JP2582218B2 - 電子写真用シリコーンゴムローラおよびその製造方法 - Google Patents

電子写真用シリコーンゴムローラおよびその製造方法

Info

Publication number
JP2582218B2
JP2582218B2 JP11311693A JP11311693A JP2582218B2 JP 2582218 B2 JP2582218 B2 JP 2582218B2 JP 11311693 A JP11311693 A JP 11311693A JP 11311693 A JP11311693 A JP 11311693A JP 2582218 B2 JP2582218 B2 JP 2582218B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roller
silicone rubber
electrophotography
silicone
rubber roller
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP11311693A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0625431A (ja
Inventor
裕司 山崎
均 井谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP11311693A priority Critical patent/JP2582218B2/ja
Publication of JPH0625431A publication Critical patent/JPH0625431A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2582218B2 publication Critical patent/JP2582218B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Discharging, Photosensitive Material Shape In Electrophotography (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静電式複写機、レーザー
ビームプリンタ等の、電子写真法を応用した装置に使用
されるシリコーンゴムローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法には、絶縁性光伝導体を導電
基材上に成膜した感光体が使用され、以下の各工程によ
り画像が形成される。まず上記感光体の表面を、暗所で
均一に帯電させる(帯電工程)。つぎに、均一に帯電し
た感光体の表面に画像を露光する。そうすると、露光部
に電子、正孔対が発生してその部分の表面静電荷が中和
され、感光体の表面に、露光画像に対応した静電荷の像
状分布いわゆる静電潜像が形成される(露光工程)。
【0003】つぎに、静電潜像が形成された感光体の表
面に着色粉体(トナー)を接触させると、静電潜像の静
電荷に応じてトナーが感光体表面に静電付着して、静電
潜像がトナー像に顕像化される(現像工程)。つぎに、
このトナー像に紙等の被転写物を接触させつつ電場を印
加すると、トナー像が当該被転写物の表面に転写される
(転写工程)。
【0004】この後、感光体表面の残留電荷を除去し
(除電工程)、表面に残留したトナーを除去すれば(ク
リーニング工程)、電子写真法による画像形成の1サイ
クルが終了する。また、被転写物の表面に転写されたト
ナー像は、熱ローラ等によって熱処理されて、当該被転
写物の表面に定着される(定着工程)。
【0005】従来、上記電子写真法による画像形成のう
ち帯電工程、転写工程、除電工程にはそれぞれ、感光体
表面の近傍に張り渡した放電ワイヤによるコロナ放電が
用いられてきた。しかし放電ワイヤによるコロナ放電
は、オゾンの大量発生による空気の汚染や感光体の劣化
等を生じるという問題があった。そこで近時、上記の問
題を生じにくい帯電法として、感光体に接触させたゴム
ローラを使用する接触帯電法が実用化されつつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】接触帯電法に用いるゴ
ムローラは、耐環境変化安定性、耐オゾン性、耐熱安定
性等にすぐれることが要求され、これらの要求を満足す
るものとして、化学的、物理的に安定なシリコーンゴム
の使用が検討されている。しかしシリコーンゴム製のロ
ーラは、使用開始直後の段階では極めて良好な画質が得
られるが、長期間の使用によって、絵だしした画像にロ
ーラの跡が現れる、いわゆるタッチメモリを生じ、画質
を徐徐に悪化させる問題がある。
【0007】この問題は、シリコーンゴムローラの表面
から、式: (CH3)2 SiO n (式中nは3〜30程度)で表される比較的低重合度の
環状のシロキサンや、あるいはジメチルシリコーンオイ
ル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロ
ジェンシリコーンオイル等の無官能のシリコーンオイル
が浸出(ブリード)して感光体に移行するのが原因で発
生すると考えられている。
【0008】つまり感光体に移行した低重合度シロキサ
ンや無官能シリコーンオイルは、当該感光体を構成する
絶縁性光伝導体を変質させてその機能を劣化させる。ま
た、これらの物質は高い撥水性、絶縁性を有するためそ
の存在自体でも感光体の機能を妨げる。そして、感光体
の一部にシリコーンゴムローラが比較的長時間接触した
場合(たとえば装置の停止時等)に、これらの物質が感
光体を局部的に汚染し、それがローラの跡(タッチメモ
リ)として画像に現れる。またシリコーンゴムローラを
長期間使用するうちに、感光体の全体がこれらの物質に
汚染されてその蓄積濃度が徐々に増加してゆく結果、画
質が徐徐に悪化する。
【0009】低重合度シロキサンや無官能シリコーンオ
イルのブリードは従来より知られており、市販のシリコ
ーンゴム系コンパウンド(シリコーン生ゴムをベースポ
リマーとして、それに補強性充填剤等を添加したもの)
の中には、これらの物質を強制的に吸引してある程度除
去したグレードのものも提供されている。タッチパネル
等の通常の用途の場合、この程度のものでブリードの問
題は解決するが、電子写真用のローラの場合には市販品
程度の除去では十分でなく、残存する微量の低重合度シ
ロキサンや無官能シリコーンオイルにより、前記のよう
な感光体の汚染が発生する。
【0010】低重合度シロキサンは、架橋時の加熱によ
りある程度除去できることが知られている。たとえばミ
ラブル型のシリコーンゴム材料の場合、約180〜22
0℃の温度で2〜5時間程度加熱する二次架橋により、
低重合度シロキサンをある程度飛散、除去できる。しか
しその効果は未だ十分でなく、上記二次架橋程度の加熱
条件では、とくに低重合度シロキサンの中でも比較的重
合度の大きいものや、無官能シリコーンオイルは殆ど除
去することができない。つまり常圧下での熱処理だけで
は、感光体の汚染を完全に防止することはできない。
【0011】また低重合度シロキサンや無官能シリコー
ンオイルは、溶剤による抽出処理でも除去できるが、そ
の効果は微々たるものであり、この処理だけで十分な除
去効果を得ようとすると極めて長時間を要するため、生
産性の点で実用に適さない。本発明は以上の事情に鑑み
てなされたものであって、従来の処理方法では除去する
ことができなかった、ごく微量の低重合度シロキサンや
無官能シリコーンオイルまでほぼ完全に除去されてお
り、使用開始直後はいうまでもなく、その後長期間に亘
って感光体を汚染するおそれのない電子写真用シリコー
ンゴムローラとその製造方法を提供することを目的とし
ている。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するため、本発明者らは種々の処理方法について検討
し、その結果、シリコーンゴムを真空下で熱処理する
と、原因は明らかでないが、常圧下での熱処理と異な
り、かなり重合度の大きい低重合度シロキサンや無官能
シリコーンオイルまでをも効果的に吸引除去できるとの
知見を得た。そこでさらに検討を行った結果、低重合度
シロキサンや無官能シリコーンオイルをある程度除去し
たグレードのシリコーンゴム系コンパウンドを使用し、
それを成形後に真空加熱処理すると、低重合度シロキサ
ンや無官能シリコーンオイルがほぼ完全に除去されて、
使用開始直後はいうまでもなく、その後長期間に亘って
感光体を汚染するおそれのない電子写真用シリコーンゴ
ムローラが得られることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0013】すなわち本発明の電子写真用シリコーンゴ
ムローラは、シリコーン生ゴムをベースポリマーとする
ゴムコンパウンドを含み、当該ゴムコンパウンド中の低
重合度シロキサンおよび無官能シリコーンオイルの合計
の濃度が5000ppm以下である成形材料をローラ状
に架橋・成形してなり、成形後、到達真空度5mmHg
以下、加熱温度150〜250℃、処理時間3〜25時
間の条件下で真空加熱処理されたことを特徴とする。
【0014】かかる本発明の電子写真用シリコーンゴム
ローラは、前記のように低重合度シロキサンや無官能シ
リコーンオイルがほぼ完全に除去されており、使用開始
直後からその後長期間に亘って感光体を汚染するおそれ
がないので、オゾンの大量発生による空気の汚染や感光
体の劣化等を生じない接触帯電式の画像形成装置の実用
化が可能となる。
【0015】また、本発明の電子写真用シリコーンゴム
ローラの製造方法は、シリコーン生ゴムをベースポリマ
ーとするゴムコンパウンドを含み、当該ゴムコンパウン
ド中の低重合度シロキサンおよび無官能シリコーンオイ
ルの合計の濃度が5000ppm以下である成形材料を
ローラ状に架橋・成形した後、到達真空度5mmHg以
下、加熱温度150〜250℃、処理時間3〜25時間
の条件下で真空加熱処理することを特徴とする。
【0016】かかる本発明の製造方法によれば、本発明
の電子写真用シリコーンゴムローラを簡単かつ効率よく
生産することができる。本発明に使用される成形材料の
性状は液状およびミラブル型の何れでもよいが、とくに
従来のゴム材料と同様の工程でローラを製造できる混練
可能なミラブル型の成形材料が好適に使用される。ミラ
ブル型の成形材料は、重合度5000〜10000程度
のゲル状のシリコーン生ゴム(線状のオルガノポリシロ
キサンポリマー)をベースとして、エアロジル等の無水
シリカ系の補強性充填剤、分散促進剤等が配合された市
販のシリコーンゴム系コンパウンドに、架橋剤、触媒、
非補強性(増量)充填剤、抵抗制御剤等の各種添加剤を
配合し、ロールミル等によって溶融混練することで作製
される。また本発明の電子写真用シリコーンゴムローラ
は、感光体との接触面積を大きくして帯電特性を安定さ
せるべく、柔軟なスポンジ状であるのが好ましく、その
ため成形材料には、一次架橋または二次架橋時の加熱に
より発泡する発泡剤を添加してもよい。これら添加剤の
添加量は、従来と同程度でよい。
【0017】ベースポリマーであるシリコーン生ゴムと
しては、ジメチルシリコーン系、メチルビニルシリコー
ン系、メチルフェニルビニルシリコーン系、フロロシリ
コーン系等の従来公知の種々の系列のものを使用するこ
とができる。シリコーンゴム系コンパウンド中に含まれ
る低重合度シロキサンおよび無官能シリコーンオイルの
合計の濃度は、前記のように5000ppm以下に限定
される。両者の合計の濃度が5000ppmを超える
と、成形後の真空加熱処理だけでは両物質を完全に除去
できず、ローラの使用開始直後には感光体の汚染の問題
は生じないが、ローラの内部に残存した低重合度シロキ
サンや無官能シリコーンオイルが、その後徐徐に表面に
ブリードして感光体を汚染するようになり、除去効果が
失われてしまう。
【0018】シリコーンゴム系コンパウンド中に含まれ
る上記両成分の合計の濃度を5000ppm以下に調整
するには、シリコーン生ゴムを真空処理して、両成分を
強制的に吸引除去する等の方法があげられるが、前述し
たように市販のシリコーンゴム系コンパウンドの中に
は、両成分の合計の濃度が上記範囲内に調整済みのもの
もあるので、それをそのまま使用するのが生産性やコス
トの点で望ましい。低重合度シロキサンおよび無官能シ
リコーンオイルの合計の濃度が上記範囲内に調整済みの
市販のシリコーンゴム系コンパウンドとしては、たとえ
ば信越化学社製の品番X−30−1807U(導電性シ
リコーンコンパウンド)やX−30−1807M(絶縁
性シリコーンコンパウンド)等があげられる。
【0019】架橋剤としては、たとえば有機過酸化物系
の架橋剤を使用することができる。かかる有機過酸化物
系の架橋剤としては、たとえばベンゾイルパーオキサイ
ド、ビス−2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオ
キサイド、p−モノクロルベンゾイルパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ビス−(tert−ブチルパー
オキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルパーオキサイド
等があげられる。また、脂肪酸アゾ化合物や硫黄等を架
橋剤として使用することもできる。
【0020】増量充填剤としては、補強性充填剤、炭酸
カルシウム、ハードクレー、硫酸バリウム、タルク、マ
イカ、アスベスト、グラファイト等の無機充填剤、再生
ゴム、粉末ゴム、アスファルト類、スチレン樹脂、にか
わ等の有機充填剤があげられる。上記各成分を含有する
成形材料から電子写真用シリコーンゴムローラを製造す
るには、成形材料をローラ状に架橋・成形した後、真空
加熱処理する本発明の製造方法が採用される。
【0021】成形材料をローラ状に架橋・成形するに
は、従来と同様の成形方法が採用される。たとえばミラ
ブル型の成形材料の場合、圧縮成形、射出成形、トラン
スファー成形等の成形方法により、成形と同時に一次架
橋させるか、または、カレンダロール成形、押出成形等
の方法でローラ状に成形し、HAV(常圧熱気加硫)法
等の従来公知の架橋方法で一次架橋させたのち、熱風乾
燥機等を用いて二次架橋させればよい。また、以下に述
べる真空加熱処理を二次架橋の代わりとすることもでき
る。
【0022】成形されたローラを真空加熱処理するに
は、たとえば真空オーブン等の装置が使用される。真空
加熱処理の条件は、この発明では、到達真空度5mmH
g以下、加熱温度150〜250℃、処理時間3〜25
時間に限定される。到達真空度が5mmHgを上回った
り、加熱温度が150℃を下回ったり、あるいは処理時
間が3時間より短かったりした場合には、低重合度シロ
キサンや無官能シリコーンオイルを十分に除去すること
ができない。また加熱温度が250℃を上回ったり、処
理時間が25時間より長かったりした場合には、エネル
ギーのむだ遣いになるだけでなく、ローラが変質、劣化
してしまう。
【0023】なお加熱温度は直接測定するのが最適であ
るが、直接測定できない場合は、たとえば処理に使用し
た炉の炉壁温度等により代用できる。この真空加熱処理
により、低重合度シロキサンや無官能シリコーンオイル
がほぼ完全に除去されて、感光体を汚染するおそれのな
い本発明の電子写真用シリコーンゴムローラが完成す
る。
【0024】なお本発明においては、上記真空加熱処理
の前後何れかの段階で、成形されたローラを溶剤抽出処
理してもよい。溶剤抽出処理を行うと、真空加熱処理だ
けでは除去しきれないおそれのある、比較的分子量の大
きい無官能シリコーンや低重合度シロキサンを確実に除
去することができ、これらの物質の残留濃度を、より一
層低下させることができる。
【0025】溶剤としては、低重合度シロキサンおよび
無官能シリコーンを溶解しうる種々の溶剤が使用でき、
とくにアセトン、ヘキサン、酢酸エチル、トルエン等が
好ましいものとしてあげられる。上記本発明の製造方法
で製造された、本発明の電子写真用シリコーンゴムロー
ラは、低重合度シロキサンや無官能シリコーンオイルが
真空加熱処理によってほぼ完全に除去されて殆ど残留し
ていないので、感光体表面に接触させて配置しても、使
用開始直後はいうまでもなく、その後長期間に亘って感
光体を汚染するおそれがない。したがって本発明の電子
写真用シリコーンゴムローラは、静電式複写機やレーザ
ービームプリンタ等の画像形成装置において、感光体の
表面を均一に帯電させるための帯電用ローラ、感光体の
表面に形成されたトナー像を紙等の被転写物に転写させ
るための転写用ローラ、感光体表面の残留電荷を除去す
るための除電ローラ等の、感光体表面に接触して配置さ
れる接触帯電用のローラとして好適に使用することがで
きる。
【0026】なお本発明の電子写真用シリコーンゴムロ
ーラを、上記接触帯電用のローラとして使用する場合に
は、その抵抗値が103 〜1010Ωであるのが好まし
い。抵抗値が103 Ω未満では、たとえば帯電用ローラ
として使用した場合に、一度帯電させたものがローラに
吸収されてしまい、感光体を所定の電荷に帯電させるこ
とができなくなるおそれがある。また抵抗値が1010Ω
を超えると、感光体を所定の電荷に帯電させるための印
加電圧が高くなり、より高電圧の電源が必要となって装
置が大型化するおそれがある。
【0027】電子写真用シリコーンゴムローラの抵抗値
を上記範囲内にするには、導電性のシリコーンゴム系コ
ンパウンドと絶縁性のシリコーンゴム系コンパウンドと
を併用して、その配合割合を適宜調整したり、添加剤と
して抵抗調整剤の添加量を調整したりすればよい。また
本発明の電子写真用シリコーンゴムローラは、前述のよ
うに、感光体との接触面積を大きくして帯電特性を安定
させるべく、柔軟なスポンジ状であるのが好ましい。
【0028】なお、本発明の電子写真用シリコーンゴム
ローラは、接触帯電用のローラ以外にも、たとえば感光
体表面には直接接触しないが、ローラ中の成分が紙を媒
体として感光体に移行して感光体の汚染を引き起こすお
それのある給紙ローラや搬送ローラ等にも応用可能であ
る。以上のように本発明によれば、低重合度シロキサン
や無官能シリコーンオイルをある程度除去したグレード
のシリコーンゴム系コンパウンドを使用し、それを成形
後に真空加熱処理して、低重合度シロキサンや無官能シ
リコーンオイルをほぼ完全に除去しているため、使用開
始直後はいうまでもなく、その後長期間に亘って感光体
を汚染するおそれのない電子写真用シリコーンゴムロー
ラを製造することができる。したがって本発明によれ
ば、オゾンの大量発生による空気の汚染や感光体の劣化
等を生じない接触帯電式の画像形成装置の実用化が可能
となる。
【0029】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて
説明する。実施例1 低重合度シロキサンおよび無官能シリコーンオイルの合
計の濃度が5000ppm以下に調整された導電性のシ
リコーンゴム系コンパウンド(信越化学社製の品番X−
30−1807U)60重量部と、同じく両成分の合計
の濃度が5000ppm以下に調整された絶縁性のシリ
コーンゴム系コンパウンド(信越化学社製の品番X−3
0−1807M)40重量部とを、下記の添加剤と混合
し、ロールミルによって溶融混練して、ミラブル型の成
形材料を作製した。
【0030】 添加剤 添加量 発泡剤:信越化学社製の品番X−30−1847U 5phr 架橋剤:信越化学社製の品番X−30−1848U 2.5phr 信越化学社製の品番X−30−1849U 2.0phr 触 媒:信越化学社製の品番PL−2 0.03phr 触媒制御剤: 信越化学社製の品番X−30−253 0.03phr つぎに、上記成形材料をローラ状に押出成形した後、H
AV法により200℃、30分の条件で一次架橋させ
て、ローラを成形した。
【0031】そして上記ローラを、真空オーブン(真空
定温乾燥機、ヤマト科学社製のDP61型)を用いて、
到達真空度2mmHg、炉壁温度240℃の条件で6時
間、二次架橋とともに真空加熱処理して、電子写真用シ
リコーンゴムローラを製造した。実施例2〜6 実施例1と同じ成形材料から、実施例1と同様の成形条
件で一次架橋および成形したローラを、常圧定温乾燥機
(ヤマト科学社製のDNF64型)を用いて、HAV法
により200℃、4時間の条件で二次架橋させた後、前
記と同じ真空オーブンを用いて、表1に示す条件で真空
加熱処理して、電子写真用シリコーンゴムローラを製造
した。
【0032】
【表1】
【0033】比較例1 低重合度シロキサンおよび無官能シリコーンオイルの合
計の濃度が5000ppm以下に調整されていない導電
性のシリコーンゴム系コンパウンド(信越化学社製の品
番X−30−289U)60重量部と、同じく両成分の
合計の濃度が5000ppm以下に調整されていない絶
縁性のシリコーンゴム系コンパウンド(信越化学社製の
品番KE−1551U)40重量部とを、下記の添加剤
と混合し、ロールミルによって溶融混練して、ミラブル
型の成形材料を作製した。
【0034】 添加剤 添加量 発泡剤:信越化学社製の品番KEP−13 5phr 架橋剤:信越化学社製の品番C−3M 2.5phr 信越化学社製の品番HC−101 2.0phr 触 媒:信越化学社製の品番PL−2 0.03phr 触媒制御剤: 信越化学社製の品番X−30−253 0.03phr そして、上記成形材料を用いて、実施例1と同様の成形
条件で一次架橋および成形したローラを、真空加熱処理
せず、常圧定温乾燥機(ヤマト科学社製のDNF64
型)を用いて常圧下で、HAV法により200℃、4時
間の条件で二次架橋させて、電子写真用シリコーンゴム
ローラを製造した。
【0035】比較例2 比較例1と同じ成形材料を使用して、前記実施例1と同
じ成形条件で一次架橋および成形したローラを、実施例
1と同じ真空加熱処理条件で二次架橋とともに真空加熱
処理して電子写真用シリコーンゴムローラを製造した。比較例3 実施例1と同じ成形材料を使用して、前記比較例1と同
じ成形条件で一次架橋および成形したローラを、真空加
熱処理せずに、比較例1と同じ条件で、常圧下で二次架
橋させて電子写真用シリコーンゴムローラを製造した。
【0036】比較例4 常圧下の二次架橋の条件を250℃、4時間にしたこと
以外は、上記比較例3と同様にして電子写真用シリコー
ンゴムローラを製造した。比較例5 実施例1と同じ成形材料から、実施例1と同様の成形条
件で一次架橋および成形したローラを、真空加熱処理せ
ずに、80℃に加熱したトリクロロエタンを用いて10
分間洗浄して、電子写真用シリコーンゴムローラを製造
した。
【0037】比較例6〜10 実施例1と同じ成形材料から、実施例1と同様の成形条
件で一次架橋および成形したローラを、真空加熱処理せ
ずに、表2に示す溶剤に浸漬して常温で76時間抽出処
理して、電子写真用シリコーンゴムローラを製造した。
【0038】
【表2】
【0039】上記各実施例、比較例の電子写真用シリコ
ーンゴムローラを、レーザービームプリンタ(キャノン
社製のレーザーショットプリンタA404)の感光体に
圧着させて、環境温度23.5℃、環境湿度55%RH
の条件で72時間放置した後、黒べたのテストチャート
を5枚連続して絵だしした。つぎに、この絵だししたテ
ストチャートのうち、感光体表面の、ローラが圧着して
いた部分に対応する箇所に5mm四方の試験範囲を設定し
て、その部分の輝度を画像処理装置〔ピアス(PIAS
社製のパーソナルイメージアナリシスシステムLA−5
55〕で測定し、輝度0(黒色)〜255(白色)の2
56段階に分類した。そして、下記の評価基準に基づい
て、感光体汚染性を評価した。 ○:輝度平均値0〜62(タッチメモリなし) △:輝度平均値63〜68(微かにタッチメモリあり) ×:輝度平均値69〜255(明らかにタッチメモリあ
り) 結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】上記表3にみるように、真空加熱処理せず
常圧で二次架橋させただけの比較例1,3,4、真空加
熱処理せず溶剤で洗浄しただけの比較例5、および真空
加熱処理せず溶剤抽出処理しただけの比較例6,8,
9,10のローラはいずれも、シリコーン生ゴム中の低
重合度シロキサンおよび無官能シリコーンオイルの合計
の濃度に関係なく、感光体の汚染を生じた。また、真空
加熱処理せず溶剤抽出処理しただけの比較例のうち、溶
剤としてヘキサンを使用した比較例7は感光体の汚染が
あまりみられなかったが、処理に76時間も必要なため
実用的でないことが確認された。
【0042】これに対し、低重合度シロキサンおよび無
官能シリコーンオイルの合計の濃度が5000ppm以
下に調整されたシリコーンゴム系コンパウンドを含む成
形材料を使用するとともに、成形後のローラを真空加熱
処理した実施例1〜6のローラはいずれも、真空加熱処
理の条件や常圧での二次架橋の有無に関係なく、感光体
の汚染を生じなかった。
【0043】また実施例3(真空加熱処理)、比較例1
(常圧加熱処理)および比較例4(溶剤抽出処理)のロ
ーラについて、重合度4〜25の低重合度シロキサンの
濃度をガスクロマトグラフィー法により測定したとこ
ろ、図1に示すように、比較例1、4のローラに比べて
実施例3のローラは、低重合度シロキサンの濃度が著し
く低いことが確認された。
【0044】以上の結果より、感光体汚染を防止するに
は成形後のローラを真空加熱処理するのが最も有効であ
ることがわかった。低重合度シロキサンおよび無官能シ
リコーンオイルの合計の濃度が5000ppm以下に調
整されていないシリコーンゴム系コンパウンドを含む成
形材料を使用するとともに、成形後のローラを真空加熱
処理した比較例2のローラは、実施例1〜6と同様に感
光体の汚染を生じなかった。そこでこの比較例2のロー
ラを、実施例2,3,4のローラとともに18日間放置
した後で再度同様の試験を行ったところ、表4に示すよ
うに、実施例2,3,4のローラは感光体の汚染を生じ
なかったが、比較例2のローラは感光体の汚染を生じ
た。
【0045】
【表4】
【0046】また、上記比較例2のローラ表面につい
て、重合度4〜25の低重合度シロキサンの濃度を、製
造直後と26日後にガスクロマトグラフィー法により測
定したところ、図2に示すように、時間の経過とともに
低重合度シロキサンの濃度が増加していることが確認さ
れた。以上の結果より、両物質の合計の濃度が5000
ppm以下に調整されていないシリコーンゴム系コンパ
ウンドを含む成形材料を使用した場合には、真空加熱処
理だけでは両物質を完全に除去できず、ローラの内部に
残存した低重合度シロキサンや無官能シリコーンオイル
が徐徐に表面にブリードして、除去効果が失われること
がわかった。
【0047】そして、両物質の合計の濃度が5000p
pm以下に調整されたシリコーンゴム系コンパウンドを
含む成形材料を使用し、それを真空加熱処理した場合に
のみ、長期に亘って感光体の汚染を防止しうることが確
認された。実施例7,8、比較例11〜15 実施例1と同じ成形材料から、実施例1と同様の成形条
件で一次架橋および成形したローラを、常圧定温乾燥機
(ヤマト科学社製のDNF64型)を用いて、HAV法
により200℃、4時間の条件で二次架橋させた後、前
記と同じ真空オーブンを用いて、表5に示す条件で真空
加熱処理して、電子写真用シリコーンゴムローラを製造
した。
【0048】
【表5】
【0049】上記各実施例、比較例の電子写真用シリコ
ーンゴムローラについて、前記と同様にして形成画像の
タッチメモリの有無を観察し、前記評価基準に基づい
て、感光体汚染性を評価した。なお比較例13は、真空
加熱処理時にローラが変形してしまい、感光体汚染性を
評価することができなかった。結果を表6に示す。
【0050】
【表6】
【0051】上記表6の、実施例7と比較例11、なら
びに前記表3中の実施例3の結果を比較すると、真空加
熱処理時の到達真空度が5mmHg以下である実施例
3,7は何れも、到達真空度が10mmHgである比較
例11に比べて感光体の汚染が少なく、このことから、
真空加熱処理時の到達真空度は5mmHg以下である必
要のあることがわかった。また実施例3と実施例7の結
果を比較すると、到達真空度が5mmHgである実施例
7より、到達真空度が2mmHgである実施例3の方が
感光体の汚染が少なく、このことから到達真空度は、上
記範囲内でもより低いほど望ましいこともわかった。
【0052】また実施例8と比較例12,13、ならび
に前記表3中の実施例3,5の結果を比較すると、真空
加熱処理時の温度が150℃以上である実施例3,5,
8は何れも、温度が100℃である比較例12に比べて
感光体の汚染が少なく、このことから、真空加熱処理時
の温度は150℃以上である必要のあることがわかっ
た。また真空加熱処理時の温度が300℃である比較例
13はローラが変形してしまい、このことから、真空加
熱処理時の温度は250℃以下である必要のあることが
わかった。また実施例3,5,8の結果を比較すると、
処理温度が高いほど感光体の汚染が少なく、このことか
ら処理温度は、上記範囲内でもより高いほど望ましいこ
ともわかった。
【0053】さらに比較例14,15と、前記表3中の
実施例3,4,5の結果を比較すると、真空加熱処理時
間が3〜25時間の範囲内である実施例3,4,5は何
れも、処理時間が1時間である比較例14および処理時
間が30時間である比較例15に比べて感光体の汚染が
少なく、このことから、真空加熱処理時間は3〜25時
間の範囲内である必要のあることがわかった。
【0054】実施例9 実施例2で製造した電子写真用シリコーンゴムローラを
ヘキサンに浸漬して常温で3時間抽出処理した。処理後
の電子写真用シリコーンゴムローラについて、前記と同
様にして形成画像のタッチメモリの有無を観察し、前記
評価基準に基づいて、感光体汚染性を評価した。結果
を、実施例2の結果とあわせて表7に示す。
【0055】
【表7】
【0056】上記表7の結果より、真空加熱処理と溶剤
抽出処理を併用すると、感光体の汚染をさらに少なくで
きることがわかった。
【0057】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、低重合度
シロキサンや無官能シリコーンオイルをある程度除去し
たグレードのシリコーンゴム系コンパウンドを使用し、
それを成形後に真空加熱処理して、低重合度シロキサン
や無官能シリコーンオイルをほぼ完全に除去しているた
め、使用開始直後はいうまでもなく、その後長期間に亘
って感光体を汚染するおそれのない電子写真用シリコー
ンゴムローラを製造することができる。したがって本発
明によれば、オゾンの大量発生による空気の汚染や感光
体の劣化等を生じない接触帯電式の画像形成装置の実用
化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重合度4〜25の低重合度シロキサンの濃度
と、ローラの処理方法との関係を示すグラフである。
【図2】比較例2のローラにおける、低重合度シロキサ
ンの濃度の経時変化を示すグラフである。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコーン生ゴムをベースポリマーとする
    ゴムコンパウンドを含み、当該ゴムコンパウンド中の低
    重合度シロキサンおよび無官能シリコーンオイルの合計
    の濃度が5000ppm以下である成形材料をローラ状
    に架橋・成形してなり、成形後、到達真空度5mmHg
    以下、加熱温度150〜250℃、処理時間3〜25時
    間の条件下で真空加熱処理されたことを特徴とする電子
    写真用シリコーンゴムローラ。
  2. 【請求項2】成形後、真空加熱処理の前後いずれかの段
    階で溶剤抽出処理された請求項1記載の電子写真用シリ
    コーンゴムローラ。
  3. 【請求項3】柔軟なスポンジ状である請求項1記載の電
    子写真用シリコーンゴムローラ。
  4. 【請求項4】シリコーン生ゴムをベースポリマーとする
    ゴムコンパウンドを含み、当該ゴムコンパウンド中の低
    重合度シロキサンおよび無官能シリコーンオイルの合計
    の濃度が5000ppm以下である成形材料をローラ状
    に架橋・成形した後、到達真空度5mmHg以下、加熱
    温度150〜250℃、処理時間3〜25時間の条件下
    真空加熱処理することを特徴とする電子写真用シリコ
    ーンゴムローラの製造方法。
  5. 【請求項5】成形後、真空加熱処理の前後いずれかの段
    階で溶剤抽出処理する請求項4記載の電子写真用シリコ
    ーンゴムローラの製造方法。
  6. 【請求項6】成形材料に、架橋・成形時の熱によって発
    泡する発泡剤を配合することで、ローラを柔軟なスポン
    ジ状に発泡成形する請求項4記載の電子写真用シリコー
    ンゴムローラの製造方法。
JP11311693A 1992-05-14 1993-05-14 電子写真用シリコーンゴムローラおよびその製造方法 Expired - Lifetime JP2582218B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11311693A JP2582218B2 (ja) 1992-05-14 1993-05-14 電子写真用シリコーンゴムローラおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-122231 1992-05-14
JP12223192 1992-05-14
JP11311693A JP2582218B2 (ja) 1992-05-14 1993-05-14 電子写真用シリコーンゴムローラおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0625431A JPH0625431A (ja) 1994-02-01
JP2582218B2 true JP2582218B2 (ja) 1997-02-19

Family

ID=26452131

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11311693A Expired - Lifetime JP2582218B2 (ja) 1992-05-14 1993-05-14 電子写真用シリコーンゴムローラおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2582218B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09222770A (ja) * 1996-02-19 1997-08-26 Fuji Xerox Co Ltd 帯電部材
JP3000944B2 (ja) * 1996-06-24 2000-01-17 富士ゼロックス株式会社 半導電性部材および半導電性クリーニング兼除電ブレード
DE102008041121A1 (de) * 2008-08-08 2010-02-11 Wacker Chemie Ag Verfahren zur Herstellung von Formkörpern aus Silikonkautschuk
GB201006068D0 (en) * 2010-04-13 2010-05-26 Scott Kevin F An absolute centrifugal barometer
JP6627467B2 (ja) * 2015-12-07 2020-01-08 コニカミノルタ株式会社 画像形成装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0625431A (ja) 1994-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2509218B2 (ja) 静電写真複写装置用の定着部材
EP0542522B1 (en) Silicone rubber roller for electrophotography
EP0510643B1 (en) Charging member and device using the same
JP2006326583A (ja) フッ素化界面活性剤を用いたフルオロエラストマーフューザ部材をコーティングするためのプロセス
JP2582218B2 (ja) 電子写真用シリコーンゴムローラおよびその製造方法
US5851657A (en) Charging member
JP2009151160A (ja) 電子写真用帯電部材
EP1296198B1 (en) Fuser system with donor roller having a controlled swell release agent surface layer
US5834584A (en) Silicone rubber roller for electrophotography and method of producing the same
EP0570010A1 (en) Silicone rubber roller for electrophotography and method of producing the same
JP2000259022A (ja) 電子写真用定着部品、および定着装置
JP2001305832A (ja) 帯電部材及び該帯電部材を備えた画像形成装置
JP3852231B2 (ja) 画像形成装置の電荷関与部品及びそれを用いた画像形成装置
JP2001034088A (ja) 導電性シリコーンゴムローラー
JPH09197801A (ja) 導電性シリコーン系ゴムロール
JP3340285B2 (ja) パーオキシド架橋型フッ素ゴムの改質方法
JP2002116638A (ja) 導電性ローラ
JPH09297454A (ja) 画像形成装置の帯電ローラ及びその製造方法
JP2000120655A (ja) 半導電性ロール
JP7536730B2 (ja) スポンジローラ
JP2983312B2 (ja) 帯電付与材
JP2002088199A (ja) 高分子弾性体組成物
JPH06234903A (ja) 導電性樹脂組成物およびそれからなるシームレスベルト
JPH11338229A (ja) 印刷機
JPH10161396A (ja) 帯電部材及び電子写真装置