JP5470569B2 - シルク複合ナノファイバー及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シルク複合ナノファイバー及びその製造方法に関し、特にカイコ由来のシルクと生分解性を有するポリオキシ酸や多糖類とからなるシルク複合ナノファイバー及びその製造方法に関するものである。
近年、ナノスケールの繊維径を持つファイバーをエレクトロスピニング技術を応用して製造する技術が進展している。このナノファイバーは、「エレクトロスピニング」装置を用いて製造できるナノオーダーの極細のファイバーである。このエレクトロスピニング技術によれば、所定の濃度のポリマードープを入れた貯蔵タンクに陽極電極を入れ、一定の距離を隔てて陰極板(コレクター)を設置し、陰極と陽極との間に電圧を印加して両電極間に電気引力を生じさせ、この電気引力がポリマー溶液の表面張力以上となると、静電力により紡糸ノズルから陰極板に向かって霧状態の微細なポリマージェットが噴射され、その結果、ナノファイバーが陰極板上に吹き付けられて積層される。
このエレクトロスピニングにより得られるナノファイバーは、その太さがナノ〜マイクロメートルのオーダーであり、このファイバー集合体の表面積が極めて大きいため、生体適合性機能の発現可能なナノファイバーは、再生医療工学、創傷材料等のヘルスケアー分野、バイオテクノロジー分野、エネルギー分野から新素材として関心が寄せられている。
エレクトロスピニング技術が開発された当初は、アクリル樹脂やポリエチレン、ポリプロピレン等のナノファイバーの素材の開発に対して、この技術が応用されていたが、最近は、液晶性高分子、DNA、タンパク質、導電性高分子等の機能性高分子のドープからナノファイバーを製造する技術が開発されている。
例えば、シルクのナノファーバーを製造するための従来技術としては、絹フィブロイン及び/又は絹様材料を溶解する溶媒としてヘキサフルオロアセトン水和物(以下、HFAcとも称す。)を用い、絹フィブロイン繊維から製造した絹フィブロイン及び/又は絹様材料を溶解してシルクドープを製造し、このシルクドープを用いてエレクトロスピニングする手法がある(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、絹フィブロイン及び/又は絹様材料をHFAcに溶解した溶液(絹フィブロインドープ、すなわちシルクドープ)を用いて紡糸してなる繊維、フィルム、不織布及びその製造技術が開示されている。すなわち、絹フィブロイン繊維を溶解して得た絹フィブロイン膜をHFAcに溶解し、得られたシルクドープを用いてエレクトロスピニングによりシルク様繊維を製造している。
また、ポリオキシ酸、多糖類、シルクのナノファイバーの製造についての知見はあるが、シルクとポリオキシ酸とからなシルク複合ナノファイバー、又はシルクと多糖類とからなるシルク複合ナノファイバーの製造及びその利用に関しては知られていない。さらに、シルクとポリオキシ酸とを含むシルク複合ナノファイバー、又はシルクと多糖類とを含むシルク複合ナノファイバーで、かつ平均繊維径が微細で繊維径分布が揃っているシルク複合ナノファイバー及びその製造法についても知られていない。
医用分野で用いられるポリオキシ酸には、酵素作用の影響を受けて、劣化・生分解して低分子化するものが多い。ポリ乳酸やポリグリコール酸などのポリオキシ酸は最近用いられる代表的な生分解性有機素材であり、体内埋め込み材、デリバリー用材料又は医薬品の徐放担体として広範に利用され、また、生分解性プラスチックとして利用されつつあるが、ポリオキシ酸は高価格であることが普及上の問題となっている。
ポリ乳酸やポリグルコース酸等のポリオキシ酸は、無毒であり生分解性素材として広く用いられ、高重合体が得られる強度等力学的特性の良い材料であり、体内に埋込むと数週間後に体内で吸収され、水と二酸化炭素とに分解してしまう。ポリグルコール酸は、こうした優れた生化学的な特性を持つ反面、価格が高く、結晶性が高く、硬すぎて軟組織適合性が低い、分解速度が制御し難い、素材に化学修飾をすることで生分解性を調節することが困難であるという問題がある。
例えば、多糖類を含んでなるナノスケールの繊維及び成形体については知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献には、繊維径が500nm以下の多糖類のナノファイバー及びその製造方法が開示されている。また、多糖類以外の添加物を含む複合組成物としての多糖類ナノファイバーの製造についても知られており、安全性が高く、細胞毒性がなく、比表面積が大きいため、医療材料分野で利活用できるものとされている。
また、アルギン酸誘導体等の多糖類10重量部と、曳糸性付与剤0.4〜1.2重量部とを含む組成物からなり、曳糸性付与剤が重量平均分子量60万〜650万の熱可塑性樹脂であり、平均繊維径が1nm以上1000nm未満である多糖類ナノファイバーが知られている(例えば、特許文献3参照)。ここで用いられる熱可塑性樹脂として、ポリエチレンオキサイド(本明細書中では、以下、PEGと略記することもある)が例示されているが、この樹脂は、多糖類ナノファイバーに熱可塑性機能を付与することが目的とするものであり、ナノファイバー繊維径の制御を目的としては用いられていない。
ファインケミストリーと呼ばれる「微粒子・粉体を原料として使用する分野」は、塗料、土木・建築、医薬品、農薬、化粧品、食品、トナー、コーティング剤、エレクトロ・セラミックス等、多岐にわたる。こうした分野での先端素材には、超微粒子化、表面改質、複合化など微粒子・粉体の機能化が基盤技術となっている。このような技術分野において、シルクと他の物質とからなり、平均繊維径が揃い、かつ繊維径にバラツキがないシルク複合ナノファイバーを提供できれば、付加価値の高い利用が可能となるものと考えられる。
シルクとポリオキシ酸又は多糖類とからなるシルク複合ナノファイバーは、繊維径が微細なものほど、また、繊維径が揃った繊維径にバラツキのないシルク複合ナノファイバーほど付加価値が高く、有用であるが、このようなシルク複合ナノファイバーは知られていない。
さらに、シルクドープを用いてエレクトロスピニングする前の工程で、シルクドープにポリエチレンオキサイドのような生体適合性高分子を含ませエレクトロスピニングすることで、シルクをベースにした生体組織に悪影響を及ぼさない新素材及びその製造方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
さらにまた、非イオン界面活性剤(Triton X−100)をポリビニルピロリドンに加えると、ポリビニルピロリドン水溶液の表面張力が低下し、その結果、エレクトロスピニングによる紡糸状態が改善でき、極細のポリビニルピロリドンのナノファイバーが製造できることが知られている(非特許文献1)。しかしながら、例えば、優れた水溶性を示し、非解離性の高分子であるポリビニルピロリドンと違って、試料が置かれたpH環境によっては正負の電荷を持ち得る両電解性の絹タンパク質と非イオン界面活性剤とからなるドープから直接極細の絹タンパク質ナノファイバーを製造するための従来技術は知られていない。
上記従来のエレクトロスピニング法により極細のシルク複合ナノファイバーを製造するには、ドープ濃度、印加電圧、陽極・陰極間距離、溶液送り出し速度等の紡糸条件を変えながら、ナノファイバーの最適製造条件を試行錯誤的に検討する必要があった。このことからも、シルク複合ドープから、エレクトロスピニングで製造できるシルク複合ナノファイバーの太さを極細にするには、ドープの濃度を変える手段の他に、様々な製造条件を変えながら所望の条件に合う最適条件を探索することが不可欠であった。
特開2004−68161号公報 特開2005−290610号公報 特開2009−41117号公報 特開2006−504450号公報
Shu-Qian Wang, Ji-Huan He, and Lan Xu, Non-ionic surfactants for enhancing electrospinability and for the preparation of electrospun nanofibers, Polymer Int 57:1079-1082 (2008)
有機高分子からなる素材で生体分解機能を備えたものが市場に出回るようになってから久しい。開発研究が進み、医工学分野で実用的にも多く用いられているのは、有機高分子の中でもポリグリコール酸やポリ乳酸等のポリオキシ酸である。ポリ乳酸(以下、PLAと略記することもある)は、体内の酵素で加水分解が起き易いため、生体内分解吸収性素材として広く活用されている。
繊維状のPLAのガラス転移温度は、ポリエステル(PET)繊維のガラス転移温度と類似しているため、PLA繊維はPET繊維とよく似た機械的性質を示す。ただし、PLAは、PETに比べて結晶化速度が遅いため、通常の紡糸工程、延伸工程では分子が十分に配向、結晶化が進まず、この結果、PLAの引張り強度や寸法安定性が不十分であること等が実用機能上の問題となっている。ポリグリコール酸やポリ乳酸は優れた耐薬品性を示す。ポリオキシ酸は高分子量のものほど分解速度が遅くなる。分解速度を制御させようとして分子量の高いポリ乳酸やポリグリコール酸を製造するには、多くの手間や熟練した高度の技術が必要である。そのため、現在、ポリオキシ酸の利用は、吸収性縫合糸のような医療用途や化粧品用途に限定されている。
生体内での生分解性が制御でき、製造価格が安く、しかも、生分解の結果、副産物としてホルムアルデヒドのような有害物質を生じない素材であって、かつ生分解の結果、分解生産物に細胞毒性が無く、生体安全上の問題が無く、生体組織に安全な生分解性素材の開発が強く望まれてきた。
家蚕絹糸や野蚕絹糸は、かつて外科手術用縫合糸として利用されたことからも分かるように、PLAと同様に生体安全性素材であり、ポリ乳酸を含むシルク複合ナノファイバーも同様に生分解性素材であり、分解の結果、分解生産物に細胞毒性が無く、生体安全上の問題が無く、生体組織に安全な生分解性素材である。
従って、ポリオキシ酸(例えば、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、乳酸とグルコール酸との共重合物等)、又は多糖類(例えば、キトサン、プルラン、ジェラン、ペクチン、硫酸セルロース等)をベースにしたシルク複合ナノファイバーを経済的に、しかも効率的に製造する技術開発が強く望まれてきた。
上記したポリ乳酸は、「溶ける縫合糸」として関心が寄せられており、微生物による生分解性機能を持ち、生体組織との生体適合性に優れており、生体バイオ材料として医療分野を中心に広範に利用されている。カイコ由来のシルクフィブロイン(以下、「シルク」又はシルクタンパク質と略記することもある。)も外科用の縫合糸として多く利用されており、ポリ乳酸と同様に生体適合性を持つため、今後の素材開発の可能性を秘めている。シルクタンパク質単独で使用すると、強度や分解挙動を制御し難いという問題がある。シルクタンパク質とポリ乳酸との特徴を活用しながら、双方の特徴を上回る新しい複合素材が開発できれば、各種産業資材として利用できる可能性が開けるはずである。
そこで、本発明者らは、双方の素材の特性を上回る新素材の開発を目的にして、近年研究が盛んなエレクトロスピニングによる製造技術を用いて、ポリ乳酸等のポリオキシ酸や多糖類とシルクタンパク質との複合素材からなる膜状試料又はナノファイバーを製造するべく研究を行っている。
本発明の課題は、絹タンパク質の持つ優れた成形性と強度等の力学的特性、生体親和性、及び無毒で良好な生分解性に加えて、シルクの生化学特性と同様の生体親和性、及び無毒で良好な生分解性を持つポリ乳酸やポリグルコース酸等のポリオキシ酸の優れた特性を兼ね備えたシルク複合ナノファイバーであって、かつ微細な平均繊維径を持ち、繊維径が揃ったシルク複合ナノファイバー、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の課題はまた、生分解性制御が可能なシルク複合ナノファイバーであって、細胞付着増殖能力を持ち、かつ合成高分子基質との相互作用性に優れた生分解性素材として有用なシルク複合ナノファイバー及びその製造技術を提供することにある。
本発明のシルク複合ナノファイバーは、カイコのシルクフィブロインと、ポリオキシ酸から選ばれた少なくとも1種の生分解性素材とを主成分とするシルク複合ナノファイバーであって、シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸を、一般に7〜75wt%、好ましくは10〜60wt%、より好ましくは20〜60wt%、残部シルクフィブロインを含んでいることを特徴とする。
ポリオキシ酸、後述する多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物の含有量が低いほど、例えば20wt%未満、7wt%未満、10wt%未満であると、シルク複合ナノファイバーに占めるポリオキシ酸、多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物の数量が少なくなるにつれて、ポリオキシ酸、多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物に基づく生分解等の生化学特性が発現し難い傾向があり、また、含有量が高いほど、例えば60wt%、75wt%を超えるにつれて、上記含有量が低い場合と逆にシルクに基づく生分解等の生化学特性が発現し難い傾向がある。また、ポリオキシ酸と多糖類との混合物の比率には制限はなく、任意の割合で混合できる。
ポリオキシ酸と後述する多糖類との混合物の場合は、好ましくは、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、20〜50wt%(シルクフィブロイン:80〜50wt%)である。この混合物が20wt%未満であると、上記したように、生分解等の生化学特性が発現し難い傾向があり、また、50wt%を超えると、20wt%未満の場合と逆にシルクに基づく生分解等の生化学特性がやや発現し難い傾向がある。
本発明のシルク複合ナノファイバーはまた、カイコのシルクフィブロインと、ポリオキシ酸から選ばれた生分解性素材の少なくとも1種とを主成分とし、さらにPVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)、又はPVA及びPEGの両方を含有せしめてなるシルク複合ナノファイバーであって、該シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸を一般に7〜75wt%、好ましくは10〜60wt%、より好ましくは20〜60wt%、残部シルクフィブロインを含んでなり、また、PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方が、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して5〜45wt%含有されてなることを特徴とする。ポリオキシ酸と後述する多糖類との混合物の場合は、上記したように、好ましくは、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、20〜50wt%(シルクフィブロイン:80〜50wt%)である。
PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方の含有量が5wt%未満であると、シルク複合ファイバーに占めるPEG又はPVA及びPEGの両方の含有量が少なく、PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方により発現する生化学的特性が現れ難い傾向があり、また、45wt%を超えると、シルクの生化学特性が現れ難いという傾向がある。
本発明のシルク複合ナノファイバーはさらに、カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープを複合してなるシルク複合ドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とする。このシルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸、後述する多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物を、一般に7〜75wt%、好ましくは10〜60wt%、より好ましくは20〜60wt%(以下、同じ)、残部シルクを含んでなる。
本発明のシルク複合ナノファイバーはさらにまた、カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープを複合してなるシルク複合ドープに対し、さらにPVA、PEG、又はPVA及びPEGの両方を含有せしめたドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とする。
上記PVA/PEG含有シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸、後述する多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物を20〜60wt%、残部シルクを含んでなり、また、PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方が、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して5〜45wt%含有されてなることを特徴とする。
上記シルク複合ナノファイバーにおいて、ポリオキシ酸が、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、及び乳酸とグルコール酸との共重合物から選ばれた少なくとも1種の生分解性素材であり、後述する多糖類が、キトサン、プルラン、ジェラン、ペクチン、及び硫酸セルロースから選ばれた少なくとも1種の生分解性素材であることを特徴とする。
上記シルク複合ナノファイバーにおいて、カイコが、家蚕幼虫又は野蚕幼虫であることを特徴とする。
本発明のシルク複合ナノファイバーの製造方法は、カイコのシルクフィブロインのドープと、ポリオキシ酸から選ばれた少なくとも1種の生分解性素材のドープとからなるシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすることによりシルク複合ナノファイバーを製造することを特徴とする。
上記シルク複合ナノファイバーの製造方法において、ポリオキシ酸が、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、及び乳酸とグルコール酸との共重合物から選ばれた少なくとも1種の生分解性素材であり、後述する多糖類が、キトサン、プルラン、ジェラン、ペクチン、及び硫酸セルロースから選ばれた少なくとも1種の生分解性素材であることを特徴とする。
上記シルク複合ナノファイバーの製造方法において、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸、後述する多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物を20〜60wt%、残部シルクフィブロインを含んでいることを特徴とする。ポリオキシ酸と多糖類との混合物の場合は、上記したように、好ましくは、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、20〜50wt%(シルクフィブロイン:80〜50wt%)である。
本発明のシルク複合ナノファイバーの製造方法はまた、カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープを複合してシルク複合ドープを得、このシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすることによりシルク複合ナノファイバーを製造することを特徴とする。この場合、シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸、後述する多糖類、又は該ポリオキシ酸と該多糖類との混合物を20〜60wt%、残部シルクを含んでなる。
本発明のシルク複合ナノファイバーの製造方法はさらに、カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープを複合してシルク複合ドープを得、このシルク複合ドープにさらにPVA、PEG又はPVA及びPEGの両方を含有せしめ、かくして得られたドープを用いてエレクトロスピニングすることによりシルク複合ナノファイバーを製造することを特徴とする。
上記PVA/PEGを含むシルク複合ナノファイバーの製造方法において、ポリオキシ酸が、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、及び乳酸とグルコール酸との共重合物から選ばれた少なくとも1種の生分解性素材であり、後述する多糖類が、キトサン、プルラン、ジェラン、ペクチン、及び硫酸セルロースから選ばれた少なくとも1種の生分解性素材であることを特徴とする。
上記PVA/PEGを含むシルク複合ナノファイバーの製造方法において、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸を20〜60wt%、残部シルクを含んでなり、また、PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方が、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して5〜45wt%含有されてなることを特徴とする。
本発明のシルク複合ナノファイバーの製造方法において、カイコが、家蚕幼虫又は野蚕幼虫であることを特徴とする。
本発明のシルク複合ナノファイバーは、カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ、キトサンをトリフルオロ酢酸で溶解して得られたキトサンドープ、又は該ポリオキシ酸ドープと該キトサンドープとの複合ドープを複合してなるシルク複合ドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とする。
本発明のシルク複合ナノファイバーはまた、カイコのシルクスポンジをトリフルオロ酢酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ、キトサンを蟻酸又はトリフルオロ酢酸で溶解して得られたキトサンドープ、又は該ポリオキシ酸ドープと該キトサンドープとの複合ドープを複合してなるシルク複合ドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とする。
本発明のシルク複合ナノファイバーさらに、カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ、キトサンをトリフルオロ酢酸で溶解して得られたキトサンドープ、又は該ポリオキシ酸ドープと該キトサンドープとの複合ドープを複合してなるシルク複合ドープに対し、さらにPVA、PEG、又はPVA及びPEGの両方を含有せしめたドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とする。
本発明のシルク複合ナノファイバーはさらにまた、カイコのシルクスポンジをトリフルオロ酢酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ、キトサンを蟻酸又はトリフルオロ酢酸で溶解して得られたキトサンドープ、又は該ポリオキシ酸ドープと該キトサンドープとの複合ドープを複合してなるシルク複合ドープに対し、さらにPVA、PEG、又はPVA及びPEGの両方を含有せしめたドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とする。
本発明のシルク複合ナノファイバーはさらにまた、カイコのシルクフィブロインと、多糖類であるプルラン、ジェラン、ペクチン、及び硫酸セルロースから選ばれた生分解性素材の少なくとも1種とを主成分とするシルク複合ナノファイバーであって、該シルク複合ナノファイバーの重量に対して、多糖類を7〜13wt%、残部シルクフィブロインを含んでいることを特徴とする。
本発明のシルク複合ナノファイバーはさらにまた、カイコのシルクフィブロインと、多糖類であるプルラン、ジェラン、ペクチン、及び硫酸セルロースから選ばれた生分解性素材の少なくとも1種とを主成分とし、さらにPVA、PEG、又はPVA及びPEGの両方を含有せしめてなるシルク複合ナノファイバーであって、該シルク複合ナノファイバーの重量に対して、前記多糖類を17〜30wt%、残部シルクフィブロインを含んでなり、また、前記PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方が、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して5〜45wt%含有されてなることを特徴とする。
上記したシルク複合ナノファイバー及びその製造方法において、使用されるポリオキシ酸及び多糖類の例、ポリオキシ酸、多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物の含有量、その他の要件は、全て共通である。
本発明によれば、絹タンパク質の持つ優れた成形性と強度等の力学的特性、生体親和性、及び無毒で良好な生分解性に加えて、シルクの生化学特性と同様の生体親和性、及び無毒で良好な生分解性を持つポリオキシ酸及び/又は多糖類の優れた特性を兼ね備えたシルク複合ナノファイバーであって、微細な平均繊維径を持ち、かつ繊維径が揃ったシルク複合ナノファイバーを提供できるという効果を奏する。
実施例9において製造されたシルク複合ナノファイバーの平均繊維径に対する各組成比(以下、重量比ともいう。)との関係を示すグラフ。 実施例10において製造されたシルク複合ナノファイバーの平均繊維径に対する各組成比との関係を示すグラフ。 実施例11において製造されたシルク複合ナノファイバーの平均繊維径、その標準偏差とPLA/SF重量比との関係を示すグラフ。 実施例12において製造されたシルク複合ナノファイバーのSEM画像。 実施例17において製造されたシルク・プルランナノファイバー、シルク・ペクチンナノファイバー、シルク・硫酸セルロースナノファイバーのSEM画像。 実施例18において製造されたナノファイバーの平均繊維径と繊維径の標準偏差と印加電圧との関係を示すグラフ。 実施例22において製造されたプルランナノファイバーに混在するプルランビーズの平均直径(nm)とその標準偏差と印加電圧(kV)との関係を示すグラフ。 実施例23において製造されたシルク複合ナノファイバーの平均繊維径に対するシルク含有割合との関係を示すグラフ。
本発明に係るシルク複合ナノファイバーの実施に形態によれば、このシルク複合ナノファイバーは、家蚕幼虫又は野蚕幼虫のカイコのシルクフィブロインと、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、及び乳酸とグルコール酸との共重合物から選ばれた少なくとも1種のポリオキシ酸である生分解性素材、並びにキトサン、プルラン、ジェラン、ペクチン、及び硫酸セルロースから選ばれた少なくとも1種の多糖類である生分解性素材から選ばれた少なくとも1種の生分解性素材とからなり、シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸、多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物を、一般に7〜75wt%、好ましくは10〜60wt%、より好ましくは20〜60wt%(以下、同じ)、残部シルクフィブロインを含んでいる。この場合、ポリオキシ酸と多糖類との混合物は、好ましくは、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、20〜50wt%(シルクフィブロイン:80〜50wt%)含まれている。
本発明に係るシルク複合ナノファイバーの別の実施の形態によれば、このシルク複合ナノファイバーは、カイコのシルクフィブロインと、ポリオキシ酸及び多糖類から選ばれた生分解性素材の少なくとも1種とを主成分とし、さらにPVA、PEG、又はPVA及びPEGの両方を含有せしめてなり、シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸、多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物を20〜60wt%、残部シルクスポンジを含んでなり、また、PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方が、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して5〜45wt%含有されてなるものである。この場合、ポリオキシ酸と多糖類との混合物は、好ましくは、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、20〜50wt%(シルクフィブロイン:80〜50wt%)含まれている。
本発明に係るシルク複合ナノファイバーのさらに別の実施の形態によれば、このシルク複合ナノファイバーは、家蚕幼虫又は野蚕幼虫のカイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、上記ポリオキシ酸である生分解性素材をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ、及び/又は上記多糖類である生分解性素材を蟻酸で溶解して得られた多糖類ドープを複合してなるシルク複合ドープをエレクトロスピニングしたものであり、このシルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸、多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物を20〜60wt%、残部シルクスポンジを含んでなる。この場合、ポリオキシ酸と多糖類との混合物は、好ましくは、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、20〜50wt%(シルクフィブロイン:80〜50wt%)含まれている。
本発明に係るシルク複合ナノファイバーのさらに別の実施の形態によれば、このシルク複合ナノファイバーは、上記シルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、上記ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ、及び/又は上記多糖類を蟻酸で溶解して得られた多糖類ドープを複合してなるシルク複合ドープに対し、さらにPVA、PEG又はPVA及びPEGの両方を含有せしめたドープをエレクトロスピニングしたものであり、このシルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸、多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物を20〜60wt%、残部シルクスポンジを含んでなり、PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方は、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して5〜45wt%含有されてなる。この場合、ポリオキシ酸と多糖類との混合物の場合は、好ましくは、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、20〜50wt%(シルクフィブロイン:80〜50wt%)含まれている。
本発明に係るシルク複合ナノファイバーの製造方法の実施の形態によれば、このナノファイバーは、上記シルクフィブロインのドープと、上記ポリオキシ酸である生分解性素材のドープ及び/又は上記多糖類である生分解性素材のドープとからなる複合ドープを用いてエレクトロスピニングすることにより製造でき、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸、多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物を、一般に7〜75wt%、好ましくは10〜60wt%、より好ましくは20〜60wt%、残部シルクフィブロインを含むように製造する。
本発明に係るシルク複合ナノファイバーの製造方法の別の実施の形態によれば、このシルク複合ナノファイバーは、上記シルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、上記ポリオキシ酸である生分解性素材をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ及び/又は上記多糖類を蟻酸で溶解して得られた多糖類ドープを複合してシルク複合ドープを得、このシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすることにより製造でき、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸、多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物を20〜60wt%、残部シルクフィブロインを含むように製造する。
本発明に係るシルク複合ナノファイバーの製造方法のさらに別の実施の形態によれば、このシルク複合ナノファイバーは、上記シルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、上記ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ及び/又は上記多糖類を蟻酸で溶解して得られた多糖類ドープを複合してシルク複合ドープを得、このシルク複合ドープにさらにPVA及び/又はPEGを含有せしめ、かくして得られたドープを用いてエレクトロスピニングすることにより製造でき、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸、多糖類、又はポリオキシ酸と多糖類との混合物を20〜60wt%、残部シルクフィブロインを含んでおり、PVA及び/又はPEGを、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して5〜45wt%含有してなる。この場合、ポリオキシ酸と多糖類との混合物は、好ましくは、得られたシルク複合ナノファイバーの重量に対して、20〜50wt%(シルクフィブロイン:80〜50wt%)含まれている。
以下、上記実施の形態について、さらに詳細に説明する。
本発明で用いることが可能なカイコの絹タンパク質は、家蚕(Bombyx mori)幼虫から得られる家蚕絹糸本体の絹フィブロイン(シルクとも略記する)、又は野蚕に属する柞蚕(Antheraea pernyi)、天蚕(Antheraea yamamai)、タサール蚕(Antheraea militta)、ムガ蚕(Antheraea assama)、エリ蚕、シンジュ蚕等の幼虫から得られる野蚕絹フィブロインである。家蚕としては、農家が飼育する家蚕(Bombyx mori)、家蚕の近縁種のクワコ幼虫由来の絹タンパク質が利用できる。
家蚕絹糸の本体である絹フィブロイン繊維を調製する場合には、カイコが吐糸した家蚕繭糸を炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液で煮沸することでセリシンを除去して調製できる絹フィブロイン繊維が出発物質である。絹フィブロイン繊維を溶解するには、濃厚な中性塩水溶液に絹フィブロイン繊維を溶解し加熱するとよい。この絹フィブロイン水溶液には、絹フィブロインの他に中性塩に基づくイオンが多く含まれるので、セルロース製の透析膜に入れ、水道水で2日〜5日間透析処理を行うと、純粋な絹フィブロイン水溶液が製造できる。この絹フィブロイン水溶液に微量のアルコールを添加して凍結乾燥することで多孔質状態のシルクスポンジ(後述する)が製造できる。
また、柞蚕絹糸又は天蚕絹糸等の野蚕絹糸から絹フィブロイン繊維を調製するには、野蚕繭糸の重量に対して50倍量の0.1%過酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、98℃で1時間処理してセリシンを除去し、かくして調製された野蚕絹フィブロイン繊維を、チオシアン酸リチウム等の溶解性の高い中性塩で溶解することで、野蚕絹フィブロイン水溶液が調製できる。これを家蚕絹糸と同様に透析処理して脱塩することで野蚕絹フィブロイン水溶液が調製できる。この絹フィブロイン水溶液に微量なアルコールを加えて凍結乾燥することで多孔質状態のシルクスポンジが製造できる。
家蚕又は野蚕由来のシルクスポンジを蟻酸に溶解してシルク蟻酸ドープを製造できる。
(A)家蚕絹フィブロイン・シルクスポンジの製造:
家蚕繭糸の外層を膠着するセリシンを取り除くため、マルセル石鹸0.2%、炭酸ナトリウム0.05%の混合溶液に入れ、98℃で30分間煮沸すると絹フィブロイン繊維が調製できる。10gの絹フィブロイン繊維を8.5Mの臭化リチウム溶液に浸漬し、55℃以上で15分処理すると絹フィブロイン繊維は溶解する。この中性塩水溶液をセルロース製の透析膜にいれ、両端を縫糸でくくって5℃の水道水又は純水に4〜5日間入れてリチウムイオンを完全に除くことで、絹フィブロイン水溶液が調製できる。絹フィブロイン水溶液を蒸発させて濃度を高めたり、又は水を加えることで濃度を下げて、約1.6% 1L絹フィブロイン水溶液を調製し、この水溶液にメタノールを3mL添加した後、凍結乾燥することで多孔質体のシルクスポンジが製造できる。
絹蛋白質繊維(絹糸)を溶解するには、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、臭化リチウム、チオシアン酸リチウム等の濃厚な中性塩水溶液に絹糸を入れ加熱する。中性塩濃度は5〜9M程度であり、溶解温度は25〜70℃程度であればよい。溶解温度は60℃以下が好ましい。溶解温度が高温になると絹タンパク質の分子量が低下し、素材の高分子性が失われてしまう危険性があるからである。また、溶解時間は1〜20分程度に設定することが好ましい。中性塩の中でも絹タンパク質繊維を良好に溶解するものは、絹フィブロイン繊維の溶解力に優れたリチウム塩であり、通常は臭化リチウムが好ましい。8M以上、好ましくは8.5M以上の臭化リチウム水溶液であれば、55℃以上、15分以上の処理で絹タンパク質繊維は溶解する。
或いはシルクスポンジは次のようにして製造できる。すなわち、家蚕カイコの生糸を、濃度0.07%炭酸ナトリウム溶液を用いて1時間煮沸して絹セリシンを除去して絹フィブロイン繊維(精練絹)6.5gを製造し、これを濃度9.5モルの臭気リチウム水溶液に溶解させ、蒸留水で十分透析してリチウムイオンを完全に除去して濃度1.8%の再出絹フィブロイン水溶液を得た。そして得られた濃度1.8%1リットルの再生絹フィブロイン水溶液に99%メタノールを3ミリリットル加え室温で静置するとフィブロイン水溶液がゲル化して沈殿を生ずる。これを凍結乾燥装置に入れて減圧下で乾燥することによりシルクスポンジが製造できる。
(B)野蚕絹フィブロイン・シルクスポンジの製造:
野蚕絹糸を溶解して野蚕絹フィブロイン水溶液を調製するには、野蚕繭糸の周囲を覆う絹セリシンを家蚕絹セリシンの精練とは異なる方法で除去する必要がある。野蚕絹糸の表面にはタンニンが付着し、蛋白質を強く不溶化させているので、これを除去するには、野蚕繭糸を繭糸重量に対して50倍量の0.1%過酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、98℃で1時間処理してセリシンを予め除去しておく必要がある。セリシンを除去した野蚕絹フィブロイン繊維をチオシアン酸リチウム等の溶解性の高い中性塩で溶解し、さらにセルロース製の透析膜に入れて純水で透析することで野蚕絹フィブロイン水溶液が調製できる。
絹タンパク質繊維を溶解した中性塩水溶液から純粋な絹タンパク質水溶液を得るには、絹タンパク質の中性塩水溶液をセルロース製の透析膜にいれ、両端を縫糸でくくって室温の水道水又は純水に4〜5日間入れ、リチウムイオンを完全に除くことが必要であり、かくして野蚕絹フィブロイン水溶液が調製できる。野蚕絹糸として、例えば柞蚕絹糸を用いると、調製できるのは柞蚕絹フィブロイン水溶液となる。
約1.6% 1L絹フィブロイン水溶液を調製し、この水溶液に3mLメタノールを添加した後、凍結乾燥することで多孔質体のシルクスポンジが製造できる。
上記のようにして絹フィブロイン水溶液から製造したフィブロインスポンジ(シルクスポンジともいう)を蟻酸等の溶媒に溶かすことによりシルクドープが得られる。その製造方法は後述する。
本発明に係るシルク複合ナノファイバーは、上記したような家蚕幼虫又は野蚕幼虫から調製されたシルクフィブロインやシルクスポンジと、第2物質としてのポリオキシ酸及び/又は多糖類、さらに所望によりPVA及び/又はPEGとを含んでいるものである。
本発明のシルク複合ナノファイバーは、シルクドープと、ポリオキシ酸をジクロロメタン又はクロロフォルムに溶解して調製するドープ及び/又は多糖類を蟻酸に溶解して調製するドープ、さらに所望によりPVA及び/又はPEGのドープとを室温で静かに混合してシルク複合ドープを得、このドープを用いてエレクトロスピニングすることにより製造できる。
上記家蚕のシルク・絹フィブロインと複合できる第2物質は、上記したように、ポリオキシ酸、多糖類である。水溶性の家蚕絹フィブロインドープに第2物質のドープを加えて製造できるシルク複合ドープをエレクトロスピニングすることでシルク複合ナノファイバーが製造できる。
シルクドープとポリオキシ酸ドープとを配合する場合のドープの量比、シルクドープと多糖類ドープとを配合する場合のドープの量比、シルクドープとポリオキシ酸ドープ及び多糖類ドープとを配合する場合のドープの量比、及び所望により、さらにPVA及び/又はPEGのドープを配合する場合の量比は自由に変えることができ、その結果、シルクとポリオキシ酸及び/又は多糖類(所望により、さらにPVA及び/又はPEG)との量比の異なるシルク複合ナノファイバーが製造できる。
本発明者らは、シルクドープ及び多糖類のドープを調製する溶媒として、蟻酸が共通に利用できることを新たに見出し、シルク蟻酸ドープと多糖類蟻酸ドープとを用いてエレクトロスピニングすることによりシルク複合ナノファイバーが製造できることを見出した。
絹タンパク質を溶解する溶媒には、トリフルオロ酢酸(TFA)、1, 1, 1, 3, 3, 3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)、蟻酸(FA)があり、エレクトロスピニングを実施するために使用する溶媒として特に好ましいのはFAである。多糖類を溶解する溶媒には、TFA、HFIP、FAがあるが、エレクトロスピニングを実施するために使用する溶媒として特に好ましいのはFAである。
シルクと多糖類とのシルク複合ドープや、シルクとポリオキシ酸とのシルク複合ドープや、シルクと多糖類及びポリオキシ酸とのシルク複合ドープを製造するには、シルクドープ及び多糖類ドープや、シルクドープ及びポリオキシ酸ドープや、シルクドープ、多糖類ドープ及びポリオキシ酸ドープを室温で複合(混合ともいう)すればよく、この複合ドープを用いてエレクトロスピニングすることで各成分の組成含量が任意に含まれるシルク複合ナノファイバーが製造できる。
エレクトロスピニングにより製造できるシルク複合ナノファイバー又は場合によってはビーズ形態物の存在量は、シルク、多糖類、ポリオキシ酸を溶解する溶媒、組成の重量比、エレクトロスピニング条件の印加電圧等により制御できる。
次に、本発明で用いるポリオキシ酸、多糖類、陰イオン性界面活性剤について、エレクトロスピニングによるシルク複合ナノファイバーの製造について、及びシルク複合ナノファイバーの太さ(繊維径)評価について説明する。
(A)ポリオキシ酸について:
本発明で利用できる生分解性挙動を有するポリオキシ酸としては、上記したように、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、及び乳酸とグルコール酸の共重合物が例示できる。
これらの生体高分子の内、生体内吸収性の医用材料として活発な研究が展開し、臨床的にも手術用の吸収性縫合糸としての利用で実績のあるポリ乳酸を中心に以下の実施例で説明する。
ポリグリコール酸、ポリ乳酸に代表されるポリオキシ酸の生分解性ポリマーを溶解する溶媒としては、1, 1, 1, 3, 3, 3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)、トリクロロ酢酸(TFA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を挙げることができる。
次にポリオキシ酸の一般的な特性を説明する。乳酸には不斉炭素が1つあるためポリ乳酸には、L体とD体との2種が存在する。L体の重合物はポリ−L−乳酸(以下、PLLAともいう)、D体の重合物はポリ−D−乳酸(以下、PDLAともいう)である。乳酸がエステル結合によって重合し、長くつながった高分子がポリ乳酸であり、ポリ乳酸は微生物などにより分解し二酸化炭素と水になる。ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とがランダムに重合したポリ−DL−乳酸(PDLLA)は、結晶性が低過ぎて実用性に乏しい。D体とL体が繰り返し重合したブロック重合物が製造され研究が進んでいる。ポリ乳酸は、衣料用途としてTシャツやユニフォーム等、生活雑貨用途にも幅広く展開されている。生分解性を利用した、農業用シートや園芸ネットなどにも利用されている。
医用分野で用いられるポリオキシ酸には、酵素作用の影響を受けて、劣化・生分解して低分子化するものが多い。ポリ乳酸やポリグリコール酸などのポリオキシ酸は、最近用いられている代表的な生分解性有機素材であり、体内埋め込み材、デリバリー用材料又は医薬品の徐放担体として広範に利用されており、生分解性プラスチックとしても利用されつつあるが、ポリオキシ酸は高価格であることが普及上の問題となっている。
ポリ乳酸やポリグルコース酸等のポリオキシ酸は、無毒であり生分解性素材として広く用いられ、高重合体が得られ強度等力学的特性の良い材料であり、体内に埋込むと数週間後に体内で吸収され水と二酸化炭素とに分解してしまう。ポリグルコール酸は、こうした優れた生化学的な特性を持つ反面、価格が高く、結晶性が高く硬すぎて軟組織適合性が低い、分解速度が制御し難い、素材に化学修飾をすることで生分解性を調節することが困難である。
上記記載のとおり、キチン・キトサン、ポリオキシ酸、多糖類、はいずれも生分解性を有するものといえる。
本発明で利用できるポリオキシ酸を例示すると、下記の表1記載の化合物を挙げることができる。これらの化合物はいずれも和光純薬工業(株)製の商品として入手できる。
以下の実施例で特記事項のないPLA(ポリ乳酸)は、PLA 0020を意味する。
表1において:
M.W.5000は分子量5000を意味する。
PLAはポリ乳酸である。
PLGAは乳酸とグリコール酸とからなる共重合物である。
試料No.1〜No.5は、分子量が異なるポリ乳酸である。
試料No.6〜No.9は、乳酸とグルコール酸とが50:50からなり、分子量が異なる共重合体である。
試料No.10〜No.13は、乳酸とグルコール酸とが75:25からなり、分子量が異なる共重合体である。
上記ポリオキシ酸を溶解する溶媒には、クロロフォルム(CF)、ジクロロメタン(DCM)等があり、エレクトロスピニングを実施するために使用する溶媒として特に好ましいのはCF、DCMである。
(B)多糖類について:
本発明で用いる多糖類(例えば、キトサン、プルラン、ジェラン、ペクチン、及び硫酸セルロース)は、いずれも生体内消化性の特性、すなわち生分解特性を有している。更に具体的には、キトサン(以下、CSともいう)及びキチンは、生体内消化性がある。キチンを動物体内に埋れ込んでもほとんど異物反応を示さないといわれている。キチンは、キテナーゼ(EC3.2.1.14)で、加水分解されてキトビオース等のオリゴ糖になるが、生体防御機構に組み込まれているリゾチーム(EC3.2.1.17)によっても徐々に加水分解される(Nishi, N., S. Nishimura, O. Somorin, Lysozyme-accesssible Fibers from Chitin and its derivatives, Sen-i Gakkaishi, 39, 45-49 (1983))。
キチンを構成するβ−D−Nアセチルーグルコサミン残基のC−6位水酸基をCM基(カルボキシルメチル基)ヘアルキル化変換すると、水溶性が増大するが、CM化度が増加するに伴ってリゾチーム消化で代表される生体内消化性も著しく増大する(Uraki, Y., S. Tokura, Calcium- mediated adsorption of neutral amino acids to carboxymethylated chitin, J. Macromol. Sci, Chem, A25, 1427-1441 (1988))。
プルラン(Pullulan、以下、Puともいう)は、急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、変異原性の各試験において安全性が確認されており、わが国では澱粉同様、使用制限の無い添加物として扱われている。マヨネーズ、ドレッシング等の食品に対し、0.5〜2%添加し、溶解し使用する。滑らかなテクスチャーを製品に与え、食品に用いた場合は、トロ味の付与、食感の改良に役立つ。そのため、特に乾燥食品を安定に接着するので、錠剤(菓)や顆粒のバインダーとしても最適である。
出典:http://www.hayashibarashoji.jp/product/pullulan02.html#
プルランは、接着力・付着力・皮膜性・潤滑性に優れた天然の多糖類であり、デンプンを原料とし、黒酵母の一種であるAureobasidium pullulansを培養して得られたマルトトリオースが規則正しくα−1,6結合した天然多糖類である。冷水、温水いずれにも溶解する。ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドにも可溶だが、その他の有機溶媒には不溶である。多糖類の用途としては、農業薬剤、印刷材料のバインダーとして利用できる。プルランの皮膜は酸素バリア性がある。金属表面の酸化保護、形成膜として利用できる。
ジェラン(Gellan、以下、Geともいう)は、プルランと同様に微生物由来の多糖類であり、増粘安定剤として各種食品に広く利用されている。ジェランガムは水を吸収してゲルとなる。特に水と油を乳化する。ゲル素材や粘土調整剤には多糖類のキサンタンガム、ペクチン、カラギナンがある。食品添加物として用いられ、アレルギー性はない。
ペクチン(Pectin、以下、Peともいう)は、野菜や果実に多く含まれる。特に柑橘類に多く含まれる天然高分子多糖類である。
以下の実施例で用いた多糖類は販売・製造元は次の通りである。
ペクチンは、リンゴ由来の多糖類である(和光純薬工業株式会社、167-00542, Lot No. WEL0219)。また、プルランは、Nakalai Tesque 29418-31, Lot No. M2H9324である。
硫酸セルロース(以下、SCともいう)は、和光純薬工業製のセルロースを硫酸化処理して製造したものである。
本発明において使用したキトサン(以下、CSともいう)は、CS5、CS50、CS300、CS1000であり、いずれの和光純薬工業株式会社製商品である。CSの後の数値は平均重合度を意味する。以下の実施例で特に重合度の記載がないCSは、CS1000である。
水溶性高分子として使用したポリエチレングリコール(以下、PEGと略記することもある)は、PEG20,000、PEG500,000、PEG3,500,000である。PEGの後の数値は分子量を意味し、これらはいずれも和光純薬工業株式会社製の商品である。
(C)陰イオン性界面活性剤について:
陰イオン性界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(Sodium dodecyl sulfate、以下、SDSと略記する)を用いた。これは和光純薬工業株式会社製の商品である。
ポリビニルアルコールは、和光純薬工業株式会社製の平均重合度1,500(けん化度は86〜90mol%)を使用した。
(D)エレクトロスピニングによるナノファイバーの製造:
カトーテック製のエレクトロスピニング装置を使用してシルク複合ナノファイバーを製造した。エレクトロスピニング装置の構成は次の構造物からなる。シルクドープを充填するポリマー貯蔵タンク、陽極を通ずる貯蔵タンク、貯蔵タンクに接続する紡糸ノズル、紡糸ノズルから一定距離を隔てた場所に陰極板が設けられている。陽極・陰極間の距離は10−20cmまで自由に設定できる。本明細書中で特に但し書きが無い場合は、次の条件でエレクトロスピニングを行った。印加電圧:25〜35kV、紡糸距離:15cm、シリンジ速度(以下、紡糸速度とも言う):0.02〜0.3cm/min。
陽極・陰極板間に電圧(5〜40kV)を印加すると、静電力により紡糸ノズルから陰極板に向かって霧状態のシルクポリマージェットが噴射され、その結果、ナノファイバーが陰極板上に吹き付けられ積層する。
以下の実施例でエレクトロスピニング条件の記載がないものは、印加電圧:30kV、紡糸距離:15cm、紡糸速度:0.03cm/minの条件下での結果である。
(E)シルクナノファイバーの太さ(繊維径)評価:
シルク複合ナノファイバー又はシルクナノファイバーの平均繊維径は、イオンコーターで金を蒸着したシルク複合ナノファイバーを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、太さを調べた。繊維径はJ−Imageを用いて測定した。
J−Image画像処理にはインターネットからダウンロードできる汎用のソフトを用いたものであり、SEM測定により得られる画像を取り込み、必要に応じて画像を拡大・縮小し、測定すべき個所の繊維を手動で指示すると平均繊維径の値が自動的に計測・表示できる。異なる50個所を逐次測定することでナノファイバーの平均繊維径と標準偏差を求めることができる。
シルクポリマージェットの飛び方とナノファイバーの製造状態とが安定かどうかを目視で観察してナノファイバーの紡糸状態を観察し、評価した。
(F)エレクトロスピニングで製造したシルク複合ナノファイバーの紡糸状態:
目視で観察し、評価した。この場合の評価基準は、以下の通りである。
+:紡糸ノズルから陰極板に向かって超微細で霧状態のポリマージェットが連続的に安定して放出されて、ナノファイバーが陰極板上に集積する状態が良好である。
−:紡糸ノズルから陰極板に向かって超微細で霧状態のポリマージェットの放出が不安であり連続的に放出されることなく、ポリマージェットのナノファイバーが陰極板上に集積する状態が良好ではない。
次に本発明を実施例により更に詳細に説明する。本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下において、濃度はwt%で表示する。
以下の実施例から明らかなように、(1)PLAのDCMドープ又はPLAのCFドープを用いてエレクトロスピニングすると、ポリマージェットが噴射する過程で試料ドープが紡糸ノズルでゲル化し易く、紡糸ノズルの先にゲル化物が垂下してブルブル震える現象が起こり、紡糸状態が不安定となる。製造できるPLAナノファイバーは繊維径の太い、そしてバラツキの多いナノファイバーである。これに対し、PLAのDCMドープ又はPLAのCFドープにシルクドープ(SFのFAドープ)を複合してなるシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングするとシルク複合ナノファイバーの繊維径は微少となり、紡糸状態は安定化する。また、(2)PLAのCFドープを用いてエレクトロスピニングして製造できるPLAナノファイバー繊維径は、PLAのDCMドープを用いてエレクトロスピニングして製造できるPLAナノファイバー繊維径よりも細くて、繊維径バラツキが小さい。
また、PLA0020を室温の蟻酸で溶解しても溶解度は低いため溶けにくいが、80℃に加熱して溶解させると均一に溶ける。加熱状態から温度を降下させて室温にして1日静置すると、PLAドープは白濁してゲル化し易く、それに伴いエレクトロスピニングができない。これを防止するには、試料ドープを加熱することでエレクトロスピニングが良好となる。
本実施例では、CS300(重合度300のキトサン)をTFAに溶解する際の溶解挙動を調べた。すなわち、2wt%CS−TFAドープ及び4wt%CS−TFAドープを調製する際の溶解状態を調べた。スタラーを用いて室温のTFAにCSをいれて攪拌しながら室温(25℃)で2時間撹拌処理を行いながらCS300の溶解挙動を調べた。2wt%CSはTFAに溶解時、ゲル化し、均一なCSドープにはならなかった。4wt%CSはTFAには溶解しなかった。
2wt%CS−TFAドープを40℃設定のオーブンに入れて30分加熱したところ均一なドープとなった。4wt%CS−TFAドープを40℃設定のオーブンに入れて30分加熱したところどろどろして粘度の高いドープであったが均一に溶解した。
ここで使用した2種類のドープ、(1)2wt%CS−TFAドープ、(2)4wt%CS−TFAドープは、40℃の加熱状態から次第に室温まで降温した後、室温で2時間静置したところ、2wt%CS−TFAドープ及び4wt%CS−TFAドープはともにゲル化しなかった。
本実施例では、重合度5、50、300のキトサン(CS5、CS50、CS300)をトリフルオロ酢酸(TFA)又はヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)で溶解する実験を行い、溶解度を検討した。得られた結果を表2に示す。
溶解度の評価は次のようにして行った。
○ 溶解して均一な溶液となった。
× 溶解できなかった。
CS5をTFAに室温で溶解することで、1、2、3wt%CS5−TFAドープが得られた。
CS50をTFAドープに室温で溶解すると、1wt%CS5−TFAドープが得られたが、2wt%CS5−TFAドープにまで濃度を上げることができなかった。
CS300はTFAに室温で溶解しても溶解しなかった。
CS5、CS50、CS300は、室温のHFIPには溶解しなかった。
CS300は、40℃のTFAに溶解し、2時間、40℃で加熱すると2wt%CS300−TFAドープとなったが、4wt%CS300−TFAドープは製造できなかった。
以上の結果から明らかとなったことは、CS5、CS50、CS300は、時間をかけて40℃に加熱することでTFAに溶解させることが可能となった。
本実施例では、PLAを溶解するための溶媒を検討した。
表3記載の各溶媒1mLを容量3mLのポリエチレン製の遠心管に採取し、その中にPLA3mgを加え、室温で20分静置した後PLAが溶解するかどうかを目視で観察した。その結果を表3に纏めた。使用した溶媒は、DMSO:ジメチルシルホキシド、DMF:ジメチルホルムアミド、DCM:ジクロロメタン、CF:クロロフォルム、FA:蟻酸、Tol:トルエンであった。
表3において、
×: PLAが溶解しない:
○: PLAが溶解する
以上の結果から明らかとなったことは、PLAを効率よく溶解するための溶媒はDCM、CF、FAである。シルク複合ドープを製造するうえでPLAを溶解する溶媒はDCM、CF、FAを使用できるが、シルクスポンジを溶かした溶媒を用いてエレクトロスピニングを効率的に行うために、シルク用に適した溶媒候補としてDCM、CF、FAが考えられる。但し、PLAとシルクとを複合するには、PLAの溶媒とシルクの溶媒とが良好な状態で混合することが必要となる。PLAの溶媒とシルクの溶媒の組み合わせを特に配慮する必要性がある。
本実施例では、シルク複合ナノファイバーを製造するための予備実験を次のようにして行った。
(1)PLA0020をジクロロメタン(DCM)に溶解して製造した3wt%PLA−DCMドープと3wt%SF(シルクフィブロイン)−蟻酸(FA)ドープとを複合する際、異なる重量比で複合したシルク複合ドープを製造した。
(2)PLAをクロロフォルム(CF)に溶解した3wt%PLA−CFドープと3wt%SF−蟻酸(FA)ドープとを複合する際、異なる重量比で複合したシルク複合ドープを製造した。
上記において、(1)3wt%PLA−DCMドープ/3wt%SF−FAドープ=100/0、50/50、30/70、0/100の重量比で、また、(2)3wt%PLA−CFドープ/3wt%SF−FAドープ=100/0、50/50、30/70、0/100の重量比で複合して製造したシルク複合ドープをガラス板のうえに室温で拡げて蒸発乾固させ、シルク複合膜を製造し、膜試料の特長を目視で観察した。得られた結果を表4に示す。
シルク複合膜の形態と透明度は次のようにして評価した。
++:試料が膜状に成型され高強度の膜である。
+:膜状に形成できるが強度は普通程度。
以上の結果から次の点が明らかになった。
(1)100/0膜試料、すなわち、3wt%PLA−DCMドープを蒸発乾固してなるPLA膜は、成膜性もよく、透明膜であった。(2)100/0膜試料:すなわち、3wt%PLA−CFドープを蒸発乾固してなるPLA膜は、成膜性もよく、透明膜であった。また、上記(1)及び(2)において、3wt%PLA−DCMドープ又は3wt%PLA−CFドープと3wt%SF−FAドープとを異なる重量比(50/50、30/70、70/30)で複合したシルク複合ドープを乾燥固化してなるシルク複合膜は、目視的には均一な膜状態ではなく厚さに斑があり、かつ膜は少し白濁していた。
2種類のドープを複合する過程、2種類のドープがどのように複合するかを目視で観察することで、エレクトロスピニングにより2種類のドープからナノファイバーが製造できるかを推定することができる。
そこで、(1)7wt%PLA−DCMドープ又は10wt%PLA−DCMドープと10wt%SF−FAドープとの重量比50:50で複合する過程、(2)7wt%PLA−CFドープ又は10wt%PLA−CFドープと10wt%SF−FAドープとの重量比50:50で複合する過程、及び(3)3%SF−FAドープと(a)3%PLA−CFドープ(PLAの3%クロロフォルムドープ)、又は(b)3wt%PLA−DCMドープ(PLAの3wt%ジクロロメタン)との重量比50:50で複合する過程で、2種類のドープがどのように複合するかを目視で観察すると共に、エレクトロスピニングを行った結果を観察した。
目視観察の結果は次の通りであった。
(1)7wt%PLA−DCMドープ又は10wt%PLA−DCMドープに10wt%SF−FAドープを加えるとゲル化してしまい、紡糸ノズル部位でシルク複合ドープが目詰まりを起こし、エレクトロスピニングできない。
(2)7wt%PLA−CFドープ又は10wt%PLA−CFドープを10wt%SF−FAドープに加えても室温ではゲル化が起こらなかったので、この条件がPLAとSFを複合するより好ましい溶解条件、複合条件である。こうした条件で作製したシルク複合ドープを室温でエレクトロスピニングしても、紡糸ノズルでシルク複合ドープが目詰まりすることはなく、エレクトロスピニングでシルク複合ナノファイバーが製造できた。
(3)3%SF−FAドープに、(a)3%PLA−CFドープ(PLAの3%クロロフォルムドープ)を加え、又は(b)3wt%PLA−DCMドープ(PLAの3wt%ジクロロメタン)を加えて得た複合ドープを用いてエレクトロスピニングを行った。
上記したように、7wt%PLA−DCM又は10wt%PLA−DCMに10wt%SF−FAを加えるとゲル化してしまうが、このシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングする際、シルク複合ドープを40℃に加熱することで、シルク複合ナノファイバーが製造できた。上記(3)(a)の場合、シルク複合ドープを室温でも又は40℃に加熱しても、良好にシルク複合ナノファイバーが製造できた。また、(3)(b)の場合、シルク複合ドープを室温でエレクトロスピニングしても、シルク複合ナノファイバーは製造できなかったが、シルク複合ドープを40℃で加熱したところ良好にシルク複合ナノファイバーが製造できた
乳酸とグリコール酸50:50共重合体(以下のPLGAは、PLGA−50及びPLGA−5020である。和光純薬工業製)をクロロフォルム(CF)又はジクロロメタン(DCM)に溶解させて濃度7wt%のPLGA−CFドープ又は7wt%のPLGA−DMCドープを調製した。次に、シルクスポンジを蟻酸に溶解して10wt%のシルクフィブロイン(以下、シルクと略記する)(SF)−FAドープを調製した。PLGA−CFドープ又はPLGA−DCMドープとSF−FAドープとを等量複合してなるシルク複合ドープをエレクトロスピニングしてシルク複合ナノファイバーを製造した。なお、エレクトロスピニング条件としての紡糸距離15cm、印加電圧は15kVであった。
7wt%PLGA−CFに10wt%SF−FAドープを複合したシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすると、極めて良好にシルク複合ナノファイバーが製造できた。比較的印加電圧が低い15kVであってもシルク複合ドープのスプレーが紡糸ノズルから飛び始め、印加電圧30kVではエレクトロスピニング状態が良好となり、シルク複合ナノファイバーの製造状態が良好であった。
但し、7wt%のPLGA−DMCドープに10wt%のSF−FAドープを複合したシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすると、紡糸ノズルからのスプレーの噴出状態は良くなく、エレクトロスピニング状態は間歇的となり不安定となったが、紡糸速度を変えることで改善される傾向があった。
このことから、乳酸:グリコール酸=50:50共重合体(PLGA−50及びPLGA−5020、和光純薬工業製)をクロロフォルム(CF)又はジクロロメタン(DCM)に溶解してなるPLGAドープもエレクトロスピニング可能であることが分かった。
本実施例では、PLA0020とシルクとからなるシルク複合ナノファイバーについて述べる。エレクトロスピニング条件は、印加電圧:35kV、紡糸距離(L):15cmであった。
10wt%PLA−FAドープと10wt%SF−FAドープとを等量複合したシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすると、製造できるものは、殆どビーズ状物であり、シルク複合ナノファイバーが形成されているが、その出現率は低いことがSEM観察で分かった。
10wt%PLA−DCMドープと10wt%SF−FAドープとの等量複合ドープを用いてエレクトロスピニングすると、太めのシルク複合ナノファイバーと細めのシルク複合ナノファイバーが製造でき、出現割合は少ないがビーズ状物も観察されることがSEM観察で分かった。
10wt%PLA−DCMドープ単独でエレクトロスピニングすると、PLAナノファイバーが効率よく製造できた。太めのナノファイバーと細めのナノファイバーが効率よく製造でき、ビーズ状物は全く存在しなかった。但し、紡糸ノズルの先端からPLAのゲル状物が垂れ下がり、エレクトロスピニング状態は不安定であった。
以上の結果から明らかとなったことは、10wt%PLA−DCMドープを用いてエレクトロスピニングすると、シルク複合ナノファイバーは製造できるが、紡糸ノズルの先端にPLAがゲル状態となり垂下するため、紡糸状態はやや不安定となる。これはPLA−DCMドープがゲル化し易いためであり、ドープ容器を加熱装置で40℃に加熱することで、紡糸ノズルの先端におけるPLAのゲル状態の垂下は無くなり紡糸状態が良好となった。
SF−FAドープとPLA−DCMドープとのシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングする際には、紡糸ノズルの先端におけるPLAのゲル状態の垂下は見られず、安定した紡糸状態となった。
10wt%PLA−DCMドープと13wt%SF−FAドープとを異なる重量比で複合させてなるシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングした。紡糸条件は、印加電圧:30kV、紡糸距離:15cmであった。
10wt%PLA−DCMドープと13wt%SF−FAドープとを、重量比:70/30、50/50、40/60で複合して得られたシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすることで、シルク複合ナノファイバーが最も良好に製造できた。重量比が100/0のシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすると、太い繊維径と細い繊維径のシルク複合ナノファイバーが製造できた。この際、ビーズは全く観察できなかったが、紡糸ノズル先端には僅かにゲル化した試料ドープが垂れ下がり、紡糸状態はやや不安定であった。
重量比が30/70、20/80のシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすると、製造できるものは殆どがビーズ状物質であり、シルク複合ナノファイバーは全く観察できなかった。
PLA−CFドープ又はPLA−DCMドープとSF−FAドープとを異なる重量比で複合してなるシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングしてシルク複合ナノファイバーを製造した。製造されたシルク複合ナノファイバーをSEM観察して、シルク複合ナノファイバーの平均繊維径、その標準偏差とPLA/SF重量比との関係を調べた。得られた結果を図1に示す。図1の横軸でいう組成比は、各ドープの複合割合であり、各ドープを、例えば、重量比で40/60で複合することを意味し、縦軸は平均繊維径(nm)である。
図1は、PLAとCFとからなるシルク複合ドープの組成比に対する得られたシルク複合ナノファイバーの平均繊維径との関係を示すグラフであり、黒塗り△は、10wt%PLA−CFドープと7wt%フィブロイン−蟻酸ドープ(SF−FAドープ)を示し、*は、7%PLA−DCMドープと10wt%フィブロイン−蟻酸ドープ(SF−FAドープ)を示し、黒塗り□は、7wt%PLA−CFドープと10wt%フィブロイン−蟻酸ドープ(SF−FAドープ)を示し、×は、7wt%PLA−DCMドープと7wt%フィブロイン−蟻酸ドープ(SF−FAドープ)を示し、黒塗り○は、10wt%PLA−DCMドープと7wt%フィブロイン−蟻酸ドープ(SF−FAドープ)を示す。
PLAとSFとからなる異なる重量比(10/90及び50/50)のシルク複合ドープの場合、紡糸前に既に溶液中で沈殿やゲル化が起こり、エレクトロスピニングはできなかった。
エレクトロスピニングできるシルク複合ドープを紡糸して、シルク複合ナノファイバーを製造し、そのシルク複合ナノファイバーの平均繊維径をSEM測定で評価した。
PLAとSFの濃度や複合割合と、エレクトロスピニングで製造したナノファイバーの繊維径の平均値を示したものが図1である。PLA/SFドープの重量比40/60〜20/80のシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングした時、得られるシルク複合ナノファイバーの平均繊維径と複合割合との関係は、右下がりのグラフになっている。これは、PLAの含有量が減り、SFの含有量が増えると、得られるシルク複合ナノファイバーの平均繊維径が細くなることを示唆している。PLAをCFで溶解してなる10wt%PLA−CFドープと7wt%SF−FAドープとを用いて得られたシルク複合ナノファイバーでは、この傾向が特に顕著である。しかし、PLAの複合割合が低いとシルク複合ナノファイバーになりにくい傾向もみられた。また、同じ濃度の組み合わせのとき、溶媒にDCMよりはCFを使用した時に平均繊維径が細くなる傾向があった。
PLA−CFドープとSF−FAドープとを異なる重量比で複合してなるシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングしてシルク複合ナノファイバーを製造した。製造できたシルク複合ナノファイバーをSEM観察して、シルク複合ナノファイバーの平均繊維径(nm)、その標準偏差とPLA/SF重量比との関係を調べた。得られた結果を図2に示す。図2の横軸及び縦軸は、図1の場合と同じことを意味する。
図2は、各組成比に対するPLA−CFドープとSF−FAドープとのシルク複合ドープを用いて得られたシルク複合ナノファイバーの平均繊維径を示し、黒塗り△は、10wt%PLA−CFドープと7wt%シルクフィブロインの蟻酸ドープ(SF−FAドープ)を示し、黒塗り□は、7wt%PLA−CFドープと10wt%シルクフィブロインの蟻酸ドープ(SF−FAドープ)を示し、黒塗り◇は、7wt%PLA−CFドープと7wt%シルクフィブロインの蟻酸ドープ(SF−FAドープ)を示す。
PLA−DCMとSF−FAとを異なる重量比で複合してなるシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングしてシルク複合ナノファイバーを製造した。製造できたシルク複合ナノファイバーをSEM観察して、シルク複合ナノファイバーの平均繊維径、その標準偏差とPLA/SF重量比との関係を調べた。得られた結果を図3に示す。図3の横軸及び縦軸は、図1の場合と同じことを意味する。
図3は、各組成比に対するPLA−DCMドープとSF−FAドープとのシルク複合ドープを用いて得られたシルク複合ナノファイバーの平均繊維径を示し、黒塗り△は、10wt%PLA−DCMドープと7wt%シルクフィブロインの蟻酸ドープ(SF−FAドープ)を示し、黒塗り□は、7wt%PLA−DCMドープと10wt%シルクフィブロインの蟻酸ドープ(SF−FAドープ)を示し、黒塗り◇は、7wt%PLA−DCMドープと7wt%シルクフィブロインの蟻酸ドープ(SF−FAドープ)を示す。
上記したように、図2はCF、図3はDCMを使用してPLAを溶解したときに得られたナノファイバーの太さの平均値をプロットしたグラフである。これらのグラフから明らかなように、PLA含量が低くSF含量が高いほどナノファイバーの平均繊維径が細く、繊維径のばらつきが少なくなる傾向が確認できる。これは、PLA含量が減りSF含量が増えると、細い均一なシルク複合ナノファイバーが得られることを示唆している。また、PLAの溶媒にCF、DCMを使用したときは、ともにPLA濃度が7wt%でSF濃度が10wt%の複合ドープから得られたシルク複合ナノファイバーは細くなる傾向があり、繊維径平均は全ての複合割合において150nm以下であった。
PLA−CFドープとSF−FAドープ、又はPLA−DCMドープとSF−FAドープとを異なる重量比で複合してなるシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングしてシルク複合ナノファイバーを製造した。製造できたシルク複合ナノファイバーをSEM観察して、シルク複合ナノファイバーの平均繊維径、その標準偏差とPLA/SF重量比との関係を調べた。得られた結果を図4に示す。
図4(a)〜(h)は、シルク複合ナノファイバーのSEM画像であり、図4において、(a)〜(h)は、以下の条件でエレクトロスピニングして製造したシルク複合ナノファイバーのSEM画像である。
シルク複合ドープの製造条件:
(a)〜(d):10wt%PLA−CFドープと7wt%SF−FAドープとからなるシルク複合ドープを用いて得られたシルク複合ナノファイバーであり、PLA/SFの組成比(重量比)は以下の通りである。
(a):40/60(紡糸速度:0.32cm/min)
(b):40/60(紡糸速度:0.02cm/min)
(c):30/70(紡糸速度:0.02cm/min)
(d):20/80(紡糸速度:0.32cm/min)
(e)〜(h):7wt%PLA−DCMドープと7wt%SF−FAドープとからなるシルク複合ドープを用いて得られたシルク複合ナノファイバーであり、PLA/SFの組成比(重量比)は以下の通りである。
(e):50/50(紡糸速度:0.02cm/min)
(f):40/60(紡糸速度:0.02cm/min)
(g):30/70(紡糸速度:0.02cm/min)
(h):20/80(紡糸速度:0.02cm/min)
上記(a)〜(h)の場合に試算した最小限度量の値は下記のとおりであった。
(a):(PLA=48.8wt%)
(b):(PLA=48.8wt%)
(c):(PLA=38wt%)
(d):(PLA=35.7wt%)
(e):(PLA=50wt%)
(f):(PLA=39wt%)
(g):(PLA=30wt%)
(h):(PLA=20wt%)
上記のPLA%は、複合ドープを使用してエレクトロスピニングした時にナノファイバーができるPLAの最小限度量を意味する。この根拠は、PLA単独又はPLAを多量に含むと、エレクトロスピニングによる紡糸状態は良いことが既に確かめられている。そこで、PLA含量を下げた場合に、どの程度でシルク複合ナノファイバーが製造できるかを調べる必要性があるため、最小限度量を試算することにしたためである。
図4のSEM写真の目視観察によると、いずれの条件においてもシルク複合ナノファイバーの他にビーズも出現する。PLAの含有量が高いとビーズ存在量が少なく、SFの含有量が多いとビーズの存在量は多い傾向があった(図4の(a)〜(c)、(e)〜(h))。紡糸速度が0.02cm/minから0.32cm/minになると、大部分がシルク複合ナノファイバーであり、ごく一部にビーズが含まれる(図4の(c)、(d))。シルク複合ナノファイバーの平均繊維径の変化は特に観察されなかった。
以上の結果から、PLA含有量が低い程、また、SF含有量が多い程、極細のシルク複合ナノファイバーが得られることが分かった。特に細く均一なナノファイバーを得るためには、組成比に関係なく、PLA濃度が7wt%、SF濃度が10wt%の組み合わせが最も好ましい条件である。
シルク複合ナノファイバーにおけるPLA含有量が10〜20%以上であれば良好なナノファイバーができる。PLA含有量が50%以下になるとシルク複合ナノファイバー
ナの繊維径が細くなった。
PLA含有量が最小限度量付近では極めて細いナノファイバーができる傾向がある。
本実施例では、7wt%PLA−CFドープ又は7wt%PLA−DCMドープと10wt%SF−FAドープとを複合して得たシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングによりシルク複合ナノファイバーを製造した。
PLA0020をクロロフォルム(CF)又はジクロロメタン(DCM)に溶かし、7wt%PLA−CFドープ又は7wt%PLA−DCMドープを調製した。これらのPLAドープに10wt%SF−FAドープを下記記載の異なる重量比で複合してシルク複合ドープを調製し、このドープを用いてエレクトロスピニングしてシルク複合ナノファイバーを製造した。これをSEM観察してシルク複合ナノファイバーの平均繊維径を測定した。得られた結果を表5に示す。なお、エレクトロスピニング条件は、印加電圧:20kV、紡糸距離:15cm、紡糸速度:0.02、0.15、0.3cm/minであった。
表5において、NTはエレクトロスピニング実験をしていないことを意味する。
以下、シルク/多糖類からなるシルク複合ナノファイバーについての実施例を説明する。この場合、試料ドープが降温過程でゲル化し易い性質があるものは、エレクトロスピニングによる紡糸状態が悪い。この問題を改善するため、試料ドープにポリエチレングリコール(PEG)を添加したドープを用いてエレクトロスピニングするか、又は試料ドープを加熱装置で加熱してエレクトロスピニングすることにより、紡糸状態が良好となり、かつ平均繊維径が細く、繊維径のバラツキも小さくなる。
7wt%SFの蟻酸(FA)ドープに、2wt%の多糖類(ペクチン、プルラン、硫酸セルロース)のFAドープを加え、複合ドープの全量が1.5gとなるようにしてシルク複合シープを製造した。このようにして製造したシルク複合ドープがエレクトロスピニング用ドープとして適するかどうかを次のようにして評価した。すなわち、シルク複合ドープをスチロール角型ケースに拡げ、室温で送風しながら乾燥固化させ、得られる膜状試料の透明性、不透明性を検討した。評価した結果を表6に示す。
表6において、「透明パリ」とは、得られた膜状試料が透明ではあるが、手で触れるだけでパリパリと粉末状になってしまうことを意味する。
成膜性及び透明性について:
評価基準:
成膜性:
++: 優れて良い。
+: 良い。
−: 膜が不均一で成形性が悪い。
透明性:
+: 透明性が優れている。
−: 透明性で無い、又は不透明である。
但し、ジェランは蟻酸に溶解することなく、ジェラン単独、又はジェランドープを用いた場合、シルク複合膜を製造できなかった。
表6の結果から、成膜性、透明性の良好な試料作製条件のものほど、エレクトロスピニング用のシルク複合ドープとして適しているといえる。
ペクチン(Pe)、プルラン(Pu)、硫酸セルロース(SC)、及びシルク(SF)をそれぞれ蟻酸に溶解し、濃度10wt%の蟻酸(FA)ドープを調製した。
色々な試料ドープを用いてエレクトロスピニングして製造したシルク複合ナノファイバーのSEM観察を基にして、ナノファイバーの平均繊維径、ナノファイバーのでき方、ビーズのでき方、ナノファイバーとビーズの存在量の所見も併せて、表7に纏めて示す。
表7における試料略称は次の通りである。
SF/Peは、10wt%SF−FAドープと10wt%Pe−FAドープとを等量複合したシルク複合ドープを意味する。
SF/Puは、10wt%SF−FAドープと10wt%Pu−FAドープとを等量複合したシルク複合ドープを意味する。
SF/SCは、10wt%SF−FAドープと11wt%SC−FAドープとを等量複合したシルク複合ドープを意味する。
表7において、「所見」欄は、試料ドープを用いてエレクトロスピニングして得られたシルク複合ナノファイバーの形態の概要をメモしたものであり、ファイバーは微細なナノファイバーの形態、ビーズはビーズ形態、ファイバー+ビーズは一部ナノファイバーと一部ビーズとが混在することを意味する。
ペクチン(Pe)、プルラン(Pu)、硫酸セルロース(SC)、及びシルク(SF)を、それぞれ、蟻酸(FA)に溶解し、5wt%Pe−FAドープ、12wt%Pu−FAドープ、11wt%SC−FAドープ、10wt%SF−FAドープを調製した。
この実施例では、試料として、SFドープ、Peドープ、Puドープ、SCドープ、SF−Peドープ(SF/Pe)、SF−Puドープ(SF/Pu)、SF−SCドープ(SF/SC)を用いてエレクトロスピニングする際の紡糸状態と、得られたシルク複合ナノファイバーをSEM観察して得たナノファイバーの平均繊維径、ナノファイバーのでき方、ビーズのでき方、ナノファイバーとビーズの存在量の所見を表8に示す。
表8において、SF/Peは、10wt%SF−FAドープと5wt%Pe−FAドープを等量複合したシルク複合ドープを意味し、SF/Puは、10wt%SF−FAドープと12wt%Pu−FAドープを等量複合したシルク複合ドープを意味し、SF/SCは、10wt%SF−FAドープと11wt%SC−FAドープを等量複合したシルク複合ドープを意味する。
また、表8における「所見」欄は、試料ドープを用いてエレクトロスピニングして得られたナノファイバーの形態の概要をメモした。クモの巣状態とは、試料ドープを用いてエレクトロスピニングして得られた陰極板上の集積物が繊維状ではあるが、繊維間が接着してネット状又はクモの巣状態となっているものを意味する。小ビーズは微細なビーズ状であることを意味する。また、ビーズからファイバーとは、ビーズ量は少なくナノファイバーの存在量が多いことを意味する。さらに、ファイバーは微細なナノファイバー、ビーズはビーズ形態、ファイバー+ビーズとは一部ナノファイバーと一部ビーズが混在することを意味する。
本実施例では、13wt%SFドープ、4wt%Peドープ、4wt%Puドープ、4wt%SCドープを用いて、シルク複合ドープを調製し、このドープを用いてエレクトロスピニングを行った。
シルクスポンジを蟻酸に溶解して製造した13wt%シルク蟻酸ドープ(13wt%SF−FAドープ)に、(1)PuをFAで溶解した4wt%Pu−FAドープ、(2)PeをFAで溶解した4wt%Pe−FAドープ、又は(3)CSをFAで溶解した4wt%CS−FAドープを、各種の組成比(重量比)で複合して得たシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングし、シルク複合ナノファイバーを製造した。SF−FAドープと(1)、SF−FAドープと(2)、又はSF−FAドープと(3)とを複合する際の組成比は、重量比:100/0、80/20、60/40とした。得られたシルク複合ナノファイバーのSEM画像を図5(a)〜(g)に示す。
得られたシルク複合ナノファイバーおよびビーズの存在量を図5(a)〜(g)のSEM画像から目視で観察したところ、次のような結果を得た。
図5(a)のSF/Pu=100/0(Pu=0wt%):ナノファイバー存在量がビーズより多かった。
図5(b)のSF/Pu=80/20(Pu=7.14wt%):ナノファイバー存在量がビーズより多かった。
図5(c)のSF/Pu=60/40(Pu=17.02wt%):ビーズ存在量がナノファイバーより多かった。
図5(d)のSF/Pe=80/20(Pe=7.14wt%):ビーズ存在量とナノファイバーとが等量あった。
図5(e)のSF/Pe=60/40(Pu=17.02wt%):ビーズ存在量がナノファイバーより多かった。
図5(f)のSF/CS=80/20(Pu=7.14wt%):ビーズ存在量とナノファイバーとが等量であった。
図5(g)のSF/CS=60/40(Pu=17.02wt%):ビーズ存在量とナノファイバーとが等量あった。
図5(a)〜(g)から、シルク複合ドープをエレクトロスピニングして製造できるシルク複合ナノファイバーの重量に占めるPe、Pu、及びCSの重量割合は、7〜17wt%の範囲にある。
この結果から、例えば、シルク(SF)/プルラン(Pu)のシルク複合ドープを使用して行ったエレクトロスピニングでは、SF/Puからなるシルク複合ナノファイバー重量に占めるPuの含量が少なすぎても、多すぎても、良好なシルク複合ナノファイバーは得にくく、Pu重量が7wt%付近で、やや良好なシルク複合ナノファイバーが得られることが示唆される。
上記実施例の結果から明らかなように、シルクの蟻酸ドープはエレクトロスピニングしやすく、その結果ナノファイバーが得られ易いのに対して、生分解性のポリオキシ酸及び多糖類単独ではエレクトロスピニングし難く、紡糸してもナノファイバーが得られ難い。しかし、ポリオキシ酸及び多糖類からナノファイバーが得られにくい欠点を、シルクで補うことができる。
本実施例では、10wt%Pu−FAドープを用いてエレクトロスピニングしてシルク複合ナノファイバーを製造した。得られたナノファイバーの平均繊維径と繊維径の標準偏差と、エレクトロスピニング時の印加電圧との関係を調べた。得られた結果を図6に示す。図6において、横軸が印加電圧(kV)であり、縦軸が平均繊維径(nm)である。
図6から明らかなように、印加電圧が10kVでは、ナノファイバーもビーズも明瞭には観察されなかった。しかし、印加電圧が15kVになると、ビーズの出現数が急に増加し、ビーズから極微細なプルランのナノファイバーが観察された。印加電圧が20kVになると、エレクトロスピニング物に占めるビーズの存在量が減少し、逆にナノファイバーの出現が盛んに見られた。このように印加電圧が20kVになるとビーズは少なくなり、プルランのナノファイバーの出現割合が圧倒的となる。この傾向は、印加電圧が30kVの場合も同様である。印加電圧が35kVの場合には、圧倒的にプルランのナノファイバーの出現が大多数を占め、ビーズが観察されにくくなった。
以上のことから10wt%Pu−FAドープを用いたPuのナノファイバーの最適印加電圧は35kVであると結論できる。
10wt%Pu−FAドープと2.9wt%PVA−FAドープとを等量複合して得た複合ドープ(以後、Pu/PVA(FA)と略記する)を用いてエレクトロスピニングして複合ナノファイバーを製造した。得られた複合ナノファイバーの平均繊維径と形態とをSEMで測定した。
10wt%Pu−FAドープにSDS(陰イオン界面活性剤)を0.4wt%添加した複合ドープ(以後、Pu/SDS(FA)と略記する)を用いてエレクトロスピニングして複合ナノファイバーを製造した。得られた複合ナノファイバーの平均繊維径と形態とをSEMで測定した。
7wt%CS−FAドープ(以後、CS−FAと略記する)をエレクトロスピニングして複合ナノファイバーを製造した。得られた複合ナノファイバーの繊維径と形態をSEMで測定した。
なお、エレクトロスピニング条件は、印加電圧:30kV、紡糸速度(以下、シリンジ速度ともいう):0.02cm/min、紡糸距離:15cmとした。
上記Pu/PVA(FA)の場合、得られた複合ナノファイバーの平均繊維径は、147.8nmであり、上記Pu/SDS(FA)の場合、得られた複合ナノファイバーの平均繊維径は、112.0nmであった。なお、10wt%Pu−FAドープの場合、得られたナノファイバーの平均繊維径は67.4nmであり、また、7wt%CS−FAドープの場合、平均ビーズ径:773nmのビーズが得られた。
本実施例では、ナノファイバー観察とビーズの出現について検討した。
8.46wt%CS−FAドープ、8.46wt%Pe−FAドープ、及び8.46wt%Pu−FAドープ、8.46wt%SF−FAドープを用いてエレクトロスピニングし、CS、Pe、Pu単独のナノファイバーを製造した。
エレクトロスピニングの条件として、紡糸距離:15cm、印加電圧:30kVに設定した。
いずれの試料ドープもエレクトロスピニングしたところ、いずれもビーズ状物が製造でき、ナノファイバーの製造は困難であった。
ただし、8.46wt%CS−FAドープと8.46wt%SF−FAドープとを等量で複合したシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングしたところ、得られたものは、各種サイズのビーズが混在している。すなわち、大型ビーズ、中型ビーズ及び小型ビーズが混在しており、ナノファイバーの存在も少量であるが一部に認められた。すべての例において小型ビーズのサイズを1とすると、中型ビーズのサイズは2.8、大型ビーズのサイズは4.7〜7.0となる。ただし、小型ビーズと中型ビーズとの出現数の比は約2:1であった。
下記に述べる0.1gの3種類のPEG−A、B及びCを4.4gの蟻酸に混合し、PEGの溶解度を目視で検討したところ、次のような結果が得られた。
PEG−A:分子量2万のPEG、PEG−B:分子量50万のPEG、PEG−C:分子量350万のPEG。
蟻酸におけるPEG−Aの溶解の所見: 室温(25℃)で白濁し、よく溶ける。
蟻酸におけるPEG−Bの溶解の所見: 室温(25℃)では溶けず、60℃付近の加熱で溶ける。
蟻酸におけるPEG−Cの溶解の所見: 室温(25℃)で、ゲル化が起こり、溶けなかった。
次に、(1)上記3種類のPEG−A、B及びCを蟻酸に溶解して1wt%及び2wt%の蟻酸ドープを調製した。また、(2)Puを蟻酸に溶解して10wt%Pu−FAドープを製造した
上記(1)と(2)とを所定の組成比で混ぜ合わせて(場合によっては、60〜70℃で浴溶解)得られたドープを用いてエレクトロスピニングを行った。
エレクトロスピニング条件は、紡糸距離:15cm、印加電圧:25〜30kV、シリンジ速度:0.02cm/minに設定した。
結果:
PEG−Aの場合、蟻酸溶液に1wt%のPEG−Aを加えた得たドープを用いてエレクトロスピニングすると、すべてビーズだけの製造であったが、蟻酸溶液に2wt%のPEG−Aを加えて得たドープを用いてエレクトロスピニングすると、ビーズか伸長したファイバーが観察された。濃度が増加するとビーズ径も増加した。
PEG−Cの場合、蟻酸溶液にPEG−Cを加えると、ドープ製造時にゲル化してしまい、エレクトロスピニングできなかった。
PEG−Bの場合、1wt%、2wt%のPEG−Bが含まれる10wt%のPu−FAドープを製造する時点で、ドープは白濁してしまった。そこで、0.5wt%のPEG−Bを含むようにして調製した10wt%Pu−FAドープでは白濁現象は確認できなかった。
0.5wt%、1.2wt%のPEG−Bの蟻酸ドープに10wt%Pu−FAドープを加えて得たドープを用いてエレクトロスピニングしたこところ、すべてにおいてビーズのないナノファイバーが観察された。中でもPEG−Bを0.5wt%含むドープは平均繊維径、標準偏差、又はドープの白濁の具合から言っても最適であった。
かくして得られた結果を表9及び10に示す。
10wt%Pu−FAドープを用いてエレクトロスピニングしてPuのナノファイバーを製造した。エレクトロスピニングで得られた紡糸物は、本実施例記載のPuナノファイバーの他に形態がビーズのものも含まれていた。そのSEM測定の結果から、ビーズの平均直径(nm)とその標準偏差を測定した。得られた結果を図7に示す。
図7は、10wt%プルラン蟻酸(FA)ドープを用いてエレクトロスピニングして製造したプルランナノファイバーに混在するプルランビーズの平均直径(nm)、その標準偏差と印加電圧(kV)を示す。
以上の結果から明らかとなったことは、印加電圧:15〜25kVで紡糸ノズルの先端にテーラーコーンが確認され、印加電圧が増加するとPuビーズの平均直径は次第に増加し、印加電圧:20kV以上で平均直径が700nm程度のビーズが製造でき、印加電圧が更に増加するとビーズ径も増加し、そのバラツキも増大する。ビーズの出現率を減らすには印加電圧が10kVと低いことが有利である。このテーラーコーンとは、エレクトロスピニングの紡糸ノズルの先端にできる試料ドープの形状であり、そのコーン先端から微細な液滴が広範囲に霧状となりスプレーされる。
また、蟻酸でプルランを溶解し、濃度10wt%のプルラン蟻酸ドープ(Pu−FAドープ)を製造した。Pu−FAドープを用いてエレクトロスピニングし、ナノファイバーを作出した。印加電圧が15〜25kVの範囲でノズル近辺にテーラーコーンが観察されたが、印加電圧が10kVと低く、また、30kV以上では明瞭なテーラーコーンは観察されなかった。
得られたプルランのナノファイバー形態をSEMにより調べた。
印加電圧が10kVではナノファイバーもビーズも明瞭には観察されなかった。印加電圧が15kVになるとビーズの出現数が急に増加し、ビーズと極微細なプルランのナノファイバーとが観察される。印加電圧が20kVになるとビーズ出現割合が減少し、逆にナノファイバーの出現が盛んに見られた。印加電圧が20kVになるとビーズは少なくなりプルランのナノファイバーの出現割合が圧倒的となる。この傾向は印加電圧が30kVの場合も同様である。印加電圧が35kVでは圧倒的にプルランのナノファイバーの出現が大多数を占めビーズが観察されにくくなった。
以上のことから、10wt%Pu−FAドープを用いて得たプルランのナノファイバーの最適印加電圧は35kVであると結論できる。
以下の3種類のドープを用いてエレクトロスピニングしてナノファイバーを製造した。
(1)10wt%のPu−FAドープに13wt%SF−FAドープ重量比50:50で複合したシルク複合ドープに、0.5wt%の上記PEG(PRG−B)−FAドープを重量比50:50で複合して調製したシルク複合ドープ。
(2)10wt%Pu−FAドープに0.5wt%のPEG(分子量:50万)を重量比50:50で複合したドープ。
(3)13wt%SF−FAドープ。
この場合のエレクトロスピニング条件は、印加電圧:25−30kV、シリンジ速度:0.02cm/min、紡糸距離:15cmに設定した。
得られた結果を表11に示す。
上記から明らかなように、(1)SF単独の場合に得られるナノファイバーの平均繊維径が、SFにPu+PEGを加えることによってわずかに増加すること、(2)SFとPu+PEGとを複合しても、エレクトロスピニング中の状態は安定的であり、標準偏差もSF単独の場合のものに近いものであったことが分かる。
さらに、上記した10wt%のPu−FAドープに13wt%SF−FAドープを重量比50:50で複合したシルク複合ドープに、上記で使用した0.5wt%のPEG(PEG−B)−FAドープの代わりに、その濃度を変えたPEG−FAドープを調製し、このPEGが、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して、5、20、35、45wt%含有されるようにしたPEG−FAドープを複合して調製したシルク複合ドープを用いて、上記と同様の条件でエレクトロスピニングした。その結果、上記と同様の平均繊維径及び標準偏差が得られた。このPEGの代わりにPVAを用いた場合も、同様な結果が得られた。
6.5wt%SF−FAドープとCS300−TFAドープとを所定量複合したシルク複合ドープ(SF(FA)+CS(TFA))を用い、印加電圧20kV、30kVでエレクトロスピニングして、また、6.5wt%SF−TFAドープとCS300−TFAドープ(SF(TFA)+CS(TFA))とを所定量複合したシルク複合ドープを印加電圧20kV、30kVでエレクトロスピニングして、シルク複合ナノファイバーを製造した。製造したシルク複合ナノファイバーをSEM測定して平均繊維径を測定した。紡糸距離は、いずれも17cmであった。得られた結果を図8に示す。図8において、横軸は、シルク複合ナノファイバー重量に占めるシルク含有割合(%)であり、縦軸は繊維径(nm)である。
図8から、SF(FA)+CS(TFA)は、印加電圧及びシルク複合ナノファイバー重量に占めるシルク含有量が変わっても、製造できるシルク複合ナノファイバーの繊維経に差は見られない。同様に、SF(TFA)+CS(TFA)は、印加電圧及びシルク複合ナノファイバー重量に占めるシルク含有量が変わっても、製造できるシルク複合ナノファイバーの繊維経に差は見られないことが示唆される。また、SF(TFA)+CS(TFA)からなるシルク複合ナノファイバーの繊維経は、シルク複合ナノファイバー重量に占めるシルク含有量が異なっても、SF(FA)+CS(TFA)からなるシルク複合ナノファイバーの繊維経より常に20nm以上大きな値を示すことが分かる。
本実施例では、シルクフィブロインのナノファイバーの平均繊維径と紡糸ノズル径との関係を検討した。
シルクスポンジを室温の蟻酸に浸漬し、6時間かけて完全に溶解して10wt%シルクフィブロイン−蟻酸ドープ(10wt%SF−FAドープ)を製造した。異なる口径(直径)の紡糸ノズル(0.7、0.8、及び1.2cm)を使用して10wt%SF−FAドープを用いてエレクトロスピニングしてシルクナノファイバーを製造した。このシルクナノファイバーの平均繊維径と繊維径の標準偏差に及ぼす紡糸ノズル口径、印加電圧との関係を検討した。得られた結果を表12に示す。
表12から明らかなことは次の通りである。印加電圧:20kVでエレクトロスピニングしてフィブロインナノファイバーを製造する際、0.7cm紡糸ノズルの口径でエレクトロスピニングしたシルクナノファイバーの平均繊維径は172nmであり、ノズル径が増大すると製造できるシルクナノファイバーの繊維径は増加する傾向が見られた。この場合、印加電圧を30kVに増加してもシルクナノファイバーの平均繊維径増大の割合は微少であった。この傾向は、印加電圧30kVでも、同様であった。
本実施例では、シルク・キトサンナノファイバーを製造した。
6.5wt%シルク−蟻酸ドープ(6.5wt%SF−FAドープ)と2wt%キトサン300をトリフルオロ酢酸に溶かして得たドープ(2wt%CS300−TFAドープ)とを複合する際、それぞれのドープの重量比を変えて製造したシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングしてシルク複合ナノファイバーを製造した。紡糸条件は、紡糸距離:17cm、印加電圧:20、30kV、紡糸速度:0.062cm/minであった。得られた結果を表13に示す。
表13における略語は、次の通りである。
表13の組成比の欄におけるAは、6.5wt%SF−TFAドープ/2wt%CS300−TFAドープであり、6.5wt%SF−TFAドープと2wt%の重合度300のCS−TFAドープとを複合する際、両者を異なる重量比で複合してなるシルク複合ドープを意味する。また、組成比の欄のBは、6.5wt%SF−FA/2wt%CS300−TFAドープであり、Aの場合と同様である。
表13の結果から明らかとなったことは次のことである。
印加電圧が変わっても、シルク複合ナノファイバーに占めるSFの含有量が減少すると、シルク複合ナノファイバーの平均繊維径は減少するが、平均繊維径の標準偏差は余り変化しない。A:90/10の場合、エレクトロスピニングしてなるシルク複合ナノファイバーの平均繊維径はA:50/50をエレクトロスピニングした時に比べて40%程低下する。同一の印加電圧でAとBとをエレクトロスピニングするとBの方がAの20%程度減少している。
6.5wt%SF−TFAドープ(SF−TFAドープともいう)と2wt%CS−TFAドープ(CS−TFAドープともいう)とを複合したドープを用いてエレクトロスピニングを行った。シルク複合ドープ組成におけるSF含有量が多いほどエレクトロスピニングによる紡糸状態は良好となり、微細なナノファイバーが製造できた。SF−TFAドープとCS−TFAドープとを複合する際、両者の重量比を90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、0/100として、それぞれを用いてエレクトロスピニングしてシルク複合ナノファイバーを製造した。シルク複合ナノファイバーの平均繊維径と繊維径の標準偏差に及ぼす、SF−TFAドープとCS−TFAドープとの重量比の関係を検討した。得られた結果を表14に示す。
表14において、Mと標準偏差とは、シルク複合ナノファイバーの平均繊維径と繊維径の標準偏差を意味する。
SFを溶解する溶媒がTFAでありCSを溶解する溶媒がTFAである場合、印加電圧が20kV、30kVでエレクトロスピニングしても、製造できるシルク複合ナノファイバーの繊維径とその標準偏差には差が見られない。
SFを溶解する溶媒にTFAの代わりにFAを用いると平均繊維径が20nm減少し、より微細なナノファイバーになる。
この場合、CSの含有量が増加するとシルク複合ナノファイバーの繊維径は減少し、SF−FA/CS−TFAドープが50/50ではシルク複合ナノファイバーは最小値の40nmとなった。この値はこれまで公知のシルク・キトサンナノファイバーの中で最も微細であった。同時にナノファイバーの平均繊維径の標準偏差も最小となった。
以上の結果から明らかとなったことは次の点である。
シルク(SF)とキトサン(CS)とを複合してシルク複合ナノファイバーを製造するに際して、シルク複合ナノファイバーの平均繊維径と繊維径分布とを制御するための条件が明らかとなった。すなわち、SFとCSとを複合してシルク複合ナノファイバーの繊維径を極微少に、つまり100nm以下、特に80nm以下にするには、シルクの含量を80wt%以下にすること、すなわち、キトサンの含量を20wt%以上にすることが特に有効である。
なお、印加電圧を変化してもシルク複合ナノファイバーの繊維径には大きな影響を与えないという結果を得た。
5wt%フィブロイン蟻酸溶液と5wt%キトサン蟻酸溶液とを重量割合で0/100、25/75、50/50、75/25、100/0で複合してシルク複合ドープを調製し、このドープを用いてエレクトロスピニングを行った。紡糸条件は、紡糸距離:17cm、印加電圧:20kV、30kV、シリンジポンプ速度:0.062cm/minであった。SEM観察によるといずれの場合もビーズしか見られず、繊維状のものは得られなかった。
重合度の違うキトサンを3種類(CS5、CS50、CS300)準備し、それぞれを用いて、10wt%のキトサン蟻酸ドープを製造した。この10wt%CS−FAドープと10wt%フィブロイン蟻酸ドープ(SF−FAドープ)とを異なる重量比で複合させ、紡糸距離:17cm、印加電圧:20kV、30kV、シリンジポンプ速度:0.062cm/minでエレクトロスピニングをしたが、ナノファイバーは見られなかった。
CS300をトリフルオロ酢酸(TFA)で溶解させて濃度2wt%に調整した。濃度6.5wt%のフィブロイン蟻酸ドープとシルクスポンジをTFAで溶解させた濃度6.5wt%のフィブロイン−TFAドープとを重量比(SF/CS)で0/100、25/75、50/50、75/25、100/0に混ぜたシルク複合ドープを製造し、このドープを用いてエレクトロスピニングを行った。紡糸条件は、紡糸距離:17cm、印加電圧:20kV、30kV、シリンジポンプ速度:0.062cm/minであった。
キトサン単独のドープ(複合率100/0)は紡糸しても繊維化はできず、ナノファイバーは得られなかった。しかし、その他の複合率のものからはナノファイバーが得られた。キトサンの含有率が増えるほど繊維径は細くなる傾向にあることが分かった。同時に付着量が減り、ビーズも増え繊維がもろくなっていくことも分かった。
フィブロインの溶媒はFAよりもTFAの方が、ビーズが少ないナノファイバーが得られた。
上記実施例では、シルクとして、家蚕由来のシルクフィブロイン及びシルクスポンジを用いたが、家蚕由来のシルクの代わりに、柞蚕由来のシルクフィブロイン及びシルクスポンジからなるシルクドープを用い、上記実施例の場合と同様に、このシルクドープとポリオキシ酸及び/又は多糖類のドープとを同様な重量比で複合したシルク複合ドープを用いて、同様な条件下でエレクトロスピニングしたところ、家蚕由来のシルクドープを用いた場合と同様な結果が得られた。PVA及びPEGをさらに複合した場合も同様であった。
本発明によれば、ポリオキシ酸及び/又は多糖類ドープとシルクドープとのシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすることで、生分解性のシルク複合ナノファイバーが提供できた。絹タンパク質の持つ細胞付着・増殖性、生体組織親和性等の優れた生化学的特徴に加えて、ポリオキシ酸及び/又は多糖類の生化学特性を兼ね備え、さらに両者の利点を相乗する新しい機能を持つシルク複合ナノファイバーが提供できる。このシルク複合ナノファイバーは、生体適合性が優れ、非表面積が非常に大きいため、再生医療工学、創傷材料等のヘルスケアー分野、バイオテクノロジー分野、エネルギー分野において新素材として利用できる。
本発明によれば、生分解性のシルクとポリオキシ酸及び/又は多糖類とからなるシルク複合ナノファイバーは、生体内、土中又は水中で順次分解する。そのため、医工分野及び農業分野でも利用できる。農業分野では、マルチシートやハウス用のフィルムとして利用できるし、繊維製品、光ディスク、包装用フィルム、レジ袋等に応用できる。

Claims (23)

  1. カイコのシルクフィブロインと、ポリオキシ酸から選ばれた生分解性素材の少なくとも1種とを主成分とするシルク複合ナノファイバーであって、該シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸を20〜60wt%、残部シルクフィブロインを含んでいることを特徴とするシルク複合ナノファイバー。
  2. カイコのシルクフィブロインと、ポリオキシ酸から選ばれた生分解性素材の少なくとも1種とを主成分とし、さらにPVA、PEG、又はPVA及びPEGの両方を含有せしめてなるシルク複合ナノファイバーであって、該シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸を20〜60wt%、残部シルクフィブロインを含んでなり、また、前記PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方が、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して5〜45wt%含有されてなることを特徴とするシルク複合ナノファイバー。
  3. カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープを複合してなるシルク複合ドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とするシルク複合ナノファイバー。
  4. 前記シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸を20〜60wt%、残部シルクを含んでなることを特徴とする請求項3に記載のシルク複合ナノファイバー。
  5. カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープを複合してなるシルク複合ドープに対し、さらにPVA、PEG、又はPVA及びPEGの両方を含有せしめたドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とするシルク複合ナノファイバー。
  6. 前記シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸を20〜60wt%、残部シルクを含んでなり、また、前記PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方が、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して5〜45wt%含有されてなることを特徴とする請求項5に記載のシルク複合ナノファイバー。
  7. 前記ポリオキシ酸が、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、及び乳酸とグルコール酸との共重合物から選ばれた少なくとも1種の生分解性素材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシルク複合ナノファイバー。
  8. 前記カイコが、家蚕幼虫又は野蚕幼虫であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシルク複合ナノファイバー。
  9. カイコのシルクフィブロインのドープと、ポリオキシ酸から選ばれた少なくとも1種の生分解性素材のドープとからなるシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすることによりシルク複合ナノファイバーを製造することを特徴とするシルク複合ナノファイバーの製造方法。
  10. 前記ポリオキシ酸が、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、及び乳酸とグルコール酸との共重合物から選ばれた少なくとも1種の生分解性素材であることを特徴とする請求項9に記載のシルク複合ナノファイバーの製造方法。
  11. 前記シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸を20〜60wt%、残部シルクフィブロインを含んでいることを特徴とする請求項9又は10に記載のシルク複合ナノファイバーの製造方法。
  12. カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープを複合してシルク複合ドープを得、このシルク複合ドープを用いてエレクトロスピニングすることによりシルク複合ナノファイバーを製造することを特徴とするシルク複合ナノファイバーの製造方法。
  13. 前記シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸を20〜60wt%、残部シルクを含んでなることを特徴とする請求項12に記載のシルク複合ナノファイバーの製造方法。
  14. カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープを複合してシルク複合ドープを得、このシルク複合ドープにさらにPVA、PEG又はPVA及びPEGの両方を含有せしめ、かくして得られたドープを用いてエレクトロスピニングすることによりシルク複合ナノファイバーを製造することを特徴とするシルク複合ナノファイバーの製造方法。
  15. 前記ポリオキシ酸が、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、及び乳酸とグルコール酸との共重合物から選ばれた少なくとも1種の生分解性素材であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載のシルク複合ナノファイバーの製造方法。
  16. 前記シルク複合ナノファイバーの重量に対して、ポリオキシ酸を20〜60wt%、残部シルクを含んでなり、また、前記PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方が、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して5〜45wt%含有されてなることを特徴とする請求項14又は15に記載のシルク複合ナノファイバーの製造方法。
  17. 前記カイコが、家蚕幼虫又は野蚕幼虫であることを特徴とする請求項9〜16のいずれか1項に記載のシルク複合ナノファイバーの製造方法。
  18. カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ、キトサンをトリフルオロ酢酸で溶解して得られたキトサンドープ、又は該ポリオキシ酸ドープと該キトサンドープとの複合ドープを複合してなるシルク複合ドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とするシルク複合ナノファイバー。
  19. カイコのシルクスポンジをトリフルオロ酢酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ、キトサンを蟻酸又はトリフルオロ酢酸で溶解して得られたキトサンドープ、又は該ポリオキシ酸ドープと該キトサンドープとの複合ドープを複合してなるシルク複合ドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とするシルク複合ナノファイバー。
  20. カイコのシルクスポンジを蟻酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ、キトサンをトリフルオロ酢酸で溶解して得られたキトサンドープ、又は該ポリオキシ酸ドープと該キトサンドープとの複合ドープを複合してなるシルク複合ドープに対し、さらにPVA、PEG、又はPVA及びPEGの両方を含有せしめたドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とするシルク複合ナノファイバー。
  21. カイコのシルクスポンジをトリフルオロ酢酸で溶解して得られたシルクドープに、ポリオキシ酸をクロロフォルム若しくはジクロロメタンで溶解して得られたポリオキシ酸ドープ、キトサンを蟻酸又はトリフルオロ酢酸で溶解して得られたキトサンドープ、又は該ポリオキシ酸ドープと該キトサンドープとの複合ドープを複合してなるシルク複合ドープに対し、さらにPVA、PEG、又はPVA及びPEGの両方を含有せしめたドープをエレクトロスピニングしたものであることを特徴とするシルク複合ナノファイバー。
  22. カイコのシルクフィブロインと、多糖類であるプルラン、ジェラン、ペクチン、及び硫酸セルロースから選ばれた生分解性素材の少なくとも1種とを主成分とするシルク複合ナノファイバーであって、該シルク複合ナノファイバーの重量に対して、多糖類を7〜13wt%、残部シルクフィブロインを含んでいることを特徴とするシルク複合ナノファイバー。
  23. カイコのシルクフィブロインと、多糖類であるプルラン、ジェラン、ペクチン、及び硫酸セルロースから選ばれた生分解性素材の少なくとも1種とを主成分とし、さらにPVA、PEG、又はPVA及びPEGの両方を含有せしめてなるシルク複合ナノファイバーであって、該シルク複合ナノファイバーの重量に対して、前記多糖類を17〜30wt%、残部シルクフィブロインを含んでなり、また、前記PVA、PEG又はPVA及びPEGの両方が、シルク複合ナノファイバーに含まれるシルク重量に対して5〜45wt%含有されてなることを特徴とするシルク複合ナノファイバー。
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