JP5581680B2 - 耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品及びその製造方法 - Google Patents

耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品及びその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、アルミニウム合金製のアルミ形状体とこのアルミ形状体の表面に樹脂成形体が一体的に設けられたアルミ・樹脂複合品及びその製造方法に係り、単にアルミ・樹脂接合面の密着強度及び気密性に優れているだけでなく、耐食性や耐候性、更にはアルミ・樹脂接合面の引張強度にも優れており、特に限定するものではないが、自動車用の各種センサー部品、家電機器用の各種スイッチ部品、各種産業機器用のコンデンサー部品等を始めとして、幅広い分野において好適に使用し得るアルミ・樹脂複合品及びその製造方法に関する。
自動車用の各種センサー部品、家電機器用の各種スイッチ部品、各種産業機器用のコンデンサー部品等の分野、特に自動車用部品等の分野においては、温度や湿度、粉塵、あるいは二酸化硫黄や窒素酸化物等を起源とする酸性雨や海岸沿いにおいては海から飛来する海塩粒子等の腐食性物質等が存在する過酷な環境下で使用される場合が多々あり、これらセンサー部品、スイッチ部品、コンデンサー部品等については、このような過酷な環境下での耐食性及び耐候性の向上、耐久性及び耐熱性の向上、気密性の向上等が重要な課題となっている。
従来から、金属と樹脂との接合技術としては、接着剤を使用する方法が一般的な技術として知られているが、作業効率、部品点数の削減、製品形状の簡素化、耐久性等の観点から工業的により好適な接合方法として、金属部品を射出成形用金型にセットし、この金型内に溶融樹脂を射出して充填し、樹脂を金属部品に固着させるインサート成形の方法等が挙げられる。そして、これら金属部品と樹脂との間の接合をより安価に行い、接着力をより向上させるために、樹脂と接合する金属部品の表面に所定の表面処理を行う方法も知られている。
例えば、特許文献1においては、表面粗さが5μmないし50μmであり、かつこの表面に1μm以下の微細な凹部又は凸部を有するアルミニウム合金形状物と、このアルミニウム合金形状物の凹部又は凸部に侵入して固着された所定の熱可塑性樹脂組成物とからなる複合体が提案されている。
また、特許文献2においては、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性アミン化合物から選択される1種以上の水溶液に浸漬して得られ、表面に数平均内径10〜80nmの極微細凹部が形成されたアルミニウム合金部品と、その表面に射出成形で固着された熱可塑性合成樹脂組成物部品とからなる金属樹脂複合体が提案されている。
更に、特許文献3においては、アルマイト処理、未封孔アルマイト処理、酸エッチング処理、亜鉛メッキクロメート処理、及びサンドブラスト処理から選ばれた何れかの下地処理が施された金属板と、インサート射出成形法により接着剤無しで一体化された熱可塑性材料とからなる成型体が提案されている。
また、特許文献4においては、アルミニウム薄板に化学的エッチング法又は電解エッチング法により微細な粗面層を設け、次いでシリコーン樹脂を射出してシリコーン樹脂−金属複合体の製造する方法が提案されている。
更にまた、特許文献5においては、金属部品表面をケミカルエッチングし、次いで熱可塑性樹脂材料を用いて射出成形することにより金属インサート樹脂複合成形品を製造する方法が提案されている。
また、特許文献6においては、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属部品表面を温水処理してその表面に水酸基含有皮膜を形成し、次いで熱可塑性樹脂材料を用いて射出成形することにより、金属材と熱可塑性樹脂との間の十分な接合強度を達成できるとする金属インサート樹脂複合成形品の製造方法が提案されている。
更に、特許文献7においては、表面粗さ(Rmax)が約8〜18μmのアルミニウム又はアルミニウム合金に、有機樹脂又は有機−無機複合樹脂を介して金属箔を接着することにより、絶縁性樹脂とアルミ板との間の良好な密着性を達成できるとするアルミニウム芯金属箔張積層板が提案されている。
しかしながら、これらいずれの場合においても、過酷な環境下に曝された際における金属−樹脂の界面での密着強度及び気密性が必ずしも充分ではなく、また、特許文献1、2、4、5においてはエッチング後の表面は基本的にAl素地そのものであるために耐食性についても充分ではなく、金属・樹脂接合面の密着強度及び気密性においてより優れているだけでなく、耐食性や耐候性、更には金属・樹脂接合面の引張強度においても優れている金属−樹脂複合体の開発が要請されていた。
そこで、本発明者らは、先に、金属材料としてアルミニウム合金に着目し、このアルミニウム合金製のアルミ形状体とその表面に一体的に設けられた樹脂成形体との間の界面における密着強度及び気密性が極めて高く、過酷な環境下でも優れた密着強度及び気密性、更には優れた耐久性や耐熱性を発揮し得るアルミ・樹脂複合品について検討し、その結果として、アルミ形状体の表面にある特定の表面形状を備えた凹状部を有する凹凸部を形成することにより、アルミ形状体と樹脂成形体との間の密着性や気密性が顕著に向上することを見出し、得られた成果について特願2008-153,805号及び特願2008-153,806号として出願した。
WO2004/041,533号公報 特開2007-182,071号公報 特開2000-127,199号公報 特開2000-176,962号公報 特許第3,467,471号公報 特開2008-162,115号公報 特開平1-275,036号公報
本発明者らは、上述の成果に加えて更に、温度や湿度、粉塵、腐食性物質等において過酷な環境下でも優れたアルミ・樹脂接合面の密着強度及び気密性を保持し、また、優れた耐食性を保持するだけでなく、耐候性やアルミ・樹脂接合面の引張強度においても優れた性能を発揮し得るアルミ・樹脂複合品を製造し提供することについて鋭意検討を進めた結果、エッチング処理によってアルミ形状体の表面にある特定の表面形状を備えた凹状部を有する凹凸部を形成すると共に、この凹凸部の最表面に、更にアルミニウム皮膜形成処理由来のAl(OH)3、AlO(OH)Al(PO4)、Al2(HPO4)3、Al(H2PO4)3、及びAlOSiO2から選ばれたいずれか一種以上のアルミニウム化合物を含むアルミニウム皮膜を形成することにより、アルミ形状体と樹脂成形体との間の密着性、気密性及び耐食性が向上するだけでなく、耐候性やアルミ・樹脂接合面の引張強度も顕著に向上することを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、一体的に接合されたアルミニウム合金製のアルミ形状体と樹脂成形体との間の界面の密着強度及び気密性が極めて高く、温度や湿度、粉塵、腐食性物質等において過酷な環境下で優れたアルミ・樹脂接合面の密着強度及び気密性を保持し、また、耐食性、耐久性、耐熱性に優れているだけでなく、耐候性やアルミ・樹脂接合面の引張強度においても優れた性能を発揮し得るアルミ・樹脂複合品を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、このようにアルミ形状体と樹脂成形体との間の界面の密着強度及び気密性が極めて高く、過酷な環境下でも優れたアルミ・樹脂接合面の密着強度及び気密性を保持し、また、耐食性、耐久性、耐熱性に優れているだけでなく、耐候性やアルミ・樹脂接合面の引張強度においても優れた性能を発揮し得るアルミ・樹脂複合品を製造することができるアルミ・樹脂複合品の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、表面の一部又は全面に凹凸部を有するアルミニウム合金製のアルミ形状体と、このアルミ形状体の一表面に樹脂が突合せ状態に結合された樹脂成形体とを含むアルミ・樹脂複合品であり、前記アルミ形状体の凹凸部が、酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液を用いた前処理後に行う酸濃度0.5重量%以上50重量%以下及びハロゲンイオン濃度1g/L以上200g/L以下のエッチング液を用いた浴温20〜80℃及び浸漬時間1〜30分の処理条件下でのエッチング処理により形成されたていると共に、前記凹凸部の最表面には、イオン交換水、蒸留水、シランカップリング剤、リン酸一水素アンモニウム溶液、リン酸二水素アンモニウム溶液、及びリン酸溶液から選ばれた処理溶液を用いたアルミニウム皮膜形成処理由来のAl(OH)3、AlO(OH)Al(PO4)、Al2(HPO4)3、Al(H2PO4)3、及びAlOSiO2から選ばれたいずれか一種以上のアルミニウム化合物を含むアルミニウム皮膜が形成されていると共にこの凹凸部に起因した複数の凹状部が形成されており、また、前記樹脂成形体には前記複数の凹状部内に前記樹脂が進入して固化した複数の嵌入部が形成されており、前記凹状部と前記嵌入部とによりアルミ形状体と樹脂成形体とが互いに係止されていることを特徴とする耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品である。
また、本発明は、表面の一部又は全面に凹凸部を有するアルミニウム合金製のアルミ形状体と、このアルミ形状体の表面に設けられた樹脂成形体とを含むアルミ・樹脂複合品であり、前記アルミ形状体の凹凸部が、酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液を用いた前処理後に行う酸濃度0.5重量%以上50重量%以下及びハロゲンイオン濃度1g/L以上200g/L以下のエッチング液を用いた浴温20〜80℃及び浸漬時間1〜30分の処理条件下でのエッチング処理により形成されたていると共に、前記凹凸部の最表面には、イオン交換水、蒸留水、シランカップリング剤、リン酸一水素アンモニウム溶液、リン酸二水素アンモニウム溶液、及びリン酸溶液から選ばれた処理溶液を用いたアルミニウム皮膜形成処理由来のAl(OH)3、AlO(OH)Al(PO4)、Al2(HPO4)3、Al(H2PO4)3、及びAlOSiO2から選ばれたいずれか一種以上のアルミニウム化合物を含むアルミニウム皮膜が形成されており、また、前記凹凸部に起因して形成され、アルミ形状体の厚さ方向断面においてこの厚さ方向に直交し、かつ、凹凸部の最高部を通過するトップラインと最深部を通過するボトムラインとの間のハーフラインにおいて、走査型電子顕微鏡観察により測定される開口幅が0.1μm以上30μm以下の大きさであって、深さが0.1μm以上30μm以下の大きさである複数の凹状部が形成されており、また、前記樹脂成形体には前記複数の凹状部内に前記樹脂が進入して固化した複数の嵌入部が形成されており、前記凹状部と前記嵌入部とによりアルミ形状体と樹脂成形体とが互いに係止されていることを特徴とする耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品である。
そして、本発明は、アルミニウム合金製のアルミ形状体と、このアルミ形状体の表面に樹脂成形体を含むアルミ・樹脂複合品の製造方法であって、アルミニウム合金材には、酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液を用いた前処理をした後に、酸濃度0.5重量%以上50重量%以下及びハロゲンイオン濃度1g/L以上200g/L以下のエッチング液を用いた浴温20〜80℃及び浸漬時間1〜30分の処理条件下でのエッチング処理を行うことにより、表面の一部又は全面に凹凸部に起因する複数の凹状部を有するアルミニウム合金材を形成し、次いで得られたエッチング処理後のアルミニウム合金材の少なくとも凹凸部表面に、イオン交換水、蒸留水、シランカップリング剤、リン酸一水素アンモニウム溶液、リン酸二水素アンモニウム溶液、及びリン酸溶液から選ばれた処理溶液を用いたアルミニウム皮膜形成処理を施して前記凹凸部の最表面にAl(OH)3、AlO(OH)Al(PO4)、Al2(HPO4)3、Al(H2PO4)3、及びAlOSiO2から選ばれたいずれか一種以上のアルミニウム化合物を含むアルミニウム皮膜が形成されたアルミ形状体を形成し、また、樹脂成形体の成形時にはアルミ形状体の各凹状部内に樹脂が進入して固化した樹脂成形体の嵌入部を成形し、アルミ形状体の凹状部と樹脂成形体の嵌入部とが互いに係止してアルミ形状体と樹脂成形体とが一体的に結合したアルミ・樹脂複合品を製造することを特徴とする耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品の製造方法である。
〔アルミ・樹脂複合品について〕
本発明において、アルミ形状体を形成するためのアルミニウム合金材としては、具体的には、純Al系の1000系、Al-Cu系の2000系、Al-Mn系の3000系、Al-Si系の4000系、Al-Mg系の5000系、ADC5、及びADC6、Al-Mg-Si系の6000系、Al-Zn-Mg系の7000系、Al-Fe系の8000系、Al-Si-Mg系のADC3、Al-Si-Cu系のADC10、ADC10Z、ADC12、及びADC12Z、Al-Si-Cu-Mg系のADC14等の材質からなる材料を所望の形状に適宜加工して得られる加工材、更にはこれらの加工材を適宜組み合わせて得られる組合せ材等が挙げられる。
また、本発明において、アルミ形状体の表面の凹凸部に起因してこのアルミ形状体の表面に形成される複数の凹状部は、その開口縁部が無端の周縁部であるような穴状又は孔状のもの(無端開口縁部を有する凹状部)であってもよく、また、開口縁部が両端部を有するようなスリット状又は溝状のもの(有端開口縁部を有する凹状部)であってもよく、更には、これら無端開口縁部を有する穴状又は孔状のものと有端開口縁部を有するスリット状又は溝状のものとが混在していてもよい。
そして、アルミ形状体の複数の凹状部については、好ましくはその一部又は全部において、凹状部の開口縁部の一部分又は全体から開口幅方向中心に向けて雪庇状に突き出した突出部が形成されているのがよく、これによって、凹状部はその開口幅がその内部の幅寸法より狭くなり、このような凹状部内に進入して固化した樹脂成形体の嵌入部は凹状部との間で互いに脱離不能な係止構造を形成し、アルミ成形体の凹状部か樹脂成形体の嵌入部のいずれか一方又は双方が破壊されない限り脱離することがなく、アルミ成形体と樹脂成形体との間の密着強度や気密性がより向上する。
更に、このようにアルミ形状体の複数の凹状部においてその一部又は全部の開口縁部に上記の如き雪庇状の突出部が形成されていると、これらの凹状部内には樹脂成形体の嵌入部が必ずしも密着状態で嵌合している必要はなく、例えばアルミ形状体と樹脂成形体との間の線膨張係数の差と環境温度に基づいて、これらアルミ形状体と樹脂成形体との間に不可避的な極微小な隙間が発生したとしても、これらアルミ形状体と樹脂成形体との間には優れた密着強度や気密性が維持される。
更に、本発明においては、上記アルミ形状体の凹凸部の最表面には、アルミニウム皮膜形成処理由来のAl(OH)3、AlO(OH)Al(PO4)、Al2(HPO4)3、Al(H2PO4)3、及びAlOSiO2から選ばれたいずれか一種以上のアルミニウム化合物を含むアルミニウム皮膜が形成され、このアルミニウム皮膜によって、凹凸部に起因して形成される複数の凹状部の最表面において樹脂との化学的な結合力を有する官能基、あるいは微細な凹凸形状を有するベーマイト皮膜が形成されるため、このような特定の表面形状を有する凹状部内に進入して固化した樹脂成形体の嵌入部は、凹状部との間で、強固な物理的な係止構造を形成するだけでなく、互いに脱離不能な化学的結合をも形成し、アルミ成形体の凹状部か樹脂成形体の嵌入部のいずれか一方又は双方が破壊されない限り脱離することがなく、アルミ成形体と樹脂成形体との間の密着強度や気密性がより向上する。
更に、上記特定の表面形状を有すると共に凹凸部(特に、その凹状部)の最表面にアルミニウム皮膜を有するアルミ形状体は、エッチング処理による特定の表面形状を有するだけの場合と比較し、耐食性が著しく向上するほか、耐候性やアルミ・樹脂接合面の引張強度が顕著に向上しているため、このようなアルミ形状体を非常に過酷な環境下に放置し、その後、凹状部内に樹脂を進入させ、固化した場合においても、アルミ形状体と樹脂成形体との間には優れた密着強度や気密性が維持される。
更にまた、上記表面性状を有するアルミ形状体と樹脂成形体とが一体的に結合したアルミ・樹脂複合品についても、エッチング処理のみのアルミ形状体と樹脂成型体とが一体的に結合したアルミ・樹脂複合品と比較し、密着強度、気密性が向上するだけでなく、著しい耐食性を発揮し得るアルミ・樹脂複合品を製造することができる。
本発明において、アルミ形状体の表面の凹凸部に起因して形成される複数の凹状部は、このアルミ形状体の断面を模式的に示す図1を参照して説明すると、アルミ形状体1の厚さ方向断面においてこの厚さ方向に直交し、かつ、凹凸部の最高部を通過するトップライン(TL)と最深部を通過するボトムライン(BL)との間のハーフライン(HL)において、走査型電子顕微鏡観察により測定される開口幅(d)が0.1μm以上30μm以下、好ましくは0.5μm以上20μm以下、より好ましくは1μm以上10μm以下の大きさであって、深さが0.1μm以上30μm以下、好ましくは0.5μm以上20μm以下の大きさであるのがよい。この凹状部の開口幅(d)が0.1μmより狭いと、射出成形時に溶融樹脂が進入し難くなってアルミ形状体1と樹脂成形体2との界面に微小な空隙が発生して優れた密着強度や気密性が得られ難くなり、反対に、30μmより広くしようとすると、アルミ成形体1の表面処理(エッチング処理)時に溶解反応が過剰に進行し、材料表面の欠落あるいは材料の板厚減少量の増大という問題が生じ、材料強度不足の製品が発生して生産性低下の原因になる。また、深さについても、0.1μmより浅いと、十分な樹脂成形体2の嵌入部が得られ難くなり、反対に、30μmより深くしようとすると、アルミ成形体1の表面処理(エッチング処理)時に溶解反応が過剰に進行し、材料表面の欠落あるいは材料の板厚減少量の増大という問題が生じる。
本発明において、アルミ形状体の表面の凹凸部に起因して形成される複数の凹状部の密度については、0.1mm四方当り開口幅0.5μm〜20μm及び深さ0.5μm〜20μmの範囲内の1種又は2種以上の大きさのものが5〜200個程度の範囲で存在するのがよい。
また、本発明のアルミ形状体において、その凹状部に形成される雪庇状の突出部は、好ましくは、アルミ・樹脂一体成形品の厚さ方向断面において、その樹脂成形体側からアルミ形状体側に向けて厚さ方向に延びる多数の観察ラインを互いに0.1μmの間隔で引いた際に、1観察ライン上に樹脂−アルミ−樹脂からなる少なくとも1つ以上の積層部を形成し、かつ、この積層部のアルミ形状体部分の厚さが0.1μm以上30μm以下の範囲であるのがよく、アルミ・樹脂一体成形品にはこのような雪庇状の突出部が1000本の観察ラインの範囲内に1つ以上存在するのがよい。
更にまた、アルミ形状体の複数の凹状部は、その一部又は全部において、内部の壁面に少なくとも1つ以上の内部凹状部が形成された二重凹状部構造を有していてもよく、また、内部の壁面に少なくとも1つ以上の内部突起部が形成された内部凹凸構造を有していてもよく、更に、これら二重凹状部構造や内部凹凸構造が並存していてもよい。アルミ形状体の複数の凹状部の一部又は全部において、このような二重凹状部構造や内部凹凸構造が存在することにより、アルミ形状体の凹状部と樹脂成形体の嵌入部とは互いにより強固に結合し、アルミ形状体と樹脂成形体との間のより優れた密着強度や気密性が発揮される。
本発明において、アルミ形状体の表面の凹凸部の最表面に形成されるアルミニウム皮膜の厚さは、耐候性やアルミ・樹脂接合面の引張強度において優れた性能を発揮するために、0.001μm以上30μm以下の範囲であるのがよく、好ましくは0.003μm以上8μm以下、より好ましくは0.006μm以上5μm以下であるのがよいアルミニウム皮膜の厚さが0.01μm未満であると耐候性の効果を十分に発揮できなくなり、30μmより厚いとアルミ形状体の表面の凹凸部が皮膜で埋没するという問題が生じ、接合面の引張強度や気密性が低下する。
〔アルミ・樹脂複合品の製造方法について〕
本発明において、このようなアルミ・樹脂複合品を製造する際には、先ず、表面に上述した複数の所望の凹状部を有するアルミ形状体を形成するが、その方法としては、例えば、アルミニウム合金材にエッチング処理を施して表面の一部又は全面に凹凸部を形成し、この凹凸部に起因して複数の凹状部を有するアルミ形状体を形成する方法が挙げられる。
そして、このアルミニウム合金材のエッチング処理に用いるエッチング液としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、酢酸、シュウ酸、アスコルビン酸、安息香酸、酪酸、クエン酸、ぎ酸、乳酸、イソブチル酸、リンゴ酸、プロビオン酸、酒石酸等の酸水溶液からなるエッチング液を挙げることができるが、開口幅及び深さが所望の大きさを有する複数の凹状部を形成し、あるいは、凹状部の一部又は全部の開口縁部に開口幅方向中心に向けて突出する雪庇状の突出部を形成する等、表面に形成される凹状部を所望の形状及び大きさに制御するためには、酸水溶液として比較的酸化力の弱い酸水溶液を用い、また、このような比較的酸化力の弱い酸水溶液中に、アルミニウム合金材の表面に形成されている酸化皮膜を溶解するために、ハロゲンイオンを所定の濃度で含むエッチング液を用いることが必要である。
すなわち、エッチング液としては、比較的酸化力の弱い酸水溶液中に、塩素イオン(Cl-)、フッ素イオン(F-)、及びヨウ素イオン(I-)から選ばれたいずれか1種又は2種以上のハロゲンイオンを所定の濃度範囲で含むエッチング液を用いるのがよい。そして、このようなハロゲンイオン含む比較的酸化力の弱い酸水溶液を用い、このエッチング液中にアルミニウム合金材を浸漬すると、先ずエッチング液中のハロゲンイオンがアルミニウム合金材の表面の酸化皮膜を溶解し、その後に内部のアルミニウム合金を溶解して更にアルミニウム合金材内部に浸食していくが、その際に、表面の酸化皮膜よりも内部のアルミニウム合金の方がより浸食され易い(溶解し易い)ので、エッチング液の組成やエッチング処理の条件等を設定することにより、表面に形成される凹凸部に起因する凹状部について、その開口幅や深さ等を所望の大きさに制御したり、あるいは、その一部又は全部の開口縁部に開口幅方向中心に向けて突出する雪庇状の突出部を形成することができる。
この目的で用いられるエッチング液としては、具体的には、酸水溶液として、酸濃度0.1重量%以上80重量%以下、好ましくは0.5重量%以上50重量%以下の塩酸水溶液、リン酸水溶液、希硫酸水溶液、酢酸水溶液等や、酸濃度5重量%以上30重量%以下、好ましくは10重量%以上20重量%以下のシュウ酸水溶液等を挙げることができ、また、これらの酸水溶液中にハロゲンイオン導入のために添加されるハロゲン化物としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の塩化物や、フッ化カルシウム等のフッ化物や、臭化カリウム等の臭化物等を挙げることができ、好ましくは安全性等を考慮して塩化物である。そして、このエッチング液中におけるハロゲンイオン濃度については、通常0.5グラム/リットル(g/L)以上300g/L以下、好ましくは1g/L以上100g/L以下であるのがよく、0.5g/L未満だとハロゲンイオンの効果が小さいため、開口縁部に雪庇状の突出部を有する凹状部が形成されないという問題が生じ、また、300g/Lを超えるような場合はアルミ成形体の表面処理(エッチング処理)時に溶解反応が急激に進行するため,凹状部の制御が困難になるという問題が生じる。
なお、本発明において、アルミ形状体の表面に所望の凹状部を形成するためのエッチング液としては、硝酸や80重量%を超える濃度の濃硫酸等の比較的酸化力の強い酸の水溶液や水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリの水溶液は適当でない。比較的酸化力の強い酸水溶液は、アルミニウム合金に対して皮膜生成能力を有し、かえってアルミ形状体の表面に強固な酸化皮膜を形成し、ハロゲンイオンによる酸化皮膜の溶解が困難になる。また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ水溶液のアルミニウム合金に対する溶解機構は、全面溶解型であって、ハロゲンイオンを添加した場合においてもその傾向は変わらず、所望の形状や大きさを有する凹状部を形成することが困難になる。
本発明において、上記のエッチング液を用いてアルミニウム合金材の表面をエッチング処理する際の処理条件については、使用するエッチング液の種類、酸濃度、ハロゲンイオン濃度等や、アルミ形状体に要求される複数の凹状部の数や大きさ等によっても異なるが、通常、塩酸水溶液の場合には浴温20〜80℃で浸漬時間1〜30分間、リン酸水溶液の場合は浴温30〜80℃で浸漬時間1〜5分間、硫酸水溶液の場合には浴温40〜80℃で浸漬時間2〜8分間、シュウ酸水溶液の場合には浴温50〜80℃で浸漬時間1〜3分間、酢酸水溶液の場合には浴温50〜80℃で浸漬時間1〜3分間の範囲であるのがよい。使用するエッチング液の酸濃度や浴温が高いほどエッチング処理の効果が顕著になり、短時間処理が可能になるが、浴温については、20℃未満では溶解速度が遅くて十分な大きさ(開口幅及び深さ)を有する凹状部の生成に長時間を要し、また、80℃を超える浴温では溶解反応が急激に進行して凹状部の開口幅及び深さの制御が困難になり、浸漬時間については、1分未満では凹状部の開口幅及び深さの制御が難しく、逆に30分を超える浸漬時間では生産性低下の原因となる。
また、本発明において、上記の如くアルミニウム合金材にエッチング処理を施して凹状部を有するアルミ形状体を形成する際に、先ず、このエッチング処理前のアルミニウム合金材の表面に、脱脂や表面調整、表面付着物・汚染物等の除去を目的として、酸水溶液による酸処理、及び/又は、アルカリ溶液によるアルカリ処理からなる前処理を施す
ここで、この前処理に用いる酸水溶液としては、例えば、市販の酸性脱脂剤で調製したもの、硫酸、硝酸、フッ酸、リン酸等の鉱酸や酢酸、クエン酸等の有機酸や、これらの酸を混合して得られた混合酸等の酸試薬を用いて調製したもの等を用いることができ、また、アルカリ水溶液としては、例えば、市販のアルカリ性脱脂剤により調製したもの、苛性ソーダ等のアルカリ試薬により調製したもの、又はこれらのものを混合して調製したもの等を用いることができる。
上記の酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液を用いて行なう前処理の操作方法及び処理条件については、従来、この種の酸水溶液又はアルカリ水溶液を用いて行なわれている前処理の操作方法及び処理条件と同様でよく、例えば、浸漬法、スプレー法等の方法により行うことができる。
このようにしてエッチング処理の終了後、本発明においては、エッチング処理により形成された凹凸部の最表面に、Al(OH)3、AlO(OH)Al(PO4)、Al2(HPO4)3、Al(H2PO4)3、及びAlOSiO2から選ばれたいずれか一種以上のアルミニウム化合物を含むアルミニウム皮膜を形成するためのアルミニウム皮膜形成処理を施す。このアルミニウム皮膜形成処理に用いる処理溶液としては、このようなアルミニウム化合物を含むアルミニウム皮膜を形成することができればよく、特に制限されるものではないが、例えば、イオン交換水、蒸留水、シランカップリング剤、リン酸一水素アンモニウム溶液、リン酸二水素アンモニウム溶液、リン酸溶液などを挙げることができる。
そして、上記のアルミニウム皮膜形成処理を施した後は必要により水洗処理をしてもよく、この水洗処理には工業用水、地下水、水道水、イオン交換水等を用いることができ、製造されるアルミ形状体に応じて適宜選択される。更に、アルミニウム皮膜形成処理が施されたアルミニウム合金材については、必要により、乾燥処理が行われるが、この乾燥処理についても、室温で放置する自然乾燥でよいほか、エアーブロー、ドライヤー、オーブン等を用いて行う強制乾燥でもよい。
このアルミニウム皮膜形成処理の処理条件については、使用する処理溶液によって異なるものであり、具体的には、処理溶液がイオン交換水や蒸留水の場合には50℃以上の温水に60秒以上の浸漬処理をするか、あるいは0.1MPa以上の加圧下で1分間以上の水蒸気処理をするのがよく、処理溶液がリン酸イオン、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれか一種以上のリン酸イオン種を0.1〜100g/Lの割合で含有するリン酸水溶液系の場合には処理溶液中に30秒〜30分間浸漬後、80〜400℃の熱風で30秒〜30分間乾燥させるのがよく、また、処理溶液がシランカップリング剤を0.1〜100g/Lの割合で含有する溶液の場合には処理溶液中に30秒〜30分間浸漬後、80℃〜400℃の熱風で30秒〜30分間乾燥させるのがよい。
上記のエッチング処理及びアルミニウム皮膜形成処理により、又は前処理、エッチング処理、及びアルミニウム皮膜形成処理により得られたアルミ形状体の表面には、エッチング処理により凹凸部が形成され、その表面の60度表面光沢度(スガ試験機社製ハンディ光沢計での測定)は好ましくは60以下である。この表面光沢度が60を超えている場合は、熱可塑性樹脂の射出成形の際に溶融した樹脂がアルミ形状体の凹状部内に十分に入り込まず、アルミ形状体と樹脂成形体との間の十分な接合強度が得られない。
また、上記のエッチング処理及びアルミニウム皮膜形成処理により、又は前処理、エッチング処理、及びアルミニウム皮膜形成処理により得られたアルミ形状体の表面をSEMあるいは光学顕微鏡により倍率1000倍で断面観察を行い、得られた断面観察写真について、好ましくはアルミ形状体の表面積が、エッチング処理により凹凸部を形成する前のアルミニウム合金材の表面積の1.2倍以上10倍以下であるのがよい。この表面積増加率が1.2倍未満、又は10倍を超えている場合は、樹脂がアルミ形状体の凹状部内に十分に入り込まず、アルミ形状体と樹脂成形体との間の十分な接合強度が得られない。
次に、本発明のアルミ・樹脂複合品を得るには、以上のようにして得られたアルミ形状体の表面に接着剤を塗布後、金属あるいは樹脂を接合させる、あるいは得られたアルミ形状体と金属の間に樹脂を介在させ、これらをホットプレス機により熱と圧力を加えることで接合させる、あるいは得られたアルミ形状体を射出成形用金型内にセットし、この金型内に溶融した所定の熱可塑性樹脂を射出して固化させる、いわゆるアルミ形状体を用いた樹脂の複合化により、目的のアルミ形状体と樹脂との複合品を製造する。
ここで、本発明のアルミ・樹脂複合品を製造するための樹脂については、各種の熱可塑性樹脂を単独で用いることができるが、本発明のアルミ・樹脂複合品に求められる物性、用途、使用環境等を考慮すると、熱可塑性樹脂としては、好ましくは、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等のポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、液晶性樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリイミド樹脂、シンジオタクティックポリスチレン樹脂等やこれらの熱可塑性樹脂の2種以上の混合物が挙げられ、また、アルミ形状体と樹脂成形体との間の密着性、機械的強度、耐熱性、寸法安定性(耐変形、反り等)、電気的性質等の性能をより改善するために、より好ましくは、これらの熱可塑性樹脂に繊維状、粉粒状、板状等の充填剤や、各種のエラストマー成分を添加するのがよい。
また、熱可塑性樹脂に添加される充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、アスベスト繊維、硼素繊維等の無機質繊維充填剤や、ポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の高融点有機質繊維充填剤や、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、炭酸カルシウムを始めとする無機粉体類等の粉状充填剤や、ガラスフレーク、タルクやマイカ等の珪酸塩類等の板状充填剤等が例示され、熱可塑性樹脂100重量部に対して250重量部以下、好ましくは20重量部以上220重量部以下、より好ましくは30重量部以上100重量部以下の範囲で添加される。この充填剤の添加量が250重量部を超えると、流動性が低下しアルミ形状体の凹部へ進入し難くなり良好な密着強度を得られず、機械的特性の低下を招くという問題が生じる。
また、熱可塑性樹脂に添加されるエラストマー成分としては、ウレタン系、コアシェル型、オレフィン系、ポリエステル系、アミド系、スチレン系等のエラストマーが例示され、射出成形時の熱可塑性樹脂の溶融温度等を考慮して選択され、また、熱可塑性樹脂100重量部に対して30重量部以下、好ましくは3〜25重量部の範囲で使用される。このエラストマー成分の添加量が30重量部を超えると、更なる密着強度向上効果が見られず機械的特性の低下等の問題が生じる。このエラストマー成分の配合効果は、熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂を用いた場合に特に顕著に現れる。
更に、本発明のアルミ・樹脂複合品を製造するための熱可塑性樹脂には、一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の添加剤、すなわち難燃剤、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、可塑剤、潤滑剤、滑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤等を、要求される性能に応じて適宜添加することができる。
本発明において、アルミ形状体を射出成形用金型内にセットして行う熱可塑性樹脂の射出成形については、用いられる熱可塑性樹脂に求められる通常の成形条件を採用し得るものであるが、射出成形時に溶融した熱可塑性樹脂がアルミ形状体の凹状部内に確実に進入して固化することが重要であり、金型温度やシリンダー温度を熱可塑性樹脂の種類や物性、更には成形サイクルの許す範囲で比較的高めに設定するのが好ましく、特に金型温度については、下限温度を90℃以上、好ましくは130℃以上にする必要があるが、上限は、使用する熱可塑性樹脂の種類に応じて、100℃から当該熱可塑性樹脂の融点又は軟化点(エラストマー成分が添加される場合にはどちらか高い方の融点又は軟化点)より20℃程度低い温度までの範囲であるのがよい。また、下限金型温度は、熱可塑性樹脂の融点から140℃以上低くならないように設定するのが好ましい。
更に、本発明のアルミ・樹脂複合品を製造するための樹脂については、上記の熱可塑性樹脂以外に、熱硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、各種接着剤等を用いてもよい。熱硬化性樹脂としてはエポキシ系樹脂等が挙げられ、また、常温硬化性樹脂としてはポリエステル系樹脂等が挙げられる。さらに、接着剤としてはニトリルゴム系、合成ゴム系、エポキシ系、シアノアクリル系、塩化ビニール系、プラスチック系、ホットメルト系などが挙げられる。
本発明のアルミ・樹脂複合品は、アルミ形状体と樹脂成形体との間の界面(アルミ/樹脂界面)の密着強度や気密性がエッチング処理のみ場合と比較してより高く、かつ過酷な腐食環境に曝されてもその優れた密着強度、気密性及び耐食性を保持することができ、かつ、アルミの腐食による外観の変化も長期間保持することが可能であり、長期に亘って高い信頼性を維持し得るものである。従って、本発明のアルミ・樹脂複合品は、例えば、自動車用の各種センサー部品、家電機器用各種スイッチ部品、各種産業機器用コンデンサー部品等を始めとして、幅広い分野における金属−樹脂一体成形部品に好適に使用することができ、特にアルミ形状体の一部の表面から樹脂成形体が突合せ状態に突出して高い結合強度が要求される金属−樹脂一体成形部品に好適に使用される。
また、本発明のアルミ・樹脂複合品の製造方法によれば、製造時にアルミ成形体の表面光沢度あるいは表面粗さを測定することにより、得られた製品の密着強度を予想することができ、その製造時の品質管理が容易になるほか、製品毎に密着強度のバラツキがほとんどない信頼性の高い製品を製造することが可能になる。
図1は、実施例1に係るアルミ形状体の厚さ方向断面を模写し、凹状部を説明するための断面模写図である。
図2は、図1から観念される凹状部の形状の典型例を示す断面説明図である。
図3は、アルミ試験片(アルミ形状体)を用いてposiTEST試験用に調製したアルミ・接着剤・アルミ試験片(評価用試験体)正面図及び側面図である。
図4は、アルミ試験片(アルミ形状体)を用いてposiTEST試験用に調製したアルミ・樹脂・アルミ試験片(評価用試験体)正面図及び側面図である。
図5は、アルミ試験片(アルミ形状体)を用いてposiTEST試験用に調製したアルミ・樹脂試験片(評価用試験体)正面図及び側面図である。
図6は、posiTEST試験の際に評価用試験体をposiTEST試験装置のアクチュエーター部にセットした状態を示す断面説明図である。
図7は、評価用試験体における樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価の方法を説明するための断面説明図である。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。尚、本発明は以下に記載の例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
〔アルミ形状体の調製〕
厚さ1mmのアルミニウム合金(JISA 1050-H24)板から50mm×50mmの大きさを有する3個のアルミ片(アルミニウム合金材)を切り出し、これらのアルミ片について、先ず30wt%硝酸水溶液に常温で5分間浸漬した後にイオン交換水で十分に水洗し、次いで5wt%水酸化ナトリウム溶液に50℃で1分間浸漬した後に水洗し、更に、30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に水洗する前処理を施した。
次に、上記前処理後のアルミ片について、2.5wt%塩酸水溶液中に水溶性無機ハロゲン化合物として54g/Lの塩化アルミニウム六水和物(AlCl3・6H2O)を添加して調製したエッチング液(塩素イオン濃度:48g/L)を用い、このエッチング液中に66℃で4分間浸漬した後に水洗する方法でエッチング処理を施した。
更に引き続いて、30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に水洗し、80℃の熱水中に20分間浸漬させる水和処理を施すことにより、上記エッチング処理により形成されたアルミ片表面の凹凸部の最表面にアルミニウム皮膜〔AlO(OH)〕を形成するアルミニウム皮膜形成処理を施し、3個のアルミ試験片(アルミ形状体)を作製した。
〔アルミ試験片(アルミ形状体)の表面の凹状部観察〕
得られた各アルミ試験片について、その厚さ方向断面のうちのある領域の断面を、走査型電子顕微鏡(日立製FE-SEM、S-4500形)を用いて観察し、先ず、アルミ形状体の厚さ方向断面においてこの厚さ方向に直交し、かつ、凹凸部の最高部を通過するトップライン(TL)を決め、次に上記と概ね同様に、アルミ形状体の厚さ方向に直交し、かつ、凹凸部の最深部を通過するボトムラインを決定し、更に、トップライン(TL)からボトムライン(BL)に対して垂直方向に線分を引き、この線分の中間部を通過し、かつ、トップライン(TL)〔あるいはボトムライン(BL)〕と平行に引かれたハーフライン(HL)上のアルミ形状体とアルミ形状体との間に存在する空隙間の距離を凹状部の開口幅(d)とし、アルミ試験片の表面の凹凸部に起因して形成された凹状部の形状と大きさ(開口幅及び深さ)を観察し、また、測定した。
観察された各アルミ試験片(アルミ形状体)のある領域の断面には、例えば図1のアルミ形状体の断面模写図に示す通りであり、また、この図1から観念される凹状部3の形状の典型例は、図2に示すように、開口縁部の一部分から開口幅方向中心に向けて雪庇状に突き出した突出部を有する凹状部(形状a:図2(a)参照)、開口縁部の全体から開口幅方向中心に向けて雪庇状に突き出した突出部を有する凹状部(形状b:図2(b)参照)、内部に更に凹状部が形成された二重凹状部構造を有する凹状部(形状c:図2(c)参照)、及び内部の壁面に内部突起部が形成された内部凹凸構造を有する凹状部(形状d:図2(d)参照)であり、この実施例1においては全ての形状a〜dの凹状部が観察された。また、このような凹状部3の形状については、各アルミ試験片について同様であり、また、各アルミ試験片における観察場所を変えても同様であった。
ここで、観察された凹状部の形状の評価については、上記形状a〜dのいずれか1つ又は2つ以上を有する場合を良好(○)とし、また、形状a〜dのいずれも存在しない場合を不良(×)とした。なお、以下に示す実施例2〜18及び比較例1〜3において観察された凹状部の形状についても、同様の基準で評価した。
また、測定された各アルミ試験片のある領域の断面において観察された凹状部の大きさ(開口幅及び深さ)並びにその割合は、0.1mm四方当たり開口幅0.1μm〜1μmの凹状部が10個〜100個,開口幅が1μm〜10μmの凹状部が1〜10個,開口幅が11μm〜30μmの凹状部が1〜3個であり、深さは0.1μm〜30μmの範囲内であった。また、二重凹状部構造を形成する内部の凹状部の大きさ(開口幅及び深さ)並びにその割合についても、上記と概ね同様に、0.1mm四方当たり開口幅0.1μm〜1μmの凹状部が10個〜50個,開口幅が1μm〜10μmの凹状部が1〜50個,開口幅が11μm〜30μmの凹状部が1〜2個であり、深さは0.1μm〜20μmの範囲内であった。この凹状部の大きさについても、各アルミ試験片について同様であり、また、各アルミ試験片における観察場所を変えてもほとんど変わりがなかった。
ここで、観察された凹状部の大きさの評価については、開口幅0.1〜30μm及び深さ0.1〜30μmの範囲内である場合を良好(○)とし、そうでない場合を不良(×)とした。なお、以下に示す実施例2〜18及び比較例1〜3において観察された凹状部の大きさについても、同様の基準で評価した。
〔アルミ試験片(アルミ形状体)の表面光沢度の評価〕
得られた3個のアルミ試験片について、それぞれハンディ光沢計(スガ試験機社製)を用いて表面の60度光沢度を測定し、測定された3つの値の平均値を算出してアルミ試験片の60度光沢度とした。結果は、26であった。
〔アルミ試験片(アルミ形状体)の表面積増加率による評価〕
得られた3個のアルミ試験片について、それぞれSEMあるいは光学顕微鏡により倍率1000倍で断面観察を行い、得られた断面観察写真について画像処理ソフト(ImageJ)を用いアルミ形状体の表面の表面積を測定した。未処理のアルミニウム合金材に対して得られた各アルミ試験片表面の表面積が増加した割合をそれぞれ求め、得られた3つ値の平均値を算出して表面積増加率と定義した。結果は、3.48倍であった。
〔アルミ試験片(アルミ形状体)の最表面の平均皮膜厚さの測定〕
得られた3個のアルミ試験片について、それぞれTEM(FEI製 TECNAI G2 F20 S-TWIN)により倍率10万倍〜30万倍で断面観察を行い、得られた断面観察写真よりアルミ試験片表面に形成された皮膜の厚さを測定し、測定された3つの値の平均値を算出して平均皮膜厚さとした。結果は、0.3μmであった。
〔評価用試験体のposiTEST試験、耐候性試験(塩水噴霧試験)、及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価について〕
1.評価用試験体の調製
(1) 試験体調製用ドリーの調製
アルミニウム製のposiTEST試験用ドリー(デフェルスコ社製;サイズ:20mmφ,JISA 1100)について、上記のアルミ試験片(アルミ形状体)の場合と同様に、前処理、エッチング処理及びアルミニウム皮膜形成処理を施し、以下のposiTEST試験及び耐候性試験(塩水噴霧試験)で用いる評価用試験体を作成するための試験体調製用ドリーを作製した。
(2) 評価用試験体〔接着剤による樹脂(接着剤)の接合〕の調製
図3に示すように、上で得られたアルミ試験片(アルミ形状体)1と試験体調製用ドリー5とを二液混合型のエポキシ系急速硬化接着剤(ハンツマン・アドバンテスト・マテリアルズ社製商品名:アラルダイトラピッド)4を介して接合した後、ホットプレス機(アズワン製AH-2003)を用いて押し圧力0.1MPaで常温加圧し、そのまま24時間保持して圧着させ、次いで、アルミ試験片1とドリー5との間の接合面よりはみ出した余分な接着剤4を、接着剤固化後に、カッターを用いて接合面より分離し、接合面が3.14cm2になるように調整し、アルミ・接着剤・アルミ試験片(評価用試験体)を作製した。
(3) 評価用試験体(加熱圧着による樹脂の接合)の調製
図4に示すように、上で得られたアルミ試験片(アルミ形状体)1上にポリフェニレンスルファイド樹脂(東レ製)のペレット(樹脂)6を0.04g/cm2となるように載せ、その上に試験体調製用ドリー5をセットし、ホットプレス機(アズワン製AH-2003)を用いて押し圧力0.1MPa、プレート温度300℃で熱圧着させ、樹脂が3.14cm2の接合面積で固着するアルミ・樹脂・アルミ試験片(評価用試験体)を作製した。
(4) 評価用試験体(射出成形による樹脂の接合)の調製
図5に示すように、上で得られたアルミ試験片(アルミ形状体)1を図示外の射出成形機(NISSEI社製ST10R2V)の金型内にセットし、熱可塑性樹脂としてポリフェニレンスルフィド樹脂(東レ製)を用い、射出時間5秒、射出速度80mm/秒、保圧力100MPa、成形温度320℃、及び金型温度160℃の成形条件で射出成形し、アルミ試験片1の上面に樹脂製ドリー7を一体成形し、アルミ試験片1の上面に対する樹脂製ドリー7の接合面積が3.14cm2であるアルミ・樹脂試験片(評価用試験体)を作製した。
2.耐候性試験(塩水噴霧試験;SST 1000hr)
上で調製した3種の評価用試験体、アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片について、各々の評価用試験体を塩水噴霧試験機(スガ試験機製CASSER-23L-ISO)に導入し、1000時間経過後に試験機から評価用試験体を取り出し、外観観察を行った。この外観観察において、接合部を除く部位の試験片側の表面の白サビ発生数を評価したところ、結果は、いずれの評価用試験体においても、零(0)であった。また、表面における変色の様子を○:変化なし、△:わずかに変化あり、×:著しく変化ありの三段階で評価したところ、結果は、いずれの評価用試験体においても、外観の評価は○であった。
3.posiTEST試験機による接合面の引張強度評価
上記耐候性試験後の各々の評価用試験体についてposiTEST試験機(デフェルスコ社製)を用い、ASTM D4541 (ISO 4624)試験法に準拠してアルミ・樹脂接合面の引張強度(ドリーサイズ:20mmφ、分解能:±0.01MPa、精度:±1%、及び測定範囲:0〜20 MPa)を測定した。このposiTEST試験においては、図6に示すように、posiTEST試験機のアクチュエーター8に、ドリー固定用冶具9を介して、評価用試験体のドリー5(又は7)部分を連結させた後、ポンプで圧力をかけてドリー5(又は7)部分がアルミ試験片(アルミ形状体)1から引き剥れるまでの荷重(剥離荷重)を測定し、また、引き剥れ後のアルミ試験片1の接合部の剥離状態を調べた。
評価用試験体の剥離荷重は、アルミ・接着剤・アルミ試験片の場合に6.3MPAであり、アルミ・樹脂・アルミ試験片の場合に5.7MPAであり、また、アルミ・樹脂試験片の場合に5.5MPAであった。また、観察された剥離状態について、アルミ試験片の接合面に接着剤あるいは樹脂が全面に渡って残存する場合を良好(○)とし、また、アルミ試験片側に一部だけ残る場合を一部良好(△)、アルミ試験片側に残存しない場合(界面剥離)の場合を不良(×)として評価したところいずれも良好(○)であった。
4.樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価
また、図7に示すように、上で調製した3種の評価用試験体、アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片について、それぞれそのアルミ試験片からその上に積層された樹脂(接着剤)に向けて厚さ方向に切断し、この厚さ方向断面をSEMあるいは光学顕微鏡により倍率1000倍で観察し、得られた断面観察写真について、樹脂成形体2側からアルミ形状体1側に向けて厚さ方向に延びる多数の観察ライン(OL)を互いに0.1μmの間隔で引いた際に、1観察ライン(OL)上に樹脂(接着剤)−アルミ−樹脂(接着剤)からなる少なくとも1つ以上の積層部が存在し、かつ、この積層部のアルミ形状体部分の厚さが0.1μm以上30μm以下の範囲であって、1000本の観察ライン(OL)の範囲内に1つ以上の割合で存在する場合を良好(○)とし、このような積層部が1000本の観察ライン(OL)の範囲内に1つも存在しないものを不良(×)として評価したところ、結果はいずれの場合も良好(○)であった。なお、以下の実施例2〜18及び比較例1〜3についても同様の基準で評価した。
〔実施例2〜5〕
アルミニウム皮膜形成処理として、実施例1の80℃20分間の熱水浸漬による水和処理に代えて、下記の表1に示す処理液を用い下記の表1に示す処理条件で、アルミ試験片(アルミ成形体)及び試験体調製用ドリーを調製した以外は、上記実施例1と同様にして評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片)を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、耐候性試験(塩水噴霧試験)、posiTEST試験、及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表2に示す。
Figure 0005581680
〔実施例6〕
アルミ片を作製するアルミニウム合金板としてJIS A5052-H34を用いた以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ試験片(アルミ形状体)を作製すると共にドリーを作製した。次いで上記実施例1と同様にして評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片)を作製し、また、上記実施例1の場合と同様に、耐候性試験(塩水噴霧試験)、posiTEST試験、及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表2に示す。
〔実施例7〕
アルミ片を作製するアルミニウム合金板としてJIS A3003-H24を用いた以外は、上記実施例1と同様にしてアルミ試験片(アルミ形状体)を作製すると共にドリーを作製した。次いで上記実施例1と同様にして評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片)を作製し、また、上記実施例1の場合と同様に、耐候性試験(塩水噴霧試験)、posiTEST試験、及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表2に示す。
〔実施例8〕
上記実施例1と同様にしてアルミ試験片を作製すると共にドリーを作製し、次いで上記実施例1と同様にして評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片)を作製し、耐候性試験(塩水噴霧試験)を実施することなく上記実施例1の場合と同様にしてposiTEST試験を実施し、更に、樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表2に示す。
上記の実施例1の試験結果とこの実施例8の試験結果とを比較して検討すると、本発明のアルミ・樹脂複合品は、耐候性試験の如き条件に晒された後であっても、かかる条件に晒される前と同様に、優れたアルミ・樹脂接合面の引張強度を維持することが判明した。
〔実施例9〕
上記実施例1と同様にして、アルミ試験片(アルミ形状体)を作製し、また、ドリーを作製した。次に、作製されたアルミ試験片について、耐候性試験(塩水噴霧試験)を実施し、その後、水洗した後に100℃の熱風で5分間乾燥させ、引き続いて実施例1と同様にして評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、アルミ・樹脂試験片)を作製した。
このようにして作製された評価用試験体について、上記実施例1の場合と同様にposiTEST試験を実施して評価し、併せて上記耐候性試験[(塩水噴霧試験)]の結果を評価すると共に、上記実施例1と同様に、樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、実施例1の結果と共に、表2に示す。
この実施例9の試験結果と上記実施例1の各試験結果とを比較して検討すると、本発明においてエッチング処理後にアルミニウム皮膜処理されたアルミ形状体(アルミ試験片)は、それ自体が優れた耐候性を示し、アルミ・樹脂複合品に加工される前に長時間過酷な環境下に晒されても依然として優れたアルミ・樹脂接合面の引張強度が得られ、その取扱性に優れていることが判明した。
〔実施例10〕
実施例1と同様にして前処理とエッチング処理とを行い、更に30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に水洗し、次いで100℃の熱水中に1分間浸漬させる水和処理を施すことによりアルミニウム皮膜形成処理を実施し、上記実施例1と同様にしてアルミ試験片(アルミ形状体)を作製すると共に、実施例1の場合と同様にしてドリーを作製した。
次いで、得られたアルミ試験片とドリーを用い、上記実施例1と同様にして評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片)を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、耐候性試験(塩水噴霧試験)、及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に引き続いて表3に示す。
実施例11
実施例1と同様にして前処理とエッチング処理とを行い、更に30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に水洗し、次いで、0.5MPaの加圧下で20分間の水蒸気処理(アルミニウム皮膜形成処理)をすることにより、緻密なAlO(OH)のアルミニウム皮膜を形成し、アルミ試験片(アルミ形状体)を作製すると共に、同様にしてドリーを作製した。
次に、得られたアルミ試験片とドリーを用い、上記実施例1と同様にして評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片)を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、耐候性試験(塩水噴霧試験)、及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に引き続いて表3に示す。
実施例12
熱可塑性樹脂として、ポリブチレンテレフタラート樹脂(東レ製)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、アルミ試験片とドリーを作製し、また、アルミ・樹脂試験片(評価用試験体)を作製し、得られた評価用試験体について塩水噴霧試験を実施することなくposiTEST試験及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に引き続いて表3に示す。
実施例13
実施例1と同様にして前処理を行った後に、50wt%リン酸水溶液中に50g/Lの塩化ナトリウムを添加して調製したエッチング液(塩素イオン濃度:30g/L)を用いて、66℃、4分間の条件でこのエッチング液に浸漬するエッチング処理を行い、更に水洗してから30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に再び水洗し、次いで100℃の熱水中に1分間浸漬させる水和処理(アルミニウム皮膜形成処理)を実施し、上記実施例1と同様にしてアルミ試験片(アルミ形状体)を作製すると共に、実施例1の場合と同様にしてドリーを作製した。
次いで、得られたアルミ試験片とドリーを用い、上記実施例1と同様にして評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片)を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、耐候性試験(塩水噴霧試験)、及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に引き続いて表3に示す。
実施例14
実施例1と同様にして前処理をした後に、10wt%硫酸水溶液中に50g/Lの塩化ナトリウムを添加して調製したエッチング液(塩素イオン濃度:30g/L)を用い、66℃、4分間の条件でこのエッチング液に浸漬するエッチング処理を行い、更に水洗してから30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に水洗し、次いで100℃の熱水中に1分間浸漬させる水和処理(アルミニウム皮膜形成処理)を実施し、上記実施例1と同様にしてアルミ試験片(アルミ形状体)を作製すると共に、実施例1の場合と同様にしてドリーを作製した。
次いで、得られたアルミ試験片とドリーを用い、上記実施例1と同様にして評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片)を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、耐候性試験(塩水噴霧試験)、及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に引き続いて表3に示す。
実施例15
実施例1と同様にして前処理をした後に、30wt%シュウ酸水溶液中に50g/Lの塩化ナトリウムを添加して調製したエッチング液(塩素イオン濃度:30g/L)を用い、66℃、4分間の条件でこのエッチング液に浸漬するエッチング処理を行い、更に水洗してから30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に水洗し、次いで100℃の熱水中に1分間浸漬させる水和処理(アルミニウム皮膜形成処理)を実施し、上記実施例1と同様にしてアルミ試験片(アルミ形状体)を作製すると共に、実施例1の場合と同様にしてドリーを作製した。
次いで、得られたアルミ試験片とドリーを用い、上記実施例1と同様にして評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片)を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、耐候性試験(塩水噴霧試験)、及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に引き続いて表3に示す。
実施例16
実施例1と同様にして前処理をした後に、2.5wt%塩酸水溶液中に50g/Lの塩化ナトリウム(NaCl)を添加して調製したエッチング液(塩素イオン濃度:54g/L)を用い、66℃、4分間の条件でこのエッチング液に浸漬するエッチング処理を行い、更に水洗してから30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に水洗し、次いで100℃の熱水中に1分間浸漬させる水和処理(アルミニウム皮膜形成処理)を実施し、上記実施例1と同様にしてアルミ試験片(アルミ形状体)を作製すると共に、実施例1の場合と同様にしてドリーを作製した。
次いで、得られたアルミ試験片とドリーを用い、上記実施例1と同様にして評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片)を調製し、また、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験、耐候性試験(塩水噴霧試験)、及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表2に引き続いて表3に示す。
Figure 0005581680
Figure 0005581680
〔比較例1〕
実施例1と同様にして前処理をした後、エッチング処理を行うことなく、実施例1と同様の水和処理によるアルミニウム皮膜形成処理を実施し、アルミ試験片(アルミ形状体)を作製すると共に、実施例1と同様にしてドリーを作製した。
次いで、上記実施例1と同様にして、評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、アルミ・樹脂試験片)を作製し、得られた評価用試験体についてposiTEST試験及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、表4に示す。
〔比較例2〕
実施例1と同様にして前処理とエッチング処理とをした後に、30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に水洗し、次いでアルミニウム皮膜形成処理を行うことなく、100℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ試験片(アルミ形状体)を作製すると共に、実施例1と同様にしてドリーを作製した。
次いで、上記実施例1と同様にして、評価用試験体(アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、及びアルミ・樹脂試験片)を作製し、また、上記実施例1の場合と同様に、耐候性試験(塩水噴霧試験)、posiTEST試験、及び樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、比較例1の結果と共に、表4に示す。
〔比較例3〕
実施例1の前処理をした後に、2.5wt%塩酸水溶液に66℃で4分間浸漬して水洗し、更に、30wt%硝酸水溶液に常温で3分間浸漬した後に水洗し、100℃の熱風で5分間乾燥後、塩水噴霧試験機に導入し、1000時間経過後に試験機から試験片を取り出し、水洗後、100℃の熱風で5分間乾燥させ、アルミ試験片(アルミ形状体)を作製した。また、実施例1と同様にしてドリーを作製し、アルミ・接着剤・アルミ試験片、アルミ・樹脂・アルミ試験片、アルミ・樹脂試験片(評価用試験体)をそれぞれ作製した。このようにして作製された評価用試験体について、上記実施例1の場合と同様に、posiTEST試験を実施して評価し、併せて上記耐候性試験(塩水噴霧試験)の結果を評価すると共に、上記実施例1と同様に、樹脂・アルミ・樹脂の積層部の観察評価を実施した。
結果を、比較例1の結果と共に、表4に示す。
Figure 0005581680
1…アルミ形状体(アルミ試験片)、TL…トップライン、BL…ボトムライン、HL…ハーフライン、d…開口幅、OL…観察ライン、2…樹脂成形体、3…凹状部、4…接着剤、5,7…ドリー、8…アクチュエーター、9…ドリー固定用冶具。

Claims (10)

  1. 表面の一部又は全面に凹凸部を有するアルミニウム合金製のアルミ形状体と、このアルミ形状体の一表面に樹脂が突合せ状態に結合された樹脂成形体とを含むアルミ・樹脂複合品であり、
    前記アルミ形状体の凹凸部が、酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液を用いた前処理後に行う酸濃度0.5重量%以上50重量%以下及びハロゲンイオン濃度1g/L以上200g/L以下のエッチング液を用いた浴温20〜80℃及び浸漬時間1〜30分の処理条件下でのエッチング処理により形成されたていると共に、前記凹凸部の最表面には、イオン交換水、蒸留水、シランカップリング剤、リン酸一水素アンモニウム溶液、リン酸二水素アンモニウム溶液、及びリン酸溶液から選ばれた処理溶液を用いたアルミニウム皮膜形成処理由来のAl(OH)3、AlO(OH)Al(PO4)、Al2(HPO4)3、Al(H2PO4)3、及びAlOSiO2から選ばれたいずれか一種以上のアルミニウム化合物を含むアルミニウム皮膜が形成されていると共にこの凹凸部に起因した複数の凹状部が形成されており、
    また、前記樹脂成形体には前記複数の凹状部内に前記樹脂が進入して固化した複数の嵌入部が形成されており、
    前記凹状部と前記嵌入部とによりアルミ形状体と樹脂成形体とが互いに係止されていることを特徴とする耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品。
  2. 表面の一部又は全面に凹凸部を有するアルミニウム合金製のアルミ形状体と、このアルミ形状体の表面に設けられた樹脂成形体とを含むアルミ・樹脂複合品であり、
    前記アルミ形状体の凹凸部が、酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液を用いた前処理後に行う酸濃度0.5重量%以上50重量%以下及びハロゲンイオン濃度1g/L以上200g/L以下のエッチング液を用いた浴温20〜80℃及び浸漬時間1〜30分の処理条件下でのエッチング処理により形成されたていると共に、前記凹凸部の最表面には、イオン交換水、蒸留水、シランカップリング剤、リン酸一水素アンモニウム溶液、リン酸二水素アンモニウム溶液、及びリン酸溶液から選ばれた処理溶液を用いたアルミニウム皮膜形成処理由来のAl(OH)3、AlO(OH)Al(PO4)、Al2(HPO4)3、Al(H2PO4)3、及びAlOSiO2から選ばれたいずれか一種以上のアルミニウム化合物を含むアルミニウム皮膜が形成されており、また、前記凹凸部に起因して形成され、アルミ形状体の厚さ方向断面においてこの厚さ方向に直交し、かつ、凹凸部の最高部を通過するトップラインと最深部を通過するボトムラインとの間のハーフラインにおいて、走査型電子顕微鏡観察により測定される開口幅が0.1μm以上30μm以下の大きさであって、深さが0.1μm以上30μm以下の大きさである複数の凹状部が形成されており、
    また、前記樹脂成形体には前記複数の凹状部内に前記樹脂が進入して固化した複数の嵌入部が形成されており、
    前記凹状部と前記嵌入部とによりアルミ形状体と樹脂成形体とが互いに係止されていることを特徴とする耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品。
  3. 前記アルミ形状体には、その複数の凹状部のうちの一部又は全部において、凹状部の開口縁部の一部分又は全体から開口幅方向中心に向けて雪庇状に突き出した突出部が形成されており、この突出部によりアルミ成形体の凹状部と樹脂成形体の嵌入部とが互いに脱離不能な係止構造を形成している請求項1又は2に記載の耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品。
  4. アルミ・樹脂一体成形品の厚さ方向断面において、その樹脂成形体側からアルミ形状体側に向けて厚さ方向に延びる多数の観察ラインを互いに0.1μmの間隔で引いた際に、雪庇状の突出部は、1観察ライン上に少なくとも1つ以上の樹脂−アルミ−樹脂からなる積層部が存在し、かつ、この積層部のアルミ形状体部分の厚さが0.1μm以上30μm以下の範囲であって、この雪庇状の突出部が1000本の観察ラインの範囲内に1つ以上存在することを特徴とする請求項3に記載の耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品。
  5. アルミ形状体の複数の凹状部は、その一部又は全部において、内部の壁面に少なくとも1つ以上の内部凹状部が形成された二重凹状部構造を有している請求項1〜4のいずれかに記載の耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品。
  6. アルミ形状体の複数の凹状部は、その一部又は全部において、内部の壁面に少なくとも1つ以上の内部突起部が形成された内部凹凸構造を有している請求項1〜4のいずれかに記載の耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品。
  7. アルミ形状体の60度鏡面光沢度が60以下である請求項1〜6いずれかに記載の耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品。
  8. アルミ形状体の表面積が、凹凸部を形成する前のアルミニウム合金材の表面積の1.2倍以上10倍以下である請求項1〜7いずれかに記載の耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品。
  9. アルミニウム合金製のアルミ形状体と、このアルミ形状体の表面に樹脂成形体を含むアルミ・樹脂複合品の製造方法であって、
    アルミニウム合金材には、酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液を用いた前処理をした後に、酸濃度0.5重量%以上50重量%以下及びハロゲンイオン濃度1g/L以上200g/L以下のエッチング液を用いた浴温20〜80℃及び浸漬時間1〜30分の処理条件下でのエッチング処理を行うことにより、表面の一部又は全面に凹凸部に起因する複数の凹状部を有するアルミニウム合金材を形成し、
    次いで得られたエッチング処理後のアルミニウム合金材の少なくとも凹凸部表面に、イオン交換水、蒸留水、シランカップリング剤、リン酸一水素アンモニウム溶液、リン酸二水素アンモニウム溶液、及びリン酸溶液から選ばれた処理溶液を用いたアルミニウム皮膜形成処理を施して前記凹凸部の最表面にAl(OH)3、AlO(OH)Al(PO4)、Al2(HPO4)3、Al(H2PO4)3、及びAlOSiO2から選ばれたいずれか一種以上のアルミニウム化合物を含むアルミニウム皮膜が形成されたアルミ形状体を形成し、
    また、樹脂成形体の成形時にはアルミ形状体の各凹状部内に樹脂が進入して固化した樹脂成形体の嵌入部を成形し、
    アルミ形状体の凹状部と樹脂成形体の嵌入部とが互いに係止してアルミ形状体と樹脂成形体とが一体的に結合したアルミ・樹脂複合品を製造することを特徴とする耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品の製造方法。
  10. アルミ形状体のアルミニウム皮膜は、50℃以上の温水に60秒以上浸漬すること、0.1MPa以上の加圧下で1分間以上の水蒸気処理をすること、リン酸イオン、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオンのいずれか一種以上のリン酸イオン種を含有する0.1〜100g/Lのリン酸系水溶液に30秒〜30分間浸漬した後に80〜400℃の熱風で30秒〜30分間乾燥させること、及び0.1〜100g/Lのシランカップリング剤を含有する溶液に30秒〜30分間浸漬した後に80〜400℃の熱風で30秒〜30分間乾燥させることから選ばれたいずれか1種のアルミニウム皮膜形成処理により形成される請求項9に記載の耐候性に優れたアルミ・樹脂複合品の製造方法。
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