JP6637305B2 - 砂防堰堤 - Google Patents
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Description
近年、砂防堰堤の中央部分に開口部を設け、この開口部に鋼製の格子状の柵体を設けることで、土石流が発生した場合に、巨大な岩石や流木を柵体で捕捉し、土砂や水を通過させる透過型の砂防堰堤が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に示すような透過型の砂防堰堤においては、一対の非越流部の間に透過部としての柵体が設けられている。非越流部は、鋼板やコンクリート製のパネルで外壁を構築し、その内部にソイルセメント等を充填することにより構築される。
図8に示すように、従来の砂防堰堤600においては、土石流や洪水が発生した際に河川の岸に隣接している袖部の破損を防ぐために、非越流部610a,610bの袖部(岸側の端部)を所定の深さ地山に嵌入している(図8においては破線で示す)。砂防堰堤600の施工に際しては、非越流部610a,610bの袖部を地山に嵌入するために地山を掘削し、非越流部610a,610bの施工後に、非越流部610a,610bと地山との間を砂礫やコンクリートで埋め戻している。
記河川を臨む外面を覆う保護壁部を有することを特徴とする。
[砂防堰堤の構造]
図1、図2及び図3に基づいて、砂防堰堤の第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る段状の人工地山30を備える砂防堰堤100を上流から見た斜視図である。図2は、人工地山30の形状について説明するための砂防堰堤100の概略的な正面図である。図3は水の浸透経路について説明するための、砂防堰堤100における袖部の概略的な横断面図である。
一対の非越流部10a,10bは、河川の上流側から流れ込む土石流の越流を阻止するものであり、上流壁部1a,1bと、下流壁部2a,2bと、側壁部3a,3bと、湾曲壁部4a,4bと、中詰材5と、天端保護材6a,6bとを備えている。
上流壁部1a,1bは、河川の上流に面しており、上流からの流水、土石流の衝撃を受け止める壁部であり、袖部において河川の岸に隣接している。ここで、「河川の岸に隣接している」とは、上流壁部1a,1bの袖部が、河川の岸の地盤線に沿うようにして岸に連なっていることを意味する。つまり、砂防堰堤100は、図8に示す従来の砂防堰堤600のように、袖部が河川の岸の地盤に埋設されていない。袖部が埋設されていない構成により、砂防堰堤100の施工時に、河川の岸を掘削する必要がなくなる。
上流壁部1a,1bは、断面が波形状に形成された矩形板状の鋼板パネルを複数枚連結することによって構築されている。鋼板パネルは、鋼板、該鋼板の周縁に沿って設置された補強リブ、相互の接続に供するためのフランジ等を有しており、フランジには相互の接続に供するボルト貫通孔が形成されている。鋼板パネル同士は、ボルト及びナットで連結されており、その繋ぎ目にはシールテープ等が貼り付けられて止水されていてもよい。上流壁部1a,1bを構成する鋼板パネルは、それぞれが波形状に形成されているものの、壁部全体として見た際に略平面状に形成されている。上流壁部1a,1bは、上端から下端に向かうにつれて上流側に向けて下方に傾斜する法面が形成されるように構築されている。
また、隣接する鋼板パネルの間には、後述する人工地山30a,30bの保護壁部31a,31bとの連結用の連結片が、人工地山30a,30bの設置箇所に合わせて挟み込まれている。
下流壁部2a,2bは、河川の下流に面しており、上流壁部1a,1bから所定の間隔をあけて配置されていて、袖部において河川の岸に隣接している。ここで、「河川の岸に隣接している」とは、下流壁部2a,2bの袖部が、河川の岸の地盤線に沿うようにして岸に連なっていることを意味する。つまり、砂防堰堤100は、図8に示すような従来の砂防堰堤600のように、袖部が河川の両岸に埋設されていない。
下流壁部2a,2bは、断面が波形状に形成された矩形板状の鋼板パネルを複数枚連結することによって構築されている。鋼板パネルは、鋼板、該鋼板の周縁に沿って設置された補強リブ、相互の接続に供するためのフランジ等を有しており、フランジには相互の接続に供するボルト貫通孔が形成されている。鋼板パネル同士は、ボルト及びナットで連結されており、その繋ぎ目にはシールテープ等が貼り付けられて止水されていてもよい。下流壁部2a,2bを構成する鋼板パネルは、それぞれが波形状に形成されているものの、壁部全体として見た際に略平面状に形成されている。下流壁部2a,2bは、上端から下端に向かうにつれて下流側に向けて下方に傾斜するように構築されている。なお、下流壁部2a,2bは、鋼板パネルに代えてコンクリートパネルを用いてもよい。
また、下流壁部2a,2bを構成する隣接する鋼板パネル同士の間には、後述する人工地山30c,30dの保護壁部31c,31dとの連結用の連結片が、人工地山30c,30dの設置箇所に合わせて挟み込まれて設けられている。
側壁部3a,3bは、透過部20に面しており、下流壁部2a,2bの透過部20側の端部に連続するように設けられている。側壁部3a,3bは、断面が波形状に形成された矩形板状の鋼板パネルを複数枚連結することによって構築されている。鋼板パネルは、鋼板、該鋼板の周縁に沿って設置された補強リブ、相互の接続に供するためのフランジ等を有しており、フランジには相互の接続に供するボルト貫通孔が形成されている。鋼板パネル同士は、ボルト及びナットで連結されており、その繋ぎ目にはシールテープ等が貼り付けられて止水されていてもよい。側壁部3a,3bを構成する鋼板パネルは、それぞれが波形状に形成されているものの、壁部全体として見た際に略平面状に形成されている。側壁部3a,3bは、基礎コンクリート11a,11bの上面に直立するように構築されて
いる。
湾曲壁部4a,4bは、上流壁部1a,1bにおける透過部20側の端部と側壁部3a,3bにおける上流側の端部とに連続する壁部であり、少なくとも一部が曲面状に形成されている。
湾曲壁部4a,4bは、少なくとも一部(非越流部の上流側角部)に法面に対して直角方向の断面が中心角90°の円弧状に形成された鋼板パネルを複数枚連結することによって構築されている。湾曲壁部4a,4bの湾曲面は中心角が90°の円周面を形成している。湾曲壁部4a,4bを形成する鋼板パネルは、鋼板と、該鋼板の周縁に沿って設置された補強リブや相互の接続に供するためのフランジとを有し、鉛直方向に配置される一対のフランジは直線状の板材で、水平方向に配置される一対のフランジは平面視で円弧状の板材である。また、フランジには相互の接続に供するボルト貫通孔が形成されている。
湾曲壁部4a,4bは、その表面が湾曲面を有しているので、巨大な岩石や流木等が衝突した際、損傷しにくくなっており、流下する土石流等が透過部20に流入する際、渦状の流れが発生しにくくなっている。
ここで、湾曲壁部4a,4bの上端に配置される鋼板パネルの上端は、非越流部10a,10bの天端に沿って切り取られている。湾曲壁部4a,4bの下端に配置される鋼板パネルの下端は、非越流部10a,10bの底面に沿って切り取られている。
中詰材5は、基礎コンクリート11a,11b及び基礎コンクリート21(後述する)を設置する際に発生した現地発生土砂と、セメント・セメントミルクとを撹拌・混練して製造したソイルセメントであり、上流壁部1a,1b、下流壁部2a,2b、側壁部3a,3b及び湾曲壁部4a,4bによって囲まれた空間内に打設される。中詰材5の固化により、中詰材5の重量で土石流の衝撃を受け止める。
また、中詰材5は、各壁部1a,1b,2a,2b,3a,3b及び4a,4bの内面に沿って充填されるため、固化した際に、上流壁部1a,1b及び湾曲壁部4a,4bの内面に沿って形成される上流側の面が、上端から下端に向かうにつれて上流側に向けて下方に傾斜する法面が形成される。
天端保護材6a,6bは、各壁部1a,1b,2a,2b,3a,3b及び4a,4bによって囲まれた空間内に打設された中詰材5の上面を覆うものであって、コンクリートで形成されている。天端保護材6a,6bは、中詰材5の保護層(水の遮断層)として機能している。
図1に示すように、透過部20は、非越流部10aと非越流部10bとの間に設けられ、流水を透過するものである。
透過部20は、河川の底部に設けられた基礎コンクリート21と、基礎コンクリート21に設置された鋼製またはコンクリート製の柱体を組み立てた柵体22と、を備えている。透過部20は、柵体22が、河川の流水や小さな土砂を通過させ、土石流の発生時に巨大な岩石や流木を捕捉する。
人工地山30a,30b,30c,30dは、河川の岸に隣接する上流壁部1a,1b
及び下流壁部2a,2bの袖部に設けられ、袖部を地盤に埋設しなくとも根入れの機能を提供するものであり、保護壁部31a,31b,31c,31dと、中詰材32a,32b,32c,32dとを用いて構築されている。
人工地山30a,30b,30c,30dは、上流壁部1a,1b及び下流壁部2a,2bと岸との間に形成される角隅部に構築されている。より具体的には、上流壁部1aの袖部と岸とにより形成される角隅部に人工地山30aが形成され、上流壁部1bの袖部と岸とにより形成される角隅部に人工地山30bが形成され、下流壁部2aの袖部と岸とにより形成される角隅部に人工地山30cが形成され、下流壁部2bの袖部と岸とにより形成される角隅部に人工地山30dが形成される。
図1に示すように、各人工地山30a,30b,30c,30dは、保護壁部31a,31b,31c,31dによって形成される外面が河川の岸に沿って延び、その途中で折れ曲がって河川の岸に向かうように延びている。また、各人工地山30a,30b,30c,30dは、河川の底部から上方に向かって段状に形成されており、各壁部1a,1b,2a,2bにおいて所定の高さまで積み上げられている。
各段部の保護壁部31a,31b,31c,31dは、非越流部10a,10bの上流壁部1a,1b及び下流壁部2a,2bと河川の岸の地盤面とともに、後述する中詰材32a,32b,32c,32dが打設される空間を画成し、河川を臨む人工地山30a,30b,30c,30dの外面、より具体的には中詰材32a,32b,32c,32dの外面を覆う壁部である。
保護壁部31a,31b,31c,31dは、複数の鋼板パネルを連結することによって構築されている。保護壁部31a,31bにおける上流壁部1a,1bに連結される一端には、上流壁部1a,1bに連結するための連結片が設けられており、保護壁部31c,31dにおける下流壁部2a,2bに連結される一端には、下流壁部2a,2bに連結するための連結片が設けられている。各連結片には、上流壁部1a,1b及び下流壁部2a,2bをそれぞれ構築する、互いに連結された鋼板パネル同士の間から突出している連結片との接続に供するボルト貫通孔が形成されている。保護壁部31a,31b,31c,31dの他端は、河川の岸の表面に沿った形状となるように形成されている。
なお、人工地山30a,30b,30c,30dの上端面においてソイルセメントは露出しているが、それぞれ保護壁部31a,31b,31c,31dによって覆われていてもよい。
中詰材32a,32b,32c,32dは、基礎コンクリート11a,11b及び基礎コンクリート21を設置する際に発生した現地発生土砂と、セメント・セメントミルクとを撹拌・混練して製造したソイルセメントであり、保護壁部31a,31bと上流壁部1a,1bとによって囲まれた空間内に打設され、また、保護壁部31c,31dと下流壁部2a,2bとによって囲まれた空間内に打設される。
なお、中詰材32a,32b,32c,32dは、非越流部10a,10bを構築する際の中詰材5と同じ材料でも異なる材料であってもよい。
なお、図2(a)、図2(b)においては、上流側から見た砂防堰堤100A,100を描くため、人工地山については、上流側に構築されているもののみ描いて、説明する。
図2(a)に示すように、保護壁部を有していない人工地山130a,130bを構築した場合、砂防堰堤100Aに一定の強度を持たせるため、人工地山130a,130bの法面を緩くして人工地山130a,130bの体積を大きくする必要がある。
これに対して、図2(b)に示すように、保護壁部31a,31bを有する人工地山30a,30bの場合には、保護壁部31a,31bにある程度の強度を持たせることができるので、人工地山30a,30bの体積をそれほど大きくする必要がない。
これにより、両岸に設けられた人工地山30a,30bの間に確保される、土石流を捕捉する貯砂空間S1は、図2(a)に示す両岸に設けられた人工地山130a,130bの間に確保される貯砂空間S2と比べて広大であり、砂防堰堤としての機能を高めることができる。
図3(a)に示すように、従来の砂防堰堤600の非越流部610bの袖部における浸透経路R1は、非越流部610bの袖部を河川の岸の地盤に埋設した部分と、掘削されて埋め戻された地盤との間に形成されている。ここで、袖部と埋め戻された地盤とが接する3つの領域をa,b,cとし、各領域a,b,cの長さをそれぞれXとすると、従来の砂防堰堤600における浸透経路R1の長さは3Xとなる。
これに対して、図3(b)に示すように、砂防堰堤100においては、上流壁部1b側及び下流壁部2b側の人工地山30b,30dの、岸の地盤と接する領域をA,B、非越流部10bの上流側を向く面と人工地山30bとが接触する領域をC、下流側を向く面と人工地山30dとが接触する領域をD、並びに非越流部10bの岸側を向く袖部の面と地盤とが接触する領域をEとすると、砂防堰堤100においては、領域A→E→B、領域A→E→D、領域C→E→B及び領域C→E→Dを通る4つの浸透経路R2が形成されている。各領域A〜Eの長さをXとすると、全ての浸透経路R2においても3Xの長さが確保される。
つまり、砂防堰堤100においては、非越流部10bの袖部を地盤に嵌入しなくても、袖部を埋設した場合と同じ浸透経路の長さを確保することができる。
なお、本実施の形態は透過部20を有する砂防堰堤のため、土石流の流水が上流側に滞留することなく、下流側へ比較的早期に流下する。従って、流水滞留による圧力は低く抑制される。これにより袖部は地盤嵌入による固定を必要とせず浸透経路R2の必要な長さを確保していれば地盤と砂防堰堤100本体との間の崩壊も生じない。
次に、砂防堰堤の施工方法について説明する。
最初に、砂防堰堤100の施工位置に、非越流部10a,10bのための基礎コンクリート11a,11bを打設する(ステップS1)。
次に、基礎コンクリート11a,11b上に上流壁部1a,1b、下流壁部2a,2b、側壁部3a,3b、湾曲壁部4a,4bを構築する(ステップS2)。ここで、各壁部の施工順序は任意であり、どの壁部を先に構築してもよいし、同時に行ってもよい。
ここで、上流壁部1a,1bは、上端から下端に向かうにつれて上流側に向けて下方に傾斜するように複数枚の鋼板パネルを基礎コンクリート11a,11bの上面に対して傾斜させた状態で連結して構築する。すなわち、非越流部10a,10bの施工完了時に上
流壁部1a,1bは法面を有することになる。
下流壁部2a,2bは、上端から下端に向かうにつれて下流側に向けて下方に傾斜するように複数枚の鋼板パネルを基礎コンクリート11a,11bの上面に対して傾斜させた状態で連結して構築する。すなわち、非越流部10a,10bの施工完了時に下流壁部2a,2bは法面を有することになる。
側壁部3a,3bは、基礎コンクリート11a,11bの上面に対して直立するように複数枚の鋼板パネルを連結して構築する。
湾曲壁部4a,4bは、上端から下端に向かうにつれて上流側に向けて下方に傾斜するように複数枚の鋼板パネルを連結して構築する。すなわち、非越流部10a,10bの施工完了時に湾曲壁部4a,4bは法面を有することになる。
湾曲壁部4a,4bは、中心角が90°の円弧状断面を有する複数枚の鋼板パネルを法面の勾配に沿って積み重ねていくことにより形成される。すなわち、鋼板パネルの平行な上縁と下縁が、形成される法面に対して直角をなすように鋼板パネルを傾けた状態で積み重ねていく。
中詰材5が固化した後、その天端面(各壁部によって覆われていない部分)に天端保護材6a,6bとしてコンクリートを打設する(ステップS4)。ここで、天端保護材6a,6bは、現場でコンクリートを打設してもよいし、予め作製されたコンクリートパネルを敷き詰めて互いに連結してもよい。
ステップS1からS4により、非越流部10a,10bが完成する。
次に、非越流部10aと非越流部10bとの間に、基礎1次コンクリート21を打設する(ステップS5)。
次に、コンクリート柱又は鋼柱を格子状に組み上げた柵体22を基礎1次コンクリート21上に設置する(ステップS6)。
次に、柵体22の下部を埋設するように基礎2次コンクリート21を所定の高さまで打設する(ステップS7)。
ステップS5からS7により、透過部20が完成する。
なお、透過部20は、非越流部10a,10bの施工後ではなく、非越流部10a,10bの施工前、非越流部10a,10bの施工と同時に施工してもよい。
人工地山30a,30b,30c,30dの施工に際しては、最初に、保護壁部31a,31b,31c,31dのための基礎コンクリート33a,33bを打設する。次に、基礎コンクリート33a,33b上に一回のソイルセメントの打設分の高さに相当する人工地山30a,30b,30c,30dの保護壁部31a,31b,31c,31dを構築する。より具体的には、保護壁部31a,31b,31c,31dの連結片を、非越流部10a,10bの各壁部の連結片にボルト及びナットにより連結して、各壁部と河川の岸と保護壁部31a,31b,31c,31dとの間に所定の空間を形成する。その後、形成された空間に中詰材32a,32b,32c,32dを打設して、敷き均して締め固める。つまり、保護壁部31a,31b,31c,31dは、人工地山30a,30b,30c,30dをソイルセメントにより構築する際に型枠としても用いられる。
この作業を所定の高さまで繰り返して段状の人工地山30a,30b,30c,30dを構築していく。
以上のような構造の砂防堰堤100によれば、袖部に人工地山30a,30b,30c,30dを設け、人工地山30a,30b,30c,30dを保護壁部31a,31b,31c,31dにより覆うことで、砂防堰堤100の袖部を河川の両岸の地盤に埋設させなくても砂防堰堤100の袖部に必要な強度を確保することができる。保護壁部31a,31b,31c,31dは、人工地山30a,30b,30c,30dを製作する際に型枠としての機能を有するので、人工地山30a,30b,30c,30dを転圧するための重機施工を必要とする流動性のないソイルセメントを用いることができるのはもちろんのこと、例えば狭隘な施工スペースにおいては、流動性のあるソイルセメントを用いることができる。さらに、保護壁部31a,31b,31c,31dは、転圧による内的な荷重や、土石流等の外的な荷重に対する補強部材としての機能も備える。また、砂防堰堤100の施工場所において袖部の埋設のための地盤の掘削作業を省き、かつ砂防堰堤100において埋設する部分を節約することができるので、全体として使用する材料は減じられ、かつ施工時間は短縮されるので、施工コストを低減することができる。
上流壁部1a,1b及び下流壁部2a,2b、湾曲壁部4a,4bは、施工完了時に法面を有しておらず、鉛直方向に延在する面を有していてもよい。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、人工地山の構成であるため、以下では、人工地山の構成についてのみ説明し、第1の実施の形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
鋼板パネル同士は、ボルト及びナットで連結されており、その繋ぎ目にはシールテープ等が貼り付けられて止水されていてもよい。連結部232a,232b,232c,232d及び接続部233a,233b,233c,233dを構成する鋼板パネルは、それぞれが波形状に形成されているものの、保護壁部230a,230b,230c,230d全体として見た際に略平面状に形成されている。連結部232a,232b,232c,232d及び接続部233a,233b,233c,233dは、上端から下端に向かって鉛直に構築されている。
湾曲部234a,234b,234c,234dを形成する鋼板パネルは、鋼板と、該鋼板の周縁に沿って設置された補強リブや相互の接続に供するためのフランジとを有し、鉛直方向に配置される一対のフランジは直線状の板材で、水平方向に配置される一対のフランジは平面視で円弧状の板材である。
湾曲部234a,234b,234c,234dは、上端から下端に向かって鉛直に構築されている。
湾曲部234a,234b,234c,234dは、断面が円弧状に形成された鋼板パネルの上縁及び下縁が湾曲部の法面に対して直角をなすように積み重ねられて構築されている。すなわち、湾曲部234a,234b,234c,234dを施工する領域を法面に対して直角となる方向に沿って区分けして積み重ねていく。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態が上述の2つの実施の形態と異なる点は、人工地山の構成であるため、以下では、人工地山の構成についてのみ説明し、上述の実施の形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
保護壁部331a,331b,331c,331dは、その外面が非越流部10a,10bの上流壁部1a,1b及び下流壁部2a,2bから河川の岸に向かってまっすぐ延びる平面状に形成されており、保護壁部331a,331b,331c,331dと非越流部10a,10bの上流壁部1a,1b及び下流壁部2a,2bとの間には中詰材32a,32b,32c,32dが打設されている。
保護壁部331a,331b,331c,331dは、断面が波形状に形成された矩形板状の鋼板パネルを複数枚連結することによって構築されている。鋼板パネルは、鋼板、該鋼板の周縁に沿って設置された補強リブ、相互の接続に供するためのフランジ等を有しており、フランジには相互の接続に供するボルト貫通孔が形成されている。
また、鋼板パネル同士は、ボルト及びナットで連結されており、その繋ぎ目にはシールテープ等が貼り付けられて止水されていてもよい。保護壁部331a,331b,331c,331dを構成する鋼板パネルは、それぞれが波形状に形成されているものの、保護壁部331a,331b,331c,331d全体として見た際に略平面状に形成されている。保護壁部331a,331b,331c,331dは、その上端から下端に向かうにつれて上流側または下流側に向けて下方に傾斜する法面が形成されるように構築されている。
なお、人工地山330a,330b,330c,330dには必ずしも法面が形成されている必要はなく、人工地山330a,330b,330c,330dはその上端から下端に向かって鉛直に構築されていてもよい。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。以下では、第4の実施の形態が上記の3つの実施の形態と異なる点のみ説明し、上述の実施の形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
また、この実施の形態においては、砂防堰堤400に必要な強度を確保するために、非越流部410a,410bの各壁部を構成する鋼板パネルを保護壁部431a,431b,431c,431dにも使用することが好ましい。
なお、人工地山430a,430b,430c,430dの構成は、上述のいずれかの実施の形態における人工地山の構成を採用することができる。
非越流部410a,410bの上流側及び下流側を臨む壁を部分的に人工地山430a,430b,430c,430dで構築するので、砂防堰堤400の構造の一体性と、施工効率の向上を図ることができる。
図7は、本発明に係る砂防堰堤の変化例を示す図であり、砂防堰堤500の斜視図である。
砂防堰堤500と、上記の砂防堰堤100,200,300、400との相違点は、砂防堰堤500は透過部の代わりに越流部520を備えている点にあり、砂防堰堤500は、基礎コンクリート511a上に設置された非越流部510と、人工地山30a,30b,30c,30dと、を備えている。なお、人工地山30a,30b,30c,30dに関しては、図1の人工地山と同じ構成であるため、同一符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、非越流部510は、河川の岸と岸との間を、越流部520を介して連続して延在しており、非越流部510の上流側は上流壁部41で構成されており、非越
流部510の下流側は下流壁部42で構成されている。つまり、砂防堰堤500においては、側壁部及び湾曲壁部も設けられていない。非越流部510が両岸の間を連続して延在していることに伴い、天端保護材46も同様に両岸の間を連続して延在している。
なお、人工地山30a,30b,30c,30dの構成は、図示の構成に限定されず、図4、図5及び図6に描いた人工地山の構成を採用することもできる。
2a,2b 下流壁部
5 中詰材
10a,10b 非越流部
20 透過部
30a,30b,30c,30d 人工地山
31a,31b,31c,31d 保護壁部
32a,32b,32c,32d 中詰材
Claims (5)
- 河川の上流側から流れ込む土石流の越流を阻止する一対の非越流部と、
前記非越流部の間に設けられ、流水を透過する透過部と、
前記非越流部の、前記河川の岸に隣接する袖部における上流側及び下流側を臨む面に設けられた人工地山と、を備え、
前記非越流部の袖部は、前記河川の岸に埋設されておらず、前記岸の表面に沿って当該岸に接して延びており、
前記人工地山は、前記岸と前記袖部とにより形成された角隅部に設けられ、少なくとも前記河川を臨む外面を覆う保護壁部を有することを特徴とする砂防堰堤。 - 河川の上流側から流れ込む土石流の越流を阻止する非越流部と、
前記非越流部の、前記河川の岸に隣接する袖部における上流側及び下流側を臨む面に設けられた人工地山と、を備え、
前記非越流部の袖部は、前記河川の岸に埋設されておらず、前記岸の表面に沿って当該岸に接して延びており、
前記人工地山は、前記岸と前記袖部とにより形成された角隅部に設けられ、少なくとも前記河川を臨む外面を覆う保護壁部を有することを特徴とする砂防堰堤。 - 前記非越流部の前記河川に臨む壁を部分的に前記人工地山で構築することを特徴とする請求項1又は2に記載の砂防堰堤。
- 前記非越流部は、河川の上流側に対向するように設けられる上流壁部と、河川の下流側に対向するように設けられる下流壁部とを備え、
前記人工地山は、前記上流壁部と前記下流壁部との間に形成された空間に充填される中詰材と同じ材料により形成されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の砂防堰堤。 - 前記人工地山は段状に形成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の砂防堰堤。
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