JP6627467B2 - 画像形成装置の製造方法 - Google Patents
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Description
たとえば、特許文献1では、シリコーンゴムを成形後に真空加熱処理し低分子シロキサンを低減する提案がなされており、真空加熱処理前後で溶剤抽出する提案もされている(請求項1、8、段落0012〜0014、0022〜0023、0024〜0025など参照)。
特許文献2では、シリコーンゴム製品中に残留する環状ジメチルポリシロキサンと低分子量ジメチルポリシロキサンとを、溶解度係数が近くかつ低沸点の有機溶剤中に浸漬させて超音波処理を施して除く提案がなされている(請求項1、第4ページ右下欄第11行目〜同蘭末尾、第6ページ右下欄13行目〜第7ページ左下欄6行目、図3など参照)。
特許文献3では、シリコーンゴム成形体を、溶解度パラメーターが9.3超15.0以下でかつ沸点が50℃以上90℃以下の有機溶剤に浸漬させ、オルガノポリシロキサンの低分子量体を低減させる提案もされている(請求項1、段落0008〜0009、0017〜0019など参照)。特に特許文献3の技術では、特許文献2の技術を受け、溶解度パラメーターがシリコーンゴム成型体よりやや大きい有機溶剤を用いて成型体の膨潤を抑制しながら、低分子シロキサンを低減させようとしている(段落0017など参照)。
特許文献2の技術については、溶解度係数が近い有機溶剤で浸漬処理することはローラーの表面の低分子シロキサンを除くには有効である。ただ、かかる技術では、シリコーンゴムの内部に残存している低分子シロキサンまで除くには不十分であり、残存した低分子シロキサンは定着時に加熱され経時で拡散し、長期的な使用の際の新たな超微粒子の発生源となる問題が顕著となっている。
特許文献3の技術については、溶解度パラメーターが比較的大きく、シリコーンゴムとの相溶性がやや低い有機溶剤だけは、低分子シロキサンを溶かし出す力が弱く、十分な低減効果を発揮できない。
したがって、本発明の主な目的は、揮発性有機化合物や超微粒子の発生を抑制することができるシリコーンゴム成型体の製造工程を含む画像形成装置の製造方法を提供することにある。
シリコーンゴム製ローラーを含む画像形成装置の製造方法において、
シリコーンゴム成型体を第1の有機溶剤で浸漬処理する工程と、
シリコーンゴム成型体を前記第1の有機溶剤とは溶解度パラメーターが異なる第2の有機溶剤で浸漬処理する工程と、をこの順に備え、さらに、
製造された当該ローラーを当該画像形成装置の所定位置に設置する工程を備え、かつ
前記第1及び第2の有機溶剤で浸漬処理する工程において、
シリコーンゴムの溶解度パラメーターに対し、
前記第1の有機溶剤の溶解度パラメーターが前記第2の有機溶剤の溶解度パラメーターより近く、
前記第2の有機溶剤の溶解度パラメーターが前記第1の有機溶剤の溶解度パラメーターより離れていることを特徴とする画像形成装置の製造方法が提供される。
以下では、数値範囲を示す「〜」はその前後に記載される上限値および下限値が当該数値範囲に含まれる意味で使用されている。
図1は、本発明の好ましい実施形態にかかるカラータンデム方式の画像形成装置100の概略構成を示している。この画像形成装置は、スキャナ、コピー、プリンタなどの機能を備えた複合機であって、MFP(Multi Function PeripheralまたはMulti Function Printer)と呼ばれるものである。
2個のローラー102、106のうち、一方のローラー102は図において左側に配置され、他方のローラー106は図において右側に配置されている。中間転写ベルト108は、これらのローラー102、106によって支持されて矢印X方向に回転駆動される。
たとえば、イエローの画像形成ユニット110Yは、感光体ドラム190と、帯電装置191と、露光装置192と、トナーを用いて現像を行う現像装置193と、クリーナー装置195とを一体にして構成されている。
中間転写ベルト108を挟んで感光体ドラム190と対向する位置に、1次転写ローラー194が設けられている。
画像形成時には、まず帯電装置191によって感光体ドラム190の表面が一様に帯電され、続いて、露光装置192によって感光体ドラム190の表面が露光されて、そこに潜像が形成される。次に、現像装置193によって、感光体ドラム190の表面上の潜像が現像されてトナー画像となる。このトナー画像は、感光体ドラム190と1次転写ローラー194との間の電圧印加によって、中間転写ベルト108に転写される。感光体ドラム190の表面上の転写残トナーは、クリーナー装置195によってクリーニングされる。
中間転写ベルト108の右側には、用紙のための搬送路124を挟んで2次転写ローラー112が設けられている。搬送路124のうち2次転写ローラー112の上流側に相当する位置に、搬送ローラー120が設けられている。中間転写ベルト108上のトナーパターンを検出するための光学式濃度センサ115が設けられている。
定着装置130は、図1において紙面に対して垂直に延在する一対の定着ローラーを備えている。定着ローラーの一方は加熱ローラー132であり、他方は加圧ローラー131である。
加熱ローラー132は、ヒーター133によって所定の目標温度(たとえば180〜200℃の範囲内の定着温度)に加熱される。加圧ローラー131は、図示しない、ばねによって加熱ローラー132へ向かって付勢されている。これにより、加圧ローラー131と加熱ローラー132とは定着のためのニップ部を形成している。
トナー像が転写された用紙90がこのニップ部を通ることにより、その用紙90にトナー画像が定着される。加圧ローラー131と加熱ローラー132の温度は、それぞれ温度センサ135、136によって検出される。
給紙カセット116A、116Bにはそれぞれ、用紙を送り出すための給紙ローラー118と、送り出された用紙を検出する給紙センサ117とが設けられている。
一方、上記のように、各画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Kによって中間転写ベルト108上に4色のトナー画像が重ねて形成されており、トナー転写位置に送り込まれた用紙90に、中間転写ベルト108上の4色のトナー画像が2次転写ローラー112によって転写される。
トナー像が転写された用紙90は、定着装置130の加圧ローラー131と加熱ローラー132とが作るニップ部を通して搬送され加熱および加圧を受ける。これにより、その用紙90にトナー画像が定着される。
最終的に、トナー画像が定着された用紙90は、排紙ローラー121によって排紙路127を通して本体ケーシング101の上面に設けられた排紙トレイ部122へ排出される。
なお、画像形成装置100では、両面印刷の場合に用紙90を再びトナー転写位置へ送り込むためのスイッチバック搬送路128が設けられている。
上記のとおり、加圧ローラー131は定着ローラーの一方を構成しており、ここではシリコーンゴム製ローラーとなっている。
図2に示すとおり、加圧ローラー131は主に円筒状のシリコーンゴム成型体10から構成されている。
シリコーンゴム成型体10は、円筒状の芯金12と、芯金12の外周面を覆うように設けられたソリッドゴム層14と、ソリッドゴム層14の外周面を覆うように設けられたスポンジゴム層16との3層構造を有している。ソリッドゴム層14およびスポンジゴム層16はシリコーンゴムから構成されており、ここではこれを含むローラー本体(芯金12、ソリッドゴム層14およびスポンジゴム層16の3層構造体)をシリコーンゴム成型体10と名称付けている。シリコーンゴム成型体10は本発明にかかるシリコーンゴム成型体の一例である。
芯金12の厚さはここでは0.1〜5mm程度であるが、軽量化およびウォームアップ時間を考慮すると0.1〜1.5mm程度であるのがより望ましい。
芯金12の直径はここでは10〜50mm程度に設定されている。
シリコーンゴムは、上記定着温度に対する耐熱性と、用紙90が圧接される領域の寸法(ニップ部の長さ)を確保するための弾性とを、有している。
ソリッドゴム層14は固体状の硬質な層である。ソリッドゴム層14の厚さは5〜10mmの範囲内であるのが望ましく、ここでは7〜8mm程度に設定されている。
他方、スポンジゴム層16は無数のマイクロバルーンを含むスポンジ状の軟質な層である。スポンジゴム層16の厚さは5〜100μmの範囲内であるのが望ましく、ここでは80〜90μm程度に設定されている。
続いて、シリコーンゴム成型体10の製造方法について説明する。
かかる製造方法は基本的には、芯金10に対しソリッドゴム層14およびスポンジゴム層16を形成した直後のシリコーンゴム成型体10を洗浄する方法であって、シリコーンゴム成型体10の製造の最終段階で行われる処理を想定したものである。
(i)シリコーンゴム成型体10を有機溶剤Aで浸漬処理する工程S1と、
(ii)シリコーンゴム成型体10を有機溶剤Aとは溶解度パラメーターが異なる有機溶剤Bで浸漬処理する工程S2と、を備えている。
有機溶剤A、Bは、効率的に洗浄して低分子シロキサンの含有量を低減させるために、下記の条件を満たすことが好ましい。
すなわち、シリコーンゴムの溶解度パラメーターは7.3〜7.6付近である。
シリコーンゴムの溶解度パラメーターに対し、有機溶剤Aの溶解度パラメーターが有機溶剤Bの溶解度パラメーターより近く、有機溶剤Bの溶解度パラメーターが有機溶剤Aの溶解度パラメーターより離れているのがよい。
具体的に、シリコーンゴムと有機溶剤Aとの溶解度パラメーターの差は0以上2.0未満であり、シリコーンゴムと有機溶剤Bとの溶解度パラメーターの差は2.0以上7.3未満であるのがよく、より好ましくは有機溶剤Aと有機溶剤Bとの溶解度パラメーターの差は0.1以上5.4以下であるのがよい。
低分子シロキサンと有機溶剤との溶解度パラメーターが近いほど、有機溶剤が低分子シロキサンの分子間に入り込みやすいことを意味し、その分だけ低分子シロキサンを抽出しやすくなり、洗浄効果が高くなる。
低分子シロキサンの溶解度パラメーターは7.3〜7.6程度である。
これに対し、低分子シロキサンと有機溶剤Aとの溶解度パラメーターの差が2.0未満で、有機溶剤Aの溶解度パラメーターが低分子シロキサンの溶解度パラメーターに近いと、体積膨張率が大きく洗浄効果も高まり、さらに沸点近傍まで加熱すると低分子シロキサンの溶解度も高くなり、洗浄効果は更に高くなる。
このような条件を満たす有機溶剤Aとしては、たとえば、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、クロロホルムなどが挙げられる。
有機溶剤Aとしては、好ましくは、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンが用いられ、n−ヘキサン、トルエンが取り扱いやすく好適である。
有機溶剤Aは単独で使用されてもよいし、2種以上が混合され使用されてもよい。
有機溶剤Bの使用は低分子シロキサンを溶かし出した有機溶媒Aをシリコーンゴム内部から拡散洗浄することが目的であり、有機溶剤Bは有機溶剤Aとの混和性がよく揮発しやすい溶剤であれば好適である。
有機溶剤Bとしては、たとえば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、アセトン、塩化メチレンなどが挙げられる。
有機溶剤Bも単独で使用されてもよいし、2種以上が混合され使用されてもよい。
有機溶剤Bがシリコーンゴム中に残存すると、シリコーンゴム成型体10を画像形成装置100の部品として用いる際に安定した画像を出せず、ムラが生じる可能性があるために有機溶剤Bの沸点はより低いことが好ましい。それゆえ、有機溶剤Aの沸点は35℃以上140℃以下であり、有機溶剤Bの沸点は35℃以上80℃以下であることが好ましい。
浸漬処理工程S1、S2では、浸漬処理工程S1の処理を実行し、その後に浸漬処理工程S2の処理を実行する。
特に浸漬処理工程S1では、シリコーンゴム成型体10を有機溶剤Aに浸漬すると、シリコーンゴム成型体10は有機溶剤Aを吸収し膨潤する。
かかる場合、有機溶剤Aの吸収量が、浸漬処理前のシリコーンゴム成型体10の単位重量の20〜200%であると効果的であり、好ましくは30〜200%、より好ましくは40〜200%であるとより効果的である。
すなわち、浸漬処理工程S1では、有機溶剤Aでの浸漬処理前と浸漬処理後のシリコーン成型体10の重量変化を測定した場合に、浸漬処理後のシリコーンゴム成型体10の重量が、浸漬処理前のシリコーンゴム成型体10の重量に対し120〜300%、好ましくは130〜300%、より好ましくは140〜300%の重量になるように、浸漬処理するのが効果的である。
洗浄後は新たな有機溶剤A、Bでのすすぎ工程を行うとより望ましい。
なお、すすぎ工程を行う場合も行わない場合も、洗浄後またはすすぎ工程後に、シリコーンゴムに残留している有機溶剤A、Bを除去するため、乾燥工程を行うことが望ましい。乾燥工程は、シリコーンゴム成型体10のソリッドゴム層14およびスポンジゴム層16の厚さにもよるが、50〜130℃の環境で10分〜3時間実行するのが望ましい。
浸漬処理工程S1、S2では、状況によって有機溶剤A、Bを加熱してもよい。
たとえば、短時間で浸漬処理を行いたい場合、より高い洗浄効果を求める場合などには、有機溶剤A、Bを加熱してもよい。
加熱温度の範囲は室温以上で有機溶剤A、Bの沸点以下であるのが望ましい。
加熱処理は浸漬処理工程S1、S2の両方で実行するのがよいが、浸漬処理工程S1でのみ実行してもよいし、浸漬処理工程S2でのみ実行してもよい。
浸漬処理工程S1、S2では、シリコーンゴム成型体10に対し超音波を発振してもよい。
超音波の発振時間は、シリコーンゴム成型体10のソリッドゴム層14およびスポンジゴム層16の厚さ、形状などによって適宜選定することができる。たとえば、平均厚さが3mmを超えるシリコーンゴム製品を上記のように膨潤させるのであれば、超音波の発振時間は15分間を超える程度である。平均厚さが3mm以下のシリコーンゴム製品を上記のように膨潤させるのであれば、超音波の発振時間は好ましくは5〜15分間であり、より好ましくは5〜10分間であり好適である。超音波の発振時間をかかる範囲に調整すれば、生産性にムラが生じたり、低分子シロキサンを所望の残存量まで除去したりすることができる。
超音波の発振装置としては、特に制限されるものではないが、たとえば上記特許文献2に記載された装置を好適に使用することができる。超音波の周波数は特に制限されるものではないが、通常、工業的には40kHz程度が採用される。
超音波の発振処理は浸漬処理工程S1、S2の両方で実行するのがよいが、浸漬処理工程S1でのみ実行してもよいし、浸漬処理工程S2でのみ実行してもよい。
かかる場合も、上記加熱処理および超音波の発振処理は浸漬処理工程S1、S2の両方で実行するのがよいが、浸漬処理工程S1でのみ実行してもよいし、浸漬処理工程S2でのみ実行してもよい。
浸漬処理工程S2では、シリコーンゴム成型体10に対し物理的圧力を付加してもよい。物理的圧力は有機溶媒Bに浸漬されそこから引き上げられたシリコーンゴム成型体10に対し付加する。
たとえば、図4に示すとおり、シリコーンゴム成型体10をそれよりやや小径の金属製の搾り用リング20に強制的に通過させ、シリコーンゴム成型体10に対し物理的圧力を付加する。図5に示すとおり、シリコーンゴム成型体10に対し圧接ローラー30を圧接させながら回転させ、シリコーンゴム成型体10に対し物理的圧力を付加してもよい。
シリコーンゴム成型体10の製造方法では、浸漬処理工程S1、S2をこの順に交互に複数回繰り返してもよい。
すなわち、図6に示すとおり、浸漬処理工程S1、S2を1セット(セットS3)として、セットS3を2セット以上繰り返してもよい。
有機溶剤Aと有機溶媒Bとで沸点の低い有機溶剤A、Bを使用した浸漬処理工程S1、S2を最終工程にするのがよい。有機溶剤A、Bを除去しやすく、迅速に次工程(加圧ローラー131の製造および画像形成装置100への設置、図7参照)に進めるためである。
図6に示すとおり、浸漬処理工程S1、S2をこの順に交互に複数回繰り返した後に、シリコーンゴム成型体10を真空減圧下で加熱し乾燥させる工程S4を設けてもよい。
真空加熱処理S4では、たとえば真空オーブンなどの装置が使用される。
真空加熱条件は特に特に限定されないが、真空到達度が10mmHg以下、加熱温度が100〜250℃、処理時間が1〜25時間であるのがよい。
なお、真空加熱工程S4はセットS3の繰返し後でなくてもよく、図3の浸漬処理工程S1、S2の後に設けられてもよい。
続いて、画像形成装置100の製造方法について説明する。
かかる製造方法は基本的には、洗浄後のシリコーンゴム成型体10を用いて加圧ローラー131を製造しこれを画像形成装置100に設置する方法であって、画像形成装置100の最終的な組立てを想定したものである。
(i)図3〜図6の方法で製造されたシリコーンゴム成型体10を用いて加圧ローラー131を製造する工程S10と、
(ii)加圧ローラー131を画像形成装置100の所定位置に設置する工程S20と、を備えている。
特に加圧ローラー131の製造工程S10では、シリコーンゴム成型体10の表面を研磨したり、シリコーンゴム成型体10を所定の長さに切断したりすればよい。
浸漬処理工程S2では、シリコーンゴムに対し溶解度パラメーターが離れている有機溶剤Bで、シリコーンゴム成型体10を収縮させ、シリコーンゴム成型体10の内部に残存する低分子シロキサンを物理的に搾り出し除去している。
本実施形態では、浸漬処理工程S1、S2でそれぞれ、シリコーンゴム成型体10に対する作用がやや異なり、シリコーン成型体10の表面および内部の両方から低分子シロキサンを除去している。
かかる作用から揮発性有機化合物や超微粒子の発生を抑制することができる。
かかる場合、画像形成装置100の内部に漂う揮発性有機化合物や超微粒子も低減され、それを核に成長する粗大粒子の発生を抑制することができ、結果的に画像汚れの発生を阻止することができる。
前者の手法だけでは、シリコーンゴムと有機溶剤とで溶解度パラメーターが近いため、洗浄効果は高いが、有機溶剤に溶け出す低分子シロキサンの濃度が飽和に達するとそれ以上洗浄することができない。前者の手法だけでは、これを繰り返し行い常にフレッシュな有機溶剤で洗浄しても、シリコーンゴムの変形(膨潤および収縮)を伴わないため、有機溶剤の移動が円滑に起こらず、シリコーンゴムの内部に残存する低分子シロキサンを溶かし出すことができない。他方、後者の手法だけでも、シリコーンゴムと有機溶剤とで溶解度パラメーターが離れているため、洗浄効果が低く、十分な洗浄効果が得られない。
加えて、新たに洗浄効率の高い有機溶剤Aを用いて洗浄すれば、常にシリコーンゴムの内部にフレッシュな有機溶剤Aを浸透させて洗浄ができ、シリコーンゴムの内部に残存する低分子シロキサンをさらに良く洗い流すことができるし、有機溶剤Aで膨潤したシリコーンゴムに対し、物理的圧力を積極的に付加し有機溶剤Aを搾り出せば、さらによく洗浄することができる。
(1.1)シリコーンゴム成型体の準備
二液型室温硬化型シリコーンゴム(商品名:KE1602,信越化学社製)100重量部に、硬化剤(商品名:Cat.1602,信越化学社製)を10重量部加え、撹拌機で充分に混合しシリコーンゴム混合物Cを得た。
シリコーンゴム混合物Cに、膨脹済みのエクスパンセル461を15重量部加え、撹拌機で30分混合しシリコーンゴム混合物Dを得た。エクスパンセル461はケマ・ノーベル社製のマイクロバルーンであって、外殻が塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共重合体であり、110℃で溶融するものである。未膨脹の球形は10〜16μmであり、ここでは100℃で10分加熱して球形が40〜60μmの膨脹したマイクロバルーンとした。
その後、紙管と芯金との間に、シリコーンゴム混合物C(マイクロバルーンを含まない。)を注ぎ込み、室温で一昼夜放置し、硬化を完了させた。その後、紙管を外し、ソリッドゴム層を形成した。
その後、このソリッドゴム層に、シリコーンゴム混合物D(マイクロバルーンを含む。)を100μmの厚みに塗布し、一昼夜放置させた後、研磨機で表面を研磨し、およそ40〜60μmのマイクロバルーンが無数に埋設されたスポンジゴム層を形成した。
このような処理により、外層がスポンジゴムで、内層がソリッドゴムの2層構造を有するシリコーンゴム成型体(複写機用ロール、ゴム層の面長340mm、図2参照)を得た。このシリコーンゴム成型体の硬度はアスカC型硬度計で55度であった。
表1の有機溶剤を容器に入れ、シリコーンゴム成型体を有機溶剤に30分間浸漬した。
表1および表2の有機溶剤を容器に入れ、シリコーンゴム成型体を有機溶剤に30分間浸漬し(浸漬処理工程S1)、その後有機溶剤を入れ替えさらにシリコーンゴム成型体を有機溶剤に30分間浸漬し、浸漬後のシリコーンゴム成型体を100℃の恒温槽に入れて1時間乾燥させた(浸漬処理工程S2)。
表1および表2中、有機溶剤の種類の欄で「/」の前に記載した有機溶剤が先の浸漬処理工程S1で使用した有機溶剤であり、「/」の後に記載した有機溶剤が後の浸漬処理工程S2で使用した有機溶剤である。
実施例9〜14では、浸漬処理工程S1、S2の両方で、有機溶剤をシャープ製の超音波洗浄機(UT-204:27cm×33cm×28cm)に入れ、蓋をした状態でシリコーンゴム成型体を有機溶剤に30分間浸漬しながら30分間超音波を発振した。
実施例10〜14では、浸漬処理工程S2で、浸漬後のシリコーンゴム成型体を内径40mmの絞り用リングに強制的に通過させ、シリコーンゴム成型体から余分の有機溶剤を絞り出し、その後シリコーンゴム成型体を100℃の恒温槽に入れて1時間乾燥させた。
実施例11〜14では、浸漬処理工程S1、S2を1セット(セットS3)として、セットS3を3回繰り返した。
実施例12〜14では、セットS3の3回の繰返し後に、シリコーンゴム成型体を、真空乾燥機(ヤマト科学製ADP-300型)に収容し、1.33kPa、100℃で1時間加熱し真空乾燥させた。
画像形成装置(コニカミノルタ製bizhub C754)の定着ローラー(加圧ローラー)を上記で作製したシリコーンゴム成型体サンプルに組み替え、これを容積1m3のステンレス製チャンバー内に設置し、チャンバー内を67L/minの換気を行うように設定した。チャンバー内を約1時間換気後、10分間プリント動作を行い、プリント動作中に装置から排出される揮発性有機化合物および超微粒子をサンプリングした。トナーとして体積平均粒子径が8μmのものを使用した。
Tenax管(Tenax:登録商標)で100mL/minの吸引速度でチャンバー内の空気を捕獲し、プリント動作の停止後も約2時間連続して、揮発性有機化合物のサンプリングを行った。Tenax管から捕集した揮発性有機化合物を加熱脱着装置で脱離させ、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)にて脱離された揮発性有機化合物の量を測定した。装置から排出された全揮発性有機化合物量(TVOC)をBlueAngel Mark〔BAM(ドイツ連邦材料研究試験機関)の基準〕のエミッション率の計算式にて算出した。100mg/h以上の場合を実用上問題となるレベルとする。
TSI社製微粒子計測器(型式CPC3007)で、チャンバー内に排出された超微粒子Gを連続的に測定した。プリント開始からプリント終了後3換気相当分の時間に観測された粒子径10〜1000nmの範囲内の超微粒子の個数の総数を測定した。1×107個/mL以上の場合を実用上問題となるレベルとする。
10万枚印刷後において、べた画像をJ紙(A4)出力したときに、スポットのように観察できる画像汚れを数えた。1枚当たりの画像汚れが100以上である場合を実用上問題となるレベルとする。
表3に示すとおり、比較例1〜3と実施例1(参考例)、及び実施例2〜14との比較から、実施例2〜14では良好な結果が得られた。
かかる結果から、溶解度パラメーターが互いに異なる2種の有機溶剤で浸漬処理することが、揮発性有機化合物や超微粒子の発生を抑制するのに有用であることがわかる。
12 芯金
14 ソリッドゴム層
16 スポンジゴム層
131 加圧ローラー
Claims (10)
- シリコーンゴム製ローラーを含む画像形成装置の製造方法において、
シリコーンゴム成型体を第1の有機溶剤で浸漬処理する工程と、
シリコーンゴム成型体を前記第1の有機溶剤とは溶解度パラメーターが異なる第2の有機溶剤で浸漬処理する工程と、をこの順に備え、さらに、
製造された当該ローラーを当該画像形成装置の所定位置に設置する工程を備え、かつ
前記第1及び第2の有機溶剤で浸漬処理する工程において、
シリコーンゴムの溶解度パラメーターに対し、
前記第1の有機溶剤の溶解度パラメーターが前記第2の有機溶剤の溶解度パラメーターより近く、
前記第2の有機溶剤の溶解度パラメーターが前記第1の有機溶剤の溶解度パラメーターより離れていることを特徴とする画像形成装置の製造方法。 - 請求項1に記載の画像形成装置の製造方法において、
シリコーンゴムと前記第1の有機溶剤との溶解度パラメーターの差が0以上2.0未満であり、
シリコーンゴムと前記第2の有機溶剤との溶解度パラメーターの差が2.0以上7.3未満であることを特徴とする画像形成装置の製造方法。 - 請求項1または2に記載の画像形成装置の製造方法において、
前記第1の有機溶剤と前記第2の有機溶剤との溶解度パラメーターの差が0.1以上5.4以下であることを特徴とする画像形成装置の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法において、
第1の有機溶剤の沸点が35℃以上140℃以下であり、
第2の有機溶剤の沸点が35℃以上80℃以下であることを特徴とする画像形成装置の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法において、
前記第1の有機溶剤で浸漬処理する工程と前記第2の有機溶剤で浸漬処理する工程との少なくとも一方の工程では、前記第1の有機溶剤または前記第2の有機溶剤の少なくとも一方を加熱することを特徴とする画像形成装置の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法において、
前記第1の有機溶剤で浸漬処理する工程と前記第2の有機溶剤で浸漬処理する工程との少なくとも一方の工程では、シリコーンゴム成型体に対し超音波を発振することを特徴とする画像形成装置の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法において、
前記第1の有機溶剤で浸漬処理する工程と前記第2の有機溶剤で浸漬処理する工程との少なくとも一方の工程では、前記第1の有機溶剤または前記第2の有機溶剤の少なくとも一方を加熱しながら、シリコーンゴム成型体に対し超音波を発振することを特徴とする画像形成装置の製造方法。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法において、
前記第2の有機溶剤で浸漬処理する工程では、シリコーンゴム成型体に対し物理的圧力を付加することを特徴とする画像形成装置の製造方法。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法において、
前記第1の有機溶剤で浸漬処理する工程と前記第2の有機溶剤で浸漬処理する工程とを交互に複数回繰り返すことを特徴とする画像形成装置の製造方法。 - 請求項9に記載の画像形成装置の製造方法において、
前記第1の有機溶剤で浸漬処理する工程と前記第2の有機溶剤で浸漬処理する工程とを交互に複数回繰り返した後に、シリコーンゴム成型体を真空減圧下で加熱し乾燥させる工程を備えることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
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