JP6633368B2 - 酸性液状調味料 - Google Patents
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Description
一方で、近年の健康志向により上記ネギ属野菜を用いたドレッシング、たれ、鍋用スープ等の酸性液状調味料も低カロリー化が求められており、配合されている食用油脂を減らすことで対処している。
また、低オイル又はノンオイルであるだけでなく、更に低粘度の酸性液状調味料の場合、上記問題は更に顕著になってしまう。
従来、ネギ属野菜のフレッシュな香りも残しながら、生のネギ属特有の臭みを抑制する方法としては、原料タマネギの処理方法を工夫する手段が知られている。具体的には、特許文献1記載のとおり、ホール上のタマネギの中心温度を、200分以内に0℃から凝固点以下にしてから、−5℃/h以上の冷凍速度で−20℃以下にし、さらに45時間以上−20℃以下にて保持した後に、前記ホール上のタマネギを解凍し、破砕して得られることを特徴とするタマネギ破砕物が知られている。
簡便で且つネギ属野菜としてフレッシュで良好な香りを維持しながら、生のネギ野菜属特有の臭みを抑制した酸性液状調味料が望まれている。
(1)脂質含有量が10%以下、
20℃における粘度が15Pa・s以下である酸性液状調味料において、
ネギ属野菜を含有し、
澱粉粒の体積平均粒子径が3μm以上15μm以下の加工澱粉が分散している、
酸性液状調味料、
(2)(1)に記載の酸性液状調味料が、
食用油脂を配合せず、且つ脂質含有量が3%未満である、
酸性液状調味料、
である。
本発明は、ネギ属野菜と澱粉粒の体積平均粒子径が小さい加工澱粉とを組み合わせることにより、低脂質且つ低粘度にも拘わらず、ネギ属野菜に由来するフレッシュな香りは維持し、生のネギ属野菜特有の臭みが抑制することができる。
本発明の酸性液状調味料は、脂質含有量が10%以下、20℃における粘度が15Pa・s以下であり、pHが3.0〜4.6の酸性液状調味料である。
本発明の酸性液状調味料は、脂質含有量が10%以下の酸性液状調味料である。本発明の酸性液状調味料は、低脂質にも拘わらず、ネギ属野菜に由来するフレッシュな香りは維持しつつ、生のネギ属野菜特有の臭みが抑制できていることが特徴である。
更に、本発明の酸性液状調味料の脂質含有量は、上限が8%以下、5%以下、3%質量以下、3%未満、下限は特に限定されるものではないが、脂質を実質的に含まなくてもよく、更に0.01%以上、0.05%以上であるとよい。
前記脂質含有量は、栄養表示基準(平成15年4月24日厚生省告示第176号)別表第2の第3欄記載のエーテル抽出法に準じて測定することができる。
脂質含有量が10%以下の低脂質の酸性液状調味料のうち、ノンオイルの酸性液状調味料とは、食用油脂を使用せず且つ脂質含有量が3%未満の酸性液状調味料を言う。これは、JAS規格とドレッシング類の表示に関する公正競争規約に基づく。
低オイルの酸性液状調味料は、上記ノンオイルの酸性液状調味料以外の脂質含有量が10%以下の酸性液状調味料をいう。
より具体的には、食用油脂を使用し且つ脂質含有量が10%以下、好ましくは上限が8%以下、5%以下、3%以下、3%未満である酸性液状調味料、又は食用油脂を使用せず且つ脂質含有量が3%以上10%以下、好ましくは上限が8%以下、5%以下、3%以下、3%未満である酸性液状調味料を低オイルの酸性液状調味料という。
食用植物油脂の配合量及び脂質含有量の下限は、特に限定されるものではないが、実質的に食用植物油脂又は脂質を含まない0%以上としてもよく、0.01%以上、0.05%以上としてもよい。
ここで、食用植物油脂を使用する低オイルの酸性液状調味料としては、食用植物油脂と水相とが乳化された酸性乳化液状調味料、食用植物油脂が水相の上に積層された分離液状調味料が挙げられる。
酸性液状調味料の粘度は、15Pa・s以下であり、更に13Pa・s以下、10Pa・s以下、8Pa・s以下、5Pa・s以下、3Pa・s以下がよい。下限値は、特に限定されないが、0Pa・s以上がよく、0.9Pa・s以上が更によく、1Pa・s以上が更によい。
上記粘度の測定は、BH型粘度計で、品温25℃、回転数:10rpmの条件で粘度が0.7Pa・s未満のときローター:No.1、0.7Pa・s以上2.8Pa・s未満のときローターNo.2、2.8Pa・s以上7.0Pa・s未満のときNo.3、7.0Pa・s以上のときNo.4を使用し、測定開始後ローターが2回転した時の示度により算出した値である。
本発明で用いるネギ属野菜は、ネギ属であれば特に限定されないが、玉ねぎ、にんにく、ネギ、アサツキ、チャイブ等が挙げられる。特に、酸性液状調味料においてネギ属野菜特有の生の臭み抑制が求められる、玉ねぎ、にんにくが好適である。
本発明で用いるネギ属野菜は破砕することで更に香気成分を生じるため、本発明の酸性液状調味料に用いるネギ属野菜は、破砕されたものがよい。具体的なネギ属野菜の形態は、卸したもの、ペースト化したもの、刻んだもの、これらを冷凍或いは乾燥させたもの等が挙げられる。本発明の酸性液状調味料において、よりネギ属野菜のフレッシュな香りが得られるように、ネギ属野菜が品温50℃30分以上の加熱履歴がかかっていないものが好ましい。
本発明で用いるネギ属野菜の大きさは、種類にもよるがフレッシュな香りが揮発しやすいように小さすぎず、酸性液状調味料の液部との調和のため大きすぎない方がよい。例えば、配合するネギ属野菜全体に対して、長径が10μm〜8mmであるネギ属野菜が50%以上であるとよい。更に配合するネギ属野菜全体に対して、長径が15μm〜5mmであるネギ属野菜が60%以上であるとよい。
本発明の酸性液状調味料に対するネギ属野菜の含有量は、ネギ属野菜のフレッシュな香りを酸性液状調味料に付与しやすいことから、下限値(固形分換算)が0.05%以上、0.07%以上がよい。一方、ネギ属野菜が多すぎると、酸性液状調味料全体の風味バランスが崩れてしまうため、本発明の酸性液状調味料に対するネギ属野菜の含有量の上限値は、固形分換算で8%以下、5%以下、3%以下がよい。
本発明の酸性液状調味料には、澱粉粒の体積平均粒子径が3μm以上15μm以下の加工澱粉が分散している。当該加工澱粉が酸性液状調味料中に分散していることにより、ネギ属野菜のフレッシュな香りを維持し、生のネギ属野菜特有の臭みが抑制することができる。
本発明の酸性液状調味料中に分散している加工澱粉の体積平均粒子径は、ネギ属野菜のフレッシュな香りを維持し、生のネギ属野菜特有の臭みが抑制する観点から、上限が15μm以下であり、10μm以下、8μm以下、8μm未満がよい。また、下限値は、3μm以上であり、5μm以上であるとよい。
試料の調製:加工澱粉が無水換算で3%の水懸濁液を品温50℃まで達温させ、品温50℃で10分間保持した後、30℃まで放冷させる。
体積平均粒子径の測定:上記調製した試料をレーザー回析式粒度分布測定装置により測定する。測定基準は体積とし、その他測定条件は常法に従って行う。
本発明の酸性液状調味料は、その製造工程中に加熱工程があったとしても、調味料中の加工澱粉が一定の大きさの澱粉粒として存在することが肝要であるため、上記試料の調製において加熱処理を行う。
加工澱粉の含有量は、酸性液状調味料に対して下限は1%以上、2%以上がよく、上限は8%以下、6%以下が良い。加工澱粉の含有量を前記範囲とすることで、ネギ属野菜のフレッシュな香りを維持し、生のネギ属野菜特有の臭みが抑制することができる。
加工澱粉の原料澱粉としては、その種類によって限定するものではなく、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ(例えば、スイートコーン由来、デントコーン由来、ワキシーコーン由来のコーンスターチ)、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、および米澱粉のいずれのものでもよいが、特に、澱粉粒の体積平均粒子径が1〜15μm、更に1〜10μmの米澱粉、サトイモ澱粉、小麦小粒子、馬鈴薯小粒子等が好適である。
加工澱粉とは、食品衛生法で添加物に指定された化学的処理を施された澱粉であって食用として供されるものである。加工澱粉は、前記それぞれの体積平均粒子径となれば、特に限定されないが、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸化架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉が挙げられる。
特に、加工澱粉は、調味料中に一定の大きさの澱粉粒として存在することが肝要であるため、加熱膨潤を抑制できる架橋澱粉が好適であり、アセチル化アジピン酸架橋、アセチル化リン酸化架橋、ヒドロキシプロピルリン酸架橋、リン酸架橋等の架橋方法が挙げられ、特にリン酸架橋、ヒドロキシプロピルリン酸架橋、アセチル化アジピン酸架橋がよい。
本発明の酸性液状調味料は、ネギ属野菜(固形分換算)と前記加工澱粉の含有比率が、1:60〜5:1であるとネギ属野菜のフレッシュな香りを維持し、生のネギ属野菜特有の臭みを抑制できるため、好ましい。更に、ネギ属野菜と前記加工澱粉の含有比率が1:10〜3:1であると更によい。
本発明の酸性液状調味料に、更にブドウ酢を含有させることにより、ネギ属野菜のフレッシュな香りを維持させることができる。
上記理由のため、本発明の酸性液状調味料に対するブドウ酢(酢酸酸度4.5%)の含有量が、0.1%以上、更に0.3%以上であるとよい。一方、ブドウ酢(酢酸酸度4.5%)の含有量の下限値は、ブドウ酢由来の香りが強化されずぎて調味料としての香りのバランスを崩さないために、5%以下、更に3%以下であるとよい。
本発明の酸性液状調味料に、更に生姜を含有させることにより、保管後においてもネギ属野菜のフレッシュな香りを維持させることができる。
上記理由のため、本発明の酸性液状調味料に対する生姜の含有量が、固形分換算で0.001%以上、更に0.003%以上であるとよい。一方、下限値は、生姜由来の香りが強化されずぎて調味料としての香りのバランスを崩さないために、固形分換算で0.5%以下、更に0.1%以下であるとよい。
本発明の酸性液状調味料には、上述のネギ属野菜、加工澱粉、ブドウ酢、生姜以外に本発明の効果を損なわない範囲で当該食品に一般的に使用されている各種原料を適宜選択し含有させることができる。例えば、ブドウ酢以外の米酢、米黒酢、大麦黒酢、リンゴ酢等の食酢、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、醤油、味噌、乳製品等の各種調味料、各種エキス、全卵、卵黄、ホスフォリパーゼA1、ホスフォリパーゼA2、ホスフォリパーゼC若しくはホスフォリパーゼDで酵素処理した卵黄、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、ラクトアルブミン、カゼインナトリウム等の乳化材、アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、グアガム、タラガム等のガム質、色素、香味食材や各種野菜のおろし、ペースト状物、截断物等の具材の粉砕物、大豆、ピーナッツ等の種子類の具材が挙げられる。
低オイルの酸性液状調味料の場合、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油等の動植物油又はこれらの精製油(サラダ油)、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的あるいは酵素的処理等を施して得られる油脂等の食用油脂等を用いることができる。
本発明の酸性液状調味料の製造方法は、ネギ属野菜及び加工澱粉を必須原料として配合し、必要に応じてブドウ酢、生姜等を配合し、常法に則り製造できる。
<ノンオイルの酸性液状調味料(タマネギドレッシング)>
下記の配合割合に準じ、全体を均一に混合した後、250mL容量のPET容器に250mL充填し、密栓しノンオイルの酸性液状調味料を製した。
加工澱粉の体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置である粒度分布径MT3300EXII(日機装株式会社製)を用いて、段落0026記載の測定条件で測定した。
アルコール酢(酸度4.5%) 5%
ブドウ酢(酸度4.5%) 3%
体積平均粒子径が7μmの加工澱粉※1 5%
すりおろし生玉ねぎ※2 15%
(固形分配合量1.5%)
すりおろし生生姜※3 0.5%
(固形分配合量0.05%)
砂糖 5%
食塩 4%
コショウ 0.3%
グルタミン酸ナトリウム 0.8%
レモン果汁 0.3%
キサンタンガム 0.5%
清水 残余
――――――――――――――――――――――――――――
合計 100%
※1:体積平均粒子径が7μmの加工澱粉は、原料澱粉が米のリン酸架橋澱粉
※2:すりおろし生玉ねぎの大きさは、60%以上が15μm〜1mmである
※3:すりおろし生生姜の大きさは、60%以上が15μm〜1mmである
25℃における粘度が1〜5Pa・s、
脂質含有量が0%であった。
なお、粘度の測定条件は段落0019、脂質含有量の測定条件は段落0015の記載従って行った。
体積平均粒子径が7μmの加工澱粉及びすりおろし玉ねぎの含有量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1に準じて酸性液状調味料を製した。
得られた酸性液状調味料を20℃で一晩保管した後、ネギ属野菜のフレッシュな香りが維持されているか、ネギ属野菜特有の臭みが抑制されているかを官能評価により確認した。
A:ネギ属野菜のフレッシュな香りが良好に維持され、
ネギ属野菜特有の臭みが抑制されていた。
B:ネギ属野菜のフレッシュな香りが若干劣っていたが、問題ない程度に維持されていた。
またはネギ属野菜特有の臭みが若干感じられるが、問題ない程度に抑制できていた。
C:ネギ属野菜のフレッシュな香りが維持されていない。
またはネギ属野菜特有の臭みが感じられる。
一方、体積平均粒子径が7μmの加工澱粉を除いた比較例1の酸性液状調味料は、生のネギ属野菜特有の臭みが残っていた。
なお、得られた実施例1〜5、比較例1の酸性液状調味料は、粘度が1〜5Pa・sであり、脂質含有量が0%であった。
また、用いた体積平均粒子径が7μmの加工澱粉を体積平均粒子径が3〜15μmのヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉及び体積平均粒子径が3〜15μmのアセチル化アジピン酸架橋澱粉に置換えても、ネギ属野菜特有のフレッシュな香りが維持され、生のネギ属野菜特有の臭みを抑制できていた。
<ノンオイルの酸性液状調味料(たまねぎドレッシング)>
ブドウ酢をアルコール酢に置換え、すりおろし玉ねぎの配合量を20%に変更し、4mmダイスの玉ねぎ10%(固形分配合量0.1%)を追加した以外は、実施例1に準じてノンオイルの酸性液状調味料を製した。
25℃における粘度が1〜5Pa・s、脂質含有量が0%であった。
<ノンオイルの酸性液状調味料(たまねぎドレッシング)>
すりおろし生姜を除いた以外は、実施例1に準じてノンオイルの酸性液状調味料を製した。
25℃における粘度が1〜5Pa・s、脂質含有量が0%であった。
<ノンイルの酸性液状調味料(にんにくドレッシング)>
下記の配合割合に準じ、全体を均一に混合した後、250mL容量のPET容器に250mL充填し、密栓しノンオイルの酸性液状調味料を製した。
アルコール酢(酢酸酸度4.5%) 5%
ブドウ酢(酢酸酸度4.5%) 1%
体積平均粒子径が7μmの加工澱粉 5%
すりおろしニンニク 1.5%
(固形分配合量0.5%)
ネギペースト 0.5%
(固形分配合量0.05%)
砂糖 10%
食塩 3%
醤油 5%
グルタミン酸ナトリウム 0.5%
キサンタンガム 0.3%
清水 残余
――――――――――――――――――――――――――――
合計 100%
※体積平均粒子径が7μmの加工澱粉は、原料澱粉が米のリン酸架橋澱粉
25℃における粘度が1〜5Pa・s、脂質含有量が0%であった。
<低オイルの酸性液状調味料>
食用植物油脂として胡麻油を5%注油する以外は、実施例1に準じて、低オイルの酸性液状調味料を製した。
25℃における粘度が1〜15Pa・s、脂質含有量が5%であった。
Claims (2)
- 脂質含有量が10%以下、
20℃における粘度が15Pa・s以下である酸性液状調味料において、
ネギ属野菜を含有し、
澱粉粒の体積平均粒子径が5μm以上8μm未満の米由来の架橋澱粉(但し、総食物繊維含量50%以上である食物繊維澱粉を除く)が分散しており、
前記ネギ属野菜(固形分換算)と前記米由来の架橋澱粉の含有比率が1:10〜3:1である、
酸性液状調味料。 - 請求項1に記載の酸性液状調味料が、
食用油脂を配合せず、且つ脂質含有量が3%未満である、
酸性液状調味料。
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