JP3872597B2 - 自動車用内装部品 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明はインストルメントパネルのような自動車用内装部品に関し、特に全体を同一系統のポリオレフィン樹脂で形成するとともに基材と表皮層との間に発泡層を設けた自動車用内装部品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
自動車のインストルメントパネルのような内装部品は、複雑な形状に一体的に成形されていなければならないだけでなく、良好な柔軟性及び弾発性を有するために良好な感触を与え、かつ表面に絞り状のパターン等がきれいに形成されていなければならない。そのため従来からインストルメントパネル等の内装部品は基材と表皮層との間に発泡層を設けた積層構造としていた。
【0003】
従来から内装部品の表皮は、感触、耐擦傷性、耐候性、耐久性等を考慮して、ポリ塩化ビニル樹脂により形成されており、内部の発泡層は主としてポリウレタン発泡体により形成されていた。また基材は、成形性、強度及び耐久性等を考慮して、ポリプロピレンやABS樹脂等により形成されていた。このようにポリ塩化ビニル樹脂表皮層/ポリウレタン発泡層/PP又はABS樹脂基材からなる積層構造を有する内装部品を製造するには、まずスラッシュ成形法によりポリ塩化ビニル樹脂の粉末から緻密な表皮層を成形し、別途射出成形したポリプロピレン又はABS樹脂からなる基材とともに前記表皮層を発泡型にセットし、両者の間にウレタンを注入し加熱することにより、発泡・ 硬化させる。
【0004】
このような積層構造を有する従来の内装部品は異なる樹脂により構成されているので、リサイクルを行う場合には樹脂ごとに分別を行う必要がある。しかしながら、ポリウレタン発泡層により密着されたポリ塩化ビニル樹脂表皮層及びABS樹脂又はポリプロピレンからなる基材を分離するには手間がかかるだけでなく、架橋発泡したポリウレタン層は再利用が不可能であるという問題があった。その上ポリ塩化ビニル樹脂の焼却には環境に悪影響を及ぼすガスが発生するため、環境対策装置を具備した大型焼却炉により焼却しなければならない。そのため自動車の内装部品を微細に粉砕した後、ダストとして処分場に廃棄するのが実情であった。
【0005】
近年のごみ問題及び環境問題に鑑みて自動車から出る廃材をできるだけ低減するために、内装部品のリサイクル化が強く望まれており、一部実施が試みられている。そのためには各層の樹脂成分を同一系統のもの、特にポリオレフィン樹脂に統一するのが好ましい。このような試みとして、特公平7-8628号は、オレフィン系樹脂成形体からなるコアと、表面にオレフィン系エラストマーからなる表皮層を有するオレフィン系樹脂発泡体からなるパッドとが、ポリオレフィン系接着剤を介して一体化されてなる表皮層貼り込みインストルメントパネルを開示している。コアと表皮層との一体化には真空成形法が用いられている。具体的には、ポリオレフィン系接着剤を塗布した成形コアを真空成形型にセットし、その上にあらかじめ加熱した表皮層及びパッドの一体シートを載置し、コア側を真空にすることによりコアと表面に表皮層を有するパッドとを一体化し、トリミングして不要部分を除去した後単体に組み付けられる。
【0006】
しかしながら、この表皮層貼り込みインストルメントパネルでは、コアの表面にオレフィン系エラストマーからなる表皮層を有するオレフィン系樹脂発泡体のパッドが直接接着されるので、表皮層表面が真空成形時に変形するおそれがある。また表皮層と発泡体パッドとをポリオレフィン系接着剤を介して一体化しているので、表皮層と発泡体パッドとの密着性が必ずしも良好でない。
【0007】
従って本発明の目的は、全ての層をポリオレフィン系樹脂により形成するとともに、発泡時に表皮層に変形等を起こすことなく精度良く製造することができる自動車用内装部品を提供することである。
【0008】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、スラッシュ成形法により表皮層の裏面に第一の発泡層を一体的に成形し、発泡型内にポリプロピレン樹脂の射出成形体からなる基材と組み合わせて載置し、その間に発泡性ポリプロピレン樹脂ビーズを入れて加熱・発泡融着させることにより、表皮層に何の変形も起こすことなく良好な積層強度を有する内装部品が得られること発見し、本発明に想到した。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の自動車用内装部品は、(a) 加熱したスラッシュ成形型内に熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物の第一の粉末を充填して所定の厚さの表皮層を形成し、(b) 残余の第一の粉末を除去した後、発泡剤を含有する熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物の第二の粉末を前記スラッシュ成形型内に充填し、(c) 再度加熱することにより前記第二の粉末を発泡させて、前記表皮層に一体的に積層された第一の発泡層を形成し、(d) 前記表皮層及び前記第一の発泡層からなる表皮積層体を前記表皮層を外側にして発泡型内に載置するとともに、別途射出成形したポリプロピレン樹脂製基材も同型内に載置し、(e) 前記表皮積層体と前記基材との間に発泡性ポリプロピレン樹脂のビーズを入れた後で、スチーム又は高温エアーを送給することにより前記ポリプロピレン樹脂ビーズを発泡融着させ、もってポリプロピレン樹脂からなる第二の発泡層を形成するとともに、前記第二の発泡層及び前記基材に融着させてなることを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明では、熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物製の表皮層の裏面に第一の発泡層がスラッシュ成形法により密着して成形された表皮積層体を使用し、かつ表皮積層体と基材との間に発泡剤含有ポリプロピレン樹脂ビーズを入れて発泡させるので、第一の発泡層が緩衝材の役割を果たし、ビーズの発泡時に表皮層表面に凹凸が発生するのを防止することができる。また表皮層の裏面に第一の発泡層がスラッシュ成形法により密着して成形されており、さらにポリプロピレン樹脂ビーズの発泡時に第一の発泡層及び基材に融着するので、内装部品の各層の剥離強度は極めて高い。
【0012】
【発明の実施の態様】
[1] 内装部品
図1に示すように、内装部品は、熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物からなる表皮層1と、熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物の第一の発泡層2と、ポリプロピレン樹脂からなる第二の発泡層3と、ポリプロピレン樹脂からなる基材4とが一体的に積層した構造を有する。表皮層1と第一の発泡層2とは表皮積層体10を形成している。
【0013】
(A) 表皮層
(1) 熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物
表皮層1を構成する熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン樹脂、及びエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−ブテンゴム(EBR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)等のオレフィン系エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリオレフィン樹脂からなる。優れた機械的強度とともに良好な柔軟性及び弾性を有するために、ポリプロピレン樹脂とオレフィン系エラストマーからなる熱可塑性エラストマー組成物であるのが好ましい。
【0014】
ポリプロピレン樹脂は、プロピレンのホモポリマーのみならず、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体でも良い。α−オレフィンとしてはエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン等が挙げられる。プロピレン−α−オレフィン共重合体の中では、プロピレン−エチレン共重合体が好ましい。プロピレン−エチレン共重合体中のエチレン含有量は40重量%以下であるのが好ましい。エチレン含有量が40重量%を超えると機械的強度が低下する。ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR 、230 ℃、2.16kg荷重、JIS K7210 )は0.5 〜100 g/10分程度であるのが好ましい。
【0015】
オレフィン系エラストマーのエチレン含有量は30〜80重量%であるのが好ましく、またヨウ素価(不飽和度)が30以下で、ムーニー粘度ML1+8 (127℃) は10〜200 程度であるのが好ましい。このようなオレフィン系エラストマーの結晶化度は通常40%以下である。
【0016】
熱可塑性エラストマー組成物とする場合、ポリプロピレン樹脂とオレフィン系エラストマーとの重量比は5/95〜80/20程度であるのが好ましい。ポリプロピレン樹脂が5重量%未満では(オレフィン系エラストマーが95重量%を超えると)、機械的強度が低下し、一方ポリプロピレン樹脂が80重量%を超えると(オレフィン系エラストマーが20重量%未満では)、ゴム的物性が低下する。
【0017】
表皮層1の表面に良好な耐久性を与えるために、熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物を少なくとも部分的に架橋するのが好ましい。このためには、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、t-ブチルクミルパーオキサイド等のパーオキサイド系架橋剤を添加するのが好ましい。パーオキサイド系架橋剤の配合量は、ポリプロピレン樹脂及び/又はオレフィン系エラストマー100 重量部に対して0.01〜0.05重量部程度である。また架橋助剤を添加しても良い。
【0018】
熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物には、必要に応じ、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料の他、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、ケイ酸カルシウム等の無機充填材等を配合しても良い。
【0019】
(2) 厚さ
表皮層1の厚さは0.3mm 以上であるのが好ましく、0.5 〜2.0mm であるのがより好ましい。表皮層1の厚さが0.3 mm未満であると機械的強度、耐久性等が十分でないのみならず、発泡工程を経た時に表皮層1に凹凸等の欠陥が生じないようにするのが困難である。
【0020】
(B) 第一の発泡層
第一の発泡層2に使用する熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物は、発泡剤を含有する以外、表皮層1に使用するものと同じでよい。発泡剤としては、常温で液体状又は固体状であるが、熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物の融点以上に加熱したときに分解又は気化するものであれば、特に限定されない。このような発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾジカルボンアミド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、s-トリヒドラジノトリアジン等が挙げられる。発泡剤の添加量は、2〜4の発泡倍率が得られる程度であればよい。発泡倍率が2倍未満であると十分なクッション効果が得られず、また4倍超であると後のビーズ発泡成形時の圧力に耐えられない。具体的には、発泡剤の添加量はポリプロピレン樹脂及び/又はオレフィン系エラストマー100 重量部に対して1〜20重量部程度であれば良い。
【0021】
第一の発泡層2の厚さは2〜20mmであるのが好ましく、3〜10mmであるのがより好ましい。発泡層の厚さが2mm未満であるとクッション効果が十分でなく、また20mmを超えると第一の発泡層2の表面(表皮層1の裏面)が荒れすぎてポリプロピレン樹脂ビーズの充填が困難になる。
【0022】
(C) 第二の発泡層
第二の発泡層3に用いるポリプロピレン樹脂としては、ポリプロピレンのホモポリマーに限らずエチレン等との共重合体を含み、上記(B) に記載のものと同じで良い。第二の発泡層3の発泡性ポリプロピレンビーズは発泡倍率が10〜50倍である。また複雑形状に対応するために、ポリプロピレンビーズの粒子径は1〜5mm程度が好ましい。発泡倍率が10倍未満であると十分なクッション性が得られず、また50倍を超えると内装部品の腰が弱くなるとともに、表皮層1に過重な圧力がかかり、望ましい表面状態が得られない。第二の発泡層3の厚さは5〜50mmであるのが好ましく、5〜30mmであるのがより好ましい。
【0023】
(D) 基材
基材4に使用するポリプロピレン樹脂の厚さは1〜5mmが好ましく、2〜4mmがより好ましい。
【0024】
[2] 製造方法
(A) 表皮積層体の成形
(1) 表皮層の成形
熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物からなる表皮層1と第一の発泡層2との二層構造からなる表皮積層体10をスラッシュ成形法により製造する。これにはまず、図2(a) に示すように、220 〜280 ℃に加熱したスラッシュ成形用金型20内に表皮層1成形用の熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物の粉末23を充填する。スラッシュ成形性の観点から、粉末23は1mm以下の平均粒径を有するのが好ましい。5〜30秒間で粉末23を融着させ、0.3 mm以上の厚さの緻密な表皮層1を成形する。金型20のキャビティー面上に表皮層1が形成されるので、金型20の表面に表皮層1に転写する模様を形成しておく。
【0025】
(2) 第一の発泡層の成形
表皮層1が成形された後、残余の粉末23を金型から排除し(図2(b) )、発泡剤含有熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物からなる粉末26を充填する(図2(c) 参照)。発泡剤入り粉末26の平均粒径は表皮層1用粉末23の平均粒径と同じでよい。第一の発泡層2を形成するための加熱温度は220 〜280 ℃であるのが好ましく、加熱時間は5〜 180秒であるのが好ましい。このようにして熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物からなる表皮層1と熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物からなる第一の発泡層2とが一体的に積層されてなる二層構造を有する表皮積層体10が得られる(図2(d) 参照)。
【0026】
(B) 基材の成形
射出成形型30内にポリプロピレン樹脂を射出することにより、所定の形状及び厚さの基材4を成形する(図2(e) )。ポリプロピレン樹脂基材4の射出成形温度は200 〜250 ℃程度であれは良い。基材4にはビーズ注入用の開口部と加熱用エアー又はスチーム注入、排出用の開口部をそれぞれ複数設けておくのが好ましい。以上のようにして、表皮層1及び第一の発泡層2からなる表皮積層体10と、ポリプロピレン樹脂基材4が得られる(図2(f) )。
【0027】
(C) 第二の発泡層の成形
発泡型40a、40bのキャビティー42内に、熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物からなる表皮積層体10を第一の発泡層2を内側にしてセットするとともに、ポリプロピレン樹脂からなる基材4を金型40aに密着するようにセットする(図3(a) )。発泡型40a、40bにはビーズ注入用の開口部43、43と、加熱用エアー又はスチーム注入、排出用の開口部44とが設けられているので、それらの開口部に基材の開口部を整合させる。発泡型40a、40bを所定の間隔に型締めした後、それらの間の空間に発泡性ポリプロピレン樹脂のビーズ34を注入する(図3(b) )。
【0028】
ビーズ注入用開口部43、43から所定量のビーズ34を発泡型40a、40bのキャビティー42内に入れ、加熱エアー又はスチームを開口部44より注入する。加熱エアー又はスチームの温度は120 〜150 ℃が好ましい。この温度によりポリプロピレン樹脂ビーズ34は発泡融着し、基材4と表皮積層体10との空間を完全に埋めるとともに、第一の発泡層2の内面及び基材4の表面に完全に融着する。発泡・融着に要する時間は5〜60秒程度である。
【0029】
ポリプロピレン樹脂ビーズ34が発泡する際、表皮層1の裏面に設けられた第一の発泡層2のクッション作用により、発泡の影響は表皮層1の表面に全く表れない。そのため、表皮層1の表面模様は全くくずれず、また表面性が劣化することもない。
【0030】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0031】
実施例1
熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物の粉末としてTPEパウダー(平均粒径180 μm、住友化学工業(株)製)を使用し、図2に示すスラッシュ成形型により250 ℃で8秒間加熱し、厚さ0.6mm の表皮層1を形成した。スラッシュ成形型の片面に絞模様が形成されていたが、その絞模様は忠実に転写された。残余の粉末を除去した後、発泡剤を含有する熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物の粉末として、発泡性TPEパウダー(平均粒径180 μm、住友化学工業(株)製)を使用し、図2に示すスラッシュ成形型により250 ℃で75秒間加熱し、発泡倍率4倍、厚さ3.5mm の第一の発泡層2を形成した。得られた表皮積層体10において、第一の発泡層2は表皮層1に完全に融着しており、第一の発泡層2を破断することなしに表皮層1から剥離することはできなかった。
【0032】
別途射出成形法によりポリプロピレン(グランドポリプロJ108M )の基材4(厚さ2.5mm )を作製した。上記表皮積層体10を第一の発泡層2が上を向くように図3に示す発泡型の下型40aのキャビティー(間隔27mm)内に載置し、基材4を上型40bに密着させた。従って、第一の発泡層2と基材4との間隔は20mmであった。なお上型40bには基材4の開口部に対応する位置にそれぞれビーズ注入用及びベント用開口部が設けられていた。
【0033】
発泡型の上型40bの開口部から、発泡性ポリプロピレンビーズ(EPポールEA、平均粒径3.5mm 、三菱化学BASF(株)製)を注入し、250 ℃で30秒間加熱した。その結果、発泡倍率30倍の第二の発泡層3が形成された。
【0034】
得られた内装部品用成形体の表皮には絞模様以外の凹凸は全くなかった。また第二の発泡層3及び基材4をそれぞれ剥離使用としたが、破断せずに剥離することはできなった。これから、表皮層1の表面に対する第二の発泡層3の発泡成形による影響を完全に防止できることが分かった。また第二の発泡層3の発泡成形時に第一の発泡層2と基材4とに完全に融着したことが確認できた。
【0035】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明では、まず表皮層の裏面に第一の発泡層をいずれもスラッシュ成形法により熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物から形成することにより一体的な表皮積層体を作製し、次いで発泡型内において、予め作製しておいたポリプロピレン樹脂製基材との間にポリプロピレン樹脂ビーズを充填し、加熱・発泡させる。このように表皮が単層ではなく、スラッシュ成形された緻密な表皮層と第一の発泡層からなる二層構造を有するので、表皮層に直接ポリプロピレン樹脂ビーズの発泡による力がかかることはなく、発泡層はクッション材として作用する。そのためビーズの発泡時に表皮層表面に凹凸が発生するのを防止することができる。またポリプロピレン樹脂ビーズの発泡時に第一の発泡層及び基材に融着するので、内装部品の各層の剥離強度は極めて高い。
【0036】
本発明の内装部品では、基材、発泡層及び表皮層が全てポリオレフィン系樹脂により形成されているので、分別することなしにリサイクルが可能である。このような内装部品は特にインストルメントパネル等に好適である。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の内装部品の積層構造を示す断面図である。
【図2】 表皮層及び第一の発泡層からなる表皮積層体をスラッシュ成形法により製造し、基材を射出成形法により製造する様子を示す断面図であり、(a) はスラッシュ成形型内に熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物粉末を充填して表皮層を形成する様子を示し、(b) は表皮層を形成した後で残余の粉末を除去する様子を示し、(c) は表皮層の上に発泡性熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物粉末を充填する様子を示し、(d) はスラッシュ成形法により形成された表皮層及び第一の発泡層を示し、(e) は射出成形法により基材を形成する様子を示し、(f) は形成した表皮積層体と基材とを示す。
【図3】 表皮積層体と基材との間に充填したポリプロピレン樹脂ビーズを加熱・発泡させることにより、本発明の内装部品を作製する様子を示す断面図であり、(a) は下型に第一の発泡層を上にして表皮積層体を載置し、上型に基材を取り付けた様子を示し、(b) は両型を部分的に閉じて、表皮積層体と基材との間にポリプロピレン樹脂ビーズを充填した様子を示し、(c) は両型をさらに閉じてポリプロピレン樹脂ビーズを加熱・発泡させる様子を示す。
【符号の説明】
1・・・表皮層
2・・・第一の発泡層
3・・・第二の発泡層
4・・・基材
10・・・表皮積層体
20・・・スラッシュ成形型
22、42・・・キャビティー
23・・・表皮層形成用熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物粉末
26・・・第一の発泡層形成用の発泡剤含有熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物粉末
30・・・射出成形型
34・・・ポリプロピレン樹脂ビーズ
40a、40b・・・発泡型
Claims (5)
- (a) 加熱したスラッシュ成形型内に熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物の第一の粉末を充填して所定の厚さの表皮層を形成し、 (b) 残余の第一の粉末を除去した後、発泡剤を含有する熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物の第二の粉末を前記スラッシュ成形型内に充填し、 (c) 再度加熱することにより前記第二の粉末を発泡させて、前記表皮層に一体的に積層された第一の発泡層を形成し、 (d) 前記表皮層及び前記第一の発泡層からなる表皮積層体を前記表皮層を外側にして発泡型内に載置するとともに、別途射出成形したポリプロピレン樹脂製基材も同型内に載置し、 (e) 前記表皮積層体と前記基材との間に発泡性ポリプロピレン樹脂のビーズを入れた後で、スチーム又は高温エアーを送給することにより前記ポリプロピレン樹脂ビーズを発泡融着させ、もってポリプロピレン樹脂からなる第二の発泡層を形成するとともに、前記第二の発泡層及び前記基材に融着させてなることを特徴とする自動車用内装部品。
- 請求項1に記載の自動車用内装部品において、前記表皮層が0.3 mm以上の厚さを有し、前記第一の発泡層が2〜20 mmの厚さを有し、前記第二の発泡層が5〜50 mmの厚さを有し、前記基材が1〜5mmの厚さを有することを特徴とする自動車用内装部品。
- 請求項1又は2に記載の自動車用内装部品において、前記第一の発泡層の発泡倍率が2〜4倍であり、前記第二の発泡層の発泡倍率が10〜50倍であることを特徴とする自動車用内装部品。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用内装部品において、前記熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物がポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーの少なくとも一種を含有することを特徴とする自動車用内装部品。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用内装部品において、前記表皮層を220 〜280℃、5〜30分で成形し、前記第一の発泡層を220 〜280℃、5〜180秒で発泡し、かつ前記第二の発泡層を120 〜150℃、5〜60秒で発泡融着することを特徴とする自動車用内装部品。
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