JP6625329B2 - ゴム組成物、及びオイルシール - Google Patents
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Description
このため、オイルシールの摺動面に固体潤滑剤をコーティングしたり、ゴムに固体潤滑剤を添加したりすることにより、被摺動体との間の摩擦係数を低減することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、上記目的を達成するための本発明であるオイルシール用ゴム組成物は、フッ素ゴムと、炭素繊維とを含むことを特徴としている。
上記のように構成されたゴム組成物を加硫成形すれば、フッ素ゴムの加硫物からなるマトリックス中に炭素繊維が分散された加硫ゴムを得ることができる。
この場合、炭素繊維の含有比率が、3質量%未満である場合や、50質量%より多い場合と比較して、加硫ゴムとしたときの弾性等の特性がより好適に維持されかつ摩擦係数を低減することができる。
この場合、炭素繊維の平均直径が1μm未満である場合や、20μmより大きい場合と比較して、炭素繊維をマトリックス中により均一に分散させることができ、マトリックス表面から適切な状態で露出させることができる。
この場合、炭素繊維の平均繊維長が1μm未満である場合や、200μmより大きい場合と比較して、炭素繊維をマトリックス中により均一に分散させることができ、マトリックス表面から適切な状態で露出させることができる。
この場合、炭素繊維のアスペクト比が1未満である場合や、200より大きい場合と比較して、炭素繊維をマトリックス表面からより適切な状態で露出させることができる。
なお、上記炭素繊維のアスペクト比とは、炭素繊維の平均繊維長を平均直径で除した値である。
また、本発明のオイルシールは、上述のゴム組成物を加硫成形して得られたものである。
上記オイルシールによれば、摩擦係数を長期に亘って効果的に低減することができる。
フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系のフッ素ゴム(FKM)が用いられる。上記フッ化ビニリデン系のフッ素ゴムとしては、特に限定されず、従来から公知なものを用いることができる。
炭素繊維は、その平均直径が1〜20μmのものが好適に用いられる。
ゴム組成物を加硫成形すれば、フッ素ゴムの加硫物からなるマトリックス中に炭素繊維が分散された加硫ゴムを得ることができるが、炭素繊維の平均直径が20μmより大きい場合、炭素繊維をマトリックス中に均一に分散させることができないおそれがある。また、炭素繊維の平均直径が1μm未満である場合、炭素繊維をマトリックス表面から適切な状態で露出させることができないおそれがある。
このため、炭素繊維の平均直径を1〜20μmとすることで、炭素繊維の平均直径が1μm未満である場合や、20μmより大きい場合と比較して、炭素繊維をマトリックス中により均一に分散させることができ、マトリックス表面から適切な状態で露出させることができる。
さらに、炭素繊維は、その平均直径が5〜15μmであることがより好ましい。
この場合、炭素繊維をマトリックス中にさらに均一に分散させることができ、マトリックス表面からより適切な状態で露出させることができる。
炭素繊維の平均繊維長が1μm未満である場合や、200μmより大きい場合、炭素繊維をマトリックス中に均一に分散させることができないおそれがある。
このため、炭素繊維の平均繊維長を1〜200μmとすることで、炭素繊維の平均繊維長が1μm未満である場合や、200μmより大きい場合と比較して、炭素繊維をマトリックス中により均一に分散させることができ、マトリックス表面から適切な状態で露出させることができる。
炭素繊維の平均繊維長は、より好ましい数値範囲は、30〜150μmである。
この場合、炭素繊維をマトリックス中にさらに均一に分散させることができ、マトリックス表面からより適切な状態で露出させることができる。
この場合、炭素繊維のアスペクト比が1未満である場合や、200より大きい場合と比較して、炭素繊維をマトリックス表面からより適切な状態で露出させることができる。
さらに、炭素繊維のアスペクト比は、2〜30であることがより好ましい。
この場合、炭素繊維をマトリックス中にさら適切な状態で露出させることができる。
なお、上記炭素繊維のアスペクト比とは、炭素繊維の平均繊維長を平均直径で除した値である。
炭素繊維の含有比率が50質量%より多い場合、加硫ゴムとしたときのゴムの硬さが上昇し、柔軟性が低下する。また、炭素繊維の含有比率が3質量%未満である場合、摩擦係数を効果的に低減できないおそれがある。このため、炭素繊維の含有比率を3〜50質量%、より好ましくは5〜25質量%とすることで、加硫ゴムとしたときのゴムの硬さがより好適に維持されかつ摩擦係数を効果的に低減することができる。
炭素繊維の含有比率のさらに好ましい数値範囲は、7〜21質量%である。
これにより、加硫ゴムとしたときのゴムの硬さがより好適に維持されかつ摩擦係数をより効果的に低減することができる。
上記各成分が配合されたゴム組成物は、一般的な混練方法によって混練される。
混練されたゴム組成物は、射出成型機や圧縮成型機を用いて、約170〜180℃、約3〜10分間で一次加硫を行った後、さらにオーブンにて約200〜230℃、約12〜24時間といった条件下で二次加硫を行うことにより、所望の形状に加硫成形される。
上記ゴム組成物が加硫成形すれば、フッ素ゴムからなるマトリックス中に炭素繊維が分散された加硫ゴムを得ることができる。
このオイルシール1は、自動車用エンジンのエンジンブロック2に設けられたハウジング3と、ハウジング3から突出したクランクシャフト4の端部4aとの間の環状空間に取り付けられており、ハウジング3と、端部4aとの間からエンジンブロック2内の潤滑油が外部に漏洩しないように密封している。
芯金10は、シール部11の本体部11aを介してハウジング3に圧入嵌合されており、これによって、オイルシール1は、ハウジング3に固定されている。
シール部11は、芯金10に加硫接着されており、芯金10の外側面に沿って形成された上述の本体部11aと、端部4aの外周面4bに摺接する主リップ12と、主リップ12よりもエンジンブロック2の外側方向に位置している補助リップ13とを備えている。
下記表1は、実施例に係るゴム組成物及び比較例に係るゴム組成物それぞれの配合組成を示している。
加硫材としては、キュラティブA(デュポン社製)を用いた。また、加硫助剤としては、キュラティブB(デュポン社製)を用いた。
加硫促進剤としては、酸化マグネシウム(協和化学工業社製)、及び水酸化カルシウム(近江化学工業社製)を用いた。
充填材としては、カーボンブラック(カンカーブ社製)を用いた。
カーボンファイバーとしては、PAN系カーボンファイバー「ミルドファイバーHT M100 40MU」(東邦テナックス社製、単繊維の平均直径7±0.2ミクロン、平均繊維長40±10ミクロン)を用いた。
加工助剤としては、ワックス(デュポン社社製)を用いた。
この試験片を用いて摩擦摩耗試験を行い、摩擦係数及び摺動面の温度を測定し、評価を行った。
摩擦摩耗試験装置20は、上記試験片と環状の測定治具とを一定の荷重で押圧した状態で相対回転させ、そのときの摩擦係数及び摺動面の温度を測定することができる。
摩擦摩耗試験装置20は、測定治具21を保持する保持部22と、試験片23を支持するステージ24とを備えている。
ステージ24の上面24aには、試験片23が一体回転可能に固定される。ステージ24は、測定治具21の中心軸S回りに回転可能であり、互いに当接した試験片23と測定治具21とを相対回転させる。これによって、試験片23と測定治具21とは、互いに摺動する。
以下に摩擦摩耗試験の試験条件を示す。
試験装置:摩擦摩耗試験機EFM−III−F(株式会社オリエンテック)
測定治具:外径25.6mm、内径20.0mm、厚み15.0mm、材質S45C、表面粗さRa0.50〜0.52
垂直荷重:5kg
面圧 :2.49kg/cm2
回転速度:500rpm
周速 :0.6m/s
試験時間:10min
室温 :25℃
摩擦係数が不安定に現れている範囲の後に現れている、摩擦係数が安定している範囲は、試験片と測定治具との間が定常摩耗の状態にあると考えられる。
数値が安定した後の摺動面温度を実施例と比較例とで比較すると、実施例による摺動面温度は60〜70℃であるのに対し、比較例による摺動面温度は190℃以上と、実施例の方がより摺動面温度が低くなっており、実施例による試験片の方が摩擦係数がより効果的に低減されていることが裏付けされている。
Claims (2)
- フッ素ゴムと、炭素繊維とを含み、
前記炭素繊維の含有比率は、7〜21質量%
前記炭素繊維は、平均直径が7±0.2μm
前記炭素繊維は、平均繊維長が30〜150μm
前記炭素繊維のアスペクト比は2〜30である
ことを特徴とするオイルシール用ゴム組成物。 - 請求項1に記載のゴム組成物を加硫成形して得られたオイルシール。
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