JP6623086B2 - 複合発泡体、壁パネル、及び、複合発泡体の作製方法 - Google Patents
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Description
該壁パネルとしては、化粧鋼板などの表面材と石膏ボードなどの背面材とを一体化させたようなものが知られている(特許文献1、図1、段落0031等参照)。
なお、樹脂発泡体としては、押出発泡シートやビーズ発泡成形体などが知られているが、前記背面材には、通常、一定以上の厚さと強度とを有することが求められるため、石膏ボードなどに代えて採用する樹脂発泡体としてはビーズ発泡成形体が適している。
しかし、ビーズ発泡成形体は、発泡シートなどに比べると表面強度において劣る傾向がある。
そのため、単に石膏ボードをビーズ発泡成形体に変更しただけでは強度に優れた壁パネルを得ることが難しい。
このようなことから、ビーズ発泡成形体の表面に樹脂フィルムをラミネートして表面性状を向上させることが考えられる。
その一方で、厚い樹脂フィルムをビーズ発泡成形体にラミネートした場合は、樹脂フィルムとビーズ発泡成形体との強度の差が顕在化して樹脂フィルムとビーズ発泡成形体との界面に応力集中を生じさせ易くなるおそれがある。
また、厚い樹脂フィルムをラミネートするとビーズ発泡成形体の軽量性が損なわれるおそれもある。
このようなことからビーズ発泡成形体の軽量性を活かしつつ優れた表面物性を有する部材を得ることが難しい状況となっている。
そこで、本発明は、軽量で優れた表面性状を有する部材とその好適な作製方法とを提供し、ひいては、軽量性に優れた壁パネルを提供することを課題としている。
なお、軽量で優れた表面性状を有する部材は、壁パネルの背面材だけでなく各種用途においても求められているものであり、本発明は、壁パネル以外においても利用価値の高い部材を提供することを課題としている。
従って、複合発泡体は、発泡シートによって表面が補強されるとともに当該発泡シートとして厚手のものを採用しても樹脂フィルムを用いる場合のような大きな質量増加を招くおそれが低い。
したがって、本発明によれば複合発泡体に大きな質量増加を生じさせることを抑制しつつビーズ発泡成形体の亀甲模様が表出することを抑制し得る。
また、本発明の複合発泡体は、ビーズ発泡成形体と発泡シートとの界面に適度な凹凸が形成されていることからこれらの間に強固な接着性を発揮させることができる。
即ち、本発明によれば、例えば、壁パネルの構成部材などに利用するのに適した軽量で表面物性に優れた複合発泡体が提供され得る。
なお、以下においては、複合発泡体が壁パネルの背面材として用いられる場合を例に挙げて図を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態の複合発泡体が用いられてなる壁パネルの概略斜視図であり、図2、図3は当該壁パネルの概略断面図である。
これらの図に示したように壁パネル1は、矩形板状であり、表面材10、該表面材10の背面側に備えられた背面材20、及び、該背面材20のさらに背面側に備えられたバックボード30を備えた積層構造を有している。
本実施形態におけるビーズ発泡成形体21と発泡シート22とは、何れも熱可塑性樹脂製である。
前記ビーズ発泡成形体21と前記発泡シート22とは熱融着によって接着されており、接着剤を用いることなく接着されている。
即ち、前記背面材20として用いられている複合発泡体は、ビーズ発泡成形体21の表面に発泡シート22が接着されており、しかも、発泡シート22とビーズ発泡成形体21との接着界面が熱融着面となっている。
即ち、前記ビーズ発泡成形体21は、表面21xに凹凸が形成されており、且つ、該凹凸の凸部が前記接着界面において前記発泡シート22の発泡層22aに食い込んでいる。
また、前記ビーズ発泡成形体21は、前記凸部の平均高さが0.2mm以上となっている。
まず、図3に模式的に示したような断面が現れるようにビーズ発泡成形体21を切断する。
なお、ビーズ発泡成形体21の切断は、できる限り発泡シートとの接着界面に対して垂直となるようにし、且つ、発泡ビーズができるだけ変形しないように注意して行う。
そして、発泡シート22との接着界面を形成している発泡ビーズの中から無作為に1つの発泡ビーズ(例えば、図3の符号B1)を選ぶ。
次いで、この発泡ビーズB1(以下、「第1ビーズB1」ともいう)の両隣りで接着界面を形成している2つの発泡ビーズの内の一方の発泡ビーズB2(以下、「第2ビーズB2」ともいう)と他方の発泡ビーズB3(以下、「第3ビーズB3」ともいう)とをそれぞれ観察する。
そして、第1ビーズB1と第2ビーズB2とが気泡膜を接触させている箇所の内で最も発泡シート寄りのポイントP1(以下「第1ポイントP1」ともいう)を特定する。
即ち、ビーズ発泡成形体21の表面21xにおける第1ビーズB1と第2ビーズB2との気泡膜の分離起点を特定する。
同様に、第1ビーズB1と第3ビーズB3とが気泡膜を接触させている箇所の内で最も発泡シート寄りのポイントP2(以下「第2ポイントP2」ともいう)を特定する。
そして、この第2ポイントP2と前記第1ポイントP1とを結ぶ仮想線L1から第1ビーズB1が突出している高さH(仮想線L1に対する垂直高さ)を求める。
この突出高さHを求める操作を概ね100個の発泡ビーズに対して実施し、得られた全ての突出高さの値を算術平均してビーズ発泡成形体21の凸部の平均高さを求める。
なお、突出高さHを求める操作は、ビーズ発泡成形体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)、或いは、光学顕微鏡などを使って写真撮影し、実際の大きさに対して概ね25倍に拡大した画像を元に実施することができる。
一方で、前記ビーズ発泡成形体21は、「凸部の平均高さ」が過度に高いと、樹脂フィルム層22bの表面22bxにまで凹凸が生じるおそれがある。
従って、凸部の平均高さは、通常、発泡シート22の平均厚み以下とされ、発泡層22aの平均厚み以下とされる。
また、発泡層22aは、その発泡倍率を「e倍」とした場合、現厚みの「1/e」以下に圧縮することが難しい。
従って、発泡層22aは、その厚みを「t(mm)」とした場合、「t/e(mm)」よりも薄く圧縮することが難しい。
言い換えれば、発泡層22aの厚みの減少は、「t−t/e(mm)」以上とすることが難しい。
このようなことから“凸部の平均高さ”は、「t−t/e(mm)」以下であることが好ましい。
また、“凸部の平均高さ”は、発泡ビーズの平均気泡径の5%以上であることが好ましい。
まず、前記の「凸部の平均高さ」を求めるのと同様にして複合発泡体を切断して断面を観察する。
そして、発泡シート22との接着界面を形成している発泡ビーズの中から無作為に1つの発泡ビーズ(例えば、図3の符号B4)を選ぶ。
そして、発泡層と該発泡ビーズB4(以下、「第4ビーズB4」ともいう)との界面の内、最も樹脂フィルム層22bに近いトップの位置TLと、最も樹脂フィルム層22bから離れたボトムの位置BLとを特定する。
そして、このトップの位置TLとボトムの位置BLとの中間点を通る仮想線L2から樹脂フィルム層22bまでの距離T1、及び、仮想線L2から樹脂フィルム層22bの表面22bx(表面材との界面)までの距離T2を求め、それぞれを当該箇所における発泡層22aの厚み(=「T1」)および発泡シート22の厚み(=「T2」)とすることができる。
なお、発泡シート22の平均厚みや発泡層22aの平均厚みは、先の「凸部の平均高さ」と同様に、この厚み(T1,T2)を求める操作を複数箇所において実施し、得られた全て値を算術平均することによって求められる。
即ち、「凸部の平均高さ」や「発泡シートの厚み」を求めるのと同様に複合発泡体の断面を観察し、発泡ビーズの輪郭線上の異なる2点を結ぶ線分の内の最も長さが長くなる線分の長さ(例えば、図3の符号R1,R2)を求め、この長さを平均して平均気泡径とすることができる。
また、複合発泡体は、前記表面材10の背面に当接される表面のアスカーC硬度が70以上であることが好ましく、前記発泡シート22の表面のアスカーC硬度が70以上であることが好ましい。
ビーズ発泡成形体21や発泡シート22の発泡倍率、及び、複合発泡体の平均発泡倍率(ビーズ発泡成形体と発泡シートとの平均発泡倍率)は、通常、真密度を見掛け密度で除して求めることができる。
真密度は、ビーズ発泡成形体21、発泡シート22、及び、複合発泡体を熱プレスするなどして作製した非発泡なテストピースに対し、JIS K7112:1999に規定の「A法(水中置換法)」に基づく測定を実施して求めることができる。
また、ビーズ発泡成形体21、発泡シート22、及び、複合発泡体の見掛け密度は、JIS K7222:2005に基づいて測定することができる。
さらに、アスカーC硬度については、市販のアスカーC硬度計を用いて測定することができ、標準状態(例えば、25℃、50%RH)において複合発泡体の発泡シート(樹脂フィルム層)の表面に対して測定を行った際の瞬時値として求めることができる。
なお、「真密度」、「見掛け密度」、及び、「アスカーC硬度」も、「凸部の平均高さ」や「平均厚み」と同様に複数箇所の測定値の平均値として求められる。
また、前記共重合体を構成するスチレン系単量体以外の単量体としては、メタクリル酸メチルなどのメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸などが挙げられる。
また、前記スチレン系樹脂は、ブタジエンゴムなどのゴム成分を含むハイインパクトポリスチレン(HIPS)などであってもよい。
前記ポリエステル系樹脂は、2種類以上のジオールや、2以上のジカルボンを含む変性品であってもよい。
発泡層22aの見掛け密度は、130〜350kg/m3の範囲内であることがより好ましく、175〜250kg/m3の範囲内であることが特に好ましい。
発泡層22aの厚みは、0.5mm以上であることが好ましく、0.7〜1.5mmの範囲内であることがより好ましく、1.0〜1.2mmの範囲内であることが特に好ましい。
この発泡シート22の樹脂フィルム層22bの厚みは、100〜1000μmの範囲内であることが好ましく、100〜500μmの範囲内であることがより好ましく、200〜300μmの範囲内であることが特に好ましい。
そのような意味から、前記ビーズ発泡成形体21に含まれている樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂が前記発泡シート22に含まれていることが好ましい。
また、前記発泡シート22と前記ビーズ発泡成形体21との熱融着性を勘案すると、前記ビーズ発泡成形体21に含まれている樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂は、ビーズ発泡成形体21と接着界面を形成している部位に含まれていることが好ましく、前記発泡層22aに含まれていることが好ましい。
前記発泡シート22と前記ビーズ発泡成形体21とが共通して含有する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂及び/又はポリスチレン系樹脂であることが好ましい。
即ち、本実施形態の複合発泡体は、全体がポリオレフィン系樹脂によって形成されているか、又は、全体がポリスチレン系樹脂によって形成されているかの何れかであることが好ましい。
型内成形に用いる発泡性樹脂ビーズは、発泡剤を含む実質的に非発泡な状態のものであっても、この非発泡な樹脂ビーズを予備発泡させたものであってもよい。
前記発泡層22aと前記樹脂フィルム層22bとは、共押出法、押出ラミネート法、熱ラミネート法などの手法によって一体化させることができる。
具体的には、前記発泡剤としては、プロパン、i−ブタン、n−ブタン、i−ペンタン、n−ペンタンなどの脂肪族炭化水素、N2、CO2、水、アルコール類などが挙げられる。
(1)ビーズ発泡成形体21を作製するための成形型内に発泡シート22と発泡性樹脂ビーズとを収容し、該発泡性樹脂ビーズを加熱して当該発泡性樹脂ビーズどうしを熱融着してビーズ発泡成形体21を形成しつつ該ビーズ発泡成形体21と発泡シート22とを熱融着させる方法。
(2)発泡シート22と、ビーズ発泡成形体21とを予め個別に作製し、その後、ビーズ発泡成形体21と発泡シート22との少なくとも一方の表面を加熱してビーズ発泡成形体21と発泡シート22とを熱融着可能な状態にした上でこれらを圧接させて熱融着させる方法。
(3)前記溶融混練物を押出発泡させて発泡シートを作製し、押出機から押出された当該発泡シートが冷え切らずに表面温度が高温となっている間に予め作製しておいたビーズ発泡成形体の上に被せ、これらを圧接させて熱融着させる方法。
そのため、上記の(1)や(2)の方法では、ビーズ発泡成形体との熱融着前に発泡シートを加熱して軟化させておくことが好ましい。
また、上記の(1)においては、発泡性樹脂ビーズの膨張力を発泡シートに凸部を食い込ませるための圧力として利用できるため、本実施形態の複合発泡体を作製する方法としては、上記の(1)に示す方法が好適である。
(a)該成形型に熱可塑性樹脂製の発泡シート及び前記発泡性樹脂ビーズを収容し、且つ、該発泡シートを成形型の成形面に接触させた状態にさせる収容工程。
(b)前記発泡シートを加熱して軟化させる予熱工程。
(c)型内に過熱水蒸気などの加熱媒体を導入して発泡性樹脂ビーズを発泡させ、該発泡性樹脂ビーズによってビーズ発泡成形体を形成させるとともに該ビーズ発泡成形体と前記発泡シートとを熱融着させる成形工程。
なお、成形工程でビーズ発泡成形体と発泡シートとを熱融着させて得られた複合発泡体は、例えば、成形型ごと冷却して成形型から取り出すことができる。
本実施形態における成形型100は、図4正面視において上下に対をなして構成された雌雄型(雌型110,雄型120)と、該成形型内に形成された成形空間CVに前記発泡性樹脂ビーズを充填させるための充填機130とを備えている。
前記雌雄型は、その内部に前記複合発泡体の形状に対応した矩形板状の成形空間CVを形成させるように構成されている。
前記雄型120は、前記雌型110の前記雌型側壁部112の下端側の開口形状に相当する平面形状を有する雄型天壁部121が上面側に備えられている。
即ち、成形型100は、雄型天壁部121、雌型天壁部111、及び、雌型側壁部112の表面によって成形面が形成され、前記雌型110と前記雄型120との閉型時にこれらによって成形空間CVが画定されるようになっている。
一方で雄型天壁部121には、蒸気流通孔が形成されておらず、表面がフラットなものとなっている。
本実施形態における成形型100は、前記蒸気流通孔を通じて成形空間内に0.05MPa〜0.1MPa程度のゲージ圧を有する過熱水蒸気を導入させ、該過熱水蒸気を発泡性樹脂ビーズに直接接触させてこの発泡性樹脂ビーズどうしを熱融着させ得るように形成されている。
また、前記のように雄型天壁部121には蒸気流通孔が形成されていないが、本実施形態における成形型100は、雄型天壁部121の下面側に過熱水蒸気を導入して雄型天壁部121を加熱し得るように形成されている。
(イ)型を開け、雄型天壁部121の大きさにカットした発泡シート22’を雄型天壁部121の上に置き、しかも、樹脂フィルム層側が雄型天壁部121の上面と接触するように発泡シート22’を置いて型を閉じる。
(ロ)発泡シート上の余剰空間に充填ガンから発泡性樹脂粒子21’を供給して成形空間内を発泡性樹脂粒子で充満させる。このとき、雌型110と雄型120とを完全な閉型状態にせず、完全な閉型状態の場合の成形空間の容量を100%とした際に前記容量が105%〜120%となるようにしておき、発泡性樹脂粒子を少し余分に充填した後に型締めし、発泡シート22’が上面側から発泡性樹脂粒子21’によって押圧された状態にしておくことが好ましい。このようにしておくことで、ビーズ発泡成形体の凸部の発泡シートへの食い込みを良好なものとすることができる。
(ハ)次いで、雄型天壁部121を通じて発泡シート22’を加熱し、該発泡シート22’を十分に軟化させた後、雌型110の蒸気流通孔から成形空間内に過熱水蒸気を導入し発泡性樹脂粒子21’を体積膨張させるとともに発泡性樹脂粒子21’を互いに熱融着させてビーズ発泡成形体を形成させ、しかも、該ビーズ発泡成形体と発泡シートとを熱融着させる。発泡シートの発泡層の主成分が「Tm(℃)」の融点を有する結晶性ポリマーである場合、発泡シートの加熱は、前記発泡層の表面温度が(Tm−50)℃以上、(Tm−5)℃以下となるように実施することが好ましい。また、発泡シートの発泡層の主成分が「Tg(℃)」のガラス転移点を有する非晶性ポリマーである場合、発泡シートの加熱は、前記発泡層の表面温度が(Tg−50)℃以上(Tg−5)℃以下となるように実施することが好ましい。なお、前記融点及び前記ガラス転移点は、JIS K7121:1987のDSC法(昇温速度10℃/min)によって求めることができ、前記ガラス転移点は、当該規格の中間点ガラス転移温度として求めることができる。
即ち、複合発泡体の表面を構成する樹脂フィルム層は、その表面状態が主として雄型天壁部121の表面状態のみに影響されることになる。
本実施形態においては雄型天壁部121が平坦であるため、複合発泡体の表面も平滑で美麗なものとなる。
なお、複合発泡体の美観のさらなる向上を図るべく、例えば、鏡面加工されて雄型天壁部よりも平滑性に優れた金属板のようなものを別途用意し、上記の(イ)の操作において雄型天壁部と発泡シートとの間に金属板を介装して該金属板で雄型の成形面を形成させるようにしてもよい。
また、要すれば、表面に凹凸形状を有する金属板を用いて複合発泡体の表面にエンボス加工を施すようにしてもよい。
そこで、ビーズ発泡成形体に熱融着させる前の発泡シートの片面に予め凹みを形成しておいてもよい。
即ち、本実施形態の複合発泡体の作製方法においては、複数の点状押圧痕及び複数の線状押圧痕の内の少なくとも一方をビーズ発泡成形体21に熱融着させる前の発泡シート22の片面に形成させる予備成形工程をさらに実施し、前記成形工程では発泡シートの押圧痕が形成された面を前記ビーズ発泡成形体に熱融着させ、このことによって発泡シートへの凸部の食い込みを促進させることが好ましい。
前記押圧痕は、発泡シートを点状や線状に押圧する熱成形を実施するなどして発泡シートに備えさせることができる。
線状の押圧痕を設ける場合、該押圧痕は、方向が1方向に揃ったものである必要はなく、例えば、格子状のような形で発泡シートに設けてもよい。
また、線状の押圧痕は、直線状である必要はなく、曲線状であってもよい。
さらに、一つの発泡シートに形成する点状押圧根や線状押圧痕は、大きさや形状を統一する必要は無く、大きさや形状の異なる複数種類のものであったり、太さや長さの異なる複数種類のものであってもよい。
また、押圧痕は、線状であれば、通常、その太さを3〜5mmとすることができる。
なお、点状押圧痕の大きさとは、同じ面積を有する円の直径を意味し、線状押圧痕の太さとは、面積を長さで除した値を意味する。
発泡シートに押圧痕を設ける場合、その面積割合は、30%程度(例えば、20〜40%)とすることが好ましい。
該壁パネルは、この複合発泡体をそのまま、或いは、外形加工して背面材20とし、該背面材の両面にカラー鋼板などの表面材10を接着することで作製することができる。
なお、本実施形態においては、複合発泡体の用途に関して壁パネルを例示しているが、本発明の複合発泡体の用途は、このようなものに限定されるものではない。
本発明の複合発泡体は、例えば、自動車の内装材(インストルメントパネル、ドアパネル、シートバックパネル、サンバイザー等)、家具(机、椅子、戸棚、ドア等)、看板、容器、緩衝材などにも利用可能である。
さらに、本発明の複合発泡体には、上記例示に限定されることなく各種の変更を加え得る。
表1に示すような発泡シートとビーズ発泡成形体とを用いて複合発泡体を作製した。
なお、発泡シートは、発泡層単独のもの及び発泡層と樹脂フィルム層とを備えたものとを用いた。
発泡シートやビーズ発泡成形体の厚みや発泡倍率等については表1に示した通りである。
発泡シートの形成材料については、表1に略号で示した通りである。
なお、略号の意味は以下の通りである。
・PS:スチレン単独重合体(GPPS)
・HIPS:ゴム成分を含むハイインパクトポリスチレン樹脂
・PP/HIPS:ポリプロピレン樹脂フィルムとハイインパクトポリスチレン樹脂とのドライラミネート品
・LDPE:低密度ポリエチレン樹脂
また、ビーズ発泡成形体の形成材料についての略号の意味は以下の通りである。
ビーズ発泡成形体の形成材料については、表1に略号で示す。
なお、略号の意味は以下の通りである。
・PS:スチレン単独重合体(GPPS)
・PP/PS:スチレンモノマーをグラフトして改質したポリプロピレン樹脂
・EVA/PS:エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)粒子にスチレンモノマーを吸収させた後に該スチレンモノマーを重合して得られた複合樹脂
なお、成形型は、図4、図5に示したようなものを用いて、大きさが縦300mm、横400mm、総厚み20mmの平板形状の複合発泡体を作製した。
成形時には型内に収容した発泡シートや発泡性樹脂ビーズを3段階に分けて加熱した後、表1に示すように80秒から240秒の冷却時間を設けた。
表3に示した第1回から第3回の3段階の加熱の方法についての略号は、以下のような意味である。
・A:発泡シート側(図5の例では下側)からの加熱。但し、型に蒸気流通孔がないため、型自体を加熱した。
・B:上記Aとは逆側(図5の例では上側)からの加熱。蒸気流通孔を通じて型内に過熱水蒸気を導入した。
・AB:上記Aによる加熱と、上記Bによる加熱との両方を実施。
・a:上記Aと同方向からの加熱。但し、蒸気流通孔を有する型を用い、発泡シートが収容されていない発泡性樹脂ビーズだけが収容されている型内に蒸気流通孔を通じて過熱水蒸気を導入した。
・b:上記aと逆方向からの加熱。但し、型内に蒸気流通孔を通じて過熱水蒸気を導入した。
・ab:上記aによる加熱と、上記bによる加熱との両方を実施。
また、複合発泡体に対して断面観察を実施し、ビーズ発泡成形体と発泡シートとの接着界面における凹凸の凸部の平均高さを求めた。
なお、これらの測定は、複合発泡体から2方向(MD、TD)に沿って切り出した測定試料に対して実施した。
具体的には、下記条件で測定された「応力―歪み曲線」から曲げ強度(最大点応力)と曲げ弾性率とを算出した。
そして、2方向(MD、TD)の測定結果を平均し、平均値を複合発泡体の「曲げ強度」及び「曲げ弾性率」とした。
(測定条件)
試験装置:テンシロン万能試験機 UCT−10T((株)オリエンテック製)
試料:80(幅)×250(長さ)×20(総厚み)(単位はmm)
支点間距離:200mm
試験方向:複合発泡体の発泡シートの面を加圧くさびと接触
試験速度:10mm/min
先端治具:加圧くさび・・・10R 支持台・・・10R
試験片状態調節・試験環境:23±2℃、RH50±5%、24時間以上
評価結果については、以下のような基準で判定した。
得られた平板形状の複合発泡体の発泡シートで形成された面の外観について目視観察した。
目視観察の結果は、以下の評価に基づいて判定した。
評価A:ビーズ発泡体に起因する凹凸の「有り」、「無し」
評価B:発泡シートの蒸気による熱焼け(シワ、凹み)の「有り」、「無し」
○:A、Bがともに無し
△:Aは無いが、Bが有り
×:Aが有り
結果を表1に示す。
なお、比較例5〜8についてはビーズ発泡成形体のみであるため、ビーズ発泡成形体の外観の評価を行ったが、ビーズ間の境界線が亀甲模様が確認されたため、表には(×)と記載している。
得られた平板形状の複合発泡体の表面に切り込み線を入れた。
切り込み線は、複合発泡体の長手方向中央部を横断するように形成した。
即ち、一対の長辺の中心どうしを結ぶ直線に沿って切り込み線を入れた。
該切り込み線は、カッターナイフを使って深さ約5mmとなるように形成した。
その後、この切り込み線を形成した複合発泡体を手で折って二分割した。
そして、二分割された複合発泡体のビーズ発泡成形体部分の破断面において発泡ビーズの数が100〜150個となる範囲を無作為に選択し、当該範囲内において発泡ビーズ自体が破断している数(a)と、発泡ビーズどうしの界面で破断している数(b)とを数えた。
(a)、(b)それぞれの数から内部融着率を下記式に基づいて算出した。
内部融着率(%)= (a)/〔(a)+(b)〕×100(%)
上記により算出した内部融着率を基に以下の基準で評価した。
○:内部融着率80%以上
△:内部融着率50%以上80%未満
×:内部融着率50%未満
また、二分割された複合発泡体に対し、発泡シートとビーズ発泡成形体との界面に沿ってカッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れた。
その後、この切り込み線に沿って複合発泡体から発泡シートを剥離した。
発泡シートの剥離は、手で実施した。
そして、発泡シートが剥離された後のビーズ発泡成形体の表面(剥離面)において発泡ビーズの数が100〜150個となる範囲を無作為に選択し、当該範囲において発泡ビーズ自体が破断している数(c1)と、発泡ビーズ表面に発泡シートの発泡層の一部が付着している数(c2)とを数え、これらの合計値(c)(=c1+c2)を求めた。
また、前記の範囲において、破断しておらず、発泡シートの付着も見られない発泡ビーズの数(d)(剥離面において発泡ビーズの表面が露出している数)を数えた。
(c)、(d)それぞれの数から界面融着率を下記式に基づいて算出した。
界面融着率(%)=(c)/〔(c)+(d)〕×100(%)
上記により算出した界面融着率を基に以下の基準で評価した。
○:界面融着率70%以上
△:界面融着率40%以上70%未満
×:界面融着率40%未満
そして、内部融着率と界面融着率の各評価を基に以下の基準で複合発泡体の熱融着性を判定した。
◎:内部融着率○、且つ、界面融着率○
○:内部融着率○、且つ、界面融着率△
△:内部融着率△、且つ、界面融着率△〜○
×:内部融着率×、又は、界面融着率×
結果を、表1に示す。
なお、比較例5〜8についてはビーズ発泡体のみであるため、表には内部融着率のみを括弧書きで示している。
10 表面材
20 背面材
21 ビーズ発泡成形体
22 発泡シート
22a 発泡層
22b 樹脂フィルム層
30 バックボード
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂製のビーズ発泡成形体と、熱可塑性樹脂製の発泡シートとを備え、
該発泡シートが前記ビーズ発泡成形体の表面に接着されており、前記ビーズ発泡成形体と前記発泡シートとの接着界面が熱融着面となっている複合発泡体であって、
前記ビーズ発泡成形体は、接着界面を構成している発泡ビーズが突出し、該発泡ビーズが前記発泡シートに食い込んで前記接着界面において凹凸が形成されており、
該凹凸の凸部の平均高さが0.2mm以上であり、
前記発泡シートは、1の発泡層のみで構成されているか、1の発泡層のシートに樹脂フィルムが積層された積層構造を有しているかの何れかであり、前記ビーズ発泡成形体には前記発泡層が接着されており、該発泡層の発泡倍率が、2.9以上6.2以下である、複合発泡体。 - 前記ビーズ発泡成形体の発泡倍率が30倍以上で、該ビーズ発泡成形体と前記発泡シートとの平均発泡倍率が10倍以上であり、前記発泡シートの表面のアスカーC硬度が70以上である請求項1記載の複合発泡体。
- 前記ビーズ発泡成形体に含まれている樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂が前記発泡シートに含まれている請求項1又は2記載の複合発泡体。
- 前記ビーズ発泡成形体と前記発泡シートとの両方に含まれている前記熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂である請求項3記載の複合発泡体。
- 前記ビーズ発泡成形体と前記発泡シートとの両方に含まれている前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である請求項3記載の複合発泡体。
- シート状の表面材と、該表面材の背面に接着された背面材とを有する壁パネルであって、
前記背面材が、熱可塑性樹脂製のビーズ発泡成形体と熱可塑性樹脂製の発泡シートとを備えた請求項1乃至5の何れかに記載の複合発泡体であり、
該背面材は、前記ビーズ発泡成形体が前記発泡シートよりも背面側となるように前記表面材に接着されている壁パネル。 - 熱可塑性樹脂製の発泡性樹脂ビーズが型内成形されてビーズ発泡成形体が作製される成形型を備えた成形装置を用いてビーズ発泡成形体と該ビーズ発泡成形体の表面に接着された発泡シートとを備えた複合発泡体を作製する複合発泡体の作製方法であって、
該成形型に熱可塑性樹脂製の発泡シート及び発泡性樹脂ビーズを収容し、且つ、該発泡シートを成形型の成形面に接触させた状態で成形型に収容させる収容工程と、
該収容工程後に成形型内に加熱媒体を導入して発泡性樹脂ビーズを発泡させ、該発泡性樹脂ビーズによってビーズ発泡成形体を形成させるとともに該ビーズ発泡成形体と前記発泡シートとを熱融着させる成形工程とを実施し、
前記収容工程後、且つ、前記成形工程前に前記発泡シートを加熱して軟化させる予熱工程を更に実施する複合発泡体の作製方法。 - 前記ビーズ発泡成形体に熱融着させる前の発泡シートの片面に複数の点状押圧痕及び複数の線状押圧痕の内の少なくとも一方を形成させる予備成形工程をさらに実施し、前記成形工程では発泡シートの押圧痕が形成された面を前記ビーズ発泡成形体に熱融着させる請求項7記載の複合発泡体の作製方法。
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