JP2017003000A - ブレーキ用ロータ - Google Patents

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Koji Koizumi
浩二 小泉
吉広 瀧花
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吉広 瀧花
周 岡坂
Shu OKASAKA
周 岡坂
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Abstract

【課題】芯板とディスク部との剥離が抑制され、かつ、全体としての軽量化が達成されたブレーキ用ロータを提供すること。【解決手段】本発明のブレーキ用ロータ100は、軸嵌合孔を備えた金属製の芯板10と、芯板10の外周に備えられたディスク部20とを備えるブレーキ用ロータ100であって、ディスク部20は、熱硬化性樹脂組成物の硬化体により構成され、前記熱硬化性樹脂組成物が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される1種または2種以上の熱硬化性樹脂を含み、芯板10における、芯板10とディスク部20との密着面が複数の凹部を有しており、前記凹部の断面形状が、前記凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に前記開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状となっている。【選択図】図1

Description

本発明はブレーキ用ロータに関する。
ブレーキ用ロータは自動車やオートバイ、産業機器等に搭載され、ブレーキキャリパーに備えられるブレーキパッドを押し付けられることにより、自動車等を制動する。
このようなブレーキ用ロータに関する技術として、特許文献1に記載されるような技術が知られている。
すなわち、特許文献1には、金属製の芯板と、この芯板の外周にモールドされた樹脂製のディスク部とを有する無励磁作動形ブレーキ用ロータが開示されており、係る無励磁作動形ブレーキ用ロータによれば、十分な強度、耐久性を確保しつつ、軽量化を達成できるものと記載されている。
特開2014−206183号公報
特許文献1に開示されているブレーキ用ロータはディスク部が樹脂により構成されていることから、ブレーキ用ロータ全体として、その軽量化が図れることが期待される。しかしながら、芯板を構成する金属部材とディスク部を構成する樹脂成分は、その性質の違いから、使用時における挙動が異なり、これらの界面での剥離が生じることが懸念される。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、芯板とディスク部との剥離が抑制され、かつ、全体としての軽量化が達成されたブレーキ用ロータを提供するものである。
本発明によれば、
軸嵌合孔を備えた金属製の芯板と、
前記芯板の外周に備えられたディスク部とを備えるブレーキ用ロータであって、
前記ディスク部は、熱硬化性樹脂組成物の硬化体により構成され、
前記熱硬化性樹脂組成物が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される1種または2種以上の熱硬化性樹脂を含み、
前記芯板における、前記芯板と前記ディスク部との密着面が複数の凹部を有しており、
前記凹部の断面形状が、前記凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に前記開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状となっている、ブレーキ用ロータが提供される。
本発明のブレーキ用ロータは、芯板における、芯板とディスク部との密着面が複数の凹部を有しており、かつ、この凹部の断面形状が、特定の形状となっている。
より具体的には、凹部は、凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状を有しており、この凹部に対して熱硬化性樹脂組成物が適切に相互作用することにより、芯板とディスク部との密着性が担保される。
これにより、本発明は、芯板とディスク部との剥離が抑制され、かつ、全体としての軽量化が達成されたブレーキ用ロータを提供することができる。
実施形態に係るブレーキ用ロータを示す平面図である。 実施形態の粗化層を構成する凹部の断面形状の例を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、本明細書中において「〜」は特に断りがなければ以上から以下を表す。
[ブレーキ用ロータ]
図1は、本実施形態に係るブレーキ用ロータ100の構造例を示す平面図である。
本実施形態に係るブレーキ用ロータ100は、
軸嵌合孔を備えた金属製の芯板10と、
芯板10の外周に備えられたディスク部20とを備えるブレーキ用ロータ100であって、
ディスク部20は、熱硬化性樹脂組成物の硬化体により構成され、
前記熱硬化性樹脂組成物が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される1種または2種以上の熱硬化性樹脂を含み、
芯板10における、芯板10とディスク部20との密着面が複数の凹部を有しており、
前記凹部の断面形状が、前記凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に前記開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状となっている。
以下、このブレーキ用ロータ100について、より詳細に説明する。
本実施形態のブレーキ用ロータ100は、より具体的には、電磁ブレーキ用ロータ、あるいは、無励磁作動形ブレーキ用ロータとして用いることができる。
なお、図1においては、ディスク部20とクラッチフェージング部30が分離されて記載されているが、このディスク部20自体がクラッチフェージング、すなわち摩擦材として用いられても良い(この場合、図1として、ディスク部20がクラッチフェージング部30を兼ねることとなる。)。
すなわち、本実施形態においては、ディスク部20が熱硬化性樹脂組成物の硬化体で構成されているものであるため、このクラッチフェージング部30が、ディスク部20と同一の熱硬化性樹脂組成物の硬化体で構成されていてもよい。
芯板10は軸嵌合孔を備え、金属により構成されている。通常、この芯板10は円環状の形状を有しており、内周面にスプライン部を有している。
本実施形態において、この芯板10は、芯板10とディスク部20との密着面が複数の凹部を有しており、凹部の断面形状が、凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状を有する、との特徴を有している。
これにより、ディスク部20との相互作用を向上させ、剥離を抑制することができる。
なお、通常、ブレーキ用ロータは、制動時に摩擦熱が発生する。本実施形態においては、上述の凹部が存在することにより、芯板10とディスク部20との接合性が高まり、この摩擦熱に起因する剥離も抑止しやすくなる。
ディスク部20は、芯板10の外周に設けられるものであり、クラッチフェージング部30を結合する。また、上述のように、このディスク部20自体が摩擦材としての役割を担うこともできる。
なお、本実施形態のディスク部20は樹脂材料で構成されるため、ブレーキ用モータ100全体としての軽量化を図ることができる。このディスク部20の比重(すなわち熱硬化性樹脂組成物の硬化体の比重)は、適度な機械的強度を達成する観点からは、好ましくは1.3g/cm以上であり、より好ましくは1.4g/cm以上であり、さらに好ましくは1.5g/cm以上である。また、ディスク部20の比重(すなわち熱硬化性樹脂組成物の硬化体の比重)の比重は、全体として軽量化し、幅広い用途に適用させる観点からは、好ましくは2.5g/cm以下であり、より好ましくは2.3g/cm以下であり、さらに好ましくは2g/cm以下である。
以下、このブレーキ用ロータ100を構成する芯板10とディスク部20、さらに、クラッチフェージング部30について説明を続ける。
[芯板10]
本実施形態のブレーキ用ロータ100に係る芯板10は、ディスク部20と芯板10との接合強度を向上させる観点から、芯板10における、芯板10とディスク部20との密着面(接合面103ともいう(図2参照))は粗化処理されたものとなっている。
すなわち、芯板10として図2に示されるような「粗化層102」(芯板10の表面に設けられた複数の凹部を有する領域)を有している。
より具体的には、この芯板10における、芯板10とディスク部20との密着面が複数の凹部201を有しており、凹部201の断面形状D2が、凹部201の開口部203から底部205までの間の少なくとも一部に開口部203の断面幅D1よりも大きい断面幅を有する形状となっているという特徴を有している。
芯板10として係る形状を有することにより、芯板10とディスク部20との接合強度を向上させることができる。
なお、図2に示すように、凹部201の断面形状は、D2がD1よりも大きければ特に限定されず、様々な形状を取り得る。凹部201の断面形状は、例えば、電子顕微鏡(SEM)により観察することができる。
ここで、芯板10は、公知の金属材料の中から適宜選択して構成することができるが、汎用性の高さや、機械的強度の高さから、たとえば、銅、アルミニウム、鉄またはステンレス材から構成されることが好ましい。
本実施形態の芯板10の有する粗化層102の厚みは、好ましくは3μm以上40μm以下であり、より好ましくは4μm以上32μm以下であり、特に好ましくは4μm以上30μm以下である。粗化層102の厚みが上記範囲内であると、芯板10とディスク部20との接合強度をより一層向上させることができる。ここで、本実施形態において、粗化層102の厚みは、複数の凹部201の中で、最も深さが大きいものの深さD3(図2参照)を表し、電子顕微鏡(SEM)写真から算出することができる。
本実施形態においては、後述する熱硬化性樹脂組成物(P)として、(B)充填材が含まれるものが用いられ、係る(B)充填材の一部が、この凹部201の内部に存在していることが好ましい。
このように(B)充填材が凹部201の内部に存在することにより、より一層芯板10とディスク部20との接合強度を高めることができる。
より具体的には、(B)充填材として、後述する(B2)充填材が用いられ、平均アスペクト比が好ましくは1以上50以下、より好ましくは1以上40以下である繊維状充填材または板状充填材である充填材が、この凹部201の内部に存在することが好ましい。
凹部201の平均深さは、好ましくは0.5μm以上40μm以下であり、より好ましくは1μm以上30μm以下である。凹部201の平均深さが上記範囲であると、後述する熱硬化性樹脂組成物(P)が凹部201の奥まで十分に入り込むことができ、また、後述する凹部201の内部に存在する充填材(B)の割合を増やすことができるため、ブレーキ用ロータ100全体としての機械的強度の向上を図ることができる。
凹部201の平均深さは、例えば、以下のように走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、粗化層102の断面を撮影する。その観察像から、凹部201を任意に50個選択し、それらの深さをそれぞれ測定する。凹部201の深さの全てを積算して個数で除したものを平均深さとする。
その他、粗化処理を行う前の金属部材の質量が分かる場合は、粗化処理前後の質量の変化から、凹部201の平均深さを算出することもできる。
凹部201の開口部203の平均断面幅は、好ましくは2μm以上60μm以下であり、より好ましくは3μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは3μm以上30μm以下である。開口部203の平均断面幅が上記上限値以下であると、樹脂部材と金属部材との間のアンカー効果をより一層強く発現できる。開口部203の平均断面幅が上記下限値以上であると、後述する凹部201の内部に存在する充填材(B)の割合を増やすことができるため、熱硬化性樹脂組成物の硬化体の強度を向上させることができる。したがって、開口部203の平均断面幅が上記範囲内であると、芯板10とディスク部20との接合強度をより一層向上させることができる。
開口部203の平均断面幅は、例えば、以下のようにSEM写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、粗化層102の断面を撮影する。その観察像から、凹部201を任意に50個選択し、それらの断面幅D1をそれぞれ測定する。開口部203の断面幅D1の全てを積算して個数で除したものを平均断面幅とする。
接合面103の表面粗さRaは、好ましくは0.5μm以上40μm以下であり、より好ましくは1μm以上20μm以下であり、特に好ましくは1μm以上10μm以下である。上記表面粗さRaが上記範囲内であると、芯板10とディスク部20との接合強度をより一層向上させることができる。
また、接合面103の最大高さRzは、好ましくは1μm以上40μm以下であり、より好ましくは3μm以上30μm以下である。上記最大高さRzが上記範囲内であると、芯板10とディスク部20との接合強度をより一層向上させることができる。なお、RaおよびRzは、JIS−B0601に準拠して測定することができる。
次に、粗化層102を形成する方法について説明する。
粗化層102は、例えば、表面処理剤を用いて、芯板10の表面(外壁面)を化学的処理することにより形成することができる。
以下、芯板10の表面(外壁面)に粗化層102を形成する方法の一例を示す。ただし、本実施形態に係る粗化層102の形成方法は、以下の例に限定されない。
はじめに、(1)金属部材と表面処理剤の組み合わせを選択する。
鉄やステンレスから構成される金属部材を用いる場合は、表面処理剤として、無機酸、塩素イオン源、第二銅イオン源、チオール系化合物を必要に応じて組合せた水溶液を選択するのが好ましい。
アルミニウムやアルミニウム合金から構成される金属部材を用いる場合は、表面処理剤として、アルカリ源、両性金属イオン源、硝酸イオン源、チオ化合物を必要に応じて組合せた水溶液を選択するのが好ましい。
その他、マグネシウムやマグネシウム合金から構成される金属部材を用いる場合は、表面処理剤として、アルカリ源が用いられ、特に水酸化ナトリウムの水溶液を選択するのが好ましい。
また、銅や銅合金から構成される金属部材を用いる場合は、表面処理剤として、硝酸、硫酸などの無機酸、不飽和カルボン酸などの有機酸、過硫酸塩、過酸化水素、イミダゾールおよびその誘導体、テトラゾールおよびその誘導体、アミノテトラゾールおよびその誘導体、アミノトリアゾールおよびその誘導体などのアゾール類、ピリジン誘導体、トリアジン、トリアジン誘導体、アルカノールアミン、アルキルアミン誘導体、ポリアルキレングリコール、糖アルコール、第二銅イオン源、塩素イオン源、ホスホン酸系キレート剤酸化剤、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミンから選ばれる少なくとも1種を用いた水溶液を選択するのが好ましい。
つぎに、(2)金属部材を表面処理剤に浸漬させ、金属部材表面に化学的処理をおこなう。このとき、処理温度は、例えば、30℃である。また、処理時間は選定する金属部材の材質や表面状態、表面処理剤の種類や濃度、処理温度などにより適宜決定されるが、例えば、30〜300秒である。このとき、金属部材の深さ方向のエッチング量を、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上にすることが重要である。金属部材の深さ方向のエッチング量は、溶解した金属部材の重量、比重および表面積から算出して、評価することができる。この深さ方向のエッチング量は、表面処理剤の種類や濃度、処理温度、処理時間などにより調整することができる。
本実施形態では、深さ方向のエッチング量を調整することにより、前述した粗化層102の厚み、凹部201の平均深さ、Ra、Rz等を調整することができる。
最後に、(3)化学的処理後の金属部材表面に後処理をおこなう。まず、金属部材表面を水洗、乾燥する。次いで、化学的処理をおこなった金属部材表面を硝酸水溶液などで処理する。
以上の手順により、本実施形態に係る粗化層102を得ることができる。
[ディスク部20]
つづいて、本実施形態に係るディスク部20について説明する。
本実施形態に係るディスク部20は、熱硬化性樹脂組成物の硬化体により構成されるものであるが、より具体的な態様としては、以下のように構成される。
すなわち、ディスク部20は、例えば、熱硬化性樹脂(A)と充填材(B)とを含む熱硬化性樹脂組成物(P)を硬化することで作製される。
熱硬化性樹脂(A)としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される1種または2種以上の熱硬化性樹脂を含む。係る熱硬化性樹脂を用いることにより、芯板10との接合性を一段と向上させることができる。
また、上述した以外の熱硬化性樹脂としては、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、オキセタン樹脂、マレイミド樹脂、ユリア(尿素)樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂などを併用することもできる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、耐熱性、加工性、機械的特性、電気特性、接着性および耐摩耗性に優れるフェノール樹脂が好適に用いられる。
熱硬化性樹脂(A)の含有量は、熱硬化性樹脂組成物(P)全体を100質量%としたとき、好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上45質量%以下である。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂;メチロール型レゾール樹脂、ジメチレンエーテル型レゾール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油などで溶融した油溶融レゾールフェノール樹脂などのレゾール型フェノール樹脂;アリールアルキレン型フェノール樹脂などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも入手容易性、安価およびロール混練による作業性が良好などの理由からノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂において、ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合は、通常、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを使用する。ヘキサメチレンテトラミンは、特に限定されないが、ノボラック型フェノール樹脂100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下使用することが好ましく、13質量部以上25質量部以下使用することがより好ましい。ヘキサメチレンテトラミンの使用量が上記下限値以上であると、成形時の硬化時間を短縮することができる。また、ヘキサメチレンテトラミンの使用量が上記上限値以下であると、ディスク部20の成形性を向上させることができる。
熱硬化性樹脂組成物(P)は、ディスク部20の機械的強度を向上させる観点から、充填材(B)を含むことが好ましい。
充填材(B)の含有量は、熱硬化性樹脂組成物(P)の全体を100質量%としたとき、好ましくは35質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上である。
また、充填材(B)の含有量は、熱硬化性樹脂組成物(P)の全体を100質量%としたとき、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下である。
充填材(B)の含有量を上記範囲内とすることにより、熱硬化性樹脂組成物(P)の作業性を向上させつつ、得られるディスク部20の機械的強度をより一層向上させることができる。これにより、芯板10とディスク部20との接合強度により一層優れたブレーキ用ロータ100を得ることができる。また、充填材(B)の種類や含有量を調整することにより、得られるディスク部20の線膨張係数αの値等を調整することができる。
充填材(B)としては、例えば、繊維状充填材、粒状充填材、板状充填材などが挙げられる。ここで、繊維状充填材はその形状が繊維状である充填材である。板状充填材はその形状が板状である充填材である。粒状充填材は、不定形状を含む繊維状・板状以外の形状の充填材である。
上記繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、金属繊維、ワラストナイト、アタパルジャイト、セピオライト、ロックウール、ホウ酸アルミニウムウイスカー、チタン酸カリウム繊維、炭酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカー、セラミック繊維などの繊維状無機充填材;アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維などの繊維状有機充填材;が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、本実施形態においては、熱硬化性樹脂組成物(P)として、ガラス繊維が含まれることが好ましい。
また、上記板状充填材、粒状充填材としては、例えば、タルク、カオリンクレー、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム水和物、マイカ、ガラスフレーク、ガラス粉、炭酸マグネシウム、シリカ、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、上記繊維状充填材の粉砕物などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
充填材(B)は、充填材(B)の全体を100質量%としたとき、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径が5μmを超える充填材(B1)を1質量%以上100質量%以下含むことが好ましく、2質量%以上98質量%以下含むことがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物(P)の作業性を向上させつつ、得られるディスク部20の機械的強度をより一層向上させることができる。充填材(B1)の平均粒子径の上限は特に限定されないが、例えば、100μm以下である。
充填材(B1)としては、平均長径が5μm以上50mm以下で、平均アスペクト比が1以上1000以下である繊維状充填材または板状充填材を含むことがより好ましい。
充填材(B1)の平均長径および平均アスペクト比は、例えば、以下のようにSEM写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、複数の繊維状充填材または板状充填材を撮影する。その観察像から、繊維状充填材または板状充填材を任意に50個選択し、それらの長径(繊維状充填材の場合は繊維長、板状充填材の場合は平面方向の長径寸法)および短径(繊維状充填材の場合は繊維径、板状充填材の場合は厚み方向の寸法)をそれぞれ測定する。長径の全てを積算して個数で除したものを平均長径とする。同様に、短径の全てを積算して個数で除したものを平均短径とする。そして、平均短径に対する平均長径を平均アスペクト比とする。
充填材(B1)としてはワラストナイト、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、炭酸カルシウムなどから選択される1種または2種以上が好ましい。このような充填材(B1)を用いると、ディスク部20の機械的強度を特に向上させることができる。
また、充填材(B)は、充填材(B)の全体を100質量%としたとき、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径が0.1μm以上5μm以下である充填材(B2)を0質量%以上99質量%以下含むことが好ましく、2質量%以上98質量%以下含むことがより好ましい。これにより、凹部201の内部に充填材(B)を十分に存在させることができる。その結果、芯板10とディスク部20との接合強度を高め、機械的強度をより一層向上させることができる。
充填材(B2)としては、平均長径が好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは0.2μm以上50μm以下であり、平均アスペクト比が好ましくは1以上50以下、より好ましくは1以上40以下である繊維状充填材または板状充填材を含むことがより好ましい。
充填材(B2)の平均長径および平均アスペクト比は、例えば、以下のようにSEM写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、複数の繊維状充填材または板状充填材を撮影する。その観察像から、繊維状充填材または板状充填材を任意に50個選択し、それらの長径(繊維状充填材の場合は繊維長、板状充填材の場合は平面方向の長径寸法)および短径(繊維状充填材の場合は繊維径、板状充填材の場合は厚み方向の寸法)をそれぞれ測定する。長径の全てを積算して個数で除したものを平均長径とする。同様に、短径の全てを積算して個数で除したものを平均短径とする。そして、平均短径に対する平均長径を平均アスペクト比とする。
このような充填材(B2)としては、ワラストナイト、カオリンクレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム水和物、ホウ酸アルミニウムウイスカー、およびチタン酸カリウム繊維から選択される1種または2種以上が好ましい。
係る充填材(B2)は、先述のような平均長径や平均アスペスト比を満たすため芯板10における凹部201中に介在しやすくなる。すなわち、上述の充填材(B2)が凹部201中に存在することにより、ブレーキ用ロータ100全体としての機械的強度を向上させることができる。
また、充填材(B)は、後述するシランカップリング剤などのカップリング剤による表面処理が行われていてもよい。
また、熱硬化性樹脂組成物(P)は、シランカップリング剤をさらに含んでもよい。シランカップリング剤を含むことにより、芯板10とディスク部20との密着性を向上させることができる。また、シランカップリング剤を含むことにより、熱硬化性樹脂(A)と充填材(B)との親和性が向上し、その結果、ディスク部20の機械的強度をより一層向上させることができる。
シランカップリング剤を用いる場合の含有量は、充填材(B)の比表面積に依存するので特に限定されないが、充填材(B)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上4.0質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上1.0質量部以下である。シランカップリング剤の含有量が上記範囲内であると、充填材(B)を十分に被覆しつつ、ディスク部20の機械的強度をより一層向上させることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物;γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物;γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物;γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
熱硬化性樹脂組成物(P)の製造方法は特に限定されず、一般的に公知の方法により製造することができる。例えば、以下の方法が挙げられる。まず、熱硬化性樹脂(A)、必要に応じて充填材(B)、シランカップリング剤、エラストマー、硬化剤、硬化助剤、離型剤、顔料、難燃剤、耐候剤、酸化防止剤、可塑剤、潤滑剤、摺動剤、発泡剤などを配合して均一に混合する。次いで、得られた混合物をロール、コニーダ、二軸押出し機などの混練装置単独で、またはロールと他の混練装置との組合せで加熱溶融混練する。最後に、得られた混合物を造粒または粉砕することにより、熱硬化性樹脂組成物(P)が得られる。
本実施形態においては、このようにして得られた熱硬化性樹脂組成物(P)を成形することによりディスク部20が得られる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物(P)の硬化体、すなわち、ディスク部20を構成する樹脂部材の25℃からガラス転移温度までの範囲における線膨張係数αは、好ましくは10ppm/K以上40ppm/K以下であり、より好ましくは10ppm/K以上35ppm/K以下である。線膨張係数αが上記範囲内であると、ブレーキ用ロータ100の信頼性をより一層向上させることができる。
なお、上記線膨張係数αは、成形後のサンプルについて、MD方向の線膨張係数とTD方向の線膨張係数との平均値として算出することができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物(P)の硬化体、すなわち、ディスク部20を構成する樹脂部材のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは150℃以上であり、より好ましくは160℃以上であり、さらに好ましくは170℃以上である。熱硬化性樹脂組成物(P)の硬化体について、ガラス転移温度(Tg)を上記のように設定することにより、ブレーキ用ロータ100の信頼性をより一層向上させることができる。
[クラッチフェージング部30]
本実施形態のクラッチフェージング部30は、従来から公知の摩擦材により構成することができる。たとえば、繊維基材と熱硬化性樹脂とを組み合わせた摩擦材を使用することができる。
ここで、繊維基材としては、アスベスト、全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、ガラス繊維、ロック・ウール、カーボン繊維、グラファイト繊維、セラミック繊維、スチール繊維、銅繊維、真鍮繊維などを採用することができる。また、熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂や、これら熱硬化性樹脂をカシューオイル、シリコーンオイル、各種エラストマー等で変性した樹脂や、これらの熱硬化性樹脂に各種エラストマー、フッ素ポリマー等を分散させた樹脂等を用いることができる。
その他、摩擦調整材等を適宜組み合わせてクラッチフェージング部30を構成することができる。
なお、先述の通り、クラッチフェージング部30が、ディスク部20と同一の熱硬化性樹脂組成物の硬化体で構成されていてもよい。すなわち、このクラッチフェージング部30が先述の熱硬化性樹脂組成物(P)の硬化体であってもよい。
[ブレーキ用ロータ100の製造方法]
本実施形態のブレーキ用ロータ100は、たとえば、以下のような工程を組み合わせることにより製造することができる。
外壁面が粗化処理された金属製の芯板および金型を準備する工程。
金型の成形空間内に芯板を配置する工程。
フェノール樹脂、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される1種または2種以上の熱硬化性樹脂を含み、流動化した、熱硬化性樹脂組成物で成形空間内を充填する工程。
充填された熱硬化性樹脂組成物を硬化させてディスク部を形成し、当該ディスク部と前記芯板とが接合されたブレーキ用ロータを得る工程。
係る方法で用いられる金属製の芯板や熱硬化性樹脂組成物は前述したものを採用することができる。すなわち、本実施形態の製造方法は、先述した芯板10および熱硬化性樹脂組成物(P)を用いて行うことができる。
なお、本実施形態のブレーキ用ロータ100の製造方法において、ディスク部20と、クラッチフェージング部30とが同一の熱硬化性樹脂組成物の硬化体により構成する場合は、ディスク部20を成形すると同時にクラッチフェージング部30も成形する条件を採用すればよい。
本実施形態のブレーキ用ロータ100の製造方法は、芯板10を金型の成形空間内に配置し、さらに、熱硬化性樹脂組成物(P)にてこの成形空間内を充填することにより行われる。
係る条件は、採用する成形方法により異なるため特に限定されないが、一般的に公知の成形条件を採用することができる。たとえば、成形方法として圧縮成形法を用いる場合、例えば、温度が150〜180℃、圧力5〜30MPa、硬化時間30秒間から5分間の成形条件を挙げることができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<熱硬化性樹脂組成物(P1)の調製>
ノボラック型フェノール樹脂(PR−51305、住友ベークライト社製)を36.0質量%、ヘキサメチレンテトラミンを7.0質量%、ガラス繊維(日東紡社製、平均粒子径:11μm、平均長径:3mm、平均アスペクト比:270)を55.0質量%、消石灰(秩父石灰工業社製)を1.0質量%、潤滑剤等のその他の成分を1.0質量%、それぞれ乾式混合し、これを90℃の加熱ロールで溶融混練して、シート状にして冷却したものを粉砕して顆粒状の熱硬化性樹脂組成物(P1)を得た。
<金属部材の表面処理>
まず、表面処理がされていないステンレスシートA(80mm×10mm、厚さ1.0mm、密度7.93g/cm、熱伝導率16.7W/(m・K)、SUS304)を準備した。また、別途、硫酸(50質量%)、硫酸第二銅5水和物(3質量%)、塩化カリウム(3質量%)、チオサリチル酸(0.0001質量%)の水溶液を調製した。そして、得られた水溶液(30℃)中に、ステンレスシートAを浸漬して揺動させ、深さ方向に13μm(ステンレスの減少した重量から算出)溶解させた。次いで、水洗、乾燥し、金属シート1(金属部材)を得た。
なお、この金属シート1について、凹部の断面は、凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状になっていた。
<金属樹脂複合体の作製>
得られた熱硬化性樹脂組成物(P1)および金属シート1を用いて、金属樹脂複合体1を作製した。具体的には、以下の手順により作製した。
はじめに、金型内に厚み1mmの金属シート1を固定せずに配置した。次いで、硬化後の厚みが3mmとなるように、熱硬化性樹脂組成物(P1)を加熱し、上記金型内に所定量注入した。このとき、熱硬化性樹脂組成物(P1)の流体圧力により、金属シート1を金型の内壁に押しつけるようにした。最後に、圧縮成形により熱硬化性樹脂組成物(P1)を硬化することにより、厚み3mmの樹脂部材シートと厚み1mmの金属シート1の2層シートである金属樹脂複合体1を得た。この金属樹脂複合体1を試験片1とした。なお、圧縮成形条件は、実効圧力20MPa、金型温度175℃、硬化時間3分間とした。
<ブレーキ用ロータの作製>
試験片1を作製するのと同様の条件で、樹脂金属複合体からなるブレーキ用ロータを作製した。具体的には、外壁面が粗化処理された円環状の金属部材を用意し、これに対して、圧縮成形により熱硬化性樹脂組成物(P1)を作用させることでブレーキ用ロータ1を得た。
(実施例2)
熱硬化性樹脂組成物(P1)に用いた、ガラス繊維(日東紡社製、平均粒子径:11μm、平均長径:3mm、平均アスペクト比:270)を55.0質量%の代わりに、ガラス繊維50.0質量%とカオリンクレー(SP−33、BASF社製、平均粒子径:4μm、平均長径:32μm、平均アスペクト比:8)を5.0質量%用いて、熱硬化性樹脂組成物(P2)を調製した以外は、実施例1と同様の方法により試験片2とブレーキ用ロータ2を作製した。これらについて、後述する測定及び評価を行った。
(比較例1)
金属シート1の代わりに、粗化処理がされていない金属シートAを使用した以外は、実施例1と同様の方法により試験片3およびブレーキ用ロータ3を作製した。これらについて、後述する測定及び評価をおこなった。
[熱硬化性樹脂組成物の評価]
ガラス転移温度(Tg):作製した試験片から、厚さ2mmの樹脂試料を切り出し、JIS K 6911に準拠して、測定を行った。単位は℃とした。
線膨張係数:熱機械測定装置(TAインスツルメント社製)を用い、空気雰囲気下、圧縮モードで昇温速度5℃/min、温度25〜300℃、荷重100mN、1サイクル測定を行った。熱膨張係数は、温度80〜120℃における平均線熱膨張係数とした。単位はppm/Kとした。
曲げ強度:各樹脂組成物から、80mm×10mm、厚さ4.0mmの試験片を作製し、曲げ強度をJIS K 6911に準じて測定した。
具体的には、試験片の片方の面に2つの支点をあて、反対の面の中央に圧子をあてて3点曲げ応力を加えた。25℃雰囲気にて、試験速度を2mm/min、支点間の距離Lを64mmとして曲げ強さを測定した。単位はMPaとした。
比重:試験片から厚さ2mmの樹脂試料を切り出し、水中置換法により樹脂部材の比重を測定した。単位は、g/cmとした。
[金属部材の評価]
RaおよびRz:超深度形状測定顕微鏡(キーエンス社製VK9700)を用いて、JIS−B0601に準拠して、倍率20倍における金属部材の樹脂部材との接合面の表面形状を測定した。表面粗さはRaおよびRzを測定した。単位はμmとした。
[試験片の評価]
曲げ強度:各試験片について、曲げ強度をJIS K 6911に準じて測定した。
具体的には、試験片の片方の面に2つの支点をあて、反対の面の中央に圧子をあてて3点曲げ応力を加えた。25℃雰囲気にて、試験速度を2mm/min、支点間の距離Lを64mmとして曲げ強さを測定した。単位はMPaとした。
[ブレーキ用ロータの評価]
ヒートサイクル性:得られたブレーキ用ロータについて、−40℃に冷却した雰囲気中に1時間、150℃の乾燥炉に1時間交互に入れる試験を1000回繰り返し、250回毎に金属材料と樹脂材料との剥離の有無を確認した。500回の試験を終了後、剥離のないものについては○、1000回の試験を終了後、剥離の発生の無いものについては◎、500回の試験までに剥離の発生したものは×とした。
上記評価項目に関する評価結果を、以下の表1に各成分の配合比率と共に示す。
Figure 2017003000
表1に示される結果から分かるように、実施例においては樹脂部材と金属部材との剥離が抑制されており、また、良好な機械強度が達成できている。これに対し、比較例においては、樹脂部材と金属部材との接合に劣り、剥離がしやすいものであった。
10 芯板
20 ディスク部
30 クラッチフェージング部
100 ブレーキ用ロータ
102 粗化層
103 接合面
201 凹部
203 開口部
205 底部

Claims (7)

  1. 軸嵌合孔を備えた金属製の芯板と、
    前記芯板の外周に備えられたディスク部とを備えるブレーキ用ロータであって、
    前記ディスク部は、熱硬化性樹脂組成物の硬化体により構成され、
    前記熱硬化性樹脂組成物が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される1種または2種以上の熱硬化性樹脂を含み、
    前記芯板における、前記芯板と前記ディスク部との密着面が複数の凹部を有しており、
    前記凹部の断面形状が、前記凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に前記開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状となっている、ブレーキ用ロータ。
  2. 請求項1に記載のブレーキ用ロータであって、
    前記熱硬化性樹脂組成物が、ガラス繊維を含む、ブレーキ用ロータ。
  3. 請求項1または2に記載のブレーキ用ロータであって、
    前記熱硬化性樹脂組成物が、充填材をさらに含み、
    前記凹部の内部に前記充填材の一部が存在している、ブレーキ用ロータ。
  4. 請求項3に記載のブレーキ用ロータであって、
    前記凹部の内部に存在する前記充填材の平均アスペクト比が1以上50以下である、ブレーキ用ロータ。
  5. 請求項3または4に記載のブレーキ用ロータであって、
    前記凹部の内部に存在する前記充填材がワラストナイト、カオリンクレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム水和物、ホウ酸アルミニウムウイスカーおよびチタン酸カリウム繊維からなる群から選ばれる一種または二種以上である、ブレーキ用ロータ。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載のブレーキ用ロータであって、
    前記芯板が、銅、アルミニウム、鉄またはステンレス材から構成される、ブレーキ用ロータ。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載のブレーキ用ロータであって、
    当該ブレーキ用ロータは前記ディスク部にクラッチフェージング部を備え、当該クラッチフェージング部が、前記ディスク部と同一の熱硬化性樹脂組成物の硬化体で構成されている、ブレーキ用ロータ。
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