JP6629568B2 - 制振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、橋梁や水門などの土木構造物、ビルなどの建築構造物に採用される制振装置に関する。
構造物の耐震対策として、地震時に相対変位を生じる2つの構造体間にダンパーを設置し、2つの構造体間の相対変位で発生したエネルギー(外力)がダンパーの変形で吸収されて減衰していき、構造体の耐震性能を向上させる制振技術が実施されている(例えば、特許文献1〜4)。
これら特許文献1〜4の制振技術は、ダンパーとして鋼材の変形を利用することで、外力に対して確実に変形して吸収が安定的に確保できること、メンテナンスが容易なこと、調達が容易なこと、経済的であることなどの特長があり、最近では使用が増加している。
近年、阪神大震災、中越地震、東日本大震災などの大地震による構造物の被害の経験や、将来の南海トラフ地震、首都直下型地震などに備えて、ダンパーによる構造物の補強が増加している。
しかし、上述したダンパーとして鋼材の変形を利用する技術の場合、鋼材の軸方向伸縮、せん断変形、ねじり変形などの性質を利用しており、その変形能力が鋼材の材質、形状によって制約を受けている。
橋梁の場合、上部工と柱部間には地震時に相対変位が生じるため、この部分にダンパーを設置することが行われている。上部工は常時の温度や車両荷重によって伸縮するため、この伸縮に対して余分の応力や変形が生じないように、上部工を支える支承は水平方向に自由に移動可能になっている。そのため、地震時の上部工と下部工の相対変位は、100〜200mm程度の大きな変位が生じることになり、このような大きな相対変位に対応できるダンパーが要求されている。
特許第4162693号公報 特許第4358293号公報 特開2014−34843号公報 特開2014−29110号公報
しかし、特許文献1〜3で採用されているダンパーは、このような大きな相対変位に対応する工夫がなされているが、鋼材の材質と形状による対応に限られているため、上述のような大きな相対変形が生じる場合には適用できなかった。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、変形量に制限があるダンパーを使用しても、ダンパーの変形量を自在に調整することができ、地震時の相対変位が大きい構造物に対して耐震性能を向上させることができる制振装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る制振装置は、第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収すしたるダンパーと、第1構造体及び第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量としてダンパーに伝達する変形量縮小機構とを備えている。
また、本発明の一態様に係る制振装置は、変形量縮小機構が、第1構造体側の第1連結点と第2構造体の第2連結点とに回動自在に連結している反力アームを備え、ダンパーは、変形方向の一端側が第1構造体及び第2構造体の一方に回動自在に連結しているとともに、変形方向の他端側が、反力アームの第1連結点及び第2連結点の間の位置で回動自在に連結しているようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る制振装置は、変形量縮小機構が、長尺部及び短尺部を有するL字状の反力アームを備え、長尺部の先端が、第1構造体及び第2構造体の一方に回動自在に連結し、長尺部及び短尺部の交叉部が、第1構造体及び第2構造体の他方に回動自在に連結し、前記ダンパーは、変形方向の一端側が第1構造体及び第2構造体の一方に回動自在に連結しているとともに、変形方向の他端側が、反力アームの短尺部の先端に回動自在に連結しているようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る制振装置は、ダンパーが、履歴減衰特性を有する塑性変形部を備えているようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る制振装置は、塑性変形部が、普通鋼又は低降伏点鋼の鋼材であることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る制振装置は、塑性変形部が、軸方向が前記変形方向に延在している管形状を有していることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る制振装置は、塑性変形部が、板幅方向が変形方向に延在している平板形状を有していることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る制振装置は、ダンパーが、第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生する、互いに直交した2軸方向のエネルギーを自身の変形で吸収可能とし、変形量縮小機構は、2軸方向の相対変位量を縮小した変形量としてダンパーの2軸方向の変形方向に伝達することが好ましい。
さらに、本発明の一態様に係る制振装置は、第1構造体及び記第2構造体の一方が、橋梁の柱部であり、他方が橋梁の上部工であることが好ましい。
本発明に係る制振装置によれば、地震の際に第1構造体及び第2構造体の間に大きな相対変位量が発生する場合には、変形量縮小機構が大きな相対変位量を縮小した変形量としてダンパーに伝達するので、変形量に制限があるダンパーを使用しても大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を向上させることができる。
本発明に係る第1実施形態の制振装置を示すものである。 本発明に係る第1実施形態の制振装置の地震発生の際の挙動を示す図である。 本発明に係る第2実施形態の制振装置を示すものである。 本発明に係る第3実施形態の制振装置を示すものである。 本発明に係る第4実施形態の制振装置を示すものである。 本発明に係る第5実施形態の制振装置を示すものである。 本発明に係る第6実施形態の制振装置を示すものである。 図7のVIII−VIII線矢視図である。 上部工が長尺方向に相対移動した際の本発明に係る第6実施形態の制振装置の挙動を示す図である。 上部工が短尺方向に相対移動した際の本発明に係る第6実施形態の制振装置の挙動を示す図である。 本発明に係る第7実施形態の制振装置を示す図である。 本発明に係る第7実施形態の制振装置において、地震発生の際の挙動を示す図である。 本発明に係る第7実施形態の制振装置の変形例を示す図である。 本発明に係る第8実施形態の制振装置を示す図である。 本発明に係る第8実施形態の制振装置において、地震発生の際の挙動を示す図である。 本発明に係る第9実施形態の制振装置を示す図である。 第9実施形態の制振装置において、柱部側連結部の構造を示す要部上面図である。 第9実施形態の制振装置において、反力アームとダンパーの他端側との連結構造を示す図((a)は要部正面図,(b)は要部上面図)である。 第9実施形態の制振装置において、地震発生の際のダンパーの進退移動を示す図((a)及び(b)は要部正面図)である。 本発明に係る第9実施形態の制振装置の変形例を示す図である。 第9実施形態の制振装置の変形例において、柱部側連結部の構造を示す要部上面図である。 本発明に係る第10実施形態の制振装置を示す図である。 第10実施形態の制振装置において、柱部側連結部の構造を示す要部下面図である。 本発明に係る第11実施形態の制振装置を示す図である。 第11実施形態の制振装置において、ダンパー及び変形量縮小機構のX方向に沿った断面構造を示す要部拡大断面図である。 第11実施形態の制振装置において、ダンパー及び変形量縮小機構のY方向に沿った断面構造を示す要部拡大断面図である。 第11実施形態の制振装置において、ダンパーを上部工側から見た平面図である。 第11実施形態の制振装置において、塑性変形伝達部材の貫通孔に反力アームが貫通した状態を示す要部断面図である。 第11実施形態の制振装置において、上部工が柱部に対して上部工の長手方向の一方の方位側に相対移動した際の挙動を示す図である。 第11実施形態の制振装置において、上部工が柱部に対して上部工の長手方向の他方の方位側に相対移動した際の挙動を示す図である。 第11実施形態の制振装置において、上部工が柱部に対して上部工の短尺方向の一方の方位側に相対移動した際の挙動を示す図である。 第11実施形態の制振装置において、地震発生により上部工が柱部に対して上部工の短尺方向の他方の方位側に相対移動した際の挙動を示す図である。 第11実施形態の制振装置の変形例を示す図である。 本発明に係る第12実施形態の制振装置を示す図である。 第12実施形態の制振装置において、ダンパー及び変形量縮小機構のX方向に沿った断面構造を示す要部拡大断面図である。 第12実施形態の制振装置において、ダンパー及び変形量縮小機構のY方向に沿った断面構造を示す要部拡大断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る橋梁1に配置した第1実施形態の制振装置2を示すものである。
橋梁1は、図1に示すように、地中(不図示)から立設している柱部3と、柱部3の上端に配置された上部工4とを備え、上部工4が温度や変形で伸縮する場合に、柱部3や上部工4に余分な応力が加わらないように、柱部3の上端と上部工4との間に、上部工4を長手方向(図1の左右方向)に移動可能とする可動支承5が設置されている。
柱部3の側面上部3a及び上部工4の下面4aの間の空間に、上部工4の長手方向を制振する第1実施形態の制振装置2が配置されている。
第1実施形態の制振装置2は、柱部3及び上部工4の水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形で吸収して減衰していくダンパー6と、変形量縮小機構7と、を備えている。
ダンパー6は、履歴減衰特性(塑性変形に伴うエネルギー減衰特性)を有する普通鋼又は低降伏点鋼の鋼管からなる塑性変形部6aと、塑性変形部6aが変形した場合に、塑性変形部6aの外周面に内周面が接触するように塑性変形部6aを内挿する円筒形状の補剛管6bと、塑性変形部6aの長手方向の一方の端部に形成した一端側連結部6cと、塑性変形部6aの他方の端部に形成した他端側連結部6dと、を備えている。
このダンパー6の一端側連結部6cは、上部工4の下面4aに固定した第1上部工側連結部8と、水平方向に延在する回動軸9を介して連結されている。
変形量縮小機構7は、ダンパー6の塑性変形部6aの変形量(軸方向の伸縮量)を縮小させる機構であり、反力アーム10及び調整アーム11を備えている。
反力アーム10は、長手方向の一方の端部に一端側連結部10aが形成され、他方の端部に他端側連結部10bが形成されている。調整アーム11も、長手方向の一方の端部に一端側連結部11aが形成され、他方の端部に他端側連結部11bが形成された部材である。
反力アーム10の一端側連結部10aは、第1上部工側連結部8より柱部3側の上部工4の下面4aに固定した第2上部工側連結部12に、水平方向に延在する回動軸13を介して連結されている。
調整アーム11は、柱部3に向けて水平方向に延在し、その他端側連結部11bが、柱部3の側面上部3aに固定した柱部側連結部14と、水平方向に延在する回動軸15(以下、柱部力点15と称する)を介して連結されている。
また、反力アーム10は一端側連結部10aを上端として鉛直下方に延在し、他端側連結部10bが、調整アームの一端側連結部11aに、水平方向に延在する回動軸16を介して連結されている。
そして、反力アーム10の回動軸13(以下、上部工支点13と称する)と回動軸16との間の位置に、ダンパー6の他端側連結部6dを、水平方向に延在する回動軸17(以下、ダンパー作用点17と称する)を介して連結されている。
図1に示すように、上部工支点13及び柱部力点15の間の距離をLとし、上部工支点13及びダンパー作用点17の間の距離をLdとすると、
変形量縮小機構7の縮小率Aは、
A = L/Ld ……… (1)式
となる。
そして、上部工4の変位量をdとし、柱部3から受ける反力をFとすると、ダンパー6は、柱部3及び上部工4が水平方向に相対変位する際に、下の(2)式に示すように、伸縮量がδだけ発生し(以下、ダンパー伸縮量δと称する)、下の(3)式に示すように、ダンパー6に外力(軸力)Fdが加わる(以下、ダンパー軸力Fdと称する)。
δ = d/A ……… (2)式
Fd = F×A ……… (3)式
次に、地震が発生した際の第1実施形態の制振挙動について、図2(a),(b)を参照して説明する。
図2(a)に示すように、上部工4が図中右方向に相対変位すると、反力アーム10が上部工支点13を支点として時計回りに回動するとともに、柱部力点15に、右方向を向く柱部反力+Fが作用する。
これにより、ダンパー6のダンパー作用点17には、図2(a)の左方向を向くダンパー軸力−Fdが作用し、ダンパー6の塑性変形部6aには、引張力−Fdとダンパー伸縮量+δが生じる。
また、図2(b)に示すように、上部工4が図中左方向に相対変位すると、反力アーム10が上部工支点13を支点として反時計回りに回動し、柱部力点15に、左方向を向く柱部反力−Fが作用する。
これにより、ダンパー6のダンパー作用点17には、図2(b)の右方向を向くダンパー軸力+Fdが作用し、ダンパー6の塑性変形部6aには、圧縮力+Fdとダンパー伸縮量−δが生じる。
このように、地震が発生した場合に、ダンパー6の塑性変形部6aが、ダンパー伸縮量δで軸方向の伸縮を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して上部工4の大きな変位量に対応して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
したがって、この第1実施形態の制振装置2は、変形量縮小機構7がダンパー6の伸縮量を、上部工4の大きな変位量に対応させることで(ダンパー伸縮量+δ,−δを得ることで)、伸縮量に制限があるダンパー6を使用して上部工4の大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
また、ダンパー6の他端側連結部6dを反力アーム10に連結する位置が、上部工支点13に近い位置にすると変形量縮小機構7の縮小率Aが大きい値となり、上部工支点13から離間した位置にすると縮小率Aが小さい値となるので、同一形状のダンパー6を使用しても、制振能力を変化させることができる。
さらに、伸縮量に制限があるダンパー6は短尺な装置である。このような短尺なダンパー6と変形量縮小機構7(反力アーム10及び調整アーム11)とを備えた制振装置2は小型化が図られているので、柱部3の側面上部3a及び上部工4の下面4aの間の狭い空間に容易に配置することができる。
[第2実施形態]
図3は、本発明に係る橋梁1に配置した第2実施形態の制振装置20を示すものである。なお、図1で示した橋梁1及び第1実施形態の制振装置2の構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の制振装置20は、上部工4の長手方向を制振する装置であり、柱部3及び上部工4の水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形で吸収して減衰していくダンパー21と、変形量縮小機構7と、を備えている。
ダンパー21は、履歴減衰特性を有する普通鋼又は低降伏点鋼からなる平板であって四角形状の塑性変形部22と、塑性変形部22の四角形状の1辺が固定されている変形部固定板23と、変形部固定板23を固定した一辺に対向する辺に固定されている板状の外力伝達部24と、外力伝達部24の両端部に固定されている一端側連結部25及び他端側連結部26と、を備えている。
そして、塑性変形部22の厚さ方向が上部工4の長手方向に延在するように、変形部固定板23が上部工4の下面4aに固定されている。
変形部固定板23には、第1上部工側連結部27が固定されており、この第1上部工側連結部27に、水平方向に延在する回動軸28を介して連結アーム29が連結されている。
また、連結アーム29に、水平方向に延在する回動軸30を介してダンパー21の一端側連結部25が連結されている。
変形量縮小機構7を構成する反力アーム10の一端側連結部10aは、変形部固定板23に固定した第2上部工側連結部31に、水平方向に延在する回動軸13(上部工支点13)を介して連結されている。
その他の変形量縮小機構7を構成する反力アーム10及び調整アーム11の構造は、第1実施形態と同様の構造である。
そして、この第2実施形態の制振装置20は、図示しないが、上部工支点13及び柱部力点15の間の距離をLとし、上部工支点13及びダンパー作用点17の間の距離をLdとすると、変形量縮小機構7の縮小率Aは、A(=L/Ld)となる。
そして、上部工4の変位量をdとし、柱部3から受ける反力をFとすると、ダンパー21は、下の(4)式に示すように、変形量がδ1だけ発生し(以下、ダンパー変形量δ1と称する)、下の(5)式に示すように、ダンパー21に外力(せん断力)Fd1が加わる(以下、ダンパーせん断力Fd1と称する)。
δ1 = d/A ……… (4)式
Fd1 = F×A ……… (5)式
次に、地震が発生した際の第2実施形態の制振挙動について説明する。
図3に示すように、上部工4が図中右方向に相対変位すると、反力アーム10が上部工支点13を支点として時計回りに回動するとともに、柱部力点15に、右方向を向く柱部反力+Fが作用する。
これにより、ダンパー21のダンパー作用点17には左方向を向くダンパーせん断力−Fd1が作用し、ダンパー21の塑性変形部22にはダンパー変形量+δ1が生じる。
また、図示しないが、上部工4が図中左方向に相対変位すると、反力アーム10が上部工支点13を支点として反時計回りに回動し、柱部力点15に、左方向を向く柱部反力−Fが作用する。
これにより、ダンパー21のダンパー作用点17には左方向を向くダンパーせん断力+Fd1が作用し、ダンパー21の塑性変形部22には、ダンパー変形量−δ1が発生する。
このように、地震が発生した場合に、ダンパー21の塑性変形部22が、大きな上部工4の変位に対応した変形量(ダンパー変形量δ1)で変形を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
この第2実施形態の制振装置20も、変形量縮小機構7が上部工4の大きな変位に対応
したダンパー21の変形量を発生させることで(ダンパー変形量+δ1,−δ1を得ることで)、変形量に制限があるダンパー21を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
また、ダンパー21の他端側連結部26を反力アーム10に連結する位置が、上部工支点13に近い位置にすると変形量縮小機構7の縮小率Aが大きい値となり、上部工支点13から離間した位置にすると縮小率Aが小さい値となるので、同一形状のダンパー21を使用しても、制振能力を変化させることができる。
さらに、この第2実施形態のダンパー21も小型であり、このダンパー21と変形量縮小機構7(反力アーム10及び調整アーム11)とを備えた制振装置20は小型化が図られているので、柱部3の側面上部3a及び上部工4の下面4aの間の狭い空間に容易に配置することができる。
[第3実施形態]
図4(a),(b)は、本発明に係る橋梁1に配置した第3実施形態の制振装置40を示すものである。また、図3で示した第2実施形態の制振装置20の構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
第3実施形態の制振装置40は、上部工4の長手方向を制振する装置であり、図4(a)に示すように、柱部3の側面上部3aから突出するブラケット41の上面41aに、塑性変形部22の厚さ方向が上部工4の長手方向に延在するように変形部固定板23が固定されているダンパー21と、変形量縮小機構42と、が設置されている。
変形量縮小機構42は、ダンパー21の塑性変形部22の変形量を縮小させる機構であり、反力アーム43及び調整アーム44を備えている。
反力アーム43は、長手方向の一方の端部に一端側連結部43aが形成され、他方の端部に他端側連結部43bが形成されている。調整アーム44も、長手方向の一方の端部に一端側連結部44aが形成され、他方の端部に他端側連結部44bが形成された部材である。
上部工4の下面4aには、上部工側連結部45が固定されており、この上部工側連結部45に、調整アーム44の他端側連結部44bが水平方向に延在する回動軸46(以下、上部工力点46と称する)を介して連結されている。
そして、調整アーム44は柱部3から離間する方向に水平方向に延在し、その一端側連結部44aに、反力アーム43の一端側連結部43aが水平方向に延在する回動軸47を介して連結されている。
反力アーム43は鉛直下方に延在しており、その下部の他端側連結部43bが、変形部固定板23に固定された第1ブラケット側連結部48に水平方向に延在する回動軸49(以下、柱部支点49)を介して連結されている。
また、変形部固定板23の柱部3に近い位置に第2ブラケット側連結部50が固定されており、この第2ブラケット側連結部50に、水平方向に延在する回動軸51を介して連結アーム52の下端が連結されている。また、連結アーム52の上端に、水平方向に延在する回動軸53を介してダンパー21の他端側連結部26が連結されている。
そして、反力アーム43の回動軸47と柱部支点49との間の位置に、ダンパー21の一端側連結部25が、水平方向に延在する回動軸54(以下、ダンパー作用点54と称する)を介して連結されている。
この第3実施形態の制振装置40は、柱部支点49及び上部工力点46の間の距離をLとし、柱部支点49及びダンパー作用点54の間の距離をLdとすると、変形量縮小機構42の縮小率Aは、A(=L/Ld)となる。
そして、ダンパー21は、上部工4の変位量をdとし、上部工4から受ける反力をFとすると、下の(6)式に示すように、変形量がδ2だけ発生し(以下、ダンパー変形量δ2と称する)、下の(7)式に示すように、ダンパー21に外力(せん断力)Fd2が加わる(以下、ダンパーせん断力Fd2と称する)。
δ2 = d/A ……… (6)式
Fd2 = F×A ……… (7)式
次に、地震が発生した際の第2実施形態の制振挙動について説明する。
図4(b)に示すように、上部工4が図中右方向に相対変位すると、反力アーム43が柱部支点49を支点として時計回りに回動するとともに、上部工力点46に、左方向を向く上部工反力−Fが作用する。
これにより、ダンパー21のダンパー作用点54には右方向を向くダンパー軸力+Fd2が作用し、ダンパー21の塑性変形部22には、ダンパー変形量+δ2が発生する。
また、図示しないが、上部工4が図中左方向に相対変位すると、反力アーム43が柱部支点49を支点として反時計回りに回動するとともに、上部工力点46に、右方向を向く上部工反力+Fが作用する。
これにより、ダンパー21のダンパー作用点54には左方向を向くダンパー軸力−Fd2が作用し、ダンパー21の塑性変形部22には、ダンパー変形量−δ2が発生する。
このように、地震が発生した場合に、ダンパー21の塑性変形部22が、上部工4の大きな変位に対応した変形量(ダンパー変形量δ2)で変形を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
この第3実施形態の制振装置40も、変形量縮小機構42が上部工4の大きな変位に対応したダンパー21の変形量を縮小させることで(ダンパー変形量+δ2,−δ2を得ることで)、変形量に制限があるダンパー21を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
また、ダンパー21の一端側連結部25を反力アーム10に連結する位置が、回動軸47に近い位置にすると変形量縮小機構42の縮小率Aが小さい値となり、柱部支点49に近い位置にすると縮小率Aが大きい値となるので、同一形状のダンパー21を使用しても、制振能力を変化させることができる。
さらに、この第3実施形態のダンパー21も小型の装置であり、このダンパー21と変形量縮小機構42(反力アーム43及び調整アーム44)とを備えた制振装置40は小型化が図られているので、柱部3の側面上部3a及び上部工4の下面4aの間の狭い空間に容易に配置することができる。
[第4実施形態]
図5に示すものは、第3実施形態の制振装置40の一部を変形した第4実施形態を示すものである。
第4実施形態の制振装置40は、調整アーム44を使用せず、反力アーム43のみで変形量縮小機構42を構成するとともに、反力アーム43の一端側連結部43aと、上部工4の下面4aに固定された上部工側連結部55とが連結されている。
この上部工側連結部55には、長軸が上下方向に延在している長孔形状の支持孔56が形成されている。
また、反力アーム43の一端側連結部43aには、水平方向に延在する回動軸57が固定されており、この回動軸57が上部工側連結部55の支持孔56に挿通して連結されている。
上記構成の変形量縮小機構42によると、上部工4が図5の左右方向に相対変位すると
、反力アーム43が柱部支点49を支点として時計回り、或いは反時計回りに回動するが、一端側連結部43aに固定されている回動軸57が、上部工側連結部55の支持孔56を長軸方向に移動するので、反力アーム43の回動がスムーズになる。
したがって、この第4実施形態の制振装置40は、変形量縮小機構42のアームとして反力アーム43のみで構成しているので、制振装置40の組み立てを容易に行なうことができるとともに、制振装置40を製作する際のコストダウンを図ることができる。
なお、上部工側連結部55に長孔形状の支持孔56を形成し、反力アーム43の一端側連結部43aに設けた回動軸57を、支持孔56に挿通したが、反力アーム43の一端側連結部43aに長孔形状の支持孔も設け、この支持孔に、上部工側連結部55に一体化した回動軸を挿通するようにしてもよい。
[第5実施形態]
図6に示すものは、本発明に係る橋梁1に配置した第5実施形態の制振装置60を示すものである。なお、第1実施形態の制振装置2の構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
第5実施形態の制振装置60は、上部工4の長手方向を制振する装置であり、ダンパー6と、変形量縮小機構として機能する伸縮量縮小アーム(反力アーム)61と、を備えている。
ダンパー6は、履歴減衰特性を有する普通鋼又は低降伏点鋼の鋼管からなる塑性変形部6aと、塑性変形部6aを内挿する円筒形状の補剛管6bと、一端側連結部6cと、他端側連結部6dと、を備えている。
このダンパー6の一端側連結部6cは、柱部3の側面に固定した第1柱部側連結部73と、水平方向に延在する回動軸74を介して連結されている。
伸縮量縮小アーム61は、長尺部62と、短尺部63とがL字状に一体化されたアームであり、短尺部63から離間した長尺部62の端部に第1アーム側連結部64が形成され、長尺部62から離間した短尺部63の端部に第2アーム側連結部65が形成され、長尺部62及び短尺部63が交叉している部位に第3アーム側連結部66が形成されている。
上部工4の下面4aには上部工側連結部67が固定されており、この上部工側連結部67には、長軸が上下方向に延在している長孔形状の支持孔68が形成されている。
伸縮量縮小アーム61の第1アーム側連結部64には回動軸69が固定されており、この回動軸69が水平方向に延在して上部工側連結部67の支持孔68に挿通している(以下、上部工力点69と称する)。
また、柱部3の側面には、前述した第1柱部側連結部73の上方位置に第2柱部側連結部70が固定されており、この第2柱部側連結部70と、伸縮量縮小アーム61の第3アーム側連結部66とが水平方向に延在する回動軸71(以下、柱部支点71と称する)を介して連結されている。
そして、伸縮量縮小アーム61の第2アーム側連結部65と、ダンパー6の他端側連結部6dとが、水平方向に延在する回動軸72(以下、ダンパー作用点72と称する)を介して連結されている。
そして、柱部支点71及び上部工力点69の間の距離をLとし、柱部支点71及びダンパー作用点72の間の距離をLdとすると、伸縮量縮小アーム61の縮小率Aは、A(=L/Ld)となる。
そして、上部工4の変位量をdとし、上部工4から受ける反力をFとすると、ダンパー6は、柱部3及び上部工4が水平方向に相対変位する際に、下の(2)式に示すように、伸縮量がダンパー伸縮量δだけ発生し、下の(3)式に示すように、ダンパー6にダンパー軸力Fdが加わる。
δ = d/A ……… (2)式
Fd = F×A ……… (3)式
次に、地震が発生した際の第1実施形態の制振挙動について説明する。
上部工4が図中右方向に相対変位すると、伸縮量縮小アーム61の長尺部62が柱部支点71を支点として時計回りに回動するとともに、上部工力点69に、右方向を向く柱部反力+Fが作用する。
これにより、ダンパー6のダンパー作用点72には、下方向を向くダンパー軸力−Fdが作用し、ダンパー6の塑性変形部6aにダンパー伸縮量+δが発生する。
また、上部工4が図中左方向に相対変位すると、伸縮量縮小アーム61の長尺部62が柱部支点71を支点として反時計回りに回動するとともに、上部工力点69に、左方向を向く柱部反力−Fが作用する。
これにより、ダンパー6のダンパー作用点72には、上方向を向くダンパー軸力+Fdが作用し、ダンパー6の塑性変形部6aにダンパー伸縮量−δが発生する。
このように、地震が発生した場合に、ダンパー6の塑性変形部6aが、上部工4の大きな変位に対応した伸縮量(ダンパー伸縮量δ)で軸方向の伸縮を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
したがって、この第5実施形態の制振装置60も、上部工4の大きな変位に対応した伸縮量縮小アーム61がダンパー6の伸縮量を発生することで(ダンパー伸縮量+δ,−δを得ることで)、伸縮量に制限があるダンパー6を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
伸縮量縮小アーム61の長尺部62及び短尺部63の長さを変化させることで縮小率Aの値が変化するので、同一形状のダンパー6を使用しても、制振能力を変化させることができる。
さらに、第5実施形態の制振装置60は、柱部3にブラケットを設ける必要がなく、柱部3に沿って設置されているので、小さな設置スペースとすることができる。
[第6実施形態]
図7にから図10に示すものは、本発明に係る橋梁1に配置した第6実施形態の制振装置80を示すものである。
第6実施形態の制振装置80は、上部工4の長手方向及び短尺方向の2軸方向を制振する装置であり、図7に示すように、柱部3の側面上部3aから突出するブラケット41の上面41aに、ダンパー81と、変形量縮小機構82とが設置されている。
ダンパー81は、図7及び図8に示すように、ブラケット41の上面41aに固定した変形部固定板83に下面が固定されており、履歴減衰特性を有する普通鋼又は低降伏点鋼からなる円筒形状の塑性変形部84と、この塑性変形部84の最上部に固定されている平面視において四角形状(図8参照)の塑性変形伝達部材85と、塑性変形伝達部材85の4辺の外周からそれぞれ突出している一対の第1変形側連結部〜第4変形側連結部86,86〜89,89と、を備えている。
変形量縮小機構82は、平面視において一対の第1変形側連結部〜第4変形側連結部86,86〜89,89を挟み込むように変形部固定板83に固定されている一対の第1ブラケット側連結部〜第4ブラケット側連結部90,90〜93,93と、これら一対の第1ブラケット側連結部〜第4ブラケット側連結部90,90〜93,93の上方位置に対応する上部工4の下面4aに固定した一対の第1上部工側連結部〜第4上部工側連結部94,94〜97,97と、を備えている。
また、一対の第1上部工側連結部〜第4上部工側連結部94,94〜97,97には、長軸が上下方向に延在している長孔形状の支持孔94a〜97aが形成されている。
ここで、一対の第1ブラケット側連結部90,90と一対の第1上部工側連結部94,94との間には第1反力アーム98が連結されており、第1反力アーム98の下部に上部工4の短尺方向に延在する第1下部回動軸99(以下、第1柱部支点99と称する)が遊挿されているとともに、第1反力アーム98の上部に遊挿されて上部工4の短尺方向に延在する第1上部回動軸100(以下、第1上部工力点100と称する)が、第1上部工側連結部94の支持孔94aに挿入されている。
一対の第2ブラケット側連結部91,91と一対の第1上部工側連結部95,95との間には第2反力アーム101が連結されており、第2反力アーム101の下部に上部工4の長尺方向に延在する第2下部回動軸102(以下、第2柱部支点102と称する)が遊挿され、第2反力アーム101の上部に遊挿されて上部工4の長尺方向に延在する第2上部回動軸103(以下、第2上部工力点103と称する)が、第2上部工側連結部95の支持孔95aに挿入されている。
一対の第3ブラケット側連結部92,92と一対の第3上部工側連結部96,96との間には第3反力アーム104が連結されており、第3反力アーム104の下部に上部工4の短尺方向に延在する第3下部回動軸105(以下、第3柱部支点105と称する)が遊挿され、第3反力アーム104の上部に遊挿されて上部工4の短尺方向に延在する第3上部回動軸106(以下、第3上部工力点106と称する)が、第3上部工側連結部96の支持孔96aに挿入されている。
さらに、一対の第4ブラケット側連結部93,93と一対の第4上部工側連結部97,97との間には第4反力アーム107が連結されており、第4反力アーム107の下部に上部工4の長尺方向に延在する第4下部回動軸108(以下、第4柱部支点108と称する)が遊挿され、第4反力アーム107の上部に遊挿されて上部工4の長尺方向に延在する第4上部回動軸109(以下、第4上部工力点109と称する)が、第4上部工側連結部97の支持孔97aに挿入されている。
そして、ダンパー81の第1変形側連結部86,86と第1反力アーム98が、第1回動軸110(以下、第1ダンパー作用点110と称する)を介して連結し、第2変形側連結部87,87と第2反力アーム101が、第2回動軸111(以下、第2ダンパー作用点111と称する)を介して連結し、第3変形側連結部88,88と第3反力アーム104が、第3回動軸112(以下、第3ダンパー作用点112と称する)を介して連結し、第4変形側連結部89,89と第4反力アーム107が、第4回動軸113(以下、第4ダンパー作用点113と称する)を介して連結している。
第6実施形態の制振装置80において、変形量縮小機構82を構成する第1反力アーム98は、第1柱部支点99及び第1上部工力点100の間の距離をLとし、第1柱部支点99及び第1ダンパー作用点110の間の距離をLdとすると、第1反力アーム98の縮小率Aは、A(=L/Ld)となる。
また、変形量縮小機構82を構成する第2反力アーム101〜第4反力アーム107も、縮小率Aが、A(=L/Ld)となる。
そして、ダンパー81は、上部工4の変位量をdとし、上部工4から受ける反力をFとすると、下の(8)式に示すように、変形量がδ3だけ発生し(以下、ダンパー変形量δ3と称する)、下の(9)式に示すように、ダンパー81に外力(せん断力)Fd3が加わる(以下、ダンパーせん断力Fd3と称する)。
δ3 = d/A ……… (8)式
Fd3 = F×A ……… (9)式
次に、地震が発生した際の第6実施形態の制振挙動について説明する。
上部工4が長尺方向の右方向に相対変位すると、図9に示すように、第1反力アーム98及び第3反力アーム104が、第1柱部支点99及び第3柱部支点105を支点として時計回りに回動するとともに、第1上部工力点100及び第3上部工力点106に、長尺方向の左方向を向く上部工反力−Fが作用する。
これにより、ダンパー81の第1ダンパー作用点110及び第3ダンパー作用点112には右方向を向くダンパー軸力+Fd3が作用し、ダンパー81の塑性変形部84には、ダンパー変形量+δ3が発生する。
また、図示しないが、上部工4が長尺方向の左方向に相対変位すると、第1反力アーム98及び第3反力アーム104が、第1柱部支点99及び第3柱部支点105を支点として反時計回りに回動するとともに、第1上部工力点100及び第3上部工力点106に、長尺方向の左方向を向く上部工反力+Fが作用し、ダンパー81の塑性変形部84には、ダンパー変形量−δ3が発生する。
上部工4が短尺方向の右方向に相対変位すると、図10に示すように、第2反力アーム101及び第4反力アーム107が、第2柱部支点102及び第4柱部支点108を支点として時計回りに回動するとともに、第2上部工力点103及び第4上部工力点109に、短尺方向の左方向を向く上部工反力−Fが作用する。
これにより、ダンパー81の第2ダンパー作用点111及び第4ダンパー作用点113には右方向を向くダンパー軸力+Fd3が作用し、ダンパー21の塑性変形部84には、ダンパー変形量+δ3が発生する。
また、図示しないが、上部工4が短尺方向の左方向に相対変位すると、第2反力アーム101及び第4反力アーム107が、第2柱部支点102及び第4柱部支点108を支点として反時計回りに回動するとともに、第2上部工力点103及び第4上部工力点109に、短尺方向の右左方向を向く上部工反力+Fが作用し、ダンパー21の塑性変形部84には、ダンパー変形量−δ3が発生する。
第6実施形態の制振装置80において、変形量縮小機構82を構成する第1反力アーム98は、第1柱部支点99及び第1上部工力点100の間の距離をLとし、第1柱部支点99及び第1ダンパー作用点110の間の距離をLdとすると、第1反力アーム98の縮小率Aは、A(=L/Ld)となる。
また、変形量縮小機構82を構成する第2反力アーム100〜第反力アーム107も、縮小率Aが、A(=L/Ld)となる。
そして、ダンパー81は、上部工4の変位量をdとし、上部工4から受ける反力をFとすると、下の(8)式に示すように、変形量がδ3だけ発生し(以下、ダンパー変形量δ3と称する)、下の(9)式に示すように、ダンパー81に外力(せん断力)Fd3が加わる(以下、ダンパーせん断力Fd3と称する)。
δ3 = d/A ……… (8)式
Fd3 = F×A ……… (9)式
このように、地震が発生した場合に、ダンパー81の塑性変形部84が、上部工4の大きな変位に対応した変形量(ダンパー変形量δ3)で変形を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
また、第6実施形態の制振装置80は、変形量縮小機構82がダンパー81に対して、
上部工4の長手方向及び短尺方向の2軸方向の変形量を縮小させることで、変形量に制限があるダンパー81を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
また、ダンパー81の第1ダンパー作用点110が第1反力アーム98に連結する位置、第2ダンパー作用点111が第2反力アーム101に連結する位置、第3ダンパー作用点112が第3反力アーム104に連結する位置、第4ダンパー作用点113が第4反力アーム107に連結する位置を適宜変化することで、縮小率Aを増減させることできるので、同一形状のダンパー81を使用しても、制振能力を変化させることができる。
[第7実施形態]
図11は、本発明に係る第7実施形態の制振装置202を示す図である。
図11に示すように、本発明に係る第7実施形態の制振装置202は、上述した第1実施形態の制振装置2と同様に、橋梁1の上部工4の長手方向である1軸方向を制振する装置である。また、この制振装置202は、第1実施形態の制振装置2と同様に、柱部3と上部工4との水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形による吸収で減衰するダンパー206と、柱部3と上部工4との相対変位量を縮小した変形量としてダンパー206に伝達する変形量縮小機構207とを備えている。
橋梁1は、柱部3の上端と上部工4との間に、上部工4を上部工4の長手方向(図11の左右方向)に移動可能とする可動支承5が配設されている。上部工4は、柱部3の上端に柱部3を横切るようにして配置されている。
柱部3の側面上部3aには柱部側連結部203が設けられ、上部工4の下面4aには上部工側連結部204が設けられている。この柱部側連結部203、上部工側連結部204、ダンパー206及び変形量縮小機構207の各々は、柱部3及び上部工4で仕切られた同一の空間内に配置されている。
変形量縮小機構207は、一端側が上部工4に回動自在に連結された反力アーム210と、柱部3と上部工4との相対変位の方向において、一端側が柱部3に回動自在に連結され、他端側が反力アーム210の他端側に回動自在に連結された連結部材212とを備えている。連結部材212は、柱部3と上部工4との相対変位で付加される圧縮力及び引張力に対して十分な剛性を有し、伸縮しないように構成されている。また、連結部材212は、柱部3と上部工4との相対変位の方向に沿うようにして延伸している。
反力アーム210は、反力アーム210の長手方向において互いに反対側に位置する一端側及び他端側のうち、一端側に一端側連結部210a、他端側に他端側連結部210bをそれぞれ有している。反力アーム210の一端側連結部210aは、上部工4の上部工側連結部204に回動軸213を介して回動自在に連結されている。反力アーム210は、柱部3と上部工4との相対変位が生じる前の設置状態では、一端側連結部210aと他端側連結部210bとを結ぶ長手方向が鉛直方向、換言すれば柱部3の立設方向(図11の上下方向)に沿うようにして配置されている。
連結部材212は、連結部材212の長手方向において互いに反対側に位置する一端側及び他端側のうち、一端側に一端側連結部212a、他端側に他端側連結部212bをそれぞれ有している。連結部材212の一端側連結部212aは、柱部3の柱部側連結部203に回動軸214aを介して回動自在に連結されている。連結部材212の他端側連結部212bは、反力アーム210の他端側連結部210bに回動軸214bを介して回動自在に連結されている。
回動軸213、回動軸214a及び回動軸214bの各々は、水平方向に延伸している。換言すれば、回動軸213、回動軸214a及び回動軸214bの各々は、柱部3と上部工4との相対移動方向、及び柱部3の立設方向に対して直行する方向に延伸している。
ダンパー206は、上述のダンパー6と同様に、履歴減衰特性(塑性変形に伴うエネルギー減衰特性)を有する普通鋼又は低降伏点鋼の鋼管からなる塑性変形部206aと、塑性変形部206aが変形した場合に、塑性変形部206aの外周面に内周面が接触するように塑性変形部206aを内挿する円筒状の補剛管206bとを備えている。また、ダンパー206は、塑性変形部206aの変形方向の一端側に設けられた一端側連結部206cと、塑性変形部206aの変形方向の他端側に設けられた他端側連結部206dとを備えている。一端側連結部206c及び他端側連結部206dは、塑性変形部206aの長手方向において互いに反対側に位置している。
ダンパー206は、連結部材212と同様に、柱部3と上部工4との相対変位の方向において、変形方向の一端側が柱部3に回動自在に連結され、変形方向の他端側が反力アーム210の一端側と他端側との間の部分に回動自在に連結されている。具体的には、ダンパー206は、連結部材212の一端側連結部212aよりも上部工4側において、塑性変形部206aの変形方向の一端側に設けられた一端側連結部206cが、柱部3の柱部側連結部203に回動軸215aを介して回動自在に連結されている。また、ダンパー206は、塑性変形部206aの変形方向の他端側に設けられた他端側連結部206dが、反力アーム210の一端側連結部210aと他端側連結部210bとの間の部分に、回動軸215bを介して回動自在に連結されている。この回動軸215a及び215bの各々においても、柱部3と上部工4との相対移動方向及び反力アーム210の長手方向に対して直行する方向に延伸している。ダンパー206は、連結部材212と同様に、柱部3と上部工4との相対変位の方向に沿うようにして延伸している。
ダンパー206の他端側連結部206dは、反力アーム210の一端側連結部210aよりも他端側連結部210b側に偏って反力アーム210に連結されている。
連結部材212及びダンパー206の各々の一端側連結部212a,206cは、図11に示す連結構造に限定されないが、上述したように例えばそれぞれ個別の回動軸214a,215aを介して柱部3の柱部側連結部203に回動自在に連結されている。
変形量縮小機構207は、柱部3と上部工4との相対変位が生じる前の設置状態では、連結部材212及びダンパー206の各々の一端側の回動軸214a,215cが鉛直方向に伸びる基準線Rp1上に位置し、連結部材212及びダンパー206の各々の他端側の回動軸214b,215b及び反力アーム210の一端側の回動軸213が鉛直方向に伸びる基準線Rp2上に位置している。
ここで、回動軸(上部工側支点)213と回動軸(反力アーム側力点)214bとの間の距離をLとし、回動軸(反力アーム側作用点)215bと回動軸(反力アーム側力点)214bとの間の距離をLdとする。そして、柱部3に対する上部工4の水平方向の相対水平変位量をd(+d,−d)とし、柱部3の柱部側連結部203及び上部工4側の回動軸(上部工側支点)213の各々に作用する反力をF(+F,−F)とすると、柱部3と上部工4とが水平方向に相対変位する際に、ダンパー206には下記の(11)式に示すダンパー伸縮量δ(+δ,−δ)が発生する。また、回動軸214bまわりのモーメントのつり合い(Fd×Ld=F×L)を考えると、ダンパー206には下記の(12)式に示すダンパー反力Fd(圧縮力(+Fd)又は引張力(−Fd))が付加される。
ダンパー伸縮量δ=d×Ld/L …… (11)式
ダンパー反力Fd=F×L/Ld …… (12)式
次に、第7実施形態の制振装置202において、地震が発生した際の制振挙動について、図12(a),(b)を参照して説明する。
図12(a)に示すように、柱部3に対して上部工4が図中右方向に相対変位すると、反力アーム210が回動軸(上部工側支点)213を支点として時計回りに回動する。そして、この反力アーム210の回動により、柱部3の柱部側連結部203及び上部工4の上部工側連結部204の各々に、互いに近づく方向側を向く反力F(+F)が作用するとともに、回動軸(柱部側力点)214a及び回動軸(反力アーム側力点)214bの各々に、連結部材212を圧縮する方向の反力(Fd−(+F))が作用する。
これにより、ダンパー206の一端側の回動軸(柱部側作用点)215a及び他端側の回動軸(反力アーム側作用点)215bの各々には、ダンパー206の中央部から両端側に向かって引っ張る方向のダンパー反力(−Fd)が作用し、ダンパー206の塑性変形部206aには引張力(−Fd)及びダンパー伸縮量(+δ)が生じる。
また、図12(b)に示すように、柱部3に対して上部工4が図中左方向に相対変位すると、反力アーム210が回動軸(上部工側支点)213を支点として反時計回りに回動する。そして、この反力アーム210の回動により、柱部3の柱部側連結部203及び上部工4の上部工側連結部204の各々に互いに離間する方向側を向く反力F(−F)が作用するとともに、回動軸(柱部側力点)214a及び回動軸(反力アーム側力点)214bの各々に連結部材212を引っ張る方向の反力(Fd−(−F))が作用する。
これにより、ダンパー206の一端側の回動軸(柱部側作用点)215a及び他端側の回動軸(反力アーム側作用点)215bの各々にはダンパー206の両端側から中央部に向かって圧縮する方向のダンパー反力(+Fd)が作用し、ダンパー206の塑性変形部206aには圧縮力(+Fd)及びダンパー伸縮量(−δ)が生じる。
以上のように、地震が発生した場合に、ダンパー206の塑性変形部206aが、ダンパー伸縮量δで軸方向の伸縮を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
したがって、この第7実施形態の制振装置202においても、変形量縮小機構207が上部工4の大きな変位に対応したダンパー206の変形量を発生させることで(ダンパー伸縮量+δ,−δを得ることで)、変形量に制限があるダンパー206を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
また、ダンパー206の他端側連結部206dを反力アーム210の一端側連結部210a(回動軸213)よりも他端側連結部210b(回動軸214b)側に偏って連結すると、変形量縮小機構207の縮小率A(=Ld/L)が小さい値、換言すればダンパー伸縮量δが小さい値となり、一方、反力アーム210の他端側連結部210bよりも一端側連結部210a側に偏って連結すると、縮小率Aが大きい値、換言すればダンパー伸縮量δが大きい値となるので、同一形状のダンパー206を使用しても、制振能力を変化させることができる。即ち、第7実施形態に係る制振装置202においても、小さなダンパー伸縮量δ(+δ,−δ)で大きな相対水平変位量dに対応することができる。
さらに、この第2実施形態のダンパー206においても小型であり、このダンパー206と変形量縮小機構207とを備えた制振装置202は小型化が図られているので、柱部3の側面上部3a及び上部工4の下面4aで仕切られた狭い空間内に容易に配置することができる。
(変形例)
図13は、上述した第7実施形態の制振装置202の変形例を示す図である。
上述の第7実施形態では、図11に示すように、連結部材212及びダンパー206の各々の一端側連結部212a,206cが、それぞれ個別の回動軸214a,215aを介して柱部3の柱部側連結部203に回動自在に連結された場合について説明した。しかしながら、本発明はこの構造に限定されるものではなく、図13に示すように、連結部材212の一端側連結部212aとダンパー206の一端側連結部206cとが柱部3の柱部側連結部203に同一の回動軸216を介して回動自在に連結された構造にしてもよい。ただし、この場合は、連結部材212の一端側連結部212aとダンパー206の一端側連結部206cとが回動軸216の軸方向に並列して配置されるため、連結部材212及びダンパー206の各々の他端側連結部212b,206dの位置も一端側と同様に並列して配置する必要がある。
[第8実施形態]
図14は、本発明に係る第8実施形態の制振装置302を示す図である。上述の第7実施形態では、図11に示すように、橋梁1の柱部3と上部工4との水平方向の相対変位で発生したエネルギーをダンパー206の変形による吸収で減衰する制振装置202について説明した。これに対し、第8実施形態では、図14に示すように、橋梁301の互いに隣り合う桁303,304の水平方向の相対変位で発生したエネルギーをダンパー206の変形による吸収で減衰する制振装置302について説明する。
図14に示すように、本発明に係る第8実施形態の制振装置302は、橋梁301の互いに隣り合う桁303,304の配列方向である1軸方向を制振する装置である。この制振装置302は、上述した第7実施形態の制振装置202とは異なり、橋梁301の互いに隣り合う桁303と桁304との水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形による吸収で減衰するダンパー206と、互いに隣り合う桁303と桁304との相対変位量を縮小した変形量としてダンパー206に伝達する変形量縮小機構307とを備えている。
互いに隣り合う2つの桁303,304において、一方の桁303の側面303aにはこの側面303aから突出するブラケット323が設けられ、このブラケット323には桁側連結部325が設けられている。他方の桁304の側面304aにもこの側面304aから突出するブラケット324が設けられ、このブラケット324にも桁側連結部326が設けられている。桁側連結部325及び桁側連結部326は互いに向かい合うようにして各々のブラケット323,324に設けられている。
変形量縮小機構307は、一端側が一方の桁303に回動自在に連結された第1反力アーム310と、一端側が他方の桁304に回動自在に連結された第2反力アーム311とを備えている。また、変形量縮小機構307は、一方の桁303と他方の桁304との相対変位の方向において、一端側が第1反力アーム310の他端側連結部310bに回動自在に連結され、他端側が第2反力アーム311の他端側連結部311bに回動自在に連結された連結部材312を備えている。連結部材312は、一方の桁303と他方の桁304との相対変位で付加される圧縮力又は引張力に対して十分な剛性を有し、伸縮しないように構成されている。また、連結部材312は、柱部3と上部工4との相対変位の方向に沿うようにして延伸している。
第1反力アーム310及び第2反力アーム311の各々は、各々の長手方向において互いに反対側に位置する一端側及び他端側のうち、一端側に一端側連結部310a,311aを有し、他端側に他端側連結部310b,311bを有している。第1反力アーム310の一端側連結部310aは、一方の桁303の桁側連結部325に回動軸313aを介して回動自在に連結されている。第2反力アーム311の一端側連結部311aは、他方の桁304の桁側連結部326に回動軸313bを介して回動自在に連結されている。第1及び第2反力アーム310,311の各々は、一方の桁303と他方の桁304との相対変位が生じる前の設置状態では、一端側連結部310a,311aと他端側連結部310b,311bとを結ぶ長手方向が鉛直方向、換言すれば桁303,304の側面303a,304aにおいて一方の桁303と他方の桁304との相対変位の方向と直行する方向に沿うようにして配置されている。
連結部材312は、連結部材312の長手方向において互いに反対側に位置する一端側及び他端側のうち、一端側に一端側連結部312a、他端側に他端側連結部212bをそれぞれ有している。連結部材312の一端側連結部312aは、第1反力アーム310の他端側連結部310bに回動軸314aを介して回動自在に連結されている。連結部材312の他端側連結部312bは、第2反力アーム311の他端側連結部311bに回動軸314bを介して回動自在に連結されている。
回動軸313a,313b及び回動軸314a,314bの各々は、水平方向に延伸している。換言すれば、回動軸313a,313b及び回動軸314a,314bの各々は、一方の桁303と他方の桁304との相対移動方向、及び第1及び第2反力アーム310,311の各々が延伸する方向に対して直行する方向に延伸している。
ダンパー206は、第7実施形態で説明したダンパー206と同様の構造になっているが、図14に示すように連結状態が異なっている。すなわち、ダンパー206は、互いに隣り合う一方の桁303と他方の桁304との相対変位の方向において、一端側が第1反力アーム310の他端側に回動自在に連結され、他端側が第2反力アーム311の他端側に回動自在に連結されている。具体的には、ダンパー206は、塑性変形部206aの変形方向の一端側に設けられた一端側連結部206cが、第1反力アーム310の一端側連結部310aと他端側連結部310bとの間の部分に回動軸315aを介して回動自在に連結されている。また、ダンパー206は、塑性変形部206aの変形方向の他端側に設けられた他端側連結部206dが、第2反力アーム311の一端側連結部311aと他端側連結部311bとの間の部分に回動軸315bを介して回動自在に連結されている。この回動軸315a及び回動軸315bにおいても、一方の桁303と他方の桁304との相対変位方向、及び第1及び第2反力アーム310,311の各々が延伸する方向に対して直行する方向に延伸している。ダンパー206は、連結部材312と同様に、柱部3と上部工4との相対変位の方向に沿うようにして延伸している。
ダンパー206の他端側連結部206dは、反力アーム310の一端側連結部310aよりも他端側連結部310bに偏って連結されている。
変形量縮小機構307は、一方の桁303と他方の桁304との相対変位が生じる前の設置状態では、連結部材312及びダンパー206の各々の一端側の回動軸314a,315a及び第1反力アーム310の一端側の回動軸313aが鉛直方向に伸びる基準線Rp1上に位置し、連結部材312及びダンパー206の各々の他端側の回動軸314b,315b及び第2反力アーム311の一端側の回動軸313bが鉛直方向に伸びる基準線Rp2上に位置している。
ここで、回動軸(第1桁側支点)313aと回動軸(第1桁側力点)314aとの間の距離、及び回動軸(第2桁側支点)313bと回動軸(第2桁側力点)314bとの距離をそれぞれLとする。そして、回動軸(第1桁側作用点)315aと回動軸(第1桁側力点)314aとの間の距離、及び回動軸(第2桁側作用点)315bと回動軸(第2桁側力点)314bとの間の距離をそれぞれLdとする。そして、互いに隣り合う一方の桁303と他方の桁304との水平方向の相対水平変位量をd(+d,−d)とし、一方の桁303の桁側連結部325及び他方の桁304の桁側連結部326の各々に作用する反力をFとすると、一方の桁303と他方の桁304とが水平方向に相対変位する際に、ダンパー206には下記の(13)式に示すダンパー伸縮量δ(+δ,−δ)が発生する。また、回動軸314a,314bまわりのモーメントのつり合い(Fd×Ld=F×L)を考えると、ダンパー206には下記の(14)式に示すダンパー反力Fd(圧縮力+Fd又は引張力−Fd)が付加される。
ダンパー伸縮量δ=d×Ld/L …… (13)式
ダンパー反力Fd=F×L/Ld …… (14)式
次に、第8実施形態の制振装置302において、地震が発生した際の制振挙動について、図15(a),(b)を参照して説明する。
図15(a)に示すように、一方の桁303が図中左方向、他方の桁304が図中右方向にそれぞれ相対変位(互いに離れる方向に相対変位)すると、第1反力アーム310が回動軸(第1桁側支点)313aを支点として反時計回り、第2反力アーム311が回動軸(第2桁側支点)313bを支点として時計回りにそれぞれ回動する。そして、これらの回動により、一方の桁303側の回動軸(第1桁側支点)313a及び他方の桁304側の回動軸(第2桁側支点)313bの各々に互いに近づく方向を向く反力F(+F)が作用するとともに、回動軸(第1桁側力点)314a及び回動軸(第2桁側力点)314bの各々に連結部材312を軸方向(長手方向)に圧縮する方向の反力(Fd−(+F))が作用する。
これにより、ダンパー206の一端側の回動軸(第1桁側作用点)315a及び他端側の回動軸(第2桁側作用点)315bの各々には、ダンパー206の中央部から両端側に向かって引っ張る方向のダンパー反力F(−Fd)が作用し、ダンパー206の塑性変形部206aには引張力(−Fd)及びダンパー伸縮量+δが生じる。
また、図15(b)に示すように、一方の桁303が図中右方向、他方の桁304が図中左方向にそれぞれ相対変位(互いに近づく方向に相対変位)すると、第1反力アーム310が回動軸(第1桁側支点)313aを支点として時計回り、第2反力アーム311が回動軸(第2桁側支点)313bを支点として反時計回りにそれぞれ回動する。そして、これらの回動により、一方の桁303側の回動軸(第1桁側支点)313a及び他方の桁304側の回動軸(第2桁側支点)313bの各々に互いに離間する方向を向く反力F(−F)が作用するとともに、回動軸(第1桁側力点)314a及び回動軸(第2桁側力点)314bの各々に連結部材312を軸方向(長手方向)に圧縮する方向の反力(Fd−(−F))が作用する。
これにより、ダンパー206の一端側の回動軸(第1桁側作用点)315a及び他端側の回動軸(第2桁側作用点)315bの各々にはダンパー206の両端側から中央部に向かって圧縮する方向のダンパー反力(+Fd)が作用し、ダンパー206の塑性変形部206aには圧縮力(+Fd)及びダンパー伸縮量+δが生じる。
以上のように、地震が発生した場合に、ダンパー206の塑性変形部206aが、ダンパー伸縮量δで軸方向の伸縮を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
したがって、この第8実施形態の制振装置302においても、変形量縮小機構307が上部工4の大きな変位に対応したダンパー206の変形量を発生させることで(ダンパー伸縮量+δ,−δを得ることで)、変形量に制限があるダンパー206を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
また、ダンパー206の一端側連結部206cを第1反力アーム310の一端側連結部310aよりも他端側連結部310b側に偏って連結し、ダンパー206の他端側連結部206dを第2反力アーム311の一端側連結部311aよりも他端側連結部311b側に偏って連結すると、変形量縮小機構307の縮小率A(=Ld/L)が小さい値、換言すればダンパー伸縮量δが小さい値となる。一方、ダンパー206の一端側連結部206cを第1反力アーム310の他端側連結部310bよりも一端側連結部310a側に偏って連結し、ダンパー206の他端側連結部206dを第2反力アーム311の他端側連結部311bよりも一端側連結部311a側に偏って連結すると、変形量縮小機構307の縮小率Aが大きい値、換言すればダンパー伸縮量δが大きい値となる。このため、同一形状のダンパー206を使用しても、制振能力を変化させることができる。即ち、第8実施形態に係る制振装置302も、小さなダンパー伸縮量δで大きな相対水平変位量dに対応することができる。
さらに、この第2実施形態のダンパー206においても小型であり、このダンパー206と変形量縮小機構307とを備えた制振装置302は小型化が図られているので、互いに隣り合う2つの桁303,304の各々の側面303a,304a側の狭い空間に容易に配置することができる。
[第9実施形態]
図16は、本発明に係る第9実施形態の制振装置402を示す図である。
図16に示すように、本発明に係る第9実施形態の制振装置402は、上述した第1実施形態の制振装置2と同様に、橋梁1の上部工4の長手方向である1軸方向を制振する装置である。また、この制振装置402は、第1実施形態の制振装置2と同様に、柱部3と上部工4との水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形による吸収で減衰するダンパー406と、柱部3と上部工4との相対変位量を縮小した変形量としてダンパー406に伝達する変形量縮小機構407とを備えている。
橋梁1は、柱部3の上端と上部工4との間に、上部工4を上部工4の長手方向(図16の左右方向)に移動可能とする可動支承5が配設されている。上部工4は、柱部3の上端に柱部3を横切るようにして配置されている。
柱部3の側面上部3aには柱部側連結部403が設けられ、上部工4の下面4aには上部工側連結部404が設けられている。この柱部側連結部403及び上部工側連結部404、ダンパー406及び変形量縮小機構407の各々は、柱部3及び上部工4で仕切られた同一の空間内に配置されている。
変形量縮小機構407は、一端側が上部工4に回動自在に連結され、他端側が柱部3に上部工4から一端側よりも離れた位置で進退移動自在及び回動自在に連結された反力アーム410を備えている。
反力アーム410は、反力アーム410の長手方向において互いに反対側に位置する一端側及び他端側のうち、一端側に一端側連結部410a、他端側に他端側連結部410bをそれぞれ有している。反力アーム410の一端側連結部410aは、上部工4の上部工側連結部404に回動軸413を介して回動自在に連結されている。反力アーム410の他端側連結部410bは、柱部3の柱部側連結部403に進退移動自在及び回動自在に連結されている。
図17に示すように、柱部側連結部403は、互いに離間して向かい合い、各々が柱部3に支持された2つの支持板421a,421bと、互いに離間して向かい合い、各々の一端側が一方の支持板421aに支持され、各々の他端側が他方の支持板421bにそれぞれ支持された2つの支持部材422a,422bとを備えている。この柱部側連結部403は、2つの支持板421a,421b及び2つの支持部材422a,422bで四方が囲まれた挿入孔423内に反力アーム410の他端側連結部410bを挿通し、この挿入孔423内において反力アーム410の他端側連結部410bを、2つの支持部材422a,422bに対して、反力アーム410の長手方向に進退移動自在な状態かつ回動自在な状態で保持するようになっている。
図16に示すように、反力アーム410は、柱部3と上部工4との相対変位が生じる前の設置状態では、主に、一端側連結部410aと他端側連結部410bとを結ぶ長手方向が鉛直方向、換言すれば柱部3の立設方向に沿うようにして配置されている。
2つの支持部材422a,422bの各々は、反力アーム410の他端側連結部410bが進退移動及び回動し易いように、例えば円筒形状で構成されている。この2つの支持部材422a,422b及び回動軸413の各々は、水平方向に延伸している。換言すれば、2つの支持部材422a,422b及び回動軸413の各々は、柱部3と上部工4との相対変位方向、及び柱部3の立設方向に対して直行する方向に延伸している。
ダンパー406は、上述のダンパー6と同様に、塑性変形部206aと、補剛管206bとを備えている。また、ダンパー406は、塑性変形部206aの変形方向の一端側に設けられた一端側連結部406cと、塑性変形部206aの変形方向の他端側に設けられた他端側連結部406dとを備えている。一端側連結部406c及び他端側連結部406dは、塑性変形部206aの長手方向において互いに反対側に位置している。
ダンパー406は、柱部3と上部工4との相対変位の方向において、一端側連結部406cが上部工4に回動軸415aを介して回動自在に連結され、他端側連結部406dが反力アーム410の一端側連結部410aと他端側連結部410bとの間の部分に進退移動自在及び回動自在に連結されている。ダンパー406の一端側連結部406cは、柱部3から反力アーム410の一端側連結部410aよりも離れた位置で連結されている。第9実施形態のダンパー406においても、柱部3と上部工4との相対変位の方向に沿うようにして延伸している。
図18(a),(b)に示すように、反力アーム410は、ダンパー406の他端側連結部406dが連結される部分に、ダンパー406の長手方向に沿って延伸する長孔形状の支持孔432を有している。一方、ダンパー406の他端側連結部406dは、反力アーム410の支持孔432を挟むように互いに対向して配置された2つの支持板431a,431bを有している。また、ダンパー406の他端側連結部406dは、支持孔432に挿通され、両端が2つの支持板431a,431bにそれぞれ支持された回動軸415bを有している。
支持孔432は、反力アーム410の支持孔432とダンパー206の他端側連結部406dの回動軸415bとが相対変位する際に回動軸415bとの間で反力が生じるように、中間部432aに対して一端部432b及び他端部432cの各々が円弧状に湾曲した形状になっている。この回動軸415a及び415bの各々においても、柱部3と上部工4との相対変位方向、及び柱部3の立設方向に対して直行する方向に延伸している。
図16に示すように、変形量縮小機構407は、柱部3と上部工4との相対変位が生じる前の設置状態では、反力アーム410の一端側の回動軸413及び反力アーム410の他端側連結部410bが鉛直方向に伸びる基準線Rp上に位置している。
ここで、回動軸(上部工側支点)413と支持部材422a及び422bとの間の距離をLとし、回動軸413と回動軸(ダンパー作用点)415bとの間の距離をLdとする。そして、上部工4の相対水平変位量をd(+d,−d)とし、柱部3の柱部側連結部(柱部側力点)403及び上部工4側の回動軸413の各々に作用する反力をF(+F,−F)とすると、ダンパー406には、下記の(15)式に示すダンパー伸縮量δ(+δ,−δ)が発生する。また、回動軸413まわりのモーメントつり合い(Fd×Ld=F×L)を考えると、ダンパー406には、下記の(16)式に示すダンパー反力Fd(圧縮力(+Fd)又は引張力(−Fd))が付加される。
ダンパー伸縮量δ=d×Ld/L …… (15)式
ダンパー反力Fd=F×L/Ld …… (16)式
次に、第9実施形態の制振装置402において、地震が発生した際の制振挙動について、図16を用いて説明する。
柱部3に対して上部工4が図16中右方向に相対変位すると、反力アーム410が回動軸413を支点にして時計回りに回動するとともに、図示していないが、柱部3の柱部側連結部403及び回動軸413の各々互いに近づく方向側を向く反力(+F)が作用する。
これにより、ダンパー406の回動軸415bには、図示していないが、ダンパー406の中央部から両端側に向かって引っ張る方向のダンパー反力(−Fd)が作用し、ダンパー406の塑性変形部には引張力(−Fd)及びダンパー伸縮量(−δ)が生じる。
また、柱部3に対して上部工4が図16中左方向に相対変位すると、反力アーム410が回動軸413を支点にして反時計回りに回動するとともに、図示していないが、柱部3の柱部側連結部403及び回動軸413の各々に互いに離れる方向側を向く反力(−F)が作用する。
これにより、ダンパー406の回動軸415bには、ダンパー406の両端側から中央部に向かって圧縮する方向のダンパー反力(+Fd)が作用し、ダンパー406の塑性変形部206aには圧縮力(+Fd)及びダンパー伸縮量(−δ)が生じる。
以上のように、地震が発生した場合に、ダンパー406の塑性変形部206aが、ダンパー伸縮量δで軸方向の伸縮を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
したがって、この第9実施形態の制振装置402においても、変形量縮小機構307が上部工4の大きな変位に対応したダンパー406の変形量を発生させることで(ダンパー伸縮量+δ,−δを得ることで)、変形量に制限があるダンパー406を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
また、ダンパー406の他端側連結部406dを反力アーム310の他端側連結部410bよりも一端側連結部410a側に偏って連結すると、変形量縮小機構407の縮小率A(=Ld/L)が小さい値、換言すればダンパー伸縮量δが小さい値となる。一方、ダンパー406の他端側連結部406dを反力アーム410の一端側連結部410aよりも他端側連結部310b側に偏って連結すると、変形量縮小機構407の縮小率Aが大きい値、換言すればダンパー伸縮量δが大きい値となる。このため、同一形状のダンパー406を使用しても、制振能力を変化させることができる。即ち、第9実施形態の制振装置402においても、小さなダンパー伸縮量δで大きな相対水平変位量dに対応することができる。
さらに、この第2実施形態のダンパー406においても小型であり、このダンパー406と変形量縮小機構307とを備えた制振装置202は小型化が図られているので、柱部3の側面上部3a及び上部工4の下面4aで仕切られた狭い空間内に容易に配置することができる。
ここで、変形量縮小機構407は、柱部3に対して上部工4が図16の左右方向に相対変位すると、反力アーム410が回動軸413を支点にして時計回り、或いは反時計回りに回動する。このとき、反力アーム410に設けられた支持孔432が移動し、支持孔432内を回動軸415bが支持孔432に対してダンパー406の長手方向に相対変位するので、反力アーム410の回動をスムーズに行うことができる。
変形量縮小機構407は、柱部3に対して上部工4が図16中右方向に相対変位すると、反力アーム410が回動軸413を支点にして時計回りに回動するとともに、反力アーム410に設けられた支持孔432も時計回りに回動するため、図19(a)に示すように、支持孔432の一端部432bがダンパー206の他端側連結部406dの回動軸415bに当たる。このとき、支持孔432の一端部432bは円弧状に湾曲した形状になっていることから、支持孔432は回動軸415bに反力アーム410の支持孔432内の側面から反力を与えながら移動するため、長手方向に沿って直線状に支持孔を形成した場合と比較して、支持孔432の一端部432bがダンパー206の他端側の回動軸415bに当たるときの衝撃を緩和することができる。
また、変形量縮小機構407は、柱部3に対して上部工4が図16中左方向に相対変位すると、反力アーム410が回動軸413を支点にして反時計回りに回動するとともに、反力アーム410に設けられた支持孔432も反時計回りに回動するため、図19(b)に示すように、支持孔432の他端部432cがダンパー206の他端側連結部406dの回動軸415bに当たる。このとき、支持孔432の他端部432cは円弧状に湾曲した形状になっていることから、支持孔432は回動軸415bに反力アーム410の支持孔432内の側面から反力を与えながら移動するため、長手方向に沿って直線状に支持孔を形成した場合と比較して、支持孔432の他端部432cがダンパー206の他端側の回動軸415bに当たるときの衝撃を緩和することができる。
この第9実施形態では、反力アーム410に支持孔432を設け、ダンパー206の他端側連結部206dに回動軸415bを設けた場合について説明したが、反力アーム410に回動軸415bを設け、ダンパー206の他端側連結部206dに支持孔432を設けた場合でも同様の衝撃緩和効果を得ることができる。
したがって、支持孔432と回動軸415bとの相対変位で支持孔432の端部と回動軸とが当たるときの衝撃を緩和することができる。
(変 形 例)
図20は上述した第9実施形態の制振装置の変形例を示す図であり、図21は柱部側連結部の構造を示す要部平面図である。
上述の第9実施形態では、柱部3に反力アーム410の他端側を進退移動自在及び回動自在に連結する構造として、図16及び図17に示すように、柱部側連結部403の挿入孔423内に反力アーム410の他端側連結部410bを挿入し、この挿入孔423内において反力アーム410の他端側連結部410bを進退移動自在及び回動自在に連結する構造について説明した。しかしながら、本発明は図16及び図17に示す構造に限定されるものではなく、反力アーム410の他端側連結部410b及び柱部3の柱部側連結部440を図20及び図21に示すような構造にしてもよい。すなわち、反力アーム410は、他端側連結部410bに互いに対向する2つの面の各々から突出するように設けられた回動軸442を有している。一方、柱部側連結部440は、反力アーム410の他端側連結部410bを挟むように互い対向して配置された2つの支持板441a,441bを有している。また、柱部側連結部440は、この2つの支持板441a,441bの各々に反力アーム410の長手方向に沿って延伸するように設けられ、かつ回動軸442が挿通された2つの支持孔443a,443bを有している。このような変形例においても、柱部3の柱部側連結部440に反力アーム410の他端側連結部410bを進退移動自在及び回動自在に連結することができる。
なお、この変形例では、反力アーム410の他端側連結部410bに回動軸442を設け、柱部側連結部440に支持孔443a,443bを設けた場合について説明したが、柱部側連結部440に回動軸442を設け、反力アーム410の他端側連結部410bに支持孔を設けた構造にしてもよい。
[第10実施形態]
図22は、本発明に係る第10実施形態の制振装置502を示す図である。
図22に示すように、本発明に係る第10実施形態の制振装置502は、上述した第1実施形態の制振装置2と同様に、橋梁1の上部工4の長手方向である1軸方向を制振する装置である。また、この制振装置502は、第1実施形態の制振装置2と同様に、柱部3と上部工4との水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形による吸収で減衰するダンパー206と、柱部3と上部工4との相対変位量を縮小した変形量としてダンパー206に伝達する変形量縮小機構507とを備えている。
橋梁1は、柱部3の上端と上部工4との間に、上部工4を上部工4の長手方向(図22の左右方向)に移動可能とする可動支承5が配設されている。上部工4は、柱部3の上端に柱部3を横切るようにして配置されている。
柱部3の側面上部3aには、柱部3の立設方向において互いに離間する第1柱部側連結部503a及び第2柱部側連結部503bが設けられている。また、上部工4の下面4aには上部工側連結部504が設けられている。この第1柱部側連結部503a、第2柱部側連結部503b及び上部工側連結部504、ダンパー206及び変形量縮小機構507の各々は、柱部3及び上部工4で仕切られた同一の空間内に配置されている。
変形量縮小機構507は、一端側が柱部3に回動自在に連結され、他端側が進退移動自在及び回動自在に連結され反力アーム510を備えている。
反力アーム510は、反力アーム510の長手方向において互いに反対側に位置する一端側及び他端側のうち、一端側に一端側連結部510a、他端側に他端側連結部510bをそれぞれ有している。反力アーム510の一端側連結部510aは、柱部3の第1柱部側連結部503aに回動軸514を介して回動自在に連結されている。反力アーム510の他端側連結部510bは、上部工4の上部工側連結部504に進退移動自在及び回動自在に連結されている。
上部工側連結部504は、上述した第9実施形態の図16に示す柱部側連結部403と同様の構成になっている。すなわち、上部工側連結部504は、図23に示すように、互いに離間して向かい合い、各々が上部工4に支持された2つの支持板521a,521bと、互いに離間して向かい合い、各々の一端側が一方の支持板521aに支持され、各々の他端側が他方の支持板521bにそれぞれ支持された2つの支持部材522a,522bとを備えている。この上部工側連結部504は、2つの支持板521a,521b及び2つの支持部材522a,522bで四方が囲まれた挿入孔523内に反力アーム510の一端側連結部510aを挿通し、この挿入孔523内において反力アーム510の他端側連結部510bを、2つの支持部材522a,522bに対して、反力アーム510の長手方向に移動可能な状態でかつ回動自在な状態で保持するようになっている。
図22に示すように、反力アーム510は、柱部3と上部工4との相対変位が生じる前の設置状態では、主に、一端側連結部510aと他端側連結部510bとを結ぶ長手方向が鉛直方向、換言すれば柱部3の立設方向に沿うようにして配置されている。
2つの支持部材522a,522bの各々は、反力アーム510の一端側連結部510aが進退移動及び回動し易いように、例えば円筒形状で構成されている。この2つの支持部材522a,522b及び回動軸513の各々は、水平方向に延伸している。換言すれば、2つの支持部材522a,522b及び回動軸513の各々は、柱部3と上部工4との相対移動方向、及び柱部3の立設方向に対して直行する方向に延伸している。
ダンパー206は、第7実施形態で説明したダンパー206と同様の構造になっているが、図22に示すように、連結構造が異なっている。ダンパー206は、一端側が柱部3に上部工4から反力アーム510の他端側よりも離れた位置で回動軸515cを介して回動自在に連結され、他端側が反力アーム510の他端側に柱部3から回動軸514よりも離れた位置で連結されている。具体的には、ダンパー206は、塑性変形部206aの変形方向の一端側に設けられた一端側連結部206cが、柱部3の第2柱部側連結部503bに上部工4から反力アーム510の他端側連結部510bよりも離れた位置で回動軸515aを介して回動自在に連結されている。また、ダンパー206は、塑性変形部206aの変形方向の他端側に設けられた他端側連結部206dが、反力アーム510の一端側連結部510aに柱部3から回動軸514よりも離れた位置で回動軸515bを介して回動自在に連結されている。この第10実施形態のダンパー206は、柱部3の立設方向に沿うようにして延伸している。
ここで、図示していないが、回動軸514と上部工側連結部504の支持部材522a,522bとの間の距離をLとし、回動軸514とダンパー206の他端側の回動軸515bとの間の距離をLdとする。そして、上部工4の相対水平変位量をd(+d,−d)とし、上部工4の上部工側連結部504の各々に作用する反力をF(+F,−F)とすると、ダンパー206には、下記の(15)式に示すダンパー伸縮量δ(+δ,−δ)が発生する。また、回動軸514まわりのモーメントのつり合い(Fd×Ld=F×L)を考えると、ダンパー406には、下記の(16)式に示すダンパー反力Fd(圧縮力(+Fd)又は引張力(−Fd))が付加される。
ダンパー伸縮量δ=d×Ld/L …… (17)式
ダンパー反力Fd=F×L/Ld …… (18)式
次に、第10実施形態の制振装置502において、地震が発生した際の制振挙動について、図23を用いて説明する。
柱部3に対して上部工4が図23中右方向に相対変位すると、反力アーム510が回動軸(柱部側支点)514を支点にして時計回りに回動するとともに、図示していないが、柱部3の第1柱部側連結部503a及び上部工4の上部工側連結部(上部工側力点)504の各々に互いに近づく方向側を向く反力F(+F)が作用する。これにより、ダンパー206の他端側連結部206d側の回動軸(ダンパー作用点)515b及び一端側連結部206c側の回動軸515aの各々には、ダンパー206の両端側から中央部に向かって圧縮する方向のダンパー反力(+Fd)が作用し、ダンパー206の塑性変形部206aには圧縮応力Fd(+Fd)及びダンパー伸縮量(+δ)が生じる。
また、柱部3に対して上部工4が図22中左方向に相対変位すると、反力アーム510が回動軸514を支点にして反時計回りに回動するとともに、柱部3の柱部側連結部503a及び上部工4の上部工側連結部504の各々に互いに離れる方向側を向く反力が作用する。これにより、ダンパー206の他端側連結部206d側の回動軸515bには、ダンパー206の中間部から両端側に向かって引っ張る方向のダンパー反力(+Fd)が作用し、ダンパー206の塑性変形部206aには引張力(−Fd)及びダンパー伸縮量(−δ)が生じる。
以上のように、地震が発生した場合に、ダンパー206の塑性変形部206aが、ダンパー伸縮量δで軸方向の伸縮を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
したがって、この第10実施形態の制振装置502においても、変形量縮小機構507が上部工4の大きな変位に対応したダンパー206の変形量を発生させることで(ダンパー伸縮量+δ,−δを得ることで)、変形量に制限があるダンパー206を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
また、ダンパー206の他端側連結部206dを反力アーム510の他端側の回動軸514に近づけて連結すると、変形量縮小機構507の縮小率A(=Ld/L)が小さい値、換言すればダンパー伸縮量δ7が小さい値となる。一方、ダンパー206の他端側連結部406dを反力アーム510の一端側の回動軸514から離れて連結すると、変形量縮小機構507の縮小率Aが大きい値、換言すればダンパー伸縮量δが大きい値となる。このため、同一形状のダンパー406を使用しても、制振能力を変化させることができる。即ち、第10実施形態の制振装置502においても、小さなダンパー伸縮量δで大きな相対水平変位量dに対応することができる。
さらに、この第2実施形態のダンパー406においても小型であり、このダンパー406と変形量縮小機構307とを備えた制振装置202は小型化が図られているので、柱部3の側面上部3a及び上部工4の下面4aで仕切られた狭い空間内に容易に配置することができる。
[第11実施形態]
本発明に係る第11実施形態の制振装置602について、図24乃至図32を用いて説明する。この第11実施形態では、上部工の長手方向及び短尺方向を、同一平面内において互いに直交するX方向及びY方向として定義している。また、この第11実施形態では、柱部のブラケットと上部工との間にダンパーを設置した場合について説明する。
図24に示すように、本発明に係る第11実施形態の制振装置602は、橋梁601に組み込まれている。この制振装置602は、上述した第6実施形態の制振装置80と同様に、橋梁601の上部工604の長手方向であるX方向(図24、図25、図27、図29及び図30参照)及び短尺方向であるY方向(図26、図27、図31及び図32参照)の2軸方向を制振する装置である。また、この制振装置602は、第6実施形態の制振装置80と同様に、橋梁601の柱部603と上部工604との水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形による吸収で減衰するダンパー606と、柱部603と上部工604との相対変位量を縮小した変形量としてダンパー606に伝達する変形量縮小機構607とを備えている。
橋梁601は、柱部603の上端と上部工604との間に、上部工604を柱部603に対して上部工604の長手方向及び短尺方向(2軸方向)に移動可能とする可動支承605が配設されている。上部工604は、柱部603の上端に柱部603を横切るようにして配置されている。柱部603は、柱部603の側面部603aに上部工604と対向するようにして設けられたブラケット608を有している。
ダンパー606は、柱部603のブラケット608と上部工604との間に設置されている。そして、ダンパー606は、柱部603及び上部工604の何れか一方に固定されている。この第11実施形態では、図24乃至図26に示すように、ダンパー606はブラケット608を介して柱部603に固定されている。
ダンパー606は、図25及び図26に示すように、互いに反対側に位置する一端部から他端部に亘って延伸する収容部622が設けられた筒状の塑性変形部621を備えている。また、ダンパー606は、塑性変形部621の一端部に収容部622を覆うようにして固定され、かつ収容部622の内外に亘って貫通する貫通孔624が設けられた塑性変形伝達部材623を備えている。また、ダンパー606は、互いに反対側に位置する第1面部625x及び第2面部625yを有し、第1面部625xが塑性変形部621の他端部に収容部622を覆うようにして固定された変形部固定部材625を備えている。この第11実施形態では、変形部固定部材625の第2面部625yがブラケット608の上面部608aに固定されている。
塑性変形部621は、図25乃至図27に示すように、円筒形状で形成されている。そして、塑性変形部621は、例えば履歴減衰特性を有する普通鋼又は低降伏点鋼からなる鋼管で形成されている。塑性変形伝達部材623及び変形部固定部材625の各々は、上部工604側から平面視したときの平面形状が方形状で形成されている。そして、塑性変形伝達部材623及び変形部固定部材625の各々は、柱部603と上部工604との相対変位で付加される荷重に対して十分な剛性を有し、変形しないように構成されている。
ダンパー606は、塑性変形部621が塑性変形伝達部材623と変形部固定部材625との水平方向の相対変位に追随して塑性変形部621がせん断変形するようになっており、X方向及びY方向を含む平面方向において柱部603と上部工604との360度全方向の相対変位で発生したエネルギーを塑性変形部621のせん断変形による吸収で減衰するようになっている。
図25及び図26に示すように、変形量縮小機構607は、貫通孔624を貫通して収容部622の内外に亘って延伸し、一端側が収容部622の中でブラケット608を介して柱部603に回動自在に連結され、他端側が収容部622の外で上部工604に回動自在に連結された反力アーム610を備えている。反力アーム610は、一端側及び他端側の少なくとも何れか一方が回動自在とともに進退移動自在に連結されている。この第11実施形態では反力アーム610の他端側が上部工604に進退移動自在及び回動自在に連結されている。
反力アーム610の一端側及び他端側は反力アーム610の長手方向において互いに反対側に位置している。反力アーム610の一端側は凸状球面部612が設けられた一端側連結部611を有している。また、反力アーム610の他端側は、凸状球面部614が設けられた他端側連結部613を有している。凸状球面部612及び凸状球面部614の各々は、反力アーム610の長手方向の中心軸を周回する方向に連続して延伸する無端形状で形成されている。
ダンパー606は、収容部622内において、変形部固定部材625の第1面部625xに固定され、かつ一端側連結部611の凸状球面部612を摺動自在に支持する凹状球面部642が設けられた支持用第1連結部641を更に備えている。また、上部工604は、他端側連結部613の凸状球面部614を摺動自在に支持する円筒状内周面部644が設けられた支持用第2連結部643を備えている。この支持用第2連結部643は、支持用第1連結部641と対向するようにして上部工604の下面部604aに連結部固定板609を介して固定されている。
図25及び図26に示すように、支持用第1連結部641は、互いに反対側に位置する一端部から他端部に亘って収容部が延伸する筒状で形成され、この収容部の内壁面に凹状球面部642が設けられている。凹状球面部642は、反力アーム610の長手方向と直交する方向において、一端側連結部611の凸状球面部612を周回する方向に連続して延伸する無端形状になっている。凹状球面部642及び凸状球面部612の各々は、反力アーム610が一端側連結部611を支点に所定の傾斜角度で回動可能となるように形成されている。また、凹状球面部642及び凸状球面部612の各々は、反力アーム610が一端側連結部611を支点に所定の傾斜角度で360度旋回可能となるように形成されている。即ち、反力アーム610の一端側連結部611は、上部工604の長手方向及び短尺方向(2軸方向)において回動が可能な状態で支持用第1連結部641に連結されている。
図25及び図26に示すように、支持用第2連結部643は、互いに反対側に位置する一端部から他端部に亘って収容部が延伸する筒状で形成され、この収容部の内壁面が円筒状内周面部644となる。そして、この支持用第2連結部643の一端部側から収納部に反力アーム610の他端側連結部613が挿入され、他端側連結部613の凸状球面部614が支持用第2連結部643の円筒状内周面部644に摺動自在に支持されている。円筒状内周面部644及び凸状球面部614は、反力アーム610が他端側連結部613を支点に所定の傾斜角度で回動可能となるように形成されている。また、円筒状内周面部644及び凸状球面部614は、反力アーム610が他端側連結部613を支点に所定の傾斜角度で360度旋回可能となるように形成されている。また、円筒状内周面部644及び凸状球面部614は、反力アーム610の他端側連結部613が反力アーム610の長手方向に進退移動可能となるように形成されている。即ち、反力アーム610の他端側連結部613は、上部工604の長手方向及び短尺方向(2軸方向)において回動が可能な状態で支持用第2連結部643に連結されている。
図24に示すように、支持用第1連結部641、支持用第2連結部643、ダンパー606及び変形量縮小機構607の各々は、柱部603、上部工604及びブラケット608で仕切られた同一の空間内に配置されている。
図25及び図26に示すように、反力アーム610は、貫通孔624において、塑性変形伝達部材623に可動自在に連結されている。反力アーム610は、反力アーム610の他端側連結部613よりも一端側連結部611側に偏った位置で塑性変形伝達部材623に連結されている。
図27に示すように、反力アーム610の一端側連結部611と他端側連結部613との間の中間部分は、反力アーム610の長手方向と直交する断面が円形状で形成されている。また、塑性変形伝達部材623の貫通孔624も、平面形状が円形状で形成されている。
図28に示すように、塑性変形伝達部材623の貫通孔624内の壁面部623Aは、貫通孔624の延伸方向(塑性変形伝達部材623の厚さ方向)において、中央部623Aが上縁部623A及び下縁部623Aよりも貫通孔624の延伸方向の中心軸側に突出する湾曲形状になっている。この壁面部623Aは、反力アーム610が塑性変形伝達部材623に対して所定の角度で360度旋回可能となり、かつ反力アーム610の中間部分が塑性変形伝達部材623に対して反力アーム610の長手方向に進退移動可能となるように、反力アーム610の中間部分を中央部623A1で摺動自在に支持している。
図25及び図26に示すように、変形量縮小機構607は、柱部603と上部工604との相対変位が生じる前の設置状態では、反力アーム610の一端側連結部及び他端側連結部の各々が、鉛直方向に伸びる基準線Rp上に位置している。
ここで、反力アーム610の一端側連結部611と他端側連結部613と間の距離をLとし、反力アーム610の一端側連結部611とダンパー606の塑性変形伝達部材623との間の距離をLdとする。そして、柱部3に対する上部工4の水平方向の相対水平変位量をd(+d,−d)とし、柱部603(ブラケット608)側の支持用第1連結部641及び上部工604側の支持用第2連結部643の各々に作用する反力をF(+F,−F)とすると、柱部603と上部工604とが水平方向に相対変位する際に、ダンパー606には、下記の(19)式に示すダンパー変形量δ(+δ,−δ)が発生する。また、一端側連結部611まわりのモーメントのつり合い(Fd×Ld=F×L)を考えると、ダンパー606には、下記の(20)式に示すダンパーせん断力Fd(+Fd,−Fd)が付加される。
ダンパー変形量δ=d×L/Ld …… (19)
ダンパーせん断力Fd=F×L/Ld …… (20)
次に、第11実施形態の制振装置602において、地震が発生した際の制振挙動について、図29乃至図32を用いて説明する。
先ず、2軸方向のうち、上部工604の長手方向(X方向)の制振挙動について説明する。なお、上部工604の長手方向及び短尺方向(Y方向)の各々において、互いに反対側を向く2つの方位のうち、一方を第1方位と呼び、他方を第2方位と呼ぶ。
図29に示すように、柱部603に対して上部工604が上部工604の長手方向の第1方位側(図中右方向側)に相対変位すると、反力アーム610が一端側連結部611を支点にして時計回りに回動する。そして、この反力アーム610の回動により、柱部603(ブラケット608)側の支持用第1連結部641及び上部工604側の支持用第2連結部643の各々に、上部工604の長手方向の第2方位側(図中左方向側)を向く、換言すれば上部工604の移動方向(図中右方向)とは逆の方向(図中左方向)を向く反力(−F)が作用する。
これにより、ダンパー606の塑性変形伝達部材623と反力アーム610との連結点(壁面部623Aの中央部623A)には、上部工604の長手方向の第1方位側(図中右方向側)を向く、換言すれば上部工604の移動方向(図中右方向)と同一方向を向くダンパーせん断力(+Fd)が作用し、ダンパー606の塑性変形部621にはダンパー変形量+δが生じる。
また、図30に示すように、柱部603に対して上部工604が上部工604の長手方向の第2方位側(図中左方向側)に相対変位すると、反力アーム610が一端側連結部611を支点にして反時計回りに回動する。そして、この反力アーム610の回動により、柱部603(ブラケット608)側の支持用第1連結部641及び上部工604側の支持用第2連結部643の各々に、上部工604の長手方向の第1方位側(図中右方向)を向く、換言すれば上部工604の移動方向(図中左方向)とは逆の方向(図中右方向)を向く反力(+F)が作用する。
これにより、ダンパー606の塑性変形伝達部材623と反力アーム610との連結点である壁面部623Aの中央部623Aには、上部工604の長手方向の第2方位側(図中左方向側)を向く、換言すれば上部工604の移動方向(図中左方向)と同一方向を向くダンパーせん断力(−Fd)が作用し、ダンパー606の塑性変形部621にはダンパー変形量(−δ)が生じる。
次に、2軸方向のうち、上部工604の短尺方向(Y方向)の制振挙動について説明する。
図31に示すように、柱部603に対して上部工604が上部工604の短尺方向の第1方位側(図中右方向)に相対変位すると、反力アーム610が反力アーム610の一端側連結部611を支点にして時計回りに回動する。そして、この反力アーム610の回動により、柱部603(ブラケット608)側の支持用第1連結部641及び上部工604側の支持用第2連結部643の各々に、上部工604の長手方向の第2方位側(図中左方向側)を向く、換言すれば上部工604の移動方向(図中右方向)とは逆の方向(図中左方向)を向く反力(−F)が作用する。
これにより、ダンパー606の塑性変形伝達部材623と反力アーム610との連結点(壁面部623Aの中央部623A)には、上部工604の短尺方向の第1方位側(図中右方向側)を向く、換言すれば上部工604の移動方向(図中右方向)と同一方向を向くダンパーせん断力(+Fd)が作用し、ダンパー606の塑性変形部621にはダンパー変形量(+δ)が生じる。
また、図32に示すように、柱部603に対して上部工604が上部工604の短尺方向の第2方位側(図中左方向側)に相対変位すると、反力アーム610が一端側連結部611を支点にして反時計回りに回動する。そして、この反力アーム610の回動により、柱部603(ブラケット608)側の支持用第1連結部641及び上部工604側の支持用第2連結部643の各々に、上部工604の短尺方向の第1方位側(図中右方向側)を向く、換言すれば上部工604の移動方向(図中左方向)とは逆の方向(図中右方向)を向く反力(+F)が作用する。
これにより、ダンパー606の塑性変形伝達部材623と反力アーム610との連結点である壁面部623Aの中央部623Aには、上部工604の短尺方向の第2方位側(図中左方向側)を向く、換言すれば上部工604の移動方向(図中左方向)と同一方向を向くダンパーせん断力(−Fd)が作用し、ダンパー606の塑性変形部621にはダンパー変形量(−δ)が生じる。
以上のように、地震が発生した場合に、ダンパー606の塑性変形部621が、ダンパー変形量δでせん断方向の変形を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対応して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
したがって、この第11実施形態の制振装置602においても、変形量縮小機構607が上部工604の大きな変位に対応したダンパー606の変形量を発生させることで(ダンパー変形量+δ,−δを得ることで)、変形量に制限があるダンパー606を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
また、ダンパー606の塑性変形伝達部材623が反力アーム610の他端側連結部613よりも一端側連結部611側に偏った位置で反力アーム610を支持すると、変形量縮小機構607の縮小率A(=Ld/L)が小さい値、換言すればダンパー変形量δが小さい値となる。一方、ダンパー606の塑性変形伝達部材623が反力アーム610の一端側連結部611よりも他端側連結部613側に偏った位置で反力アーム610を支持すると、変形量縮小機構607の縮小率A8が大きい値、換言すればダンパー変形量δ8が大きい値となる。したがって、同一形状のダンパー606を使用しても、制振能力を変化させることができる。即ち、第11実施形態に係る制振装置602においても、小さなダンパー変形量δ(+δ,−δ)で大きな相対水平変位量dに対応することができる。
また、この第11実施形態の制振装置602では、2軸方向(上部工604の長手方向及び短尺方向)の大きな相対水平変位量に小さなダンパー変形量δ(+δ,−δ)で対応することができる。
さらに、この第11実施形態のダンパー606においても小型であり、このダンパー606と変形量縮小機構307とを備えた制振装置602は小型化が図られているので、柱部603、上部工604及びブラケット608で仕切られた狭い空間内に容易に配置することができる。
なお、反力アーム610は、他端側連結部613よりも一端側連結部611の方に偏った位置で塑性変形伝達部材623に連結されていることが好ましい。
また、第11実施形態では、支持用第1連結部641をブラケット608側に設け、支持用第2連結部643を上部工側に設けた場合について説明したが、支持用第1連結部641を上部工604側に設け、支持用第2連結部643を柱部603(ブラケット608)側に設けるようにしてもよい。即ち、反力アーム610は、一端側及び他端側の各々が回動自在に連結され、かつ一端側及び他端側の少なくとも何れか一方が進退移動自在に連結されていればよい。
(変形例)
図33は、第11実施形態の制振装置602の変形例を示す図である。
上述の第11実施形態では、図24に示すように、柱部603のブラケット608と上部工604との間にダンパー606を配置した場合について説明した。しかしながら、本発明は図24に示すダンパー606の設置に限定されるものではなく、図33に示すように、柱部603の上端603bと上部工604の下面部604aとの間の間隔が十分に広い場合には、ダンパー606を柱部603の上端603bと上部工604の下面部604aとの間に設置した構成としてもよい。この場合、ダンパー606は、変形部固定部材625の第2面部625yが柱部603の上端603bに固定されている。
[第12実施形態]
本発明に係る第12実施形態の制振装置702について、図34乃至図36を用いて説明する。この第12実施形態でも、上部工の長手方向及び短尺方向を、同一平面内において互いに直交するX方向及びY方向として定義している。
本発明に係る第12実施形態の制振装置702は、第11実施形態の制振装置602と実質的に同様の構成になっているが、ダンパー706の設置場所が異なっている。
図34に示すように、本発明に係る第12実施形態の制振装置702は、橋梁601の柱部603と上部工604との水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形による吸収で減衰するダンパー606と、柱部603と上部工604との相対変位量を縮小した変形量としてダンパー606に伝達する変形量縮小機構607とを備えている。そして、第12実施形態の制振装置702は、上述した第11実施形態の制振装置602とは異なり、ダンパー606が上部工604に固定されている。
橋梁601は、柱部603の上端と上部工604との間に、上部工604を柱部603に対して上部工604の長手方向及び短尺方向(2軸方向)に移動可能とする可動支承605が配設されている。上部工604は、柱部6033の上端に柱部603を横切るようにして配置されている。柱部603は、柱部603の側面部603aに上部工604と対向するようにして設けられたブラケット608を有している。
ダンパー606は、上述の第11実施形態と同様に、柱部603のブラケット608と上部工604との間に設置されている。ダンパー606は、図35及び図36に示すように、互いに反対側に位置する一端部から他端部に亘って延伸する収容部622が設けられた筒状の塑性変形部621を備えている。また、ダンパー606は、塑性変形部621の一端部に収容部622を覆うようにして固定され、かつ収容部622の内外に亘って貫通する貫通孔634が設けられた塑性変形伝達部材623を備えている。また、ダンパー606は、互いに反対側に位置する第1面部625x及び第2面部625yを有し、第1面部625xが塑性変形部621の他端部に収容部622を覆うようにして固定された変形部固定部材625を備えている。この第12実施形態では、変形部固定部材625の第2面部625yが上部工604の下面部606aに固定されている。
図35及び図36に示すように、変形量縮小機構607は、貫通孔624を貫通して収容部622の内外に亘って延伸し、一端側が収容部622の中で上部工604に回動自在に連結され、他端側が収容部622の外でブラケット608を介して柱部603に回動自在に連結された反力アーム610を備えている。反力アーム610は、一端側及び他端側の少なくとも何れか一方が回動自在とともに進退移動自在に連結されている。この第12実施形態では反力アーム610の他端側がブラケット608を介して柱部603に進退移動自在及び回動自在に連結されている。
反力アーム610の一端側は凸状球面部612が設けられた一端側連結部611を有している。また、反力アーム610の他端側は、凸状球面部614が設けられた他端側連結部613を有している。
ダンパー606は、収容部622内において、変形部固定部材625の第1面部625xに固定され、かつ一端側連結部611の凸状球面部612を摺動自在に支持する凹状球面部642が設けられた支持用第1連結部641を更に備えている。また、柱部603は、他端側連結部613の凸状球面部614を摺動自在に支持する円筒状内周面部644が設けられた支持用第2連結部643を更に備えている。この支持用第2連結部643は、支持用第1連結部641と対向するようにしてブラケット608の上面部608aに連結部固定板609を介して固定されている。
反力アーム610の一端側連結部611は、上部工604の長手方向及び短尺方向(2軸方向)において回動が可能な状態で支持用第1連結部641に連結されている。反力アーム610の他端側連結部613は、上部工604の長手方向及び短尺方向(2軸方向)において回動が可能な状態で支持用第2連結部643に連結されている。
支持用第1連結部641、支持用第2連結部643、ダンパー606及び変形量縮小機構607の各々は、柱部603、上部工604及びブラケット608で仕切られた同一の空間内に配置されている。
反力アーム610は、貫通孔624において、塑性変形伝達部材623に可動自在に連結されている。反力アーム610は、反力アーム610の他端側連結部613よりも一端側連結部611側に偏った位置で塑性変形伝達部材623に連結されている。
図35及び図36に示すように、変形量縮小機構607は、柱部603と上部工604との相対変位が生じる前の設置状態では、反力アーム610の一端側連結部及び他端側連結部の各々が、鉛直方向に伸びる基準線Rp上に位置している。
ここで、反力アーム610の一端側連結部611と他端側連結部613と間の距離をLとし、反力アーム610の一端側連結部611とダンパー606の塑性変形伝達部材623との間の距離をLdとする。そして、柱部3に対する上部工4の水平方向の相対水平変位量をd(+d,−d)とし、上部工604側の支持用第1連結部641及び柱部603(ブラケット608側)の支持用第2連結部643の各々に作用する反力をF(+F,−F)とすると、柱部603と上部工604とが水平方向に相対変位する際に、ダンパー606には、上記の(19)式に示すダンパー変形量δ(+δ,−δ)が発生する。また、一端側連結部611まわりのモーメントのつり合い(Fd×Ld=F×L)を考えると、ダンパー606には、上記の(20)式に示すダンパーせん断力Fd(+Fd,−Fd)が付加される。
このように構成された第12実施形態の制振装置702においても、上述した第11実施形態の制振装置602と同様の効果が得られる。
なお、第12実施形態では、支持用第1連結部641を上部工604側に設け、支持用第2連結部643を柱部603(ブラケット608)側に設けた場合について説明したが、支持用第1連結部641を柱部603(ブラケット608)側に設け、支持用第2連結部643を上部工604側に設けるようにしてもよい。即ち、反力アーム610は、一端側及び他端側の各々が回動自在に連結され、かつ一端側及び他端側の少なくとも何れか一方が進退移動自在に連結されていればよい。
また、第12実施形態では、柱部603のブラケット608と上部工604との間にダンパー606を設置した場合について説明したが、ダンパー606は、図33に示す変形例の場合と同様に、柱部603の上端603bと上部工604の下面部604aとの間の間隔が十分に広い場合には、ダンパー606を柱部603の上端603bと上部工604の下面部604aとの間に設置した構成としてもよい。この場合、図示していないが、支持用第2連結部643は、支持用第1連結部641と対向するようにして柱部603の上端603bに連結部固定板609を介して固定されている。
また、上述の第11実施形態及び第12実施形態では、柱部603と上部工604との2軸方向の相対変位で発生したエネルギーを制振装置602,702で制振する場合について説明した。しかしながら、ダンパー606は、X方向及びY方向を含む平面方向において柱部603と上部工604との360度全方向の相対変位で発生したエネルギーを塑性変形部621のせん断変形による吸収で減衰するようになっているので、制振装置602,702は、X方向及びY方向に限らず、Y方向及びY方向を含む平面方向において360度全方向の相対変位で発生したエネルギーを制振することもできる。
また、上記各実施形態の制振装置では、鋼管の軸方向変形を利用したダンパー6,206,406、板状鋼板のせん断変形を利用したダンパー21、鋼管のせん断変形を利用したダンパー81,606を使用したが、本発明の要旨は上記のようなダンパーに限定するものではなく、例えば、オイルダンパー、摩擦ダンパー、粘弾性ダンパー、波板ダンパー、慣性体ダンパーを使用した制振装置であっても、同様の効果を奏することができる。
以上、本発明を上記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
1…橋梁
2…制振装置
3…柱部
3a…側面上部
4…上部工
4a…下面
5…可動支承
6…ダンパー
6a…塑性変形部
6b…補剛管
6c…一端側連結部
6d…他端側連結部
7…変形量縮小機構
8…第1上部工側連結部
9…回動軸
10…反力アーム
10a…一端側連結部
10b…他端側連結部
11…調整アーム
11a…一端側連結部
11b…他端側連結部
12…第2上部工側連結部
13…回動軸(上部工支点)
14…柱部側連結部
15…回動軸(柱部力点)
16…回動軸
17…回動軸(ダンパー作用点)
20…制振装置、
21…ダンパー
22…塑性変形部
23…変形部固定板
24…外力伝達部
25…一端側連結部
26…他端側連結部
27…第1上部工側連結部
28…回動軸
29…連結アーム
30…回動軸
31…第2上部工側連結部
40…制振装置
41…ブラケット
41a…上面
42…変形量縮小機構
43…反力アーム
43a…一端側連結部
43b…他端側連結部
44…調整アーム
44a…一端側連結部
44b…他端側連結部
45…上部工側連結部
46…上部工力点
47…回動軸
48…第1ブラケット側連結部
49…柱部支点
50…第2ブラケット側連結部
51…回動軸
52…連結アーム
53…回動軸
54…ダンパー作用点
55…上部工側連結部
56…長孔形状の支持孔
57…回動軸
60…制振装置
61…伸縮量縮小アーム
62…長尺部
63…短尺部
64…第1アーム連結部
65…第2アーム側連結部
66…第3アーム側連結部
67…上部工側連結部
68…支持孔
69…上部工力点
70…第2柱部側連結部
71…柱部支点
72…ダンパー作用点
73…第1柱部側連結部
74…回動軸
80…制振装置
81…ダンパー
82…変形量縮小機構
83…変形部固定板
84…塑性変形部
85…塑性変形伝達部材
86〜89…第1変形側連結部〜第4変形側連結部
90〜93…第1ブラケット側連結部〜第4ブラケット側連結部
94〜97…第1上部工側連結部〜第4上部工側連結部
94a〜97a…長孔形状の支持孔
98…第1反力アーム
99…第1柱部支点
100…第1上部工力点
101…第2反力アーム
102…第2柱部支点
103…第2上部工力点
104…第3反力アーム
105…第3柱部支点
106…第3上部工力点
107…第4反力アーム
108…第4柱部支点
109…第4上部工力点
110…第1ダンパー作用点
111…第2ダンパー作用点
112…第3ダンパー作用点
113…第4ダンパー作用点
202…制振装置
203…柱部側連結部
204…上部工側連結部
206…ダンパー、206a…塑性変形部、206b…補剛板
206c…一端側連結部、206d…他端側連結部
207…変形量縮小機構
210…反力アーム、210a…一端側連結部、210b…他端側連結部
212…連結部材、212a…一端側連結部、212b…他端側連結部
213…回動軸(上部工側支点)
214a…回動軸(柱部側力点)、214b…回動軸(反力アーム側力点)
215a…回動軸(柱部側作用点)、215b…回動軸(反力アーム側作用点)
301…橋梁
302…制振装置
303,304…桁
303a,304a…側面
307…変形量縮小機構
310…第1反力アーム、310a…一端側連結部、310b…他端側連結部
311…第2反力アーム、311a…一端側連結部、311b…他端側連結部
312…連結部材、312a…一端側連結部、312b…他端側連結部
313a,313b…回動軸
314a,314b…回動軸
315a,315b…回動軸
323,324…ブラケット
325,326…桁側連結部
402…制振装置
403…柱部側連結部
404…上部工側連結部
407…変形量縮小機構
410…反力アーム、410a…一端側連結部、410b…他端側連結部
413…回動軸
415a,415b…回動軸
421a,421b…支持板
422a,422b…支持部材
423…挿入孔
502…制振装置
503a…第1柱部側連結部、503b…第2柱部側連結部
504…上部工側連結部
507…変形量縮小機構
510…反力アーム、510a…一端側連結部、510b…他端側連結部
514…回動軸
515a,515b…回動軸
521a,521b…支持板
522a,422b…支持部材
523…挿入孔
601…橋梁
602…制振装置
603…柱部、603a…側面部、603b…上端
604…上部工、604a…下面部
605…可動支承
606…ダンパー
607…変形量縮小機構
608…ブラケット
609…連結部固定板
610…反力アーム
611…一端側連結部、
612…凸状球面部
613…他端側連結部
614…凸状球面部
621…塑性変形部
622…収容部
623…塑性変形伝達部材
624…貫通孔
625…変形部固定部材、625x…第1面部、625y…第2面部
641…支持用第1連結部
642…凹状球面部
643…支持用第2連結部
644…円筒状内周面部
A 縮小率
δ ダンパー伸縮量
δ1,δ2,δ3 ダンパー変形量
Fd ダンパー軸力
Fd1,Fd2,Fd3 ダンパーせん断力

Claims (24)

  1. 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
    前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え
    前記変形量縮小機構は、前記第1構造体側の第1連結点と前記第2構造体の第2連結点とに回動自在に連結している反力アームを備え、
    前記ダンパーは、変形方向の一端側が前記第1構造体及び前記第2構造体の一方に回動自在に連結しているとともに、前記変形方向の他端側が、前記反力アームの前記第1連結点及び前記第2連結点の間の位置で回動自在に連結していることを特徴とする制振装置。
  2. 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
    前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
    前記変形量縮小機構は、長尺部及び短尺部を有するL字状の反力アームを備え、前記長尺部の先端が、前記第1構造体及び前記第2構造体の一方に回動自在に連結し、前記長尺部及び前記短尺部の交叉部が、前記第1構造体及び前記第2構造体の他方に回動自在に連結し、
    前記ダンパーは、変形方向の一端側が前記第1構造体及び前記第2構造体の一方に回動自在に連結しているとともに、前記変形方向の他端側が、前記反力アームの前記短尺部の先端に回動自在に連結していることを特徴とする制振装置。
  3. 前記ダンパーは、履歴減衰特性を有する塑性変形部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の制振装置。
  4. 前記塑性変形部は、普通鋼又は低降伏点鋼の鋼材であることを特徴とする請求項記載の制振装置。
  5. 前記塑性変形部は、軸方向が前記変形方向に延在している管形状を有していることを特徴とする請求項又は記載の制振装置。
  6. 前記塑性変形部は、板幅方向が前記変形方向に延在している平板形状を有していることを特徴とする請求項又は記載の制振装置。
  7. 前記ダンパーは、前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位で発生する、互いに直交した2軸方向のエネルギーを自身の変形で吸収可能とし、
    前記変形量縮小機構は、前記2軸方向の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーの前記2軸方向の変形方向に伝達することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の制振装置。
  8. 前記第1構造体及び前記第2構造体の一方は、橋梁の柱部であり、他方が前記橋梁の上部工であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の制振装置。
  9. 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
    前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
    前記第2構造体は、前記第1構造体の上端に前記第1構造体を横切るようにして配置され、
    前記変形量縮小機構は、
    一端側が前記第2構造体に回動自在に連結された反力アームと、
    前記第1構造体と前記第2構造体との相対変位の方向において、一端側が前記第1構造体に回動自在に連結され、他端側が前記反力アームの他端側に回動自在に連結された連結部材と、を備え、
    前記ダンパーは、変形方向の一端側が前記第1構造体に回動自在に連結され、前記変形方向の他端側が前記反力アームの一端側と他端側との間に回動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。
  10. 前記ダンパーの他端側は、前記反力アームの一端側よりも他端側に偏って連結されていることを特徴とする請求項に記載の制振装置。
  11. 前記連結部材及び前記ダンパーの各々の一端側は、同一の回動軸を介して前記第1構造体に連結されていることを特徴とする請求項に記載の制振装置。
  12. 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
    前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
    前記第2構造体は、前記第1構造体の上端に前記第1構造体を横切るようにして配置され、
    前記変形量縮小機構は、一端側が前記第2構造体に回動自在に連結され、他端側が前記第1構造体に前記第2構造体から前記一端側よりも離れた位置で進退移動自在及び回動自在に連結された反力アームを備え、
    前記ダンパーは、変形方向の一端側が前記第2構造体に回動自在に連結され、前記変形方向の他端側が前記反力アームの一端側と他端側との間に進退移動自在及び回動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。
  13. 前記ダンパーの他端側は、前記反力アームの他端側よりも一端側に偏って連結されていることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  14. 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
    前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
    前記第2構造体は、前記第1構造体の上端に前記第1構造体を横切るようにして配置され、
    前記変形量縮小機構は、一端側が第1構造体に回動軸を介して回動自在に連結され、他端側が前記第2構造体に進退移動自在で回動自在に連結された反力アームを備え、
    前記ダンパーは、一端側が前記第1構造体に前記第2構造体から前記反力アームの他端側よりも離れた位置で回動軸を介して回動自在に連結され、前記他端側が前記反力アームの一端側に前記第1構造体から前記回動軸よりも離れた位置で回動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。
  15. 前記第1構造体は橋梁の柱部であり、前記第2構造体は前記橋梁の上部工であることを特徴とする請求項乃至請求項1の何れか1項に記載の制振装置。
  16. 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
    前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
    前記第1構造体及び前記第2構造体は、互いに隣り合うようにして配置され、
    前記変形量縮小機構は、
    一端側が前記第1構造体に回動自在に連結された第1反力アームと、
    一端側が前記第2構造体に回動自在に連結された第2反力アームと、
    前記第1構造体と前記第2構造体との相対変位の方向において、一端側が前記第1反力アームの他端側に回動自在に連結され、他端側が前記第2反力アームの他端側に回動自在に連結された連結部材と、を備え、
    前記ダンパーは、変形方向の一端側が前記第1反力アームの一端側と他端側との間に回動自在に連結され、前記変形方向の他端側が前記第2反力アームの一端側と他端側との間に回動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。
  17. 前記ダンパーの一端側は、前記第1反力アームの一端側よりも他端側に偏って連結され、前記ダンパーの他端側は、前記第2反力アームの一端側よりも他端側偏って連結されていることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  18. 前記第1構造体及び第2構造体は、橋梁の互いに隣り合う桁であることを特徴とする請求項1又は請求項1に記載の制振装置。
  19. 前記ダンパーは、履歴減衰特性を有する塑性変形部を備えていることを特徴とする請求項9乃至18の何れか1項に記載の制振装置。
  20. 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
    前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
    前記第2構造体は、前記第1構造体の上端に前記第1構造体を横切るようにして配置され、
    前記ダンパーは、
    一端部から他端部に亘って延伸する収容部が設けられた筒状の塑性変形部と、
    前記塑性変形部の前記一端部に前記収容部を覆うようにして固定され、かつ前記収容部の内外に亘って貫通する貫通孔が設けられた塑性変形伝達部材と、
    前記塑性変形部の前記他端部に前記収容部を覆うようにして固定され、かつ前記第1構造体に固定された変形部固定部材と、を備え、
    前記変形量縮小機構は、前記貫通孔を貫通して前記収容部の内外に亘って延伸し、一端側が前記収容部の中で前記第1構造体に回動自在に連結され、他端側が前記収容部の外で前記第2構造体に回動自在に連結された反力アームを備え、
    前記反力アームは、前記貫通孔において、前記塑性変形伝達部材に可動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。
  21. 前記反力アームは、前記他端側よりも前記一端側に偏った位置で前記塑性変形伝達部材に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の制振装置。
  22. 前記反力アームは、前記一端側及び他端側の少なくとも何れか一方が進退移動自在に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の制振装置。
  23. 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
    前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
    前記第2構造体は、前記第1構造体の上端に前記第1構造体を横切るようにして配置され、
    前記ダンパーは、
    一端部から他端部に亘って延伸する収容部が設けられた筒状の塑性変形部と、
    前記塑性変形部の前記一端部に前記収容部を覆うようにして固定され、かつ前記収容部の内外に亘って貫通する貫通孔が設けられた塑性変形伝達部材と、
    前記塑性変形部の前記他端部に前記収容部を覆うようにして固定され、かつ前記第2構造体に固定された変形部固定部材と、を備え、
    前記変形量縮小機構は、前記貫通孔を貫通し、一端側が前記収容部の中で前記第2構造体に回動自在に連結され、他端側が前記収容部の外で前記第1構造体に回動自在に連結された反力アームを備え、
    前記反力アームは、前記貫通孔において、前記は塑性変形伝達部材に可動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。
  24. 前記反力アームは、前記一端側及び他端側の少なくとも何れか一方が進退移動自在に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の制振装置。
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