JPH0841097A - フィブロインスポンジの製造方法 - Google Patents

フィブロインスポンジの製造方法

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JPH0841097A
JPH0841097A JP19730094A JP19730094A JPH0841097A JP H0841097 A JPH0841097 A JP H0841097A JP 19730094 A JP19730094 A JP 19730094A JP 19730094 A JP19730094 A JP 19730094A JP H0841097 A JPH0841097 A JP H0841097A
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JP
Japan
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fibroin
water
solvent
aqueous solution
solution
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JP19730094A
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English (en)
Inventor
Shinichi Fukunaga
真一 福永
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】絹タンパク質の一つであるフィブロインは、生
体適合性に優れた安全な材料であり、人工皮膚、コンタ
クトレンズ、細胞培養などの素材として注目されてい
る。これまで化粧用パフは、ナイロン、ポリビニルアル
コールといった合成高分子で作られていたが、より安全
性の高い素材が求められていた。本発明は、スポンジ素
材としてフィブロインに着目し、安全性の高いスポンジ
を化学反応を用いずに簡便な方法で得る事を目的とし
た。 【構成】フィブロイン水溶液は、絹糸腺から直接得る
か、絹糸を溶解して得る。得られたフィブロイン溶液を
急速冷凍したのち結晶化溶媒に浸漬し、融解と結晶化を
同時進行させることによって、フィブロインスポンジを
得る。 【効果】肌理が細かく、使用感に優れたフィブロインス
ポンジを化学的処理や凍結乾燥を用いない簡便な方法で
得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィブロインスポンジ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】絹蛋白の一種であるフィブロインは、
(1)コラーゲンに匹敵する優れた細胞付着・増殖能力を
持ち(第5回生体繊維と生医学材料に関するシンポジウ
ム講演要旨集、3C01、1988年)、(2)優れた血
液適合性を持ち(繊維学会シンポジウム予稿集、3C1
5、1988年)、(3)ポリヒドロキシメタクリレート
と同等の酸素透過性を持つことから、人工皮膚、人工血
管、コンタクトレンズ等の素材として有望である。フィ
ブロインは、絹糸腺から直接取り出すか、絹糸からセリ
シンを除いたものを特定の塩溶液に溶解した後脱塩する
ことによって溶液として得られ、塩析、溶媒添加、ずり
応力等により化学反応を用いずに容易に不溶化すること
ができる。
【0003】一時期、化粧用スポンジは合成高分子であ
るナイロンでも作られていたが、使用感や皮膚への影響
(ナイロンタオルによる皮膚の黒変が指摘された)か
ら、現在ではポリビニルアルコールを原料としたものが
主流である。しかし、ポリビニルアルコールもまた合成
高分子であり、しかも水溶性であるので不溶化させるに
は、化学反応を用いなければならず、反応性分子の残留
の心配がある。理想的なスポンジ素材は、皮膚に優し
く、しかも化学反応を用いずに不溶化できる素材である
が、その条件を満足するものとして上記のフィブロイン
がある。フィブロインをスポンジ化する方法としては、
(1)水に難溶の素材粒子をフィブロイン溶液に分散して
流延し、風乾後溶剤で溶かし出す方法、(2)フィブロイ
ン溶液を流延し、凍結乾燥した後水性メタノール溶液に
浸して結晶化させる方法(繊維学会シンポジウム予稿集
1992(C)、2C17)があるが、フィブロイン以外
の成分が残留したり、操作が煩雑であるという欠点を有
していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、より簡
便な方法でフィブロインのスポンジを製造するために鋭
意検討を続けた結果、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、フィブロイン
溶液を凍結し、水と混和する溶媒またはその含水溶媒に
接触させることを特徴とするフィブロインスポンジの製
造方法に関する。次に本発明を詳細に説明する。
【0006】用いるフィブロイン溶液は、絹糸腺から直
接取り出したものでも、絹糸を再溶解したものでもよ
い。フィブロインの溶解方法は特に問わないが、人工皮
膚として用いる場合、溶解に用いた溶媒や塩類は、透析
などの手段によって除いておくことが好ましい。フィブ
ロインの濃度は、取扱上、30%以下であることが好ま
しいが、特に限定しない。
【0007】用いる溶媒としては、フィブロインが溶解
せず水と混和する溶媒であれば特に限定はしないが、フ
ィブロインの結晶化を助けるアルコール、ポリオール類
が好ましく、さらに好ましくは、フィブロインの結晶化
が速やかで乾燥も容易な低級アルコール類を用いること
が好ましい。該当する低級アルコール類としては、メタ
ノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノ
ールなどがある。
【0008】フィブロイン溶液を凍結する方法として
は、特に限定はしないが、冷却速度が遅いと氷の結晶が
成長し、均質できめの細かいスポンジが出来ない場合が
あるので急速冷凍することが好ましい。
【0009】本発明の方法は、凍結させたフィブロイン
溶液の融解と結晶化を同時に行うので、凍結後に接触さ
せる溶媒はフィブロイン水溶液の凍結温度近くに冷却し
ておくことが好ましく、10℃以下、通常−20℃〜5
℃に冷却したものを用い、結晶化も凍結温度付近で行
う。結晶化後は、風乾や減圧乾燥によって容易に乾燥す
ることができ、さらにその際、グリセリンやポリエチレ
ングリコール、ポリビニルアルコールなどを添加する事
により可とう性を付与することができる。
【0010】
【発明の効果】本発明方法は簡便かつ化学反応を用い無
いため、有害残留物の心配がない上、得られるフィブロ
インスポンジは、きめ細かく、風合いが柔らかなので直
接皮膚に触れる化粧用パフや人工皮膚などに適してい
る。
【0011】実施例1 絹フィブロイン原料として絹紡績屑を用いてこれの10
0部をマルセル石鹸30部、水3000部の溶液で95
℃〜98℃において3時間攪拌精錬し、水洗後80℃で
熱風乾燥した。塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)
100部に水100部を混合して33重量%塩化カルシ
ウム水溶液200部を調製して110℃に加熱した。こ
れに精錬済みの絹紡屑40部をニーダーを用いて5分間
で投入後、さらに30分間攪拌し、完全に溶解させた。
次に、内径200μ、膜厚20μ、長さ500mmの再生
セルロース系中空糸を2000本束ね、これの両端を中
空穴を閉塞することなく集束固定(シール)したホロー
ファイバー型の透析装置を用いて、前記溶解液を水道水
に対して透析し、フィブロイン水溶液を得た。得られた
フィブロイン水溶液の濃度は、5.5重量%で、電導度
は、360μS/cmであった。
【0012】得られたフィブロイン水溶液100部をな
す型フラスコにとり、90℃〜95℃に加熱し、ロータ
リーエバポレーターで攪拌しつつ窒素を通じて水分を蒸
発させて濃縮し、10、20、30重量%のフィブロイ
ン水溶液を調製した。
【0013】実施例2 テフロンで被覆した鉄板(15cm×15cm)をあらかじ
めドライアイス/メタノールで冷却しておき、実施例1
で調製したフィブロイン水溶液10mlを流延して凍結さ
せた。凍結後、直ちに鉄板から剥離し、あらかじめ冷蔵
庫で冷却しておいたエタノール200mlに浸漬し、冷蔵
庫内で一晩放置した。得られたフィブロインスポンジ
は、水に浸しても溶解せずスポンジ形状を保っていた。
【0014】同様に実施例1で調製した10、20、3
0重量%のフィブロイン溶液を用いて実施例3と同様の
方法でフィブロインスポンジを作成した。得られたスポ
ンジは、いずれも水に浸しても溶解せずスポンジ形状を
保っており、用いたフィブロイン溶液の濃度が高いほど
スポンジのきめが細かく弾力に富むものが得られた。
【0015】実施例3 ステンレス容器に固定したテフロンシート(10cm×1
0cm)上に5.5重量%フィブロイン水溶液を5ml流延
し、液体窒素を満たした直径20cm保温容器中に静かに
ステンレス容器を下ろしてフィブロイン水溶液を凍結さ
せた。凍結後直ちにテフロンシートから剥離し、あらか
じめ冷蔵庫で冷却しておいたメタノール100mlに浸漬
し、冷蔵庫内で一晩放置した。得られたフィブロインス
ポンジは、水に浸しても溶解せずスポンジ形状を保って
いた。
【0016】実施例1で調製した10、20、30重量
%のフィブロイン溶液を用いて実施例5と同様の方法で
フィブロインスポンジを作成した。得られたスポンジ
は、いずれも水に浸しても溶解せずスポンジ形状を保っ
ており、用いたフィブロイン溶液の濃度が高いほどスポ
ンジのきめが細かく弾力に富むものが得られた。
【0017】実施例4 ステンレス容器に固定したテフロンシート(10cm×1
0cm)上に10重量%フィブロイン水溶液を5ml流延
し、液体窒素を満たした直径20cm保温容器中に静かに
ステンレス容器を下ろしてフィブロイン水溶液を凍結さ
せた。凍結後直ちにテフロンシートから剥離し、あらか
じめ−20℃に冷却しておいたアルコール類各々100
mlに浸漬し、10℃で一晩放置した。得られたフィブロ
インスポンジの性状を表1に示した。
【0018】
【表1】 結晶化に用いる溶媒は、結晶化と乾燥の容易さを考慮し
てメタノール、エタノール、プロパノールが好ましい。
【0019】実施例5 ステンレス容器に固定したテフロンシート(10cm×1
0cm)上に10重量%フィブロイン水溶液を5ml流延
し、所定の方法でフィブロイン水溶液を凍結させた。凍
結後直ちにテフロンシートから剥離し、あらかじめ−2
0℃に冷却しておいたエタノール100mlに浸漬し、1
0℃で一晩放置した。得られたフィブロインスポンジの
性状を表2に示した。
【0020】
【表2】 以上のごとく、均質なスポンジを得るためには、急速冷
凍を行い、氷晶の成長を抑制することが好ましい。
【0021】実施例6 ステンレス容器に固定したテフロンシート(10cm×1
0cm)上に10重量%フィブロイン水溶液を5ml流延
し、液体窒素を満たした直径20cm保温容器中に静かに
ステンレス容器を下ろしてフィブロイン水溶液を凍結さ
せた。凍結後直ちにテフロンシートから剥離し、あらか
じめ所定温度にしておいたエタノール各々100mlに浸
漬し、所定温度で一晩放置した。得られたフィブロイン
スポンジの性状を表3に示した。
【0022】
【表3】 以上のごとく、本方法においては融解と結晶化を同時進
行させるために浸漬する溶媒の温度を低く保つ必要があ
る。
【0023】実施例7 実施例3で10重量%フィブロイン溶液を用いて調製し
たスポンジをポリビニルアルコールスポンジに張り合わ
せ、化粧用パフ形状にした。比較にぽりびにるあるこー
る製化粧用パフを用い、年齢20歳〜40歳の女性パネ
ラー20名について使用感に関するテストを行った。結
果を表4に示す。
【0024】
【表4】 テストの結果、大半の女性がフィブロインスポンジの方
が肌理が細かく、使用感に優れていると答えた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィブロインの水溶液を凍結した後、水
    と混和する溶媒またはその溶媒と水との混合溶媒に接触
    させることを特徴とするフィブロインスポンジの製造方
    法。
JP19730094A 1994-07-28 1994-07-28 フィブロインスポンジの製造方法 Pending JPH0841097A (ja)

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