JP2011231096A - スキンケア用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性が高く、取り扱いに容易な強度を持ち、スキンケア用として優れた多孔質体からなるシートを提供すること。
【解決手段】シルク多孔質体からなるスキンケア用シートである。
【選択図】なし

Description

本発明は、スキンケア用シートに関するものである。
種々の外界からの刺激に対して皮膚は人体の強固な防御壁であるが、冷暖房や精神的ストレスの多い現代社会において、皮膚は乾燥し易く、また肌荒れ、敏感肌等多くのトラブルを抱えている。荒れた肌を改善する為に化粧、エステ等で水分、油分を含んだ化粧水を供給することは重要なことである。皮膚に水分や有効成分を補うために一定の時間、湿潤環境で皮膚を膨潤させて表皮内部に水分や有効成分を供給する方法としてパック、ゲルシート(特許文献1参照)、不織布などのシートなどが多用されている。
パックはペースト状の成分を顔面に塗布して、顔面上で皮膜を形成させるものであるが、顔面は凹凸があること、眼の周り等は慎重に塗布する必要があること、また皮膜の形成時間が長く、使用後の洗浄が必要なことなど面倒な操作が多く、パック操作に時間を要することがある。
ゲルシートはこれ等の不利を改善するものであるが、一般的に厚みがあり重たく、水分の保持力は良いが、含まれた美容成分をシート側に多く残してしまう傾向が強く不経済な面がある。
一般的によく使用されているのはセルロース系の素材を使用した不織布であり、非常に安価ではあるが、ゴワゴワした感触で、皮膚上での乾燥が速く、十分な効果が得にくい。さらに、化粧水等を多めに使用した場合、液だれを生じやすく衣服等の汚染を生じることがあった。また、不織布を使用したシートは、製品の折り畳み跡、肌への密着性、化粧水の保湿性など問題が多く、種々の改良が検討されている状況である(特許文献4〜6参照)。
一方、天然物を使ったシートとしてコラーゲンシート、キトサンシートなど天然素材を使用した多孔質体シート等が提案されている(特許文献2,3)。コラーゲンは感触に優れるが、強度が弱く、一人でパックするには困難を伴い、主にエステサロン等の専門家に用いられてきた。コラーゲンは主として牛等の哺乳動物が原料として用いられてきたが、BSEの問題で安全性が疑問視され、現在は魚類に原料の主体が移行している。しかし精製が難しく、分子量が低く十分な強度が得られていない。
また、キトサンシートは、強度が弱く、架橋剤が使用されるケースが多いため、架橋剤の種類、使用量によっては強度、感触、安全性に問題を残している(特許文献7参照)。
特開平6−321733号公報 特開2006−28138号公報 特開2004−231604号公報 特開平6−46923号公報 特開2000−287751号公報 特開2005−16833号公報 特開2004−83413号公報
そこで、本発明の課題は、上記問題点に鑑み、安全性が高く、取り扱いに容易な強度を持ち、スキンケア用として優れたシートを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、シルクフィブロインを用いたシルクフィブロイン多孔質体(以下、単に「シルク多孔質体」と記載する)により強度の高いシートが得られること、また、上述の材料に対して、シルクフィブロインは、衣料用途以外に、手術用縫合糸として長く使用されてきた実績があり、食品や化粧品の添加物としても利用され、人体に対する安全性にも問題ないことから、スキンケア用多孔質シートとして十分利用可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の発明を提供するものである。
特許請求の範囲が明細書に記載漏れのリスク回避のために、特許請求の範囲をコピーしています。
(1)シルクフィブロイン多孔質体からなるスキンケア用シート。
(2)前記シルクフィブロイン多孔質体が、多孔質層と、その一方の面のみにフィルム層を有する前記(1)に記載のスキンケア用シート。
(3)前記多孔質層は吸水速度が20〜30μl/s、及び/又は蒸発速度が0.08〜0.2g/m2・sであり、かつ、前記フィルム層は吸水速度が0.1〜3.5μl/s、及び/又は蒸発速度が0.03〜0.07g/m2・sである前記(2)に記載のスキンケア用シート。
(4)前記多孔質体が、シルクフィブロイン水溶液を凍結し、ついで融解することにより製造された多孔質体である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のスキンケア用シート。
(5)前記シルクフィブロイン水溶液中に添加剤が添加された前記(4)に記載のスキンケア用シート。
(6)前記多孔質体が、添加剤を含有する前記(1)に記載のスキンケア用シート。
(7)前記添加剤が、有機溶剤、アミノ酸及び脂肪族カルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記(5)又は(6)に記載のスキンケア用シート。
(8)前記添加剤が、エタノール、酢酸、乳酸、コハク酸、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記(5)又は(6)に記載のスキンケア用シート。
(9)前記添加剤が乳酸である前記(8)に記載のスキンケア用シート。
(10)引っ張り強度が20kPa以上である前記(1)〜(9)のいずれかに記載のスキンケア用シート。
(11)厚みが0.1〜3mmである前記(1)〜(10)のいずれかに記載のスキンケア用シート。
本発明によれば、安全性が高く、取り扱いに容易な強度を持ち、スキンケア用として優れたシートを提供することができる。
実施例1で作製したシートの断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で作製したシートの断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例3で作製したシートの断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例4で作製したシートの断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例5で作成したシートの断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例6で作成したシートの断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例7で作成したシートの断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1で示したシートの断面の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明及び比較品の水分の減少挙動(市販コットン不織布とシルク多孔質体シートの水分減少比較)を示すグラフである。
本発明のスキンケア用シートは、シルク多孔質体からなることを特徴とする。
本発明において用いられるシルクフィブロインとしては、家蚕、野蚕、天蚕等の天然蚕やトランスジェニック蚕から産生されるものであればいずれでもよく、その製造方法も問わない。特に製造工程の簡便性から家蚕の繭から抽出されたものが好ましい。また、本発明においては、シルクフィブロインは水溶液として用いることが好ましく、シルクフィブロイン水溶液を得る方法としては公知のいかなる手法を用いてもよい。
例えば、シルクフィブロインは水への溶解性が低いため、高濃度の臭化リチウム水溶液にシルクフィブロインを溶解後、透析による脱塩を行って得る方法が好適に挙げられる。また、水溶液中のシルクフィブロインの濃度調整の方法としては、風乾による濃縮を経る手法が簡便で好ましい。
本発明において、シルク多孔質体は、例えば、シルクフィブロイン水溶液、好ましくは添加剤を添加したシルクフィブロイン水溶液を凍結し、ついで融解することにより製造される。シルクフィブロインの配合量は、シルクフィブロイン水溶液中で0.1〜40質量%であることが好ましい。この範囲内であると、スキンケア用途として、十分な強度を持った多孔質体を効率的に製造することができる。以上の観点から、シルクフィブロインの配合量は0.5〜20質量%であることがより好ましく、1〜12質量%であることがさらに好ましい。
次に、本発明において用いられる添加剤は、多孔質体化を促進させる効果を有するものであり、具体的には、有機溶剤、アミノ酸、脂肪族カルボン酸などが挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
添加剤の配合量は、添加剤を配合したシルクフィブロイン水溶液中で0.01〜18質量%であることが好ましい。この範囲内であると、スキンケア用途として、十分な強度を持った多孔質体を効率的に製造することができる。以上の観点から、添加剤の配合量は0.1〜5質量%であることがより好ましい。
本発明において用いられる有機溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルアルコール、エチルアルコール、酢酸などが挙げられる。安全性の観点からは、エチルアルコール及び酢酸が好ましい。
次に、本発明において用いられるアミノ酸としては、例えばバリン,ロイシン,イソロイシン,グリシン,アラニン,セリン,トレオニン,メチオニン等のモノアミノモノカルボン酸、アスパラギン酸,グルタミン酸等のモノアミノジカルボン酸(酸性アミノ酸)、グルタミン等のジアミノカルボン酸などの脂肪族アミノ酸;フェニルアラニン、チロシン等の芳香族アミノ酸;プロリン,ヒドロキシプロリン、トリプトファン等の複素環を有するアミノ酸などが挙げられ、中でも、形態や物性の調整が容易との観点から酸性アミノ酸や、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン等のオキシアミノ酸が好ましい。
同様の観点で、酸性アミノ酸の中でもモノアミノジカルボン酸がより好ましく、アスパラギン酸及びグルタミン酸がさらに好ましく、オキシアミノ酸の中でもヒドロキシプロリンがより好ましい。強度の観点からは、アスパラギン酸及びグルタミン酸が特に好ましい。
なお、アミノ酸には、L型とD型の光学異性体があるが、本発明においては、L型とD型を用いた場合に、得られる多孔質体に違いが見られないため、どちらのアミノ酸を用いても良い。
また、本発明において用いられる脂肪族カルボン酸としては、例えば、炭素数1〜6の飽和または不飽和のモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸を好ましく用いることができ、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、乳酸、アクリル酸、2−ブテン酸、3−ブテン酸等が挙げられる。
上記の添加剤のうち、多孔質体の強度及び安全性の点から、エタノール、酢酸、乳酸、コハク酸、アスパラギン酸及びグルタミン酸が好ましく、使用感等を考慮すると、乳酸が特に好ましい。
本発明において用いる添加剤は、シルクフィブロイン水溶液に添加する際に行う撹拌や加熱などを原因とした、シルクフィブロインの析出を防止する観点から、水溶液として用いることが好ましい。本発明において水に対する溶解度が低い添加剤を用いる場合には、加熱した水に添加剤を添加して溶解させ、その後30℃以下に冷却した添加剤の水溶液を用いることが好ましい。冷却の過程で、添加剤が析出した場合には、ろ過などの方法で除去することが好ましい。上記の観点から、本発明において用いられる添加剤としては、水溶性添加剤を用いることが好ましい。
本発明において用いられるシルク多孔質体は、例えば、シルクフィブロイン水溶液に添加剤の水溶液を添加混合して容器に流し込み、凍結させ、次いで融解することによって、得ることができる。
ここで、添加剤の配合量は上述のとおりであり、凍結温度としては、添加剤を添加したシルクフィブロイン水溶液が凍結する温度であれば特に制限されないが、−1〜−40℃程度が好ましく、−5〜−40℃程度がより好ましく、−10〜−30℃がさらに好ましい。
凍結時間としては、添加剤を添加したシルクフィブロイン水溶液が十分に凍結し、かつ凍結状態を一定時間保持できるよう、2時間以上であることが好ましく、4時間以上であることがさらに好ましい。
凍結の方法としては、添加剤を添加したシルクフィブロイン水溶液を一気に凍結温度まで下げて凍結してもよいが、凍結の前に添加剤を添加したシルクフィブロイン水溶液を一旦、4〜−9℃程度、好ましくは0〜−5℃程度で30分以上保持して反応容器内を均一にしてから、凍結温度まで下げて凍結した方が均一な構造のシルク多孔質体を得る上で好ましい。さらに、この保持する温度を−1〜−9℃程度、好ましくは−1℃〜−5℃程度にした場合には、シルクフィブロイン水溶液が、凍結の前に過冷却状態となる温度(過冷却温度)になり、より均一な構造のシルク多孔質体を得ることができる。また、この過冷却温度に保持する時間を調整すること、過冷却温度から凍結温度に下げるまでの温度勾配を調整すること等により、さらに均一な構造のシルク多孔質体を得ることができるほか、多孔質体の構造や強度をある程度制御することが可能である。
その後に、凍結したシルクフィブロイン溶液を、融解することによってシルク多孔質体を得ることができる。融解の方法としては、特に制限はなく、自然融解や恒温槽での保管等が挙げられる。
次に、凍結したシルクフィブロイン水溶液を融解することによってシルク多孔質体を得ることができる。融解の方法としては、特に制限はなく、自然融解や恒温槽での保管等が挙げられる。
得られたシルク多孔質体に含まれる添加剤の濃度を、シルク多孔質体製造後に調整する方法としては、例えば、シルク多孔質体を、純水中に浸漬して透析することが最も簡便な方法として挙げられる。
また、シルク多孔質体製造後に、水分濃度を調整する方法としては、例えば、シルク多孔質体を乾燥して水分を蒸発させる方法が挙げられる。乾燥の方法としては、自然乾燥、凍結乾燥、加熱乾燥などが挙げられるが、乾燥時の収縮が抑えられるという観点からは、凍結乾燥が好ましい。
本発明において用いられるシルク多孔質体は、スポンジ状の構造を有しており、通常この多孔質体には凍結乾燥等により水除去を行わなければ水が含まれ、含水状態で柔軟性のある構造物である。
また、本発明において用いられるシルク多孔質体中の細孔の大きさ(細孔直径)は、10〜300μm程度であり、シルクフィブロインと添加剤の混合比や、上記のように凍結する際の冷却プロセスの条件を調整することである程度制御でき、用途に応じて決定される。
本発明において用いられるシルク多孔質体は、添加剤を添加したシルクフィブロイン水溶液を流し込む容器を適宜選択することにより、シート状、ブロック状、管状等、目的に応じた形状とすることができる。また、原料として用いるシルクフィブロインや添加剤の配合量の調整や、添加剤の種類の選択により、シルク多孔質体の内部構造と固さを調整することができ、種々の硬さを有するシート状・ブロック状のシルク多孔質体を得ることができる。
これらの多孔質体を、そのまま、または適宜スライス等の処理を行うことによりシート形状に成形して、本発明のスキンケア用シートを得ることができる。
本発明のシルク多孔質体は、多孔質層と、その一方の面のみにフィルム層を有するものであると好ましい。
上記のようにしてシルク多孔質体を製造すると、シルク多孔質体の中心部は多孔質層であるが、容器に接している近辺は細孔の少ないフィルム層となる。フィルム層は表面が面積比で10%以下の細孔を有し、多孔質層は表面が面積比で50〜98%の細孔を有するものであると好ましい。また、フィルム層は、細孔を有する場合でも、その細孔直径が0.5μm以上の細孔が20個/mm2以下(好ましくは、10個/mm2以下)である、実質的に細孔を有しないものであると好ましい。
ここでフィルム層の細孔の面積比、個数及び直径は、走査型電子顕微鏡写真を、画像解析ソフトImageJ(アメリカ国立衛生研究所製)を用いて画像処理することで測定したものである。
前記多孔質層は吸水速度が20〜30μl/s、及び/又は蒸発速度が0.08〜0.2g/m2・sかつ、前記フィルム層は吸水速度が0.1〜3.5μl/s、及び/又は蒸発速度が0.03〜0.07g/m2・sであると好ましい。
また、フィルム層の厚さは10〜100μmであると好ましい。
また、このような一方の面のみにフィルム層を有するには、上記で得られたシルク多孔質体を、多孔質層及びフィルム層が所望の厚さになるようにスライスすれば良い。
このように、シルクフィブロイン多孔質体の外部面を皮膚接触面より緻密な構造にすることによって、美容液等の蒸発を遅らせる効果と、皮膚接触面における美容液等の保持効率と皮膚表面の保湿性を高める効果を有する。
シルク多孔質体をシート形状にして本発明のスキンケア用シートとする場合、より具体的には、フェイスマスクとして用いる場合には、顔面を全体的に覆えるA4版サイズ(210×297mm)の大きさが適しており、このサイズでの製造・成形が好ましいが、必ずしもこのサイズにとらわれるものでない。また、本発明のスキンケア用シートをアイマスクとして用いる場合には、それに適したサイズに製造・成形することが好ましい。また、その他の部位に用いる場合には、適宜大きさを調整することが好ましい。
また、本発明のスキンケア用シートの厚みとしては、特に制限はないが、0.1〜3mm程度が適している。このような厚みのシートを作製するためには均一な空間を持つ容器で多数のブロック体を作り、必要な厚みにスライスして製造することも可能である。スライスには、ミクロトーム、食肉用・パン用のスライサー、ウレタンスポンジのスライサーを利用することが可能である。
また、本発明のスキンケア用シートの引っ張り強度が20kPa以上であると好ましく、50kPa以上であるとさらに好ましい。
本発明のスキンケア用シートは、上述のようにして作製したシート状のものを、四角い形状のまま、あるいは、利用の便利を考慮して、眼、鼻、口の部分にスリット状にカット、顔の形に切り抜き、さらには眼、鼻など部分的なスキンケアのために適した形状に、トムソンなどの打抜き機、カッターなどを用いてカットして使用することができる。
また、使用の際は、一般の化粧水・美容液等のスキンケア用の処理剤を含浸、あるいはスプレー等で噴霧して、必要な部位に貼り付けて使用することができ、ある程度厚みを持たせて、洗顔剤、洗剤、美容液、ピーリング剤等のスキンケア用の処理剤を含浸させて、スキンケアする部位を好みの強さで摩擦するスクラブ部材として使用することもできる。これらに使用するスキンケア用の処理剤は特に限定されるものでない。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
シルクフィブロイン水溶液は、フィブロイン粉末(KBセーレン社製、商品名:「シルクパウダーIM」)を9M臭化リチウム水溶液に溶解し、遠心分離で不溶物を除去したのち、超純水に対して透析を繰り返すことによって得た。得られたシルクフィブロイン水溶液を透析チューブ中で風乾し濃縮した。この濃縮液に酢酸水溶液を添加し、シルクフィブロイン濃度が5質量%、酢酸濃度が2質量%であるシルクフィブロイン溶液を調製した。
このシルクフィブロイン溶液をアルミ板で作製した型(内側サイズ;80mm×40mm×4mm厚)に流し込み、低温恒温槽(EYELA社製NCB−3300)に入れて凍結保存した。
凍結は、予め低温恒温槽を−5℃に冷却しておいて低温恒温槽中にシルクフィブロイン溶液を入れた型を投入して2時間保持し、その後、冷却速度3℃/hで槽内が−20℃になるまで5時間かけて冷却した後、−20℃で5時間保持した。凍結した試料を自然解凍で室温に戻してから、型から取り出し、超純水に浸漬し、超純水を1日2回、3日間交換することによって、使用した酢酸を除去し、シルク多孔質体シートを得た。
得られたシルク多孔質体シートの力学的特性を、INSTRON社マイクロテスター5548型を用いて評価した。作製したシルク多孔質体シートから40mm×4mm×4mmの試験片を切り出し、この試験片を2mm/minの条件で引っ張った際の最大破断強度(引っ張り強度)と最大ひずみ(伸び)を測定した。その結果を第1表に示す。なお、測定結果は、作製した多孔質体から5点の試験片を作製し、さらに異なる日に作製した多孔質体から5点の試験片を切り出し、それら10点について測定を行った平均値を示している。
また、得られたシルク多孔質体シートの構造を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。走査型電子顕微鏡は、Philips社製XL30−FEGを使用して、低真空無蒸着モード、加速電圧10kVで測定を行った。なお、シルク多孔質体シートの構造は、多孔質体の表面ではなく、多孔質体を切断して露出させた内部を観察した。得られた多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。
実施例2
実施例1において、添加剤を酢酸から乳酸に代えたこと以外は実施例1と同様にしてシルク多孔質体シートを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。また、実施例1と同様にして測定した走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。
実施例3
実施例1において、添加剤を酢酸からDMSO(ジメチルスルホキシド)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてシルク多孔質体シートを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。また、実施例1と同様にして測定した走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。
実施例4
実施例1において、添加剤を酢酸からエタノールに代えたこと以外は実施例1と同様にしてシルク多孔質体シートを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。また、実施例1と同様にして測定した走査型電子顕微鏡写真を図4に示す。
実施例5
実施例1において、添加剤を酢酸からコハク酸に代えたこと以外は実施例1と同様にしてシルク多孔質体シートを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。また、実施例1と同様にして測定した走査型電子顕微鏡写真を図5に示す。
実施例6
実施例1において、添加剤を酢酸からL−グルタミン酸に代えたこと以外は実施例1と同様にしてシルク多孔質体シートを得た。実施例1と同様にして測定した走査型電子顕微鏡写真を図6に示す。
実施例7
実施例1において、添加剤を酢酸からL−アスパラギン酸に代えたこと以外は実施例1と同様にしてシルク多孔質体シートを得た。実施例1と同様にして測定した走査型電子顕微鏡写真を図7に示す。
比較例1
市販のコラーゲンシート(コグニス社製「ポリモイストマスク」)を用いて、実施例1と同様にして測定した走査型電子顕微鏡写真を図8に示す。
図1〜7の電子顕微鏡写真より、実施例1〜7に記載の方法によりシルク多孔質体シートが得られることがわかる。また、実施例1〜5のシルク多孔質体シートについて、引っ張り強度及び最大ひずみを測定したところ、得られたシルク多孔質体シートは、比較例1のコラーゲンシートより引っ張り強度が強く、最大ひずみも同等のひずみ率を持っており、一人でも十分に取り扱える手軽さであることがわかった。すなわち、従来、強度が弱く、一人でパックするには困難を伴い、主にエステサロン等の専門家に用いられてきたコラーゲンシートと同等の効果を家庭で手軽に行えるという大きな利点があるので、これらシルク多孔質体シートはスキンケア用シートとして有用であることがわかる。なお、必要に応じて、適当な厚さにスライスして用いてもよい。
実施例8
実施例1において、アルミ板で作製した型の内側サイズを、26.4cm×20.5cm×0.4cm厚としたこと以外は、実施例1と同様にして、シルク多孔質体シートを得た。該シルク多孔質体シートについて、吸水率及び見かけ比重について、以下の方法にて評価した。結果を第2表に示す。また、水分の減少挙動を以下の方法により評価した。結果を図9に示す。
(吸水率及び見かけ比重の測定方法)
得られたシルク多孔質体シートを純水中に24時間浸漬して含水させ、湿重量を測定した(Wa)。この多孔質体を凍結乾燥して充分に乾燥し、多孔質体の乾燥重量を測定した(Wb)。これらの値から多孔質体の吸水率及び見かけ比重を次式に従って算出した。なお、Vはシルク多孔質体シートの体積であり、幅×長さ×厚さである。結果を第2表に示す。
吸水率(%)=(Wa−Wb)×100/Wb
見かけ比重=Wb×100/V
(水分の減少挙動の評価)
また、上記で得られたシルク多孔質体シートからの水分の減少を、体温より若干高めの温度である40℃、相対湿度50%に設定した恒温恒湿槽中に静置し、重量変化を測定した。測定時間は一般的なパック時間の30分とし、試験化粧水としては、化粧水の差異をなくすために純水を用いた。
比較例2
市販のフェイスマスク用不織布(コットン)(丸三産業株式会社製「ミラクルコットン」)を用いて、実施例8に記載されるのと同様の方法にて評価した。結果を第2表及び図9に示す。
第2表に示す結果から、実施例8のシルク多孔質体シートは、フェイスマスクとして代表的な市販コットン不織布に比較して、見かけ密度的にも半分程度の軽さであり、吸水率も非常に大きいことがわかる。すなわち、このシルク多孔質体シートは、スキンケア用の軽い使用感とスキンケアに必要な、十分な化粧水を皮膚に供給することが可能で、スキンケア用シートとして有用であることを示している。
また、図9から明らかなように、実施例8のシルク多孔質体シートは、コットン不織布に対して重量減少が小さく、例えば、パック用のフェイスマスクとして使用した際に、有意性を発揮できることは明らかである。また、初期の重量減少においても、コットン不織布が急激な重量減少を示すのに対して、実施例8のシルク多孔質体シートは、初期の重量減少が少ない。これは、従来のコットン不織布においては、初期の急激な重量減少は重力による含浸した水の偏りにより液だれが生じたもので、構造体内に水分を保持する能力が少ないことを示すものである。これは、パック時に化粧水等の浪費、液だれによる衣服の汚れ等の原因になり、この点でも実施例8のシルク多孔質体シートは、スキンケア用シートとして優れていることがわかる。
なお、破線はシルクフィブロイン多孔質体の平均的な傾きを市販コットン不織布上に平行移動したものを示す。
実施例9
実施例2において、アルミ板で作製した型の内側サイズを、30mm×60mm×20mm厚として、ある程度の厚みを持たせたこと以外は、実施例2と同様にしてシルク多孔質体を得た。該シルク多孔質体について、以下の方法にて皮膚に対するスクラブ効果の試験を行なった。
(スクラブ試験)
37℃のお湯を使用して、腕部及び顔面を、通常のタオルを使うのと同程度の強さで10回こすり、使用感と肌に対するスクラブ効果を官能評価した。結果を第3表に示す。
比較例3及び4
比較例3として、市販のセルロース/コットンスポンジ(ヴェルナー&メルツ社製「スポンジワイプフロッグス」)及び比較例4として市販のウレタンスポンジ(富士ゴム産業株式会社製「給水スポンジ」)をそれぞれ用いて、実施例9に記載されるのと同様の方法にて評価した。結果を第3表に示す。
実施例10〜16
実施例1〜7において、アルミ板で作製した型の内側サイズを、それぞれ300×210mm×5mm厚にしたこと以外は、実施例1〜7と同様にして、シルク多孔質体を得た。これらのシルク多孔質体をそれぞれ0.7mmの厚さにスライスして、実施例10〜16のスキンケア用シートを作製した。
該スキンケア用シートを、フェイスマスクとして使用して、女性テスターによる官能評価を行なった。評価項目としては、(1)外観評価、(2)化粧水の代わりに純水を試験液として用い、通常行なう方法で顔にパックしての、吸水・保水感・取り扱い性の評価、(3)パック性の評価、である。結果を第4表に示す。
比較例5
市販の不織布フェイスマスク(丸三産業株式会社製「ミラクルコットン」)を用いて、実施例10〜16と同様の方法で評価した。評価結果を第4表に示す。
市販の不織布フェイスマスクに比べて、実施例10〜16のスキンケア用シートは、フェイスマスクとしての性能が格段に優れていることがわかる。特に、添加剤として乳酸を使用したものが最も優れた評価であった。
実施例17〜19
シルク多孔質体の安全性に関する非臨床試験の一環として、ヒトパッチ試験(皮膚感作性パッチ試験)を行った。皮膚感作性パッチ試験は、シルク多孔質体の人体皮膚に対する、刺激性、あるいはアレルギー性の接触皮膚炎を誘起するかどうかを判断するものである。
用いたシートは、実施例1において、アルミ板で作製した型の内側サイズを、264mm×205mm×1mm厚にし、それぞれ添加剤を酢酸からL−アスパラギン酸(実施例17)、乳酸(実施例18)、及びコハク酸(実施例19)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、シルク多孔質体シートを得た。これらのシルク多孔質体シートをそれぞれ、試験に供するために、10mm×10mm×1mm厚に切断し、パッチとした。
試験は、試験開始時において、健康な18歳から65歳の日本人女性50名で行った。試験に用いた10mm×10mmのサイズのパッチを、20mm×20mmの低刺激性テープで背中に固定した。また、各々のパッチは、最低15mm離して固定した。また、比較のために、10mm×10mmの綿の不織布を、20mm×20mmの低刺激性テープで固定した。試験は、パッチを添付後48時間後にパッチを取り除き、皮膚反応を観察した。さらに、同じ場所にパッチを貼付し、48時間後の観察を行った。合計9回の貼付と観察を繰り返した。また、その2週間後に、同じ場所にパッチを貼って観察することを48時間置きに4回繰り返した。
その結果、試験途中で、実施例17及び18において、二人の被験者が一度ずつ非常に軽度な紅斑を示したが、試験中に紅斑も消失するという結果となり、結果としてシート状のシルク多孔質体は、非常に低刺激性であり、アレルギー感作性もないことが分かった。
また、実施例19においては、試験途中で、一人の被験者が一度非常に軽度な紅斑を示したが、試験中に紅斑も消失するという結果となり、結果としてシート状のシルク多孔質体は、非常に低刺激性であり、アレルギー感作性もないことが分かった。
実施例20
シルク多孔質体シートの安全性に関する非臨床試験の一環として、皮膚一次刺激性試験、皮内反応試験及び皮膚感作性試験を行った。なお、本試験は、「申請資料の信頼性の基準」(薬事法施行規則第43号)を基準として、「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的安全性試験の基本的考え方について」(2003年2月13日付医薬審発第0213001号)と、「生物学的安全性試験の基本的考え方に関する参考資料について」(2003年3月19日付医療機器審査No.36)に従い行った。
実施例1において、アルミ板で作製した型の内側サイズを、130mm×80mm×12mm厚にし、添加剤を酢酸から乳酸に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、シルク多孔質体シートを得た。このシルク多孔質体シートを、試験に供するために、5mm×5mm×5mmのサイズに切り出して試験片とした。
(皮膚一次刺激性試験)
まず、シルク多孔質体シートの生理食塩液抽出液及びゴマ油抽出物をウサギに塗布し、局所刺激性(皮膚刺激性)の有無について検討した。具体的には、上記試験片に、生理食塩液又はゴマ抽を加え、オートクレーブ内で120℃、1時間の条件で抽出し、各試験液とした。また、抽出溶媒(生理食塩液又はゴマ油)のみを同様な条件で処理し、対象液とした。投与は、1溶媒あたり雄ウサギ6匹を用い、1匹につき、試験液及び対象液それぞれ背部の無傷皮膚、擦過傷皮膚に0.5mLずつ塗布した。
生理食塩液抽出による試験液では、6例中3例で投与後1時間からごく軽度または軽微な紅斑が認められた。この紅斑は対象液である生理食塩液でもみられ、対象液と同等であった。なお、一次刺激性指数は0.3であり、「無視できる程度の刺激性」と判断された。
ゴマ油抽出による試験液では、6例中4例で投与後1時間からごく軽度な紅斑が認められた。この紅斑は対象液であるゴマ油液でもみられ、対象液と同等であった。なお、一次刺激性指数は0.1であり、「無視できる程度の刺激性」と判断された。
(皮内反応試験)
次に、シルク多孔質体シートの生理食塩液抽出液及びゴマ油抽出物をウサギ3匹の背部に皮内投与し、局所刺激性(組織障害性および炎症誘起性)の有無について検討した。具体的には、上記皮膚一次刺激性試験で用いたのと同様の試験液及び対象液を用い、ウサギ1匹につき、試験液及び対照液をそれぞれ0.2mLずつ背部の5ヶ所に皮内投与した。
生理食塩液抽出による試験液では、全例で皮内反応は認められず、「刺激性無し」と判断された。
一方、ゴマ油抽出による試験液では、3例中2例に投与後24時間からごく軽微な紅斑が認められた。この紅斑は対照液であるゴマ油でも見られ、対照液と同等であった。一次刺激係数は0.0以下を示し、「無視できる程度の刺激性」と判断された。
(皮膚感作性試験)
次に、Maximization Test法により、シルク多孔質体シートのメタノール抽出液について、雄性モルモット10匹を用いて、モルモット皮膚に対する感作性の有無を検討した。
皮膚感作性試験前に、適切な抽出溶媒を決めるために、アセトンとメタノールを用いて抽出率を算出した。その結果、アセトンよりもメタノールの方が高い抽出率を示したために、皮膚感作性試験に用いる抽出溶媒をメタノールとした。
上記試験片に、メタノール10mLを加え、室温で恒温浸とう培養機を用いて抽出した。抽出は24時間以上行った。対照群として、オリーブ油で感作する陰性対照群、及び1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼンで感作する陽性対照群を設けた。各対照群の動物数はそれぞれ5匹とした。
試験液投与群及び陰性対照群とも、抽出液の6.25、12.5、25、50、100%液並びにアセトンで惹起した結果、惹起後24、48及び72時間のいずれの観察時期においても皮膚反応は見られなかった。
一方、陽性対照群では、0.1%1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼンの惹起により、5例全例で惹起後、24,48及び72時間後に明らかな陽性反応が認められた。
この試験結果から、シルク多孔質体シートには、皮膚感作性を示す物質は存在しないと判断された。
以上のように、シルク多孔質体シートは、「刺激性無し」か「無視できる程度の皮膚刺激性」で「皮膚感作性を示す物質は存在しない」ことにより、安全性が高く、スキンケア用シートとして好適に使用できることが確認された。
実施例21〜27
実施例1から実施例7(この順に実施例21〜27に対応する)において、流し込む型をアルミ板で作製した型(内側サイズ;80mm×40mm×4mm)からアルミ板で作製した型(内側サイズ;264mm×205mm×4mm)とした以外は、実施例1と同様にしてシルクフィブロイン多孔質体(サイズ:263mm×204mm×3mm)を作製した。
得られたシルクフィブロイン多孔質体を、スライサー(有限会社北島マシンナイフ製KMK−09−0005−HT)を用いて厚さ方向で1mm及び2mmのところで切削して、三枚のシルクフィブロイン多孔質体(サイズ:サイズ:263mm×204mm×1mm)を得た。その中心から切削された多孔質層が露出した多孔質体(フィルム層なし)とフィルム層を持つ多孔質体について、細孔面積比、吸水速度及び蒸発速度、切削前の多孔質体については吸水率、を求めた。得られた結果を第5表に示した。
(細孔面積比の測定)
得られた多孔質体の構造を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。走査型電子顕微鏡は、Philips社製XL30−FEGを使用して、低真空無蒸着モード、加速電圧10kVで測定を行った。なお、多孔質体の構造は、フィルム層、多孔質層及び多孔質体の断面を観察し、得られた走査型電子顕微鏡写真を画像解析ソフトImageJ(アメリカ国立衛生研究所製)を用いて画像処理することで細孔面積比を測定した。なお、測定は5回行いその平均値を算出した。
(吸水速度の測定)
切削後のシルクフィブロイン多孔質体中の水分を冷凍庫中で凍結後、凍結乾燥機中で完全に乾燥することで乾燥シルクフィブロイン多孔質体を得た。乾燥シルクフィブロイン多孔質体の切削面(多孔質層)と非切削面(フィルム層)にピペットを用いて純水を100μl滴下し、吸収されるまでの時間から吸水速度を次式に従って算出した。測定は5回行い、その平均値を示した。
吸水速度(μl/s)=純水滴下量/吸水に要した時間
(蒸発速度の測定)
得られたシルクフィブロイン多孔質体を48時間純水中に浸漬し、完全に吸水させた後、温度:40℃、相対湿度:50%の条件に設定した恒温恒湿槽中で金網上に静置し、10分経過までは1分ごとに、10分以降は2分ごとにその重量を測定した。該重量の変化を水の蒸発量の変化とした。蒸発速度は、静置して1分後から30分までの蒸発量の変化から下記の式より算出した値である。
蒸発速度(g/m2・s)=蒸発量の変化/多孔質体表面積
本発明のスキンケア用シートは、安全性が高く、取り扱いに容易な十分な強度を持つことから、スキンケア用として極めて優れた性質を有する。したがって、化粧品・エステ分野等に広く適用することが可能である。また、添加剤としてアミノ酸など、肌にとって有効な成分を使用した場合などは、添加剤をそのまま細孔内に留めることで、角質の保湿効果が期待できるなど、さらなる応用展開も期待される。

Claims (11)

  1. シルクフィブロイン多孔質体からなるスキンケア用シート。
  2. 前記シルクフィブロイン多孔質体が、多孔質層と、その一方の面のみにフィルム層を有する請求項1に記載のスキンケア用シート。
  3. 前記多孔質層は吸水速度が20〜30μl/s、及び/又は蒸発速度が0.08〜0.2g/m2・sであり、かつ、前記フィルム層は吸水速度が0.1〜3.5μl/s、及び/又は蒸発速度が0.03〜0.07g/m2・sである請求項2に記載のスキンケア用シート。
  4. 前記多孔質体が、シルクフィブロイン水溶液を凍結し、ついで融解することにより製造された多孔質体である請求項1〜3のいずれか1項に記載のスキンケア用シート。
  5. 前記シルクフィブロイン水溶液中に添加剤が添加された請求項4に記載のスキンケア用シート。
  6. 前記多孔質体が、添加剤を含有する請求項1に記載のスキンケア用シート。
  7. 前記添加剤が、有機溶剤、アミノ酸及び脂肪族カルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5又は6に記載のスキンケア用シート。
  8. 前記添加剤が、エタノール、酢酸、乳酸、コハク酸、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5又は6に記載のスキンケア用シート。
  9. 前記添加剤が乳酸である請求項8に記載のスキンケア用シート。
  10. 引っ張り強度が20kPa以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載のスキンケア用シート。
  11. 厚みが0.1〜3mmである請求項1〜10のいずれか1項に記載のスキンケア用シート。
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