JP6932343B2 - 体表に適用する非架橋ゼラチン、これを含む化粧料用または医薬用ゼラチン、ゼラチン混合体の製造方法、および化粧料用または医薬用ゼラチンの製造方法 - Google Patents

体表に適用する非架橋ゼラチン、これを含む化粧料用または医薬用ゼラチン、ゼラチン混合体の製造方法、および化粧料用または医薬用ゼラチンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非架橋ゼラチン、ゼラチン混合体、およびこれらを含む化粧料用または医薬用ゼラチンに関する。
ゼラチンは皮膚、骨などの熱抽出物であり、変性コラーゲンを主成分としている。ゼラチンは化学的にコラーゲンとほぼ等価であるため、生体適合性に優れ、生体内で分解および吸収される。このためゼラチン水溶液から作製された成型体が微粒子、フィルム、カプセルなどとして再生医療の分野で広く用いられている。ゼラチン水溶液は低温でゲル化し、加温すると融解する温度可逆性の性質(ゾル−ゲル転移)を有し、この性質を活用したものとしてゼリーが古くから知られる。しかしながら、ゼラチンのゾル−ゲル転移を医薬、化粧料などの分野に応用した事例は、ほとんど知られていない。
特開2011−172925号公報(特許文献1)には、シート状細胞培養物と、該シート状細胞培養物を支持し、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物を含有する支持体層とからなる医療用積層体が記載されている。本文献の実施例1では、常温で高分子ゲル化可能な生体適合性化合物としてゼラチンを用い、このゼラチンを4℃で凝固させて積層体を製造し、その後、37℃に加温してゼラチンを融解させてシート状細胞培養物を得ることが開示されている。
特開2014−100110号公報(特許文献2)および大藪らの文献(非特許文献1)には、60℃の穏やかな温度でブタ皮膚コラーゲン由来のアテロコラーゲンを熱変性させることにより、短いペプチドの含有量を減少させた非分解ゼラチン(UCG)が開示されている。このUCGの5質量%水溶液は、通常のゼラチンの5質量%水溶液よりも高い31℃の融点を有し、25℃で急速にゲル化し、さらに37℃で融解するとされている。
特開2011−172925号公報 特開2014−100110号公報
Y Oyabu et al, Evaluation of gelatin hydrogel as a potential carrier for cell transportation, Journal of Bioscience and Bioengineering, 118(1), 112-115(2014)
しかしながら、医薬、化粧料などにゼラチンを応用することを鑑みれば、37℃前後でゼラチンのゾル−ゲル転移を起こすことが好ましいと考えられる。有効成分の効果の持続性を人体の体温(以下、「生体温度」と記すことがある)付近で獲得するためである。上記特許文献1、2に開示されるゼラチンは、37℃でただちに融解するため、効果の持続性を獲得する点で改善の余地があると推測される。
さらに、高い融点を有するゼラチンとして、ゼラチン乾燥体に対して紫外線を照射するなどの加工処理を行なうことにより、ゼラチンの分子間または分子内を架橋した架橋ゼラチンが公知である。しかしながら架橋ゼラチンは、40℃を超える温度でも融解しないものが多い。したがって、30℃を超える程度の比較的高い融点を有し、かつ生体温度付近でゾル−ゲル転移を起こすことのできるゼラチンが要求されている。
本発明は、上記実情に鑑みなされ、30℃を超える程度の比較的高い融点を有し、かつ生体温度付近でゾル−ゲル転移を起こすことができる非架橋ゼラチン、これを含む化粧料用または医薬用ゼラチンおよびゼラチン混合体を提供することを目的とする。
本発明に係る非架橋ゼラチンは、5質量%水溶液が以下の特性(i)および(ii)を示す。
(i)パギイ法による融点が31℃以上である。
(ii)32℃で3時間以上ゲル状態を維持する。
上記非架橋ゼラチンは、上記5質量%水溶液がさらに以下の特性(iii)を示すことが好ましい。
(iii)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
上記非架橋ゼラチンは、2質量%水溶液が以下の特性(iv)および(v)を示すことが好ましい。
(iv)前記パギイ法による融点が30℃以上である。
(v)32℃で1時間以上ゲル状態を維持する。
上記非架橋ゼラチンは、上記2質量%水溶液がさらに以下の特性(vi)を示すことがさらに好ましい。
(vi)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
上記非架橋ゼラチンは、腱由来コラーゲンに由来することが好ましい。
本発明に係る化粧料用または医薬用ゼラチンは、上記非架橋ゼラチンを含むことが好ましい。
本発明に係るゼラチン混合体は、2種以上のゼラチンを含むゼラチン混合体であって、上記非架橋ゼラチンを少なくとも含むことが好ましい。
本発明に係る化粧料用または医薬用ゼラチンは、上記ゼラチン混合体を含むことがさらに好ましい。
本発明によれば、30℃を超える程度の比較的高い融点を有し、かつ生体温度付近でゾル−ゲル転移を起こすことができる非架橋ゼラチン、これを含む化粧料用または医薬用ゼラチンおよびゼラチン混合体を提供することができる。
非架橋ゼラチンが体表(腰)においてゲル状態を維持する時間を説明する図面代用写真である。 非架橋ゼラチンが体表(手の甲)においてゲル状態を維持する時間を説明する図面代用写真である。
以下、本発明に係る非架橋ゼラチン、これを含む化粧料用または医薬用ゼラチン、ならびにゼラチン混合体について、それぞれ詳細に説明する。
本明細書において「非架橋ゼラチン」とは、JIS K 6503:2001(にかわ及びゼラチン)に基づき測定した水分率が15質量%以下であるゼラチン乾燥体またはその水溶液(ゲル状態)に対し紫外線を照射するなどの種々の加工処理を行なうことにより、分子間または分子内を架橋した所謂「架橋ゼラチン」ではないゼラチンをいう。さらに本明細書において「非架橋ゼラチン」、「化粧料用ゼラチン」、「医薬用ゼラチン」および「ゼラチン混合体」の用語は、ゲル状態にあるときのほか、ゼラチンが溶解している水溶液の状態にあるときを含めて用いる場合がある。本明細書において「X〜Y」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちX以上Y以下)を意味しており、Xにおいて単位の記載がなく、Yにおいてのみ単位が記載されている場合、Xの単位とYの単位とは同じである。
<非架橋ゼラチン>
(5質量%水溶液)
本発明に係る非架橋ゼラチンは、5質量%水溶液が以下の特性(i)および(ii)を示す。
(i)パギイ法による融点が31℃以上である。
(ii)32℃で3時間以上ゲル状態を維持する。
非架橋ゼラチンは、上記5質量%水溶液がさらに以下の特性(iii)を示すことが好ましい。
(iii)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
加えて非架橋ゼラチンは、5質量%水溶液の融点が31℃以上40℃以下であることがさらに好ましい。非架橋ゼラチンは、5質量%水溶液が32〜42℃の温水中で融解することがよりさらに好ましい。非架橋ゼラチンの5質量%水溶液の32℃でのゲル状態は、溶媒成分が気化しない環境下であれば、1週間程度維持される。
これらの特徴により非架橋ゼラチンは、30℃を超える程度の比較的高い融点を有し、かつ生体温度付近でゾル−ゲル転移を起こすことができる。
ここで、本発明において「ゲル状態を維持する」とは、ゲル形状が目視において崩れないで維持される状態のことをいう。したがって、非架橋ゼラチンに含まれる水分が一部蒸発するなどしても、その形状が維持される限り、「ゲル状態を維持する」ことに含まれる。さらに、「ゲル状態を維持する」ことを脱する臨界点、すなわちゲル状態を維持しなくなったと判断される臨界点は、その形状が崩れることが目視において確認された時点をいうものとする。よって、後述する実施例6などのように、非架橋ゼラチンの形状が目視においてその一部でも崩れたことが確認された場合、もはや「ゲル状態を維持する」とはいえない。
本発明において、非架橋ゼラチンを5質量%水溶液とするときの溶媒には、JIS K 6503:2001(にかわ及びゼラチン)に記載されている電気伝導度が2μS/cm(25℃)以下の蒸留水またはイオン交換水を用いることができる。所謂純水、超純水も上記蒸留水または上記イオン交換水に該当する。上記蒸留水または上記イオン交換水を用いることにより、非架橋ゼラチンを後述する化粧料用または医薬用として用いることが容易となる。
非架橋ゼラチンにおいて5質量%水溶液の融点は、「パギイ法(写真用ゼラチン試験法、第10版(2006年版)」に準拠することで測定することができる。ただし、上記パギイ(PAGI)法では10質量%水溶液を用いてゼラチンの融点を測定するが、本明細書ではこれを5質量%水溶液とし、そのゼラチンの融点を測定する。融点測定時の非架橋ゼラチンを5質量%水溶液とするときの溶媒としては、上記イオン交換水を用いる。
したがって、非架橋ゼラチンは、その融点が上記パギイ(PAGI)法で測定されるため、融点以下の温度では必ずゲル状態にあり、融点温度を超えても直ちにすべてが融解することはなく、融点よりもより高温の温度になるまでゲル状態を維持することとなる。
(2質量%水溶液)
本発明に係る非架橋ゼラチンは、2質量%水溶液が以下の特性(iv)および(v)を示すことが好ましい。
(iv)パギイ法による融点が30℃以上である。
(v)32℃で1時間以上ゲル状態を維持する。
非架橋ゼラチンは、上記2質量%水溶液がさらに以下の特性(vi)を示すことがさらに好ましい。
(vi)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
加えて非架橋ゼラチンは、2質量%水溶液の融点が30℃以上40℃以下であることが好ましい。非架橋ゼラチンは、2質量%水溶液が32〜42℃の温水中で融解することがさらに好ましい。非架橋ゼラチンの2質量%水溶液の32℃でのゲル状態は、溶媒成分が気化しない環境下であれば1週間程度維持される。
本発明において、非架橋ゼラチンを2質量%水溶液とするときの溶媒にも、上記蒸留水またはイオン交換水を用いることが好ましい。さらに非架橋ゼラチンの2質量%水溶液の融点も、上述のように上記パギイ(PAGI)法に準拠しつつ、2質量%水溶液として融点を測定すればよい。融点測定時の非架橋ゼラチンを2質量%水溶液とするときの溶媒にも、上述したイオン交換水を用いる。
ここで本発明に係る非架橋ゼラチンは、上述のように、種々の加工処理を行なうことにより、分子間または分子内を架橋した架橋ゼラチンではないゼラチンである。架橋ゼラチンは、紫外線処理、架橋剤による処理、熱処理などにより架橋に寄与する化学的な変化が分子間または分子内に生じている。紫外線処理では、紫外線が芳香族アミノ酸などに作用し、不対電子をもつ高分子ラジカルが発生することにより、分子間反応が生じる。架橋剤による処理では、たとえばグルタルアルデヒド架橋を挙げることができ、この場合、隣接するリジン残基間においてグルタルアルデヒドを介した結合が生じる。熱処理では側鎖のカルボキシル基とアミノ基との間で脱水縮合反応が生じる。
したがって本発明の非架橋ゼラチンは、種々の加工処理によって上述したような反応または結合が生じることにより、分子間または分子内が架橋された架橋ゼラチンを除外したゼラチンのうち、上述した融点など種々の特徴を備えるゼラチンを対象とする。
(非架橋ゼラチンの由来)
本発明に係る非架橋ゼラチンは、腱由来コラーゲンに由来することが好ましい。たとえば牛、豚、鶏、ダチョウなどの動物の腱由来コラーゲンに由来することが好ましい。上述した(i)〜(vi)の特性を得やすいからである。
さらに、コラーゲンの種類としては、アテロコラーゲン、酸抽出コラーゲン、アルカリ処理コラーゲンなどを用いることができる。好ましくはアテロコラーゲンを用いる。アテロコラーゲンは、たとえばペプシン、キモシン、カテプシンD、レニンなどのタンパク質分解酵素を加え、N末端またはC末端に存在するテロペプチドを消化することにより調製されたコラーゲンであり、粘性が低く、取扱いが容易である。よって非架橋ゼラチンは、腱由来のアテロコラーゲンを原料として用いることがさらに好ましい。
(化学修飾)
本発明に係る非架橋ゼラチンは、その側鎖となる原子団が化学修飾されているアミノ酸残基を含んでいてもよい。たとえば、非架橋ゼラチンの側鎖のカルボキシル基およびアミノ基が化学修飾されていてもよく、さらにペプチド鎖中のプロリンが化学修飾されていてもよい。カルボキシル基の化学修飾としては、たとえばアンモニア、アミン、グリシンメチルエステルなどによるアミド化が挙げられる。アミノ基の化学修飾としては、たとえばサクシニル化、フタル化、フマリル化、アセチル化などが挙げられる。プロリンは、たとえばゼラチンにプロリル4−ヒドロキシラーゼを作用させることにより、そのγ位の炭素原子にヒドロキシル基が導入されて水酸化される。これらの化学修飾に用いられる官能基のうち、アミノ基とカルボキシル基はコラーゲンの立体構造上、らせんの外側に向いているため、このらせん構造の部分回復現象であるゼラチンのゲル化現象がこれらの官能基修飾によって阻害されにくい。その結果、本発明に係る非架橋ゼラチンは、30℃を超える程度の比較的高い融点を有するという効果を損なわずに、その他の種々のゼラチン物性を変えることが可能である。
プロリンの水酸化は、コラーゲンのらせん構造内の水素結合に寄与し、ゲル化を安定化させる。好ましい化学修飾体としては、導入される側鎖が生体内代謝物質であり、水溶性を高める効果を持つサクシニル化が挙げられる。化学修飾の度合いは、非架橋ゼラチンの物性が所望のものとなるように適宜、調整することが好ましい。サクシニル化は、ゼラチンに存在するアミノ基全体のうちの80%以下であれば、非架橋ゼラチンの融点をほとんど変化させないで、その水溶性を向上させることができる。より好ましいサクシニル化の割合は、ゼラチンに存在するアミノ基全体のうちの40〜70%である。カルボキシル基およびアミノ基の化学修飾、ならびにプロリンの水酸化は従来公知の方法により行なうことができる。
(作用)
以上より、本発明に係る非架橋ゼラチンは、30℃を超える程度の比較的高い融点を有し、かつ生体温度付近でゾル−ゲル転移を起こすことができる。したがって、たとえば後述する化粧料用または医薬用ゼラチンなどとして、所望の化粧料、または医薬を非架橋ゼラチンに配合し、生体に適用することにより、該化粧料の有効成分、該医薬の有効成分の効果を長時間にわたって持続的に生体に付与することが可能となる。
<非架橋ゼラチンの製造方法>
本発明に係る非架橋ゼラチンは、牛、豚、鶏、ダチョウなどの動物から抽出されたコラーゲンを熱分解により調製することにより得ることができる。非架橋ゼラチンの製造には、上記のとおり上記動物の腱由来コラーゲンを用いることが好ましく、コラーゲンの種類としては、上記のとおりアテロコラーゲンを用いることが好ましく、もって腱由来のアテロコラーゲンを用いることがさらに好ましい。
上記コラーゲンを熱分解により調製する方法は、具体的には以下のとおりである。まず上記動物から塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などの酸により抽出されたコラーゲンを、0.1〜10質量%の濃度になるように上記イオン交換水を加え、特定のpHに調整する。コラーゲンの濃度は、0.15〜5質量%とすることが好ましく、0.2〜3質量%とすることがさらに好ましい。pHは、たとえば2〜9、好ましくは3〜8、より好ましくは4〜8に調整する。続いて、上記コラーゲンが溶解した水溶液をたとえば40〜80℃の温度範囲で5分間〜24時間保持することで熱変性させる。熱変性温度は、好ましくは45〜70℃であり、より好ましくは50〜60℃である。熱変性時間は、熱変性温度が低ければ長時間とし、熱変性温度が高ければ短時間とする反比例の関係に基づいて適宜調整することが好ましい。熱変性時間としては、たとえば15分〜15時間とすることができる。
最後に、熱変性させたコラーゲンの水溶液、すなわちゼラチンの水溶液を乾燥させることにより、本発明の非架橋ゼラチンを得ることができる。乾燥の方法としては、従来公知の方法を用いることができる。たとえば通風乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥などを挙げることができる。さらに得られたゼラチンに対し、上述のように従来公知の方法を用いてその側鎖を化学修飾することができる。
<化粧料用または医薬用ゼラチン>
本発明に係る化粧料用または医薬用ゼラチンは、上記非架橋ゼラチンを含むことが好ましい。化粧料用または医薬用ゼラチンは、上述した特徴を有する非架橋ゼラチンを含むため、所望の化粧料または医薬を非架橋ゼラチンに配合し、生体に適用した場合に、該化粧料の有効成分、該医薬の有効成分の効果を長時間にわたって持続的に生体に付与することが可能となる。
たとえば、本発明では、化粧料用ゼラチンとして、香料、美白剤、紫外線吸収剤、アミノ酸類、補酵素、ビタミン類、保湿剤、血行促進剤、しわ防止剤、肌荒れ防止剤、アンチエイジング剤、活性酸素除去剤、抗酸化剤、酸化防止剤、pH調整剤、界面活性剤、着色料、防腐剤、抗菌剤などの成分を非架橋ゼラチンに配合することにより、フレグランス、美白、日焼け止め、肌修復、保湿、酸化防止、抗菌などの効果を生体に長時間にわたって付与することができる。さらに医薬用ゼラチンとして、NSAID、ステロイド、抗生物質、抗ヒスタミン剤、消炎剤、抗菌性物質、鎮痛剤、精神安定剤、育毛剤、毛髪栄養剤、などの医薬を非架橋ゼラチンに配合することにより、抗炎症、抗アレルギー、除菌、鎮痒、精神安定、育毛などの効果を生体に長時間にわたって付与することができる。
このように本発明において、化粧料用ゼラチンは化粧品に用いるゼラチンが含まれ、医薬用ゼラチンは、薬事法でいう医薬品、医薬部外品に用いるゼラチンが含まれる。
<ゼラチン混合体>
本発明に係るゼラチン混合体は、2種以上のゼラチンを含むゼラチン混合体であって、上記非架橋ゼラチンを少なくとも含む。たとえば、上述した特徴を有する少なくとも1種の非架橋ゼラチンと、少なくとも1種の従来公知のゼラチンとを含んだゼラチン混合体とすることができる。さらに、ゼラチン混合体に含まれる各ゼラチンの配合量を用途に応じて適宜調整することが好ましい。これにより、所望の水溶液濃度で所望の融点を有し、かつ所望の時間にわたってゲル化状態を維持することができるゼラチン混合体を提供することができ、非架橋ゼラチンの用途をさらに拡大することができる。
たとえば、上記非架橋ゼラチンと従来公知のゼラチン(商品名:「GLS250」、新田ゼラチン株式会社製)とを、1:1の比率(質量換算)で配合したゼラチン混合体は、その2質量%水溶液の融点が26.9℃であり、かつ37℃で15分以内に融解し、ゲル状態を維持しなくなる特性を有する。さらに、上記非架橋ゼラチンと他の従来公知のゼラチン(商品名:「G1890」、シグマ−アルドリッチ社製)とを、1:1の比率(質量換算)で配合したゼラチン混合体は、その5質量%水溶液の融点が32.6℃であり、かつ37℃で24時間以上ゲル状態を維持する特性を有する。このように、本発明に係るゼラチン混合体は、所定の水溶液濃度で様々な融点を有し、様々な時間にわたってゲル化状態を維持する特性を有するゼラチンとして、そのバリエーションを多数揃えることができる。
さらに、上記非架橋ゼラチンのゲルを従来公知のゼラチンのゲルで包接すること、または従来公知のゼラチンのゲルを上記非架橋ゼラチンのゲルで包接することにより、2つの融点を備えたゼラチン混合体のゲルを作製することもできる。これによりゼラチン混合体は、その部分によって融解する温度および時間が異なるゼラチンとして新たな用途を提供することができる。たとえば、半減期の短い薬剤を内包させた医薬用ゼラチン、効果が短い化粧料用成分を内包させた化粧料用ゼラチンなどの用途を提供することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
豚腱由来アテロコラーゲン(日本国産)を1N塩酸を用いて0.3質量%でpH3.0の水溶液に調製し、50℃で1時間、加熱処理した。その後、1N水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整し、凍結乾燥することにより非架橋ゼラチンを得た。
実施例1の非架橋ゼラチンは、5質量%水溶液のパギイ法による融点が、34.7℃であった。32℃でゲルを維持する時間は、24時間以上であった。
<実施例2>
豚腱由来アテロコラーゲン(日本国産)を1N塩酸を用いて0.3質量%でpH3.0の水溶液に調製し、60℃で1時間、加熱処理した。その後、1N水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整し、凍結乾燥することにより非架橋ゼラチンを得た。
実施例2の非架橋ゼラチンは、5質量%水溶液のパギイ法による融点が、33.0℃であった。32℃でゲルを維持する時間は、24時間以上であった。
<実施例3>
豚腱由来アテロコラーゲン(日本国産)を1N塩酸を用いて0.3質量%でpH7.0の水溶液に調製し、60℃で1時間、加熱処理した。その後、凍結乾燥することにより非架橋ゼラチンを得た。
実施例3の非架橋ゼラチンは、5質量%水溶液のパギイ法による融点が、35.7℃あった。32℃でゲルを維持する時間は、24時間以上であった。
<実施例4>
ダチョウ皮膚由来アテロコラーゲン(日本国産)を用いること以外、実施例2と同様の方法により非架橋ゼラチンを得た。
実施例4の非架橋ゼラチンは、5質量%水溶液のパギイ法による融点が、32.5℃であった。32℃でゲルを維持する時間は、24時間以上であった。
<比較例>
比較例には、以下のような架橋ゼラチンを用いた。すなわち、牛骨アルカリ処理ゼラチン(新田ゼラチン株式会社製)を純水に溶解させ、5質量%ゼラチン溶液10mlに対し、25質量%グルタルアルデヒド水溶液(ナカライテスク株式会社製)を20μl添加した。次に、4℃で12時間架橋反応を行なった。その後、100mMグリシン溶液に室温で1時間浸漬し、さらに室温で30分間純水で洗浄することを5回繰り返すことにより、架橋ゼラチンを得た。
比較例の架橋ゼラチンは、45℃で1時間以上加温してもゲル状態を維持していた。
実施例1〜4における5質量%水溶液の融点は、上述のように上記パギイ(PAGI)法に準拠して測定した。各試料において所定の濃度の水溶液とするときの溶媒には、上述したJIS K 6503:2001に記載されているイオン交換水を用いた。「ゲル状態を維持する」と判断される基準についても上述のとおりとした。
<実施例5>
(非架橋ゼラチンの準備)
実施例5においては、上記実施例3の非架橋ゼラチンを準備した。
さらに、比較例として市販のゼラチンであるG1890(シグマ−アルドリッチ社製)とGLS250(新田ゼラチン株式会社製)とを準備した。
(融点およびゲル状態維持時間の測定)
実施例5では、実施例3の非架橋ゼラチンを用いて下記濃度を有する水溶液を市販のビーカー中でそれぞれ調製し、パギイ法で用いる融点測定管に注ぎ込みこれらを氷中に入れて30分間冷却することにより、試料No.1、2のゲルを作製した。さらに、市販のゼラチンを用いて下記濃度を有する水溶液を市販のビーカー中でそれぞれ調製し、パギイ法で用いる融点測定管に注ぎ込みこれらを氷中に入れて30分間冷却することにより、試料No.3〜6のゲルを作製した。これにより試料No.1〜6のゲルに対し、その融点をそれぞれ測定した。続いて、試料No.1〜6の水溶液2mlを、直径35mmのディッシュにそれぞれ添加し、4℃で2時間静置し、その後室温で1時間保持することにより、28℃、32℃および37℃においてゲル状態を維持する時間の評価に用いるゲルを準備した。
試料No.1〜6においても、これらのゲルの融点は上述のように上記パギイ(PAGI)法に準拠して測定した。各試料の水溶液の溶媒にはイオン交換水を用いた。「ゲル状態を維持する」と判断される基準についても上記と同じとした。試料No.1〜6のゼラチンの種別とそのゲルの融点は、以下のとおりである。
試料No.1: 非架橋ゼラチン 5質量%水溶液、融点 35.7℃
試料No.2: 非架橋ゼラチン 2質量%水溶液、融点 30.5℃
試料No.3: G1890 5質量%水溶液、融点 29.5℃
試料No.4: G1890 2質量%水溶液、融点 24.1℃
試料No.5: GLS250 5質量%水溶液、融点 27.2℃
試料No.6: GLS250 2質量%水溶液、融点 22.9℃。
28℃、32℃および37℃における試料No.1〜6のゲルのゲル状態を維持する時間を、以下の表1〜6に示す。試料No.1の結果が表1に対応し、試料No.2の結果が表2に対応し、試料No.3の結果が表3に対応し、試料No.4の結果が表4に対応し、試料No.5の結果が表5に対応し、試料No.6の結果が表6に対応する。表1〜6において「Y」は、ゲル状態を維持することを示し、「N」は、ゲル状態が維持されないで融解したことを示す。「−」は、融解後であるので観察しなかったことを意味する。表2に示すように、試料No.2の28℃でのゲル状態を維持する時間が24時間以上であったことから、表1において試料No.1の28℃でのゲル状態を維持する時間については試験しなかった。
Figure 0006932343
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(評価)
以上より、本実施例の非架橋ゼラチンは、5質量%水溶液が以下の特性(i)〜(iii)を示すことが分かる。
(i)融点が31℃以上である。
(ii)32℃で3時間以上ゲル状態を維持する。
(iii)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
さらに本実施例の非架橋ゼラチンは、2質量%水溶液が以下の特性(iv)〜(vi)を示すことが分かる。
(iv)融点が30℃以上である。
(v)32℃で1時間以上ゲル状態を維持する。
(vi)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
一方で、G1890は、5質量%水溶液が28℃で24時間、ゲル状態を維持したが、5質量%水溶液の32℃の条件において3時間以内に融解し、37℃で15分以内に融解した。G1890の2質量%水溶液は、28℃および32℃の条件において1時間以内に融解し、37℃で15分以内に融解した。GLS250も、5質量%水溶液が28℃で24時間、ゲル状態を維持したが、5質量%水溶液の32℃の条件において1時間以内に融解し、37℃で15分以内に融解した。さらに2質量%水溶液のすべての温度の条件において15分以内に融解した。
したがって、非架橋ゼラチンは、従来のゼラチンよりも高い融点を有し、かつ生体温度付近でゾル−ゲル転移を起こすことができる。
<実施例6>
(体表でのゲル状態維持時間の測定)
実施例6では、実施例3の非架橋ゼラチンの5質量%水溶液を調製し、これらを4℃に冷却することにより、試料No.7、9のゲルを作製した。比較例としてG1890を調製することにより、5質量%水溶液とした試料No.8、10のゲルを作製した。
試料No.7、8のゲルを健康な成人(31歳、男性)の腰(体表温度、37℃付近)に同時に付着させ、安定性(ゲル状態を維持する時間)を評価した。その結果を図1に示す。さらに、試料No.9、10のゲルを健康な成人(31歳、男性)の手の甲(体表温度、32℃付近)に付着させ、安定性(ゲル状態を維持する時間)を評価した。その結果を図2に示す。
(評価)
図1は、試料No.7のゲルおよび試料No.8のゲルを腰に付着させた場合のゲル状態を維持する時間を説明している図面代用写真である。図1において左右方向に並ぶ扁平な円盤状のものが、それぞれ試料No.7のゲルおよび試料No.8のゲルである。上下方向は、腰に付着させてからの経過時間(実施時間)を表している。図1に示すように、試料No.7のゲルは、生体の腰(体表温度、37℃付近)において30分以上安定的にゲル状態を維持した。その一方で、試料No.8のゲルは、腰において直ちにその形状が崩れ始め、2分経過時点では完全に融解して腰から溶け落ちた。
図2は、試料No.9のゲルおよび試料No.10のゲルを手の甲に付着させた場合のゲル状態を維持する時間を説明している図面代用写真である。図2において左右方向に並ぶ扁平な円盤状のものが、それぞれ試料No.9のゲルおよび試料No.10のゲルである。上下方向は、手の甲に付着させてからの経過時間(実施時間)を表している。図2に示すように、試料No.9のゲルは、生体の手の甲(体表温度、32℃付近)において30分以上安定的にゲル状態を維持した。その一方で、試料No.10のゲルは、手の甲において徐々にその形状が崩れ始め、25分経過後に手の甲を傾けると崩れ落ちた。付言すると、図2の下部に示すように試料No.9のゲルは、30分経過後にゲル状態を維持したまま、手の甲からゲルの一部を残すことなく剥がすことができた。さらに、試料No.9のゲルが付着した手を40℃の温水に浸けると数秒で融解し、容易に除去することができた。
したがって、非架橋ゼラチンは、所望の化粧料または医薬を配合して生体に適用した場合、該化粧料の有効成分または該医薬の有効成分の効果を30分以上にわたって持続的に生体に付与することができる。さらに、40℃の温水で容易に除去することもできる。もって、徐放性製剤の基剤、賦形剤などとしての活用を見込むことができる。
<実施例7>
(体表での非架橋ゼラチンによる成分保持)
実施例7では、実施例3の非架橋ゼラチンの5質量%水溶液を調製し、この水溶液に対し5質量%となる量で化粧料としての香料(商品名:「オーデアロマ ラベンダーB」、一丸ファルコス株式会社製)を配合し、これを4℃に冷却することにより、試料No.11、12のゲルを作製した。試料No.11のゲルに上記香料を配合したものを健康な成人(31歳、男性)の手の甲(体表温度、32℃付近)に付着させ、その香りが保持される時間を官能評価した。比較例では、上記非架橋ゼラチンに配合することなく、上記香料を同じ人物の手の甲に直接付した。その結果を表7に示す。
さらに、試料No.12のゲルに上記香料を配合したものを健康な成人(31歳、男性)の頭皮(体表温度、37℃付近)に付着させ、その香りが保持される時間を官能評価した。比較例では、上記非架橋ゼラチンに配合することなく、上記香料を同じ人物の頭皮に直接付した。その結果を表8に示す。表7、8において「A」は十分に香りを感じる評価であることを示し、「B」は香りを感じる評価であることを示し、「C」はかすかに香りを感じる評価であることを示し、「D」は全く香りを感じない評価であることを示す。
Figure 0006932343
Figure 0006932343
(評価)
以上より、試料No.11(実施例)のゲルは、生体の手の甲(体表温度、32℃付近)において5時間以上安定的に香料の香りを保持した。試料No.12(実施例)のゲルは、生体の頭皮(体表温度、37℃付近)において5時間以上安定的に香料の香りを保持した。さらに、試料No.12のゲルが付着した頭皮を40℃の温水で洗い流すと、ゲルは数秒で融解したので、容易に除去することができた。その一方で、手の甲に上記香料を直接付した例および頭皮に上記香料を直接付した例では、1時間経過時点ですでに、かすかに香りを感じる程度まで香料の効果が低下していた。
したがって、非架橋ゼラチンは、所望の化粧料または医薬を配合して生体に適用した場合、該化粧料の有効成分または該医薬の有効成分の効果を長時間(たとえば5時間)にわたって持続的に生体上で保持することができる。さらに、40℃の温水で容易に除去することもできる。もって、効果が持続する化粧料の基剤、添加剤などとしての活用を見込むことができる。
<実施例8>
実施例8では、実施例3の非架橋ゼラチンの5質量%水溶液を調製し、これを40℃で10分間維持した。この水溶液1mLを健康な成人(31歳、男性)の手の甲(体表温度、32℃付近)に垂らした。比較例では、G1890の5質量%水溶液、GLS250の5質量%水溶液をそれぞれ作製し、実施例と同じ方法で手の甲に垂らした。
その結果、非架橋ゼラチンの5質量%水溶液は、手の甲に垂らして約10秒経過後にゲル化し、その後は手を傾けてもゲルが剥がれることがなかった。その一方で、G1890の5質量%水溶液、GLS250の5質量%水溶液はいずれも、手の甲に垂らして10秒経過以降もゲル化せず、手を傾けると溶液が流れ落ちた。
したがって、非架橋ゼラチンは、適用する直前に所望の化粧料または医薬を配合し、生体に適用するといった用途としても活用することができる。
<実施例9>
<ゼラチン混合体の融点およびゲル状態維持時間の測定>
実施例9では、実施例1の非架橋ゼラチンと、従来公知のゼラチン(G1890およびGLS250)とを、下記の配合比率で混合するとともに、所定の濃度の水溶液に調製することにより、以下の試料No.13〜20のゼラチン混合体を作製した。これらの試料の融点、ならびに28℃、32℃および37℃におけるゲル状態を維持する時間をそれぞれ測定した。ゼラチンの融点の測定方法、各試料の水溶液の溶媒、「ゲル状態を維持する」と判断される基準については実施例3と同じである。試料No.13〜20のゼラチン混合体を構成するゼラチンの種別、その配合比率および融点は、以下のとおりである。
試料No.13: 非架橋ゼラチン:20質量%、G1890:80質量%からなるゼラチン混合体の5質量%水溶液、融点30.5℃
試料No.14: 非架橋ゼラチン:50質量%、G1890:50質量%からなるゼラチン混合体の5質量%水溶液、融点32.6℃
試料No.15: 非架橋ゼラチン:80質量%、G1890:20質量%からなるゼラチン混合体の5質量%水溶液、融点34.6℃
試料No.16: 非架橋ゼラチン:20質量%、GLS250:80質量%からなるゼラチン混合体の2質量%水溶液、融点24.3℃
試料No.17: 非架橋ゼラチン:50質量%、GLS250:50質量%からなるゼラチン混合体の2質量%水溶液、融点26.9℃
試料No.18: 非架橋ゼラチン:80質量%、GLS250:20質量%からなるゼラチン混合体の2質量%水溶液、融点28.9℃
試料No.19: 非架橋ゼラチン:33質量%、G1890:33質量%、GLS250:33質量%からなるゼラチン混合体の5質量%水溶液、融点31.1℃
試料No.20: 非架橋ゼラチン:33質量%、G1890:33質量%、GLS250:33質量%からなるゼラチン混合体の2質量%水溶液、融点25.8℃。
28℃、32℃および37℃における試料No.13〜20のゲルのゲル状態を維持する時間を、以下の表9〜16に示す。試料No.13の結果が表9に対応し、試料No.14の結果が表10に対応し、試料No.15の結果が表11に対応し、試料No.16の結果が表12に対応し、試料No.17の結果が表13に対応し、試料No.18の結果が表14に対応し、試料No.19の結果が表15に対応し、試料No.20の結果が表16に対応する。これらの表において「Y」、「N」および「−」の意味は、表1〜6における意味と同じである。
Figure 0006932343
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以上より、ゼラチン混合体として、その融点およびゲル状態を維持する時間において様々なバリエーションを有するゼラチンを提供できることがわかる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (7)

  1. 5質量%水溶液が以下の特性(i)(ii)および(iii)を示す、体表に適用する非架橋ゼラチン。
    (i)パギイ法による融点が31℃以上40℃以下である。
    (ii)32℃で3時間以上ゲル状態を維持する。
    (iii)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
  2. 2質量%水溶液が以下の特性(iv)および(v)を示す、請求項1に記載の体表に適用する非架橋ゼラチン。
    (iv)前記パギイ法による融点が30℃以上40℃以下である。
    (v)32℃で1時間以上ゲル状態を維持する。
  3. 前記2質量%水溶液がさらに以下の特性(vi)を示す、請求項2に記載の体表に適用する非架橋ゼラチン。
    (vi)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
  4. 前記非架橋ゼラチンは、腱由来コラーゲンに由来する、請求項1〜3のいずれかに記載の体表に適用する非架橋ゼラチン。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の体表に適用する非架橋ゼラチンを含む、化粧料用または医薬用ゼラチン。
  6. 2種以上のゼラチンを含むゼラチン混合体の製造方法であって、
    請求項1〜4のいずれかに記載の体表に適用する非架橋ゼラチンと、前記非架橋ゼラチン以外のゼラチンとを混合することを含む、ゼラチン混合体の製造方法
  7. 2種以上のゼラチンを含む化粧料用または医薬用ゼラチンの製造方法であって、
    請求項6に記載のゼラチン混合体の製造方法を含む、化粧料用または医薬用ゼラチンの製造方法
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