JP6627270B2 - 整流子 - Google Patents
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Description
このような整流子に係る技術として、たとえば、以下のものがある。
金属部材により構成され、かつ前記内側部材の外周面に密着してなる外側部材と、
からなる樹脂金属複合体を有した整流子であって、
前記熱硬化性樹脂組成物が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂およびメラミン樹脂からなる群より選択される1種または2種以上の熱硬化性樹脂を含み、
前記外側部材における、前記外側部材と前記内側部材との密着面が複数の凹部を有しており、
前記凹部の断面形状が、前記凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に前記開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状となっている、整流子であって、
前記熱硬化性樹脂組成物が、充填材をさらに含み、
前記凹部の内部に前記充填材の一部が存在しており、
前記充填材が、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径が0.1μm以上、5μm以下の充填材(B2)を含む、整流子が提供される。
図1は、本実施形態に係る整流子100について説明するための図である。以下、外側部材12のことを金属セグメント12とも称し、内側部材14のことを、樹脂部材14または熱硬化性樹脂組成物の硬化体14とも称する。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る整流子100は、モータの回転軸に固定され、かつ熱硬化性樹脂組成物の硬化体により構成される内側部材14と、金属部材により構成され、かつ内側部材14の外周面に密着してなる外側部材(金属セグメント)12と、からなる樹脂金属複合体を有した整流子100であって、熱硬化性樹脂組成物が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂およびメラミン樹脂からなる群より選択される1種または2種以上の熱硬化性樹脂を含み、外側部材(金属セグメント)12における、当該外側部材(金属セグメント)12と内側部材14との密着面103が複数の凹部を有しており、凹部の断面形状が、凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状となっている。こうすることで、高温・高速回転条件下において繰り返し使用した場合においても、モータ高速回転時に加わる大きな遠心力による影響で性能が低下することのない、寸法安定性および機械的強度という観点において優れた整流子100を実現することができる。言い換えれば、本実施形態によれば、高温・高速回転条件下における、優れた寸法安定性と、優れた機械的強度とを両立した整流子100を実現することができる。
(1)熱硬化性樹脂組成物の配合組成(熱硬化性樹脂、その硬化剤および添加剤の組み合わせ等)
(2)金属材料の選択(金属の種類、表面処理に係る各種条件の設定等)
外側部材(金属セグメント)12を構成する金属材料は、入手の容易さや価格の観点から、鉄、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、銅および銅合金などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、軽量かつ高強度であるとともに、優れた導電特性を発現することができる点から、銅または銅合金を含むことが好ましい。金属セグメント12は、内側部材14を構成する熱硬化性樹脂組成物の硬化体との接合強度を向上させる観点から、金属セグメント12と内側部材(樹脂部材)14との密着面103に微細な凹凸からなる粗化層を有していることが好ましい。
粗化層104の厚みは、好ましくは3μm以上40μm以下であり、より好ましくは4μm以上32μm以下であり、特に好ましくは4μm以上30μm以下である。粗化層104の厚みが上記範囲内であると、樹脂部材14と金属セグメント12との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。ここで、本実施形態において、粗化層104の厚みは、複数の凹部201の中で、最も深さが大きいものの深さD3を表し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から算出することができる。
図2に示すように、凹部201の断面形状は、D2がD1よりも大きければ特に限定されず、様々な形状を取り得る。凹部201の断面形状は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することができる。
凹部201の断面形状が上記形状であると、樹脂部材14が凹部201の開口部203から底部205までの間で引っかかるため、アンカー効果が効果的に働く。そのため、樹脂部材14と金属セグメント12との接合強度および接合の耐久性が向上すると考えられる。
また、金属セグメント12の密着面103の表面10点平均粗さ(最大高さ)Rzは、好ましくは1.0μm以上40.0μm以下であり、より好ましくは3.0μm以上30.0μm以下である。上記表面10点平均粗さ(最大高さ)Rzが上記範囲内であると、樹脂部材14と金属セグメント12との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。なお、RaおよびRzは、JIS−B0601に準拠して測定することができる。
上記比表面積が上記下限値以上であると、樹脂部材14と金属セグメント12の接触面積が大きくなり、樹脂部材14と金属セグメント12とが相互に侵入する領域が増える。その結果、アンカー効果が働く領域が増え、樹脂部材14と金属セグメント12との接合強度および接合の耐久性がより一層向上すると考えられる。
以上から、上記比表面積が上記範囲内であると、樹脂部材14との密着面103の表面が、樹脂部材14と金属セグメント12との間のアンカー効果がより一層強く発現できる、バランスの良い構造になっていると推察される。
上記光沢度が上記範囲内であると、接合強度により一層優れた樹脂金属複合体が得られる理由は必ずしも明らかではないが、樹脂部材14との密着面103の表面がより一層乱雑な構造となり、樹脂部材14と金属セグメント12との間のアンカー効果がより一層強く発現できる構造となっているからだと考えられる。
粗化層104は、例えば、表面処理剤を用いて、金属セグメント12又はその素材となる金属部材の表面を化学的処理することにより形成することができる。
ここで、表面処理剤を用いて金属セグメント12又はその素材となる金属部材の表面を化学的処理すること自体は従来技術においても行われてきた。しかし、本実施形態では、(1)金属セグメント12又はその素材となる金属部材と化学的処理剤(表面処理剤)の組み合わせ、(2)化学的処理の温度および時間、(3)化学的処理後の金属セグメント12又はその素材となる金属部材表面の後処理、などの因子を高度に制御している。樹脂金属複合体を得るためには、これらの因子を高度に制御することが特に重要となる。
以下、金属セグメント12の表面上に粗化層104を形成する方法の一例を示す。ただし、本実施形態に係る粗化層104の形成方法は、以下の例に限定されない。
鉄やステンレスから構成される金属セグメント12又はその素材となる金属部材を用いる場合は、表面処理剤として、無機酸、塩素イオン源、第二銅イオン源、チオール系化合物を必要に応じて組合せた水溶液を選択するのが好ましい。
アルミニウムやアルミニウム合金から構成される金属セグメント12又はその素材となる金属部材を用いる場合は、表面処理剤として、アルカリ源、両性金属イオン源、硝酸イオン源、チオ化合物を必要に応じて組合せた水溶液を選択するのが好ましい。
マグネシウムやマグネシウム合金から構成される金属セグメント12又はその素材となる金属部材を用いる場合は、表面処理剤として、アルカリ源が用いられ、特に水酸化ナトリウムの水溶液を選択するのが好ましい。
銅や銅合金から構成される金属セグメント12又はその素材となる金属部材を用いる場合は、表面処理剤として、硝酸、硫酸などの無機酸、不飽和カルボン酸などの有機酸、過硫酸塩、過酸化水素、イミダゾールおよびその誘導体、テトラゾールおよびその誘導体、アミノテトラゾールおよびその誘導体、アミノトリアゾールおよびその誘導体などのアゾール類、ピリジン誘導体、トリアジン、トリアジン誘導体、アルカノールアミン、アルキルアミン誘導体、ポリアルキレングリコール、糖アルコール、第二銅イオン源、塩素イオン源、ホスホン酸系キレート剤酸化剤、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミンから選ばれる少なくとも1種を用いた水溶液を選択するのが好ましい。
本実施形態では、深さ方向のエッチング量を調整することにより、前述した粗化層104の厚み、凹部201の平均深さ、Ra、Rz等を調整することができる。
以上の手順により、本実施形態に係る粗化層104を有する金属セグメント12又はその素材となる金属部材を得ることができる。
つぎに、本実施形態に係る樹脂部材14について説明する。
樹脂部材14は、熱硬化性樹脂組成物(P)を硬化してなる。
これらの中でも、耐熱性、加工性、機械的特性、接着性および防錆性等の樹脂材料自体の特長点を整流子にもたらすことができる点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂およびメラミン樹脂からなる群より選択される1以上を含む熱硬化性樹脂組成物が好適に用いられ、ガラス繊維強化フェノール樹脂やメラミン樹脂が特に好ましい。
熱硬化性樹脂(A)の含有量は、樹脂部材14の全体を100質量部としたとき、好ましくは10質量部以上60質量部以下であり、より好ましくは15質量部以上40質量部以下である。
充填材(B)の含有量は、樹脂部材14の全体を100質量部としたとき、好ましくは30質量部以上85質量部以下であり、より好ましくは50質量部以上80質量部以下である。充填材(B)の含有量を上記範囲内とすることにより、熱硬化性樹脂組成物(P)の作業性を向上させつつ、得られる樹脂部材14の機械的強度をより一層向上させることができる。これにより、樹脂部材14と金属セグメント12との接合強度により一層優れた樹脂金属複合体を得ることができる。また、充填材(B)の種類や含有量を調整することにより、得られる樹脂部材14の線膨張係数αRの値を調整することができる。
なお、本実施形態においては、熱硬化性樹脂組成物(P)として、ガラス繊維が含まれることが好ましい。
充填材(B1)としては、平均長径が5μm以上50mm以下で、平均アスペクト比が1以上1000以下である繊維状充填材または板状充填材を含むことがより好ましい。
充填材(B1)の平均長径および平均アスペクト比は、例えば、以下のようにSEM写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、複数の繊維状充填材または板状充填材を撮影する。その観察像から、繊維状充填材または板状充填材を任意に50個選択し、それらの長径(繊維状充填材の場合は繊維長、板状充填材の場合は平面方向の長径寸法)および短径(繊維状充填材の場合は繊維径、板状充填材の場合は厚み方向の寸法)をそれぞれ測定する。長径の全てを積算して個数で除したものを平均長径とする。同様に、短径の全てを積算して個数で除したものを平均短径とする。そして、平均短径に対する平均長径を平均アスペクト比とする。
充填材(B2)としては、平均長径が好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは0.2μm以上50μm以下であり、平均アスペクト比が好ましくは1以上50以下、より好ましくは1以上40以下である繊維状充填材または板状充填材を含むことがより好ましい。
充填材(B2)の平均長径および平均アスペクト比は、例えば、以下のようにSEM写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、複数の繊維状充填材または板状充填材を撮影する。その観察像から、繊維状充填材または板状充填材を任意に50個選択し、それらの長径(繊維状充填材の場合は繊維長、板状充填材の場合は平面方向の長径寸法)および短径(繊維状充填材の場合は繊維径、板状充填材の場合は厚み方向の寸法)をそれぞれ測定する。長径の全てを積算して個数で除したものを平均長径とする。同様に、短径の全てを積算して個数で除したものを平均短径とする。そして、平均短径に対する平均長径を平均アスペクト比とする。
これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
エラストマー(D)の含有量は、樹脂部材14の全体を100質量部としたとき、好ましくは1質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは1.5質量部以上7質量部以下である。エラストマー(D)の含有量を上記範囲内とすることにより、樹脂部材14の機械的強度を維持しつつ、樹脂部材14の靭性をより一層向上させることができる。これにより、樹脂部材14と金属セグメント12との接合強度により一層優れた樹脂金属複合体を得ることができる。
こうした構造であると、樹脂部材14の靭性を向上させるとともに樹脂金属複合体の耐衝撃性を向上できる。そのため、樹脂金属複合体に外部から衝撃が加わっても、樹脂部材14と金属セグメント12との接合強度を維持することができる。
海島構造は、走査型電子顕微鏡写真により観察することができる。
島相の平均径は、以下のように走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、樹脂部材14の断面を撮影する。その観察像から、樹脂部材14に存在する島相を任意に50個選択し、それらの直径をそれぞれ測定する。島相の直径の全てを積算して個数で除したものを平均径とする。
本実施形態に係る整流子100の製造方法は、樹脂部材14と金属セグメント12とが一体的に密着するように樹脂金属複合体を成形できる方法であれば特に限定されない。こうした樹脂金属複合体を成形できる方法としては、たとえば、トランスファー成形法、射出成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法などが挙げられる。また、本実施形態の整流子の製造方法の一例については、実施例にて具体的に後述するが、例えば、以下の工程を含んでいる。
(A)少なくとも樹脂部材と密着する接合面に粗化層104を有する金属セグメント12又はその素材となる金属部材を、金型内に設置する工程。
(B)金型内に熱硬化性樹脂組成物(P)を注入し、熱硬化性樹脂組成物(P)の少なくとも一部が接合面に接触した状態で熱硬化性樹脂組成物(P)を硬化することにより、熱硬化性樹脂組成物(P)からなる樹脂部材14と金属セグメント12又はその素材となる金属部材とを接合して、樹脂金属複合体を得る工程。
(C)得られた樹脂金属複合体の外周を加工又は研磨して、規格に適合する真円度および片間段差となる整流子を得る工程。
なお、金属セグメント12の素材となるセグメント化されていない一体の金属部材を用いる場合は、必要に応じて、(B)工程の後に、金属部材を外周加工又はスリット加工することによりセグメント化する工程を行う必要がある。
以下、参考形態の例を付記する。
1. モータの回転軸に固定され、かつ熱硬化性樹脂組成物の硬化体により構成される内側部材と、
金属部材により構成され、かつ前記内側部材の外周面に密着してなる外側部材と、
からなる樹脂金属複合体を有した整流子であって、
前記熱硬化性樹脂組成物が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂およびメラミン樹脂からなる群より選択される1種または2種以上の熱硬化性樹脂を含み、
前記外側部材における、前記外側部材と前記内側部材との密着面が複数の凹部を有しており、
前記凹部の断面形状が、前記凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に前記開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状となっている、整流子。
2. 前記熱硬化性樹脂組成物が、充填材をさらに含み、
前記凹部の内部に前記充填材の一部が存在している、1.に記載の整流子。
3. 前記凹部の内部に存在する前記充填材の平均アスペクト比が1以上50以下である、2.に記載の整流子。
4. 前記凹部の内部に存在する前記充填材がワラストナイト、カオリンクレー、タルク、炭酸カルシウム、ロックウール、ガラスビーズ、シリカ、水酸化アルミニウム、およびケイ酸カルシウム水和物からなる群から選ばれる一種または二種以上である、2.または3.に記載の整流子。
5. 前記金属部材が、銅または銅合金を含む1.乃至4.のいずれか一つに記載の整流子。
6. 前記内側部材の密度が2.5g/cm 3 以下である1.乃至5.のいずれか一つに記載の整流子。
7. 前記内側部材と前記外側部材とが密着する密着面に、複数の前記凹部が設けられた粗化層が形成されており、前記粗化層の厚みが、3μm以上40μm以下である、1.乃至6.のいずれか一つに記載の整流子。
<熱硬化性樹脂組成物(P1)の調製>
ノボラック型フェノール樹脂(PR−51305、住友ベークライト社製)を34.0質量%、ヘキサメチレンテトラミンを6.0質量%、ガラス繊維(CS3E479、日東紡社製、平均粒子径:11μm、平均長径:3mm、平均アスペクト比:270)を52.0質量%、ワラストナイト(NYCO Minerals社製、NYAD5000、平均粒子径:3μm、平均長径:9μm)を6.0質量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学株式会社製、KBE−903)0.2質量%、酸化マグネシウム(神島化学工業社製)を0.5質量%、潤滑剤等のその他の成分を1.3質量%、それぞれ乾式混合し、これを90℃の加熱ロールで溶融混練して、シート状にして冷却したものを粉砕して顆粒状の熱硬化性樹脂組成物(P1)を得た。
表面処理がされていない金属シートとして、その表面が#4000の研磨紙で十分研磨された、無酸素銅C1020の金属シートA(80mm×10mm、厚さ1.0mm、密度8.94g/cm3)を用意した。別途、硫酸(130質量部)、過酸化水素(25質量部)、トルエンスルホン酸(5質量部)、5−フェニルテトラゾール(0.5質量部)の水溶液を調製した。得られた水溶液(30℃)中に、金属シートAを浸漬して揺動させ、深さ方向に15μm(銅の減少した重量から算出)溶解させた。その後、水洗、乾燥し、金属シート1(金属部材)を得た。
なお、この金属シート1について、凹部の断面は、凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状になっていた。
得られた熱硬化性樹脂組成物(P1)および金属シート1を用いて、金属樹脂複合体1を作製した。具体的には、以下の手順により作製した。
はじめに、金型内に厚み1mmの金属シート1を固定せずに配置した。次いで、硬化後の厚みが3mmとなるように、熱硬化性樹脂組成物(P1)を加熱し、上記金型内に所定量注入した。このとき、熱硬化性樹脂組成物(P1)の流体圧力により、金属シート1を金型の内壁に押しつけるようにした。最後に、圧縮成形により熱硬化性樹脂組成物(P1)を硬化することにより、厚み3mmの樹脂部材シートと厚み1mmの金属シート1の2層シートである金属樹脂複合体1を得た。この金属樹脂複合体1を試験片1とした。なお、圧縮成形条件は、実効圧力20MPa、金型温度175℃、硬化時間3分間とした。
試験片1を作製するのと同様の条件で、樹脂金属複合体からなる整流子を作製した。具体的には、円筒形状の金属部材を用意し、これに対して、トランスファー成形により熱硬化性樹脂組成物(P1)を成形した後、金属部材をセグメント化することで整流子1を得た。なお、トランスファー成形条件は、実効圧力20MPa、金型温度175℃、硬化時間3分間とした。
熱硬化性樹脂組成物(P1)に用いた、ワラストナイトの代わりに、ケイ酸カルシウム水和物(宇部マテリアルズ社製、ゾノハイジ、平均粒子径:0.1〜0.5μm、平均長径:1〜5μm)を6.0質量%用いて、熱硬化性樹脂組成物(P2)を調製した以外は、実施例1と同様の方法により試験片2と整流子2を作製した。これらについて、後述する測定及び評価を行った。
熱硬化性樹脂組成物(P1)の代わりに、以下の熱硬化性樹脂組成物(P3)を使用し、また、金属シートとして、0.03%銀入り無酸素銅製の金属シート2を用いた以外は、実施例1と同様の方法により試験片3と整流子3を作製した。これらについて、後述する測定及び評価を行った。
ノボラック型フェノール樹脂(PR−51305、住友ベークライト社製)を25.5質量%、ヘキサメチレンテトラミンを4.5質量%、ガラス繊維(CS3E479、日東紡社製、平均粒子径:11μm、平均長径:3mm、平均アスペクト比:270)を61.0質量%、ワラストナイト(NYCO Minerals社製、NYAD5000、平均粒子径:3μm、平均長径:9μm)を7.0質量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学株式会社製、KBE−903)0.2質量%、酸化マグネシウム(神島化学工業社製)を0.5質量%、潤滑剤等のその他の成分を1.3質量%、それぞれ乾式混合し、これを90℃の加熱ロールで溶融混練して、シート状にして冷却したものを粉砕して顆粒状の熱硬化性樹脂組成物(P3)を得た。
金属シート1の代わりに、粗化処理がされていない金属シートAを使用した以外は、実施例1と同様の方法により試験片4および整流子4を作製した。これらについて、後述する測定及び評価をおこなった。
・線膨張係数αM:熱硬化性樹脂組成物を実効圧力20MPa、金型温度175℃、硬化時間3分間の条件でトランスファー成形を行うことにより測定に使用する試験片を作製した。得られた試験片について、熱機械分析装置TMA(TAインスツルメント社製、EXSTAR6000)を用いて、5℃/分の圧縮条件で、25 ℃から樹脂部材のガラス転移温度までの範囲における線膨張係数αMを測定した。なお、単位は、ppmである。
・金属部材表面の評価(粗化層の厚み、凹部の断面形状、凹部の平均深さおよび開口部の平均断面幅):金属部材の表面を電子顕微鏡(SEM)により撮影し、当該金属部材表面に存在する粗化層の構造を観察し、当該金属表面に形成された粗化層の厚み、凹部の断面形状、凹部の平均深さおよび開口部の平均断面幅について評価した。なお、図3に、実施例1で得られた金属シート1の表面に存在する粗化層の拡大図を表す電子顕微鏡写真を示す。図3に示す通り、金属シート1の表面には、微細な凹部が形成されていることが分かる。また、実施例3に係る金属シート2についても、図3と同様の表面構造を有していた。一方、比較例1で得られた金属シートAは、その表面に図3に示すような凹部が形成されていなかった。
・試験片の接合部の観察(凹部内部の充填材の有無、凹部内部の充填材の平均長径および凹部内部の充填材の平均アスペクト比):試験片の接合部の断面を電子顕微鏡(SEM)で撮影し、接合部の断面の構造を観察し、凹部の内部の充填材の有無、凹部の内部に存在する充填材の平均長径および平均アスペクト比を評価した。なお、図4に、実施例1で得られた試験片1の接合部の断面の拡大図を表す電子顕微鏡写真を示す。図4に示すように、実施例1で得られた試験片1の金属シート1表面に形成された凹部内には、充填材が存在していることが分かる。また、実施例2および3で得られた試験片2および3についても、図4と同様に充填材が存在していた。また、金属シート1表面に形成された凹部内に存在する充填材の有無については、エネルギー分散型蛍光X線分析からも確認した。
・回転破壊強度:金型内に金属部材を挿入し、熱硬化性樹脂組成物を実効圧力20MPa、金型温度175℃、硬化時間3分間の条件にてトランスファー成形した後、180℃で4時間のアフターキュア後、さらに210℃で4時間のアフターキュアを実施した。次いで、外周加工により金属部材のセグメント化を行いつつ、真円度と片間段差を調整して、図5に示すテスト用の整流子を作製した。得られた整流子を250℃雰囲気中で回転させ、1000rpm/secの速度で回転数を上昇させ、破壊に至った時の回転数を回転破壊強度とした。なお、単位は、rpmである。
14 内側部材(樹脂部材または熱硬化性樹脂組成物の硬化体)
100 整流子
103 密着面
104 粗化層
201 凹部
203 開口部
205 底部
Claims (9)
- モータの回転軸に固定され、かつ熱硬化性樹脂組成物の硬化体により構成される内側部材と、
金属部材により構成され、かつ前記内側部材の外周面に密着してなる外側部材と、
からなる樹脂金属複合体を有した整流子であって、
前記熱硬化性樹脂組成物が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂およびメラミン樹脂からなる群より選択される1種または2種以上の熱硬化性樹脂を含み、
前記外側部材における、前記外側部材と前記内側部材との密着面が複数の凹部を有しており、
前記凹部の断面形状が、前記凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に前記開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状となっている、整流子であって、
前記熱硬化性樹脂組成物が、充填材をさらに含み、
前記凹部の内部に前記充填材の一部が存在しており、
前記充填材が、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径が0.1μm以上、5μm以下の充填材(B2)を含む、整流子。 - 前記充填材は、前記充填材の全体を100質量部としたとき、前記充填材(B2)を1質量部以上30質量部以下含む、請求項1に記載の、整流子。
- 前記充填材(B2)は、平均長径が0.1μm以上100μm以下、平均アスペクト比が1以上50以下である繊維状充填材または板状充填材を含む、請求項1又は2に記載の、整流子。
- 前記凹部の内部に存在する前記充填材の平均アスペクト比が1以上50以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の整流子。
- 前記凹部の内部に存在する前記充填材の平均長径が、0.1μm以上5.0μm以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の整流子。
- 前記凹部の内部に存在する前記充填材がワラストナイト、カオリンクレー、タルク、炭酸カルシウム、ロックウール、ガラスビーズ、シリカ、水酸化アルミニウム、およびケイ酸カルシウム水和物からなる群から選ばれる一種または二種以上である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の整流子。
- 前記金属部材が、銅または銅合金を含む請求項1乃至6のいずれか一項に記載の整流子。
- 前記内側部材の密度が2.5g/cm3以下である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の整流子。
- 前記内側部材と前記外側部材とが密着する密着面に、複数の前記凹部が設けられた粗化層が形成されており、前記粗化層の厚みが、3μm以上40μm以下である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の整流子。
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