JP6622729B2 - 電気機械のためのコイル - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1のおいて書きに記載された電気機械のためのコイルに関する。
プラスチック製の巻き枠を持つ同種のコイルが特許文献1より公知とされている。巻き枠は、ワイヤ巻線を受けるための巻き部を有し、巻き部は、電気機械のステータ板積層体(Statorblechpaket)に接する(Anlage)ように構成された巻線支持体と、巻線支持体に接続され且つ巻き部の境界をなす二つの脚部とによりそれぞれ形成されている。この文献では、コイル端部は、すぐ傍の配線装置の複数の共通環状導体(Ringleiter)に接続され、例えばΔ結線ないしスター結線(Dreieck− oder Sternschaltung)で接続され、それにより機械的に固定される。このとき、コイル端部は、できるだけ短い経路で配線位置に導かれる。
この種の装置は、運転状況下、特に内燃機関と連動することで車両パワートレイン内に発生する振動にさらされる。その際に相対的な動きが生じ、コイル巻線と配線装置とが常に交互に行ったり来たりする負荷が発生し、そのときに、とりわけコイル端部に負荷がかかる。その結果、巻線ワイヤの絶縁被覆が破損し、異なる電位にある導体部材間のショートが発生する可能性がある。最悪の場合、この部分に断線が発生するかもしれず、これにより、出力の制限や電気機械の故障につながる可能性がある。
独国特許出願公開第19850818号明細書
本発明は、上述の従来技術において、振動影響下でのより高い耐久性とより高い動作信頼性とに供する冒頭に述べた類のコイルを提供することを課題とする。
この課題は、請求項1に示された特徴を有した同種のコイルにより解決される。本発明の有利な実施形態と発展態様は、従属請求項から明らかになる。
本明細書で提示されるコイル、特に電気機械のステータのためのコイルは、先ず、巻き部を持つ巻き枠を備え、巻き部は、巻線支持体と、当該巻線支持体に接続され且つ巻き部の境界をなす二つの脚部とにより形成されており、少なくとも一つの脚部が第一のワイヤ案内部を有している。さらに、当該コイルは、巻き枠上に配置されていて巻線ワイヤからなるコイル巻線を備え、コイル巻線が、巻線始端部及び巻線終端部と、巻線始端部及び巻線終端部からそれぞれ延びるコイル端部とを持ち、当該コイル端部が、第一のワイヤ案内部に配置されているとともにそこから当該コイルの外に出る。
巻線始端部や巻線終端部とは、コイル巻線が、周回し巻き付くコイルの巻き方向に入っていく或いはコイルの巻き方向から出て来る部分であって、コイルとしてぐるぐる巻かれるワイヤに対して、方向が転換させられる部分であると捉えてもらいたい。換言すれば、巻線始端部及び巻線終端部は、コイル巻線がまさに始まるところであり、或いはまさに終わるところである。この部分は、必要に応じてさらに、巻線ワイヤとして自己融着エナメル線(Backlackdraht)を使用することで、ベーキングによりその他の巻線部に機械的に固定することができる。
ワイヤ案内部とは、巻線ワイヤないしコイル端部を脚部の所定位置においてそれらが殆ど動けないように制限し、一定のあそびを許容できるようにしつつ少なくとも一方向にコイル端部を導く、脚部に形成された手段であると捉えてもらいたい。もちろん、二つの独立した空間的方位或いは三つ全ての独立した空間的方位においても自由に動けないように制限されていてもよい。コイル線は、方向を変えることなく第一のワイヤ案内部を通るのでもよい。これにより、一定のあそびをもたせつつ、ほとんど邪魔されないようにして、コイル配線装置の方に出て行くことが可能になる。そして、そのコイル配線装置にコイル端部が固定される或いは固定されているようにできる。
本発明によれば、コイルは、とりわけ、コイル端部が、巻線始端部又は巻線終端部と、第一のワイヤ案内部との間に、自由ワイヤ部を有し、当該自由ワイヤ部において、巻線ワイヤが支持なしで敷設されている点で優れている。その基本的思想は、従来技術に開示されているようにコイル端部をその全長にわたりコイル自体に固定する代わりに、コイルに形成されたコイル端部が自由に動ける、とりわけ自由に振動できるようにすることにある。例えば、運転状況下の振動のために部材にねじれが発生すると、それにより強いられるワイヤの変形は、比較的長い長さ部分に加わり、その結果、単位長さあたりの変形がより少なくなる。巻線ワイヤが、少なくとも概ねその弾性変形領域内で機械的な負荷を受け、それにより破壊に至る損傷メカニズムが克服されていることで、従来繰り返し生じ且つ最終的に脆性破壊に至る巻線ワイヤの塑性変形は、略防ぐことができる。
コイル端部は、そのまま、つまり略最短経路で、巻線始端部及び/又は巻線終端部と第一のワイヤ案内部との間に、ある程度の振動の自由が生じるようにして敷設することができる。発展形態では、自由ワイヤ部は、長所を有して巻線始端部又は巻線終端部と第一のワイヤ案内部との距離よりも長い長さを有している。これにより、単位長さ当たりに働く外部の力は、さらに低減することができ、このとき、自由ワイヤ部の固有振動数は低下する。そのため、コイル端部の長さがより長いことで、機械的な干渉の影響に対し、より良好に動きを調整する効果がある。
巻き枠は、他の長所を有して第一のワイヤ案内部の向かい側の脚部に第二のワイヤ案内部を有し、この第二のワイヤ案内部に巻線始端部及び/又は巻線終端部が配置されている。この第二のワイヤ案内部は、一方では、ワイヤの向きをワイヤ巻き方向から向かい側の脚部の方へと転換させる役割をし、他方では、巻線始端部及び巻線終端部において巻線ワイヤの引張り負荷を軽減する働きをする。構造的には、この目的のために例えばピン、突出部、反転溝又はそれらと同類のものが、脚部に形成されていてもよい。従って、自由ワイヤ部は、第一のワイヤ案内部と第二のワイヤ案内部との間に延在している。
本明細書において基本的に提示される解決手段の範囲内で、自由ワイヤ部は、U字状の湾曲部を有している。この湾曲部は、例えば、コイル巻線の巻回面内に、或いは巻回面に垂直に形成されていてもよい。この種の湾曲部を形成することで、簡単な方法で自由ワイヤ部をかなり長くすることができる。この解決手段は、特に、第一のワイヤ案内部を持つ脚部に空間的に隣接して巻線始端部及び/又は巻線終端部が形成されているコイルに応用することができる。そして、このワイヤ案内部を通って、巻線ワイヤがコイルを後にする。
上述のものに代わる或いは加わる実施形態により、自由ワイヤ部は、外部から加えられる振動エネルギーを散逸できるように、少なくとも部分的に螺旋状に形成されていてもよい。この種の構成は、巻線始端部及び/又は巻線終端部が第一のワイヤ案内部を持つ脚部から空間的に隔てられて形成されているコイルの場合に特に−とはいってもそれだけに限られるわけではないが−用いることができる。そして、この第一のワイヤ案内部を通って巻線ワイヤがコイルを後にし、他方の脚部では、第二のワイヤ案内部により巻線ワイヤが導かれる。
以下に、図面に示された実施形態に基づいて本発明を具体的に説明する。
自由ワイヤ部を二つ形成した状態で巻き枠の脚部に固定されたコイル端部を有する、電気機械のステータのための個別のティースコイルを二つ別々に示す図である。 自由ワイヤ部を二つ形成した状態で巻き枠の一つの脚部に固定されたコイル端部を有する、電気機械のステータのための個別のティースコイルを二つ別々に示す図である。 自由ワイヤ部を二つ形成した状態で巻き枠の二つの脚部に固定されたコイル端部を有する、電気機械のステータのための個別のティースコイルを別々に示す図である。 自由ワイヤ部を二つ形成した状態で巻き枠の二つの脚部に固定されたコイル端部を有する、電気機械のステータのための個別のティースコイルを別々に示す図である。 自由ワイヤ部を二つ形成した状態で巻き枠の二つの脚部に固定されたコイル端部を有する、電気機械のステータのための個別のティースコイルを別々に示す図である。 自由ワイヤ部を二つ形成した状態で巻き枠の二つの脚部に固定されたコイル端部を有する、電気機械のステータのための個別のティースコイルを別々に示す図である。
同一の物、動作単位又は同等の構成要素は、全ての図面にわたり同じ符号が付されている。さらに、一実施例中又は一図面中に幾つも登場するが一又は複数の特徴に関しては共通に記載されている構成要素及び対象に対して、まとまった符号が用いられている。同じ又はまとまった符号により記載されている構成要素又は対象は、記載から何か別のことが明らかに或いは暗に導かれない限り、個々の、幾つかの又は全ての特徴(例えばその寸法)が、同じに−とはいえ必要に応じて別々に−形成されていることが可能である。
図1a,1b及び図2a−dは、それぞれコイル10を示し、特に、ここでは不図示の電気機械のステータ(例えば、永久磁石同期機(permanent erregte Synchronmaschine)のステータのため)のティースに配置するものを示す。
コイル10は、端面側にエンドキャップとして一つのステータティース(Statorzahn)に配置可能な樹脂製の巻き枠20,60を二つ有し、これらがそれぞれ巻き部22,62を有している。巻き部22,62は、ステータティースに設置するように規定される巻線支持体24,64と、巻線支持体24,64に接続され且つ当該巻き部22,62の境界をなす二つの脚部30,40;70,80とにより形成されている。巻き枠20は、この点までは既知の巻き枠に対応している。巻き枠20,60の間には、両側に他の巻き部12aが形成されている。この巻き部は、ステータにコイル10を取り付けた状態では、一つのステータティースに接するように延在する。
巻き枠20,60には、曲げが可能で比較的形状が安定な巻線ワイヤ82d、とりわけエナメル銅線からなるワイヤ巻線82ないしコイル巻線82が配置されている。従って、ワイヤ巻線82は、巻き部12a,22,62から形成された空間を内包する。コイル10が、自由な二つのコイル端部82a,82eないし巻線端部82a,82eを有しており、これら二つのコイル端部が、巻き枠20に、さらには脚部40にもともども敷設され或いはそこに案内されていることが分かる。コイル端部82a,82eは、外から入っていくようにしてコイル10を見ると、巻線始端部84aへ入って行き、巻線終端部84eで移る。
巻線始端部84aや巻線終端部84eとは、コイル巻線82が、周回し巻き付くコイルの巻き方向に入っていく、或いはコイルの巻き方向から出て来る部分であって、コイル10としてぐるぐる巻かれたワイヤ82dに対し、方向が転換させられる部分であると捉えてもらいたい。換言すれば、巻線始端部84a及び巻線終端部84eは、コイル巻線82がまさに始まるところであり、或いはまさに終わるところである。
コイル端部82aを導くために、脚部40には、ここでは溝形状ないしスリット状に形成された第一のワイヤ案内部42が設けられており、この中に巻線ワイヤ82dが固定され、そこで一定のあそびをもたせて三つの面を用いて案内され、このとき、コイル線82dは、方向を変えることなく、ほとんど邪魔されることなく、ここでは不図示のコイル配線装置の方に出て行くことができる。
符号42aによりワイヤ導入部が、符号42bによりワイヤ導出部が示されている。巻線端部82a,82eを固定ないし導くことで、一方では、ワイヤ巻線82の形状を維持するのに役立ち、他方では、これにより自由なコイル端部ないし巻線端部82a,82eが所定のやり方で空間的に整えられることになり、コイル10の外にある場所に、例えば溶接、ろう付け、かしめ(Verkrimpen)又は類似の方法により結線(Verschaltung)する準備が整うことになる。
図1a,b;2a−dにより示されたコイル10は、いずれも、コイル端部82a,82eが、巻線始端部84aないし巻線終端部84eと、第一のワイヤ案内部42、すなわちワイヤ導入部42a及びワイヤ導出部42bとの間に、自由ワイヤ部86a−mを有しており、この部分では、巻線ワイヤ82dが支持なしで敷設されているという点で共通している。この自由ワイヤ部86により、コイル端部82a,82eは、激しい振動の影響を受けても自由に動くことができ、それにより、もたらされたエネルギーを破壊を伴わずに散逸させることができる。
加えて、図示された全ての実施例において、自由ワイヤ部86は、巻線始端部84aないし巻線終端部84eと、第一のワイヤ案内部42との距離よりも長い長さを有している。図1a及び1bでは、自由ワイヤ部86a−dは、さらに、それぞれがU字状の湾曲部88を有している。この湾曲部は、図1aでは、概ねコイル巻線82の巻回面内に、図1bでは、巻回面に垂直に形成されている。巻回面とは、コイル巻線82における巻線ワイヤ82dの一周分により規定される面のことである。図1a,bにより示されたコイル10において、巻線始端部84a及び巻線終端部84bは、第一のワイヤ案内部42を有する脚部40に空間的に隣接して形成されている。そして、このワイヤ案内部42を通って、巻線ワイヤ82dがコイル10を後にする。
図2a−dにより示された実施例において、巻き枠20は、第一のワイヤ案内部42の向かい側の脚部30に第二のワイヤ案内部44;44a,bを有しており、ここに巻線始端部84a及び巻線終端部84eが配置されている。この第二のワイヤ案内部44は、一方では、ワイヤの向きをワイヤ巻き方向から向かい側の脚部40の方へと転換させる役割をし、他方では、巻線始端部84a及び巻線終端部84eにおいて巻線ワイヤ82dの引張り負荷を軽減する働きをする。そのために、第二のワイヤ案内部44は、図2aでは脚部30から突出する二つのピン45a,bを有し、図2b−dではそれぞれ突出する鉤部46a,bを有している。こうして、自由ワイヤ部86e−mは、それぞれが第一のワイヤ案内部42と第二のワイヤ案内部44の間に延在する。
図2aにおける自由ワイヤ部86e,fが、最短距離でワイヤ案内部42と44との間に延在する一方、図2bにおける自由ワイヤ部86g,hは、湾曲部88を有し、とりわけ、拡げられたU字状の湾曲部を有している。この湾曲部は、本実施例では、コイル巻線82の巻回面に概ね垂直に形成されている。
図2c及び2dにより示されたコイル10では、自由ワイヤ部86i,k;86l,mは、外部から加えられる振動を散逸できるように、異なる向きを有した螺旋状の部分90,92を巻き枠20の傍に有している。ここで、図2cでは、当該部分90は、一重に螺旋が巻かれており、コイル10の巻回面に対して垂直に配置された螺旋面を有して形成されている。図2dにおける部分92は、幾重にも螺旋が巻かれており、その螺旋面は、コイル10の巻回面と概ね一致する。螺旋面とは、この関係では、巻線ワイヤ82dを一巻きした際にできる中間面のことである。
10 コイル
12a 巻き部
20 巻き枠
22 巻き部
62 巻き部
24 巻線支持体
30 脚部
40 脚部
42 第一のワイヤ案内部
42a ワイヤ導入部
42b ワイヤ導出部
44,a,d 第二のワイヤ案内部
45a,b ピン
46a,b 鉤部
60 巻き枠
64 巻線支持体
70 脚部
80 脚部
82 ワイヤ巻線
82a,e コイル端部,巻線端部
82d 巻線ワイヤ
84a 巻線始端部
84e 巻線終端部
86a−m 自由ワイヤ部
88 湾曲部
90,92 螺旋状の部分

Claims (5)

  1. 電気機械のステータのためのコイル(10)であって、
    電気機械の軸線周りに配置され、
    −巻き部(22,62)を持つ巻き枠(20,60)を備え、巻き部は、巻線支持体(24,64)と、当該巻線支持体(24,64)に接続され且つ巻き部(22,62)の境界をなす二つの脚部(30,40;70,80)とにより形成されており、少なくとも一つの脚部(40)が第一のワイヤ案内部(42a,b)を有し、
    −巻き枠(20,60)上に配置されていて巻線ワイヤ(82d)からなるコイル巻線(82)を備え、コイル巻線が、巻線始端部(84a)及び巻線終端部(84e)と、巻線始端部(84a)及び巻線終端部(84e)からそれぞれ延びるコイル端部(82a,82e)とを持ち、
    −コイル端部(82a,82e)が、第一のワイヤ案内部(42a,42b)に一定のあそびをもたせて案内されているとともにそこから半径方向に方向を変えることなく当該コイル(10)の外に出て、配線装置の共通環状導体に接続されるコイルにおいて、
    コイル端部(82a,82e)が、巻線始端部(84a)又は巻線終端部(84e)と、第一のワイヤ案内部(42a,42b)との間に、自由ワイヤ部(86)を有し、当該自由ワイヤ部において、巻線ワイヤ(82d)が支持なしで敷設され
    自由ワイヤ部(86)は、コイル巻線と配線装置との間の交互の動きの影響がある状態で、コイル自由端部(82a,82e)が自由に動けることにより、エネルギーを散逸することを特徴とするコイル。
  2. 請求項1に記載のコイルにおいて、
    自由ワイヤ部(86)は、巻線始端部(84a)又は巻線終端部(84e)と第一のワイヤ案内部(42a,42b)との距離よりも長い長さを有している
    ことを特徴とするコイル。
  3. 請求項1又は2に記載のコイルにおいて、
    巻き枠(20)は、第一のワイヤ案内部(42a,42b)の向かい側の脚部(30)に第二のワイヤ案内部(44a,44b)を有し、当該第二のワイヤ案内部に巻線始端部(84a)及び/又は巻線終端部(84e)が配置されており、自由ワイヤ部(86)が、第一のワイヤ案内部(42a,42b)と第二のワイヤ案内部(44a,44b)との間に延在していることを特徴とするコイル。
  4. 請求項2又は3に記載のコイルにおいて、
    自由ワイヤ部(86)がU字状の湾曲部(88)を有していることを特徴とするコイル。
  5. 請求項2乃至4のいずれか一項に記載のコイルにおいて、
    自由ワイヤ部(86)は、螺旋状の部分(90,92)を有していることを特徴とするコイル。
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