JP2008233565A - 導電性ローラの製造方法及び導電性ローラ - Google Patents
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Abstract
【課題】印字画像の汚れ、かすれ、及び白抜けの全てを効果的に防止することができ、安定した印字画像品質を維持できる導電性ローラの製造方法及び導電性ローラを提供する。
【解決手段】シリコーンゴムを含む弾性層を有する導電性ローラを超臨界流体と接触させて、該シリコーンゴムに含まれるシロキサンオリゴマーを該超臨界流体で抽出し、該シリコーンゴムからシロキサンオリゴマーを除去する。
【選択図】なし
【解決手段】シリコーンゴムを含む弾性層を有する導電性ローラを超臨界流体と接触させて、該シリコーンゴムに含まれるシロキサンオリゴマーを該超臨界流体で抽出し、該シリコーンゴムからシロキサンオリゴマーを除去する。
【選択図】なし
Description
本発明は、シロキサンオリゴマーの含有量を低減した導電性ローラの製造方法及び導電性ローラに関する。
シリコーンゴムは、耐熱性、軽剥離性、低圧縮永久歪性などの優れた性能を有するため、複写機、プリンター、ファクシミリなどの画像形成装置において、導電性ローラの弾性層を形成する材料として広く利用されている。
ところで、上記導電性ローラを備えた画像形成装置で印刷を行うと、印字画像が白く抜ける、いわゆる白抜けという不具合が発生する場合がある。また、特に低温・低湿の環境下では、印字画像の汚れ、かすれといった不具合が発生しやすいことが一般に知られている。
ところで、上記導電性ローラを備えた画像形成装置で印刷を行うと、印字画像が白く抜ける、いわゆる白抜けという不具合が発生する場合がある。また、特に低温・低湿の環境下では、印字画像の汚れ、かすれといった不具合が発生しやすいことが一般に知られている。
こうした不具合が発生する原因としては、有機感光体(OPC)表面の汚染、トナーの凝集度の上昇、及びトナーの帯電性の上昇など、いろいろな原因が考えられるが、それらの原因を明らかにして、印字画像の品質の向上を図った導電性ローラが多数開発されている。
例えば、白抜けや縦線かすれの発生原因を、電界の集中する突起がローラ表面に形成されていることによるものと考え、台形断面の突条をローラ表面に所定ピッチで設けることにより、白抜けや縦線かすれなどの異常画像の発生を防止した現像ローラが提案されている(引用文献1参照)。
また、白抜けの発生原因を、ローラ表面に存在するシロキサンオリゴマーが感光体に付着することによるものと考え、ローラ芯軸の外周上に、所定の導電性シリコーンゴム層と、導電性フッ素ゴム中間層と、導電性ウレタンゴム表層を順に形成することにより、白抜けの発生を防止した導電性ローラが提案されている(引用文献2参照)。
さらに、印字かすれの発生原因を、現像ローラの外周面にトナーが付着することによるものと考え、現像ローラの外周面を、フェニルシリコーン又はフロロシリコーンで処理することにより、現像ローラの外周面へのトナーの付着を防止し、印字かすれを目立たないようにした現像ローラが知られている(引用文献3参照)。
例えば、白抜けや縦線かすれの発生原因を、電界の集中する突起がローラ表面に形成されていることによるものと考え、台形断面の突条をローラ表面に所定ピッチで設けることにより、白抜けや縦線かすれなどの異常画像の発生を防止した現像ローラが提案されている(引用文献1参照)。
また、白抜けの発生原因を、ローラ表面に存在するシロキサンオリゴマーが感光体に付着することによるものと考え、ローラ芯軸の外周上に、所定の導電性シリコーンゴム層と、導電性フッ素ゴム中間層と、導電性ウレタンゴム表層を順に形成することにより、白抜けの発生を防止した導電性ローラが提案されている(引用文献2参照)。
さらに、印字かすれの発生原因を、現像ローラの外周面にトナーが付着することによるものと考え、現像ローラの外周面を、フェニルシリコーン又はフロロシリコーンで処理することにより、現像ローラの外周面へのトナーの付着を防止し、印字かすれを目立たないようにした現像ローラが知られている(引用文献3参照)。
本発明の課題は、印字画像の汚れ、かすれ、及び白抜けの全てを効果的に防止することができ、安定した印字画像品質を維持できる導電性ローラの製造方法及び導電性ローラを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために検討を行った結果、シリコーンゴムを含む弾性層を有する導電性ローラにおいて、弾性層に含まれるシロキサンオリゴマー、特にケイ素原子数4〜20のシロキサンにより、トナーの凝集度が上昇し、感光体が汚染されて白抜けが発生していること、また、シロキサンオリゴマーがトナーに付着して、トナーの帯電性が上昇することにより、印字画像の汚れ、かすれが発生していることを見出した。
したがって、上記不具合を解消するには、弾性層に含まれるシロキサンオリゴマーを除去することが有効であると考えられる。従来、シロキサンオリゴマーを除去するための方法としては、例えば、低分子シロキサンを溶解し、それ以外のオルガノポリシロキサンに対しては不溶であるアセトン、メタノール、エタノールなどの有機溶剤で洗浄する方法、オルガノポリシロキサンを高温条件下で長時間減圧ストリップする方法などが知られている。
しかしながら、これらの従来方法は、シロキサンオリゴマーを十分に除去するのに、多くの時間と手間を要するため作業性が劣るなどの問題があった。
そこで、本発明者は、さらに検討した結果、導電性ローラの弾性層に含まれるシロキサンオリゴマーを簡便かつ効果的に除去するには、超臨界流体でシロキサンオリゴマーの抽出処理を行うことが極めて有効であることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、シリコーンゴムを含む弾性層を有する導電性ローラを超臨界流体と接触させて、該シリコーンゴムに含まれるシロキサンオリゴマーを該超臨界流体で抽出し、該シリコーンゴムからシロキサンオリゴマーを除去することを特徴とする導電性ローラの製造方法である。
また、本発明は、上記製造方法によって製造される導電性ローラ、すなわち、弾性層を形成するシリコーンゴムに含まれるケイ素原子数4〜20のシロキサンの含有量が1,500ppm以下である導電性ローラである。
さらに、本発明は、上記導電性ローラを備えてなる画像形成装置である。
したがって、上記不具合を解消するには、弾性層に含まれるシロキサンオリゴマーを除去することが有効であると考えられる。従来、シロキサンオリゴマーを除去するための方法としては、例えば、低分子シロキサンを溶解し、それ以外のオルガノポリシロキサンに対しては不溶であるアセトン、メタノール、エタノールなどの有機溶剤で洗浄する方法、オルガノポリシロキサンを高温条件下で長時間減圧ストリップする方法などが知られている。
しかしながら、これらの従来方法は、シロキサンオリゴマーを十分に除去するのに、多くの時間と手間を要するため作業性が劣るなどの問題があった。
そこで、本発明者は、さらに検討した結果、導電性ローラの弾性層に含まれるシロキサンオリゴマーを簡便かつ効果的に除去するには、超臨界流体でシロキサンオリゴマーの抽出処理を行うことが極めて有効であることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、シリコーンゴムを含む弾性層を有する導電性ローラを超臨界流体と接触させて、該シリコーンゴムに含まれるシロキサンオリゴマーを該超臨界流体で抽出し、該シリコーンゴムからシロキサンオリゴマーを除去することを特徴とする導電性ローラの製造方法である。
また、本発明は、上記製造方法によって製造される導電性ローラ、すなわち、弾性層を形成するシリコーンゴムに含まれるケイ素原子数4〜20のシロキサンの含有量が1,500ppm以下である導電性ローラである。
さらに、本発明は、上記導電性ローラを備えてなる画像形成装置である。
本発明の製造方法は、以下に述べる優れた効果を奏する。
1)印字画像の汚れ、かすれ、及び白抜けの原因とされるシロキサンオリゴマー、特にケイ素原子数4〜20のシロキサン、の含有量を著しく低減させることができる。その結果、上記不具合を解消したシロキサンオリゴマー低減導電性ローラ、具体的には、弾性層を形成するシリコーンゴムに含まれるケイ素原子数4〜20のシロキサンの含有量が1,500ppm以下である導電性ローラを得ることができる。
2)自然界に豊富に存在する無害の物質を超臨界流体として使用することができ、また、使用する超臨界流体は再利用することができるため、作業者や環境に対する影響が少ない。
3)作業が簡単であり、また、長い作業時間を必要としないので、作業性に優れている。
4)拡散性、浸透性に優れた超臨界流体を使用するため、ソリッドロール、スポンジロールのいずれに対しても有効であり、また、複雑な形状の導電性ローラであっても、シロキサンオリゴマーを容易に除去することができる。
5)シリコーンゴム原料に対する抽出処理とは異なり、成形・加硫後の導電性ローラに対して抽出処理を行うので、成形・加硫工程における新たなシロキサンオリゴマーの生成を回避することができる。
1)印字画像の汚れ、かすれ、及び白抜けの原因とされるシロキサンオリゴマー、特にケイ素原子数4〜20のシロキサン、の含有量を著しく低減させることができる。その結果、上記不具合を解消したシロキサンオリゴマー低減導電性ローラ、具体的には、弾性層を形成するシリコーンゴムに含まれるケイ素原子数4〜20のシロキサンの含有量が1,500ppm以下である導電性ローラを得ることができる。
2)自然界に豊富に存在する無害の物質を超臨界流体として使用することができ、また、使用する超臨界流体は再利用することができるため、作業者や環境に対する影響が少ない。
3)作業が簡単であり、また、長い作業時間を必要としないので、作業性に優れている。
4)拡散性、浸透性に優れた超臨界流体を使用するため、ソリッドロール、スポンジロールのいずれに対しても有効であり、また、複雑な形状の導電性ローラであっても、シロキサンオリゴマーを容易に除去することができる。
5)シリコーンゴム原料に対する抽出処理とは異なり、成形・加硫後の導電性ローラに対して抽出処理を行うので、成形・加硫工程における新たなシロキサンオリゴマーの生成を回避することができる。
本発明の製造方法は、上述したように、シリコーンゴムを含む弾性層を有する導電性ローラを超臨界流体と接触させて、シロキサンオリゴマーを該超臨界流体で抽出し、導電性ローラの弾性層に含まれるシロキサンオリゴマーを除去することを特徴とする。
本発明の製造方法の作業手順としては、まず、シリコーンゴムを含む弾性層を有する導電性ローラ及び超臨界流体となる物質を処理槽に入れ、次いで、温度、圧力を調整することにより該物質を超臨界流体とし、導電性ローラに超臨界流体を接触させる。あるいは、上記導電性ローラを処理槽に入れ、超臨界流体を該処理槽に送り込み、導電性ローラに超臨界流体を接触させる。ここで、超臨界流体とは、液体と気体が単一相となった超臨界状態又は亜臨界状態にある流体をいい、超臨界状態とは、液体と気体が単一相となる限界の温度(臨界温度)、及び圧力(臨界圧力)である臨界点以上の温度、圧力の状態をいい、亜臨界状態とは、臨界温度、臨界圧力よりも、やや低い温度、圧力の状態をいう。
本発明の製造方法の作業手順としては、まず、シリコーンゴムを含む弾性層を有する導電性ローラ及び超臨界流体となる物質を処理槽に入れ、次いで、温度、圧力を調整することにより該物質を超臨界流体とし、導電性ローラに超臨界流体を接触させる。あるいは、上記導電性ローラを処理槽に入れ、超臨界流体を該処理槽に送り込み、導電性ローラに超臨界流体を接触させる。ここで、超臨界流体とは、液体と気体が単一相となった超臨界状態又は亜臨界状態にある流体をいい、超臨界状態とは、液体と気体が単一相となる限界の温度(臨界温度)、及び圧力(臨界圧力)である臨界点以上の温度、圧力の状態をいい、亜臨界状態とは、臨界温度、臨界圧力よりも、やや低い温度、圧力の状態をいう。
本発明の製造方法を実施する際に使用する装置(設備)は、特に限定されないが、導電性ローラを超臨界流体と接触させるための抽出槽、シロキサンオリゴマーの抽出媒体を超臨界流体にするための昇圧装置、抽出処理後にシロキサンオリゴマーと超臨界流体を分離するための減圧装置及び分離槽を備えたものであって、超臨界流体の再利用が可能である循環型の装置が好ましい。
超臨界流体と接触させる導電性ローラは、導電性領域の弾性層を軸体の周囲に被覆一体化した加硫済みの成形品であり、弾性層用材料を用いて軸体の周囲に押出成形、射出成形などの成形処理を行った後、加硫処理を施すことにより得られるものである。新たなシロキサンオリゴマー生成の防止、ローラ寸法の変動などを考慮すると、二次加硫済みの導電性ローラが好ましい。
導電性ローラの弾性層は、シリコーンゴムで形成されるが、必ずしも弾性層の全体がシリコーンゴムで形成されている必要はなく、少なくとも外周部がシリコーンゴムで形成されていればよい。該シリコーンゴムには、ベースとなるシリコーンゴムのほか、必要に応じて、充填剤、導電性付与剤など、他の成分が配合される。また、該弾性層は、ソリッドタイプ、スポンジタイプのいずれでもよい。
前記軸体は、良好な導電特性を有していればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮などで構成されたいわゆる「芯金」と称される軸体である。また、軸体は、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂などの絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよく、さらには、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂などに導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体などを配合した導電性樹脂で形成された軸体であってもよい。
導電性ローラの弾性層は、シリコーンゴムで形成されるが、必ずしも弾性層の全体がシリコーンゴムで形成されている必要はなく、少なくとも外周部がシリコーンゴムで形成されていればよい。該シリコーンゴムには、ベースとなるシリコーンゴムのほか、必要に応じて、充填剤、導電性付与剤など、他の成分が配合される。また、該弾性層は、ソリッドタイプ、スポンジタイプのいずれでもよい。
前記軸体は、良好な導電特性を有していればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮などで構成されたいわゆる「芯金」と称される軸体である。また、軸体は、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂などの絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよく、さらには、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂などに導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体などを配合した導電性樹脂で形成された軸体であってもよい。
本発明の対象となる導電性ローラの種類は、必ずしも限定されないが、本発明の目的がトナーの凝集や感光体の汚染などに起因する印刷画像の不具合を解消することにある点を考えれば、画像形成装置において、感光体及びトナーと直接に関係する導電性ローラ、すなわち、現像ローラ、トナー供給ローラ、帯電ローラ、及びクリーニングローラが好適である。なお、現像ローラは、感光体表面の潜像にトナーを付着するローラ、トナー供給ローラは、トナーカートリッジからトナーを受け取り、現像ローラにトナーを摩擦して帯電付着するローラ、帯電ローラは、感光体表面に均一な電位を印加するローラ、クリーニングローラは、感光体に残った汚れを除去するローラである。
導電性ローラに接触させる超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、亜酸化窒素、窒素、酸素、アンモニア、キセノン、六フッ化イオウ、メタノール、エタノール、水、エチレン、エタン、プロパン、ベンゼン、ジエチルエーテルなどが挙げられ、取扱い性、安全性、コストなどを考慮して、適宜適当なものを選択すればよい。なお、臨界温度が約230℃以上の超臨界流体を選択すると、シリコーンゴムが熱劣化するおそれがある。
上記超臨界流体のうち、二酸化炭素は、無味無臭で人体に無害であり、価格も安く、また、臨界温度が約31℃、臨界圧力が約7.3MPaと低いため、シリコーンゴムに対して悪影響を与えることなく、比較的低温、低圧の状態でシロキサンオリゴマーを除去することができ、取扱いも簡単であることから好適である。また、二酸化炭素は、不活性な物質であるため、シロキサンオリゴマー抽出後は、分離・回収して再利用することが可能である点でも好ましい。
上記超臨界流体のうち、二酸化炭素は、無味無臭で人体に無害であり、価格も安く、また、臨界温度が約31℃、臨界圧力が約7.3MPaと低いため、シリコーンゴムに対して悪影響を与えることなく、比較的低温、低圧の状態でシロキサンオリゴマーを除去することができ、取扱いも簡単であることから好適である。また、二酸化炭素は、不活性な物質であるため、シロキサンオリゴマー抽出後は、分離・回収して再利用することが可能である点でも好ましい。
次いで、導電性ローラを一定時間、超臨界流体と接触させることにより、導電性ローラの弾性層に含まれるシロキサンオリゴマーを抽出する。超臨界流体は優れた浸透力を有しており、シリコーンゴムの表面だけでなく、内部にまで浸透するため、シリコーンゴム全体に含まれるシロキサンオリゴマーが超臨界流体中に抽出される。本発明において、シロキサンオリゴマーとは、環状体及び非環状体の低分子シロキサン(未反応モノマーを含む)の総称であり、特には印字画像の汚れ、かすれ、及び白抜けの原因とされるケイ素原子数4〜20のシロキサンを指す。
導電性ローラに超臨界流体を接触させる際の温度、圧力、及び時間については、超臨界流体の種類、弾性層を形成するシリコーンゴムの発泡度などに応じて、シリコーンゴムに含まれるケイ素原子数4〜20のシロキサンの含有量が1,500ppm以下となるように適宜決定する。該シロキサンの含有量を1,500ppm以下にすると、印字画像の汚れ、かすれ、及び白抜けの防止に有効である。例えば、超臨界流体が二酸化炭素の場合、28.0〜45.0℃の温度、6.0〜10.0MPaの圧力の二酸化炭素に、導電性ローラを15〜90分間の時間接触させる。これにより、弾性層を形成するシリコーンゴムに含まれるケイ素原子数4〜20のシロキサンの含有量を1,500ppm以下に低減することができる。
シロキサンオリゴマーの抽出処理において、超臨界流体の温度、圧力を途中で変えた多段階の抽出処理を行うことは、シロキサンオリゴマーの抽出効率を高める上で好ましい。シロキサンオリゴマーは、ケイ素原子数の違いによって、特定の温度・圧力の超臨界流体に対する溶解性が異なるため、超臨界流体の温度、圧力を変えることにより、幅広い構造のシロキサンオリゴマーを抽出できる。具体的には、超臨界流体が二酸化炭素の場合、40.0〜45.0℃の温度、9.0〜10.0MPaの圧力の二酸化炭素に、導電性ローラを15〜90分間の時間接触させた後、さらに、31.3〜35.0℃の温度、7.3〜8.0MPaの圧力の二酸化炭素に、15〜90分間の時間接触させる二段階の処理を行うことにより、ケイ素原子数4〜20のシロキサンを、より効果的に抽出、除去することができる。
導電性ローラを所定の時間、超臨界流体と接触させて、シロキサンオリゴマーを抽出した後、該導電性ローラを回収することにより、シロキサンオリゴマーが低減した導電性ローラを得ることができる。上述したように、良好な印字品質を得るためには、シリコーンゴムに含まれるケイ素原子数4〜20のシロキサンの含有量が1,500ppm以下である導電性ローラが好ましい。なお、シロキサンの含有量は、n−ヘキサン抽出によるガスクロマトグラフ法によって決定される。
超臨界流体が二酸化炭素などの不活性物質である場合は、シロキサンオリゴマーが溶け込んだ超臨界流体を分離槽に移し、超臨界流体を減圧装置で臨界点以下の状態にしてシロキサンオリゴマーと超臨界流体を分離し、回収した超臨界流体を再度抽出処理に利用することができる。
超臨界流体が二酸化炭素などの不活性物質である場合は、シロキサンオリゴマーが溶け込んだ超臨界流体を分離槽に移し、超臨界流体を減圧装置で臨界点以下の状態にしてシロキサンオリゴマーと超臨界流体を分離し、回収した超臨界流体を再度抽出処理に利用することができる。
上述した抽出処理後に、導電性ローラの弾性層の表面を、樹脂でコーティング処理してもよい。これにより、弾性層表面からのシロキサンオリゴマーの滲み出しを低減させることができるため、印字画像の汚れ、かすれ、及び白抜けをより一層有効に防止することができる。コーティング処理に用いる樹脂としては、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
本発明の画像形成装置は、上記導電性ローラを備えてなるものである。該画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置は、現像手段に単色の現像剤のみを収容するモノクロ画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、モノクロ画像形成装置に限定されず、カラー画像形成装置であってもよい。カラー画像形成装置としては、例えば、像担持体上に担持された現像剤像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置、各色毎の現像手段を備えた複数の像担持体を中間転写体や転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置などが挙げられる。画像形成装置は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンターなどの画像形成装置とされる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
(スポンジローラの作製)
導電性の棒状体である硫黄快削鋼に無電解ニッケルメッキを施した直径6mm、長さ250mmのシャフトを設け、その外周面にシリコーン系プライマーNo.101A/B(商品名、信越化学工業株式会社製)を塗布した。
次いで、ギヤオーブン中で150℃、10分間焼き付けて導電性ローラ用の芯金、すなわち軸体を得た。
シリコーンゴムコンパウンド「KE−550U」(商品名、信越化学工業株式会社製)40質量部、シリコーンゴムコンパウンド「KE−3502U」(商品名、信越化学工業株式会社製)50質量部、シリコーン生ゴム「KE−76VBS」10質量部、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部、有機発泡剤KEP−13(商品名、信越化学工業株式会社製)5質量部、有機過酸化物架橋剤C−3(商品名、信越化学工業株式会社製)3質量部、白金系触媒C−25A(商品名、信越化学工業株式会社製)2質量部、架橋剤としてC−25B(商品名、信越化学工業株式会社製)2質量部を配合し、二本ロールを使用して混合することによりシリコーンゴム配合物を調製した。得られたシリコーンゴム配合物を押出し機で前記軸体と一体で押出し、所定の外径のゴムローラを得た。
導電性の棒状体である硫黄快削鋼に無電解ニッケルメッキを施した直径6mm、長さ250mmのシャフトを設け、その外周面にシリコーン系プライマーNo.101A/B(商品名、信越化学工業株式会社製)を塗布した。
次いで、ギヤオーブン中で150℃、10分間焼き付けて導電性ローラ用の芯金、すなわち軸体を得た。
シリコーンゴムコンパウンド「KE−550U」(商品名、信越化学工業株式会社製)40質量部、シリコーンゴムコンパウンド「KE−3502U」(商品名、信越化学工業株式会社製)50質量部、シリコーン生ゴム「KE−76VBS」10質量部、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部、有機発泡剤KEP−13(商品名、信越化学工業株式会社製)5質量部、有機過酸化物架橋剤C−3(商品名、信越化学工業株式会社製)3質量部、白金系触媒C−25A(商品名、信越化学工業株式会社製)2質量部、架橋剤としてC−25B(商品名、信越化学工業株式会社製)2質量部を配合し、二本ロールを使用して混合することによりシリコーンゴム配合物を調製した。得られたシリコーンゴム配合物を押出し機で前記軸体と一体で押出し、所定の外径のゴムローラを得た。
押出機で押出したゴムローラを、炉内雰囲気250℃のIR加熱炉で10分間加熱発泡させて一次加熱し、さらにこの後180℃のオーブンにて4時間加熱し、二次加熱を行った。二次加熱終了後、研磨機で直径15mmまで研磨加工し、発泡体である弾性層を有する導電性ローラ(スポンジローラI)を得た。得られたスポンジローラIを20℃の環境下で十分放置した。
(実施例1)
作製したスポンジローラIを抽出槽に入れた後、超臨界流体として二酸化炭素を用い、該スポンジローラIを、31.3℃の温度、7.3MPaの圧力の二酸化炭素に90分間の時間接触させて、シロキサンオリゴマーの超臨界抽出を行った。
その後、このスポンジローラIの弾性層の一部をn−ヘキサン抽出し、ガスクロマトグラフ法で分析することにより、揮散するケイ素原子数4〜20のシロキサン(D4〜D20)の量(ppm)を測定した。結果を表1に示す。
作製したスポンジローラIを抽出槽に入れた後、超臨界流体として二酸化炭素を用い、該スポンジローラIを、31.3℃の温度、7.3MPaの圧力の二酸化炭素に90分間の時間接触させて、シロキサンオリゴマーの超臨界抽出を行った。
その後、このスポンジローラIの弾性層の一部をn−ヘキサン抽出し、ガスクロマトグラフ法で分析することにより、揮散するケイ素原子数4〜20のシロキサン(D4〜D20)の量(ppm)を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
超臨界抽出の処理条件を、38.0℃の温度、9.0MPaの圧力の二酸化炭素に45分間の時間とした以外は、実施例1と同様の処理、測定を行った。結果を表1に示す。
超臨界抽出の処理条件を、38.0℃の温度、9.0MPaの圧力の二酸化炭素に45分間の時間とした以外は、実施例1と同様の処理、測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
超臨界抽出の処理条件を、45.0℃の温度、10.0MPaの圧力の二酸化炭素に15分間の時間とした以外は、実施例1と同様の処理、測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
超臨界抽出の条件を、第一段階として、43.0℃の温度、9.5MPaの圧力の二酸化炭素に15分間、その後、第二段階として、32.0℃の温度、7.5MPaの圧力まで下げて、30分間接触した以外は、実施例1と同様の処理、測定を行った。結果を表1に示す。
超臨界抽出の処理条件を、45.0℃の温度、10.0MPaの圧力の二酸化炭素に15分間の時間とした以外は、実施例1と同様の処理、測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
超臨界抽出の条件を、第一段階として、43.0℃の温度、9.5MPaの圧力の二酸化炭素に15分間、その後、第二段階として、32.0℃の温度、7.5MPaの圧力まで下げて、30分間接触した以外は、実施例1と同様の処理、測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
作製したスポンジローラIに対し、超臨界抽出を行うことなく、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
作製したスポンジローラIに対し、超臨界抽出を行うことなく、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
(ソリッドローラの作製)
メチルビニルシリコーン生ゴム(商品名「KE−78VBS」、信越化学工業株式会社製)100質量部、ジメチルシリコーン生ゴム(商品名「KE−76VBS」、信越化学工業株式会社製)20質量部、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部、煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL OX−50」、平均一次粒径40nm、嵩密度0.13g/cm3、日本アエロジル株式会社製)15質量部、白金系触媒(商品名「C−19A」、信越化学工業株式会社製)0.5質量部、ハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−19B」、信越化学工業株式会社製)2質量部を配合し、加圧ニーダーで混練して、付加硬化型導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
メチルビニルシリコーン生ゴム(商品名「KE−78VBS」、信越化学工業株式会社製)100質量部、ジメチルシリコーン生ゴム(商品名「KE−76VBS」、信越化学工業株式会社製)20質量部、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部、煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL OX−50」、平均一次粒径40nm、嵩密度0.13g/cm3、日本アエロジル株式会社製)15質量部、白金系触媒(商品名「C−19A」、信越化学工業株式会社製)0.5質量部、ハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−19B」、信越化学工業株式会社製)2質量部を配合し、加圧ニーダーで混練して、付加硬化型導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
次いで、プライマー層を形成した軸体と付加硬化型導電性シリコーンゴム組成物とを、クロスヘッド型押出成形機にて一体押出しし、ギヤオーブンを用いて、250℃、30分間加熱した。その後、さらに、ギヤオーブンを用いて、180℃で4時間にわたって、二次加熱し、常温にて24時間放置した。次いで、円筒研削盤にて、形成した弾性層の直径が20mmとなるように、弾性層の表面を研磨し、導電性ローラ(ソリッドローラI)を作製した。
また、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部の代わりに、カーボンブラック(商品名「ケッチェンブラック」、ライオン株式会社製)10質量部を用いた以外は、上記と同様の条件、方法で導電性ローラ(ソリッドローラII)を作製した。
また、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部の代わりに、カーボンブラック(商品名「ケッチェンブラック」、ライオン株式会社製)10質量部を用いた以外は、上記と同様の条件、方法で導電性ローラ(ソリッドローラII)を作製した。
(実施例5)
作製したソリッドローラIを抽出槽に入れた後、超臨界流体として二酸化炭素を用い、該ソリッドローラIを、31.3℃の温度、7.3MPaの圧力の二酸化炭素に90分間の時間接触させて、シロキサンオリゴマーの超臨界抽出を行った。
その後、このソリッドローラIの弾性層の一部をn−ヘキサン抽出し、ガスクロマトグラフ法で分析することにより、揮散するケイ素原子数4〜20のシロキサン(D4〜D20)の量(ppm)を測定した。結果を表1に示す。
作製したソリッドローラIを抽出槽に入れた後、超臨界流体として二酸化炭素を用い、該ソリッドローラIを、31.3℃の温度、7.3MPaの圧力の二酸化炭素に90分間の時間接触させて、シロキサンオリゴマーの超臨界抽出を行った。
その後、このソリッドローラIの弾性層の一部をn−ヘキサン抽出し、ガスクロマトグラフ法で分析することにより、揮散するケイ素原子数4〜20のシロキサン(D4〜D20)の量(ppm)を測定した。結果を表1に示す。
(実施例6)
作製したソリッドローラIIに対し、実施例5と同様の処理、測定を行った。結果を表1に示す。
作製したソリッドローラIIに対し、実施例5と同様の処理、測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
作製したソリッドローラIに対し、超臨界抽出を行うことなく、実施例5と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
作製したソリッドローラIに対し、超臨界抽出を行うことなく、実施例5と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
作製したソリッドローラIIに対し、超臨界抽出を行うことなく、実施例5と同様の処理、測定を行った。結果を表1に示す。
作製したソリッドローラIIに対し、超臨界抽出を行うことなく、実施例5と同様の処理、測定を行った。結果を表1に示す。
(印字評価:印字画像の汚れ、かすれ、白抜け)
実施例1〜4、比較例1の導電性ローラをトナー供給ローラとして、実施例5〜6、比較例2〜3の導電性ローラを現像ローラとして、非磁性一成分電子写真方式のプリンター(MicroLine 9500PS、沖データ株式会社製、商品名)の現像器に配置し、48℃、55RH%の環境下で2週間放置した。その後、室温に戻して、黒ベタ印字、白ベタ印字を実施した。さらに、印字率1%の横線パターンでA4用紙5,000枚を連続印刷し、白ベタ印字、黒ベタ印字の順で印字を行い、印刷時の汚れ、かすれ、白抜けの発生を目視で確認した。
実施例1〜4、比較例1の導電性ローラをトナー供給ローラとして、実施例5〜6、比較例2〜3の導電性ローラを現像ローラとして、非磁性一成分電子写真方式のプリンター(MicroLine 9500PS、沖データ株式会社製、商品名)の現像器に配置し、48℃、55RH%の環境下で2週間放置した。その後、室温に戻して、黒ベタ印字、白ベタ印字を実施した。さらに、印字率1%の横線パターンでA4用紙5,000枚を連続印刷し、白ベタ印字、黒ベタ印字の順で印字を行い、印刷時の汚れ、かすれ、白抜けの発生を目視で確認した。
5,000枚まで印刷した時に、汚れ、かすれ、白抜けのいずれも発生しなかった場合を「○」、汚れ、かすれ、又は白抜けが発生したが、問題の無いレベルの場合を「△」、汚れ、かすれ、又は白抜けが発生した場合を「×」とした。評価結果を表1に示す。
(印字評価の結果)
表1からわかるように、本発明に係る実施例1〜6は、比較例1〜3に比べて、導電性ローラに含まれるケイ素原子数4〜20のシロキサンの含有量が非常に少なく、その結果、良好な印字品質を得ることができた。特に、スポンジローラに係る実施例1〜4では、ケイ素原子数4〜20のシロキサンの量を、超臨界抽出処理を行わない比較例1で測定された値の1.2〜4.4%の量に著しく減少させることができた。
表1からわかるように、本発明に係る実施例1〜6は、比較例1〜3に比べて、導電性ローラに含まれるケイ素原子数4〜20のシロキサンの含有量が非常に少なく、その結果、良好な印字品質を得ることができた。特に、スポンジローラに係る実施例1〜4では、ケイ素原子数4〜20のシロキサンの量を、超臨界抽出処理を行わない比較例1で測定された値の1.2〜4.4%の量に著しく減少させることができた。
Claims (8)
- シリコーンゴムを含む弾性層を有する導電性ローラを超臨界流体と接触させて、該シリコーンゴムに含まれるシロキサンオリゴマーを該超臨界流体で抽出し、該シリコーンゴムからシロキサンオリゴマーを除去することを特徴とする導電性ローラの製造方法。
- シロキサンオリゴマーが、ケイ素原子数4〜20のシロキサンである請求項1記載の製造方法。
- 超臨界流体が、二酸化炭素である請求項1又は2記載の製造方法。
- シリコーンゴムを含む弾性層を有する導電性ローラを、28.0〜45.0℃の温度、6.0〜10.0MPaの圧力の二酸化炭素に、15〜90分間の時間接触させる請求項1又は2記載の製造方法。
- シリコーンゴムを含む弾性層を有する導電性ローラを、40.0〜45.0℃の温度、9.0〜10.0MPaの圧力の二酸化炭素に、15〜90分間の時間接触させた後、さらに、31.3〜35.0℃の温度、7.3〜8.0MPaの圧力の二酸化炭素に、15〜90分間の時間接触させる請求項1又は2記載の製造方法。
- シロキサンオリゴマーを超臨界流体で抽出した後、導電性ローラの弾性層の表面を樹脂でコーティング処理する請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
- 弾性層を形成するシリコーンゴムに含まれるシロキサンオリゴマーの含有率が1500ppm以下である、請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法により得られる導電性ローラ。
- 請求項7記載の導電性ローラを備えてなる画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007073505A JP2008233565A (ja) | 2007-03-20 | 2007-03-20 | 導電性ローラの製造方法及び導電性ローラ |
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ID=39906407
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010230819A (ja) * | 2009-03-26 | 2010-10-14 | Canon Inc | 帯電部材の製造方法 |
JP2022506669A (ja) * | 2018-11-16 | 2022-01-17 | 浙江大学 | 超臨界/亜臨界流体を用いたスポンジ中の揮発性有機物の除去方法 |
-
2007
- 2007-03-20 JP JP2007073505A patent/JP2008233565A/ja active Pending
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