JP2011121309A - アルミニウム接着複合材及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム接着複合材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決課題】アルミ形状体と金属製又は樹脂製の被接着体とが接着剤層を介して一体的に接合されたアルミニウム接着複合材において、アルミ形状体と接着剤層との間の界面の接合強度が極めて高く、優れた耐久性を発揮し得るアルミニウム接着複合材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】表面の一部又は全面に凹凸部を有するアルミ形状体と、その表面側に位置する金属製又は樹脂製の被接着体と、これらアルミ形状体と被接着体との間を結合する接着剤層とを含むアルミニウム接着複合材であり、アルミ形状体の表面には凹凸部に起因した複数の凹状部が形成されていると共に、これら凹状部内には接着剤が進入して固化した接着剤層の嵌入部が形成されており、凹状部と嵌入部とによりアルミ形状体と接着剤層とが互いに係止されているアルミニウム接着複合材である。
【選択図】図1

Description

この発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金製のアルミ形状体の表面に金属製又は樹脂製の被接着体が接着剤層を介して一体的に接合されたアルミニウム接着複合材及びその製造方法に係り、幅広い分野において好適に使用し得る接合強度に優れたアルミニウム接着複合材及びその製造方法に関する。
自動車用の各種部品、家電機器用の各種部品、各種産業機器用の部品、建材部品等においては、熱伝導性や導電性、耐食性が優れ、軽量であるアルミニウム材料が使われているが、一方でアルミニウム材の一部に絶縁性や断熱性が要求される場合があり、これらの断熱性や絶縁性を付与するためには、アルミニウム材の一部分若しくは全体に絶縁部材や断熱部材を接合する必要がある。
従来から、金属と金属、金属と樹脂との接合技術としては、接着剤を使用する方法が一般的な技術として知られている。例えば、特許文献1には表面粗さ(Rmax)が約8〜18μmのアルミニウム又はアルミニウム合金に、有機樹脂又は有機−無機複合樹脂を介して金属箔を接着したことを特徴とするアルミニウム芯金属箔張積層板が提案されている。
また、特許文献2においては、ポリアミドシートを積層すべきアルミニウム板の表面に、エポキシシランカップリング剤を1〜100mg/m2塗布したのち、ポリアミドシートを重ね加熱溶融することを特徴とするポリアミド積層アルミニウム板の製造方法が提案されている。
更に、特許文献3においては、水溶性還元剤を含む水溶液中に金属形状物を浸漬し、前記水溶液から引き上げた前記金属形状物を水洗した後に乾燥して被接着材として使用することを特徴とする金属の接着方法が提案されている。
更にまた、特許文献4においては、化学エッチングによるミクロンオーダーの粗度があり、かつその表面は、5〜500nmの不定期な周期の微細凹凸形状で覆われた形状であり、かつ、その表面が金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層である金属部品と、前記金属部品と接着接合される被着材と、前記金属部品と前記被着材の接着面に塗布され両者を接着させる1液性熱硬化型樹脂接着剤の硬化物である接着剤層とからなることを特徴とする金属合金を含む接着複合体が提案されている。
しかしながら、接着剤を使用する場合、接合強度の点で不十分な場合が有り、特にアルミニウムと金属、アルミニウムと樹脂等を接着する場合、過酷な環境下に曝された際におけるアルミ−接着剤層の界面での接合強度が必ずしも充分ではなく、接着剤を使用したアルミニウム接着複合材において、アルミ−接着剤層の界面での接合強度に優れたアルミニウム接着複合材の開発が要請されていた。
特開平01-275,036号公報 特開平09-169,079号公報 特開2003-073,630号公報 特開2009-061,648号公報
そこで、本発明者らは、このようなアルミニウム又はアルミニウム合金製のアルミ形状体の表面に金属製又は樹脂製の被接着体が接着剤層を介して一体的に接合されたアルミニウム接着複合材において、アルミ−接着剤層の間の界面の接合強度が極めて高く、優れた耐久性を発揮し得るアルミニウム接着複合材を製造し提供することについて鋭意検討を進めた結果、エッチング処理によってアルミ形状体の表面に凹状部を有するある特定の表面形状を形成することにより、アルミ形状体と接着剤層との間の接合強度が顕著に向上することを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、アルミニウム又はアルミニウム合金製のアルミ形状体と金属製又は樹脂製の被接着体とが接着剤層を介して一体的に接合されたアルミニウム接着複合材において、アルミ形状体と接着剤層との間の界面の接合強度が極めて高く、優れた耐久性を発揮し得るアルミニウム接着複合材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、アルミニウム又はアルミニウム合金製のアルミ形状体と金属製又は樹脂製の被接着体とが接着剤層を介して一体的に接合されたアルミニウム接着複合材において、アルミ形状体と接着剤層との間の界面の接合強度が極めて高く、優れた耐久性を発揮し得るアルミニウム接着複合材の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、表面の一部又は全面に凹凸部を有するアルミニウム又はアルミニウム合金製のアルミ形状体と、このアルミ形状体の表面側に位置する金属製又は樹脂製の被接着体と、これらアルミ形状体と被接着体との間に位置してこれらアルミ形状体と被接着体との間を一体的に結合する接着剤層とを含むアルミニウム接着複合材であり、前記アルミ形状体の表面には前記凹凸部に起因した複数の凹状部が形成されていると共に、これらの凹状部内には接着剤が進入して固化した接着剤層の嵌入部が形成されており、前記凹状部と嵌入部とによりアルミ形状体と接着剤層とが互いに係止されていることを特徴とするアルミニウム接着複合材である。
また、本発明は、表面の一部又は全面に凹凸部を有するアルミニウム又はアルミニウム合金製のアルミ形状体と、このアルミ形状体の表面側に位置する金属製又は樹脂製の被接着体と、これらアルミ形状体と被接着体との間に位置してこれらアルミ形状体と被接着体との間を一体的に結合する接着剤層とを含むアルミニウム接着複合材であり、前記アルミ形状体の表面には前記凹凸部に起因して形成され、アルミ形状体の厚さ方向断面においてこの厚さ方向に直交し、かつ、凹凸部の最高部を通過するトップラインと最深部を通過するボトムラインとの間のハーフラインにおいて、走査型電子顕微鏡観察により測定される開口幅が0.1μm以上30μm以下の大きさであって、深さが0.1μm以上30μm以下の大きさである複数の凹状部が形成されていると共に、これらの凹状部内には前記接着時に接着剤が進入して固化した接着剤層の嵌入部が形成されており、前記凹状部と嵌入部とによりアルミ形状体と接着剤層が互いに係止されていることを特徴とするアルミニウム接着複合材である。
そして、本発明は、表面の一部又は全面に凹凸部を有するアルミニウム又はアルミニウム合金製のアルミ形状体と、このアルミ形状体の表面側に位置する金属製又は樹脂製の被接着体と、これらアルミ形状体と被接着体との間に位置してこれらアルミ形状体と被接着体との間を一体的に結合する接着剤層とを含むアルミニウム接着複合材の製造方法であり、アルミニウム合金材をエッチング処理して表面の一部又は全面に凹凸部に起因する複数の凹状部を有するアルミ形状体を形成し、このアルミ形状体の表面に接着剤を介して被接着体を接着する接着時には前記接着剤がアルミ形状体の各凹状部内に進入して固化した接着剤層の嵌入部を成形し、アルミ形状体の凹状部と接着剤層の嵌入部とが互いに係止してアルミ形状体と接着剤層とが一体的に結合したアルミニウム接着複合材を製造することを特徴とするアルミニウム接着複合材の製造方法である。
本発明において、アルミ形状体を形成するためのアルミニウム又はアルミニウム合金材としては、圧延材、押出形材、ダイカスト材、鋳物材等が挙げられる。具体的には、純Al系の1000系、Al-Cu系の2000系、Al-Mn系の3000系、Al-Si系の4000系、Al-Mg系の5000系、ADC5、及びADC6、Al-Mg-Si系の6000系、Al-Zn-Mg系の7000系、Al-Fe系の8000系、Al-Si-Mg系のADC3、Al-Si-Cu系のADC10、ADC10Z、ADC12、及びADC12Z、Al-Si-Cu-Mg系のADC14等の材質からなる材料を所望の形状に適宜加工して得られる加工材、更にはこれらの加工材を適宜組み合わせて得られる組合せ材等が挙げられる。
また、本発明において、アルミ形状体の表面の凹凸部に起因してこのアルミ形状体の表面に形成される複数の凹状部は、その開口縁部が無端の周縁部であるような穴状又は孔状のもの(無端開口縁部を有する凹状部)であってもよく、また、開口縁部が両端部を有するようなスリット状又は溝状のもの(有端開口縁部を有する凹状部)であってもよく、更には、これら無端開口縁部を有する穴状又は孔状のものと有端開口縁部を有するスリット状又は溝状のものとが混在していてもよい。
そして、アルミ形状体の複数の凹状部については、好ましくはその一部又は全部において、凹状部の開口縁部の一部分又は全体から開口幅方向中心に向けて雪庇状に突き出した突出部が形成されているのがよく、これによって、凹状部はその開口幅がその内部の幅寸法より狭くなり、このような凹状部内に進入して固化した接着剤層の嵌入部は凹状部との間で互いに脱離不能な係止構造を形成し、アルミ形状体の凹状部か接着剤層の嵌入部のいずれか一方又は双方が破壊されない限り脱離することがなく、アルミ形状体と接着剤層との間の接合強度がより向上する。
本発明において、アルミ形状体の表面の凹凸部に起因して形成される複数の凹状部は、このアルミ形状体の断面を模式的に示す図1を参照して説明すると、アルミ形状体1の厚さ方向断面においてこの厚さ方向に直交し、かつ、凹凸部の最高部を通過するトップライン(TL)と最深部を通過するボトムライン(BL)との間のハーフライン(HL)において、走査型電子顕微鏡観察により測定される開口幅(d)が0.1μm以上30μm以下、好ましくは0.5μm以上20μm以下、より好ましくは1μm以上10μm以下の大きさであって、深さが0.1μm以上30μm以下、好ましくは0.5μm以上20μm以下の大きさであるのがよい。この凹状部の開口幅(d)が0.1μmより狭いと、接着剤塗布時に接着剤が進入し難くなってアルミ形状体1と接着剤層との界面に微小な空隙が発生して優れた接合強度が得られ難くなり、反対に、30μmより広くしようとすると、アルミ形状体1の表面処理(エッチング処理)時に溶解反応が過剰に進行し、材料表面の欠落あるいは材料の板厚減少量の増大という問題が生じ、材料強度不足の製品が発生して生産性低下の原因になる。また、深さについても、0.1μmより浅いと、十分な接着剤層の嵌入部が得られ難くなり、反対に、30μmより深くしようとすると、アルミ形状体1の表面処理(エッチング処理)時に溶解反応が過剰に進行し、材料表面の欠落あるいは材料の板厚減少量の増大という問題が生じる。
本発明において、アルミ形状体の表面の凹凸部に起因して形成される複数の凹状部の密度については、0.1mm四方当り開口幅0.5μm〜20μm及び深さ0.5μm〜20μmの範囲内の1種又は2種以上の大きさのものが5〜200個程度の範囲で存在するのがよい。
また、本発明のアルミ形状体において、その凹状部に形成される雪庇状の突出部は、好ましくは、アルミニウム接着複合材の厚さ方向断面において、その接着剤層側からアルミ形状体側に向けて厚さ方向に延びる多数の観察ラインを互いに0.1μmの間隔で引いた際に、1観察ライン上に接着剤−アルミ−接着剤からなる少なくとも1つ以上の積層部を形成し、かつ、この積層部のアルミ形状体部分の厚さが0.1μm以上30μm以下の範囲であるのがよく、アルミニウム接着複合材にはこのような雪庇状の突出部が1000本の観察ラインの範囲内に1つ以上存在するのがよい。
また、アルミ形状体の複数の凹状部は、その一部又は全部において、内部の壁面に少なくとも1つ以上の内部凹状部が形成された二重凹状部構造を有していてもよく、また、内部の壁面に少なくとも1つ以上の内部突起部が形成された内部凹凸構造を有していてもよく、更に、これら二重凹状部構造や内部凹凸構造が並存していてもよい。アルミ形状体の複数の凹状部の一部又は全部において、このような二重凹状部構造や内部凹凸構造が存在することにより、アルミ形状体の凹状部と接着剤層の嵌入部とは互いにより強固に結合し、アルミ形状体と接着剤層との間のより優れた接合強度が発揮される。
本発明において、このようなアルミニウム接着複合材を製造する際には、先ず、表面に上述した複数の所望の凹状部を有するアルミ形状体を形成するが、その方法としては、例えば、アルミニウム合金材にエッチング処理を施して表面の一部又は全面に凹凸部を形成し、この凹凸部に起因して複数の凹状部を有するアルミ形状体を形成する方法が挙げられる。
そして、このアルミニウム合金材のエッチング処理に用いるエッチング液としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、酢酸、シュウ酸、アスコルビン酸、安息香酸、酪酸、クエン酸、ぎ酸、乳酸、イソブチル酸、リンゴ酸、プロビオン酸、酒石酸等の酸水溶液からなるエッチング液を挙げることができるが、開口幅及び深さが所望の大きさを有する複数の凹状部を形成したり、あるいは、凹状部の一部又は全部の開口縁部に開口幅方向中心に向けて突出する雪庇状の突出部を形成する等、表面に形成される凹状部を所望の形状及び大きさに制御するためには、酸水溶液として比較的酸化力の弱い酸水溶液を用い、また、このような比較的酸化力の弱い酸水溶液中に、アルミニウム合金材の表面に形成されている酸化皮膜を溶解するために、ハロゲンイオンを所定の濃度で含むエッチング液を用いることが必要である。
すなわち、エッチング液としては、比較的酸化力の弱い酸水溶液中に、塩素イオン(Cl-)、フッ素イオン(F-)、及びヨウ素イオン(I-)から選ばれたいずれか1種又は2種以上のハロゲンイオンを所定の濃度範囲で含むエッチング液を用いるのがよい。そして、このようなハロゲンイオン含む比較的酸化力の弱い酸水溶液を用い、このエッチング液中にアルミニウム合金材を浸漬すると、先ずエッチング液中のハロゲンイオンがアルミニウム合金材の表面の酸化皮膜を溶解し、その後に内部のアルミニウム合金を溶解して更にアルミニウム合金材内部に浸食していくが、その際に、表面の酸化皮膜よりも内部のアルミニウム合金の方がより浸食され易い(溶解し易い)ので、エッチング液の組成やエッチング処理の条件等を設定することにより、表面に形成される凹凸部に起因する凹状部について、その開口幅や深さ等を所望の大きさに制御したり、その一部又は全部の開口縁部に開口幅方向中心に向けて突出する雪庇状の突出部を形成することができる。
この目的で用いられるエッチング液としては、具体的には、酸水溶液として、酸濃度0.1重量%以上80重量%以下、好ましくは0.5重量%以上50重量%以下の塩酸水溶液、リン酸水溶液、希硫酸水溶液、酢酸水溶液等や、酸濃度5重量%以上30重量%以下、好ましくは10重量%以上20重量%以下のシュウ酸水溶液等を挙げることができ、また、これらの酸水溶液中にハロゲンイオン導入のために添加されるハロゲン化物としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の塩化物や、フッ化カルシウム等のフッ化物や、臭化カリウム等の臭化物等を挙げることができ、好ましくは安全性等を考慮して塩化物である。そして、このエッチング液中におけるハロゲンイオン濃度については、通常0.5グラム/リットル(g/L)以上300g/L以下、好ましくは1g/L以上200g/L以下であるのがよく、0.5g/L未満だとハロゲンイオンの効果が小さいため、開口縁部に雪庇状の突出部を有する凹状部が形成されないという問題が生じ、また、300g/Lを超えるような場合はアルミ形状体の表面処理(エッチング処理)時に溶解反応が急激に進行するため、凹状部の制御が困難になるという問題が生じる。
なお、本発明において、アルミ形状体の表面に所望の凹状部を形成するためのエッチング液としては、硝酸や80重量%を超える濃度の濃硫酸等の比較的酸化力の強い酸の水溶液や水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリの水溶液は適当でない。比較的酸化力の強い酸水溶液は、アルミニウム合金に対して皮膜生成能力を有し、かえってアルミ形状体の表面に強固な酸化皮膜を形成し、ハロゲンイオンによる酸化皮膜の溶解が困難になる。また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ水溶液のアルミニウム合金に対する溶解機構は、全面溶解型であって、ハロゲンイオンを添加した場合においてもその傾向は変わらず、所望の形状や大きさを有する凹状部を形成することが困難になる。
本発明において、上記のエッチング液を用いてアルミニウム合金材の表面をエッチング処理する際の処理条件については、使用するエッチング液の種類、酸濃度、ハロゲンイオン濃度等や、アルミ形状体に要求される複数の凹状部の数や大きさ等によっても異なるが、通常、塩酸水溶液の場合には浴温20〜80℃で浸漬時間1〜30分間、リン酸水溶液の場合は浴温30〜80℃で浸漬時間1〜5分間、硫酸水溶液の場合には浴温40〜80℃で浸漬時間2〜8分間、シュウ酸水溶液の場合には浴温50〜80℃で浸漬時間1〜3分間、酢酸水溶液の場合には浴温50〜80℃で浸漬時間1〜3分間の範囲であるのがよい。使用するエッチング液の酸濃度や浴温が高いほどエッチング処理の効果が顕著になり、短時間処理が可能になるが、浴温については、20℃未満では溶解速度が遅くて十分な大きさ(開口幅及び深さ)を有する凹状部の生成に長時間を要し、また、80℃を超える浴温では溶解反応が急激に進行して凹状部の開口幅及び深さの制御が困難になり、浸漬時間については、1分未満では凹状部の開口幅及び深さの制御が難しく、逆に30分を超える浸漬時間では生産性低下の原因となる。
本発明において、上記の如くアルミニウム合金材にエッチング処理を施して凹状部を有するアルミ形状体を形成する際に、必要により、このエッチング処理前のアルミニウム合金材の表面に、脱脂や表面調整、表面付着物・汚染物等の除去を目的として、酸水溶液による酸処理、及び/又は、アルカリ溶液によるアルカリ処理からなる前処理を施してもよい。
ここで、この前処理に用いる酸水溶液としては、例えば、市販の酸性脱脂剤で調製したもの、硫酸、硝酸、フッ酸、リン酸等の鉱酸や酢酸、クエン酸等の有機酸や、これらの酸を混合して得られた混合酸等の酸試薬を用いて調製したもの等を用いることができ、また、アルカリ水溶液としては、例えば、市販のアルカリ性脱脂剤により調製したもの、苛性ソーダ等のアルカリ試薬により調製したもの、又はこれらのものを混合して調製したもの等を用いることができる。
上記の酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液を用いて行なう前処理の操作方法及び処理条件については、従来、この種の酸水溶液又はアルカリ水溶液を用いて行なわれている前処理の操作方法及び処理条件と同様でよく、例えば、浸漬法、スプレー法等の方法により行うことができる。
そして、アルミニウム合金材の表面に上記の前処理を施した後や、凹状部を形成するためのエッチング処理を施した後に、必要により水洗処理をしてもよく、この水洗処理には工業用水、地下水、水道水、イオン交換水等を用いることができ、製造されるアルミ形状体に応じて適宜選択される。更に、前処理やエッチング処理が施されたアルミニウム合金材については、必要により乾燥処理が行われるが、この乾燥処理についても、室温で放置する自然乾燥でよいほか、エアーブロー、ドライヤー、オーブン等を用いて行う強制乾燥でもよい。
上記のエッチング処理により、又は前処理及びエッチング処理により得られたアルミ形状体の表面には、エッチング処理により凹凸部が形成され、その表面の60度表面光沢度(スガ試験機社製デジタル変角光沢計での測定)は好ましくは60以下である。この表面光沢度が60を超えている場合は、接着剤塗布の際に接着剤がアルミ形状体の凹状部内に十分に入り込まず、アルミ形状体と接着剤層との間の十分な密着性が得られない。
また、上記のエッチング処理により、又は前処理及びエッチング処理により得られたアルミ形状体の表面をSEMあるいは光学顕微鏡により倍率1000倍で断面観察を行い、得られた断面観察写真について、好ましくはアルミ形状体の表面積が、エッチング処理により凹凸部を形成する前のアルミニウム合金材の表面積の1.2倍以上10倍以下であるのがよい。この表面積増加率が1.2倍未満、又は10倍を超えている場合は、接着剤塗布の際に接着剤がアルミ形状体の凹状部内に十分に入り込まず、アルミ形状体と接着剤層との間の十分な密着性が得られない。
次に、本発明のアルミニウム接着複合材を得るには、以上のようにして得られたアルミ形状体に金属製又は樹脂製の被接着体を接着剤層を介して接合するが、このアルミ形状体に被接着体を接合する前に、予めアルミ形状体の下地処理を行なってもよい。
このアルミ形状体の下地処理については、珪素化合物を含有する酸溶液及び/又はアルカリ溶液や市販のクロムフリー処理剤を用いてもよい。これらの下地処理を行なうことで、アルミ形状体の表面とその上に形成される接着剤層との間の密着性がより強固になるという作用効果が期待される。このような珪素化合物を含有する酸溶液及び/又はアルカリ溶液としては、例えば、コロイダルシリカを含有する酸溶液やメタ珪酸ソーダ等の珪酸塩を含有するアルカリ溶液等を例示することができる。市販のクロムフリー処理剤としては、一例として、日本ペイント製のアルサーフやサーフコート、日本パーカライジング製のパルコート等を挙げることができる。
前記アルミ形状体と被接着体との間に接着剤層を設けてこれらの間を一体的に接合する方法としては、アルミ形状体及び/又は被接着体に接着剤を塗布し、この塗布された接着剤を間に挟んでこれらアルミ形状体と被接着体とを好ましくは加圧下に密着させ、接着剤を固化させればよいが、アルミ形状体の凹状部内に効率良く接着剤を進入させてアルミ形状体と接着剤層との間の界面における接合強度を加及的に高めるために、好ましくはアルミ形状体側、又はアルミ形状体側及び被接着体側の両者に接着剤を塗布してこれらアルミ形状体と被接着体とを密着させるのがよい。なお、被接着体と接着剤層との間の界面における接合強度を高めるために、使用される被接着体の材質に応じて適当な接着剤の種類を選択したり、あるいは、被接着体側にアルミ形状体の場合と同様の凹状部を形成してこの凹状部と接着剤層に形成される嵌入部とを係止させるようにしてもよい。
この接着剤の塗布方法については、例えばロールコート法、スプレーコート法、浸漬法、はけ塗り、ローラー塗り等によるプレコート法であってもポストコート法であってもよい。そして、接着剤塗布後、固化する前に目的の金属製又は樹脂製の被接着体を接合する。被接着体を密着させた後の接着剤固化処理についても、接着剤の種類に応じた乾燥方法を採用すればよく、例えば、エアーブロー、ドライヤー、オーブン等を用いて常温乾燥又は焼付乾燥を行うことができる。上記のアルミ形状体と被接着体との間に接着剤層を形成することにより、目的のアルミニウム接着複合材を製造する。本発明において、特に好ましいアルミニウム接着複合材は、アルミ形状体の一部の表面に接着剤層を介して被接着体が突合せ状態に接合されたアルミニウム接着複合材である。
本発明において、アルミ形状体と被接着体との間に形成される接着剤層を形成するための接着剤としては、特に限定されるものではないが、好適なものの一例として、トリルゴム系、合成ゴム系、エポキシ系、シアノアクリル系、塩化ビニール系、プラスチック系、ホットメルト系等が挙げられる。
本発明において、アルミ形状体と被接着体との間に形成される接着剤層の膜厚については、アルミニウム接着複合材の使用目的等に応じて適宜選択されるものであるが、通常5μm以上5mm以下、好ましくは10μm以上2000μm以下であるのがよく、5μmより薄いと十分な接合強度が発揮されず、反対に、5mmより厚くなると効果が飽和するだけで耐久性が変わらなくなる。
そして、アルミ形状体の表面に接着剤層を介して接合される金属製の被接着体については、用途に応じて適宜選ばれた金属が用いられるが、好適なものの一例として、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、マグネシウム等の金属やその合金が挙げられる。接着剤層を介して接合する金属がアルミニウムの場合、本発明のエッチング処理を施して凹状部を有するアルミ形状体にしてもよい。接着剤層を介して接合する金属がアルミニウム以外の場合、酸、アルカリ溶液によるエッチング処理やブラスト、研磨紙等による粗面化や研磨処理、溶剤、界面活性剤等による洗浄処理等を行なって、表面調整してもよい。
また、アルミ形状体の表面に接着剤層を介して接合される樹脂製の被接着体については、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、常温硬化性樹脂等のものが幅広く挙げられ、熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等のポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、液晶性樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリイミド樹脂、シンジオタクティックポリスチレン樹脂等やこれらの熱可塑性樹脂の2種以上の混合物が挙げられ、熱硬化性樹脂としてはエポキシ系樹脂等が挙げられ、また、常温硬化性樹脂としてはポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、接着する前に酸、アルカリ溶液、溶剤、界面活性剤等による洗浄処理やブラスト、研磨紙等による粗面化や研磨処理を行なって、表面調整してもよい。
本発明のアルミニウム接着複合材は、アルミ形状体と接着剤層との間の界面(アルミ/接着剤界面)の接合強度が極めて高く、かつ過酷な環境に曝されてもその優れた耐久性を保持することができ、長期に亘って高い信頼性を維持し得るものである。従って、本発明のアルミニウム接着複合材は、例えば、建物の内外装、ビル外壁や内装等の各種建築部材、道路資材、各種キャビネット、冷蔵、冷凍車コンテナ内外装、冷凍ショーケース、自動車用部品、電気・電子部品、家電製品、各種日用品等、幅広い分野における種々の製品に好適に使用することができる。
図1は、実施例1に係るアルミ形状体の厚さ方向断面を模写し、凹状部を説明するための断面模写図である。
図2は、図1から観念される凹状部の形状の典型例を示す断面説明図である。
図3は、アルミ形状体を用いてposiTEST試験用に調製したアルミニウム接着複合材の各評価用試験体(アルミ試験片、銅試験片、又は樹脂試験体)の正面図及び側面図である。
図4は、posiTEST試験の際に評価用試験体をposiTEST試験装置のアクチュエーター部にセットした状態を示す断面説明図である。
図5は、評価用試験体におけるアルミ形状体・接着剤層・金属製被接着体、又はアルミ形状体・接着剤層・樹脂製被接着体における積層部の観察評価の方法を説明するための断面説明図である。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。尚、本発明は以下に記載の例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
[アルミ形状体の調製]
厚さ1.0mmのアルミニウム合金(JIS A1050-H24)板から大きさ50mm×50mmのアルミ片(アルミニウム合金材)を用意し、これらのアルミ片について、先ず30wt%硝酸水溶液に常温で5分間浸漬した後にイオン交換水で十分に水洗し、次いで5wt%水酸化ナトリウム溶液に50℃で1分間浸漬した後に水洗し、更に、30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に水洗する前処理を施した。
次に、上記前処理後のアルミ片について、2.5wt%塩酸水溶液中に54g/Lの塩化アルミニウム六水和物(AlCl3・6H2O)を添加して調製したエッチング液(塩素イオン濃度:48g/L)中に66℃で4分間浸漬した後に水洗するエッチング処理を施し、更に、30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に水洗し、120℃の熱風で5分間乾燥させ、沸騰水試験、塩水噴霧試験の評価サンプルを作成するためのアルミ形状体を作成した。
[アルミ形状体の表面の凹状部観察]
得られたアルミ形状体について、走査型電子顕微鏡(日立製FE-SEM、S-4500形)を用いてその厚さ方向断面のうちのある領域の断面を観察し、先ず、アルミ形状体の厚さ方向断面においてこの厚さ方向に直交し、かつ、凹凸部の最高部を通過するトップライン(TL)を決め、次に上記と概ね同様に、アルミ形状体の厚さ方向に直交し、かつ、凹凸部の最深部を通過するボトムラインを決定し、更に、トップライン(TL)からボトムライン(BL)に対して垂直方向に線分を引き、この線分の中間部を通過し、かつ、トップライン(TL)〔あるいはボトムライン(BL)〕と平行に引かれたハーフライン(HL)上のアルミ形状体とアルミ形状体との間に存在する空隙間の距離を凹状部の開口幅(d)とし、アルミ形状体の表面の凹凸部に起因して形成された凹状部の形状と大きさ(開口幅及び深さ)を観察し、また、測定した。
観察されたアルミ形状体のある領域の断面には、例えば図1の断面模写図に示す通りであり、また、この図1から観念される凹状部の形状の典型例は、図2に示すように、開口縁部の一部分から開口幅方向中心に向けて雪庇状に突き出した突出部を有する凹状部(形状a:図2(a)参照)、開口縁部の全体から開口幅方向中心に向けて雪庇状に突き出した突出部を有する凹状部(形状b:図2(b)参照)、内部に更に凹状部が形成された二重凹状部構造を有する凹状部(形状c:図2(c)参照)、及び内部の壁面に内部突起部が形成された内部凹凸構造を有する凹状部(形状d:図2(d)参照)であり、この実施例1においては全ての形状a〜dの凹状部が観察された。また、このような凹状部の形状については、観察場所を変えても同様であった。
ここで、観察された凹状部の形状の評価については、上記形状a〜dのいずれか1つ又は2つ以上を有する場合を良好(○)とし、また、形状a〜dのいずれも存在しない場合を不良(×)とした。なお、以下の実施例2〜17及び比較例1〜8において観察された凹状部の形状についても同様の基準で評価した。
また、測定されたアルミ形状体のある領域の断面において観察された凹状部の大きさ(開口幅及び深さ)並びにその割合は、0.1mm四方当たり開口幅0.1μm〜1μmの凹状部が10個〜100個、開口幅が1μm〜10μmの凹状部が1〜10個、開口幅が11μm〜30μmの凹状部が1〜3個であり、深さは0.1μm〜30μmの範囲内であった。また、二重凹状部構造を形成する内部の凹状部の大きさ(開口幅及び深さ)並びにその割合についても、上記と概ね同様に、0.1mm四方当たり開口幅0.1μm〜1μmの凹状部が10個〜50個、開口幅が1μm〜10μmの凹状部が1〜50個、開口幅が11μm〜30μmの凹状部が1〜2個であり、深さは0.1μm〜20μmの範囲内であった。この凹状部の大きさについても、観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。
ここで、観察された凹状部の大きさの評価については、開口幅0.1〜30μm及び深さ0.1〜30μmの範囲内である場合を良好(○)とし、そうでない場合を不良(×)とした。なお、以下の実施例2〜17及び比較例1〜8において観察された凹状部の大きさについても同様の基準で評価した。
[アルミ形状体の表面光沢度の評価]
得られたアルミ形状体について、デジタル変角光沢計(スガ試験機社製)を用いて表面の60度光沢度を測定した。なお、以下の実施例2〜17及び比較例1〜8において光沢度を同様に測定した。
[アルミ形状体の表面積増加率による評価]
得られたアルミ形状体について、SEMあるいは光学顕微鏡により倍率1000倍で断面観察を行い、得られた断面観察写真について画像処理ソフト(ImageJ)を用いアルミ形状体の表面の表面積を測定した。未処理のアルミニウム合金材に対し得られたアルミ形状体の表面積が増加した割合を表面積増加率と定義した。なお、以下の実施例2〜17及び比較例1〜8において観察された凹状部の表面積増加率についても同様の基準で測定した。
[評価用試験体のposiTEST試験]
1.評価用試験体の調製
本発明のアルミニウム接着複合材を評価するための評価用試験体の調製は、アルミ形状体に以下のようにして接着剤を塗布した後、金属製又は樹脂製の評価用ドリーを接合して作製した。評価用試験体の接合強度の評価にはposiTEST試験を採用した。
(1) 評価用ドリーの材質
アルミ形状体・接着剤層・金属製被接着体からなるアルミニウム接着複合材を形成するための金属製被接着体としては、A1100のアルミニウム及びC1020の無酸素銅を用いた。また、アルミ形状体・接着剤層・樹脂製被接着体からなるアルミニウム接着複合材を形成するための樹脂製被接着体としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂(東レ製)を用いた。
(2) 評価用ドリーの作製
アルミ形状体と金属製又は樹脂製の被接着体との接合強度評価には、posiTEST試験を用いた。アルミ形状体・接着剤層・金属製被接着体からなるアルミニウム接着複合材を形成するための金属被接着体のA1100材は、posiTEST試験に付属のアルミニウム製(JIS A1100)専用ドリー(デフェルスコ社製;サイズ:20mmφ、A1100ドリー)を用いた。アルミ形状体・接着剤層・金属製被接着体からなるアルミニウム接着複合材を形成するための金属被接着体のC1020の無酸素銅は、上記のA1100ドリーの場合と同じ形状に加工した。アルミ形状体・接着剤層・樹脂製被接着体からなるアルミニウム接着複合材を形成するための樹脂のポリフェニレンスルフィド(PPS)についても、上記のA1100ドリーの場合と同じ形状に加工した。
(3) 評価用ドリーの表面調製
上記A1100ドリーについては、上記のアルミ形状体の場合と同様に、前処理、エッチング処理を施した。C1020ドリーについては、#240のSiC研磨紙で接着剤が付着する面を研磨した後、アルコールで脱脂処理を行った。ポリフェニレンスルファイドドリー(PPSドリー)については、#240のSiC研磨紙で接着剤が付着する面を研磨した後、アルコールで脱脂処理を行った。このようにして作製したC1020ドリー、PPSドリーは、A1100ドリーと同様にposiTEST試験に用いた。
(4) 評価用試験体の調製(接着剤によるアルミ形状体と被接着体との接合)
図3に示すように、上で得られたアルミ形状体1と表1、2に示す評価用ドリー4とを二液混合型のエポキシ系急速硬化接着剤(ハンツマン・アドバンテスト・マテリアルズ社製商品名:アラルダイトラピッド)2を介して接合した後、ホットプレス機(アズワン製AH-2003)を用いて押し圧力0.1MPaで常温加圧し、そのまま24時間保持して圧着させ、次いで、接着剤固化後に、カッターを用いて、アルミ形状体1とドリー4との間の接合面よりはみ出した余分な接着剤2を接合面より分離除去し、接合面が3.14cm2になるように調整し、アルミ形状体・接着剤層・A1100ドリーから成るアルミ試験片、アルミ形状体・接着剤層・C1020ドリーからなる銅試験片、アルミ形状体・接着剤層・PPSドリーからなる樹脂試験片を作製し、アルミニウム接着複合材の各試験片(評価用試験体)を作製した。
2.posiTEST試験機による接合面の引張強度評価
上記の評価用試験体についてposiTEST試験機(デフェルスコ社製)を用い、ASTM D4541 (ISO 4624)試験法に準拠して上記のアルミ試験片、銅試験片、及び樹脂試験片におけるアルミ/接着剤界面の引張強度(ドリーサイズ:20mmφ、分解能:±0.01MPa、精度:±1%、及び測定範囲:0〜20 MPa)を測定した。このposiTEST試験においては、図4に示すように、posiTEST試験機のアクチュエーター5に、ドリー固定用冶具6を介して、評価用試験体のドリー4部分を連結させた後、ポンプで圧力をかけてドリー4部分がアルミ形状体1から引き剥れるまでの荷重(剥離荷重)を測定し、また、引き剥れ後のアルミ形状体1の接合部の剥離状態を調べた。
評価用試験体のアルミ/接着剤界面での剥離荷重は、アルミ試験片の場合に6.3MPAであり、銅試験片の場合に6.4MPAであり、樹脂試験片の場合に6.2MPAであった。また、観察された剥離状態について、アルミ形状体の接合面に接着剤層が全面に亘って残存する場合を良好(○)とし、また、アルミ形状体片側に一部だけ残る場合を一部良好(△)、アルミ形状体片側に残存しない場合(界面剥離)の場合を不良(×)として評価したところ、いずれも良好(○)であった。なお、以下の実施例2〜17及び比較例1〜8についても同様の基準で評価した。
[アルミ形状体・接着剤・金属、アルミ形状体・接着剤・樹脂の積層部の観察評価]
また、図5に示すように、上で調製した3種の評価用試験体(アルミ試験片、銅試験片、及び樹脂試験片)について、それぞれそのアルミ形状体1からその上に積層された接着剤層2に向けて厚さ方向に切断し、この厚さ方向断面をSEMあるいは光学顕微鏡により倍率1000倍で観察し、得られた断面観察写真について、接着剤層2側からアルミ形状体1側に向けて厚さ方向に延びる多数の観察ライン(OL)を互いに0.1μmの間隔で引いた際に、1観察ライン(OL)上に接着剤層−アルミ形状体−接着剤層からなる少なくとも1つ以上の積層部が存在し、かつ、この積層部のアルミ形状体部分の厚さが0.1μm以上30μm以下の範囲であって、1000本の観察ライン(OL)の範囲内に1つ以上の割合で存在する場合を良好(○)とし、このような積層部が1000本の観察ライン(OL)の範囲内に1つも存在しないものを不良(×)として評価したところ、結果はいずれの場合も良好(○)であった。なお、以下の実施例2〜17及び比較例1〜3についても同様の基準で評価した。
〔実施例2〕
アルミ片を切り出すアルミニウム合金板としてJIS A1100-H14を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ形状体を作製し、表1に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
〔実施例3〕
アルミ片を切り出すアルミニウム合金板としてJIS A5052-H34を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ形状体を作製し、表1に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
〔実施例4〕
エッチング処理に50wt%リン酸水溶液中に50g/Lの塩化ナトリウムを添加して調製したエッチング液(塩素イオン濃度:30g/L)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ形状体を作製し、表1に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
〔実施例5〕
エッチング処理に10wt%硫酸水溶液中に50g/Lの塩化ナトリウムを添加して調製したエッチング液(塩素イオン濃度:30g/L)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ形状体を作製し、表1に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
〔実施例6〕
エッチング処理に30wt%シュウ酸水溶液中に50g/Lの塩化ナトリウムを添加して調製したエッチング液(塩素イオン濃度:30g/L)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ形状体を作製し、表1に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
〔実施例7及び8〕
実施例1と同じエッチング液(塩素イオン濃度:48g/L)を用い、50℃で10分間浸漬した以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ形状体を作製し、表1に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
〔実施例9及び10〕
実施例1と同じエッチング液(塩素イオン濃度:48g/L)を用い、40℃で15分間浸漬した以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ形状体を作製し、表1に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
〔実施例11〕
エッチング液として、2.5wt%塩酸水溶液中に50g/Lの塩化ナトリウム(NaCl)を添加して調製したエッチング液(塩素イオン濃度:54g/L)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ形状体を作製し、表1に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
〔実施例12〕
エッチング液として、2.5wt%塩酸水溶液(塩素イオン濃度:24g/L)を用い、76℃で10分間浸漬した後に水洗するエッチング処理をした以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ形状体を作製し、表1に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
〔実施例13〜16〕
6wt%塩酸溶液中に268g/Lの塩化アルミニウム六水和物(AlCl3・6H2O)を添加して調製したエッチング液(塩素イオン濃度:173g/L)を用い、30℃で10分間浸漬した後に水洗するエッチング処理を施した以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ形状体を作製し、表1に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
〔実施例17〕
実施例1と同じエッチング液(塩素イオン濃度:48g/L)を用い、40℃で20分間浸漬した以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ形状体を作製し、表1に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表1に示す。
Figure 2011121309
〔比較例1〕
アルミニウム合金板としてJIS A1050-H24を用い、実施例1の前処理をしたのみでエッチング処理を行うことなくアルミ形状体を調製し、表2に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に示す。
〔比較例2〕
アルミニウム合金板としてJIS A5052-H34を用い、実施例1の前処理をした後に、2.5wt%塩酸水溶液に66℃で4分間浸漬して水洗し、また、5wt%水酸化ナトリウム溶液に50℃で5分間浸漬して水洗し、更に、30wt%硝酸に常温で3分間浸漬して水洗し、その後に120℃の熱風で5分間乾燥してアルミ形状体を調製し、表2に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に示す。
〔比較例3〕
アルミニウム合金板としてJIS A1100-H14を用い、実施例1の前処理をした後に、50wt%リン酸水溶液に66℃で4分間浸漬して水洗し、その後に120℃の熱風で5分間乾燥してアルミ形状体を調製し、表2に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に示す。
〔比較例4〕
アルミニウム合金板としてJIS A1050-H24を用い、実施例1の前処理をした後に、10wt%硫酸水溶液に66℃で4分間浸漬して水洗し、その後に120℃の熱風で5分間乾燥してアルミ形状体を調製し、表2に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に示す。
〔比較例5〕
アルミニウム合金板としてJIS A1050-H24を用い、実施例1の前処理をした後に、30wt%シュウ酸水溶液に66℃で4分間浸漬して水洗し、その後に120℃の熱風で5分間乾燥してアルミ形状体を調製し、表2に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に示す。
〔比較例6〕
アルミニウム合金板としてJIS A1050-H24を用い、先ず過酸化水素26g/L及び硫酸90g/Lを含むエッチング液(水溶液)に20℃で1分間浸漬して防錆皮膜除去を行い、次いで過酸化水素80g/L、硫酸90g/L、ベンゾトリアゾール5g/L、及び塩化ナトリウム0.2g/Lを含むエッチング液(水溶液;塩素イオン濃度:0.1g/L)に25℃で5分間浸漬してイオン交換水で水洗し、その後に120℃の熱風で5分間乾燥してアルミ形状体を調製し、表2に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に示す。
〔比較例7〕
アルミニウム合金板としてJIS A1050-H24を用い、実施例1の前処理をした後に、30wt%硝酸水溶液からなるエッチング液に66℃で4分間浸漬して水洗し、その後に120℃の熱風で5分間乾燥してアルミ形状体を調製し、表2に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に示す。
〔比較例8〕
アルミニウム合金板としてJIS A1050-H24を用い、平均粒径300μmのアルミナを用いてエアーブラストを行った。その後実施例1の前処理のみを行い、アルミ形状体を調製し、表2に示す材質で評価用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、及び評価用試験体の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に示す。
Figure 2011121309
1…アルミ形状体、TL…トップライン、BL…ボトムライン、HL…ハーフライン、d…開口幅、OL…観察ライン、2…接着剤、3…凹状部、4…ドリー、5…アクチュエーター、6…ドリー固定用冶具。

Claims (15)

  1. 表面の一部又は全面に凹凸部を有するアルミニウム又はアルミニウム合金製のアルミ形状体と、このアルミ形状体の表面側に位置する金属製又は樹脂製の被接着体と、これらアルミ形状体と被接着体との間に位置してこれらアルミ形状体と被接着体との間を一体的に結合する接着剤層とを含むアルミニウム接着複合材であり、
    前記アルミ形状体の表面には前記凹凸部に起因して形成され、アルミ形状体の厚さ方向断面においてこの厚さ方向に直交し、かつ、凹凸部の最高部を通過するトップラインと最深部を通過するボトムラインとの間のハーフラインにおいて、走査型電子顕微鏡観察により測定される開口幅が0.1μm以上30μm以下の大きさであって、深さが0.1μm以上30μm以下の大きさである複数の凹状部が形成されていると共に、これらの凹状部内には前記接着時に接着剤が進入して固化した接着剤の嵌入部が形成されており、前記凹状部と嵌入部とによりアルミ形状体と接着剤が互いに係止されていることを特徴とするアルミニウム接着複合材。
  2. アルミ形状体には、その複数の凹状部のうちの一部又は全部において、凹状部の開口縁部の一部分又は全体から開口幅方向中心に向けて雪庇状に突き出した突出部が形成されており、この突出部によりアルミ成形体の凹状部と接着剤の嵌入部とが互いに脱離不能な係止構造を形成している請求項1に記載のアルミニウム接着複合材。
  3. アルミニウム接着複合材の厚さ方向断面において、その接着剤層側からアルミ形状体側に向けて厚さ方向に延びる多数の観察ラインを互いに0.1μmの間隔で引いた際に、雪庇状の突出部は、1観察ライン上に接着剤−アルミ−接着剤からなる少なくとも1つ以上の積層部を形成し、かつ、この積層部のアルミ形状体部分の厚さが0.1μm以上30μm以下の範囲であって、この雪庇状の突出部が1000本の観察ラインの範囲内に1つ以上存在することを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム接着複合材。
  4. アルミ形状体の複数の凹状部は、その一部又は全部において、内部の壁面に少なくとも1つ以上の内部凹状部が形成された二重凹状部構造を有している請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム接着複合材。
  5. アルミ形状体の複数の凹状部は、その一部又は全部において、内部の壁面に少なくとも1つ以上の内部突起部が形成された内部凹凸構造を有している請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム接着複合材。
  6. アルミ形状体の60度鏡面光沢度が60以下である請求項1〜5いずれかに記載のアルミニウム接着複合材。
  7. アルミ形状体の表面積が、凹凸部を形成する前のアルミニウム合金材の表面積の1.2倍以上10倍以下である請求項1〜6いずれかに記載のアルミニウム接着複合材。
  8. 表面の一部又は全面に凹凸部を有するアルミニウム又はアルミニウム合金製のアルミ形状体と、このアルミ形状体の表面側に位置する金属製又は樹脂製の被接着体と、これらアルミ形状体と被接着体との間に位置してこれらアルミ形状体と被接着体との間を一体的に結合する接着剤層とを含むアルミニウム接着複合材の製造方法であり、
    アルミニウム合金材をエッチング処理して表面の一部又は全面に凹凸部に起因する複数の凹状部を有するアルミ形状体を形成し、このアルミ形状体の表面に接着剤を介して被接着体を接着する接着時には前記接着剤がアルミ形状体の各凹状部内に進入して固化した接着剤層の嵌入部を成形し、アルミ形状体の凹状部と接着剤層の嵌入部とが互いに係止してアルミ形状体と接着剤層とが一体的に結合したアルミニウム接着複合材を製造することを特徴とするアルミニウム接着複合材の製造方法。
  9. アルミニウム合金材のエッチング処理は、エッチング液として、ハロゲンイオン濃度を0.5g/L以上300g/L以下の範囲内で含む酸濃度0.1重量%以上80重量%以下の酸水溶液を用いて行われる請求項8に記載のアルミニウム接着複合材の製造方法。
  10. エッチング液は、酸水溶液中に水溶性無機ハロゲン化合物を添加して調製される請求項9に記載のアルミニウム接着複合材の製造方法。
  11. アルミ形状体には、その複数の凹状部のうちの一部又は全部において、凹状部の開口縁部の一部分又は全体から開口幅方向中心に向けて雪庇状に突き出した突出部が形成されており、この突出部によりアルミ成形体の凹状部と接着剤の嵌入部とが互いに脱離不能な係止構造を形成している請求項8〜10のいずれかに記載のアルミニウム接着複合材の製造方法。
  12. アルミニウム接着複合材の厚さ方向断面において、その接着剤側からアルミ形状体側に向けて厚さ方向に延びる多数の観察ラインを互いに0.1μmの間隔で引いた際に、雪庇状の突出部は、1観察ライン上に接着剤層−アルミ−接着剤層からなる少なくとも1つ以上の積層部を形成し、かつ、この積層部のアルミ形状体部分の厚さが0.1μm以上30μm以下の範囲であって、この雪庇状の突出部が1000本の観察ラインの範囲内に1つ以上存在することを特徴とする請求項11に記載のアルミニウム接着複合材の製造方法。
  13. アルミ形状体の表面に凹凸部に起因して形成される複数の凹状部は、アルミ形状体の厚さ方向断面においてこの厚さ方向に直交し、かつ、凹凸部の最高部を通過するトップラインと最深部を通過するボトムラインとの間のハーフラインにおいて、走査型電子顕微鏡観察により測定される開口幅が0.1μm以上30μm以下で深さが0.1μm以上30μm以下の大きさである請求項8〜13のいずれかに記載のアルミニウム接着複合材の製造方法。
  14. アルミ形状体の60度鏡面光沢度が60以下である請求項8〜14のいずれかに記載のアルミニウム接着複合材の製造方法。
  15. アルミ形状体の表面積が、凹凸部を形成する前のアルミニウム合金材の表面積の1.2倍以上10倍以下である請求項8〜14のいずれかに記載のアルミニウム接着複合材の製造方法。
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