JP6398280B2 - ギア - Google Patents

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Description

本発明は、ギアに関する。
一般的なギアは、その全体が金属材料により構成されている。しかし、ギアの全体が金属製であると、ギアの軽量化が困難である。
特許文献1には、軸孔がその回転中心に形成された円筒状のハブと、このハブの外周面に固着された板状のリムとを有する金属製ホイールと、リムの外周に固着された合成樹脂製ギヤリングとを備えるウォームホイールが記載されている。このウォームホイールは、ギアリングが合成樹脂製であることによって軽量化が図られている。
特開2000−329217号公報
特許文献1の技術では、ウォームホイールの一部分を合成樹脂製としたことにより、軽量化を図ることはできる。しかし、ギアリングが合成樹脂製であるため、ギアリングの耐摩耗性を十分に確保することが困難である。また、回転中心側に位置するハブおよびリムが金属製(つまり高比重)であり、回転中心から遠い側に位置するギアリングが合成樹脂製(つまり低比重)であるため、慣性力を十分に確保することも困難である。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、軽量化が可能であるだけでなく、歯車部の耐摩耗性と十分な慣性力とを得ることが可能な構造のギアを提供する。
本発明は、
金属製の回転軸部と、
金属製の歯車部と、
前記回転軸部と前記歯車部とにそれぞれ接合して、前記回転軸部と前記歯車部とを相互に連結している樹脂製の連結体と、
を有し、
前記歯車部は、円環状の歯車本体部と、前記歯車本体部に沿って円環状に並ぶ配置でそれぞれ前記歯車本体部に設けられた複数の歯と、を有し、
前記歯車本体部の内周面には溝が形成され、
前記溝の長手方向は、前記回転軸部の軸心に対して斜めになっており、
前記溝内に前記連結体の一部分が充填されているギアを提供する。
本発明によれば、ギアの軽量化が可能であるだけでなく、歯車部の耐摩耗性と、ギアの十分な慣性力とを得ることが可能である。
第1の実施形態に係るギアの斜視図である。 第1の実施形態に係るギアの断面図である。 100万回曲げ疲労耐性の評価方法について説明するための模式図である。 ギアの一部分を構成する金属樹脂複合体について説明するための図である。 金属部材における樹脂部材との接合面の表層に形成された粗化層を構成する凹部(微小凹部)の断面形状の例を説明するための模式図である。 第1の実施形態に係るギアを製造する方法を説明するための図である。 第2の実施形態に係るギアの断面図である。 第3の実施形態に係るギアの歯車部の正面図である。 第4の実施形態に係るギアの歯車部の断面図である。 第5の実施形態に係るギアの断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係るギア100の斜視図である。図2は第1の実施形態に係るギア100の断面図である。図2に示す断面は、シャフト(回転軸部)10の軸心Xに沿った平面でギア100を切断した断面である。
本実施形態に係るギア100は、金属製の回転軸部(例えばシャフト10)と、金属製の歯車部20と、回転軸部と歯車部20とにそれぞれ接合して回転軸部と歯車部20とを相互に連結している樹脂製の連結体30と、を有している。
ここで、本明細書において、連結体30が回転軸部および歯車部20に対してそれぞれ接合しているということは、例えば、連結体30を構成する樹脂材料が、回転軸部および歯車部20を構成する金属材料と一体化するように、当該樹脂材料が成形されていることを意味する。これにより、連結体30を構成する樹脂材料は、アンカー効果等によって、回転軸部および歯車部20を構成する金属材料に対して物理的に接合している。ただし、連結体30は、回転軸部および歯車部20を構成する金属材料に対して接着固定されていても良い。
図1及び図2に示すように、ギア100は、例えば、回転軸部としてのシャフト10を有する。シャフト10は一方向に直線状に延在する棒状体である。
歯車部20は、円環状に形成された歯車本体部21と、歯車本体部21に沿って円環状に並ぶ配置でそれぞれ歯車本体部21に設けられた複数の歯22と、を有している。
歯車本体部21は、所定の厚みを有する円環状(ドーナツ状)の盤状に形成されている。本実施形態の場合、歯車本体部21の円筒状の外周面21aに沿って複数の歯22が一定間隔で設けられている。歯車部20は、金型鋳造などにより作製され、歯車部20の歯車本体部21と複数の歯22とは、相互に一体成形されている。
シャフト10は、歯車本体部21を貫通し、歯車本体部21の軸心に沿って配置されている。すなわち、シャフト10の軸心Xと歯車本体部21の軸心とは互いに一致している(つまりシャフト10の軸心Xと歯車部20の軸心とは互いに一致している)。
連結体30は、少なくとも、シャフト10の外周面10aと歯車本体部21の内周面21bとの間に充填されて、シャフト10の外周面10aと歯車本体部21の内周面21bとにそれぞれ接合している。
本実施形態の場合、連結体30は、歯車本体部21の軸心方向における歯車本体部21の両面をそれぞれ覆い、且つ、これら両面にそれぞれ接合している。すなわち、連結体30は、歯車本体部21の一方の面21cと、他方の面21dとをそれぞれ覆い、且つ、これら面21c、21dにそれぞれ接合している。つまり、連結体30は、歯車本体部21の両面を挟持している。
連結体30の形状は、特に限定されない。一例として、シャフト10の軸心方向における連結体30の両面(面30a、30b)は、それぞれシャフト10の軸心Xに対して直交する平面となっており、且つ、互いに平行となっている。連結体30の正面形状(シャフト10の軸心方向に連結体30を見たときの形状)は、例えば、円環状となっている。
以下、本実施形態に係るギア100の好ましい特性の例について説明する。
ここで、ギア100は、金属部材12(シャフト10又は歯車部20)と、樹脂部材14(連結体30)とを備えて構成されていると考えることができる。
図3は100万回曲げ疲労耐性の評価方法について説明するための模式図である。図3には、100万回曲げ疲労耐性の評価等に用いられる試験片16が示されている。
この試験片16は、厚みd1の板状の樹脂部材14と厚みd2の板状の金属部材12とが積層してなり、かつ樹脂部材14と金属部材12との厚みの比d1/d2が3となるように、ギア100の一部分を切り出すことにより得られたものである。ここで、試験片16の樹脂部材14は連結体30の一部分からなり、試験片16の金属部材12はシャフト10又は歯車部20の一部分からなる。
この試験片16に対して、25℃の温度条件で、2つの支持台703上に樹脂部材14の露出面を上にして配置して応力を加えない第1状態と、樹脂部材14の露出面の中央に140MPaの1点応力を厚さ方向に印加して第1状態から中央を沈み込ませた第2状態とを、周波数30Hzで交互に100万回繰り返したとき、剥離も破断もしない曲げ疲労耐性(以下、「100万回曲げ疲労耐性」と示す。)を有することが好ましい。
すなわち、本実施形態に係るギア100は、厚みdの樹脂部材14と厚みdの金属部材12とが積層しており、かつ樹脂部材14と金属部材12との厚みの比d/dが3となるように切り出した試験片16に対して、25℃の温度条件で、2つの支持台703上に樹脂部材14の露出面を上にして配置して応力を加えない第1状態と、樹脂部材14側の面の中央に140MPaの1点応力を厚さ方向に印加して第1状態から中央を沈み込ませた第2状態とを、周波数30Hzで交互に100万回繰り返したとき、剥離も破断もしない曲げ疲労耐性を有することが好ましい。
こうすることで、より一層信頼性に優れたギア100とすることができる。
100万回曲げ疲労耐性の評価方法について、以下により具体的に説明する。
まず、直方体の試験片16を準備する。試験片16は、金属部材12と樹脂部材14との接合面103を1つ有し、樹脂部材14の厚みが金属部材12の厚みの3倍(d/d=3)であるものとする。なお、d/dが3であれば、試験片16の厚さh、幅b、および奥行きの大きさは問わないがJIS K 7171に準拠している方が好ましい。
次に、準備した試験片16を2つの支持台703間に亘って架設する(第1状態)。2つの支持台703間の距離は、準備した試験片16が乗るように調節しておく。2つの支持台703は試験片16に対して左右対称に配置する。このとき、樹脂部材14の下側に金属部材12が位置するとともに、金属部材12が支持台703に接するように配置する。そして、樹脂部材14の上面に1つの圧子701を接触させ、接合面103に垂直な方向に140MPaの片振りの曲げ応力を繰り返し印加する。圧子701と試験片16との接触位置は、2つの支持台703と試験片16との接触位置(支点)から等距離の位置とする。繰り返しの応力印加は25℃雰囲気下にて行う。
曲げ応力の大きさσ[MPa]は、σ=3FL/2bhで表される。ここで、F[N]は圧子701から印加する力(単位はN)、Lは支点間距離(単位はmm)、bは試験片の幅(単位はmm)、hは試験片の厚さ(単位はmm)である。試験片の幅、厚さ、および支点間の距離に応じて、曲げ応力の大きさが140MPaとなるよう力Fを決定し、繰り返し応力を印加して評価することができる。
このように140MPaの応力を印加することにより、試験片16は中央が沈み込んだ形にわずかに曲がる(第2状態)。そして応力印加をやめ、応力を加えない第1状態に戻す。この第1状態と第2状態を交互に30Hzの周波数で100万回繰り返す。このように100万回の繰り返し応力を印加した後の試験片16を観察し、金属部材12と樹脂部材14との剥離、または試験片16の破断が生じていないことを確認する。剥離も破断も生じていない場合、100万回曲げ疲労耐性があると評価する。
たとえば、支点間距離Lを64mm、試験片16の幅を80mm、奥行きを10mm、厚さhを4.0mm(金属部材12の厚さ1.0mm、樹脂部材14の厚さ3.0mm)、曲げ応力の大きさσを140MPaとして、100万回曲げ疲労耐性があることを確認することができるが、この条件には限定されない。
また、本実施形態に係るギア100は、厚みdの樹脂部材14と厚みdの金属部材12とが積層しており、かつ樹脂部材14と金属部材12との厚みの比d/dが3となるように切り出した試験片16に対し、先ず、180℃で8時間焼成処理を行い、次いで、1000サイクルのヒート処理(−40℃で1時間静置した後、150℃で1時間静置する)行った後、JIS K6911に準じて試験片16の曲げ強度を測定すると、その曲げ強度が200MPa以上であることが好ましい。このようなギア100は、温度条件の変化に対応できる熱耐久性に優れた信頼性の高いものとすることができる。また、上記条件により測定した試験片16の曲げ強度は、250MPa以上であるとさらに好ましく、300MPa以上であるとより一層好ましい。
また、本実施形態に係るギア100は、厚みdの樹脂部材14と厚みdの金属部材12とが積層して積層しており、かつ樹脂部材14と金属部材12との厚みの比d/dが3となるように切り出した試験片16に対し、先ず、180℃で8時間焼成処理を行い、次いで、1000サイクルのヒート処理(−40℃で1時間静置した後、150℃で1時間静置する)行った後、JIS K6911に準じて試験片16の曲げ弾性率を測定すると、その曲げ弾性率が20GPa以上であることが好ましい。このようなギア100は、種々の特性にくわえ、温度条件の変化に対応できる熱耐久性に優れた信頼性の高いものとすることができる。また、上記条件により測定した試験片16の曲げ弾性率は、22GPa以上であるとさらに好ましく、24MPa以上であるとより一層好ましい。
ここで、ギア100を構成する金属部材12(シャフト10又は歯車部20)と樹脂部材14(連結体30)との接合面103を含むように、ギア100の一部分を切り出して得られる構造体を、金属樹脂複合体と称することとする。
金属樹脂複合体において、樹脂部材14の25℃からガラス転移温度までの範囲における線膨張係数αと、金属部材12の25℃から樹脂部材14の上記ガラス転移温度までの範囲における線膨張係数αとの差(α−α)の絶対値は、25ppm/℃以下であることが好ましく、10ppm/℃以下であることがより好ましい。上記線膨張係数の差が上記上限値以下であれば、金属樹脂複合体が高温下に晒された際に発生する、線膨張の差による熱応力を、抑制することができる。そのため、上記線膨張係数の差が上記上限値以下であれば、高温下でも、樹脂部材14と金属部材12との接合強度を維持することができる。すなわち、上記線膨張係数の差が上記上限値以下であれば、金属樹脂複合体、ひいてはギア100の高温での寸法安定性を向上させることができる。
なお、本実施形態において、線膨張係数に異方性がある場合は、それらの平均値を表す。例えば、樹脂部材14がシート状の場合、流動方向(MD)の線膨張係数と、それと垂直方向(TD)の線膨張係数とが異なる場合、それらの平均値が樹脂部材14の線膨張係数αとなる。
<金属部材12>
図4は本実施形態に係るギア100の一部分を構成する金属樹脂複合体について説明するための図である。
金属部材12を構成する金属材料は特に限定されないが、入手の容易さや価格の観点から、鉄、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、銅および銅合金などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、軽量かつ高強度であり、気密性を確保できるまたは剛性を担保できる等の金属材料自体の特長点をギア100にもたらすことができる点から、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレスを含むことが好ましい。なお、シャフト10を構成する金属材料と、歯車部20を構成する金属材料とは、同一種類であっても良いし、異種であっても良い。
樹脂部材14と金属部材12との接合強度を向上させる観点から、金属部材12における樹脂部材14との接合面には、微小な凹凸からなる粗化層104が形成されていることが好ましい。
図5は、金属部材12における樹脂部材14との接合面の表層に形成された粗化層104を構成する凹部(微小凹部)201の断面形状の例を説明するための模式図である。ここで、粗化層104とは、金属部材12の表面に設けられた複数の凹部201を有する領域をいう。
粗化層104の厚みは、好ましくは3μm以上40μm以下であり、より好ましくは4μm以上32μm以下であり、特に好ましくは4μm以上30μm以下である。粗化層104の厚みが上記範囲内であると、樹脂部材14と金属部材12との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。ここで、本実施形態において、粗化層104の厚みは、複数の凹部201の中で最も深さが大きいものの深さD3で表され、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から算出することができる。
凹部201の断面は、凹部201の開口部203から底部205までの間の少なくとも一部に開口部203の断面幅D1よりも大きい断面幅D2を有する形状となっていることが好ましい。
図5に示すように、凹部201の断面形状は、D2がD1よりも大きければ特に限定されず、様々な形状を取り得る。凹部201の断面形状は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することができる。
凹部201の断面形状が上記形状であると、より一層接合強度に優れた金属樹脂複合体が得られる理由は必ずしも明らかではないが、接合面103の表面が、樹脂部材14と金属部材12との間のアンカー効果がより一層強く発現できる構造となっているからだと考えられる。
凹部201の断面形状が上記形状であると、樹脂部材14が凹部201の開口部203から底部205までの間で引っかかるため、アンカー効果が効果的に働く。そのため、樹脂部材14と金属部材12との接合強度および接合の耐久性が向上すると考えられる。
凹部201の平均深さは、好ましくは0.5μm以上40μm以下であり、より好ましくは1μm以上30μm以下である。凹部201の平均深さが上記上限値以下であると、連結体を構成する樹脂材料(熱硬化性樹脂組成物(P))が凹部201の奥まで十分に入り込むことができるため、樹脂部材14と金属部材12とが相互に侵入した領域の機械的強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。凹部201の平均深さが上記下限値以上であると、熱硬化性樹脂組成物(P)が充填材(B)を含む場合に凹部201の内部に存在する充填材(B)の割合を増やすことができるため、樹脂部材14と金属部材12とが相互に侵入した領域の機械的強度および接合の耐久性を向上させることができる。したがって、凹部201の平均深さが上記範囲内であると、樹脂部材14と金属部材12との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。
凹部201の平均深さは、例えば、以下のように走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、粗化層104の断面を撮影する。その観察像から、凹部201を任意に50個選択し、それらの深さをそれぞれ測定する。凹部201の深さの全てを積算して個数で除したものを平均深さとする。
金属部材12の接合面103の表面粗さRaは、好ましくは0.5μm以上40.0μm以下であり、より好ましくは1.0μm以上20.0μm以下であり、特に好ましくは1.0μm以上10.0μm以下である。上記表面粗さRaが上記範囲内であると、樹脂部材14と金属部材12との接合強度をより一層向上させることができる。
また、金属部材12の接合面103の最大高さRzは、好ましくは1.0μm以上40.0μm以下であり、より好ましくは3.0μm以上30.0μm以下である。上記最大高さRzが上記範囲内であると、樹脂部材14と金属部材12との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。なお、表面粗さRaおよび最大高さRzは、JIS−B0601に準拠して測定することができる。
金属部材12は、少なくとも樹脂部材14と接合する接合面103の見掛け表面積に対する窒素吸着BET法による実表面積の比(以下、単に比表面積とも呼ぶ。)が、好ましくは100以上であり、より好ましくは150以上である。上記比表面積が上記下限値以上であると、樹脂部材14と金属部材12との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。また、上記比表面積が、好ましくは400以下であり、より好ましくは380以下であり、特に好ましくは300以下である。上記比表面積が上記上限値以下であると、樹脂部材14と金属部材12との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。
ここで、本実施形態における見掛け表面積は、金属部材12の表面が凹凸のない平滑状であると仮定した場合の表面積を意味する。例えば、その表面形状が長方形の場合には、縦の長さ×横の長さで表される。一方、本実施形態における窒素吸着BET法による実表面積は、窒素ガスの吸着量により求めたBET表面積を意味する。例えば、真空乾燥した測定対象試料について、自動比表面積/細孔分布測定装置(BELSORPminiII、日本ベル社製)を用いて、液体窒素温度における窒素吸脱着量を測定し、その窒素吸脱着量に基づいて算出することができる。
上記比表面積が上記範囲内であると、より一層接合強度および接合の耐久性に優れた金属樹脂複合体が得られる理由は必ずしも明らかではないが、樹脂部材14との接合面103の表面が、樹脂部材14と金属部材12との間のアンカー効果がより一層強く発現できる構造となっているからだと考えられる。
上記比表面積が上記下限値以上であると、樹脂部材14と金属部材12の接触面積が大きくなり、樹脂部材14と金属部材12とが相互に侵入する領域が増える。その結果、アンカー効果が働く領域が増え、樹脂部材14と金属部材12との接合強度および接合の耐久性がより一層向上すると考えられる。
一方、上記比表面積が大きすぎると、樹脂部材14と金属部材12とが相互に侵入した領域の金属部材12の割合が減るため、この領域の機械的強度および接合の耐久性が低下してしまう。そのため、上記比表面積が上記上限値以下であると、樹脂部材14と金属部材12とが相互に侵入した領域の機械的強度および接合の耐久性がより一層向上し、その結果、樹脂部材14と金属部材12との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができると考えられる。
以上から、上記比表面積が上記範囲内であると、樹脂部材14との接合面103の表面が、樹脂部材14と金属部材12との間のアンカー効果がより一層強く発現できる、バランスの良い構造になっていると推察される。
金属部材12は、特に限定されないが、少なくとも樹脂部材14と接合する接合面103の光沢度が、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは1以上である。上記光沢度が上記下限値以上であると、樹脂部材14と金属部材12との接合強度をより一層向上させることができる。また、上記光沢度が、好ましくは30以下であり、より好ましくは20以下である。上記光沢度が上記上限値以下であると、樹脂部材14と金属部材12との接合強度をより一層向上させることができる。ここで、本実施形態における光沢度は、ASTM−D523に準拠して測定した測定角度60°(入射角60°、反射角60°)の値を示す。光沢度は、例えば、ディジタル光沢度計(20°、60°)(GM−26型、村上色彩技術研究所社製)を用いて測定することができる。
上記光沢度が上記範囲内であると、接合強度により一層優れた金属樹脂複合体が得られる理由は必ずしも明らかではないが、樹脂部材14との接合面103の表面がより一層乱雑な構造となり、樹脂部材14と金属部材12との間のアンカー効果がより一層強く発現できる構造となっているからだと考えられる。
金属部材12の形状は、樹脂部材14と接合する接合面103を有する形状であれば特に限定されない。金属部材12は、前述した金属材料を公知の加工法により加工することにより得ることができる。
また、樹脂部材14と接合する接合面103の形状は、曲面であっても良いし、平面であっても良いし、曲面と平面とを組み合わせた形状他であっても良い。
次に、金属部材12の表面を粗化処理して粗化層104を形成する方法について説明する。
粗化層104は、例えば、表面処理剤を用いて、金属部材12の表面を化学的処理することにより形成することができる。
ここで、表面処理剤を用いて金属部材12の表面を化学的処理すること自体は従来技術においても行われてきた。しかし、本実施形態では、(1)金属部材と化学的処理剤の組み合わせ、(2)化学的処理の温度および時間、(3)化学的処理後の金属部材表面の後処理、などの因子を高度に制御している。100万回曲げ疲労耐性を有する金属樹脂複合体を得るためには、これらの因子を高度に制御することが特に重要となる。
以下、金属部材12の表面上に粗化層104を形成する方法の一例を示す。ただし、本実施形態に係る粗化層104の形成方法は、以下の例に限定されない。
はじめに、(1)金属部材と表面処理剤の組み合わせを選択する。
鉄やステンレスから構成される金属部材12を用いる場合は、表面処理剤として、無機酸、塩素イオン源、第二銅イオン源、チオール系化合物を必要に応じて組合せた水溶液を選択するのが好ましい。
アルミニウムやアルミニウム合金から構成される金属部材12を用いる場合は、表面処理剤として、アルカリ源、両性金属イオン源、硝酸イオン源、チオ化合物を必要に応じて組合せた水溶液を選択するのが好ましい。
マグネシウムやマグネシウム合金から構成される金属部材12を用いる場合は、表面処理剤として、アルカリ源が用いられ、特に水酸化ナトリウムの水溶液を選択するのが好ましい。
銅や銅合金から構成される金属部材12を用いる場合は、表面処理剤として、硝酸、硫酸などの無機酸、不飽和カルボン酸などの有機酸、過硫酸塩、過酸化水素、イミダゾールおよびその誘導体、テトラゾールおよびその誘導体、アミノテトラゾールおよびその誘導体、アミノトリアゾールおよびその誘導体などのアゾール類、ピリジン誘導体、トリアジン、トリアジン誘導体、アルカノールアミン、アルキルアミン誘導体、ポリアルキレングリコール、糖アルコール、第二銅イオン源、塩素イオン源、ホスホン酸系キレート剤酸化剤、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミンから選ばれる少なくとも1種を用いた水溶液を選択するのが好ましい。
つぎに、(2)金属部材12を表面処理剤に浸漬させ、金属部材12表面に化学的処理をおこなう。このとき、処理温度は、例えば、30℃である。また、処理時間は選定する金属部材12の材質や表面状態、表面処理剤の種類や濃度、処理温度などにより適宜決定されるが、例えば、30〜300秒である。このとき、金属部材12の深さ方向のエッチング量を、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上にすることが重要である。金属部材12の深さ方向のエッチング量は、溶解した金属部材12の重量、比重および表面積から算出して、評価することができる。この深さ方向のエッチング量は、表面処理剤の種類や濃度、処理温度、処理時間などにより調整することができる。
本実施形態では、深さ方向のエッチング量を調整することにより、前述した粗化層104の厚み、凹部201の平均深さ、Ra、Rz等を調整することができる。
最後に、(3)化学的処理後の金属部材12表面に後処理をおこなう。まず、金属部材12表面を水洗、乾燥する。次いで、化学的処理をおこなった金属部材12表面を硝酸水溶液などで処理する。
以上の手順により、本実施形態に係る粗化層104を有する金属部材12を得ることができる。
<樹脂部材14>
つぎに、本実施形態に係る樹脂部材14について説明する。
樹脂部材14は、熱硬化性樹脂組成物(P)を硬化してなる。
熱硬化性樹脂組成物(P)は、熱硬化性樹脂(A)を含み、熱硬化性樹脂(A)としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、オキセタン樹脂、マレイミド樹脂、ユリア(尿素)樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂などが用いられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、耐熱性、加工性、機械的特性、接着性および防錆性等の樹脂材料自体の特長点をギア100にもたらすことができる点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される1以上を含む熱硬化性樹脂組成物(P)が好適に用いられる。
熱硬化性樹脂(A)の含有量は、樹脂部材14の全体を100質量部としたとき、好ましくは15質量部以上60質量部以下であり、より好ましくは25質量部以上50質量部以下である。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂;メチロール型レゾール樹脂、ジメチレンエーテル型レゾール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油などで溶融した油溶融レゾールフェノール樹脂などのレゾール型フェノール樹脂;アリールアルキレン型フェノール樹脂などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも入手容易性、安価およびロール混練による作業性が良好などの理由からノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂において、ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合は、通常、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを使用する。ヘキサメチレンテトラミンは、特に限定されないが、ノボラック型フェノール樹脂100質量部に対して、10〜25質量部使用することが好ましく、13〜20質量部使用することがより好ましい。ヘキサメチレンテトラミンの使用量が上記下限値以上であると、成形時の硬化時間を短縮することができる。また、ヘキサメチレンテトラミンの使用量が上記上限値以下であると、成形品の外観を向上させることができる。
熱硬化性樹脂組成物(P)は、樹脂部材14の機械的強度を向上させる観点から、充填材(B)を含む。ただし、本実施形態では、充填材(B)から後述するエラストマー(D)は除かれる。
充填材(B)の含有量は、樹脂部材14の全体を100質量部としたとき、好ましくは30質量部以上80質量部以下であり、より好ましくは40質量部以上70質量部以下である。充填材(B)の含有量を上記範囲内とすることにより、熱硬化性樹脂組成物(P)の作業性を向上させつつ、得られる樹脂部材14の機械的強度をより一層向上させることができる。これにより、樹脂部材14と金属部材12との接合強度により一層優れた金属樹脂複合体を得ることができる。また、充填材(B)の種類や含有量を調整することにより、得られる樹脂部材14の線膨張係数αRの値を調整することができる。
充填材(B)としては、例えば、繊維状充填材、粒状充填材、板状充填材などが挙げられる。ここで、繊維状充填材はその形状が繊維状である充填材である。板状充填材はその形状が板状である充填材である。粒状充填材は、不定形状を含む繊維状・板状以外の形状の充填材である。
上記繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、金属繊維、ワラストナイト、アタパルジャイト、セピオライト、ロックウール、ホウ酸アルミニウムウイスカー、チタン酸カリウム繊維、炭酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカー、セラミック繊維などの繊維状無機充填材;アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維などの繊維状有機充填材;が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
また、上記板状充填材、粒状充填材としては、例えば、タルク、カオリンクレー、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム水和物、マイカ、ガラスフレーク、ガラス粉、炭酸マグネシウム、シリカ、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、上記繊維状充填材の粉砕物などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
充填材(B)は、充填材(B)の全体を100質量部としたとき、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径が5μmを超える充填材(B1)を70質量部以上99質量部以下含むことが好ましく、85質量部以上98質量部以下含むことがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂組成物(P)の作業性を向上させつつ、得られる樹脂部材14の機械的強度をより一層向上させることができる。充填材(B1)の平均粒子径の上限は特に限定されないが、例えば、100μm以下である。
充填材(B1)としては、平均長径が5μm以上50mm以下で、平均アスペクト比が1以上1000以下である繊維状充填材または板状充填材を含むことがより好ましい。
充填材(B1)の平均長径および平均アスペクト比は、例えば、以下のようにSEM写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、複数の繊維状充填材または板状充填材を撮影する。その観察像から、繊維状充填材または板状充填材を任意に50個選択し、それらの長径(繊維状充填材の場合は繊維長、板状充填材の場合は平面方向の長径寸法)および短径(繊維状充填材の場合は繊維径、板状充填材の場合は厚み方向の寸法)をそれぞれ測定する。長径の全てを積算して個数で除したものを平均長径とする。同様に、短径の全てを積算して個数で除したものを平均短径とする。そして、平均短径に対する平均長径を平均アスペクト比とする。
充填材(B1)としてはガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、炭酸カルシウムなどから選択される1種または2種以上が好ましい。このような充填材(B1)を用いると、樹脂部材14の機械的強度を特に向上させることができる。
また、充填材(B)は、充填材(B)の全体を100質量部としたとき、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径が0.1μm以上5μm以下である充填材(B2)を1質量部以上30質量部以下含むことが好ましく、2質量部以上15質量部以下含むことがより好ましい。これにより、凹部201の内部に充填材(B)を十分に存在させることができる。その結果、樹脂部材14と金属部材12とが相互に侵入した領域の機械的強度をより一層向上させることができる。
充填材(B2)としては、平均長径が好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは0.2μm以上50μm以下であり、平均アスペクト比が好ましくは1以上50以下、より好ましくは1以上40以下である繊維状充填材または板状充填材を含むことがより好ましい。
充填材(B2)の平均長径および平均アスペクト比は、例えば、以下のようにSEM写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、複数の繊維状充填材または板状充填材を撮影する。その観察像から、繊維状充填材または板状充填材を任意に50個選択し、それらの長径(繊維状充填材の場合は繊維長、板状充填材の場合は平面方向の長径寸法)および短径(繊維状充填材の場合は繊維径、板状充填材の場合は厚み方向の寸法)をそれぞれ測定する。長径の全てを積算して個数で除したものを平均長径とする。同様に、短径の全てを積算して個数で除したものを平均短径とする。そして、平均短径に対する平均長径を平均アスペクト比とする。
このような充填材(B2)としては、ワラストナイト、カオリンクレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム水和物、ホウ酸アルミニウムウイスカー、およびチタン酸カリウム繊維から選択される1種または2種以上が好ましい。
また、熱硬化性樹脂組成物(P)は充填材(B)として固体潤滑剤を含むことが好ましい。固体潤滑剤としてはたとえば、黒鉛、炭素繊維、フッ素樹脂から選択される1種または2種以上が好ましい。固体潤滑剤を含むことにより、樹脂部材14の摩擦係数が低くなる。
また、充填材(B)は、後述するシランカップリング剤(C)などのカップリング剤による表面処理が行われていてもよい。
熱硬化性樹脂組成物(P)は、シランカップリング剤(C)をさらに含んでもよい。シランカップリング剤(C)を含むことにより、樹脂部材14と金属部材12との密着性を向上させることができる。また、シランカップリング剤(C)を含むことにより、熱硬化性樹脂(A)と充填材(B)との親和性が向上し、その結果、樹脂部材14の機械的強度をより一層向上させることができる。
シランカップリング剤(C)の含有量は、充填材(B)の比表面積に依存するので特に限定されないが、充填材(B)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上4.0質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上1.0質量部以下である。シランカップリング剤(C)の含有量が上記範囲内であると、充填材(B)を十分に被覆しつつ、樹脂部材14の機械的強度をより一層向上させることができる。
シランカップリング剤(C)としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物;γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物;γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物;γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物(P)は、樹脂部材14の靭性を向上させる観点から、エラストマー(D)をさらに含んでもよい。ただし、本実施形態では、エラストマー(D)から前述した充填材(B)は除かれる。
エラストマー(D)の含有量は、樹脂部材14の全体を100質量部としたとき、好ましくは1質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは1.5質量部以上7質量部以下である。エラストマー(D)の含有量を上記範囲内とすることにより、樹脂部材14の機械的強度を維持しつつ、樹脂部材14の靭性をより一層向上させることができる。これにより、樹脂部材14と金属部材12との接合強度により一層優れた金属樹脂複合体を得ることができる。
エラストマー(D)としては、例えば、未変性のポリ酢酸ビニル、カルボン酸変性のポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、スチレン・イソプレンゴム、アクリロニトリル・ブダジエンゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの中でも未変性のポリ酢酸ビニル、カルボン酸変性のポリ酢酸ビニル、アクリルゴム、アクリロニトリル・ブダジエンゴム、ポリビニルブチラールが好ましい。これらのエラストマーを用いると、樹脂部材14の靭性を特に向上させることができる。
熱硬化性樹脂組成物(P)の製造方法は特に限定されず、一般的に公知の方法により製造することができる。例えば、以下の方法が挙げられる。まず、熱硬化性樹脂(A)に、必要に応じて充填材(B)、シランカップリング剤(C)、エラストマー(D)、硬化剤、硬化助剤、離型剤、顔料、難燃剤、耐候剤、酸化防止剤、可塑剤、潤滑剤、摺動剤、発泡剤などを配合して均一に混合する。次いで、得られた混合物をロール、コニーダ、二軸押出し機などの混練装置単独で、またはロールと他の混練装置との組合せで加熱溶融混練する。最後に、得られた混合物を造粒または粉砕することにより、熱硬化性樹脂組成物(P)が得られる。
樹脂部材14の25℃からガラス転移温度までの範囲における線膨張係数αRは、好ましくは10ppm/℃以上50ppm/℃以下であり、より好ましくは15ppm/℃以上45ppm/℃以下である。線膨張係数αRが上記範囲内であると、金属樹脂複合体の温度サイクルの信頼性をより一層向上させることができる。
樹脂部材14の密度は軽量化の観点から、2.5g/cm以下であることが好ましく、2.0g/cm以下であることがより好ましい。
樹脂部材14の熱伝導率は90W/(m・K)以下であることが好ましく、1W/(m・K)以下であることがより好ましい。上記上限以下であれば、ギア100のシャフト10から歯車部20への断熱性、ならびに、ギア100の歯車部20からシャフト10への断熱性が向上する。熱伝導率はレーザーフラッシュ法で測定することができる。なお、熱伝導率に異方性がある場合、樹脂部材14の熱伝導率は、金属部材12と樹脂部材14の接合面103に垂直な方向の熱伝導率を意味するものとする。
充填材(B)を含む熱硬化性樹脂組成物(P)を用いる場合、凹部201の内部には充填材(B)が存在し、凹部201に存在する充填材(B)の走査型電子顕微鏡写真の画像解析による平均長径が、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下であり、より好ましくは0.2μm以上4μm以下である。これにより、樹脂部材14と金属部材12とが相互に侵入した領域の機械的強度をより一層向上させることができる。
また、凹部201の内部に存在する充填材(B)の平均アスペクト比が、好ましくは1以上50以下であり、より好ましくは1以上40以下である。
凹部201の内部に存在する充填材(B)の平均長径および平均アスペクト比は、以下のようにSEM写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、粗化層104の断面を撮影する。その観察像から、凹部201の内部に存在する充填材(B)を任意に50個選択し、それらの長径(繊維状充填材の場合は繊維長、板状充填材の場合は平面方向の長径寸法)および短径(繊維状充填材の場合は繊維径、板状充填材の場合は厚み方向の寸法)をそれぞれ測定する。長径の全てを積算して個数で除したものを平均長径とする。同様に、短径の全てを積算して個数で除したものを平均短径とする。そして、平均短径に対する平均長径を平均アスペクト比とする。
また、凹部201の内部に存在する充填材(B)はワラストナイト、カオリンクレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム水和物、ホウ酸アルミニウムウイスカー、およびチタン酸カリウム繊維からなる群から選ばれる一種または二種以上であることが好ましい。
また、樹脂部材14がエラストマー(D)を含む場合、樹脂部材14は好ましくは海島構造であり、エラストマー(D)が島相に存在することが好ましい。
こうした構造であると、樹脂部材14の靭性を向上させるとともに金属樹脂複合体の耐衝撃性を向上できる。そのため、金属樹脂複合体に外部から衝撃が加わっても、樹脂部材14と金属部材12との接合強度を維持することができる。
海島構造は、走査型電子顕微鏡写真により観察することができる。
上記島相の走査型電子顕微鏡写真の画像解析による平均径は、好ましくは0.1μm以上100μm以下であり、より好ましくは0.2μm以上30μm以下である。島相の平均径が上記範囲内であると、樹脂部材14の靭性をより一層向上できるとともに金属樹脂複合体の耐衝撃性をより一層向上できる。
島相の平均径は、以下のように走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、樹脂部材14の断面を撮影する。その観察像から、樹脂部材14に存在する島相を任意に50個選択し、それらの直径をそれぞれ測定する。島相の直径の全てを積算して個数で除したものを平均径とする。
<ギアの製造方法>
次に、本実施形態に係るギア100を製造する方法の例を説明する。ギア100の製造方法は、樹脂部材14と金属部材12とが相互に接合するように金属樹脂複合体を成形できる方法であれば特に限定されない。こうした金属樹脂複合体を成形できる方法としては、例えば、射出成形法、移送成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法などが挙げられる。
図6は第1の実施形態に係るギア100を製造する方法を説明するための図であり、このうち(a)は第1例を示し、(b)は第2例を示す。
図6(a)に示すように、ギア100を製造する方法の第1例では、シャフト10と歯車部20とを金型200内でそれぞれ位置決めした状態で、連結体30を構成する樹脂材料を射出成形により成形することによって、ギア100を製造する。
以下、具体的に説明する。
図6(a)に示すように、金型200は、それぞれ盤状に形成された第1部分210、第2部分220および第3部分230からなる。例えば、下方から、第1部分210、第2部分220および第3部分230の順に積み重ねられて、金型200が構成されるようになっている。
第3部分230の上面には、上向きに開口する凹部231が形成されている。凹部231は、歯車部20を収容するとともに位置決めする歯車位置決め凹部231aと、シャフト10の一端部を収容するとともに位置決めするシャフト位置決め凹部231bと、連結体30を構成する樹脂材料が注入されるキャビティの一部分を構成するキャビティ構成凹部231cと、からなる。
第2部分220の下面には、下向きに開口する凹部221が形成されている。凹部221は、シャフト10の他端部を収容するとともに位置決めするシャフト位置決め凹部221bと、キャビティの他の一部分を構成するキャビティ構成凹部221cと、からなる。
第2部分220には、更に、第2部分220の上面側からキャビティ構成凹部221cへと連通する樹脂流路222が形成されている。
第1部分210には、第1部分210の上面側から下面側へ貫通し、金型200を組み付けた状態で、第2部分220の樹脂流路222と連通する樹脂流路211が形成されている。
ギア100を製造するには、先ず、第3部分230の上面側を開放した状態で、第3部分230の上面側から歯車部20を歯車位置決め凹部231a内に収容し位置決めさせる。また、第3部分230の上面側からシャフト10の一端部をシャフト位置決め凹部231bに挿入し位置決めさせる。
次に、第3部分230の上に、第2部分220および第1部分210を配置し、第3部分230、第2部分220および第1部分210を相互に組み付けることにより、金型200を組み立てる。これにより、シャフト10の他端部はシャフト位置決め凹部221b内に挿入され位置決めされる。また、第2部分220の下面は歯車部20の上面に接した状態となる。この状態で、第2部分220の樹脂流路222と第1部分210の樹脂流路211とは相互に連通した状態となっている(図6(a)参照)。また、この状態で、キャビティ構成凹部221cと、キャビティ構成凹部231cと、歯車部20の内腔領域とにより、連結体30を構成する樹脂材料が注入されて該樹脂材料を成形するキャビティが構成されている。
次に、図示しない射出機から、樹脂流路211および樹脂流路222を介して、キャビティ内に溶融樹脂を注入する。次に、キャビティ内に注入された樹脂を固化させることにより、連結体30が形成されるとともに、連結体30を介してシャフト10と歯車部20とが相互に一体化されて、ギア100が作製される。
次に、第3部分230と第2部分220との境界をパーティングラインとして金型200を二分割し、金型200からギア100を取り出す。こうして、ギア100を得ることができる。
なお、図6(a)では、射出成形の一例として、ピンゲート方式を例示したが、サイドゲート方式、ディスクゲート方式、サブマリンゲート方式等、その他の方式の射出成形によってもギア100を製造することができる。
図6(b)に示すように、ギア100を製造する方法の第2例では、シャフト10と歯車部20とを金型300内でそれぞれ位置決めした状態で、連結体30を構成する樹脂材料を圧縮成形により成形することによって、ギア100を製造する。
以下、具体的に説明する。
図6(b)に示すように、金型300は、第1部分310と、第2部分320と、第3部分330と、プランジャー部340と、からなる。
第3部分330は、盤状に形成されている。第3部分330の上面には、上向きに開口する凹部331が形成されている。凹部331は、歯車部20を収容するとともに位置決めする歯車位置決め凹部331aと、シャフト10の一端部を収容するとともに位置決めするシャフト位置決め凹部331bと、連結体30を構成する樹脂材料が注入されるキャビティの一部分を構成するキャビティ構成凹部331cと、からなる。すなわち、金型300の第3部分330は、金型200の第3部分230と同様に構成されている。
第2部分320は、盤状に形成されている。第2部分320には、第2部分320を上下に貫通する円柱形状の貫通孔321が形成されている。この貫通孔321の下端部は、キャビティの他の一部分を構成する。
第1部分310は、盤状の本体部311と、本体部311より下方に突出している円筒状の突出部312と、を有している。突出部312の外径は、第2部分320の貫通孔321の内径と同等であるか、または貫通孔321の内径よりも若干小さく形成されており、突出部312を貫通孔321に嵌入可能となっている。第1部分310には、本体部311の上面側から突出部312の下面側へ貫通する円柱形状の貫通孔313が形成されている。貫通孔313の内径は、シャフト10の外径と同等であるか、またはシャフト10の外径よりも若干大きく形成されており、貫通孔313内にシャフト10の端部を嵌入可能となっている。
プランジャー部340は、シャフト10と同等の外径の円柱形状のものである。プランジャー部340は、貫通孔313に嵌入し、該貫通孔313の軸心方向に摺動可能となっている。
ギア100を製造するには、先ず、第3部分330の上面側を開放した状態で、第3部分330の上面側から歯車部20を歯車位置決め凹部331a内に収容し位置決めさせる。また、第3部分330の上面側からシャフト10の一端部をシャフト位置決め凹部331bに挿入し位置決めさせる。
次に、第3部分330の上に第2部分320を配置し、第3部分330と第2部分320とを相互に連結する。この状態で、第2部分320の下面は歯車部20の上面に接した状態となる。また、この状態で、キャビティ構成凹部331cと、歯車部20の内腔領域と、貫通孔321の下端部とにより、連結体30を構成する樹脂材料を成形するキャビティが構成されている。
次に、第2部分320の貫通孔321を介して、キャビティに樹脂材料を投入する。この樹脂材料の量は、連結体30を形成するのに過不足のない量に設定されている。このため、この樹脂材料は、この段階では、キャビティよりも上に盛り上がっている。
次に、貫通孔313にプランジャー部340を嵌入することにより第1部分310にプランジャー部340を組み付ける。
次に、第1部分310の突出部312を第2部分320の貫通孔321に対して上側から嵌入する。ここで、突出部312によって樹脂材料を圧縮する前に、先ず、プランジャー部340を第1部分310に対して相対的に押し下げて、プランジャー部340によってシャフト10を下方に押さえ付ける。これにより、成形時におけるシャフト10の浮き上がりを抑制する。
次に、第1部分310を押し下げる。なお、この際、第1部分310は、プランジャー部340に対して相対的に下方に移動する。また、第1部分310を押し下げる過程で、シャフト10の上端部が貫通孔313の下端部に嵌入する。第1部分310は、その本体部311の下面が第2部分320の上面に接するまで下方に移動させられる。これにより、突出部312の下面によって樹脂材料を圧縮し、キャビティ内で樹脂材料を成形する。次に、キャビティ内の樹脂材料を固化させることにより、連結体30が形成されるとともに、連結体30を介してシャフト10と歯車部20とが相互に一体化されて、ギア100が作製される。
次に、第2部分320と、第3部分330との境界をパーティングラインとして金型300を二分割し、金型300からギア100を取り出す。こうして、ギア100を得ることができる。
以上のような第1の実施形態によれば、ギア100は、金属製のシャフト10と、金属製の歯車部20と、シャフト10と歯車部20とにそれぞれ接合してシャフト10と歯車部20とを相互に連結している樹脂製の連結体30と、を有する。これにより、ギア100の全体が金属製の場合と比べて、ギア100を軽量化することができる。そして、ギア100が軽量化されることにより、ギア100の回転駆動の応答性が向上する。また、歯車部20が金属製であることにより、歯車部20の耐摩耗性については、全体が金属製のギア100と同等に得られる。また、回転中心から遠い側に位置する歯車部20は金属製(つまり高比重)であり、歯車部20よりも回転中心側に位置する連結体30が樹脂製(つまり低比重)であるため、十分な慣性力を得ることができる。
また、歯車部20は、円環状の歯車本体部21と、歯車本体部21に沿って円環状に並ぶ配置でそれぞれ歯車本体部21に設けられた複数の歯22と、を有している。一方、シャフト10は、歯車本体部21を貫通しているとともに、歯車本体部21の軸心に沿って配置されている。そして、連結体30は、少なくとも、シャフト10の外周面10aと歯車本体部21の内周面21bとの間に充填されて、シャフト10の外周面10aと歯車本体部21の内周面21bとにそれぞれ接合している。これにより、連結体30を介してシャフト10と歯車本体部21とが相互に連結された構造を実現できている。
また、連結体30は、歯車本体部21の軸心方向における歯車本体部21の両面(面21c、21d)をそれぞれ覆い、且つ、これら両面にそれぞれ接合しているので、連結体30と歯車本体部21との接合強度(つまり連結体30と歯車部20との接合強度)を向上することができる。
また、シャフト10における連結体30との接合面(つまり外周面10a)が、粗面化されている場合、いわゆるアンカー効果によってシャフト10と連結体30との接合強度を向上することができる。
また、歯車部20における連結体30との接合面(例えば、内周面21b、面21c、21d)が、粗面化されている場合、いわゆるアンカー効果によって歯車部20と連結体30との接合強度を向上することができる。
また、連結体30を構成する樹脂材料が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される1以上を含んでいる場合、耐熱性、加工性、機械的特性、接着性および防錆性等を良好なものとすることができる。
また、シャフト10を構成する金属材料がアルミニウムを含む場合、シャフト10を軽量に形成することができる。一方、シャフト10を構成する金属材料がステンレスを含む場合、シャフト10を高剛性に形成することができる。
また、シャフト10における連結体30との接合面についてASTM−D523に準拠して測定した測定角度60°の光沢度が0.1以上30以下である場合、シャフト10と連結体30との接合強度をより一層向上することができる。
また、シャフト10における連結体30との接合面が複数の微小凹部(凹部201)を有し、微小凹部の断面形状は、微小凹部の開口部203から底部205までの間の少なくとも一部に開口部203よりも断面幅が大きい部分を有する形状となっている場合、シャフト10と連結体30との接合強度をより一層向上することができる。
また、シャフト10における連結体30との接合面には、複数の微小凹部が設けられた粗化層104が形成されており、粗化層104の厚みが、3μm以上40μm以下である場合、シャフト10と連結体30との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。
また、シャフト10における連結体30との接合面の見掛け表面積に対する窒素吸着BET法による実表面積の比が100以上400以下である場合、シャフト10と連結体30との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。
また、歯車部20を構成する金属材料がアルミニウムを含む場合、歯車部20を軽量に形成することができる。一方、歯車部20を構成する金属材料がステンレスを含む場合、歯車部20を高剛性に形成することができる。
また、歯車部20における連結体30との接合面についてASTM−D523に準拠して測定した測定角度60°の光沢度が0.1以上30以下である場合、歯車部20と連結体30との接合強度をより一層向上することができる。
また、歯車部20における連結体30との接合面が複数の微小凹部(凹部201)を有し、微小凹部の断面形状は、微小凹部の開口部203から底部205までの間の少なくとも一部に開口部203よりも断面幅が大きい部分を有する形状となっている場合、歯車部20と連結体30との接合強度をより一層向上することができる。
また、歯車部20における連結体30との接合面には、複数の微小凹部が設けられた粗化層104が形成されており、粗化層104の厚みが、3μm以上40μm以下である場合、歯車部20と連結体30との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。
また、歯車部20における連結体30との接合面の見掛け表面積に対する窒素吸着BET法による実表面積の比が100以上400以下である場合、歯車部20と連結体30との接合強度および接合の耐久性をより一層向上させることができる。
〔第2の実施形態〕
図7は第2の実施形態に係るギア100の断面図である。本実施形態に係るギア100は、歯車本体部21の内周面21bに凹部23が形成されている点で、上記の第1の実施形態に係るギア100と相違し、その他の点では、上記の第1の実施形態に係るギア100と同様に構成されている。
すなわち、本実施形態の場合、歯車本体部21の内周面21bにおいて、歯車本体部21の軸心方向における歯車本体部21の両面(面21c、21d)からそれぞれ離間した位置には、凹部23が形成されている。すなわち、内周面21bには、歯車本体部21の外周方向に向けて窪んだ凹部23が形成されている。そして、凹部23内に連結体30の一部分が充填されている。
凹部23は、内周面21bの全周に亘って連続的に形成された溝状のものであっても良いし、内周面21bの周方向に沿って間欠的に複数の凹部23が形成されていても良い。なお、凹部23を形成する位置は、例えば、歯車本体部21の一方の面21cと他方の面21dとの中間位置とすることが好ましい。また、凹部23の断面形状は特に限定されないが、例えば、矩形状とすることができる。
以上のような第2の実施形態によれば、歯車本体部21の内周面21bにおいて、歯車本体部21の軸心方向における歯車本体部21の両面(面21c、21d)からそれぞれ離間した位置には、凹部23が形成され、凹部23内に連結体30の一部分が充填されている。よって、連結体30と凹部23との噛み合いによって、歯車本体部21と連結体30との接合強度を向上することができるとともに、歯車本体部21がその軸心方向において連結体30から脱落してしまうことを規制する抜け止め効果が得られる。
〔第3の実施形態〕
図8は第3の実施形態に係るギア100の歯車部20の正面図である。すなわち、図8は、歯車部20の軸心方向に歯車部20を見たときの形状を示している。本実施形態に係るギア100は、歯車本体部21の内周面21bに溝24が形成されている点で、上記の第1の実施形態又は第2の実施形態に係るギア100と相違し、その他の点では、上記の第1の実施形態又は第2の実施形態に係るギア100と同様に構成されている。
本実施形態の場合、歯車本体部21の内周面21bには溝24が形成されている。すなわち、内周面21bには、歯車本体部21の外周方向に向けて窪んだ溝24が形成されている。溝24の断面形状は特に限定されないが、例えば、矩形状とすることができる。溝24は、例えば、歯車本体部21の一方の面21cから他方の面21dに亘って形成されている。ただし、溝24の少なくとも一端は、歯車本体部21の一方の面21c又は他方の面21dに達していなくても良い。
溝24の長手方向は、歯車本体部21の軸心に沿った方向成分を持っている。本実施形態の場合、溝24の長手方向は、歯車本体部21の軸心方向に対して平行となっている。
内周面21bには、少なくとも1つ以上の溝24が形成されている。図8の例では、複数の溝24が、歯車本体部21の内周面21bの周方向において一定間隔(等角度間隔)で配置されている。
そして、溝24内には、連結体30の一部分が充填されている。溝24が複数の場合、各溝24内には、連結体30の一部分ずつが充填されている。
なお、上記の第2の実施形態における凹部23も歯車本体部21に形成されている場合、各凹部23と各溝24とは互いに離間して配置されていても良いし、少なくとも何れか1つの凹部23と少なくとも何れか1つの溝24とが互いに繋がっていても良い(例えば、凹部23と溝24とが互いに交差しているなど)。
以上のような第3の実施形態によれば、歯車本体部21の内周面21bには溝24が形成され、溝24の長手方向は歯車本体部21の軸心に沿った方向成分を持ち、溝24内に連結体30の一部分が充填されている。よって、連結体30と溝24との噛み合いによって、歯車本体部21と連結体30との接合強度を向上することができるとともに、歯車本体部21がその軸周りにおいて連結体30に対して空転してしまうことを抑制することができる。
〔第4の実施形態〕
図9は第4の実施形態に係るギア100の歯車部20の断面図である。図9に示す断面は、シャフト10の軸心Xに沿った平面でギア100を切断した断面(矢視断面)である。本実施形態に係るギア100は、ギア100は、溝24が歯車本体部21の軸心に対して交差する方向に延在している点で、上記の第3の実施形態に係るギア100と相違し、その他の点では、上記の第3の実施形態に係るギア100と同様に構成されている。
すなわち、本実施形態の場合、溝24は、歯車本体部21の軸心方向に対して斜めの方向に延在している。より具体的には、溝24は、歯車本体部21の内周面21bに沿った螺旋状の経路に沿って配置されている。また、例えば、複数の溝24が、一定間隔などの所定間隔で互いに並列に配置されている。なお、本実施形態の場合も、溝24の長手方向は、歯車本体部21の軸心に沿った方向成分を持つ。
以上のような第4の実施形態によれば、溝24は、その長手方向が歯車本体部21の軸心に沿った方向成分を持ち、且つ、歯車本体部21の軸心に対して交差する方向に延在している。よって、連結体30と溝24との噛み合いによって、上記の第3の実施形態と同様の効果が得られるだけでなく、歯車本体部21がその軸心方向において連結体30から脱落してしまうことを規制する抜け止め効果も得られる。
〔第5の実施形態〕
図10は第5の実施形態に係るギア100の断面図である。本実施形態に係るギア100は、以下に説明する点で、上記の第1乃至第4の実施形態に係るギア100と相違し、その他の点では、上記の第1乃至第4の実施形態に係るギア100と同様に構成されている。
上記の各実施形態では、連結体30は、歯車本体部21の軸心方向における歯車本体部21の両面(面21c、21d)をそれぞれ覆い、且つ、これら両面にそれぞれ接合している例を説明した。
これに対し、本実施形態の場合、連結体30は、歯車本体部21の両面(面21c、21d)を覆っておらず、これら両面に接合してもいない。一例として、図10に示すように、連結体30の両面(面30a、30b)は、それぞれ歯車本体部21の両面(面21c、21d)と面一に形成することができる。
以上のような第5の実施形態によれば、連結体30が歯車本体部21の軸心方向における歯車本体部21の両面(面21c、21d)をそれぞれ覆い、且つ、これら両面にそれぞれ接合していることにより得られる効果を除き、上記の第1乃至第4の実施形態と同様の効果が得られる。
上記の各実施形態では、回転軸部がシャフト10である例を説明したが、回転軸部は、シャフト10に限らない。例えば、回転軸部は、シャフトが回転不当に挿入(嵌入)される筒状部であっても良い。
また、上記の各実施形態では、複数の歯22が歯車本体部21の円筒状の外周面21aに設けられている例を説明したが、複数の歯22は歯車本体部21の何れか一方の面(面21c又は面21d)に設けられていても良い。この場合も、複数の歯22は、歯車本体部21に沿って円環状に並ぶ配置でそれぞれ歯車本体部21に設けられている。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<熱硬化性樹脂組成物(P1)の調整>
ノボラック型フェノール樹脂(PR−51305、住友ベークライト社製)を34.3質量部、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを6.0質量部、充填剤としてガラス繊維(日東紡社製)を57.1質量部、シランカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製)を0.2質量部、硬化助剤として酸化マグネシウム(神島化学工業社製)を0.5質量部、潤滑剤等のその他の成分を1.9質量部、それぞれ乾式混合し、これを90℃の加熱ロールで溶融混練して、シート状にして冷却した物を粉砕して顆粒状の熱硬化性樹脂組成物(P1)を得た。
<金属部材の準備>
表面処理がされていない金属シートとして、その表面が#4000の研磨紙で十分研磨された、アルミニウム合金A5052の金属シートA(80mm×10mm、厚さ1.0mm、密度2.68g/cm、熱伝導率138W/(m・K))を用意した。水酸化カリウム(16質量部)、塩化亜鉛(5質量部)、硝酸ナトリウム(5質量部)、チオ硫酸ナトリウム(13質量部)の水溶液を調製した。得られた水溶液(30℃)中に、金属シートAを浸漬して揺動させ、深さ方向に15μm(アルミニウムの減少した重量から算出)溶解させた。次いで、水洗を行い、35質量部の硝酸水溶液(30℃)中に浸漬して、20秒間揺動させた。その後、水洗、乾燥し、金属シートを得た。
<試験片の作製>
得られた熱硬化性樹脂組成物(P1)および金属シートを用いて、金属樹脂複合体を作製した。具体的には、以下の手順により作製した。はじめに、金型内に厚み1mmの金属シートを固定せずに配置した。次いで、硬化後の厚みが3mmとなるように、熱硬化性樹脂組成物(P1)を加熱し、上記金型内に所定量注入した。このとき、熱硬化性樹脂組成物(P1)の流体圧力により、金属シートを金型の内壁に押しつけるようにした。最後に、圧縮成形により熱硬化性樹脂組成物(P1)を硬化することにより、厚み3mmの樹脂部材シート(樹脂部材)と厚み1mmの金属シート(金属部材)の2層シートである試験片を得た。なお、圧縮成形条件は、実効圧力20MPa、金型温度175℃、硬化時間3分間とした。
(実施例2)
熱硬化性樹脂組成物(P1)の代わりに、以下の熱硬化性樹脂組成物(P2)を使用した点以外は、実施例1と同様の方法により試験片を作製した。
<熱硬化性樹脂組成物(P2)の調整>
還流コンデンサー撹拌機、加熱装置、真空脱水装置を備えた反応釜内に、フェノール(p)とホルムアルデヒド(f)とをモル比(f/p)=1.7で仕込み、これに酢酸亜鉛をフェノール100質量部に対して0.5質量部添加し、この反応系のpHを5.5に調整して還流反応を3時間行った。その後、真空度100Torr、温度100℃で2時間水蒸気蒸留を行って未反応フェノールを除去し、さらに、真空度100Torr、温度115℃で1時間反応させることにより得られた、数平均分子量800のジメチレンエーテル型の固形物をレゾール型フェノール樹脂として得た。
得られたレゾール型フェノール樹脂を25.3質量部、ノボラック型フェノール樹脂(PR−51305、住友ベークライト社製)を10.7質量部、充填剤としてガラス繊維(日東紡社製)を53.5質量部、充填剤としてクレー(エンゲル・ハート社製)を4.9質量部、シランカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製)を0.5質量部、硬化助剤として消石灰(秩父石灰工業社製)を1.8質量部、潤滑剤等のその他の成分を3.3質量部、それぞれ乾式混合し、これを90℃の加熱ロールで溶融混練して、シート状にして冷却した物を粉砕して顆粒状の熱硬化性樹脂組成物(P2)を得た。
(実施例3)
以下の表1に記載の配合となるように熱硬化性樹脂組成物(P3)を調製した点以外は、実施例1と同様の方法により試験片を作製した。
(実施例4)
以下の表2に記載の配合となるように熱硬化性樹脂組成物(P4)を調製した点以外は、実施例1と同様の方法により試験片を作製した。
(実施例5)
以下の表2に記載の配合となるように熱硬化性樹脂組成物(P5)を調製した点以外は、実施例1と同様の方法により試験片を作製した。
(実施例6)
以下の表2に記載の配合となるように熱硬化性樹脂組成物(P6)を調製した点以外は、実施例1と同様の方法により試験片を作製した。
(実施例7)
以下の表2に記載の配合となるように熱硬化性樹脂組成物(P7)を調製した点以外は、実施例1と同様の方法により試験片を作製した。
(実施例8)
金属シートとして、実施例1で使用した表面処理がされていない金属シートAを使用した点以外は、実施例1と同様の方法により試験片を作製した。
(比較例1)
樹脂部材を含まない試験片を用意した。具体的には、表面処理がされていない金属シートとして、その表面が#4000の研磨紙で十分研磨された、アルミニウム合金A5052の金属シートD(80mm×10mm、厚さ4.0mm、密度2.68g/cm、熱伝導率138W/(m・K))を用意し、試験片とした。
(比較例2)
金属部材を含まない試験片を作製した。具体的には、熱硬化性樹脂組成物(P1)を加熱し、金型内に所定量注入した後、圧縮成形により熱硬化性樹脂組成物(P1)を硬化することにより、80mm×10mm、厚さ4.0mmの樹脂部材のみからなる試験片を得た。なお、圧縮成形条件は、実効圧力20MPa、金型温度175℃、硬化時間3分間とした。
各実施例及び比較例について得られた試験片に対して、下記に示す測定及び評価を行った。
粗化層の厚み:試験片の金属部材と樹脂部材との接合部の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、接合部の断面の構造を観察した。この観察像から、金属部材の粗化層の厚みおよび凹部の平均深さをそれぞれ求めた。各実施例では、試験片の金属部材の粗化層の厚みは15μmであり、凹部の平均深さは13μmであった。また、凹部の断面は、凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状になっていた。なお、比較例1については、試験片の表面部分を走査型電子顕微鏡で断面観察して粗化層の厚みおよび凹部の平均深さを求めた。また、比較例2については、粗化層の厚みおよび凹部の平均深さを測定していない。
金属部材の比表面積:試験片を120℃で、6時間真空乾燥した後、自動比表面積/細孔分布測定装置(BELSORPminiII、日本ベル社製)を用いて、液体窒素温度における窒素吸脱着量を測定した。窒素吸着BET法による実表面積はBETプロットから算出した。測定した窒素吸着BET法による実表面積を、見掛け表面積で割ることにより比表面積を算出した。なお、比較例1、2および実施例8については、比表面積の測定を行っていない。
金属部材の表面の光沢度:金属部材の表面の光沢度を、ディジタル光沢度計(20°、60°)(GM−26型、村上色彩技術研究所社製)を用いて、ASTM−D523に準拠して測定角度60°(入射角60°、反射角60°)で測定した。なお、比較例1、2については、光沢度の測定を行っていない。
100万回曲げ疲労耐性:実施形態において説明した方法で、試験片の100万回曲げ疲労耐性を評価した。試験片の金属部材側の面に2つの支点をあて、樹脂部材側の面の中央に圧子をあてた。25℃雰囲気にて、繰り返し応力の周波数を30Hz、支点間の距離Lを64mmとし、140MPaの曲げ応力を試験片に連続して100万回加えた。100万回繰り返し応力を印加しても破断も剥離もしなかった場合を○とし、100万回繰り返し応力を印加する間に破断または剥離が生じた場合を×として評価した。なお、比較例1については、100万回曲げ疲労耐性の評価を行っていない。
1000サイクル後の曲げ強度:まず、試験片を180℃にて8時間焼成処理をおこなった。次に、焼成後の試験片に対して、−40℃で1時間静置した後、150℃で1時間静置するヒート処理を1000サイクル行った。次に、試験片の曲げ強度を、JIS K6911に準じて測定した。単位は、MPaとした。なお、以下の表においては、1000サイクルのヒート処理をしている間に破断または剥離が生じた場合を×と記載してある。比較例1、2については、1000サイクル後の曲げ強度の評価を行っていない。
1000サイクル後の曲げ弾性率:まず、試験片を180℃にて8時間焼成処理をおこなった。こうして得られた焼成後の試験片に対して、−40℃で1時間静置した後、150℃で1時間静置するヒート処理を1000サイクル行った。次に、試験片の曲げ弾性率を、JIS K6911に準じて測定した。単位は、GPaとした。なお、以下の表においては、1000サイクルのヒート処理をしている間に破断または剥離が生じた場合を×と記載してある。比較例1、2については、1000サイクル後の曲げ弾性率の評価を行っていない。
上記評価項目に関する評価結果を、以下の表1および表2に各成分の配合比率と共に示す。
Figure 0006398280
Figure 0006398280
実施例1〜8の試験片は、いずれも、樹脂部材と金属部材とを一体成形してなるものであるため、軽量である。特に、実施例1〜7の試験片については、100万回曲げ疲労耐性、1000サイクル後の曲げ強度、1000サイクル後の曲げ弾性率とも、優れた特性が得られた。このため、実施例1〜7に係る試験片と同様に材料等を選択してギア100を作製することにより、軽量であるとともに優れた信頼性のギア100が得られることが分かる。
これに対し、比較例1の試験片は、金属部材のみで構成されたものであるため、軽量化の観点で課題がある。すなわち、金属部材のみで構成されたギアは、軽量化の観点で課題がある。
また、比較例2の試験片は、樹脂部材のみで構成されたものであり、軽量化の観点においては優れているものの、100万回曲げ疲労耐性を有していない。このため、樹脂部材のみで構成されたギアは、信頼性に欠けるものであることが分かる。
また、実施例8の試験片は、樹脂部材と金属部材との接合が実施例1〜7と比べて強固ではない構成を採用したものであり、軽量化という観点においては優れているものの、100万回曲げ疲労耐性、1000サイクル後の曲げ強度および1000サイクル後の曲げ弾性率については、各実施例ほどの信頼性は得られなかった。ただし、100万回曲げ疲労耐性の評価において、比較例2では1回の曲げ(初期)により破断が生じたのに対し、実施例8では2万回の曲げにより剥離が生じた。このことから、実施例8の試験片は、比較例2の試験片よりも信頼性に優れていることが分かる。このため、実施例8に係る試験片と同様に材料等を選択してギア100を作製することにより、軽量であるとともに優れた信頼性のギア100が得られることが分かる。
10 シャフト(回転軸部)
10a 外周面
12 金属部材
14 樹脂部材
16 試験片
20 歯車部
21 歯車本体部
21a 外周面
21b 内周面
21c 面
21d 面
22 歯
23 凹部
24 溝
30 連結体
30a 面
30b 面
100 ギア
103 接合面
104 粗化層
200 金型
201 凹部
203 開口部
205 底部
210 第1部分
211 樹脂流路
220 第2部分
221 凹部
221b シャフト位置決め凹部
221c キャビティ構成凹部
222 樹脂流路
230 第3部分
231 凹部
231a 歯車位置決め凹部凹部
231b シャフト位置決め凹部
231c キャビティ構成凹部
300 金型
310 第1部分
311 本体部
312 突出部
313 貫通孔
320 第2部分
321 貫通孔
330 第3部分
331 凹部
331a 歯車位置決め凹部
331b シャフト位置決め凹部
331c キャビティ構成凹部
340 プランジャー部
701 圧子
703 支持台

Claims (14)

  1. 金属製の回転軸部と、
    金属製の歯車部と、
    前記回転軸部と前記歯車部とにそれぞれ接合して、前記回転軸部と前記歯車部とを相互に連結している樹脂製の連結体と、
    を有し、
    前記歯車部は、円環状の歯車本体部と、前記歯車本体部に沿って円環状に並ぶ配置でそれぞれ前記歯車本体部に設けられた複数の歯と、を有し、
    前記歯車本体部の内周面には溝が形成され、
    前記溝の長手方向は、前記回転軸部の軸心に対して斜めになっており、
    前記溝内に前記連結体の一部分が充填されているギア。
  2. 前記回転軸部は、前記歯車本体部を貫通し、該歯車本体部の軸心に沿って配置され、
    前記連結体は、少なくとも、前記回転軸部の外周面と前記歯車本体部の内周面との間に充填されて、前記回転軸部の外周面と前記歯車本体部の内周面とにそれぞれ接合している請求項1に記載のギア。
  3. 前記連結体は、前記歯車本体部の軸心方向における前記歯車本体部の両面及び内周面をそれぞれ覆い、且つ、少なくとも前記両面にそれぞれ接合している請求項2に記載のギア。
  4. 前記連結体を構成する樹脂材料は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される1以上を含む請求項1乃至の何れか一項に記載のギア。
  5. 前記回転軸部を構成する金属材料は、アルミニウムまたはステンレスを含む請求項1乃至の何れか一項に記載のギア。
  6. 前記回転軸部における前記連結体との接合面は、ASTM−D523に準拠して測定した測定角度60°の光沢度が0.1以上30以下である請求項1乃至の何れか一項に記載のギア。
  7. 前記回転軸部における前記連結体との接合面は、複数の微小凹部を有し、
    前記微小凹部の断面形状は、前記微小凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に前記開口部よりも断面幅が大きい部分を有する形状となっている請求項1乃至の何れか一項に記載のギア。
  8. 前記回転軸部における前記連結体との接合面には、複数の前記微小凹部が設けられた粗化層が形成されており、前記粗化層の厚みが、3μm以上40μm以下である請求項に記載のギア。
  9. 前記回転軸部における前記連結体との接合面は、見掛け表面積に対する窒素吸着BET法による実表面積の比が100以上400以下である請求項1乃至の何れか一項に記載のギア。
  10. 前記歯車部を構成する金属材料は、アルミニウムまたはステンレスを含む請求項1乃至の何れか一項に記載のギア。
  11. 前記歯車部における前記連結体との接合面は、ASTM−D523に準拠して測定した測定角度60°の光沢度が0.1以上30以下である請求項1乃至10の何れか一項に記載のギア。
  12. 前記歯車部における前記連結体との接合面は、複数の微小凹部を有し、
    前記微小凹部の断面形状は、前記微小凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に前記開口部よりも断面幅が大きい部分を有する形状となっている請求項1乃至11の何れか一項に記載のギア。
  13. 前記歯車部における前記連結体との接合面には、複数の前記微小凹部が設けられた粗化層が形成されており、前記粗化層の厚みが、3μm以上40μm以下である請求項12に記載のギア。
  14. 前記歯車部における前記連結体との接合面は、見掛け表面積に対する窒素吸着BET法による実表面積の比が100以上400以下である請求項1乃至13の何れか一項に記載のギア。
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