JP3383327B2 - 複合多層発泡成形品およびその製造方法 - Google Patents

複合多層発泡成形品およびその製造方法

Info

Publication number
JP3383327B2
JP3383327B2 JP22150492A JP22150492A JP3383327B2 JP 3383327 B2 JP3383327 B2 JP 3383327B2 JP 22150492 A JP22150492 A JP 22150492A JP 22150492 A JP22150492 A JP 22150492A JP 3383327 B2 JP3383327 B2 JP 3383327B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
skin
polypropylene resin
foam
base material
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP22150492A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0663972A (ja
Inventor
林 俊 雄 小
充 渡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP22150492A priority Critical patent/JP3383327B2/ja
Publication of JPH0663972A publication Critical patent/JPH0663972A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3383327B2 publication Critical patent/JP3383327B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、複合多層発泡成形品の製
造方法に関し、さらに詳しくは、自動車内装材などの用
途に使用できるような、軽量、かつ高剛性の複合多層発
泡成形品を製造する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】モールドスタンピング成形により
製造されている自動車内装材としては、ドアートリム、
リアーパッケージトリム、シートバックガーニッシュ、
インストルメントパネル等がある。
【0003】前記の如く例示した自動車内装材の製造方
法としては、ポリ塩化ビニルレザーとポリプロピレンフ
ォームとを接着剤で接合した層状シートである表皮材を
予め製造し、更に該層状シートのポリプロピレンフォー
ム面に基材である木質マット材を真空成形法により積層
成形する方法が行われている。しかし、この方法では基
材木質マット材シートをホットプレスで一旦基材を成形
し、続いて接着剤を塗布した後、表皮材を真空成形して
積層成形する工程を含むため、その製造工程が長いとい
う欠点がある。
【0004】これら製造工程を短縮する製造方法として
は、ポリオレフィン樹脂を基材とするモールドスタンピ
ング成形法が知られている。即ち、該製造方法は例え
ば、ポリ塩化ビニルレザーとポリプロピレンフォームと
を前記の如く接合した層状シート状の表皮材のポリプロ
ピレンフォーム面に基材であるポリプロピレン樹脂をモ
ールドスタンピング成形により積層し、一体化する方法
が知られている。
【0005】上記のような自動車内装材の基材は、通常
剛性の高いブロックポリプロピレン樹脂を主体とし、こ
れにフィラーとしてタルク等が0〜30重量%添加され
た組成物からなる。これらの基材は、リブやボスを有
し、剛性の高い基材となっており、表皮材と複合一体化
される。上記のような自動車内装材の製造で採用される
モールドスタンピング成形法は、前記の製造方法のよう
な基材をホットプレス成形する工程を必要としないの
で、合理的な複合体成形法である。
【0006】しかしながら、この様なモールドスタンピ
ング成形法では、フィラー入りポリプロピレン基材の密
度が0.91〜1.1g/cm3の範囲にあり、通常密
度が1g/cm3を越えるので、得られる成形品は重い
という問題がある。今日、自動車の軽量化は車の燃費改
善、環境問題の改善にとって重要なテーマとなってい
る。
【0007】然るに、従来、モールドスタンピング成形
法において、表皮材にフォームシートを含む良好な多層
発泡体を得ることは知られていなかった。したがって、
モールドスタンピング成形法により、軽量、かつ、高剛
性の複合多層発泡成形品を製造することができるような
方法の出現が望まれていた。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、軽量、かつ、
高剛性のフォームシートを含む複合多層発泡成形品が得
られるような複合発泡成形品の製造方法を提供すること
を目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係る複合発泡成形品の製造方法
は、表皮とフォームシートが貼着されている表皮材のフ
ォームシート面にスキン層形成シートを貼合せて複合表
皮材を得る工程と、モールドスタンピング成形用上下金
型の中間に該複合表皮材のスキン層形成シートを下面に
してセットする工程と、発泡剤を含む基材形成用ポリプ
ロピレン樹脂組成物を、該発泡剤の分解温度以上で溶融
して、モールドスタンピング成形用下金型表面にチャー
ジする工程と、該基材形成用ポリプロピレン樹脂組成物
のチャージ終了後10秒以内に上下金型を閉じて型締め
し、基材形状の賦形と同時に該ポリプロピレン樹脂組成
物からなる基材層と該複合表皮材との一体化を行なう工
程と、該型締め完了後、1〜5秒経過後、上金型を上昇
させ、該基材形成用ポリプロピレン樹脂組成物を発泡さ
せる工程と、続いて、そのままの状態でポリプロピレン
樹脂組成物からなる発泡基材層を冷却固化する工程とを
経て複合多層発泡成形品を得ることを特徴としている。
【0010】
【発明の具体的な説明】以下、本発明に係る複合多層発
泡成形品の製造方法について具体的に説明する。本発明
に係る複合多層発泡成形品の製造方法により製造される
複合多層発泡成形品は、ポリプロピレン樹脂組成物から
なる発泡基材層、スキン層形成シート、表皮材とで構成
されている。
【0011】まず、本発明において複合多層発泡成形品
を製造するのに用いられる基材形成用ポリプロピレン樹
脂組成物について説明する。基材形成用ポリプロピレン樹脂組成物 本発明で用いられる基材形成用ポリプロピレン樹脂組成
物は、特定のポリプロピレン樹脂[1]と、発泡剤
[2]と、フィラー[3]とを含有している。
【0012】本発明で用いられるポリプロピレン樹脂
[1]は、プロピレン単独重合体またはプロピレンブロ
ック共重合体(A)を主成分とする樹脂である。すなわ
ち、本発明で用いられるポリプロピレン樹脂[1]は、
プロピレン単独重合体またはプロピレンブロック共重合
体(A)50〜100重量部、好ましくは70〜100
重量部と、エチレン単独重合体、炭素原子数4〜10の
α- オレフィン単独重合体、および炭素原子数2〜10
のα- オレフィン間の共重合体からなる群から選ばれる
重合体(B)0〜50重量部、好ましくは0〜30重量
部とから構成される樹脂である。ただし、上記成分
(A)および(B)の合計量は100重量部とする。
【0013】上記プロピレンブロック共重合体は、通常
のブロック共重合体であり、たとえば結晶性プロピレン
重合体ブロック(イ)と、エチレン重合体ブロック
(ロ)と、エチレン- プロピレン系共重合体ゴム、スチ
レン- ブタジエン系ゴムおよびスチレン- ブタジエンブ
ロック共重合体からなる群から選択される1種または2
種以上のゴムで構成されるゴムブロック(ハ)とからな
るプロピレン・エチレンブロック共重合体、または上記
のような結晶性プロピレン重合体ブロック(イ)とゴム
ブロック(ハ)とからなるプロピレンブロック共重合体
が挙げられる。
【0014】上記のプロピレン・エチレンブロック共重
合体は、オレフィン類を立体規則性触媒、好ましくは担
体付遷移金属成分および有機アルミニウム化合物よりな
る触媒の存在下に、一つの重合反応系中で重合させるこ
とにより得られる、いわゆる非ポリマーブレンドタイプ
の共重合体であり、具体的な製造方法は、本願出願人に
よる特開昭52-98045号および特公昭57-26613号の公報に
詳しく説明されている。
【0015】上記プロピレン・エチレンブロック共重合
体、プロピレンブロック共重合体は、また必ずしも一つ
の重合反応系中で重合させることにより得られた一種の
重合体に限らず、別々に重合された二種以上のプロピレ
ン・エチレンブロック共重合体、プロピレンブロック共
重合体の混合物であってもよい。
【0016】上記炭素原子数4〜10のα- オレフィン
単独重合体を構成するα- オレフィンとしては、具体的
には、ブテン- 1、ペンテン- 1、4- メチルペンテン
- 1、ヘキセン- 1、ヘプテン- 1、オクテン- 1、ノ
ネン- 1、デセン- 1などが挙げられる。
【0017】また、上記炭素原子数2〜10のα- オレ
フィン間の共重合体としては、具体的には、エチレン・
プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン・ブテン
- 1共重合体ゴム(EBR)、プロピレン・エチレン共
重合体ゴム(PER)、プロピレン・ブテン- 1共重合
体ゴム(PBR)などが挙げられる。
【0018】本発明で用いられるポリプロピレン樹脂
は、メルトフローレート(ASTMD 1238,L)
が通常10〜100g/10分、好ましくは20〜60
g/10分の範囲内にある。本発明において、特にボ
ス、リブを形成する場合には、ポリプロピレン樹脂のメ
ルトフローレートが上記のような範囲にあることが望ま
しい。
【0019】本発明においては、ポリプロピレン樹脂
[1]は、ポリプロピレン樹脂[1]、発泡剤[2]お
よびフィラー[3]の合計量100重量%に対して68
〜99.8重量%、好ましくは69〜94.5重量%の
割合で用いられる。
【0020】本発明で用いられる発泡剤[2]として
は、具体的には、アゾジカルボンアミド(ADCA)、
N,N’- ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,
4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、
ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホニルヒドラジ
ド、p- トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒド
ラジノトリアジンなどの有機発泡剤、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムなどの無
機発泡剤が挙げられる。中でも、有機発泡剤としては、
アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’- ジニト
ロソペンタメチレンテトラミン、トリヒドラジノトリア
ジンが好ましく、無機発泡剤としては、炭酸水素ナトリ
ウムが好ましい。
【0021】本発明においては、発泡剤[2]は、上記
ポリプロピレン樹脂[1]、発泡剤[2]およびフィラ
ー[3]の合計量100重量%に対して0.2〜2重量
%、好ましくは0.5〜1.0重量%の割合で用いられ
る。上記のような割合で発泡剤を用いると、ポリプロピ
レン樹脂組成物からなる発泡基材層の発泡倍率を1.1
〜2.0倍にすることができる。
【0022】本発明で用いられるフィラー[3]として
は、具体的には、ガラス繊維、タルク、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウムなどが挙げられる。本発明では、発泡
性、剛性向上という点から、ガラス繊維、タルクが特に
適している。
【0023】本発明においては、フィラー[3]は、上
記ポリプロピレン樹脂[1]、発泡剤[2]およびフィ
ラー[3]の合計量100重量%に対して0〜30重量
%、好ましくは5〜30重量%の割合で用いられる。
【0024】上記のような割合でフィラーを配合するこ
とにより、得られる複合発泡成形品の剛性、耐熱性およ
び寸法安定性を向上させることができるので、本発明に
おいては、上記のようなフィラーを用いることが好まし
い。
【0025】表皮材 本発明で用いられる表皮材は、不織布、布、ファブリッ
ク等の表皮とポリプロピレン発泡体、ポリウレタン発泡
体等のフォームシートとを貼着したものが挙げられる。
これらの表皮材はそのフォームシート表面がスキン層形
成シートと接するように貼合わせられる。続いて、この
スキン層形成シートを上記ポリプロピレン樹脂組成物か
らなる発泡基材層と接するように貼合わせる。
【0026】また、本発明においては、ポリ塩化ビニル
樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポ
リウレタン(PU)等のレザーとポリプロピレン発泡
体、ポリウレタン発泡体等のフォームシートとを貼着し
た積層体も表皮材として用いられる。これらの積層体を
表皮材として用いる場合には、前記の場合と同様に、表
皮材のフォームシート表面がスキン層形成シートと接す
るように貼合わせ、続いて、このスキン層形成シートを
上記ポリプロピレン樹脂組成物からなる発泡体層と接す
るように貼合わせる。
【0027】スキン層形成シート 本発明においてはスキン層形成シートは重要である。発
泡基材の形成においてスキン層形成シートを使用しなけ
れば、フォームシートが直接に発泡基材に接触し、その
断熱的な性質のために、発泡基材の冷却がフォームシー
トとの界面付近で遅れる。同時に発泡基材層が加圧プレ
ス状態にあるので発泡セルは溶融粘度の低い部分に押し
やられる。その結果、均一な発泡セルを持つ発泡基材層
は成形されない。これに対して、本発明の如くスキン層
形成シートがフォームシートと発泡基材との間に介在す
ると、スキン層形成シートが発泡基材層を冷却する効果
を成す。その結果、発泡基材層内において、該シートと
の積層面付近にスキン層が形成される。このため発泡セ
ルは移動せずに発泡基材層の中に閉じこめられ、均一な
発泡セルをもつ基材層が形成される。スキン層形成シー
トは溶融状態にある基材材料と融着可能で、かつ表皮材
のフォームシートと熱融着または接着剤を介して接着す
ることのできるシートであって、更に基材材料の熱と流
動時の剪断応力により破損しないこと、及び成形による
伸びに追随することが要求される。
【0028】このような理由から基材材料がポリオレフ
ィン系の樹脂の場合は、スキン層形成シートはオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーの単独、またはポリプロピレ
ンとのブレンド物の厚さ0.05〜1.0mmのシート
が使用される。この場合、表皮材のフォームシートがポ
リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の高
発泡体であると、スキン層形成シートと熱融着や接着剤
による接着により積層することができる。
【0029】スキン層形成シートは、ポリプロピレン等
の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等のシートの代
わりに、不織布、及び織布を使用することもできる。ス
キン層形成シートは発泡する基材層との境界面において
基材層を冷却し、好適なスキン層を形成させるのに有効
であり、スキン層形成シートがシート状の場合はその厚
さが0.05〜1.0mm、好ましくは0.1〜0.4
mmである。同様に、スキン層形成層が不織布及び寒冷
沙、ウーリーナイロン等の織布では目付が50g/m2
〜200g/m2のものが好ましく使用される。
【0030】製造方法 本発明においては、まず複合表皮材を得る製造方法につ
いて説明する。表皮材のフォームシートにスキン層形成
シートを貼着させる。貼着の方法としては、特に制限さ
れるものではない。スキン層形成シートが前記ポリプロ
ピレンや熱可塑性エラストマー等のシートにおいては、
これらの溶融シートをポリプロピレンフォームシート面
上に熱融着によりラミネートして、融着一体化する方法
が有利である。フォームシートをPVCやPUの発泡体
と貼着させる場合は接着剤で貼合せることが好ましい。
また、スキン層形成シートに不織布及び織布を使用する
場合は、一般の接着剤によりフォームシートと接着する
ことにより一体化することができる。
【0031】次に、本発明に係る複合発泡成形品の製造
方法を図を用いて説明する。図1に示すように、スキン
層形成シート製造用の押出機のダイス部1から溶融状態
にあるスキン層形成シート2を引取る。一方、上部ニッ
プロール面上に沿って表皮材の表皮がロール面に接する
ように誘導した表皮材と、該スキン層形成シートとを該
上部ニップロールと中央部のニップロールの接点におい
て、表皮材のフォームシート3がスキン層形成シートと
接するように貼着し、引続いてこの貼着されたシートを
下部のニップロール面上に沿って引取り、複合表皮材5
を連続して得る。この複合表皮材の要部を拡大して図2
に示す。次いで、図3に示すように、金型温度10〜5
0℃のモールドスタンピング成形用上金型6付近に予め
上記複合表皮材5をセットする。
【0032】本発明においては、上金型6は、後に複合
表皮材5と接することとなるので、該表皮材5を傷めな
いためにも、上金型6の金型温度は10〜50℃、好ま
しくは10〜30℃として冷却を利かすことが好まし
い。
【0033】次いで、発泡剤を含む基材形成用ポリプロ
ピレン樹脂組成物を、発泡剤の分解温度以上で、かつ、
180〜240℃、好ましくは180〜220℃の温度
で溶融して、直ちに金型温度30〜80℃のモールドス
タンピング成形用下金型7の表面に、このポリプロピレ
ン樹脂組成物8をチャージする。
【0034】このチャージされるポリプロピレン樹脂組
成物は、予め前記のポリプロピレン樹脂[1]、発泡剤
[2]、さらにはフィラー[3]を前記割合で、ヘンシ
ェルミキサーなどの混合攪拌装置を用いて均一に混合し
て用意しておく。このポリプロピレン樹脂組成物を、モ
ールドスタンピング成形機に備え付けられている押出機
を用いて、上記のような温度で溶融すると、発泡剤が分
解してこの樹脂組成物が発泡し始める。したがって、本
発明においては、ポリプロピレン樹脂組成物を上記温度
で溶融したならば、直ちにこの樹脂組成物を下金型7表
面にチャージする必要がある。ポリプロピレン樹脂組成
物の溶融により発泡セル(気泡)が生じるが、この樹脂
組成物の流動による発泡セルの潰れを出来るだけ少なく
することが望ましい。したがって、溶融状態にあるポリ
プロピレン樹脂組成物の下金型7上に於けるまでの流動
距離は、出来るだけ短くするようにすることが好まし
い。
【0035】上記のように、下金型7表面に溶融ポリプ
ロピレン樹脂組成物をチャージするため、下金型7の金
型温度が低すぎると、チャージされたポリプロピレン樹
脂組成物の冷却が急速に進んでポリプロピレン樹脂組成
物の流動性不良、発泡不良、および成形品の外観不良を
引き起こすことになる。したがって、本発明において
は、下金型7の金型温度は、30〜80℃、好ましくは
40〜60℃である。
【0036】本発明においては、溶融状態のポリプロピ
レン樹脂組成物をシート状にして下金型7表面にチャー
ジすることが好ましい。また、下金型7表面にチャージ
される溶融ポリプロピレン樹脂組成物の面積は、下金型
投影面積の50%以上にすることが好ましい。
【0037】なお、本発明においては、基材に強度を持
たせるという点からすると、図3に示すように、上記下
金型7表面にリブ部形成用の凹部9、さらにはボス部形
成用の凹部が設けられていることが望ましい。。
【0038】次いで、図4に示すように、ポリプロピレ
ン樹脂組成物のチャージ終了後10秒以内に上下金型
6,7を閉じて圧力20〜70kg/cm2で型締め
し、基材形状の賦形と同時にポリプロピレン樹脂組成物
8からなる基材層と複合表皮材5との一体化を行なう。
【0039】なお、上記のモールドスタンピング成形用
上金型6付近に複合表皮材5をセットする工程を、上記
型締めの工程の直前に、行なってもよい。すなわち、上
記のポリプロピレン樹脂組成物のチャージ終了後直ちに
またはチャージと同時に、金型温度10〜50℃のモー
ルドスタンピング成形用上金型6付近に複合表皮材5を
セットすることができる。また、溶融状態のポリプロピ
レン樹脂組成物を、下金型に設けられた注入口を通じて
下金型上に注入しつつ上金型を閉じて、ポリプロピレン
樹脂の注入終了時に金型を閉鎖する方法もある。
【0040】次いで、図6および図7に示すように、こ
の型締めによりポリプロピレン樹脂組成物8層(基材
層)の両表面に形成されるスキン層10の一方の厚みが
1.0mmに達する前に、上金型6を上昇させて、ポリ
プロピレン樹脂組成物8層のボス部(図にはない)およ
びリブ部12を有しない平面部における厚みの1.1〜
2倍の範囲内で型開きし、溶融状態にあるポリプロピレ
ン樹脂組成物8を発泡させる。
【0041】この上金型6の上昇開始時期が遅れると、
ポリプロピレン樹脂組成物8層の両表面においてスキン
層10の形成が進行し、ポリプロピレン樹脂組成物8が
発泡しなくなる。本発明においては、このスキン層10
はポリプロピレン樹脂組成物8層の一部を構成してい
る。ポリプロピレン樹脂組成物8層のボス部およびリブ
部12を有しない平面部における厚みは、通常2〜3m
mであるため、上記スキン層10の厚みが1mm以上に
なると、実質的に発泡部分が極度に減少したり、発泡し
なくなったりする。したがって、ポリプロピレン樹脂組
成物8のスキン層10の厚みが1.0mm未満になるよ
うに、上金型6の上昇開始時期を設定することが好まし
い。ポリプロピレン樹脂組成物8層の平面部における厚
みにもよるが、この厚みが2mmのときは、上記型締め
によりポリプロピレン樹脂組成物8が下金型7表面に完
全に充填完了した時点から1〜2秒後に上金型6を3〜
4mm上昇させるのが好ましい。なお、上記ポリプロピ
レン樹脂組成物8層は、発泡セルが生じ続けている。
【0042】次いで、図6および図7に示すような状態
のまま、ポリプロピレン樹脂組成物8からなるスキン層
10と発泡層11とで形成されている発泡基材層13を
冷却固化する。
【0043】最後に、上下金型を開いて図9に示すよう
な複合表皮材5とリブ部12を有する発泡基材層13と
からなる成形品を取り出す。上記のような工程を経て製
造される複合発泡成形品は、その発泡基材層13のリブ
部12およびボス部を有しない平面部の発泡倍率が1.
1〜2.0倍であり、従来のモールドスタンピング成形
法により製造される複合発泡成形品と比較して、軽量
で、しかも、剛性が高い。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、低コストで、軽量、か
つ、高剛性のフォームシート貼着の表皮材を具備した複
合多層発泡成形品が得られる。
【0045】この複合発泡成形品は、特に軽量化が要求
されるような用途、たとえば自動車内装材などの用途に
利用することができる。以下、本発明を実施例により説
明するが、本発明は、これら実施例に限定されるもので
はない。
【0046】なお、落球衝撃試験および曲げ試験の試験
方法は、次の通りである。 (1)落球衝撃試験 500gの鋼球を、シートに固定したシートバックガー
ニッシュの表皮材側の表面に落下させる。23℃で80
cm、−30℃で40cmの高さから鋼球を落下させて
シートバックガーニッシュが破壊すれば不合格とし、破
壊しなければ合格とする。 (2)曲げ試験 曲げ試験は、ASTM D 790に準じて行ない、弾性
勾配(弾性限界内における曲げ荷重を変形量で除した
値)を求めた。ただし、スパン間距離は48mm、曲げ
速度は5mm/minとした。
【0047】
【実施例1】まず、表皮としてポリ塩化ビニル樹脂レザ
ー0.6mm厚とポリプロピレンフォームシート(東レ
(株)ペフ〓PPSM15030)3mm厚の貼合せシ
ートの、レザー面とは反対側のフォームシート面にスキ
ン層形成シートであるポリプロピレンシート0.2mm
厚を熱融着により貼合せて複合表皮材を得た。
【0048】次いで、この複合表皮材のスキン層形成シ
ートを下面として、上下合せ金型の上金型面と下金型面
の間にセットした。上金型の金型温度は30℃にした。
【0049】次いで、メルトフローレート(ASTM
D 1238,L)45g/10分のプロピレンブロッ
ク共重合体[エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EP
R)含量:10重量%、エチレン含量:20モル%]8
5重量部と、タルク15重量部と、発泡剤[アゾジカル
ボンアミド(ADCA)]0.5重量部とをタンブラー
ミキサーで混合し、この混合物をモールドスタンピング
成形機[池貝鉄工(株)製]に備え付けられている押出
機に投入した。なお、上記混合物の押出機への投入の
際、押出機のシリンダーおよびダイの温度は210℃に
設定した。
【0050】次いで、発泡し始めた溶融樹脂をシート状
で金型温度50℃の下金型上にチャージした。このとき
のチャージ量は、下金型面積のほぼ90%を占めた。ま
た、投入樹脂量は500gであった。金型としてシート
バックガーニッシュ金型を用いた。
【0051】溶融樹脂をチャージし終ると同時に上下金
型を閉じて、40kg/cm2の圧力をかけた。そし
て、40kg/cm2の圧力で型締め完了後1.5秒経
過した時点で上金型を1.5mm上昇させた状態で60
秒間保持し、型開きして、図9に示すような成形品を得
た。
【0052】得られた成形品の発泡基材層13表面に形
成されていたスキン層10(発泡基材層13の一部を構
成する非発泡層)の厚みは0.5mmであり、発泡基材
層13のリブ部12を有しない平面部における厚みは
3.0mmであった(スキン層10の厚みも含む)。ま
た、発泡基材層13における発泡セルの大きさは、50
〜500μmの範囲にあった。
【0053】成形品は、ポリプロピレンフォームシート
と上記混合物からなる発泡基材層とは、スキン層形成層
であるポリプロピレンシートを介して強固に接着してい
た。
【0054】成形された発泡基材の断面状態は、リブ部
は発泡していないが、基材の平面部は図7の通りに発泡
し、発泡基材の両表面にスキン層が形成され、基材層の
密度は0.65g/cm3である。これに対し未発泡シ
ートは密度1.01g/cm3で厚み2.5mmであ
り、20%の軽量化が計られていた。
【0055】成形品をシートに取り付け、シートバック
ガーニッシュの表皮面側に落球衝撃試験を行なった結
果、従来品(タルク15%入りプロピレンブロック共重
合体からなる成形品)と同様に上記規格をクリアーし、
衝撃強度に問題がないことが判った。ただし、鋼球の落
下個所はリブ面部や平面部を含む9ヶ所である。
【0056】また、成形品のリブ部12を有しない平面
部からテストピースを採取して曲げ試験を行なったとこ
ろ、弾性勾配は27kg/cmであった。これに対し、
発泡なしでは密度1.01g/cm3で厚みは2.5m
mであり、その弾性勾配は24kg/cmと、重量が大
きい割には剛性が劣っていた。
【0057】
【実施例2】実施例1において、スキン層形成シートと
してランダムPP(C2含有量=2.5mol%、MF
R=0.5g/10min)60%と、エチレン・プロ
ピレンランダムコポリマー(タフマー A4085)4
0%を混合したシートを0.25mm厚とした以外は実
施例1と同様に行った。
【0058】その結果、密度は0.70g/cm3で、
実施例1と同様に良好なスキン層をもつ発泡基材がが形
成されていた。
【0059】
【比較例1】実施例1において、スキン層形成シートで
あるポリプロピレンシートを貼合せず、これを除いては
実施例1と同様に行った。即ち、ポリプロピレン発泡体
面へ基材層となるポリプロピレン溶融樹脂組成物を直接
押圧し、発泡させた。
【0060】その結果、発泡基材は図8の通りで、発泡
セルは表皮層側に片寄りかつ少なく、十分な発泡セルが
形成できず、その密度は0.85g/cm3となった。
【0061】
【比較例2】実施例1において、スキン層形成シートの
厚みが0.03mm(30μ)のシートを使用した以外
は実施例1と同様に行った。
【0062】その結果、溶融基材の熱によりスキン層形
成シートは溶融し、発泡基材の発泡セル形成が劣り、密
度は0.85g/cm3と劣った。
【0063】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る表皮材のフォームシート
面にスキン層形成シートを貼合せて複合表皮材を得る工
程を示す図である。
【図2】図2は、図1の複合表皮材の要部拡大図であ
る。
【図3】図3は、本発明に係る複合発泡成形品の製造方
法における型締め前の状態を示す図である。
【図4】図4は、本発明に係る複合発泡成形品の製造方
法における型締めの状態を示す図である。
【図5】図5は、図4の要部拡大図である。
【図6】図6は、本発明の複合発泡成形品の製造方法に
おいて、型開きしてポリプロピレン樹脂組成物が発泡し
ている状態を示す図である。
【図7】図7は、図6の要部拡大図である。
【図8】図8は、図7においてスキン形成シートを使用
することを除いては、同様に成形した場合の要部拡大図
である。
【図9】図9は、本発明に係る複合発泡成形品の製造方
法により得られた成形品の一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・スキン層形成シート製造用の押出機ダイス部 2・・・スキン層形成シート 3・・・表皮材のフォームシート 4・・・表皮材の表皮 5・・・複合表皮材 6・・・上金型 7・・・下金型 8・・・ポリプロピレン樹脂組成物 9・・・下金型のリブ部成形用凹部 10・・・ポリプロピレン樹脂組成物のスキン層(非発
泡層) 11・・・ポリプロピレン樹脂組成物の発泡層 12・・・リブ部 13・・・発泡基材層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 31:58 B29L 31:58 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 43/18

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表皮とフォームシートが貼着されている
    表皮材のフォームシート面にスキン層形成シートを貼着
    させて複合表皮材を得る工程と、 モールドスタンピング成形用上下金型の中間に該複合表
    皮材のスキン層形成シートを下面にしてセットする工程
    と、 発泡剤を含む基材形成用ポリプロピレン樹脂組成物を、
    該発泡剤の分解温度以上で溶融して、モールドスタンピ
    ング成形用下金型表面にチャージする工程と、 該基材形成用ポリプロピレン樹脂組成物のチャージ終了
    後10秒以内に上下金型を閉じて型締めし、基材形状の
    賦形と同時に該ポリプロピレン樹脂組成物からなる基材
    層と該複合表皮材との一体化を行う工程と、 該型締め完了後、1〜5秒経過後、上金型を上昇させ、
    該基材形成用ポリプロピレン樹脂組成物を発泡させる工
    程と、 続いて、そのままの状態でポリプロピレン樹脂組成物か
    らなる発泡基材層を冷却固化する工程からなることを特
    徴とする複合多層発泡成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】前記ポリプロピレン樹脂組成物が、 [1]プロピレン単独重合体またはプロピレンブロック
    共重合体(A)50〜100重量部、およびエチレン単
    独重合体、炭素原子数4〜10のα−オレフィン単独重
    合体、および炭素原子数2〜10のα−オレフィン間の
    共重合体からなる群から選ばれる重合体(B)0〜50
    重量部[上記成分(A)および(B)の合計量は100
    重量部とする]からなり、かつ、メルトフローレート
    (ASTMD 1238、L)が10〜100g/10
    分の範囲内にあるポリプロピレン樹脂68〜99.8重
    量%と、 [2]発泡剤0.2〜2重量%と、 [3]フィラー0〜30重量%とを含有していることを
    特徴とする請求項1に記載の複合多層発泡成形品の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 該基材形成用ポリプロピレン樹脂組成物を
    発泡させる工程において、型締め完 了後、1〜5秒経過
    し、基材の両表面に形成されるスキン層の一方の厚みが
    1.0mm未満である間に上金型を上昇させることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の複合多層発泡成形品の
    製造方法。
  4. 【請求項4】前記発泡基材層の発泡倍率が、1.1〜
    2.0倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    に記載の複合多層発泡成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】表皮、フォームシート、スキン層形成シー
    トおよび発泡基材層がこの順に貼着された積層体からな
    る請求項1〜4のいずれかに記載の複合多層発泡成形
    品。
  6. 【請求項6】スキン層形成シートが熱可塑性エラストマ
    ー及び/又はポリプロピレン樹脂からるシート、不織
    布、織布のいずれかである請求項に記載の複合多層発
    泡成形品。
JP22150492A 1992-08-20 1992-08-20 複合多層発泡成形品およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3383327B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22150492A JP3383327B2 (ja) 1992-08-20 1992-08-20 複合多層発泡成形品およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22150492A JP3383327B2 (ja) 1992-08-20 1992-08-20 複合多層発泡成形品およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0663972A JPH0663972A (ja) 1994-03-08
JP3383327B2 true JP3383327B2 (ja) 2003-03-04

Family

ID=16767750

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22150492A Expired - Fee Related JP3383327B2 (ja) 1992-08-20 1992-08-20 複合多層発泡成形品およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3383327B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4580095B2 (ja) * 2000-02-18 2010-11-10 住友化学株式会社 発泡熱可塑性樹脂成形体
JP4696366B2 (ja) * 2001-01-30 2011-06-08 住友化学株式会社 熱可塑性樹脂発泡成形体
JP2006264207A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Kasai Kogyo Co Ltd 自動車用内装部品

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0663972A (ja) 1994-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5292465A (en) Process for preparing composite foamed molded article
US5180628A (en) Shock-absorbing propylene polymer composite moldings
US6213540B1 (en) Energy absorbing articles of extruded thermoplastic foams
JP2503753B2 (ja) 登泡層が裏打ちされた表皮材を貼合したポリプロピレン樹脂成形体の成形方法
US6660195B2 (en) Process for producing a skin material-laminated foamed thermoplastic resin molding
US20080264544A1 (en) Foamed thermoplastic resin molding with a functional component
JP3383327B2 (ja) 複合多層発泡成形品およびその製造方法
US20060163764A1 (en) Method for producing a thermoplastic resin article
JP3296625B2 (ja) 複合発泡成形品の製造方法
JP3363926B2 (ja) 複合発泡成形品の製造方法
JP3086213B2 (ja) 多層発泡成形品の製造方法
JP3525095B2 (ja) 自動車用ポリプロピレン系樹脂複合成形体
JP3172281B2 (ja) 自動車用内装材の製造法
JP2001334540A (ja) 表皮材積層発泡樹脂成形品の製造方法
JP3313186B2 (ja) 複合発泡成形品の製造方法
JPH0520608Y2 (ja)
WO2004067304A2 (en) Method for making vehicle door panels
JP2000190437A (ja) 積層シ―トおよび自動車用内装材
JP2000263576A (ja) 多層発泡成形品の製造法
JPH06114957A (ja) 自動車用内装材の製造法
JPH0521776B2 (ja)
JP4052172B2 (ja) 複合成形体及びその製造方法並びに自動車内装部品
JPH05222233A (ja) 発泡体用ポリプロピレン系樹脂組成物、積層シート及び積層体
JP2003343627A (ja) 衝撃エネルギー吸収部品
JPH0747630A (ja) 表皮一体多層成形品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081220

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081220

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091220

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees