JP6629568B2 - 制振装置 - Google Patents
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Description
これら特許文献1〜4の制振技術は、ダンパーとして鋼材の変形を利用することで、外力に対して確実に変形して吸収が安定的に確保できること、メンテナンスが容易なこと、調達が容易なこと、経済的であることなどの特長があり、最近では使用が増加している。
しかし、上述したダンパーとして鋼材の変形を利用する技術の場合、鋼材の軸方向伸縮、せん断変形、ねじり変形などの性質を利用しており、その変形能力が鋼材の材質、形状によって制約を受けている。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、変形量に制限があるダンパーを使用しても、ダンパーの変形量を自在に調整することができ、地震時の相対変位が大きい構造物に対して耐震性能を向上させることができる制振装置を提供することを目的としている。
また、本発明の一態様に係る制振装置は、変形量縮小機構が、第1構造体側の第1連結点と第2構造体の第2連結点とに回動自在に連結している反力アームを備え、ダンパーは、変形方向の一端側が第1構造体及び第2構造体の一方に回動自在に連結しているとともに、変形方向の他端側が、反力アームの第1連結点及び第2連結点の間の位置で回動自在に連結しているようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る制振装置は、塑性変形部が、普通鋼又は低降伏点鋼の鋼材であることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る制振装置は、塑性変形部が、軸方向が前記変形方向に延在している管形状を有していることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る制振装置は、ダンパーが、第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生する、互いに直交した2軸方向のエネルギーを自身の変形で吸収可能とし、変形量縮小機構は、2軸方向の相対変位量を縮小した変形量としてダンパーの2軸方向の変形方向に伝達することが好ましい。
さらに、本発明の一態様に係る制振装置は、第1構造体及び記第2構造体の一方が、橋梁の柱部であり、他方が橋梁の上部工であることが好ましい。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る橋梁1に配置した第1実施形態の制振装置2を示すものである。
橋梁1は、図1に示すように、地中(不図示)から立設している柱部3と、柱部3の上端に配置された上部工4とを備え、上部工4が温度や変形で伸縮する場合に、柱部3や上部工4に余分な応力が加わらないように、柱部3の上端と上部工4との間に、上部工4を長手方向(図1の左右方向)に移動可能とする可動支承5が設置されている。
第1実施形態の制振装置2は、柱部3及び上部工4の水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形で吸収して減衰していくダンパー6と、変形量縮小機構7と、を備えている。
変形量縮小機構7は、ダンパー6の塑性変形部6aの変形量(軸方向の伸縮量)を縮小させる機構であり、反力アーム10及び調整アーム11を備えている。
反力アーム10は、長手方向の一方の端部に一端側連結部10aが形成され、他方の端部に他端側連結部10bが形成されている。調整アーム11も、長手方向の一方の端部に一端側連結部11aが形成され、他方の端部に他端側連結部11bが形成された部材である。
調整アーム11は、柱部3に向けて水平方向に延在し、その他端側連結部11bが、柱部3の側面上部3aに固定した柱部側連結部14と、水平方向に延在する回動軸15(以下、柱部力点15と称する)を介して連結されている。
そして、反力アーム10の回動軸13(以下、上部工支点13と称する)と回動軸16との間の位置に、ダンパー6の他端側連結部6dを、水平方向に延在する回動軸17(以下、ダンパー作用点17と称する)を介して連結されている。
変形量縮小機構7の縮小率Aは、
A = L/Ld ……… (1)式
となる。
δ = d/A ……… (2)式
Fd = F×A ……… (3)式
図2(a)に示すように、上部工4が図中右方向に相対変位すると、反力アーム10が上部工支点13を支点として時計回りに回動するとともに、柱部力点15に、右方向を向く柱部反力+Fが作用する。
また、図2(b)に示すように、上部工4が図中左方向に相対変位すると、反力アーム10が上部工支点13を支点として反時計回りに回動し、柱部力点15に、左方向を向く柱部反力−Fが作用する。
このように、地震が発生した場合に、ダンパー6の塑性変形部6aが、ダンパー伸縮量δで軸方向の伸縮を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して上部工4の大きな変位量に対応して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
したがって、この第1実施形態の制振装置2は、変形量縮小機構7がダンパー6の伸縮量を、上部工4の大きな変位量に対応させることで(ダンパー伸縮量+δ,−δを得ることで)、伸縮量に制限があるダンパー6を使用して上部工4の大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
さらに、伸縮量に制限があるダンパー6は短尺な装置である。このような短尺なダンパー6と変形量縮小機構7(反力アーム10及び調整アーム11)とを備えた制振装置2は小型化が図られているので、柱部3の側面上部3a及び上部工4の下面4aの間の狭い空間に容易に配置することができる。
図3は、本発明に係る橋梁1に配置した第2実施形態の制振装置20を示すものである。なお、図1で示した橋梁1及び第1実施形態の制振装置2の構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の制振装置20は、上部工4の長手方向を制振する装置であり、柱部3及び上部工4の水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形で吸収して減衰していくダンパー21と、変形量縮小機構7と、を備えている。
変形部固定板23には、第1上部工側連結部27が固定されており、この第1上部工側連結部27に、水平方向に延在する回動軸28を介して連結アーム29が連結されている。
変形量縮小機構7を構成する反力アーム10の一端側連結部10aは、変形部固定板23に固定した第2上部工側連結部31に、水平方向に延在する回動軸13(上部工支点13)を介して連結されている。
そして、この第2実施形態の制振装置20は、図示しないが、上部工支点13及び柱部力点15の間の距離をLとし、上部工支点13及びダンパー作用点17の間の距離をLdとすると、変形量縮小機構7の縮小率Aは、A(=L/Ld)となる。
δ1 = d/A ……… (4)式
Fd1 = F×A ……… (5)式
図3に示すように、上部工4が図中右方向に相対変位すると、反力アーム10が上部工支点13を支点として時計回りに回動するとともに、柱部力点15に、右方向を向く柱部反力+Fが作用する。
これにより、ダンパー21のダンパー作用点17には左方向を向くダンパーせん断力−Fd1が作用し、ダンパー21の塑性変形部22にはダンパー変形量+δ1が生じる。
これにより、ダンパー21のダンパー作用点17には左方向を向くダンパーせん断力+Fd1が作用し、ダンパー21の塑性変形部22には、ダンパー変形量−δ1が発生する。
この第2実施形態の制振装置20も、変形量縮小機構7が上部工4の大きな変位に対応
したダンパー21の変形量を発生させることで(ダンパー変形量+δ1,−δ1を得ることで)、変形量に制限があるダンパー21を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
さらに、この第2実施形態のダンパー21も小型であり、このダンパー21と変形量縮小機構7(反力アーム10及び調整アーム11)とを備えた制振装置20は小型化が図られているので、柱部3の側面上部3a及び上部工4の下面4aの間の狭い空間に容易に配置することができる。
図4(a),(b)は、本発明に係る橋梁1に配置した第3実施形態の制振装置40を示すものである。また、図3で示した第2実施形態の制振装置20の構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
第3実施形態の制振装置40は、上部工4の長手方向を制振する装置であり、図4(a)に示すように、柱部3の側面上部3aから突出するブラケット41の上面41aに、塑性変形部22の厚さ方向が上部工4の長手方向に延在するように変形部固定板23が固定されているダンパー21と、変形量縮小機構42と、が設置されている。
変形量縮小機構42は、ダンパー21の塑性変形部22の変形量を縮小させる機構であり、反力アーム43及び調整アーム44を備えている。
上部工4の下面4aには、上部工側連結部45が固定されており、この上部工側連結部45に、調整アーム44の他端側連結部44bが水平方向に延在する回動軸46(以下、上部工力点46と称する)を介して連結されている。
反力アーム43は鉛直下方に延在しており、その下部の他端側連結部43bが、変形部固定板23に固定された第1ブラケット側連結部48に水平方向に延在する回動軸49(以下、柱部支点49)を介して連結されている。
そして、反力アーム43の回動軸47と柱部支点49との間の位置に、ダンパー21の一端側連結部25が、水平方向に延在する回動軸54(以下、ダンパー作用点54と称する)を介して連結されている。
そして、ダンパー21は、上部工4の変位量をdとし、上部工4から受ける反力をFとすると、下の(6)式に示すように、変形量がδ2だけ発生し(以下、ダンパー変形量δ2と称する)、下の(7)式に示すように、ダンパー21に外力(せん断力)Fd2が加わる(以下、ダンパーせん断力Fd2と称する)。
δ2 = d/A ……… (6)式
Fd2 = F×A ……… (7)式
図4(b)に示すように、上部工4が図中右方向に相対変位すると、反力アーム43が柱部支点49を支点として時計回りに回動するとともに、上部工力点46に、左方向を向く上部工反力−Fが作用する。
これにより、ダンパー21のダンパー作用点54には右方向を向くダンパー軸力+Fd2が作用し、ダンパー21の塑性変形部22には、ダンパー変形量+δ2が発生する。
これにより、ダンパー21のダンパー作用点54には左方向を向くダンパー軸力−Fd2が作用し、ダンパー21の塑性変形部22には、ダンパー変形量−δ2が発生する。
この第3実施形態の制振装置40も、変形量縮小機構42が上部工4の大きな変位に対応したダンパー21の変形量を縮小させることで(ダンパー変形量+δ2,−δ2を得ることで)、変形量に制限があるダンパー21を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
さらに、この第3実施形態のダンパー21も小型の装置であり、このダンパー21と変形量縮小機構42(反力アーム43及び調整アーム44)とを備えた制振装置40は小型化が図られているので、柱部3の側面上部3a及び上部工4の下面4aの間の狭い空間に容易に配置することができる。
図5に示すものは、第3実施形態の制振装置40の一部を変形した第4実施形態を示すものである。
第4実施形態の制振装置40は、調整アーム44を使用せず、反力アーム43のみで変形量縮小機構42を構成するとともに、反力アーム43の一端側連結部43aと、上部工4の下面4aに固定された上部工側連結部55とが連結されている。
また、反力アーム43の一端側連結部43aには、水平方向に延在する回動軸57が固定されており、この回動軸57が上部工側連結部55の支持孔56に挿通して連結されている。
、反力アーム43が柱部支点49を支点として時計回り、或いは反時計回りに回動するが、一端側連結部43aに固定されている回動軸57が、上部工側連結部55の支持孔56を長軸方向に移動するので、反力アーム43の回動がスムーズになる。
なお、上部工側連結部55に長孔形状の支持孔56を形成し、反力アーム43の一端側連結部43aに設けた回動軸57を、支持孔56に挿通したが、反力アーム43の一端側連結部43aに長孔形状の支持孔も設け、この支持孔に、上部工側連結部55に一体化した回動軸を挿通するようにしてもよい。
図6に示すものは、本発明に係る橋梁1に配置した第5実施形態の制振装置60を示すものである。なお、第1実施形態の制振装置2の構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
第5実施形態の制振装置60は、上部工4の長手方向を制振する装置であり、ダンパー6と、変形量縮小機構として機能する伸縮量縮小アーム(反力アーム)61と、を備えている。
このダンパー6の一端側連結部6cは、柱部3の側面に固定した第1柱部側連結部73と、水平方向に延在する回動軸74を介して連結されている。
伸縮量縮小アーム61の第1アーム側連結部64には回動軸69が固定されており、この回動軸69が水平方向に延在して上部工側連結部67の支持孔68に挿通している(以下、上部工力点69と称する)。
そして、伸縮量縮小アーム61の第2アーム側連結部65と、ダンパー6の他端側連結部6dとが、水平方向に延在する回動軸72(以下、ダンパー作用点72と称する)を介して連結されている。
そして、上部工4の変位量をdとし、上部工4から受ける反力をFとすると、ダンパー6は、柱部3及び上部工4が水平方向に相対変位する際に、下の(2)式に示すように、伸縮量がダンパー伸縮量δだけ発生し、下の(3)式に示すように、ダンパー6にダンパー軸力Fdが加わる。
δ = d/A ……… (2)式
Fd = F×A ……… (3)式
上部工4が図中右方向に相対変位すると、伸縮量縮小アーム61の長尺部62が柱部支点71を支点として時計回りに回動するとともに、上部工力点69に、右方向を向く柱部反力+Fが作用する。
これにより、ダンパー6のダンパー作用点72には、下方向を向くダンパー軸力−Fdが作用し、ダンパー6の塑性変形部6aにダンパー伸縮量+δが発生する。
これにより、ダンパー6のダンパー作用点72には、上方向を向くダンパー軸力+Fdが作用し、ダンパー6の塑性変形部6aにダンパー伸縮量−δが発生する。
したがって、この第5実施形態の制振装置60も、上部工4の大きな変位に対応した伸縮量縮小アーム61がダンパー6の伸縮量を発生することで(ダンパー伸縮量+δ,−δを得ることで)、伸縮量に制限があるダンパー6を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
さらに、第5実施形態の制振装置60は、柱部3にブラケットを設ける必要がなく、柱部3に沿って設置されているので、小さな設置スペースとすることができる。
図7にから図10に示すものは、本発明に係る橋梁1に配置した第6実施形態の制振装置80を示すものである。
第6実施形態の制振装置80は、上部工4の長手方向及び短尺方向の2軸方向を制振する装置であり、図7に示すように、柱部3の側面上部3aから突出するブラケット41の上面41aに、ダンパー81と、変形量縮小機構82とが設置されている。
ここで、一対の第1ブラケット側連結部90,90と一対の第1上部工側連結部94,94との間には第1反力アーム98が連結されており、第1反力アーム98の下部に上部工4の短尺方向に延在する第1下部回動軸99(以下、第1柱部支点99と称する)が遊挿されているとともに、第1反力アーム98の上部に遊挿されて上部工4の短尺方向に延在する第1上部回動軸100(以下、第1上部工力点100と称する)が、第1上部工側連結部94の支持孔94aに挿入されている。
また、変形量縮小機構82を構成する第2反力アーム101〜第4反力アーム107も、縮小率Aが、A(=L/Ld)となる。
δ3 = d/A ……… (8)式
Fd3 = F×A ……… (9)式
上部工4が長尺方向の右方向に相対変位すると、図9に示すように、第1反力アーム98及び第3反力アーム104が、第1柱部支点99及び第3柱部支点105を支点として時計回りに回動するとともに、第1上部工力点100及び第3上部工力点106に、長尺方向の左方向を向く上部工反力−Fが作用する。
また、図示しないが、上部工4が長尺方向の左方向に相対変位すると、第1反力アーム98及び第3反力アーム104が、第1柱部支点99及び第3柱部支点105を支点として反時計回りに回動するとともに、第1上部工力点100及び第3上部工力点106に、長尺方向の左方向を向く上部工反力+Fが作用し、ダンパー81の塑性変形部84には、ダンパー変形量−δ3が発生する。
これにより、ダンパー81の第2ダンパー作用点111及び第4ダンパー作用点113には右方向を向くダンパー軸力+Fd3が作用し、ダンパー21の塑性変形部84には、ダンパー変形量+δ3が発生する。
また、変形量縮小機構82を構成する第2反力アーム100〜第4反力アーム107も、縮小率Aが、A(=L/Ld)となる。
δ3 = d/A ……… (8)式
Fd3 = F×A ……… (9)式
また、第6実施形態の制振装置80は、変形量縮小機構82がダンパー81に対して、
上部工4の長手方向及び短尺方向の2軸方向の変形量を縮小させることで、変形量に制限があるダンパー81を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
図11は、本発明に係る第7実施形態の制振装置202を示す図である。
図11に示すように、本発明に係る第7実施形態の制振装置202は、上述した第1実施形態の制振装置2と同様に、橋梁1の上部工4の長手方向である1軸方向を制振する装置である。また、この制振装置202は、第1実施形態の制振装置2と同様に、柱部3と上部工4との水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形による吸収で減衰するダンパー206と、柱部3と上部工4との相対変位量を縮小した変形量としてダンパー206に伝達する変形量縮小機構207とを備えている。
柱部3の側面上部3aには柱部側連結部203が設けられ、上部工4の下面4aには上部工側連結部204が設けられている。この柱部側連結部203、上部工側連結部204、ダンパー206及び変形量縮小機構207の各々は、柱部3及び上部工4で仕切られた同一の空間内に配置されている。
ダンパー206は、上述のダンパー6と同様に、履歴減衰特性(塑性変形に伴うエネルギー減衰特性)を有する普通鋼又は低降伏点鋼の鋼管からなる塑性変形部206aと、塑性変形部206aが変形した場合に、塑性変形部206aの外周面に内周面が接触するように塑性変形部206aを内挿する円筒状の補剛管206bとを備えている。また、ダンパー206は、塑性変形部206aの変形方向の一端側に設けられた一端側連結部206cと、塑性変形部206aの変形方向の他端側に設けられた他端側連結部206dとを備えている。一端側連結部206c及び他端側連結部206dは、塑性変形部206aの長手方向において互いに反対側に位置している。
連結部材212及びダンパー206の各々の一端側連結部212a,206cは、図11に示す連結構造に限定されないが、上述したように例えばそれぞれ個別の回動軸214a,215aを介して柱部3の柱部側連結部203に回動自在に連結されている。
ダンパー伸縮量δ4=d4×Ld4/L4 …… (11)式
ダンパー反力Fd4=F4×L4/Ld4 …… (12)式
図12(a)に示すように、柱部3に対して上部工4が図中右方向に相対変位すると、反力アーム210が回動軸(上部工側支点)213を支点として時計回りに回動する。そして、この反力アーム210の回動により、柱部3の柱部側連結部203及び上部工4の上部工側連結部204の各々に、互いに近づく方向側を向く反力F4(+F4)が作用するとともに、回動軸(柱部側力点)214a及び回動軸(反力アーム側力点)214bの各々に、連結部材212を圧縮する方向の反力(Fd4−(+F4))が作用する。
また、図12(b)に示すように、柱部3に対して上部工4が図中左方向に相対変位すると、反力アーム210が回動軸(上部工側支点)213を支点として反時計回りに回動する。そして、この反力アーム210の回動により、柱部3の柱部側連結部203及び上部工4の上部工側連結部204の各々に互いに離間する方向側を向く反力F4(−F4)が作用するとともに、回動軸(柱部側力点)214a及び回動軸(反力アーム側力点)214bの各々に連結部材212を引っ張る方向の反力(Fd−(−F))が作用する。
以上のように、地震が発生した場合に、ダンパー206の塑性変形部206aが、ダンパー伸縮量δ4で軸方向の伸縮を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
図13は、上述した第7実施形態の制振装置202の変形例を示す図である。
上述の第7実施形態では、図11に示すように、連結部材212及びダンパー206の各々の一端側連結部212a,206cが、それぞれ個別の回動軸214a,215aを介して柱部3の柱部側連結部203に回動自在に連結された場合について説明した。しかしながら、本発明はこの構造に限定されるものではなく、図13に示すように、連結部材212の一端側連結部212aとダンパー206の一端側連結部206cとが柱部3の柱部側連結部203に同一の回動軸216を介して回動自在に連結された構造にしてもよい。ただし、この場合は、連結部材212の一端側連結部212aとダンパー206の一端側連結部206cとが回動軸216の軸方向に並列して配置されるため、連結部材212及びダンパー206の各々の他端側連結部212b,206dの位置も一端側と同様に並列して配置する必要がある。
図14は、本発明に係る第8実施形態の制振装置302を示す図である。上述の第7実施形態では、図11に示すように、橋梁1の柱部3と上部工4との水平方向の相対変位で発生したエネルギーをダンパー206の変形による吸収で減衰する制振装置202について説明した。これに対し、第8実施形態では、図14に示すように、橋梁301の互いに隣り合う桁303,304の水平方向の相対変位で発生したエネルギーをダンパー206の変形による吸収で減衰する制振装置302について説明する。
ダンパー206は、第7実施形態で説明したダンパー206と同様の構造になっているが、図14に示すように連結状態が異なっている。すなわち、ダンパー206は、互いに隣り合う一方の桁303と他方の桁304との相対変位の方向において、一端側が第1反力アーム310の他端側に回動自在に連結され、他端側が第2反力アーム311の他端側に回動自在に連結されている。具体的には、ダンパー206は、塑性変形部206aの変形方向の一端側に設けられた一端側連結部206cが、第1反力アーム310の一端側連結部310aと他端側連結部310bとの間の部分に回動軸315aを介して回動自在に連結されている。また、ダンパー206は、塑性変形部206aの変形方向の他端側に設けられた他端側連結部206dが、第2反力アーム311の一端側連結部311aと他端側連結部311bとの間の部分に回動軸315bを介して回動自在に連結されている。この回動軸315a及び回動軸315bにおいても、一方の桁303と他方の桁304との相対変位方向、及び第1及び第2反力アーム310,311の各々が延伸する方向に対して直行する方向に延伸している。ダンパー206は、連結部材312と同様に、柱部3と上部工4との相対変位の方向に沿うようにして延伸している。
変形量縮小機構307は、一方の桁303と他方の桁304との相対変位が生じる前の設置状態では、連結部材312及びダンパー206の各々の一端側の回動軸314a,315a及び第1反力アーム310の一端側の回動軸313aが鉛直方向に伸びる基準線Rp1上に位置し、連結部材312及びダンパー206の各々の他端側の回動軸314b,315b及び第2反力アーム311の一端側の回動軸313bが鉛直方向に伸びる基準線Rp2上に位置している。
ダンパー伸縮量δ5=d5×Ld5/L5 …… (13)式
ダンパー反力Fd5=F5×L5/Ld5 …… (14)式
図15(a)に示すように、一方の桁303が図中左方向、他方の桁304が図中右方向にそれぞれ相対変位(互いに離れる方向に相対変位)すると、第1反力アーム310が回動軸(第1桁側支点)313aを支点として反時計回り、第2反力アーム311が回動軸(第2桁側支点)313bを支点として時計回りにそれぞれ回動する。そして、これらの回動により、一方の桁303側の回動軸(第1桁側支点)313a及び他方の桁304側の回動軸(第2桁側支点)313bの各々に互いに近づく方向を向く反力F5(+F5)が作用するとともに、回動軸(第1桁側力点)314a及び回動軸(第2桁側力点)314bの各々に連結部材312を軸方向(長手方向)に圧縮する方向の反力(Fd5−(+F5))が作用する。
また、図15(b)に示すように、一方の桁303が図中右方向、他方の桁304が図中左方向にそれぞれ相対変位(互いに近づく方向に相対変位)すると、第1反力アーム310が回動軸(第1桁側支点)313aを支点として時計回り、第2反力アーム311が回動軸(第2桁側支点)313bを支点として反時計回りにそれぞれ回動する。そして、これらの回動により、一方の桁303側の回動軸(第1桁側支点)313a及び他方の桁304側の回動軸(第2桁側支点)313bの各々に互いに離間する方向を向く反力F5(−F5)が作用するとともに、回動軸(第1桁側力点)314a及び回動軸(第2桁側力点)314bの各々に連結部材312を軸方向(長手方向)に圧縮する方向の反力(Fd5−(−F5))が作用する。
以上のように、地震が発生した場合に、ダンパー206の塑性変形部206aが、ダンパー伸縮量δ5で軸方向の伸縮を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
図16は、本発明に係る第9実施形態の制振装置402を示す図である。
図16に示すように、本発明に係る第9実施形態の制振装置402は、上述した第1実施形態の制振装置2と同様に、橋梁1の上部工4の長手方向である1軸方向を制振する装置である。また、この制振装置402は、第1実施形態の制振装置2と同様に、柱部3と上部工4との水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形による吸収で減衰するダンパー406と、柱部3と上部工4との相対変位量を縮小した変形量としてダンパー406に伝達する変形量縮小機構407とを備えている。
柱部3の側面上部3aには柱部側連結部403が設けられ、上部工4の下面4aには上部工側連結部404が設けられている。この柱部側連結部403及び上部工側連結部404、ダンパー406及び変形量縮小機構407の各々は、柱部3及び上部工4で仕切られた同一の空間内に配置されている。
反力アーム410は、反力アーム410の長手方向において互いに反対側に位置する一端側及び他端側のうち、一端側に一端側連結部410a、他端側に他端側連結部410bをそれぞれ有している。反力アーム410の一端側連結部410aは、上部工4の上部工側連結部404に回動軸413を介して回動自在に連結されている。反力アーム410の他端側連結部410bは、柱部3の柱部側連結部403に進退移動自在及び回動自在に連結されている。
2つの支持部材422a,422bの各々は、反力アーム410の他端側連結部410bが進退移動及び回動し易いように、例えば円筒形状で構成されている。この2つの支持部材422a,422b及び回動軸413の各々は、水平方向に延伸している。換言すれば、2つの支持部材422a,422b及び回動軸413の各々は、柱部3と上部工4との相対変位方向、及び柱部3の立設方向に対して直行する方向に延伸している。
ここで、回動軸(上部工側支点)413と支持部材422a及び422bとの間の距離をL6とし、回動軸413と回動軸(ダンパー作用点)415bとの間の距離をLd6とする。そして、上部工4の相対水平変位量をd6(+d6,−d6)とし、柱部3の柱部側連結部(柱部側力点)403及び上部工4側の回動軸413の各々に作用する反力をF6(+F6,−F6)とすると、ダンパー406には、下記の(15)式に示すダンパー伸縮量δ6(+δ6,−δ6)が発生する。また、回動軸413まわりのモーメントつり合い(Fd6×Ld6=F6×L6)を考えると、ダンパー406には、下記の(16)式に示すダンパー反力Fd6(圧縮力(+Fd6)又は引張力(−Fd6))が付加される。
ダンパー伸縮量δ6=d6×Ld6/L6 …… (15)式
ダンパー反力Fd6=F6×L6/Ld6 …… (16)式
柱部3に対して上部工4が図16中右方向に相対変位すると、反力アーム410が回動軸413を支点にして時計回りに回動するとともに、図示していないが、柱部3の柱部側連結部403及び回動軸413の各々互いに近づく方向側を向く反力(+F6)が作用する。
また、柱部3に対して上部工4が図16中左方向に相対変位すると、反力アーム410が回動軸413を支点にして反時計回りに回動するとともに、図示していないが、柱部3の柱部側連結部403及び回動軸413の各々に互いに離れる方向側を向く反力(−F6)が作用する。
以上のように、地震が発生した場合に、ダンパー406の塑性変形部206aが、ダンパー伸縮量δ6で軸方向の伸縮を繰り返し発生して履歴減衰特性を発揮するので、地震力に対して大きなエネルギー減衰効果が得られる。
ここで、変形量縮小機構407は、柱部3に対して上部工4が図16の左右方向に相対変位すると、反力アーム410が回動軸413を支点にして時計回り、或いは反時計回りに回動する。このとき、反力アーム410に設けられた支持孔432が移動し、支持孔432内を回動軸415bが支持孔432に対してダンパー406の長手方向に相対変位するので、反力アーム410の回動をスムーズに行うことができる。
したがって、支持孔432と回動軸415bとの相対変位で支持孔432の端部と回動軸とが当たるときの衝撃を緩和することができる。
(変 形 例)
図20は上述した第9実施形態の制振装置の変形例を示す図であり、図21は柱部側連結部の構造を示す要部平面図である。
図22は、本発明に係る第10実施形態の制振装置502を示す図である。
図22に示すように、本発明に係る第10実施形態の制振装置502は、上述した第1実施形態の制振装置2と同様に、橋梁1の上部工4の長手方向である1軸方向を制振する装置である。また、この制振装置502は、第1実施形態の制振装置2と同様に、柱部3と上部工4との水平方向の相対変位で発生したエネルギー(外力)を自身の変形による吸収で減衰するダンパー206と、柱部3と上部工4との相対変位量を縮小した変形量としてダンパー206に伝達する変形量縮小機構507とを備えている。
柱部3の側面上部3aには、柱部3の立設方向において互いに離間する第1柱部側連結部503a及び第2柱部側連結部503bが設けられている。また、上部工4の下面4aには上部工側連結部504が設けられている。この第1柱部側連結部503a、第2柱部側連結部503b及び上部工側連結部504、ダンパー206及び変形量縮小機構507の各々は、柱部3及び上部工4で仕切られた同一の空間内に配置されている。
反力アーム510は、反力アーム510の長手方向において互いに反対側に位置する一端側及び他端側のうち、一端側に一端側連結部510a、他端側に他端側連結部510bをそれぞれ有している。反力アーム510の一端側連結部510aは、柱部3の第1柱部側連結部503aに回動軸514を介して回動自在に連結されている。反力アーム510の他端側連結部510bは、上部工4の上部工側連結部504に進退移動自在及び回動自在に連結されている。
2つの支持部材522a,522bの各々は、反力アーム510の一端側連結部510aが進退移動及び回動し易いように、例えば円筒形状で構成されている。この2つの支持部材522a,522b及び回動軸513の各々は、水平方向に延伸している。換言すれば、2つの支持部材522a,522b及び回動軸513の各々は、柱部3と上部工4との相対移動方向、及び柱部3の立設方向に対して直行する方向に延伸している。
ダンパー伸縮量δ7=d7×Ld7/L7 …… (17)式
ダンパー反力Fd7=F7×L7/Ld7 …… (18)式
柱部3に対して上部工4が図23中右方向に相対変位すると、反力アーム510が回動軸(柱部側支点)514を支点にして時計回りに回動するとともに、図示していないが、柱部3の第1柱部側連結部503a及び上部工4の上部工側連結部(上部工側力点)504の各々に互いに近づく方向側を向く反力F7(+F7)が作用する。これにより、ダンパー206の他端側連結部206d側の回動軸(ダンパー作用点)515b及び一端側連結部206c側の回動軸515aの各々には、ダンパー206の両端側から中央部に向かって圧縮する方向のダンパー反力(+Fd7)が作用し、ダンパー206の塑性変形部206aには圧縮応力Fd7(+Fd7)及びダンパー伸縮量(+δ7)が生じる。
したがって、この第10実施形態の制振装置502においても、変形量縮小機構507が上部工4の大きな変位に対応したダンパー206の変形量を発生させることで(ダンパー伸縮量+δ,−δを得ることで)、変形量に制限があるダンパー206を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
さらに、この第2実施形態のダンパー406においても小型であり、このダンパー406と変形量縮小機構307とを備えた制振装置202は小型化が図られているので、柱部3の側面上部3a及び上部工4の下面4aで仕切られた狭い空間内に容易に配置することができる。
本発明に係る第11実施形態の制振装置602について、図24乃至図32を用いて説明する。この第11実施形態では、上部工の長手方向及び短尺方向を、同一平面内において互いに直交するX方向及びY方向として定義している。また、この第11実施形態では、柱部のブラケットと上部工との間にダンパーを設置した場合について説明する。
ダンパー606は、図25及び図26に示すように、互いに反対側に位置する一端部から他端部に亘って延伸する収容部622が設けられた筒状の塑性変形部621を備えている。また、ダンパー606は、塑性変形部621の一端部に収容部622を覆うようにして固定され、かつ収容部622の内外に亘って貫通する貫通孔624が設けられた塑性変形伝達部材623を備えている。また、ダンパー606は、互いに反対側に位置する第1面部625x及び第2面部625yを有し、第1面部625xが塑性変形部621の他端部に収容部622を覆うようにして固定された変形部固定部材625を備えている。この第11実施形態では、変形部固定部材625の第2面部625yがブラケット608の上面部608aに固定されている。
図25及び図26に示すように、反力アーム610は、貫通孔624において、塑性変形伝達部材623に可動自在に連結されている。反力アーム610は、反力アーム610の他端側連結部613よりも一端側連結部611側に偏った位置で塑性変形伝達部材623に連結されている。
図28に示すように、塑性変形伝達部材623の貫通孔624内の壁面部623Aは、貫通孔624の延伸方向(塑性変形伝達部材623の厚さ方向)において、中央部623A1が上縁部623A2及び下縁部623A3よりも貫通孔624の延伸方向の中心軸側に突出する湾曲形状になっている。この壁面部623Aは、反力アーム610が塑性変形伝達部材623に対して所定の角度で360度旋回可能となり、かつ反力アーム610の中間部分が塑性変形伝達部材623に対して反力アーム610の長手方向に進退移動可能となるように、反力アーム610の中間部分を中央部623A1で摺動自在に支持している。
ここで、反力アーム610の一端側連結部611と他端側連結部613と間の距離をL8とし、反力アーム610の一端側連結部611とダンパー606の塑性変形伝達部材623との間の距離をLd8とする。そして、柱部3に対する上部工4の水平方向の相対水平変位量をd8(+d8,−d8)とし、柱部603(ブラケット608)側の支持用第1連結部641及び上部工604側の支持用第2連結部643の各々に作用する反力をF8(+F8,−F8)とすると、柱部603と上部工604とが水平方向に相対変位する際に、ダンパー606には、下記の(19)式に示すダンパー変形量δ8(+δ8,−δ8)が発生する。また、一端側連結部611まわりのモーメントのつり合い(Fd8×Ld8=F8×L8)を考えると、ダンパー606には、下記の(20)式に示すダンパーせん断力Fd8(+Fd8,−Fd8)が付加される。
ダンパーせん断力Fd8=F8×L8/Ld8 …… (20)
次に、第11実施形態の制振装置602において、地震が発生した際の制振挙動について、図29乃至図32を用いて説明する。
先ず、2軸方向のうち、上部工604の長手方向(X方向)の制振挙動について説明する。なお、上部工604の長手方向及び短尺方向(Y方向)の各々において、互いに反対側を向く2つの方位のうち、一方を第1方位と呼び、他方を第2方位と呼ぶ。
図31に示すように、柱部603に対して上部工604が上部工604の短尺方向の第1方位側(図中右方向)に相対変位すると、反力アーム610が反力アーム610の一端側連結部611を支点にして時計回りに回動する。そして、この反力アーム610の回動により、柱部603(ブラケット608)側の支持用第1連結部641及び上部工604側の支持用第2連結部643の各々に、上部工604の長手方向の第2方位側(図中左方向側)を向く、換言すれば上部工604の移動方向(図中右方向)とは逆の方向(図中左方向)を向く反力(−F8)が作用する。
したがって、この第11実施形態の制振装置602においても、変形量縮小機構607が上部工604の大きな変位に対応したダンパー606の変形量を発生させることで(ダンパー変形量+δ8,−δ8を得ることで)、変形量に制限があるダンパー606を使用して大きな相対変位によるエネルギーを減衰することができ、構造物の耐震性能を大幅に向上させることができる。
さらに、この第11実施形態のダンパー606においても小型であり、このダンパー606と変形量縮小機構307とを備えた制振装置602は小型化が図られているので、柱部603、上部工604及びブラケット608で仕切られた狭い空間内に容易に配置することができる。
また、第11実施形態では、支持用第1連結部641をブラケット608側に設け、支持用第2連結部643を上部工側に設けた場合について説明したが、支持用第1連結部641を上部工604側に設け、支持用第2連結部643を柱部603(ブラケット608)側に設けるようにしてもよい。即ち、反力アーム610は、一端側及び他端側の各々が回動自在に連結され、かつ一端側及び他端側の少なくとも何れか一方が進退移動自在に連結されていればよい。
図33は、第11実施形態の制振装置602の変形例を示す図である。
上述の第11実施形態では、図24に示すように、柱部603のブラケット608と上部工604との間にダンパー606を配置した場合について説明した。しかしながら、本発明は図24に示すダンパー606の設置に限定されるものではなく、図33に示すように、柱部603の上端603bと上部工604の下面部604aとの間の間隔が十分に広い場合には、ダンパー606を柱部603の上端603bと上部工604の下面部604aとの間に設置した構成としてもよい。この場合、ダンパー606は、変形部固定部材625の第2面部625yが柱部603の上端603bに固定されている。
本発明に係る第12実施形態の制振装置702について、図34乃至図36を用いて説明する。この第12実施形態でも、上部工の長手方向及び短尺方向を、同一平面内において互いに直交するX方向及びY方向として定義している。
本発明に係る第12実施形態の制振装置702は、第11実施形態の制振装置602と実質的に同様の構成になっているが、ダンパー706の設置場所が異なっている。
ダンパー606は、収容部622内において、変形部固定部材625の第1面部625xに固定され、かつ一端側連結部611の凸状球面部612を摺動自在に支持する凹状球面部642が設けられた支持用第1連結部641を更に備えている。また、柱部603は、他端側連結部613の凸状球面部614を摺動自在に支持する円筒状内周面部644が設けられた支持用第2連結部643を更に備えている。この支持用第2連結部643は、支持用第1連結部641と対向するようにしてブラケット608の上面部608aに連結部固定板609を介して固定されている。
支持用第1連結部641、支持用第2連結部643、ダンパー606及び変形量縮小機構607の各々は、柱部603、上部工604及びブラケット608で仕切られた同一の空間内に配置されている。
図35及び図36に示すように、変形量縮小機構607は、柱部603と上部工604との相対変位が生じる前の設置状態では、反力アーム610の一端側連結部及び他端側連結部の各々が、鉛直方向に伸びる基準線Rp上に位置している。
なお、第12実施形態では、支持用第1連結部641を上部工604側に設け、支持用第2連結部643を柱部603(ブラケット608)側に設けた場合について説明したが、支持用第1連結部641を柱部603(ブラケット608)側に設け、支持用第2連結部643を上部工604側に設けるようにしてもよい。即ち、反力アーム610は、一端側及び他端側の各々が回動自在に連結され、かつ一端側及び他端側の少なくとも何れか一方が進退移動自在に連結されていればよい。
以上、本発明を上記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
2…制振装置
3…柱部
3a…側面上部
4…上部工
4a…下面
5…可動支承
6…ダンパー
6a…塑性変形部
6b…補剛管
6c…一端側連結部
6d…他端側連結部
7…変形量縮小機構
8…第1上部工側連結部
9…回動軸
10…反力アーム
10a…一端側連結部
10b…他端側連結部
11…調整アーム
11a…一端側連結部
11b…他端側連結部
12…第2上部工側連結部
13…回動軸(上部工支点)
14…柱部側連結部
15…回動軸(柱部力点)
16…回動軸
17…回動軸(ダンパー作用点)
20…制振装置、
21…ダンパー
22…塑性変形部
23…変形部固定板
24…外力伝達部
25…一端側連結部
26…他端側連結部
27…第1上部工側連結部
28…回動軸
29…連結アーム
30…回動軸
31…第2上部工側連結部
40…制振装置
41…ブラケット
41a…上面
42…変形量縮小機構
43…反力アーム
43a…一端側連結部
43b…他端側連結部
44…調整アーム
44a…一端側連結部
44b…他端側連結部
45…上部工側連結部
46…上部工力点
47…回動軸
48…第1ブラケット側連結部
49…柱部支点
50…第2ブラケット側連結部
51…回動軸
52…連結アーム
53…回動軸
54…ダンパー作用点
55…上部工側連結部
56…長孔形状の支持孔
57…回動軸
60…制振装置
61…伸縮量縮小アーム
62…長尺部
63…短尺部
64…第1アーム連結部
65…第2アーム側連結部
66…第3アーム側連結部
67…上部工側連結部
68…支持孔
69…上部工力点
70…第2柱部側連結部
71…柱部支点
72…ダンパー作用点
73…第1柱部側連結部
74…回動軸
80…制振装置
81…ダンパー
82…変形量縮小機構
83…変形部固定板
84…塑性変形部
85…塑性変形伝達部材
86〜89…第1変形側連結部〜第4変形側連結部
90〜93…第1ブラケット側連結部〜第4ブラケット側連結部
94〜97…第1上部工側連結部〜第4上部工側連結部
94a〜97a…長孔形状の支持孔
98…第1反力アーム
99…第1柱部支点
100…第1上部工力点
101…第2反力アーム
102…第2柱部支点
103…第2上部工力点
104…第3反力アーム
105…第3柱部支点
106…第3上部工力点
107…第4反力アーム
108…第4柱部支点
109…第4上部工力点
110…第1ダンパー作用点
111…第2ダンパー作用点
112…第3ダンパー作用点
113…第4ダンパー作用点
202…制振装置
203…柱部側連結部
204…上部工側連結部
206…ダンパー、206a…塑性変形部、206b…補剛板
206c…一端側連結部、206d…他端側連結部
207…変形量縮小機構
210…反力アーム、210a…一端側連結部、210b…他端側連結部
212…連結部材、212a…一端側連結部、212b…他端側連結部
213…回動軸(上部工側支点)
214a…回動軸(柱部側力点)、214b…回動軸(反力アーム側力点)
215a…回動軸(柱部側作用点)、215b…回動軸(反力アーム側作用点)
301…橋梁
302…制振装置
303,304…桁
303a,304a…側面
307…変形量縮小機構
310…第1反力アーム、310a…一端側連結部、310b…他端側連結部
311…第2反力アーム、311a…一端側連結部、311b…他端側連結部
312…連結部材、312a…一端側連結部、312b…他端側連結部
313a,313b…回動軸
314a,314b…回動軸
315a,315b…回動軸
323,324…ブラケット
325,326…桁側連結部
402…制振装置
403…柱部側連結部
404…上部工側連結部
407…変形量縮小機構
410…反力アーム、410a…一端側連結部、410b…他端側連結部
413…回動軸
415a,415b…回動軸
421a,421b…支持板
422a,422b…支持部材
423…挿入孔
502…制振装置
503a…第1柱部側連結部、503b…第2柱部側連結部
504…上部工側連結部
507…変形量縮小機構
510…反力アーム、510a…一端側連結部、510b…他端側連結部
514…回動軸
515a,515b…回動軸
521a,521b…支持板
522a,422b…支持部材
523…挿入孔
601…橋梁
602…制振装置
603…柱部、603a…側面部、603b…上端
604…上部工、604a…下面部
605…可動支承
606…ダンパー
607…変形量縮小機構
608…ブラケット
609…連結部固定板
610…反力アーム
611…一端側連結部、
612…凸状球面部
613…他端側連結部
614…凸状球面部
621…塑性変形部
622…収容部
623…塑性変形伝達部材
624…貫通孔
625…変形部固定部材、625x…第1面部、625y…第2面部
641…支持用第1連結部
642…凹状球面部
643…支持用第2連結部
644…円筒状内周面部
A 縮小率
δ ダンパー伸縮量
δ1,δ2,δ3 ダンパー変形量
Fd ダンパー軸力
Fd1,Fd2,Fd3 ダンパーせん断力
Claims (24)
- 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
前記変形量縮小機構は、前記第1構造体側の第1連結点と前記第2構造体の第2連結点とに回動自在に連結している反力アームを備え、
前記ダンパーは、変形方向の一端側が前記第1構造体及び前記第2構造体の一方に回動自在に連結しているとともに、前記変形方向の他端側が、前記反力アームの前記第1連結点及び前記第2連結点の間の位置で回動自在に連結していることを特徴とする制振装置。 - 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
前記変形量縮小機構は、長尺部及び短尺部を有するL字状の反力アームを備え、前記長尺部の先端が、前記第1構造体及び前記第2構造体の一方に回動自在に連結し、前記長尺部及び前記短尺部の交叉部が、前記第1構造体及び前記第2構造体の他方に回動自在に連結し、
前記ダンパーは、変形方向の一端側が前記第1構造体及び前記第2構造体の一方に回動自在に連結しているとともに、前記変形方向の他端側が、前記反力アームの前記短尺部の先端に回動自在に連結していることを特徴とする制振装置。 - 前記ダンパーは、履歴減衰特性を有する塑性変形部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の制振装置。
- 前記塑性変形部は、普通鋼又は低降伏点鋼の鋼材であることを特徴とする請求項3記載の制振装置。
- 前記塑性変形部は、軸方向が前記変形方向に延在している管形状を有していることを特徴とする請求項3又は4記載の制振装置。
- 前記塑性変形部は、板幅方向が前記変形方向に延在している平板形状を有していることを特徴とする請求項3又は4記載の制振装置。
- 前記ダンパーは、前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位で発生する、互いに直交した2軸方向のエネルギーを自身の変形で吸収可能とし、
前記変形量縮小機構は、前記2軸方向の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーの前記2軸方向の変形方向に伝達することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の制振装置。 - 前記第1構造体及び前記第2構造体の一方は、橋梁の柱部であり、他方が前記橋梁の上部工であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の制振装置。
- 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
前記第2構造体は、前記第1構造体の上端に前記第1構造体を横切るようにして配置され、
前記変形量縮小機構は、
一端側が前記第2構造体に回動自在に連結された反力アームと、
前記第1構造体と前記第2構造体との相対変位の方向において、一端側が前記第1構造体に回動自在に連結され、他端側が前記反力アームの他端側に回動自在に連結された連結部材と、を備え、
前記ダンパーは、変形方向の一端側が前記第1構造体に回動自在に連結され、前記変形方向の他端側が前記反力アームの一端側と他端側との間に回動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。 - 前記ダンパーの他端側は、前記反力アームの一端側よりも他端側に偏って連結されていることを特徴とする請求項9に記載の制振装置。
- 前記連結部材及び前記ダンパーの各々の一端側は、同一の回動軸を介して前記第1構造体に連結されていることを特徴とする請求項9に記載の制振装置。
- 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
前記第2構造体は、前記第1構造体の上端に前記第1構造体を横切るようにして配置され、
前記変形量縮小機構は、一端側が前記第2構造体に回動自在に連結され、他端側が前記第1構造体に前記第2構造体から前記一端側よりも離れた位置で進退移動自在及び回動自在に連結された反力アームを備え、
前記ダンパーは、変形方向の一端側が前記第2構造体に回動自在に連結され、前記変形方向の他端側が前記反力アームの一端側と他端側との間に進退移動自在及び回動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。 - 前記ダンパーの他端側は、前記反力アームの他端側よりも一端側に偏って連結されていることを特徴とする請求項12に記載の制振装置。
- 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
前記第2構造体は、前記第1構造体の上端に前記第1構造体を横切るようにして配置され、
前記変形量縮小機構は、一端側が第1構造体に回動軸を介して回動自在に連結され、他端側が前記第2構造体に進退移動自在で回動自在に連結された反力アームを備え、
前記ダンパーは、一端側が前記第1構造体に前記第2構造体から前記反力アームの他端側よりも離れた位置で回動軸を介して回動自在に連結され、前記他端側が前記反力アームの一端側に前記第1構造体から前記回動軸よりも離れた位置で回動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。 - 前記第1構造体は橋梁の柱部であり、前記第2構造体は前記橋梁の上部工であることを特徴とする請求項9乃至請求項14の何れか1項に記載の制振装置。
- 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
前記第1構造体及び前記第2構造体は、互いに隣り合うようにして配置され、
前記変形量縮小機構は、
一端側が前記第1構造体に回動自在に連結された第1反力アームと、
一端側が前記第2構造体に回動自在に連結された第2反力アームと、
前記第1構造体と前記第2構造体との相対変位の方向において、一端側が前記第1反力アームの他端側に回動自在に連結され、他端側が前記第2反力アームの他端側に回動自在に連結された連結部材と、を備え、
前記ダンパーは、変形方向の一端側が前記第1反力アームの一端側と他端側との間に回動自在に連結され、前記変形方向の他端側が前記第2反力アームの一端側と他端側との間に回動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。 - 前記ダンパーの一端側は、前記第1反力アームの一端側よりも他端側に偏って連結され、前記ダンパーの他端側は、前記第2反力アームの一端側よりも他端側偏って連結されていることを特徴とする請求項16に記載の制振装置。
- 前記第1構造体及び第2構造体は、橋梁の互いに隣り合う桁であることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の制振装置。
- 前記ダンパーは、履歴減衰特性を有する塑性変形部を備えていることを特徴とする請求項9乃至18の何れか1項に記載の制振装置。
- 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
前記第2構造体は、前記第1構造体の上端に前記第1構造体を横切るようにして配置され、
前記ダンパーは、
一端部から他端部に亘って延伸する収容部が設けられた筒状の塑性変形部と、
前記塑性変形部の前記一端部に前記収容部を覆うようにして固定され、かつ前記収容部の内外に亘って貫通する貫通孔が設けられた塑性変形伝達部材と、
前記塑性変形部の前記他端部に前記収容部を覆うようにして固定され、かつ前記第1構造体に固定された変形部固定部材と、を備え、
前記変形量縮小機構は、前記貫通孔を貫通して前記収容部の内外に亘って延伸し、一端側が前記収容部の中で前記第1構造体に回動自在に連結され、他端側が前記収容部の外で前記第2構造体に回動自在に連結された反力アームを備え、
前記反力アームは、前記貫通孔において、前記塑性変形伝達部材に可動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。 - 前記反力アームは、前記他端側よりも前記一端側に偏った位置で前記塑性変形伝達部材に連結されていることを特徴とする請求項20に記載の制振装置。
- 前記反力アームは、前記一端側及び他端側の少なくとも何れか一方が進退移動自在に連結されていることを特徴とする請求項20に記載の制振装置。
- 第1構造体及び第2構造体の間の相対変位で発生したエネルギーを自身の変形で吸収するダンパーと、
前記第1構造体及び前記第2構造体の間の相対変位量を縮小した変形量として前記ダンパーに伝達する変形量縮小機構と、を備え、
前記第2構造体は、前記第1構造体の上端に前記第1構造体を横切るようにして配置され、
前記ダンパーは、
一端部から他端部に亘って延伸する収容部が設けられた筒状の塑性変形部と、
前記塑性変形部の前記一端部に前記収容部を覆うようにして固定され、かつ前記収容部の内外に亘って貫通する貫通孔が設けられた塑性変形伝達部材と、
前記塑性変形部の前記他端部に前記収容部を覆うようにして固定され、かつ前記第2構造体に固定された変形部固定部材と、を備え、
前記変形量縮小機構は、前記貫通孔を貫通し、一端側が前記収容部の中で前記第2構造体に回動自在に連結され、他端側が前記収容部の外で前記第1構造体に回動自在に連結された反力アームを備え、
前記反力アームは、前記貫通孔において、前記は塑性変形伝達部材に可動自在に連結されていることを特徴とする制振装置。 - 前記反力アームは、前記一端側及び他端側の少なくとも何れか一方が進退移動自在に連結されていることを特徴とする請求項23に記載の制振装置。
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