JP2507885B2 - 絹フィブロインハイドロゲル - Google Patents

絹フィブロインハイドロゲル

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JP2507885B2 JP63140253A JP14025388A JP2507885B2 JP 2507885 B2 JP2507885 B2 JP 2507885B2 JP 63140253 A JP63140253 A JP 63140253A JP 14025388 A JP14025388 A JP 14025388A JP 2507885 B2 JP2507885 B2 JP 2507885B2
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NORINSUISANSHO SANSHI KONCHU NOGYO GIJUTSU KENKYUSHOCHO
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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は絹フィブロインのハイドロゲル及びその製造
方法に関するものである。
〔従来技術〕
高分子ハイドロゲルは、医用材料、農業用材料、食品
工業材料として、幅広い産業分野で使用されている。例
えば、ポリエチレンオキサイド系高分子は徐放医薬用ヒ
ドロゲルとして使用されるが、反応条件の微妙な違いに
よりハイドロゲルの粘度、結晶化度、架橋度が変化する
ため調整条件を厳密にコントロールしなければならず、
必ずしも使用容易な製品であるとはいえない。この他の
合成高分子ハイドロゲルの素材としては、ポリメチルメ
タクリレート、塩基性グラフトコポリマーあるいはアニ
オン性ポリイオンコンプレックス、ポリエーテル製ポリ
ウレタン等があるが、これらの作製時においても反応条
件を適宜制御する必要がある。またこうした高分子を用
いた場合高強度のゲルを得ることが困難である場合が多
い。またポリビニールアルコール溶液を凍結後、解凍す
ることでポリビニルアルコールのハイドロゲルが得られ
ることが知られている(特開昭47−12854:特開昭59−56
446)。しかし、ポリビニールアルコールのハイドロゲ
ルよりも更に良好な生体適合性を有するものとしては、
生体組織の化学構造に類似した組成を有する生体蛋白質
のハイドロゲルが考えられる。医薬用のハイドロゲル素
材は、医薬用担体として生体内での使用が前提となるた
め、ゲル強度が高く、かつ生体適合性の良好な素材であ
ることが望まれている。
〔目的〕
本発明は、生体に対して悪影響を及ぼす恐れのある有
機試薬を用いることなく、前記の如き問題を含まない新
しい素材からなるハイドロゲル及びその製造方法を提供
することを目的とする。
〔構成〕
本発明者は、絹蛋白質の構造と物性との関連に注目
し、特に溶解性におよぼす微細構造の影響ならびに絹蛋
白質の機能を生かした高次利用技術の開発について種々
研究を重ねた結果、絹フィブロインの濃厚溶液を凍結・
解凍することで粘着性が無く、生体適合性の良好な高粘
弾性を有する絹フィブロインのハイドロゲルが容易に作
製できることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明によれば、絹フィブロイン水溶液の凍結
解凍体からなり、粘弾性を有することを特徴とする絹フ
ィブロインのハイドロゲルが提供される。
また、本発明によれば、絹フィブロイン水溶液を凍結
した後解凍する工程を1回又は複数回行うことによって
粘弾性を有するフィブロインハイドロゲルを生成させる
ことを特徴とする絹フィブロインハイドロゲルの製造方
法が提供される。
本発明の絹フィブロインハイドロゲルは、2%以上、
好ましくは4%以上の絹フィブロインの水溶液を−5℃
以下、好ましくは−15℃以下で一旦凍結させ、5℃以
上、好ましくは25℃以上で徐々に解凍することで、試料
に含まれる自由水が放出する過程で該ハイドロゲルが容
易に製造できる。この際、ハイドロゲルを製造するため
の特別な構造装置は不用である。原料としての絹フィブ
ロインとしては、家蚕あるいは野蚕由来のものでよい。
また絹フィブロイン溶液は、熟蚕体内の絹糸膜より取り
出し、その外層を覆っている絹セリシン分画を除去した
後の液状絹フィブロインを用いることも可能である。あ
るいは繭糸あるいは絹糸状繊維を精練により絹セリシン
を除去したものを濃厚中性液溶液で溶解することで得ら
れる再生絹フィブロイン溶液を用いることも可能であ
る。絹フィブロインハイドロゲルは、ゲル作製時の容器
あるいは絹フィブロイン溶液の充填方法を適宜変えるこ
とで、フィルム状や管状の他、ブロック状等任意の形状
とすることができる。本発明の絹フィブロインハイドロ
ゲルは、粘着性が無く、かつ絹フィブロイン以外の不純
物を含まず、毒性の無いこと、生体適合性が良好なこと
において特徴を持っている。本発明における絹フィブロ
インハイドロゲルの強度等の機械的性質は、ポリビニー
ルアルコールハイドロゲルの研究結果(特公昭59−5644
6)と同様、絹のフィブロイン濃度、凍結、解凍温度な
らびに凍結・解凍の繰り返し数等によって自由に調節で
きる。またハイドロゲルの含水率もこれら作用要因の組
み合わせで調整できる。
本発明においては、このような絹フィブロインハイド
ロゲル中には、各種酵素や、触媒、医薬品等の薬理活性
物質を含有させることができる。このような酵素、触
媒、あるいは薬理活性物質は、絹フィブロイン溶液作製
時に溶解ないし分散することでハイドロゲル中に均一
に、または絹フィブロインハイドロゲル作製後これらの
酵素等の溶液に接触膨潤させればハイドロゲルの表面に
極在して含有させることも可能である。
低分子量の酵素固定担体としてハイドロゲルを用いる
場合においては、上記の方法でこれら酵素等を含有した
絹フィブロインハイドロゲルの表面を酵素の活性を失わ
ない範囲でエタノールあるいはメタノール等の絹蛋白質
に対する貧溶媒あるいは酢酸等の水溶性有機溶媒あるい
は水溶性有機酸による不溶化処理等を施すことにより、
酵素を固定化した絹フィブロインハイドロゲルを得るこ
とができる。
〔効果〕
本発明の絹フィブロインハイドロゲルは、含水率97〜
30%を示し、従来の高分子ハイドロゲルと同様に種々の
分野において利用し得るものであり、例えば食品分野、
酵素を触媒とする医薬品製造のバイオリアクター、バイ
オセンサーの酵素固定化素材、人工水晶体、人工筋肉、
座薬、生体内分解ヒドロゲル素材、医薬・農薬徐放用担
体、電子顕微鏡用浮遊細胞包埋材、ゲル濾過、土壌改質
材、細胞培養担体、細胞培養床、血液適合性の高い血管
壁素材等として利用することができる。
〔実施例〕
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1 熟蚕より取り出した85gの絹糸腺内液状絹(絶乾重量
で約30%)をポリエチレンフィルム上に、できるだけ平
坦となるように敷きつめた上、200mlの蒸留水を加え5
℃の冷蔵庫中で5時間放置した。液状絹の外周を覆って
いる絹セリシン分画を除き絹フィブロインのみの分画を
得るため、デカンテーションにより上澄部分を除去した
後、再び100mlの蒸留水を加え、5℃の冷蔵庫に20時間
放置した。デカンテーションにより上澄液を取り除くこ
とによって、ポリエチレンフィルムには、ゲル状の高濃
度の絹フィブロイン(6.5%)が得られる。−20℃の冷
凍庫中、4時間処理して凍結した該絹フィブロインを25
℃、湿度60%RHで解凍させると、付着性が無く高い含水
率(93%)の絹フィブロインハイドロゲルが調製でき
る。同試料を−20℃ならびに25℃で再び凍結・解凍処理
を繰り返す際、繰り返し数を増すことでゲルの強度を増
加した。
実施例2 実施例1の方法と同様にして、3.4%の絹フィブロイ
ン溶液を作製した。−20℃と25℃との凍結・乾燥処理を
2回繰り返すことで高含水率(95%)(乾燥重量法で求
めた値)の絹フィブロインハイドロゲルが得られた。こ
の絹フィブロインハイドロゲルは高粘弾性的挙動を示
し、力を加えて一時的に変形させても、除重すると直ち
に元の形状に回復した。このハイドロゲルを25℃の蒸留
水に浸漬して4日後の重量変化ならびに膨潤状態を観察
したところ、微小であった。
実施例3 実施例2で得られた絹フィブロインハイドロゲルを更
に−20℃と20℃とでそれぞれ凍結・解凍を繰借返し試料
の含水率が74%となるように調整した。このようにして
得たハイドロゲルを温度25℃、湿度60%に設定した恒温
恒湿室に放置した際の時間経過と試料重量の変化を表−
1に示す。
つぎに、実施例3で得た絹フィブロインハイドロゲル
を一辺約1cmの立方体に形成し、このゲルの上面と下面
に厚さ200μmのポリエチレン膜を付着貼付した。この
上面に顕微鏡用の正方形のカバーグラスを乗せ、更にそ
の上に15gの分銅を置き3分後のゲル厚の寸法(L0)を
読み取り顕微鏡で測定した。直ちに除重し、10分間放置
し、ゲルの寸法を回復させてから、再度分銅を乗せ3分
後にゲルの寸法(L1)を測定した。外力に対するゲルの
復元・回復性能(L1/L0×100%)を評価したところ95%
であった。
比較例1 凍結・解凍ならびにその繰り返しにより作製できるも
のとして知られているポリビニールアルコールハイドロ
ゲルを既知(特開昭59−56446)の方法で調製した。な
お用いたポリビニールアルコールの集合度は2000、けん
化度は99モル%であった。凍結・解凍とを繰り返し含水
率81%のハイドロゲルを調整した。これを実施例3と同
様にして温度25℃、湿度60%に設定した恒温恒湿室に放
置した際の時間経過と試料重量の変化を表−2に示す。
実施例4 精練絹糸を、40℃の臭化リチウムの飽和溶液で溶解さ
せた後、セルロース透析膜を用て純水で透析することに
より濃度が0.5%の再生絹フィブロイン溶液を調製す
る。同溶液をポリエチレンフィルム上に置き、送風乾燥
により溶液の濃度を順次高めて3.2%の絹フィブロイン
溶液を作製した。これを−80℃で凍結した後、25℃で解
凍することによりゲル強度の高い絹フィブロインハイド
ロゲルが得られた。これを再度−80℃、25℃でそれぞれ
凍結、解凍することにより更にゲル強度の高い絹フィブ
ロインハイドロゲルが得られた。
比較例2 実施例2の方法と同様にして調整した3.4%の絹フィ
ブロイン水溶液50mlを100mlのビーカーに入れた。つい
で、0.5%のクエン酸水溶液をピペットで徐々に添加し
絹フィブロイン水溶液のpHを3.1に調整した。試料溶液
はクエン酸添加後1分以内に白濁し始めた。試料溶液全
体を均一に白濁、すなわちゲル化させるため5℃の冷蔵
庫に24時間放置し、溶液全体が凝固してビーカーの形に
符合した絹フィブロインのゲルを得た。ビーカーを逆さ
にして容器より絹フィブロインゲルを注意深く取り出
し、安全カミソリでゲルの一部を切り出して坪量したと
ころ重量は0.215gであった。この絹フィブロインハイド
ロゲルを実施例3と同様な方法で恒温恒湿室に放置した
際の時間経過と試料重量の変化を測定した。得られた結
果を表3に示す。
つぎに、実施例3と同様な方法で比較例2の絹フィブ
ロインハイドロゲルの復元・回復性能を評価したところ
55%であった。
以上のことから、比較例2の絹フィブロインゲルは、
本発明のものに比べ保水性が悪くゲル強度に劣り、しか
も粘弾性が低く、その復元・回復性能が不充分であるこ
とが判る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絹フィブロイン水溶液の凍結解凍体からな
    り、粘弾性を有することを特徴とする絹フィブロインの
    ハイドロゲル。
  2. 【請求項2】絹フィブロイン水溶液を凍結した後解凍す
    る工程を1回又は複数回行うことによって粘弾性を有す
    るフィブロインハイドロゲルを生成させることを特徴と
    する絹フィブロインハイドロゲルの製造方法。
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