JP2012082575A - 断熱材 - Google Patents

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Kazutoshi Kobayashi
一稔 小林
Akiko Kawaguchi
亜季子 川口
Naosuke Sumi
直祐 角
Kazuo Kusaki
一男 草木
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Abstract

【課題】高い断熱性が求められる衣料品や建築断熱材に利用できる、断熱性及び環境性能が高く、かつ強度に優れる断熱材を提供する。
【解決手段】シルクフィブロイン多孔質体を用いた断熱材で、空隙率が85.0体積%以上、平均細孔径が1〜300μm、熱伝導率が0.060W/m・K以下であり、多孔質体が多孔質層と、その表面の一部又は全面に細孔を有しないフィルム層を有し、または多孔質体がシート状であり、その少なくとも一方の面にフィルム層を積層した断熱材である。
【選択図】なし

Description

本発明は、断熱材に関し、詳しくは、断熱性や環境性能が高く、かつ強度に優れる断熱材に関する。
断熱材としては、かつて、ウレタン樹脂をフロンガスで発泡させた発泡ウレタンが広く用いられてきた。しかしながら、近年の環境意識の高まりの中で、フロンガスによるオゾン層破壊が問題視され、ノンフロン系断熱材が強く求められるようになり、フロンガスに代わる発泡ガスとして、炭化水素を用いた断熱材(特許文献1参照)や、炭酸ガスを用いた断熱材の開発が行われてきた。
しかしながら、これらの断熱材の製造過程においても、炭化水素や炭酸ガスが使用されるため、地球温暖化への影響が懸念される。
一方、熱伝導は一般に、材料伝熱と空隙伝熱の和で表され、断熱性能を上げるには、材料伝熱及び空隙伝熱をそれぞれ下げる必要がある。よって、発泡体において断熱性能を上げるには、空隙率を高くして材料伝熱を下げ、かつ、発泡径を小さくして空隙伝熱を下げることが有効である。しかし、発泡体においては、一般に発泡径を小さくすると空隙率が低くなるため、これらを両立することは困難とされていた。
特開2007−332203号公報
本発明の目的は、断熱性及び環境性能が高く、かつ強度に優れる断熱材を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、シルクフィブロイン多孔質体は、自然物由来であるため環境性能が高く、また、空孔率が高く、かつ、細孔径が小さい材料であるため、材料伝熱及び空隙伝熱が小さく、これを断熱材として用いることで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
(1)シルクフィブロイン多孔質体を用いた断熱材、
(2)空孔率が85.0体積%以上である上記1に記載の断熱材、
(3)平均細孔径が1〜300μmである上記1又は2に記載の断熱材、
(4)熱伝導率が0.060W/m・K以下である上記1〜3のいずれかに記載の断熱材、
(5)前記多孔質体が、多孔質層と、その表面の一部又は全面に細孔を有しないフィルム層とを有する上記1に記載の断熱材、及び
(6)前記多孔質体がシート状であり、その少なくとも一方の面に前記フィルム層を有する請求項5に記載の断熱材。
を提供するものである。
本発明の断熱材は、断熱性及び環境性能が高く、かつ強度に優れる。
実施例1で得られたシルクフィブロイン多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で得られたシルクフィブロイン多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例3で得られたシルクフィブロイン多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例4で得られたシルクフィブロイン多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例5で得られたシルクフィブロイン多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例6で得られたシルクフィブロイン多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
本発明の断熱材は、シルクフィブロイン多孔質体を用いることを特徴とする。
ここで、シルクフィブロイン多孔質体とは、シルクフィブロインを含有する、好ましくは10〜300μm、より好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは10〜100μmの平均細孔径を有する多孔質体をいう。
また、シルクフィブロイン多孔質体は、空孔を多く有し、水の密度を1.0g/cm3、シルクフィブロイン多孔質体の密度を1.2g/cm3、純水中に1日静置し完全に吸水させた状態のシルクフィブロイン多孔質体の密度を1g/cm3とすると、その空孔率は通常85.0体積%以上、好ましくは90.0体積%以上、より好ましくは95.0体積%以上であり、その上限は好ましくは99.9体積%以下、より好ましくは99.5体積%以下である。
このように、シルクフィブロイン多孔質体は、小さな細孔径と高い空孔率とを具備するため、材料伝熱と空隙伝熱とを下げることができ、高い断熱性を示す。
また、後述するように、シルクフィブロイン多孔質体は、その製造過程に炭化水素や炭酸ガスを用いた発泡工程が存在しないため、地球温暖化に悪影響を与えることがない。しかもその原料として天然物である絹が用いられるため、使用素材の面も含めて、その環境性能は極めて良好である。
さらに、シルクフィブロイン多孔質体は、原料である絹に由来する高い強度と、なめらかな肌触りを有する。
このようなシルクフィブロイン多孔質体の引張り強度は、1kPa〜400kPaであることが好ましい。1kPa以上であれば、十分な強度があり、断熱材として取扱いが容易である。一方、400kPa以下であれば、取扱性が特に良好となる。以上の観点から、引張り強度は40kPa〜300kPaであることがより好ましく、80kPa〜200kPaであることがさらに好ましい。
また、シルクフィブロイン多孔質体は、10%圧縮硬さが0.20N以上であることが好ましく、0.80N以上であることがより好ましく、1.00N以上であるとさらに好ましい。シルクフィブロイン多孔質体の10%圧縮硬さの上限としては、断熱材の用途に応じて適切なものを用いることができるが、好ましくは50.0N以下であり、より好ましくは15.0N以下であり、さらに好ましくは12.0N以下である。
シルクフィブロイン多孔質体の熱伝導率は、好ましくは0.060W/m・K以下であり、より好ましくは0.02〜0.055W/m・Kであり、さらに好ましくは0.025〜0.050W/m・Kである。熱伝導率が0.060W/m・K以下であれば、断熱性が特に良好となる。
本発明の断熱材の形状は特に限定されず、その用途に応じて適切な形状とすることができる。具体的には、例えばシート状として衣料品や建築断熱材に用いたり、靴底の形状に合わせた形状にして中敷として用いたり、手の形状に合わせて成形して手袋の中材として用いることができる。
また、本発明におけるシルクフィブロイン多孔質体は、多孔質層と、その表面に細孔を有しないフィルム層を有していてもよく、一方、シルクフィブロイン多孔質体が多孔質層のみからなっていてもよい。ここで、シルクフィブロイン多孔質体がフィルム層を有するとは、シルクフィブロイン多孔質体の表面の一部又は全体にフィルム層を有することを示し、例えば、シルクフィブロイン多孔質体がシート状である場合は、その一方の面あるいは両面にフィルム層を有する態様が挙げられ、シルクフィブロイン多孔質体がブロック状である場合には、六面のいずれか一面以上にフィルム層を有する態様が挙げられ、シルクフィブロイン多孔質体が、球状、筒状、靴の中敷形状、手袋形状等の三次元形状である場合には、その表面の少なくとも一部にフィルム層を有する態様が挙げられる。
上記細孔を有しないフィルム層は、実質的に細孔を有しない層であって、細孔を有しない、又は多孔質層と比較して極めて細孔の少ない層である。このようなフィルム層を有することにより、細孔を経由して空気や充填ガス等の気体が透過する速度、及び対流する速度が遅くなるため、熱伝導率が低くなる。
本発明の断熱材としては、多孔質層と、その表面に細孔を有しないフィルム層を有するシルクフィブロイン多孔質体が好ましい。その使用方法としては、例えば衣料品に用いる場合には、外気に触れる側にフィルム層を向け、使用者側に多孔質層を向けることが好ましい。該フィルム層は、上述のように、気体の透過や対流を抑える効果があるため、フィルム層の細孔の数を制御することで、熱伝導率を制御し、断熱材として適切な性能を持たせることができる。
本発明の断熱材においては、シルクフィブロイン多孔質体を心材として用い、その全体を包装することで、断熱性をさらに向上させることができ、また、防虫効果なども期待できるため、シルクフィブロイン多孔質体の経時劣化を低減することもできる。シルクフィブロイン多孔質体の包装に用いられる包装材としては、気体透過率の低いガスバリアフィルムが好ましく用いられる。
このようなガスバリアフィルムとしては、具体的には、金属層又は金属酸化物層を有するプラスチックフィルムで構成されたラミネートフィルムが挙げられる。
金属層の金属としては、アルミニウム、インジウム、亜鉛、金、銀、プラチナ、ニッケル、クロムが挙げられ、金属酸化物層としては、チタン、ジルコニウム、ケイ素、マグネシウムなどの酸化物が用いられる。特に、気体透過率が低く、入手が容易なアルミニウムが好適に用いられる。
プラスチック層に用いられる樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を用いることができる。これらの樹脂から得られるフィルムを、一方向又は直交する二方向に延伸させることで、プラスチック層のガスバリア性を向上させることができる。
上述のようにして、シルクフィブロイン多孔質体を心材として、その表面をガスバリアフィルムで覆った場合、心材部分を減圧することで、さらに高度な断熱性を得ることができる。減圧度は、シルクフィブロイン多孔質体の強度に応じて設定することができる。
次に、シルクフィブロイン多孔質体の製造方法について説明する。
シルクフィブロイン多孔質体は、シルクフィブロイン水溶液に特定の添加剤を加えて得られるシルクフィブロイン溶液を凍結させ、次いで融解させることにより製造することができる。
ここで用いられるシルクフィブロインは、家蚕、野蚕、天蚕等の蚕から産生されるものであればいずれでもよく、その製造方法も問わない。本発明におけるシルクフィブロイン多孔質体の製造においては、シルクフィブロイン水溶液として用いるが、シルクフィブロインは溶解性が悪く、直接水に溶解することが困難である。シルクフィブロイン水溶液を得る方法としては、公知のいかなる手法を用いてもよいが、高濃度の臭化リチウム水溶液にシルクフィブロインを溶解後、透析による脱塩、風乾による濃縮を経る手法が簡便である。
シルクフィブロイン多孔質体の製造方法において、シルクフィブロインの濃度は、脂肪族カルボン酸を添加したシルクフィブロイン溶液中で0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜40質量%であることがより好ましく、1〜40質量%であることがさらに好ましい。この範囲内に設定することで、十分な強度を持った多孔質体を効率的に製造することができる。上記範囲内においてシルクフィブロイン濃度を高く設定することで、得られるシルクフィブロイン多孔質体の強度が向上するため、これを心材として用い、ガスバリアフィルムで包装することで、より高い減圧度にも耐えることができるため、建材用途などに用いられる高性能断熱材として有用である。一方、シルクフィブロイン濃度を低く設定することで、柔軟性に優れたシルクフィブロイン多孔質体が得られるため、衣料品用途等に好適に用いることができる。
前記添加剤としては、水溶性有機溶媒や、脂肪族カルボン酸、アミノ酸が挙げられる。添加剤としては、特に制限はないが、水溶性のものが好ましい。
上記添加剤としては、シルクフィブロイン多孔質体の強度の観点からは、脂肪族カルボン酸及び/又はアミノ酸を用いることが好ましい。
また、シルクフィブロイン多孔質体の製造において用いられる脂肪族カルボン酸としては、pKaが、5.0以下のものが好ましく、3.0〜5.0のものがより好ましく、3.5〜5.0のものがさらに好ましい。
水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、グリセロール、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数3〜5の飽和または不飽和のモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸を好ましく用いることができ、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、アクリル酸、2−ブテン酸、3−ブテン酸などのモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸などのジカルボン酸などが好ましく挙げられる。これらの脂肪族カルボン酸は、単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
アミノ酸としては、特に制限はないが、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、メチオニン等のモノアミノカルボン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等のモノアミノジカルボン酸(酸性アミノ酸)などの脂肪族アミノ酸、フェニルアラニン等の芳香族アミノ酸、ヒドロキシプロリン等の複素環を有するアミノ酸などがあげられ、中でも形状の調整が容易な観点から酸性アミノ酸や、ヒドロキシプロリン、セリン、スレオニン等のオキシアミノ酸が好ましい。同様な観点で、酸性アミノ酸の中でもモノアミノカルボン酸がより好ましく、アスパラギン酸やグルタミン酸が特に好ましく、オキシアミノ酸の中でもヒドロキシプロリンがより好ましい。これらのアミノ酸は、いずれか1種を単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、アミノ酸には、L型とD型の光学異性体があるが、L型とD型を用いた場合に、得られる多孔質体に違いが見られないため、どちらのアミン酸を用いてもよい。
シルクフィブロイン水溶液に添加する水溶性添加剤の量は、0.01〜18質量%であることが好ましく、0.1〜5.0質量%であることがより好ましく、0.5〜4.0質量%であることがさらに好ましい。この範囲内に設定することで、十分な強度を持った多孔質体を製造することができる。また、18.0質量%以下であれば、シルクフィブロイン水溶液に添加剤を添加したシルクフィブロイン溶液を静置する際、該溶液がゲル化しにくく、安定して均一な構造のシルクフィブロイン多孔質体が得られる。また、アミノ酸の配合量は、フィブロインに対して、1〜500質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。
シルクフィブロイン多孔質体の製造においては、添加剤としてカルボン酸及び/又は酸性アミノ酸を使用した場合においてはシルクフィブロイン水溶液に添加剤を添加したシルクフィブロイン溶液を、該溶液が凝固しない温度で10時間以上静置することが好ましい。添加剤としてカルボン酸及び/又は酸性アミノ酸を使用した場合においては静置の工程を加えることにより、高い強度を有し、かつ安定して均一な構造のシルクフィブロイン多孔質体が得られる。該シルクフィブロイン溶液の静置は、該溶液を型あるいは容器に流し込んで、所定の温度条件下で行えばよい。
静置する際の温度は、凝固しない温度であれば特に制限はないが、凝固のしにくさ、溶液のゲル化のしにくさ、あるいはフィブロイン分子の分解の起こりにくさを考慮すると、−5〜50℃であることが好ましく、−3〜20℃がより好ましく、3〜10℃がさらに好ましい。静置する温度は、シルクフィブロイン溶液を恒温槽中に入れるなどして調節できる。シルクフィブロイン溶液を静置する温度を調節することで、得られるシルクフィブロイン多孔質体の細孔直径や強度を調整することができ、温度を3〜10℃とすることで、細孔直径が小さく、強度の高い多孔質体が得られる。
シルクフィブロイン溶液を静置する時間は、10時間以上であればよいが、20〜200時間が好ましく、50〜100時間がより好ましく、70〜100時間がさらに好ましい。
次に、上記添加剤が加えられたシルクフィブロイン溶液を型あるいは容器中に保持し、低温恒温槽中に入れて凍結させ、次いで融解することによって、シルクフィブロイン多孔質体を製造する。凍結温度は、添加剤を含有させたシルクフィブロイン溶液が凍結する温度であれば特に制限されないが、−10〜−30℃程度が好ましい。また、凍結時間は、十分に凍結し、かつ凍結状態を一定時間保持できるよう、所定の凍結温度で4時間以上であることが好ましい。なお、凍結の方法としては、シルクフィブロイン溶液を一気に凍結温度まで下げて凍結してもよいが、一旦、−5℃程度に2時間程度保持して過冷却状態とし、その後、凍結温度まで下げて凍結することが、力学的強度の高い多孔質体を得る上で好ましい。−5℃から凍結温度までにかける時間を調整することで、多孔質体の構造や強度をある程度制御することが可能である。
上記のようにして凍結した後、凍結したシルクフィブロイン溶液を、融解することによってシルクフィブロイン多孔質体が得られる。融解の方法は特に制限はないが、自然融解のほか、恒温槽内に保管する方法などが挙げられる。
得られた多孔質体には添加剤が含まれるが、用途に応じて、添加剤を除去する必要がある場合には、適当な方法で多孔質体から添加剤を除去して用いることができる。たとえば、多孔質体を、純水中に浸漬して、添加剤を除去することが最も簡便な方法として挙げられる。あるいは、添加剤によっては、多孔質体を凍結乾燥することによって、添加剤と水分を同時に除去することが可能である。
また、シルクフィブロイン多孔質体製造後に水分濃度を調整する方法としては、例えば、シルクフィブロイン多孔質体を乾燥して水分を蒸発させる方法が挙げられる。乾燥の方法としては、自然乾燥、風乾、凍結乾燥、加熱乾燥などが挙げられるが、乾燥時の収縮が抑えられるという観点からは、凍結乾燥が好ましい。
なお、シルクフィブロイン多孔質体は、多孔質体作製時に型あるいは容器を適宜選択することにより、シート状、ブロック状等のほか、靴の中敷の形状、手袋の形状等、目的に応じた任意の形状とすることができる。また、カットや打ち抜きをすることでも任意の形状にすることができる。
これらの型あるいは容器から取り出したシルクフィブロイン多孔質体の、該型あるいは容器に触れる面には、厚さ1〜100μm程度のフィルム層が形成している。該フィルム層は、上述のように、実質的に細孔を有しない層であって、細孔を有しない、又は多孔質層と比較して極めて細孔の少ない層である。すなわち、シルクフィブロイン多孔質体は、多孔質層の他に、そのまわりを被覆するフィルム層を有していてもよい。シルクフィブロイン多孔質体がフィルム層を有する場合、その用途に応じて、フィルム層を取り除いて用いることもできるし、積極的にフィルム層を残したまま用いてもよい。
例えば、ブロック状の型あるいは容器で作製したシルクフィブロイン多孔質体の場合、側面の四面のフィルム層を取り除き、多孔質層の部分で裁断すると、多孔質層とその一方の面に細孔を有しないフィルム層を有するシルクフィブロイン多孔質体を得ることができる。
また、型あるいは容器は、熱伝導を考慮してアルミニウム製のものを用ることが好ましいが、その内側に予めテフロンシートなどの樹脂シートや、ろ紙などといった表面が荒いシートを設置してから、シルクフィブロイン溶液を流し込んで、多孔質体を作製することができる。テフロンシートなどの樹脂シートを設置する場合には、フィルム層をより積極的に形成することができ、ろ紙などの表面が粗いシートを設置する場合には、型から取り出す際に該シートがフィルム層を剥離するため、フィルム層を有さない多孔質体が得られる。これらのシートの採用については、多孔質体の用途に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、建材用途に用いられる断熱材とする場合、最終製品と同様の型を用いて、全表面にフィルム層を有するシルクフィブロイン多孔質体を心材として用い、その全体をガスバリアフィルムで包装して、さらに心材部分を減圧することで、極めて断熱性の高い断熱材パッケージを得ることができる。
また、本発明の断熱材は、その用途に応じて多孔質層に様々な有効成分を含有させることができる。例えば、ラベンダー、ペパーミント、ローズマリー、ジャスミン、セージ、タイム、カモミール等の精油等を含ませることでアロマテラピー効果を付与したり、防虫、抗菌、脱臭成分等を含ませることもできる。具体的には、有効成分を含む液にシルクフィブロイン多孔質体を浸漬した後に乾燥することで、内部にまで有効成分を保持させることができ、その効果を長期間維持することができる。
シルクフィブロイン多孔質体は、スポンジ状の多孔質構造を有しており、通常この多孔質体には凍結乾燥等により水除去を行わなければ水が含まれ、含水状態で堅い構造物である。また、多孔質体を凍結乾燥することにより、シルクフィブロイン多孔質体の乾燥品を得ることができるが、シルクフィブロイン多孔質体の乾燥品は、硬く、脆いものであるため、ポリエチレングリコールやグリセリンの水溶液に浸漬しておいたり、乾燥防止剤を含有させることで、乾燥後も良好な柔軟性を有するものが得られ、衣料品等の柔軟性が求められる断熱材として好適である。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
シルクフィブロイン水溶液は、フィブロイン粉末(KBセーレン社製、商品名:「フィブロインIM」)を9M臭化リチウム水溶液に溶解し、遠心分離で不溶物を除去したのち、超純水に対して透析を繰り返すことによって得た。得られたシルクフィブロイン水溶液を透析チューブ中で風乾し濃縮した。この濃縮液に酢酸水溶液を添加し、シルクフィブロイン濃度が5質量%、酢酸濃度が2質量%であるシルクフィブロイン溶液を調製した。
このシルクフィブロイン溶液をアルミ板で作製した型(内側サイズ;80mm×40mm×4mm)に流し込み、低温恒温槽(EYELA社製NCB−3300)に入れて凍結保存した。
凍結は、予め低温恒温槽を−5℃に冷却しておいて低温恒温槽中にシルクフィブロイン溶液を入れた型を投入して2時間保持し、その後−20℃に冷却後5時間保持した。凍結した試料を自然解凍で室温に戻してから、型から取り出し、超純水に浸漬し、超純水を1日2回、3日間交換することによって、使用した酢酸を除去した。
得られたシルクフィブロイン多孔質体の構造を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。走査型電子顕微鏡は、Philips社製XL30−FEGを使用して、低真空無蒸着モード、加速電圧10kVで測定を行った。なお、シルクフィブロイン多孔質体の構造は、多孔質体の表面ではなく、多孔質体を切断して露出させた内部を観察した。得られた多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡写真を図1に示す
(平均細孔径)
得られた走査型電子顕微鏡写真を画像解析ソフトImageJ(アメリカ国立衛生研究所製)を用いて画像処理することで平均細孔径を算出した。なお、測定結果は、作製した多孔質体から5枚の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、さらに異なる日に作製した多孔質体から5枚の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、それら10枚の走査型電子顕微鏡写真について測定を行った平均値を示している。
(10%圧縮硬さ)
得られた多孔質体を純水中に1日静置し完全に吸水させた後、その10%圧縮硬さを圧縮試験機で測定した。圧縮試験機は、(株)島津製作所製EZ Testを、ロードセルは10Nと50Nのものを、ロードプレートは直径8mmのものを使用した。多孔質体を1mm/minの速度で初期厚さの10%まで圧縮し、その時かかっている荷重を読み取り10%圧縮硬さとした。結果を第1表に示す。
なお、測定結果は、作製した多孔質体の任意の5箇所、及び異なる日に作成した多孔質体の任意の5箇所、計10箇所について測定を行った平均値である。
(空孔率)
得られた多孔質体を純水中に1日静置し完全に吸水させ、秤量した後(湿重量)、凍結乾燥して多孔質体中の水分を完全に除去し、再度秤量した(乾燥重量)。水の密度を1g/cm3、フィブロインの密度を1.2g/cm3、含水状態のフィブロイン多孔質体の密度を1g/cm3と仮定し、次式に従ってシルクフィブロイン多孔質体の空孔率の測定を行った。
空孔率=(湿重量−乾燥重量/1.2)/湿重量×100
(熱伝導率)
およそ50ミクロン程度の試料を10mm角に切り出して厚みをマイクロメータで測定した後、グラファイトスプレーにて黒化処理した後、キセノンフラッシュ法(NETZSCH社製、型式:LFA447 nanoflash)を用いて熱拡散率を評価した。この値を寸法、質量から計算した、かさ密度、示差走査型熱量計(Perkin Elmer製DSC Pyris1)で測定した比熱との積から熱伝導率を求めた。
実施例2〜6
実施例2〜6において、それぞれ表1に記載する添加剤種、フィブロイン濃度、添加剤濃度、製造時の静置温度、静置時間を変えてシルクフィブロイン多孔質体を得た。その他は、実施例1と同様に実験を行った。得られた各種のシルクフィブロイン多孔質体の物性値の評価結果を表1に示す。
以上のように、実施例1〜6で作製したシルクフィブロイン多孔質体からなる断熱材は、自然物であるシルクフィブロインを用いて、炭酸ガスや炭化水素を用いた発泡工程を経ずに製造され、熱伝導率が低く、また、断熱材として必要な強度を有することが明らかとなった。
本発明の断熱材は、スキー靴や手袋といった高い断熱性が求められる衣料品や、建築断熱材として用いることができる。

Claims (6)

  1. シルクフィブロイン多孔質体を用いた断熱材。
  2. 空孔率が85.0体積%以上である請求項1に記載の断熱材。
  3. 平均細孔径が1〜300μmである請求項1又は2に記載の断熱材。
  4. 熱伝導率が0.060W/m・K以下である請求項1〜3のいずれかに記載の断熱材。
  5. 前記多孔質体が、多孔質層と、その表面の一部又は全面に細孔を有しないフィルム層とを有する請求項1〜4のいずれかに記載の断熱材。
  6. 前記多孔質体がシート状であり、その少なくとも一方の面に前記フィルム層を有する請求項5に記載の断熱材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015162676A1 (ja) * 2014-04-21 2015-10-29 日立化成株式会社 多孔質材料及び多孔質シート
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