライス後の厚みが1mm程度になるようにスライスした。スライス時にシート、あるいは多孔質体が割れたものを「B」とし、割れがないものを「A」と判定した。
(巻きつき性)
乾燥後の多孔質材料を、スライス装置((有)北島マシンナイフ製)を用いてスライス後の厚みが1mm程度になるようにスライスした。3回スライスを行いスライス時にシートがロールに3回とも巻きついたものを「C」とし、1回又は2回巻きついたものを「B」、1回も巻きつかなかったものを「A」と判定した。
実施例2〜27及び比較例1〜6
実施例1において、水酸基含有化合物の種類、多孔質材料中の水酸基含有化合物の含有量を、第1表〜第4表に記載のものにかえた以外は、実施例1と同様にして多孔質材料を得た。また、乾燥後の外観、スライス加工性及び巻きつき性の評価結果も第1表〜第4表に示す。
実施例1〜27の結果より、シルクフィブロイン多孔質体が分子量1,000以下の水酸基含有化合物を含んでなる本発明の多孔質材料は、乾燥後の外観及びスライス加工性に優れていることが確認された。一方、比較例1〜7の結果より、水酸基を含まない化合物、水酸基を含むものの分子量が1,000より高い化合物を含んでなる材料は、乾燥後にクラックが発生したり、外観の異常、スライス加工時に割れが生じることが確認された。
実施例28〜35、並びに比較例7及び8
実施例1において、シルクフィブロイン水溶液の原料をシルクフィブロイン粉末から精練済み切繭(ながすな繭(株)製)とし、シルクフィブロイン水溶液をシルクフィブロインの濃度が40g/Lのものとし、水酸基含有化合物溶液中の該化合物の濃度を第5表に記載のものとし、アルミ板で作製した型のサイズを内径400mm×300mm×20mmのものにかえた以外は、実施例1と同様にして多孔質材料を得た。また、乾燥後の外観、スライス加工性及び巻きつき性の評価結果も第5表に示す。
*1,GLy:グリセリン
PEG:ポリエチレングリコール
PGL:ポリグリセリン
TEC:クエン酸トリエチル
DGL:デカグリセリンラウレート
SL:ソルビタンラウレート
DMSO:ジメチルスルホキシド
PVA:ポリビニルアルコール
DOP:フタル酸ジオクチル
OIL:エポキシ化大豆油
*2,v:体積%、w:質量%
また、実施例28、30〜32及び比較例1で得られた多孔質材料について、下記の方法に基づいて25%圧縮応力を測定した。実施例28の多孔質材料の圧縮応力は80.1kPaであり、実施例30の多孔質材料の圧縮応力は55.1kPaであり、実施例31の多孔質材料の圧縮応力は46.8kPaであり、実施例32の多孔質材料の圧縮応力は43.1kPaであった。一方、比較例1の多孔質材料の圧縮応力は437.6kPaであり、実施例の多孔質材料の圧縮応力よりも10倍近く大きく、著しく柔軟性に劣っていることが確認された。
また、図1〜図6の写真より、実施例はクラックが発生していないが、比較例のものはクラックが入っていることが確認された。
(25%圧縮応力の測定)
各実施例及び比較例で得られた材料について、万能試験機(「EZ−(N)S(型番)」,(株)島津製作所製)を用い、ロードセルは50N、治具として直径8mmの円形の圧縮板を用いて、圧縮速度1mm/分、室温22℃の条件下で、材料の厚さの25%を圧縮板で押し込んだときのロードを測定し、以下の式により算出した値を25%圧縮応力(kPa)とした。
25%圧縮応力(kPa)=材料の厚さの25%を圧縮板で押し込んだときのロード/圧縮板の面積(mm)×1000
実施例36
実施例31において、シルクフィブロイン溶液を流し込むアルミ板で作製した型のサイズを内径;50mm×50mm×3mmとした以外は実施例31と同様にして多孔質材料を作製した。得られた多孔質材料を用いて被覆材を作製し、クッション性試験を行った。結果を第6表に示す。
(被覆材の作製)
フィルムドレッシング材(オプサイトジェントルロール(製品番号:66801197)、10cm幅、Smith&Nephew KK製)をハサミで8cm角に切断した。得られた8cm角のフィルムドレッシング材の離型フィルム(ライナー)を剥離し、フィルムドレッシング材本体の粘着剤塗布面を露出させて、該粘着剤塗布面の中央部に上記の多孔質材料を貼り付けて、被覆材とした。得られた被覆材について、下記のクッション性試験でクッション性を評価した。その結果を第6表に示す。
比較例9、及び10
浸漬するグリセリン水溶液の濃度を第6表に記載の値とした以外は実施例36と同様にして多孔質材料を作製した。得られた多孔質材料を用いて実施例36と同様の方法で被覆材を作製した。得られた被覆材について、下記のクッション性試験でクッション性を評価した。その結果を第6表に示す。
(クッション性試験)
被覆材を10人の被験者(日本人男性5名、日本人女性5名)の肘部にヒジを曲げた状態で貼付し、該被覆材で覆われた部分を机に打ちつけた際のクッション性を下記の基準で評価した。
A :クッション性が高く、特に痛みが軽減されたと判断した被験者が、8人以上であった。
B :クッション性が高く、特に痛みが軽減されたと判断した被験者が、4〜7人であった。
C :クッション性が高く、特に痛みが軽減されたと判断した被験者が、3人未満であった。

*1,GLy:グリセリン
*2,v:体積%、w:質量%
実施例36及び比較例9、10の結果から、本発明の多孔質材料を用いた創傷被覆材はクッション性に優れるため、創傷部に貼付することでぶつけた際の痛みを軽減する効果があることが分かった。これに対して比較例9、10の被覆材は、乾燥シルクフィブロイン多孔質体部分が硬いため、クッション性に乏しく、創傷被覆材に適していないことが分かった。
実施例37及び比較例11
実施例36及び比較例9において、シルクフィブロイン溶液を流し込むアルミ板で作製した型のサイズを内径;50mm×50mm×1.0mmとし、シルクフィブロインの濃度、浸漬させたグリセリン溶液の濃度を第7表に記載の濃度とした以外は実施例36と同様にして多孔質材料を得た。次いで実施例36と同様の方法で被覆材を作製し、各々実施例37及び比較例11の被覆材を得た。得られた被覆材を用いて下記のヒト腕部への貼付試験を行い、下記の基準で追随性の評価を行った。結果を第7表に示す。
(ヒト腕部への貼付試験)
被覆材を10人の被験者(日本人男性5名、日本人女性5名)の腕部に貼付した後に、ぴったりと密着する様に上から押さえた。次いで被覆材の様子を観察し、クッション性を下記の基準で評価した。
A 貼付する際に腕部に沿って割れることなく密着させることができた。
B 貼付する際に割れてしまった。

*1,GLy:グリセリン
*2,v:体積%、w:質量%
実施例38、比較例12
実施例36において、シルクフィブロイン溶液を流し込むアルミ板で作製した型のサイズを内径;100mm×100mm×3.0mmとし、シルクフィブロインの濃度、浸漬させたグリセリン溶液の濃度を第8表に記載の濃度とした以外は実施例36と同様にして多孔質材料を得た。得られた多孔質材料を用いて、下記の吸水速度試験を行い、下記の基準で吸水性の評価を行った。結果を第8表に示す。
実施例39
実施例38において、シルクフィブロイン溶液を流し込むアルミ板で作製した型のサイズを内径;100mm×100mm×6.0mmとした以外は実施例38と同様にして多孔質材料を作製した。得られた多孔質材料をスライス装置((有)北島マシンナイフ製)を用いて、厚みが3.0mmとなるようにスライスした。得られた多孔質材料は、おおよそ100mm×100mm×3.0mmとなった。このスライス加工を施した多孔質材料について、下記の吸水速度試験を行った。結果を第8表に示す。
(吸水速度試験)
多孔質材料の100mm×100mmの面の中心付近にプッシュボタン式液体用微量体積計を用いて超純水を1mL滴下し、吸収されるまでの時間を測定し、次式に従って吸水速度を算出した。測定は5回行いその平均値を示した。
吸水速度(μl/秒)=純水滴下量(1000μl)/吸水に要した時間(秒)

*1,GLy:グリセリン
*2,v:体積%、w:質量%
実施例38及び39の結果から、本発明の多孔質材料は吸水速度が速く、吸水性に優れるため、例えば創傷被覆材として用いた場合に、創傷部から出る滲出液を素早く吸収することができると考えられる。これに対して、酸基含有化合物を含有しない比較例11の多孔質材料は、吸水速度が遅く吸水性が悪く、創傷被覆材への応用は難しいことが分かった。また、本発明の水酸基含有化合物を含有する多孔質材料は、スライス加工を施すことで、さらに吸水速度が向上することが分かった。型を用いて多孔質材料を作製する場合、その最表面には数μm〜1mm程度の厚さで細孔が相対的に少ない領域が存在することがあるが、本発明の多孔質材料はスライス加工に適しているため、該領域をスライスして除去し、吸水速度により優れた部分を無駄なく使用することが可能となる。
実施例40
実施例37と同様の操作で多孔質材料を作製し、下記の保水性試験を行った。その結果、保水率は1680%と大きく、多量の浸出液を吸収することができるため、特に創傷被覆材として有用であることが分かった。
(保水性試験)
多孔質材料を乾燥して得られた乾燥多孔質体を秤量後(この時の質量を乾燥質量とする)、超純水中に30秒間浸漬した。次いで30秒間空気中で保持し表面の水分を落として、再度秤量し(この時の質量を湿潤質量とする)、下式に従って保水率を算出した。
保水率%=〔(湿潤質量(g)−乾燥質量(g))/乾燥質量(g)〕×100
本発明の多孔質材料は、癒着防止剤、創傷被覆材、薬剤徐放担体等の医療分野、微生物、細菌等の住処になる支持体として活用しうる浄水分野、細胞培養支持体(足場材料)、組織再生支持体等として活用しうる組織工学及び再生医療工学分野、エステティックサロン及び個人での使用による保湿等を目的とした化粧品・エステ分野、紙おむつ、生理用品等の生活日用品分野など、産業上幅広い分野で利用することができる。特に、癒着防止剤、創傷被覆材、薬剤徐放担体等の医療分野、細胞培養支持体(足場材料)、組織再生支持体等として活用しうる組織工学及び再生医療工学分野、化粧品及びエステ分野などに広く適用することができ、顔の形状に合わせたフェイスマスク及びアイマスクとしても極めて有用である。

Claims (2)

  1. フィブロイン多孔質体が、分子量が1,000以下の水酸基含有化合物を20〜75質量%で保持し、該水酸基含有化合物がクエン酸トリエチル、乳酸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルから選択される1種以上であることを特徴とする多孔質材料。
  2. 請求項に記載の多孔質材料からなり、膜厚が0.1〜50mmである多孔質シート。
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