JP2010230819A - 帯電部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性粒子を含有する導電性弾性層を有する帯電部材の製造方法において、(A)未架橋ゴム、導電性粒子、架橋剤を含有する未架橋混合物を混練する工程と、(B)未架橋混合物を架橋し、導電性弾性層を成形する工程と、(C)該導電性弾性層を超臨界二酸化炭素を含む超臨界流体に浸漬する工程と、を有することを特徴とする帯電部材の製造方法。
【選択図】図3
Description
(A)未架橋ゴム、導電性粒子、架橋剤を含有する未架橋混合物を混練する工程と、
(B)未架橋混合物を架橋し、導電性弾性層を成形する工程と、
(C)該導電性弾性層を超臨界二酸化炭素を含む超臨界流体に浸漬する工程と、を有することを特徴とする。
(A)未架橋ゴム、導電性粒子、架橋剤を含有する未架橋混合物を混練する工程、
(B)未架橋混合物を架橋し、導電性弾性層を成形する工程、
(C)該導電性弾性層を超臨界二酸化炭素を含む超臨界流体に浸漬する工程。
以下に、(A)未架橋ゴム、導電性粒子、架橋剤を含有する未架橋混合物を混練する工程を説明していく。上記未架橋混合物は、未架橋ゴム、導電性粒子、架橋剤、及び、必要に応じてその他の配合剤を含有する。
未架橋ゴムとは、導電性粒子を分散するマトリックスポリマーとなる原料ゴムであり、(B)の工程で架橋されるゴムである。
未架橋ゴムとして更に好ましいのは、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴムである。これらは、耐通電劣化性と加工性の面で優れている。
帯電部材の導電性弾性層には、103〜109Ωcm程度の中抵抗が必要とされる。導電性粒子とは、未架橋ゴムに分散し複合化することで、導電性弾性層を103〜109Ωcm程度の中抵抗に導電化するために用いる、超臨界流体に不溶の粒子である。本発明の導電性粒子は、電子導電機構によって導電性を発現するものが好ましい。イオン導電機構によって導電性を発現する導電性粒子の場合には、超臨界流体によって溶出してしまう場合がある。
架橋剤は、鎖状の分子構造である未架橋ゴムを架橋して三次元網目状の分子構造にする配合剤である。架橋剤は、未架橋ゴムの種類によって適宜選択してよい。架橋剤の架橋方式としては、硫黄架橋、パーオキサイド架橋、金属架橋、アミン架橋、オキシム架橋、樹脂架橋、エチレンチオウレア架橋等が挙げられる。これらの中でも硫黄架橋が帯電部材として好適な機械強度特性を得られるので好ましい。
導電性弾性層には、本発明により製造される帯電部材に必要とされる導電性や、機械強度等の特性を失わない範囲で、一般的に用いられる以下の配合剤を適宜添加することができる。例えば、架橋促進剤、架橋促進助剤、加工助剤、架橋遅延剤、充填剤、分散剤、発泡剤、滑剤、老化防止剤、オゾン劣化防止剤、酸化防止剤等。
これらの未架橋ゴム、導電性粒子、架橋剤、及びその他の配合剤の混練方法としては、以下の方法が例示できる。バンバリーミキサー、インターミックス、及び加圧式ニーダー等の密閉型混練機を使用した方法や、オープンロール等の開放型の混練機を使用した方法。
以下に、(B)未架橋混合物を架橋し、導電性弾性層を成形する工程を説明していく。
以下に、(C)導電性弾性層を超臨界流体に浸漬する工程を説明していく。本発明における超臨界流体は、臨界点以上(臨界温度以上かつ臨界圧力以上)の状態にある流体である。そして、好ましくは、臨界点以上のある温度・圧力における超臨界流体中に100mol%以下50mol%以上の超臨界二酸化炭素を含有するものである。二酸化炭素の臨界点は、31℃、7.4MPaである。超臨界二酸化炭素を含む超臨界流体には、エントレーナ(助剤)としての溶媒を含んでいても良い。エントレーナとしての溶媒は、超臨界状態にて導電性弾性層に浸透するのに十分な分子の小ささであり、導電性弾性層との反応性が無いものが好ましい。このような溶媒の例を以下に挙げる。エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール等のアルコール類;ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素類;ブテン、ペンテン等の不飽和炭化水素類;キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン,エチルメチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類等。特に、二酸化炭素との相溶性、導電性弾性層への浸透性の観点から、水酸基を1つもつ炭素数1〜6のアルキルアルコールが好ましい。更に、エントレーナとしてアルコールを用いた場合、更に通電劣化が抑制される。このようなアルコールの効果は、カーボン粒子等の導電性粒子間への超臨界流体の浸透力が高まり、導電性粒子の分散を促進するためであると考えられる。添加するアルコールとしては、導電性粒子との親和性、導電性粒子間への浸透性から、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノールが好ましく、エタノールが更に好ましい。アルコールの含有量としては、通電劣化の抑制効果の観点から、超臨界二酸化炭素を含む超臨界流体を100mol%として、1mol%以上、10mol%以下であることが好ましい。1mol%以上とすることで、カーボン粒子等の導電性粒子間への超臨界流体の浸透力が高まる。10mol%以下とすることで、アルコールが二酸化炭素と相分離することなく、超臨界流体が、超臨界二酸化炭素単独の性質に近づくことを抑制することができる。
上記の(A)〜(C)の工程で得た導電性弾性層の外周を紫外線により表面処理し、表面処理層を形成することができる。以下、その工程を説明するが、紫外線による表面処理以外の表面処理方法も用いることができる。紫外線の照射には高出力低圧水銀ランプ、無電極低圧水銀ランプ、エキシマランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。本発明の製造方法に用いる紫外線としては、100nm以上400nm以下の波長が好ましく、更に好ましくは、172nm、185nmといったオゾンが生成する波長を除くことが好ましい。100nm以上の紫外線であれば、大気中の酸素や窒素によって吸収されること無く、導電性弾性層の表面処理を効率良く行うことが出来る。また、400nm以下の紫外線を用いることで、導電性弾性層が熱の影響で劣化する可能性も防ぐことができる。オゾンは、酸化力が強く、導電性弾性層の表面自由エネルギーが大きくなる。そのため、オゾンが生成する波長を除くことで、トナーや外添剤が付着することによる画像不良が起こる可能性を抑制できる。このような観点から、本発明の製造方法に最も適しているのは、高出力低圧水銀ランプ、無電極低圧水銀ランプである。なお、紫外線による表面改質の度合いは積算光量によって調節できる。紫外線の積算光量は、下記で定義される。
紫外線の積算光量については、表面改質の効果に応じて適宜選択すれば良い。その調節は、照射時間、ランプ出力、ランプとローラとの距離のいずれでも行なうことが可能であり、所望の積算光量が得られるように決めればよい。低圧水銀ランプを用いる場合、紫外線の紫外線強度は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−A(商品名)やUVD−S254(商品名)を用いて測定することができる。エキシマランプを用いる場合、紫外線の紫外線強度は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−A(商品名)やVUV−S172(商品名)を用いて測定することができる。
〔導電性弾性層1を有する研磨ゴムローラの作製〕
〔工程(A)〕
以下の未架橋ゴム、導電性粒子、架橋剤、及びその他の配合剤を用いて、未架橋混合物を混練した。まず始めに、以下の未架橋ゴム、導電性粒子、配合剤を、加圧式ニーダーで15分間混練した。
NBR(商品名「ニポールDN219」:日本ゼオン(株)製)(DN219と略記する。):100質量部。
カーボンブラック(商品名「トーカブラック#7360SB」:東海カーボン製、DBP吸油量87ml/100g)(#7360SBと略記する。):48質量部。
加工助剤として、ステアリン酸亜鉛:1質量部。
架橋促進剤として、酸化亜鉛:5質量部。
充填剤として、炭酸カルシウム(商品名「ナノックス#30」:丸尾カルシウム(株)製):20質量部。
架橋促進剤として、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(商品名「ノクセラーDM−P」:大内新興化学(株)製)(DMと略記する):1質量部。
架橋促進剤として、テトラベンジルチウラムジスルフィド(商品名「ノクセラーTBzTD」:大内新興化学(株)製)(TBzTDと略記する。):3質量部。
硫黄:0.8質量部。
続いて、以下のように未架橋混合物を架橋し、研削を行い導電性弾性層1を有する研磨ゴムローラを作製した。
工程(A)での以下の変更点以外は、導電性弾性層1と同様の方法で、導電性弾性層2を有する研磨ゴムローラを作製した。
導電性弾性層1のカーボンブラック(#7360SB):48質量部の替わりに、以下の導電性粒子を用いた。
カーボンブラック(商品名「ケッチェンブラックEC600JD」:ライオン製、DBP吸油量495ml/100g)(EC600JDと略記する。):4.5質量部。
カーボンブラック(商品名「旭HS‐500」:旭カーボン製、DBP吸油量500ml/100g)(HS500と略記する。):17質量部。
カーボンブラック(商品名「サーマックッスフローフォームN990」、CANCAB社製、DBP吸油量38ml/100g)(N990と略記する。):40質量部。
液状エポキシ化ブタジエン(アデカイザー BF1000、旭電化工業(株)社製)を10質量部追加して用いた。
架橋促進剤として、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(DM)の添加量を0.5質量部とした。また、架橋促進剤として、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)の添加量を2質量部とした。
工程(A)での以下の変更点以外は、導電性弾性層2と同様の方法で、導電性弾性層3を有する研磨ゴムローラを作製した。
導電性弾性層2のNBR(DN219):100質量部の替わりに、以下の未架橋ゴムを用いた。
エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体(GECO)(商品名:エピクロマーCG105、ダイソー(株)社製)(CG105と略記する。):100質量部。
カーボンブラック(EC600JD)の添加量を3質量部とした。
カーボンブラック(HS500)の添加量を15質量部とした。
架橋促進剤として、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(DM)の添加量を0.8量部とした。また、架橋促進剤として、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)の添加量を3質量部とした。
工程(A)での以下の変更点以外は、導電性弾性層2と同様の方法で、導電性弾性層4を有する研磨ゴムローラを作製した。
導電性弾性層2のNBR(DN219):100質量部の替わりに、以下の未架橋ゴムを用いた。
SBR(商品名「JSR1507」:JSR(株)製):100質量部。
カーボンブラック(EC600JD)の添加量を4質量部とした。
カーボンブラック(HS500)の添加量を14質量部とした。
架橋促進剤として、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(DM)の添加量を1.5量部とした。また、架橋促進剤として、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)の添加量を2.5質量部とした。
図3の超臨界二酸化炭素処理装置によって、導電性弾性層1〜4有する研磨ゴムローラを超臨界二酸化炭素を含む超臨界流体に浸漬した。
超臨界状態での定常状態における温度、
超臨界状態での定常状態における圧力、
超臨界二酸化炭素と共に流すアルコールの種類、
超臨界流体を100mol%とした時のアルコールのmol%、
超臨界状態での定常時間は、表6のように種々の条件で行った。そして、表6に記載の実施例1〜22、比較例1〜4の超臨界二酸化炭素処理ゴムローラを得た。
続いて、上記実施例1〜22、比較例1〜4の超臨界二酸化炭素処理ゴムローラの導電性弾性層51に図5で模式的に示す紫外線照射装置を用いて、紫外線を照射した。紫外線照射装置は、ゴムローラを投入する投入口52、ゴムローラの両端の導電性支持体部分を受けて回転させるローラ回転部材53、ゴムローラに紫外線を照射する低圧水銀ランプ54、ゴムローラの紫外線照射雰囲気をコントロールするためのチャンバー55、入気孔56、排気孔57を有する。紫外線ランプは、低圧水銀ランプ(商品名「GLQ500US/11」、ハリソン東芝ライティング(株)製)を用いた。本紫外線照射装置において、波長254nmで計測した紫外線積算光量が90秒間で約8000mJ/cm2になるように照射した。このとき紫外線の紫外線強度は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UVD−S254を用いて測定した。こうして、実施例1〜22、比較例1〜4の帯電ローラを得た。
上記の実施例1〜22と比較例1〜4の帯電ローラの通電劣化を以下の方法で測定した。図6に、用いた通電劣化試験機の概略図を示す。帯電ローラ62をφ24の両端に500gの荷重をかけてステンレスシリンダ61に当接させ、次いでシリンダの回転速度を30rpmにして、帯電ローラを従動回転させた。63は固定抵抗器(1kΩ)、64はレコーダー、65はバイアス印加電源である。その印可電源の電圧を−200Vにして、この状態で600秒間連続的に通電した。試験環境としては、温度23℃相対湿度(RH)50%で行った。初期の電流値を100%として、電流値の時間的変化を示した結果の一例を図7に示す。点線は、超臨界二酸化炭素処理する前(比較例1)の測定値であり、実線は、超臨界二酸化炭素処理した後(実施例1)の測定値である。このように、電流値は徐々に減少していくが、超臨界二酸化炭素処理をしたものは、処理無しのものに比べて、経時的な電流保持率の低下が小さく通電劣化が抑制されていた。その結果を表6に示す。ただし、表中の電流保持率(%)は、600秒後の電流保持率を表す。
この際、600秒後の電流保持率が、36%以上100%以下であると、耐久画像評価を通して画像不良は認められない。また、30%以上36%未満であると、耐久画像評価の終了間際に画像出力方向に対して垂直な方向に1mm以下のスジが画像上見られるが、実用上問題の無い程度である。さらに、30%未満であると、耐久画像評価の終了間際に画像出力方向に対して垂直な方向に10mm程度のスジが画像上見られる。
導電性粒子の分散状態を知るために、動的粘弾性測定を行った。動的粘弾性の測定は、各種の粘弾性測定装置によって行なうことができる。例えば、アイティー計測制御社製のDVA220(商品名)、レオメトリックス社製のRSD,RSAII(商品名)、α-テクノロジーズ社製のRPA-2000(商品名)等の測定装置により行なうことができるが、特に限定されるものではない。
超臨界二酸化炭素処理した導電性弾性層のマトリックスポリマーの分子運動性を評価するために、パルス法NMRを測定した。測定試料は、実施例1と比較例1の導電性弾性層を1mm3程度に切断したものをセルに集めて使用した。測定装置は、商品名「JNM−MU25」:JEOL社製を用い、以下の条件で測定した。
実施例1と比較例1、実施例20と比較例2、実施例21と比較例3、実施例22と比較例4のそれぞれの対比から、超臨界二酸化炭素処理することで、通電劣化が抑制されることは明らかである。また、ゴム種、導電性粒子種によらず効果があることがわかる。
22 導電性弾性層
23 表面処理層
Claims (2)
- 導電性粒子を含有する導電性弾性層を有する帯電部材の製造方法において、
(A)未架橋ゴム、導電性粒子および架橋剤を含有する未架橋混合物を混練する工程と、
(B)未架橋混合物を架橋し、導電性弾性層を成形する工程と、
(C)該導電性弾性層を超臨界二酸化炭素を含む超臨界流体に浸漬する工程と、を有することを特徴とする帯電部材の製造方法。 - 前記流体がアルコールを含み、該アルコールの含有量が1mol%以上、10mol%以下である請求項1に記載の製造方法。
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