JP5754612B2 - 創傷被覆材 - Google Patents
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一方、近年、スポンジなどで滲出液を創傷面に保持し、滲出液に含まれる成分を積極的に活用することで、創傷を治癒させる湿潤療法が取られるようになってきた。この治療方法では、創傷面を乾燥させないように、滲出液を十分に保持できる特徴を有する材料が必要である。
一方、天然高分子では皮膚への親和性が高いが、強度が低い等の問題があった。そのため、天然高分子では、架橋剤による架橋体や、強度補強材の使用やガーゼ等で包むことで、強度を確保する必要があった。
しかしながら、架橋剤を使用した場合には、残存する架橋剤が皮膚へ悪影響を与える懸念がある(特許文献1及び2参照)。また、強度補強材を使用した場合には、構造が複雑になることや、剥がす場合に創傷被覆材の一部が創傷面へ残ってしまう懸念がある(特許文献3及び4参照)。さらに、ガーゼ等で覆うことで強度を確保する場合には、創傷面に接するのはガーゼ等の従来型の被覆材であり、生体親和性の高く、保水性の高いゲルや多孔質体が創傷面に接触していないために、十分な効果を発揮できない問題があった。
すなわち本発明は、
(1)シルクフィブロイン多孔質体を用いた創傷被覆材、
(2)前記多孔質体の引張り強度が75〜400kPaである上記(1)に記載の創傷被覆材、及び
(3)前記多孔質体に、殺菌剤、抗生物質及び生理活性物質からなる群から選ばれる少なくとも1種を含浸もしくは塗布した上記(1)又は(2)に記載の創傷被覆材、
を提供するものである。
ここで、シルクフィブロイン多孔質体とは、シルクフィブロインを含む、好ましくは、10〜300μmの平均細孔径を有する多孔質体をいう。
(保水率の算出方法)
なお、保水率は次のように測定した。多孔質体を60×30×20mmに成形し、測定試料とし、純水中に十分浸漬した試料の重さを測定する(Wc)。これを再度純水中に十分浸漬し、表面を純水で濡らしたガラス製の平板(松浪ガラス製MSAコートマイクロスライドガラス、76×52mm)を45度傾けて設置し、その上に一番広い面(60×30mm面)を下にして長尺方向を上下になるように載せ、10分間静置する。その後、試料の重さを測定する(Wd)。
保水率(%)=100−(Wc−Wd)×100/(Wc)
シルクフィブロイン多孔質体(多孔質層)に純水を100μl滴下し、吸収されるまでの時間を測定した。吸水速度は、測定した時間を用いて、下記の式より算出した値である。測定は5回行い、その平均値を吸水速度とした。
吸水速度(μl/s)=純水滴下量/吸水に要した時間
(蒸発速度の算出方法)
シルクフィブロイン多孔質体(多孔質層)を48時間純水中に浸漬し、完全に吸水させた後、温度:40℃、相対湿度:50%の条件に設定した恒温恒湿槽中で金網上に静置し、10分経過までは1分ごとに、10分以降は2分ごとにその重量を測定し、その変化を水の蒸発量の変化とした。蒸発速度は、静置して1分後から30分までの蒸発量の変化から下記の式より算出した値である。
蒸発速度(g/m2・s)=(蒸発量の変化)/多孔質体表面積
また、本発明におけるシルクフィブロイン多孔質体は、多孔質層と、その一方の面又は両面に細孔を有しないフィルム層を有していてもよく、一方、シルクフィブロイン多孔質体が多孔質層のみからなっていてもよい。
フィルム層は表面が面積比で10%以下の細孔を有し、多孔質層は表面が面積比で50〜98%の細孔を有するものであると好ましい。また、フィルム層は、その細孔直径が0.5μm以上の細孔が20個/mm2以下(より好ましくは、10個/mm2以下)であると好ましい。ここで、表面の細孔の面積比、細孔の個数及び細孔直径は、走査型電子顕微鏡写真を画像解析ソフトImageJ(アメリカ国立衛生研究所製)を用いて画像処理することで測定したものである。
また、フィルム層の吸水速度は、0.1〜3.5μl/sであることが好ましく、1.5〜3.5μl/sであることがより好ましく、さらに好ましくは2〜3.5μl/sである。
さらに、フィルム層の蒸発速度は、0.03〜0.07g/m2・sであることが好ましく、0.03〜0.06g/m2・sであることがより好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.05g/m2・sである。吸水速度及び蒸発速度が上記範囲内であると、本発明の効果が良好となる。
さらに、多孔質層中に薬剤を含ませることで、創傷の治癒を促進する機能を持たせることができる。例えば、殺菌剤、抗生物質、生理活性物質などを、多孔質層に含浸もしくは塗布することで、治癒を促進させることができる。これらの薬剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、フィルム層の細孔の数は制御することができ、必要に応じて少量の細孔を有するフィルム層とすることもできる。
一方、フィルム層は、細孔が極めて少ないために、表面が平滑である。そのため、該フィルム層を創傷面側として使用することで、癒着を防止する機能を持たせることや、フィルム層の液透過性を制御することで薬剤の放出速度を制御することができる。
また、本発明の創傷被覆材が、多孔質層のみからなる多孔質体により構成される場合には、創傷面からの滲出液が該多孔質層を通過して、反対側に滲出することが想定されるが、該創傷被覆材は多孔質層自体でも、十分な保水性を有するので、本発明の効果を十分に奏するものである。また、水分透過性の低いドレッシングフィルムを用いることでも蒸発を抑えることができる。
また、シルクフィブロイン多孔質体は、乾燥することで、硬く、脆くなるので、保湿剤を含ませることも好適な態様である。保湿剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等を使用することができる。なお、このような態様では、使用直前まで、水分量を保った状態で、乾燥を防ぐように、本発明の創傷被覆材を密閉状態にしておくことが好ましい。
本発明で用いられるシルクフィブロイン多孔質体は、シルクフィブロイン水溶液に特定の添加剤を加えて、該水溶液を凍結させ、次いで融解させることにより製造することができる。
ここで用いられるシルクフィブロインは、家蚕、野蚕、天蚕等の蚕から産生されるものであればいずれでもよく、その製造方法も問わない。本発明におけるシルクフィブロイン多孔質体の製造においては、シルクフィブロイン水溶液として用いるが、シルクフィブロインは溶解性が悪く、直接水には溶解することが困難である。シルクフィブロイン水溶液を得る方法としては、公知のいかなる手法を用いてもよいが、高濃度の臭化リチウム水溶液にシルクフィブロインを溶解後、透析による脱塩、風乾による濃縮を経る手法が簡便である。
シルクフィブロイン多孔質体の製造方法において、シルクフィブロインの濃度は、脂肪族カルボン酸を添加したシルクフィブロイン溶液中で0.1〜40質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、1.0〜12質量%であることがさらに好ましい。この範囲内に設定することで、十分な強度を持った多孔質体を効率的に製造することができる。
なお、アミノ酸には、L型とD型の光学異性体があるが、L型とD型を用いた場合に、得られる多孔質体に違いが見られないため、どちらのアミン酸を用いても良い。
なお、凍結の方法としては、シルクフィブロイン溶液を一気に凍結温度まで下げて凍結してもよいが、一旦、−5℃程度に2時間程度保持して過冷却状態とし、その後、凍結温度まで下げて凍結することが、力学的強度の高い多孔質体を得る上で好ましい。−5℃から凍結温度までにかける時間を調整することで、多孔質体の構造や強度をある程度制御することが可能である。
その後に、凍結したシルクフィブロイン溶液を、融解することによってシルクフィブロイン多孔質体が得られる。融解の方法は特に制限はないが、自然融解のほか、恒温槽内に保持する方法などが挙げられる。
該シートとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂からなるシート、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)などからなる離型処理されたシートなどが好ましく挙げられる。これらのシートを用いた場合、細孔が少なく平滑なフィルム層を得ることができる。また、フィルム層を設けたくない場合は、ろ紙などといった表面が粗いシートを設けることもできる。これらのシートの採用については、多孔質体の用途に応じて、適宜選択すればよい。
また、シートは、熱伝導を阻害しにくい厚さ1mm以下のものを用いることが好ましい。
シルクフィブロイン水溶液は、フィブロイン粉末(KBセーレン社製、商品名:「フィブロインIM」)を9M臭化リチウム水溶液に溶解し、遠心分離で不溶物を除去したのち、超純水に対して透析を繰り返すことによって得た。得られたシルクフィブロイン水溶液を透析チューブ中で風乾し濃縮した。この濃縮液に蟻酸水溶液を添加し、シルクフィブロイン濃度が5質量%、蟻酸濃度が2質量%であるシルクフィブロイン溶液を調製した。
このシルクフィブロイン溶液をアルミ板で作製した型(内側サイズ;80mm×40mm×4mm)に流し込み、低温恒温槽(EYELA社製NCB−3300)に入れて凍結保存した。
凍結は、予め低温恒温槽を−5℃に冷却しておいて低温恒温槽中にシルクフィブロイン溶液を入れた型を投入して2時間保持し、その後−20℃に冷却後5時間保持した。凍結した試料を自然解凍で室温に戻してから、型から取り出し、超純水に浸漬し、超純水を1日2回、3日間交換することによって、使用した蟻酸を除去した。さらに、型の側面に接していた4面のフィルム層を切削して取り除き、多孔質層の部分で切断して、多孔質層の一方の面のみにフィルム層を有するシルクフィブロイン多孔質体を得た。
得られたシルクフィブロイン多孔質体の力学的特性を、INSTRON社マイクロテスター5548型を用いて評価した。作製したシルクフィブロイン多孔質体から40mm×4mm×4mmの試験片を切り出し、この試験片を2mm/minの条件で引っ張った際の最大破断強度(引っ張り強度)と最大ひずみ(伸び)を測定した。また、強度とひずみをグラフ化した時の傾きから弾性率を求めた。その結果を表1に示す。なお、測定結果は、作製した多孔質体から5点の試験片を作製し、さらに異なる日に作製した多孔質体から5点の試験片を切り出し、それら10点について測定を行った平均値を示している。
実施例1において、蟻酸に代えて、それぞれ表1〜3に記載する添加剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シルクフィブロイン多孔質体を得た。その力学的特性、保水率、吸水速度及び蒸発速度の評価結果を表1〜3に示す。また、得られた多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡写真を、それぞれ図2〜23に示す。
尚、保水率、吸水速度及び蒸発速度は、前述のようにして測定した。
実施例1において、それぞれ表1に記載する材質の型を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シルクフィブロイン多孔質体を得た。その吸水速度の測定結果を表2に示す。
特許文献6の実施例8では、シルクフィブロイン水溶液に酢酸溶液を加えてゲル状物を析出させ、得られたゲルを凍結乾燥して多孔質体を得ている。その記載の通りの追試ではゲルを生成しなかったが、下記条件でゲル状物及び多孔質体を得た。
まず、5%フィブロイン水溶液50mLにpH2.65酢酸溶液を130mL加え(この段階でpH3.0)、得られた溶液を5℃で40時間静置したところ、ゲルが生成した。得られたゲルを遠心分離して、上澄み液を除去した後に、−30℃で3時間凍結後、凍結乾燥を50時間行ったところ、多孔質体が得られた。その多孔質体の力学的特性評価結果を表1に示す。また、得られた多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡写真を図24に示す。
市販のポリウレタンスポンジ(住友スリーエム社製)を用い、測定用サンプル(60mm×30mm×20mm)に切り出し、保水率を測定し、その結果を表1に示す。
B:鏡面仕上げアクリル板(テフロン(登録商標)シートなし)
C:鏡面仕上げポリスチレン板(テフロン(登録商標)シートなし)
また、図1から、実施例1で作製したシルクフィブロイン多孔質体を構成する多孔質層は、比較的薄い壁と数十μmの細孔を有することがわかる。実施例2〜12で作製したシルクフィブロイン多孔質体の断面(図2〜12)についても、ほぼ同様の走査型電子顕微鏡写真を得た。
なお、比較例のシルクフィブロイン多孔質体の断面(図13〜23)も同様の多孔質構造を有するものと、層状構造的なものとがあったが、それら構造と力学的特性との相関は認められなかった。また、比較例12では、明確な多孔質構造を確認することはできなかった。
また、実施例2、5、6及び11で作製したシルクフィブロイン多孔質体の保水率は、比較例2で作製した多孔質体の保水率とほぼ同じであり、98%〜99%の範囲にあることが分かった。なお、比較例12で作製した多孔質体は、非常に脆く、保水率を算出することはできなかった。
シルクフィブロイン多孔質体の安全性に関する非臨床試験の一環として、ヒトパッチ試験(皮膚感作性パッチ試験)を行った。皮膚感作性パッチ試験は、シルクフィブロイン多孔質体の人体皮膚に対する、刺激性、あるいはアレルギー性の接触皮膚炎を誘起するかどうかを判断するものである。
用いたシートは、実施例1において、アルミ板で作製した型の内側サイズを、264mm×205mm×1mm厚にし、それぞれ添加剤を蟻酸からL−アスパラギン酸(実施例15)、乳酸(実施例16)、及びコハク酸(実施例17)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして得たものである。これらのシルクフィブロイン多孔質体シートをそれぞれ、試験に供するために、10mm×10mm×1mm厚に切断し、パッチとした。
試験は、試験開始時において、健康な18歳から65歳の日本人女性50名で行った。試験に用いた10mm×10mmのサイズのパッチを、20mm×20mmの低刺激性テープで背中に固定した。また、各々のパッチは、最低15mm離して固定した。また、比較のために、10mm×10mmの綿の不織布を、20mm×20mmの低刺激性テープで固定した。試験は、パッチを添付後48時間後にパッチを取り除き、皮膚反応を観察した。さらに、同じ場所にパッチを貼付し、48時間後の観察を行った。合計9回の貼付と観察を繰り返した。また、その2週間後に、同じ場所にパッチを貼って観察することを48時間置きに4回繰り返した。
その結果、試験途中で、実施例15及び16において、二人の被験者が一度ずつ非常に軽度な紅斑を示したが、試験中に紅斑も消失するという結果となり、結果としてシート状のシルクフィブロイン多孔質体は、非常に低刺激性であり、アレルギー感作性もないことが分かった。
また、実施例17においては、試験途中で、一人の被験者が一度非常に軽度な紅斑を示したが、試験中に紅斑も消失するという結果となり、結果としてシート状のシルクフィブロイン多孔質体は、非常に低刺激性であり、アレルギー感作性もないことが分かった。
アルミ板で作製した型のサイズを130mm×80mm×12mm(内側サイズ)としたこと以外、実施例6と同様にして、シルクフィブロイン多孔質体を製造した。
シルクフィブロイン多孔質体の安全性に関する非臨床試験の一環として、皮膚一次刺激性試験及び皮膚感作性試験を行った。なお、本試験は、「申請資料の信頼性の基準」(薬事法施行規則第43号)を基準として、「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的安全性試験の基本的考え方について」(2003年2月13日付医薬審発第0213001号)と、「生物学的安全性試験の基本的考え方に関する参考資料について」(2003年3月19日付医療機器審査No.36)に従い行った。
実施例18により製造されたシルクフィブロイン多孔質体を5mm×5mm×5mmのサイズに切り出して試験片とした(多孔質層のみからなるフィブロイン多孔質体)。
次に、シルクフィブロイン多孔質体の生理食塩液抽出液及びゴマ油液抽出物をウサギに塗布し、局所刺激性(組織障害及び炎症誘起性)の有無について検討した。具体的には、実施例18により製造されたシルクフィブロイン多孔質体から切り出された上記試験片に生理食塩液又はゴマ抽を加え、オートクレーブ内で120℃、1時間の条件で抽出し、各試験液とした。また、抽出溶媒(生理食塩液又はゴマ油液)のみを同様な条件で処理し、対象液とした。投与は、1溶媒あたり雄ウサギ6匹を用い、1匹につき、試験液及び対象液をそれぞれ背部の無傷皮膚、擦過傷皮膚に0.5mLずつ投与した。
生理食塩液抽出による試験液では、6例中3例で投与後1時間からごく軽度または軽微な紅斑が認められた。この紅斑は対象液である生理食塩液でもみられ、対象液と同等であった。なお、一次刺激性指数は0.3であり、「無視できる程度の刺激性」と判断された。
ゴマ油液による抽出液では、6例中4例で投与後1時間からごく軽度な紅斑が認められた。この紅斑は対象液であるゴマ油液でもみられ、対象液と同等であった。なお、一次刺激性指数は0.1であり、「無視できる程度の刺激性」と判断された。
Maximization Test法により、実施例18により製造されたシルクフィブロイン多孔質体のメタノール抽出液について、雄性モルモット10匹を用いて、モルモット皮膚に対する感作性の有無を検討した。
皮膚感作性試験前に、適切な抽出溶媒を決めるために、アセトンとメタノールを用いて抽出率を算出した。その結果、アセトンよりもメタノールの方が高い抽出率を示したために、皮膚感作性試験に用いる抽出溶媒をメタノールとした。
実施例18により製造されたシルクフィブロイン多孔質体から切り出された上記試験片に、メタノール10mLを加え、室温で恒温浸とう培養機を用いて抽出した。抽出は24時間以上行った。対照群として、オリーブ油で感作する陰性対照群、及び1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼンで感作する陽性対照群を設けた。各対照群の動物数はそれぞれ5匹とした。
試験液投与群及び陰性対照群とも、抽出液の6.25、12.5、25、50、100%液並びにアセトンで惹起した結果、惹起後24、48及び72時間のいずれの観察時期においても皮膚反応は見られなかった。
一方、陽性対照群では、0.1%1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼンの惹起により、5例全例で惹起後、24,48及び72時間後に明らかな陽性反応が認められた。
この試験結果から、実施例18により製造されたシルクフィブロイン多孔質体には、皮膚感作性を示す物質は存在しないと判断された。
このように、実施例18により製造されたシルクフィブロイン多孔質体は、「無視できる程度の皮膚刺激性」と「皮膚感作性を示す物質は存在しない」ことにより、安全性が高く、本発明の創傷被覆材として好適に使用できることが確認された。
Claims (3)
- シルクフィブロイン多孔質体を用いた創傷被覆材であって、該シルクフィブロイン多孔質体が、脂肪族カルボン酸又はアミノ酸を添加したシルクフィブロイン水溶液を凍結させた後、融解させることにより製造されたものであり、該シルクフィブロイン多孔質体が、多孔質層と、その一方の面又は両面に細孔を有しないフィルム層を有するものである、創傷被覆材。
- 前記多孔質体の引張り強度が75〜400kPaである請求項1に記載の創傷被覆材。
- 前記多孔質体に、殺菌剤、抗生物質及び生理活性物質からなる群から選ばれる少なくとも1種を含浸もしくは塗布した請求項1又は2に記載の創傷被覆材。
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