以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
<検査プローブ1>
図1は、本発明の第1実施形態の検査プローブの構造を模式的に示す断面図である。
図2は、本発明の第1実施形態の検査プローブを構成するスプリングプローブの構造を模式的に示す断面図である。
図3は、本発明の第1実施形態の検査プローブを構成する絶縁体部の構造を模式的に示す断面図である。
図4は、本発明の第1実施形態の検査プローブを構成するバレルの構造を模式的に示す断面図である。
図1および図2に示すように、本発明の第1実施形態の検査プローブ1は、スプリング構造5を一部に有してなる筒状部6と、筒状部6の一端部である端部11に、端部11から外部へ突出するように取り付けられた第1のプランジャ7と、筒状部6の他端部である端部12に、端部12から外部へ突出するように取り付けられた第2のプランジャ8とを有するスプリングプローブ2を有する。筒状部6は、導電性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
スプリングプローブ2は、図2に示すように、一端部である上部側の端部11と他端部である下部側の端部12との間の略中央部にスプリング構造5を有する。そのスプリング構造5は、後述する製造方法にしたがって形成されたらせん形状を有する。
スプリングプローブ2は、筒状部6の略中央部に設けられたスプリング構造5によるバネ作用によって、第1のプランジャ7および第2のプランジャ8を外部方向に付勢するように構成されている。
そして、検査プローブ1は、図1および図3に示すように、らせん構造の伸縮部9を一部に有してスプリングプローブ2の筒状部6を囲むように配置された、筒状部6より大径の筒状の絶縁体部3を有する。絶縁体部3は、絶縁性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
絶縁体部3は、図3に示すように、上部側の端部13と下部側の端部14との間の略中央部にらせん構造の伸縮部9を有し、その伸縮部9は、後述する製造方法にしたがって形成されたものである。
そして、図1に示す検査プローブ1において、絶縁体部3は、筒状部6の外周面を囲むように、筒状部6の外周面と接触する内周面を有する。
さらに、検査プローブ1は、図1および図4に示すように、スプリング構造10を一部に有して絶縁体部3を囲むように配置された、絶縁体部3より大径の筒状のバレル4を有する。バレル4は、導電性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
バレル4は、図4に示すように、上部側の端部15と下部側の端部16との間の略中央部にスプリング構造10を有する。そのスプリング構造10は、後述する製造方法にしたがって形成されたらせん形状を有する。
尚、図1等に示す検査プローブ1において、スプリングプローブ2のスプリング構造5と、絶縁体部3のらせん構造の伸縮部9と、バレル4のスプリング構造10とは、同じらせんピッチを有するように示されているが、そのような構造に限定されるわけではない。検査プローブ1において、スプリングプローブ2のスプリング構造5と、絶縁体部3のらせん構造の伸縮部9と、バレル4のスプリング構造10のらせんピッチはそれぞれ異なるものとすることができる。後述する本発明の第2実施形態の検査プローブ100、本発明の第3実施形態の検査プローブ200、本発明の第4実施形態の検査プローブ300についても同様である。
そして、図1に示す検査プローブ1において、バレル4は、絶縁体部3の外周面を囲むように、絶縁体部3の外周面と接触する内周面を有する。
本発明の第1実施形態の検査プローブ1では、図1および図2に示すように、第1のプランジャ7がスプリングプローブ2の筒状部6の一端部である上部側の端部11にある開口部に取り付けられる。そして、第2のプランジャ8が筒状部6の他端部である下部側の端部12にある開口部に取り付けられる。その結果、検査プローブ1では、図1の上部側となる外部に向かって突出する第1のプランジャ7および図1の下部側となる外部に向かって突出する第2のプランジャ8がそれぞれ上下動自在となるようにされる。
そして、検査プローブ1では、図1に示すように、スプリングプローブ2の導電性の筒状部6と、導電性のバレル4とが、絶縁性の絶縁体部3を介して積層される構造を有する。すなわち、検査プローブ1において、スプリングプローブ2の筒状部6とバレル4とは、絶縁体部3によって電気的に絶縁される。その結果、検査プローブ1は、スプリングプローブ2の筒状部6と、絶縁体部3と、バレル4とによって、導電体層/絶縁体層/導電体層からなる3層の積層構造を実現している。
このとき、絶縁体部3は、上述したように、らせん構造の伸縮部9を、絶縁体部3の一部である略中央部に有している。そして、絶縁体部3の端部13が筒状部6の端部11に固定され、絶縁体部3の端部が、筒状部6の端部11に固定されている。
また、バレル4は、上述したように、スプリング構造10を、バレル4の一部である略中央部に有している。そして、バレル4の端部15が、絶縁体部3の端部13に固定され、バレル4の端部16が、絶縁体部3の端部14に固定されている。そのため、バレル4は、両方の端部15,16がそれぞれ絶縁体部3に固定されることによって、スプリングプローブ2の筒状部6の両方の端部11,12に固定されている。
したがって、検査プローブ1では、スプリングプローブ2における第1のプランジャ7および第2のプランジャ8のそれぞれの上下動が、それらを固定する筒状部6のスプリング構造5によって自在とされる。その一方で、検査プローブ1では、その筒状部6を囲むように周設された絶縁体部3およびバレル4によって、第1のプランジャ7および第2のプランジャ8のそれぞれの上下動が阻害されることはない。
すなわち、検査プローブ1では、スプリングプローブ2における第1のプランジャ7および第2のプランジャ8それぞれの上下動に対応して、スプリングプローブ2の筒状部6を囲むように周設された絶縁体部3およびバレル4が同様に伸縮することができる。その結果、検査プローブ1は、スプリングプローブ2における第1のプランジャ7および第2のプランジャ8それぞれの所望とされるスムーズな上下動を可能とする。
以上の構造の本発明の第1実施形態の検査プローブ1において、第2のプランジャ8は、上述したように、スプリングプローブ2の筒状部6の端部12に設けられる。そして、第2のプランジャ8は、被検査体である、例えば、半導体チップ(図示されない)の電極をなす半田ボール(図示されない)のような、被検査体の外部接点と電気的に接触する端子として機能することができる。また、筒状部6の端部11に設けられた第1のプランジャ7は、プローブカード(図示されない)の配線基板(図示されない)の電気回路と電気的に接触する端子として機能することができる。
上述した構造の検査プローブ1において、第1のプランジャ7は、配線基板の電気回路と電気的に接触するよう、その電気回路とは垂直となる方向、すなわち、図1の上下方向の移動が可能である。同様に、第2のプランジャ8は、被検査体の外部接点と電気的に接触するよう、外部接点とは垂直となる方向、すなわち、図1の上下方向の移動が可能である。
したがって、本発明の第1実施形態の検査プローブ1は、第1のプランジャ7とプローブカードの配線基板の電気回路との間の十分な接触を実現することができる。また、検査プローブ1は、第2のプランジャ8と被検査体の外部接点との間の十分な接触を実現することができる。その結果、検査プローブ1は、第1のプランジャ7とプローブカードの配線基板の電気回路との間および第2のプランジャ8と被検査体の外部接点との間の十分な電気的接続を実現することができる。
さらに、本発明の第1実施形態の検査プローブ1は、上述したように、導電性の筒状部6が、スプリングプローブ2の第1のプランジャ7および第2のプランジャ8を保持してそれらの上下動を可能にする。そして、図1に示すように、その導電性の筒状部6と、導電性のバレル4とが、絶縁性の絶縁体部3を介して積層される3層構造を有している。
したがって、検査プローブ1は、スプリングプローブ2の外周に、グラウンド接続可能な導電体層として、スプリングプローブ2と絶縁された導電性のバレル4が存在する。そのため、検査プローブ1は、同軸配置として知られた構造を有し、高周波における伝送損失が小さいこと、伝送信号に入り込むノイズが少ないこと、そして、特性インピーダンスが安定していること等を実現することができる。
すなわち、本発明の第1実施形態の検査プローブ1は、高周波数の電気信号を用いる電気的試験に有効な検査プローブとなる。
ここで、従来のプローブカードでは、上述したような高周波における伝送損失が小さいこと等の効果を得るために、例えば、平行な2本の従来の検査プローブを用いてきた。すなわち、従来のプローブカードでは、信号用プローブと接地用プローブとを所定間隔を隔てて平行に配設したものを一組として用いる。そして、従来のプローブカードは、その組にされた2本の検査プローブを平行2本線路構造に近付けるようにして、被検査体の電気的試験に用いてきた。
このような従来技術に対し、本発明の第1実施形態の検査プローブ1は、1つで、平行な2本の検査プローブの機能、すなわち、所定間隔を隔てて平行に配設された信号用プローブと接地用プローブの機能を有することができる。そのため、検査プローブ1は、プローブカードの構成に用いられた場合、プローブカード内で、検査プローブ1の配置スペースを確保するのを容易にすることができる。
本発明の第1実施形態の検査プローブ1は、上述したように、電気的接続装置であるプローブカードの構成要素として用いることができる。その場合、そのプローブカードは、検査プローブ1を、例えば、プローブカードの絶縁基板(図示されない)に形成された貫通孔(図示されない)内に配置することができる。また、そのプローブカードは、検査プローブ1を、内部に検査プローブ1の収納スペースを形成したケーシング内に収納することによって使用することができる。
上述したような、検査プローブ1を用いるプローブカードでは、被検査体となる半導体チップの外部接点と同じ数か、または、それ以上の多数の検査プローブ1が、外部接点となるマトリクス状の配列パターンに対応して配列されている。そして、検査プローブ1は、高周波数の電気信号を用いる電気的試験に有効なプローブカードを提供することができる。
尚、本発明の第1実施形態の検査プローブ1は、電気的接続装置である検査ソケットの構成要素としても用いることができる。後述する本発明の第2実施形態から第4実施形態の検査プローブについても同様である。
上述の検査ソケットは、切断した半導体チップを実装組立(パッケージ)した完成後に行う最終検査工程で使用される電気的接続装置であり、完成後のIC等を載置して用いられる。そして、検査ソケットは、このIC等の電極と試験装置(テスター)に接続された配線基板の電極とを、接触子を用いて電気的に接続させることができ、IC等を検査することができる。検査プローブ1および後述する本発明の第2実施形態から第4実施形態の検査プローブは、検査ソケットの接触子として用いられ、高周波数の電気信号を用いる電気的試験に有効な検査ソケットおよび精密な電気的試験に有効な検査ソケットを提供することができる。
以上の構造の本発明の第1実施形態の検査プローブ1において、その製造方法については、例えば、スプリングプローブ2、絶縁体部3およびバレル4をそれぞれ別個に製造することができる。その後、それらを組み合わせて一体的に組み立てて、検査プローブ1を製造することができる。
その場合、例えば、検査プローブ1の製造において、スプリングプローブ2の製造では、略中央部にスプリング構造を有する両端開口の筒状部6を作製する。その後、被検査体(図示されない)の有する電極等の外部接点と接触するための第1のプランジャ7を筒状部6の上部側の端部11にある開口部に取り付ける。次いで、第2のプランジャ8を筒状部6の下部側の端部12にある開口部に取り付ける。以上によって、スプリングプローブ2を製造することができる。
スプリングプローブ2の筒状部6は、例えば、電鋳技術を用いて作製された両端開口の筒状(パイプ状)の部材をその前駆体とすることができる。そして、その前駆体を用い、フォトリソグラフィ技術を利用して、エッチング処理によって、略中央部にらせん形状のスリットを設ける。これによって、筒状部6は、両端が開口し、略中央部にスプリング構造を有する構造を備えることができる。
以下で、スプリングプローブ2の製造方法をより詳しく説明する。その後、製造されたスプリングプローブ2を用い、また別に製造された絶縁体部3およびバレル4をそれぞれ用い、本発明の第1実施形態の検査プローブ1を製造する方法について説明する。
図2に示したスプリングプローブ2を製造するにあたっては、初めに、筒状部6の前駆体となる部材を準備することが好ましい。この筒状部6の前駆体となる部材としては、例えば、円柱状の芯材の外周面金めっき層を形成し、さらにその上にニッケルめっき層を形成して製造した電鋳管(円筒形状管)を用いることができる。
上述の芯材としては、例えば、外径が5μmから300μmの金属線や樹脂線を用いることができる。その金属線としては、例えば、SUS線を用いることができ、樹脂線としては、例えば、ナイロン樹脂やポリエチレン樹脂等の合成樹脂線を用いることができる。
また、上述の金めっき層の厚さは約0.1μmから1μmとすることができ、ニッケルめっき層の厚さは、約5μmから50μmとすることができる。
次いで、電鋳管のニッケルめっき層の外周面上に絶縁膜としてレジスト層を形成する。レジスト層の厚さは、例えば、2μmから50μmとすることができる。
次に、電鋳管の芯材を周方向に回転させながら、レーザービームを直接照射し、その照射によりレジスト層の一部を除去する加工を行う。すなわち、レジスト層を、例えば、3mmから30mmの間隔を置いて所定の幅だけ周回して除去して、レジスト層にらせん状の溝を形成する。その溝が形成された部分では、レジスト層の下層にあるニッケルめっき層が露出する。
次に、溝の形成されたレジスト層をマスクとして用いて、溝から露出したニッケルめっき層をエッチング除去して、ニッケルめっき層の下層にある金めっき層を露出させる。その際、ニッケルめっき層と芯材との間に金めっき層が存在するため、エッチングの際にニッケルエッチング液が芯材まで到達するのを防止することができる。
次に、ニッケルめっき層上のレジスト層を剥離除去する。その結果、ニッケルめっき層には、上記のレジスト層のらせん状の溝に対応するスリットが形成されている。その結果、ニッケルめっき層は、略中央部に、らせん形状を有するスプリング構造の形成されたものとなる。
次に、芯材を伸ばすように、すなわち、その両端を離れる方向に引っ張って断面積が小さくなるように変形させる。芯材が延伸してその断面積が小さくなると、芯材の外周面を被覆していた金めっき層がその外周面から剥離して電鋳管の内側に残り、芯材と金めっき層との間に空間が形成される。
次いで、超音波洗浄を行って、溝から露出した金めっき層を除去する。その後、芯材を抜き取る。これによって、導電性の材料であるニッケル合金からなり、図2に示すように、端部11と端部12との間の略中央部にらせん形状を有するスプリング構造5の形成された、両端開口の筒状部6が製造される。
第1のプランジャ7および第2のプランジャ8は、同様の形状を有することができる。そして、第1のプランジャ7および第2のプランジャ8は、例えば、板状の形状のほか、図2に示すように、一方の先端が先細に形成された棒状の形状を有することができる。
第1のプランジャ7および第2のプランジャ8は、それぞれ同様に、導電性の材料を用い、切削加工、プレス加工等により、または、フォトリソグラフィ技術を用いためっき等により製造することができる。第1のプランジャ7および第2のプランジャ8は、例えば、タングステン、炭素鋼(SK材)、ベリリウム銅等の導電性の材料から製造することができる。
そして、スプリングプローブ2においては、例えば、図2に示すように、筒状部6の上部側の端部11の開口部から、第1のプランジャ7の一部が、先細の先端とは反対の先端の側から挿入される。そして、例えば、第1のプランジャ7が図2の上部側となる外部に向かって先細の先端を突出させるように、端部11の開口部に溶接技術等を用いて固定的に取り付けられる。
また、図2に示すように、筒状部6の下部側の端部12の開口部から、第2のプランジャ8の一部が、先細の先端とは反対の先端の側から挿入される。そして、例えば、第2のプランジャ8が図2の下部側となる外部に向かって先細の先端を突出させるように、端部12の開口部に溶接技術等を用いて固定的に取り付けられる。
以上のようにして製造されたスプリングプローブ2に対し、絶縁性の材料からなる両端開口の筒状の絶縁体部3であって、らせん構造の伸縮部9を一部に有して筒状部6より大径の筒状の絶縁体部3を準備する。そして、その筒状の絶縁体部3を用い、スプリングプローブ2の筒状部6を外周面から囲むように配置する。
絶縁体部3を構成する材料としては、絶縁性を有する材料であれば多様なものの使用が可能である。絶縁体部3を構成する材料としては、例えば、ポリイミドやフッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂材料や、ガラス材料を使用することができる。
そして、絶縁体部3の製造方法については、上述したスプリングプローブ2の筒状部6と同様の製造方法とすることができる。すなわち、筒状部6の製造方法における、レジスト膜の一部をらせん状に除去するレーザ加工と同様の方法で行うことができる。
その場合、絶縁体部3を製造するにあたっては、例えば、絶縁性の材料からなり、スプリングプローブ2の筒状部6より大径であって、両端開口の筒状(パイプ状)の部材を前駆体として準備する。
次に、その筒状の前駆体を周方向に回転させながら、レーザービームを直接照射し、その照射によって、絶縁性の材料からなる前駆体の一部を除去する加工を行う。すなわち、前駆体の一部を、例えば、3mmから30mmの間隔を置いて所定の幅だけ周回して除去して、前駆体にらせん状のスリットを形成する。こうして、絶縁性の材料からなる両端開口の筒状の絶縁体部3であって、らせん構造の伸縮部9を略中央部に有して筒状部6より大径の筒状の絶縁体部3を製造することができる。
尚、絶縁体部3を製造するにあたり、レーザービームに代えて、ドリル等の刃物を用い、らせん形状のスリットを形成してもよい。
また、上述した絶縁体部3の製造方法では、絶縁体部3の前駆体を周方向に回転させて、レーザービーム等による加工を行ったが、絶縁体部3の前駆体を固定し、レーザービーム等の加工手段を適当な回転移動をさせることによって、絶縁体部3を製造することも可能である。
そして、絶縁体部3の内部に、両端の開口部のいずれかから上述したスプリングプローブ2を挿入する。それによって、絶縁体部3を、スプリングプローブ2の筒状部6を外周面から囲むように配置することができる。
以上のようにして製造されたスプリングプローブ2および絶縁体部3に対し、導電性の材料からなる両端開口の筒状のバレル4であって、スプリング構造10を一部に有した絶縁体部3より大径の筒状のバレル4を準備する。そして、その筒状のバレル4を、スプリングプローブ2の筒状部6を囲む絶縁体部3をさらに外周面から囲むように配置する。そして、図1に示すように、バレル4が、スプリングプローブ2の筒状部6と絶縁体部3とを囲むようにする。
絶縁体部3を構成する材料としては、スプリングプローブ2の筒状部6と同様に、例えば、ニッケル合金を用いることができる。
そして、バレル4の製造方法については、上述したスプリングプローブ2の筒状部6の製造方法と同様の方法で行うことができる。
その場合、例えば、電鋳技術を用いて作製された両端開口の筒状(パイプ状)の部材であって、筒状の絶縁体部3より大径の筒状の部材を前駆体とすることができる。そして、上述したのと同様のレーザービームを用いたフォトリソグラフィ技術を利用して、前駆体上に形成されたレジスト層の一部を、例えば、3mmから30mmの間隔を置いて所定の幅だけ周回して除去する。次いで、エッチング処理を行って、前駆体の略中央部にらせん形状のスリットを設けることができる。その結果、両端が開口し、略中央部にスプリング構造を有するバレル4を製造することができる。
その後、バレル4の内部に、両端の開口部のいずれかから、上述のスプリングプローブ2および絶縁体部3の一体化されたものを挿入する。そうすることによって、スプリングプローブ2の筒状部6を囲む絶縁体部3を、さらに外周面から囲むようにバレル4を配置することができる。
以上の方法によって、本発明の第1実施形態の検査プローブ1を製造することができる。そして、以上の方法によって製造された検査プローブ1は、上述したように、高周波数の電気信号を用いる電気的試験に有効な検査プローブとなる。
実施の形態2.
<検査プローブ2>
図5は、本発明の第2実施形態の検査プローブの構造を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、本発明の第2実施形態の検査プローブ100は、スプリング構造5を一部に有してなる筒状部6と、筒状部6の一端部である端部11に、端部11から外部へ突出するように取り付けられた第1のプランジャ7と、筒状部6の他端部である端部12に、端部12から外部へ突出するように取り付けられた第2のプランジャ8とを有するスプリングプローブ2を有する。筒状部6は、導電性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
そして、検査プローブ100は、図5に示すように、らせん構造の伸縮部9を一部に有してスプリングプローブ2の筒状部6を囲むように配置された、筒状部6より大径の筒状の絶縁体部3を有する。絶縁体部3は、絶縁性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
そして、図5に示す検査プローブ100において、絶縁体部3は、筒状部6の外周面を囲むように、筒状部6の外周面と接触する内周面を有する。
また、検査プローブ100は、図5に示すように、スプリング構造10を一部に有して絶縁体部3を囲むように配置された、絶縁体部3より大径の筒状のバレル4を有する。バレル4は、導電性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
そして、図5に示す検査プローブ100において、バレル4は、絶縁体部3の外周面を囲むように、絶縁体部3の外周面と接触する内周面を有する。
さらに、検査プローブ100は、図5に示すように、バレル4の他端部である下部側の端部16に、第2のプランジャ8とバレル4との間を電気的に接続する導電性の接続部材121を有する。したがって、検査プローブ100は、スプリングプローブ2の第2のプランジャ8とバレル4との間が接続部材121を介して電気的に接続するように構成される。
ここで、検査プローブ100では、接続部材121を有すること以外、本発明の第1実施形態の検査プローブ1と同様の構造を有する。すなわち、検査プローブ100のスプリングプローブ2、絶縁体部3およびバレル4は、本発明の第1実施形態の検査プローブ1の対応する構成要素と同様の構造を有する。そして、検査プローブ100は本発明の第1実施形態の検査プローブ1に接続部材121を設けたのと同様の構造を有している。したがって、検査プローブ100は、その製造方法も、検査プローブ1の製造方法と共通する。したがって、図5に示すように、検査プローブ100において、図1から図4に示した本発明の第1実施形態の検査プローブ1と共通する構成要素については、同じ符号を付し、重複する説明は省略することにする。
本発明の第2実施形態の検査プローブ100において、上述したように、バレル4の下部側の端部16に、第2のプランジャ8とバレル4との間を電気的に接続する接続部材121が設けられている。
接続部材121は、例えば、図5に示すように、バレル4の端部16を覆って第2のプランジャ8が外部に向かって突出するための貫通孔122を備えたキャップ状の形状を有する。そして、接続部材121は、半田溶接等の技術によって、第2のプランジャ8の側部との間で導通可能に固定され、また、バレル4の端部16とも導通可能に固定されている。したがって、接続部材121は、第2のプランジャ8の側部およびバレル4の端部16にそれぞれ接してそれらの間を電気的に接続させることができる。
ここで、検査プローブ100において、第2のプランジャ8は、スプリングプローブ2の筒状部6の端部12に設けられる。そして、第2のプランジャ8は、被検査体である、例えば、半導体チップ(図示されない)の電極をなす半田ボール(図示されない)のような、被検査体の外部接点と電気的に接触する端子として用いられることが好ましい。また、筒状部6の端部11に設けられた第1のプランジャ7は、プローブカード(図示されない)の配線基板(図示されない)の電気回路と電気的に接触する端子として用いられることが好ましい。
このような構成とすることで、検査プローブ100は、接続部材121を用い、被検査体の電極の直近で、それに接触する端子となる第2のプランジャ8と、絶縁体部3を介してスプリングプローブ2を囲むバレル4とを接続することができる。その結果、検査プローブ100は、後述するように、4端子接続(ケルビン接続)の実現に有効であって、被検査体の精密な電気的試験を可能にする検査プローブとなる。
尚、検査プローブ100においては、スプリングプローブ2の筒状部6の一端部である端部11に設けられた第1のプランジャ7が、被検査体の外部接点と電気的に接触する端子として用いられる場合もある。その場合、筒状部6の他端部である端部12に設けられた第2のプランジャ8が、プローブカードの配線基板の電気回路と電気的に接触する端子として用いられることになる。
そのような場合、検査プローブ100は、バレル4の一端部である上部側の端部15に、第1のプランジャ7とバレル4との間を電気的に接続する接続部材を設けることが好ましい。そして、その場合の接続部材は、接続部材121と同様に、バレル4の端部15を覆うキャップ状の形状とすることができる。
ここで、本発明の第2実施形態の検査プローブ100において、バレル4の一端部である上部側の端部15に設けられる接続部材を第1の接続部材と称する。そして、図5のように、バレル4の他端部である下部側の端部16に設けられる接続部材121を第2の接続部材と称する。
上述の定義にしたがい、本発明の第2実施形態の検査プローブ100は、バレル4の一端部である端部15に配置されて第1のプランジャ7とバレル4との間を電気的に接続する導電性の第1の接続部材を有することができる。または、上述の第1の接続部材に代えて、検査プローブ100は、バレル4の他端部である端部16に配置されて第2のプランジャ8とバレル4との間を電気的に接続する導電性の第2の接続部材を有することができる。そして、検査プローブ100は、第1のプランジャ7および第2のプランジャ8のいずれか一方とバレル4との間を電気的に接続するように構成することができる。
以上のような構造の検査プローブ100を用い、被検査体の精密な電気的試験を行うための4端子接続(ケルビン接続)を実現する方法について、以下で説明する。
図6は、本発明の第2実施形態の検査プローブを用いた被検査体との接続方法を模式的に説明する図である。
尚、図6では、使用する検査プローブ100−1,100−2の作用の説明に好適となるように、検査プローブ100−1,100−2について、その模式的な断面構造を示している。尚、検査プローブ100−1,100−2は、上述した図5の検査プローブ100と同様の構造を有する。
図6に示すように、検査プローブ100を用い、電気的試験の対象となる被検査体130の4端子接続(ケルビン接続)を実現しようとする場合、2つの検査プローブ100−1,100−2を一組にして用いる。
そして、2つの検査プローブ100−1,100−2はそれぞれ、被検査体130にスプリングプローブ2−1,2−2の第2のプランジャ8−1,8−2を接触させることができる。
このとき、2つの検査プローブ100−1,100−2はそれぞれ、それらを構成するスプリングプローブ2−1,2−2のスプリング構造5−1,5−2およびバレル4−1,4−2のスプリング構造10−1,10−2の示すバネ作用によって、被検査体130との間の十分な電気的接続を実現することができる。
そして、4端子接続(ケルビン接続)を実現するため、電気的試験で測定する電気信号用の2経路(所謂、Force線)を、2つの検査プローブ100−1,100−2のそれぞれのスプリングプローブ2−1,2−2によって構成することができる。
また、その電気信号をモニタするための2経路(所謂、Sense線)を、2つの検査プローブ100−1,100−2のそれぞれのバレル4−1,4−2によって構成することができる。
上述したように、2つの検査プローブ100−1,100−2においては、それぞれバレル4−1,4−2の端部15−1,15−2に、導電性の接続部材121−1,121−2が設けられている。接続部材121−1は、検査プローブ100−1において、スプリングプローブ2−1の第2のプランジャ8−1とバレル4−1との間を電気的に接続する。また、接続部材121−2は、検査プローブ100−2において、スプリングプローブ2−2の第2のプランジャ8−2とバレル4−2との間を電気的に接続している。
そのため、第2のプランジャ8−1,8−2に電気的に接続するとバレル4−1,4−2をそれぞれ、電気的試験で測定する電気信号をモニタするための2つのSense線として用いることができる。
このとき、検査プローブ100−1,100−2では、接続部材121−1,121−2によって、被検査体130に接触する第2のプランジャ8−1,8−2と、バレル4−1,4−2とが接続されている。したがって、検査プローブ100−1,100−2ではそれぞれ被検査体130の直近でのSense線接続が可能となり、より正確な電気信号のモニタが可能となる。
そして、本発明の第2実施形態の検査プローブ100は、4端子接続(ケルビン接続)を実現することができ、被検査体130の精密な電気的試験に有効な検査プローブとなる。
実施の形態3.
<検査プローブ3>
図7は、本発明の第3実施形態の検査プローブの構造を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、本発明の第3実施形態の検査プローブ200は、スプリング構造5を一部に有してなる筒状部6と、筒状部6の一端部である端部11に、端部11から外部へ突出するように取り付けられた第1のプランジャ7と、筒状部6の他端部である端部12に、端部12から外部へ突出するように取り付けられた第2のプランジャ8とを有するスプリングプローブ2を有する。スプリングプローブ2の筒状部6は、導電性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
そして、検査プローブ200は、図7に示すように、らせん構造の伸縮部209を一部に有してスプリングプローブ2の筒状部6を囲むように配置された、筒状部6より大径の筒状の絶縁体部203を有する。絶縁体部203は、絶縁性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
そして、図7に示す検査プローブ200において、絶縁体部203は、筒状部6の外周面を囲むように、筒状部6の外周面と接触する内周面を有する。
また、検査プローブ200は、図7に示すように、スプリング構造210を一部に有して絶縁体部203およびスプリングプローブ2の筒状部6を囲むように配置された、絶縁体部203より大径の筒状のバレル204を有する。バレル204は、導電性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
そして、図7に示す検査プローブ200において、バレル204は、絶縁体部203の外周面を囲むように、絶縁体部203の外周面と接触する内周面を有する。
検査プローブ200において、バレル204は、他端部である端部216が先端に向かって絞られて先端の径が小さくなる形状を有している。また、絶縁体部203は、スプリングプローブ2の筒状部6に比べて長手方向の寸法が小さくなるように構成されて、筒状部6の端部12の第2のプランジャ8側の一部が絶縁体部203から露出している。その結果、検査プローブ200では、バレル204の端部216の第2のプランジャ8側の一部が、筒状部6の端部12の第2のプランジャ8側の一部と接触するように構成されている。
ここで、検査プローブ200では、絶縁体部203の形状およびバレル204の一部の形状が異なる以外、本発明の第1実施形態の検査プローブ1と同様の構造を有する。すなわち、検査プローブ200のスプリングプローブ2等は、本発明の第1実施形態の検査プローブ1の対応する構成要素と同様の構造を有している。そして、それらの製造方法も共通する。したがって、図7に示すように、検査プローブ200において、図1から図4に示した本発明の第1実施形態の検査プローブ1と共通する構成要素については、同じ符号を付し、重複する説明は省略することにする。
本発明の第3実施形態の検査プローブ200において、バレル204の製造には、上述した製造方法によって製造された本発明の第1実施形態の検査プローブ1のバレル4を用いることができる。そして、バレル4の端部16に絞り加工を施すことによってバレル204を製造することができる。
また、絶縁体部203は、上述した本発明の第1実施形態の検査プローブ1の絶縁体部3と同様に、上部側の端部213と下部側の端部214との間の略中央部にらせん構造の伸縮部209を有する。その伸縮部209は、上述した検査プローブ1の絶縁体部3の伸縮部9と同様の製造方法にしたがって形成されたものとすることができる。
以上により、バレル204は、他端部である端部216が先端に向かって絞られた形状を有し、絶縁体部203を介することなく直接に、スプリングプローブ2の筒状部6の端部12と接触することができる。すなわち、検査プローブ200では、バレル204の一部がスプリングプローブ2の筒状部6の一部と接触するように構成されている。したがって、検査プローブ200は、スプリングプローブ2の第2のプランジャ8と、バレル204との間が電気的に接続するように構成されている。
ここで、検査プローブ200において、第2のプランジャ8は、スプリングプローブ2の筒状部6の他端部である端部12に設けられる。そして、第2のプランジャ8は、被検査体である、例えば、半導体チップ(図示されない)の電極をなす半田ボール(図示されない)のような、被検査体の外部接点と電気的に接触する端子として用いられることが好ましい。また、筒状部6の一端部である端部11に設けられた第1のプランジャ7は、プローブカード(図示されない)の配線基板(図示されない)の電気回路と電気的に接触する端子として用いられることが好ましい。
このような構成とすることで、検査プローブ200は、バレル204とスプリングプローブ2の筒状部6の端部12とを接触させ、被検査体の電極の直近で、それに接触する端子となる第2のプランジャ8と、バレル204とを電気的に接続することができる。その結果、検査プローブ200は、後述するように、4端子接続(ケルビン接続)の実現に有効であって、被検査体の精密な電気的試験を可能にする検査プローブとなる。
尚、検査プローブ200においては、スプリングプローブ2の筒状部6の一端部である端部11に設けられた第1のプランジャ7が、被検査体の外部接点と電気的に接触する端子として用いられる場合もある。その場合、筒状部6の他端部である端部12に設けられた第2のプランジャ8が、プローブカードの配線基板の電気回路と電気的に接触する端子として用いられることになる。
そのような場合、検査プローブ200のバレル204においては、他端部である下部側の端部216ではなく、一端部である上部側の端部215が先端に向かって絞られた形状を有することが好ましい。そして、検査プローブ200では、バレル204が、絶縁体部203を介することなく直接に、スプリングプローブ2の筒状部6の一端部である端部11と接触する構造を有することが好ましい。すなわち、第1のプランジャ7とバレル204との間を電気的に接続するように構成することが好ましい。
すなわち、本発明の第3実施形態の検査プローブ200において、バレル204は、一端部である上部側の端部215が先端に向かって絞られた形状を有するか、または、他端部である下部側の端部216が先端に向かって絞られた形状を有することができる。そして、バレル204が、スプリングプローブ2の筒状部6の一端部である端部11と接触する構造を有するか、または、筒状部6の他端部である端部12と接触する構造を有することができる。その結果、検査プローブ200は、第1のプランジャ7および第2のプランジャ8のいずれか一方とバレル204との間を電気的に接続するように構成することができる。
以上のような構造の検査プローブ200を用いることにより、上述した本発明の第2実施形態の検査プローブ100と同様に、被検査体の精密な電気的試験を行うための4端子接続(ケルビン接続)を実現することができる。
すなわち、検査プローブ200を用いて、電気的試験の対象となる被検査体(図示されない)の4端子接続(ケルビン接続)を実現する場合、上述した本発明の第2実施形態の検査プローブ100の場合と同様に、2つの検査プローブ200を一組にして用いる。
そして、電気的試験で測定する電気信号用の2経路(所謂、Force線)を、2つの検査プローブ200のそれぞれのスプリングプローブ2によって構成する。
また、その電気信号をモニタするための2経路(所謂、Sense線)を、2つの検査プローブ200のそれぞれのバレル204によって構成する。
上述したように、2つの検査プローブ200のそれぞれにおいて、バレル204の端部216で、スプリングプローブ2の第2のプランジャ8とバレル204との間が電気的に接続されている。
そのため、2つの検査プローブ200では、2つの第2のプランジャ8のそれぞれに電気的に接続する2つのバレル204を、電気的試験で測定する電気信号をモニタするためのSense線として用いることができる。
このとき、2つの検査プローブ200では、被検査体の直近でのSense線接続が可能となり、より正確な電気信号のモニタが可能となる。
そして、本発明の第3実施形態の検査プローブ200は、4端子接続(ケルビン接続)を実現し、被検査体の精密な電気的試験に有効な検査プローブとなる。
実施の形態4.
<検査プローブ4>
図8は、本発明の第4実施形態の検査プローブの構造を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、本発明の第4実施形態の検査プローブ300は、スプリング構造305を一部に有してなる第1の筒状部306と、第1の筒状部306の一端部である第1の一端部311に、第1の一端部311から外部(図の上方側)へ突出するように取り付けられた第1のプランジャ307とを有する第1のスプリングプローブ302を有する。第1のスプリングプローブ302において、第1の筒状部306は、導電性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
第1のスプリングプローブ302は、図8に示すように、上部側の第1の一端部311と他端部である下部側の第1の他端部312との間の略中央部にスプリング構造305を有する。そして、スプリング構造305は、上述した本発明の第1実施形態の検査プローブ1のスプリングプローブ2のスプリング構造5と同様の製造方法にしたがって形成されて、らせん形状を有する。
第1のスプリングプローブ302は、第1の筒状部306の略中央部に設けられたスプリング構造305によるバネ作用によって、第1のプランジャ307を図の上部側となる外部方向に付勢するように構成されている。
そして、検査プローブ300は、図8に示すように、スプリング構造355を一部に有してなる第2の筒状部356と、第2の筒状部356の一端部である第2の一端部361に、第2の一端部361から外部(図の上方側)へ突出するように取り付けられた第2のプランジャ357とを有する第2のスプリングプローブ352を有する。第2のスプリングプローブ352において、第2の筒状部356は、導電性の材料からなり、両端開口の形状を有する。
第2のスプリングプローブ352は、第2のプランジャ357が、第1のスプリングプローブ302の第1のプランジャ307と同じ方向(図の上方側)に突出するように、第1のスプリングプローブ302と平行に配列されている。
第2のスプリングプローブ352は、図8に示すように、上部側の第2の一端部361と他端部である下部側の第2の他端部362との間の略中央部にスプリング構造355を有する。そして、スプリング構造355は、上述した本発明の第1実施形態の検査プローブ1のスプリングプローブ2のスプリング構造5と同様の製造方法にしたがって形成されて、らせん形状を有する。
第2のスプリングプローブ352は、第2の筒状部356の略中央部に設けられたスプリング構造355によるバネ作用によって、第2のプランジャ357を図の上部側となる外部方向に付勢するように構成されている。
また、検査プローブ300は、図8に示すように、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306の他端部である第1の他端部312と、第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356の他端部である第2の他端部362との間に挟持され、第1のプランジャ307および第2のプランジャ357が突出する方向(図の上方側)と逆方向(図の下方側)の外部に突出するよう配置された第3のプランジャ370を有する。
第3のプランジャ370は、後述するように、第1のプランジャ307および第2のプランジャ357と同様の形状を有し、それらと同様の導電性の材料からなる。
したがって、第3のプランジャ370は、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306を介して、第1のプランジャ307と電気的に接続する。同様に、第3のプランジャ370は、第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356を介して、第2のプランジャ357とも電気的に接続する。
そして、第3のプランジャ370は、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306のスプリング構造305および第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356のスプリング構造355によるバネ作用によって、図の下部側となる外部方向に付勢されるように構成されている。
また、検査プローブ300は、図8に示すように、らせん構造の伸縮部309を一部に有する筒状の第1の絶縁体部303を有する。第1の絶縁体部303は、第1の筒状部306より大径の筒状の形状を有し、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306を、第3のプランジャ370と接触する部分を除いて囲むように設けられている。第1の絶縁体部303は、絶縁性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
また、検査プローブ300は、図8に示すように、らせん構造の伸縮部359を一部に有する筒状の第2の絶縁体部353を有する。第2の絶縁体部353は、第3の筒状部356より大径の筒状の形状を有し、第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356を、第3のプランジャ370と接触する部分を除いて囲むように設けられている。第2の絶縁体部353は、絶縁性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
また、検査プローブ300は、図8に示すように、スプリング構造310を一部に有するとともに、第3のプランジャ370を挟持する第1のスプリングプローブ302および第2のスプリングプローブ352を、第1の絶縁体部303または第2の絶縁体部353を介して、一体的に囲むように配置された1つの筒状のバレル304を有する。バレル304は、導電性の材料からなり、両端開口の筒状の形状を有する。
バレル304は、図8に示すように、一端部である上部側の第1の端部315と他端部である下部側の第2の端部316との間の略中央部にスプリング構造310を有する。そのスプリング構造310は、上述した本発明の第1実施形態の検査プローブ1のバレル5のスプリング構造10と同様の製造方法にしたがって形成されて、らせん形状を有する。
さらに、検査プローブ300は、図8に示すように、バレル304の他端部である第2の端部316に、導電性の接続部材371を有する。接続部材371は、第3のプランジャ370を挟持する第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306および第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356の配列構造を強固に保持するように設けられる。
接続部材371は、例えば、図8に示すように、バレル304の下部側の第2の端部316を覆って第3のプランジャ370が外部に向かって突出するための貫通孔372を備えたキャップ状の形状を有することができる。そして、接続部材371は、半田溶接等の技術によって、第3のプランジャ370の側部との間で電気的な接続が可能となるように固定されている。また、接続部材371は、バレル304の第2の端部316とも電気的な接続が可能となるように固定されている。したがって、接続部材371は、第3のプランジャ370の側部およびバレル304の下部側の第2の端部316にそれぞれ接してそれらの間を電気的に接続させることができる。
すなわち、検査プローブ300では、第1のスプリングプローブ302および第2のスプリングプローブ352に挟持された第3のプランジャ370とバレル304との間が接続部材371を介して電気的に接続するように構成される。
本発明の第4実施形態の検査プローブ300では、第1のプランジャ307が第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306の上部側の第1の一端部311にある開口部に取り付けられる。また、第2のプランジャ357が、第2の筒状部356の上部側の第2の一端部361にある開口部に取り付けられる。そして、検査プローブ300では、図8の上部側となる外部に向かってそれぞれ突出する第1のプランジャ307および第2のプランジャ357が、上下動自在となるように構成されている。
また、本発明の第4実施形態の検査プローブ300では、上述したように、第3のプランジャ370が第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306の第1の他端部312と、第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356の第2の他端部362との間に挟持されて設けられる。検査プローブ300では、図8の下部側となる外部に向かって突出する第3のプランジャ370が上下動自在となるように構成される。
そして、検査プローブ300では、図8に示すように、第1のスプリングプローブ302の導電性の第1の筒状部306と、導電性のバレル304とが、絶縁性の第1の絶縁体部303を介して積層される構造を有する。同様に、第2のスプリングプローブ352の導電性の第2の筒状部356と、導電性のバレル304とが、絶縁性の第2の絶縁体部353を介して積層される構造を有する。
すなわち、検査プローブ300は、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306と、第1の絶縁体部303と、バレル304とによって、導電体層/絶縁体層/導電体層からなる3層の積層構造を実現している。同様に、検査プローブ300では、第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356と、第2の絶縁体部353と、バレル304とによって、導電体層/絶縁体層/導電体層からなる3層の積層構造を実現している。
このとき、第1の絶縁体部303は、上述したように、らせん構造の伸縮部309を、第1の絶縁体部303の一部である略中央部に有している。さらに、第1の絶縁体部303の一端部である上部側の第1の一端部313は、第1の筒状部306の第1の一端部311に固定され、第1の絶縁体部303の他端部である下部側の第1の他端部314は、第1の筒状部306の第1の他端部312に固定されている。
同様に、第2の絶縁体部353は、上述したように、らせん構造の伸縮部359を、第2の絶縁体部353の一部である略中央部に有している。そして、第2の絶縁体部353の一端部である上部側の第2の一端部363が、第2の筒状部356の他端部である下部側の第2の一端部361に固定され、第2の絶縁体部353の他端部である第2の他端部364が、第2の筒状部356の第2の他端部362に固定されている。
また、バレル304は、上述したように、スプリング構造310を、バレル304の一部である略中央部に有している。そしてさらに、バレル304の上部側の第1の端部315が、第1の絶縁体部303の第1の一端部313および第2の絶縁体部353の第2の一端部363にそれぞれ固定されている。同様に、バレル304の下部側の第2の端部316が、第1の絶縁体部303の第1の他端部314および第2の絶縁体部353の第2の他端部364にそれぞれ固定されている。
そのため、バレル304では、上部側の第1の端部315が、第1の絶縁体部303および第2の絶縁体部353を介して、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306の第1の一端部311および第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356の第2の一端部361に固定されている。同様に、バレル304では、下部側の第2の端部316が、第1の絶縁体部303および第2の絶縁体部353を介して、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306の第1の他端部312および第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356の第2の他端部362に固定されている。
また、バレル304の下部側の第2の端部316に設けられた接続部材371は、そこで第2の端部316に固定されている。
したがって、検査プローブ300では、上述したように、第1のプランジャ307および第2のプランジャ357の上下動が、それらを固定する第1の筒状部306のスプリング構造305および第2の筒状部356のスプリング構造355によってそれぞれ自在とされる。このとき、検査プローブ300では、それらを囲むように周設された第1の絶縁体部303および第2の絶縁体部353並びにバレル304によって、第1のプランジャ307および第2のプランジャ357の上下動が阻害されることがない。
同様に、検査プローブ300では、第3のプランジャ370の上下動が、それを挟持して固定する第1の筒状部306のスプリング構造305および第2の筒状部356のスプリング構造355によって自在とされる。このとき、検査プローブ300では、第1の絶縁体部303および第2の絶縁体部353並びにバレル304によって、第3のプランジャ370の上下動が阻害されることはない。
すなわち、検査プローブ300では、第1のプランジャ307および第2のプランジャ357並びに第3のプランジャ370の上下動に対応して、第1の絶縁体部303、第2の絶縁体部353およびバレル304を同様に伸縮させることができる。すなわち、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306を囲むように周設された第1の絶縁体部303、第3のスプリングプローブ352の第2の筒状部356を囲むように周設された第2の絶縁体部353およびバレル304は、第1のプランジャ307および第2のプランジャ357並びに第3のプランジャ370の上下動に対応して同様に伸縮する。その結果、検査プローブ300は、第1のプランジャ307および第2のプランジャ357並びに第3のプランジャ370それぞれの所望とされるスムーズな上下動を可能とする。
以上の構造の本発明の第4実施形態の検査プローブ300の製造方法については、例えば、次のように行うことができる。すなわち、第1のスプリングプローブ302、第2のスプリングプローブ352、第3のプランジャ370、第1の絶縁体部303、第2の絶縁体部353、バレル304および接続部材371をそれぞれ別個に製造する。その後、それらを組み合わせて一体的に組み立てることによって検査プローブ300を製造することができる。
そして、第1のスプリングプローブ302等の検査プローブ300の各構成要素の製造方法については、上述した本発明の第1実施形態の検査プローブ1の製造方法を参考にすることができる。
例えば、図8に示すように、第1のスプリングプローブ302は、図1の本発明の第1実施形態の検査プローブ1のスプリングプローブ2と比べると、第1の一端部311に第1のプランジャ307を1つのみ有している。そして、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306は、スプリングプローブ2の筒状部6と同様の構造を有し、同様の製造方法によって製造することができる。
また、第1のスプリングプローブ302の第1のプランジャ307も、スプリングプローブ2の第1のプランジャ7と同様の構造を有し、同様の製造方法によって製造することができる。そして、検査プローブ1の場合と同様の方法で、第1の筒状部306の第1の一端部311に取り付けることができる。
また、第2のスプリングプローブ352についても、図1の本発明の第1実施形態の検査プローブ1のスプリングプローブ2と比べると、第2の一端部361に第2のプランジャ357を1つのみ有している。そして、第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356は、スプリングプローブ2の筒状部6と同様の構造を有し、同様の製造方法によって製造することができる。
また、第2のスプリングプローブ352の第2のプランジャ357も、スプリングプローブ2の第1のプランジャ7と同様の構造を有する。そして、第1のプランジャ7と同様の製造方法によって第2のプランジャ357を製造することができる。そして、検査プローブ1の場合と同様の方法で、第2の筒状部356の第2の一端部361に取り付けることができる。
また、第3のプランジャ370については、図1の本発明の第1実施形態の検査プローブ1のスプリングプローブ2の第2のプランジャ8と同様の構造を有し、同様の製造方法によって製造することができる。
そして、第3のプランジャ370は、上述したように、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306の第1の他端部312と、第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356の第2の他端部362との間に挟持されている。そして、第3のプランジャ370は、溶接技術等を用いて、第1の筒状部306の第1の他端部312および第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356の第2の他端部362のそれぞれに固定される。
その結果、第3のプランジャ370は、第1のプランジャ307および第2のプランジャ357が突出する方向(図の上方側)と逆方向(図の下方側)となる外部に突出するよう配置される。
また、第1の絶縁体部303は、図1の本発明の第1実施形態の検査プローブ1の絶縁体部3と同様の製造方法によって製造することができる。そして、検査プローブ1の絶縁体部3において、らせん構造の伸縮部9を形成するのと同様の方法を用い、第1の絶縁体部303が所望の形状を有するように加工することができる。すなわち、第1の絶縁体部303が、らせん構造の伸縮部309を有するようにその形状を加工することができる。さらに、第1の絶縁体部303が、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306と第3のプランジャ370との接触部分を除いて、その第1の筒状部306を囲むことができるように、その形状を加工することができる。
同様に、第2の絶縁体部353は、図1の本発明の第1実施形態の検査プローブ1の絶縁体部3と同様の製造方法によって製造することができる。そして、第2の絶縁体部303が、らせん構造の伸縮部359を有するようにその形状を加工することができる。さらに、第2の絶縁体部353が、第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356と第3のプランジャ370との接触部分を除いて、その第2の筒状部356を囲むことができるように、その形状を加工することができる。
そして、第1の絶縁体部303の内部に、上述した第1のスプリングプローブ302を挿入することによって、第1の絶縁体部303を、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306を外周面から囲むように配置することができる。
同様に、第2の絶縁体部353の内部に、上述した第2のスプリングプローブ352を挿入することによって、第2の絶縁体部353を、第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356を外周面から囲むように配置することができる。
また、バレル304は、図1の本発明の第1実施形態の検査プローブ1のバレル4の製造方法と同様の方法で製造することができる。
そして、バレル304の内部に、上述の第1のスプリングプローブ302、第2のスプリングプローブ352、第3のプランジャ370、第1の絶縁体部303および第2の絶縁体部353の一体的に組み立てられたものを挿入することができる。そうすることによって、バレル304を、第1の絶縁体部303および第2の絶縁体部353を外周面から囲むように配置することができる。
また、バレル304の下部側となる第2の端部316には、接続部材371が設けられる。接続部材371は、第3のプランジャ370が、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306の第1の他端部312と、第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356の第2の他端部362との間に挟持される構造を保持する。
接続部材371は導電性の材料からなり、第3のプランジャ370とバレル304との間を電気的に接続することができる。
接続部材371は、上述したように、バレル304の下部側の第2の端部316を覆って第3のプランジャ370が外部に向かって突出するための貫通孔372を備えたキャップ状の形状を有することができる。そして、接続部材371は、半田溶接等の技術によって第3のプランジャ370の側部との間で電気的接続が可能となるように固定される。また、接続部材371は、バレル304の下部側の第2の端部316とも電気的接続が可能となるように固定されている。
したがって、接続部材371は、上述したように、第3のプランジャ370の側部およびバレル304の第2の端部316にそれぞれに固定される。そして、接続部材371は、第3のプランジャ370の配置構造を保持するとともに、第3のプランジャ370の側部およびバレル304の第2の端部316の間を導通させることができる。
以上のようにして、本発明の第4実施形態の検査プローブ300を製造することができる。
ここで、検査プローブ300において、第3のプランジャ370は、例えば、被検査体(図示されない)となる半導体チップ(図示されない)の電極をなす半田ボール(図示されない)のような、被検査体の外部接点と電気的に接触する端子として用いられることが好ましい。
また、第1のプランジャ307は、第1のスプリングプローブ302の第1の筒状部306の第1の一端部311に設けられ、プローブカード(図示されない)の配線基板(図示されない)の電気回路と電気的に接触する端子として用いられることが好ましい。同様に、第2のプランジャ357は、第2のスプリングプローブ352の第2の筒状部356の第2の一端部361に設けられ、プローブカードの配線基板の電気回路と電気的に接触する端子として用いられることが好ましい。
このような構成とすることで、検査プローブ300は、接続部材371を用い、被検査体の電極の直近で、それに接触する端子となる第3のプランジャ370とバレル304とを接続することができる。バレル304は、上述したように、第1の絶縁体部303または第2の絶縁体部353を介して第1のスプリングプローブ302および第2のスプリングプローブ352を囲むように構成されている。その結果、検査プローブ300は、4端子接続(ケルビン接続)の実現に有効であって、被検査体の精密な電気的試験を可能にする検査プローブとなる。
すなわち、検査プローブ300を用いて、電気的試験の対象となる被検査体(図示されない)の4端子接続(ケルビン接続)を実現する場合、上述した本発明の第2実施形態の検査プローブ100の場合と同様に、2つの検査プローブ300を一組にして用いる。
そして、電気的試験で測定する電気信号用の2経路(所謂、Force線)を、2つの検査プローブ300のそれぞれの第1のスプリングプローブ302の第1のプランジャ307によって構成する。
また、その電気信号をモニタするための2経路(所謂、Sense線)を、2つの検査プローブ300それぞれの第2のスプリングプローブ352の第2のプランジャ357によって構成する。
上述したように、2つの検査プローブ300のそれぞれにおいて、第1のスプリングプローブ302の第1のプランジャ307と第2のスプリングプローブ352の第2のプランジャ357とは、第3のプランジャ370を介して、電気的に接続されている。
そのため、2つの検査プローブ300では、2つの第2のプランジャ357を、電気的試験で測定する電気信号をモニタするためのSense線として用いることができる。
このとき、2つの検査プローブ300では、被検査体の直近でのSense線接続が可能となり、より正確な電気信号のモニタが可能となる。
そして、本発明の第4実施形態の検査プローブ300は、4端子接続(ケルビン接続)を実現し、被検査体の精密な電気的試験に有効な検査プローブとなる。
実施の形態5.
<プローブ組立体>
上述した本発明の第1実施形態から第4実施形態の検査プローブ1,100,200,300を適宜選択して用いることにより、本発明の第5実施形態のプローブ組立体を構成することができる。
本発明の第5実施形態のプローブ組立体は、上述した本発明の第1実施形態から第4実施形態の検査プローブ1,100,200,300のいずれの検査プローブを組込むことも可能である。以下では、図1等に示した本発明の第1実施形態の検査プローブ1を用いたプローブ組立体を例として、本発明の第5実施形態のプローブ組立体の構造について説明する。
図9は、本発明の第5実施形態のプローブ組立体の構造を模式的に示す断面図である。
図9に示すように、本発明の第5実施形態のプローブ組立体400は、ケーシング401と、このケーシング401の下部側となる第1の面を覆う第1のガイド板402と、このケーシング401の上部側となる第2の面を覆う第2のガイド板403とを有する。そして、プローブ組立体400は、本発明の第1実施形態の検査プローブ1をケーシング401に収納することによって構成される。
図の下部側に設けられた第1のガイド板402には、第1の開口405が開設されている。この第1の開口405は、被検査体(図示されない)の外部接点の配置に対応して設けられる。被検査体が、例えば、半導体チップである場合、その半導体チップの電極をなす半田ボール(図示されない)の配置に対応して、第1の開口405は設けられる。
また、図の上部側に設けられた第2のガイド板403には、上述した第1のガイド板402の第1の開口405の真上に第2の開口406が開設されている。第2の開口406は、被検査体の外部接点の配置に対応した配置を有する。
そして、ケーシング401には、そこに収納された複数の検査プローブ1のうち、隣接する検査プローブ1同士の間に介在される隔壁407が設けられている。
したがって、ケーシング401に収納された検査プローブ1は、隔壁407によって隣接された検査プローブ1同士の短絡が防止されている。
ここで、検査プローブ1は、このケーシング401に収納されると、長手方向(図の上下方向)の寸法が小さくなるように、若干圧縮された状態になっている。すなわち、ケーシング401に収納された検査プローブ1は、それを構成するスプリングプローブ2の筒状部6のスプリング構造5およびバレル4のスプリング構造10等の作用によって、若干圧縮された状態となる。
そして、第1のガイド板402の第1の開口405からは、検査プローブ1のスプリングプローブ2の第2のプランジャ8が突出した状態となっている。また、第2のガイド板403の第2の開口406からは、検査プローブ1のスプリングプローブ2の第1のプランジャ7が突出した状態となっている。
そのため、プローブ組立体400は、例えば、被検査体の外部接点に検査プローブ1のスプリングプローブ2の第2のプランジャ8を接触させることができる。また、プローブ組立体400は、その被検査体と離間して対向配置された配線基板の電気回路と検査プローブ1のスプリングプローブ2の第1のプランジャ7とを接触させることができる。
その結果、プローブ組立体400は、被検査体の外部接点と配線基板の電気回路とを電気的に接続することができる。そして、プローブ組立体400は、検査プローブ1を構成するスプリングプローブ2の筒状部6のスプリング構造5およびバレル4のスプリング構造10のバネ作用によって、被検査体の外部接点と配線基板の電気回路との間の十分な電気的接続を実現することができる。
以上の構成を備えたプローブ組立体400は、後述するように、中間基板およびメイン基板と組み合わせられ、本発明の第6実施形態のプローブカードを構成することができる。
実施の形態6.
<プローブカード>
上述した本発明の第5実施形態のプローブ組立体400を用いることにより、本発明の第6実施形態のプローブカードを構成することができる。
本発明の第5実施形態のプローブ組立体は、上述したように、本発明の第1実施形態から第4実施形態の検査プローブ1,100,200,300のいずれの検査プローブを組込むことも可能である。したがって、本発明の第6実施形態のプローブカードは、本発明の第1実施形態から第4実施形態の検査プローブ1,100,200,300のいずれの検査プローブを有することも可能である。
以下では、図9に示した本発明の第5実施形態のプローブ組立体400を用いたプローブカードを例として、本発明の第6実施形態のプローブカードについて説明する。
図10は、本発明の第6実施形態のプローブカードを模式的に説明する図である。
図10に示すように、本発明の第6実施形態のプローブカード500は、上述した図9の本発明の第5実施形態のプローブ組立体400と、中間基板501と、メイン基板502とを組み合わせて構成される。
中間基板501は、中間導電パターン510を有する配線基板である。中間導電パターン510では、中間基板501のプローブ組立体400側の表面に、電極511が形成されている。中間導電パターン510の電極511は、プローブ組立体400の第2の開口406(図10では図示されない)から突出する検査プローブ1の第1のプランジャ7の先端に接触して電気的に接続される。
また、メイン基板502も配線基板であって、中間基板501の中間導電パターン510に接続される導電パターン512を有している。
すなわち、プローブカード500は、検査プローブ1、中間基板501の中間導電パターン510、メイン基板502の導電パターン512の順に電気的に接続されていることになる。
そして、プローブカード500においては、例えば、被検査体の外部接点(図示されない)に検査プローブ1のスプリングプローブ2(図10では図示されない)の第2のプランジャ8を接触させる。それによって、プローブカード500は、その被検査体の外部接点と中間基板501の中間導電パターン510とを電気的に接続することができる。さらに、プローブカード500は、その被検査体の外部接点とメイン基板502の導電パターン512とを電気的に接続することができる。
本発明の第6実施形態のプローブカード500は、上述した本発明の第5実施形態のプローブ組立体400を用いて構成されており、本発明の第1実施形態の検査プローブ1を有して構成される。プローブカード500は、本発明の第1実施形態の検査プローブ1を、中間基板501およびメイン基板502に対して垂直に支持する構造を有する。
本発明の第1実施形態の検査プローブ1を有するプローブカード500は、高周波数の電気信号を用いる電気的試験に有効なプローブカードとなる。
尚、上述したように、本発明の第6実施形態のプローブカードは、本発明の第1実施形態の検査プローブ1のほか、本発明の第2実施形態から第4実施形態の検査プローブ100,200,300のいずれの検査プローブを有することも可能である。
したがって、本発明の第6実施形態のプローブカードは、本発明の第2実施形態から第4実施形態の検査プローブ100,200,300のいずれかの検査プローブを有することによって、被検査体の精密な電気的試験に有効なプローブカードとなる。
尚、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
例えば、本発明の第1実施形態から第4実施形態の検査プローブ1,100,200,300は、上述したように、本発明の第5実施形態のプローブ組立体400および第6実施形態のプローブカード500の他、検査ソケットの構成要素としても使用することが可能である。
検査ソケットは、上述したように、切断した半導体チップを実装組立(パッケージ)した完成後に行う最終検査工程で使用される電気的接続装置である。
このような検査ソケットの例としては、特開2006−351474号公報に記載のものがある。この従来の検査ソケットは、IC等の被検査体が挿入される案内開口を備えたガイド板と、被検査体の電極と配線基板とを電気的に接続する接触子と、接触子を回動可能に支持するハウジングと、接触子を介して被検査体と試験用の電気信号および検出信号をやり取りする配線基板とを備えて構成されている。被検査体はガイド板の案内開口に挿入され、この被検査体の電極と接触子とが互いに接触することで、電気信号が被検査体に送信されて試験が行われる。
したがって、本発明の第1実施形態から第4実施形態の検査プローブ1,100,200,300は、上述した検査ソケットの接触子として使用することができる。すなわち、検査プローブ1,100,200,300は、接触子として使用されて検査ソケットの構成に用いることができ、高周波数の電気信号を用いる電気的試験に有効な検査ソケットおよび精密な電気的試験に有効な検査ソケットを提供することができる。