JP6622424B2 - 逆浸透膜処理方法および逆浸透膜処理システム - Google Patents

逆浸透膜処理方法および逆浸透膜処理システム Download PDF

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Description

本発明は、逆浸透膜処理方法および逆浸透膜処理システムに関する。
逆浸透膜(RO膜)を用いる逆浸透膜処理において、スライム抑制を目的として、各種の塩素系酸化剤や臭素系酸化剤を逆浸透膜の被処理水中に存在させる方法が知られている。臭素系酸化剤としては、次亜塩素酸等の酸化剤と臭化物イオンの反応物や、次亜臭素酸、または安定化次亜臭素酸組成物等が知られている。
例えば、特許文献1には、臭素系酸化剤、または臭素化合物と塩素系酸化剤との反応物と、スルファミン酸化合物と、を含む安定化次亜臭素酸組成物を、分離膜を備える膜分離装置への給水または洗浄水中に存在させる方法が記載されている。特許文献1では、淡水系の被処理水の逆浸透膜処理において、低圧逆浸透膜を一次側入口圧力0.75MPaで運転した場合、pHが5.5以上であれば透過水量保持率が80%以上であり、透過水量の顕著な低下が認められないと記載されている。
特開2015−062889号公報
しかしながら、特許文献1の方法では逆浸透膜の運転圧力(一次側入口圧力)が0.75MPaであり、海水淡水化や排水回収等、逆浸透膜の運転圧力(一次側入口圧力)を高圧(例えば、3MPa以上)で運転すると、透過水量が低下してしまう場合があることがわかった。
本発明の目的は、逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る、高圧での逆浸透膜処理において、逆浸透膜のスライム抑制効果を有し、かつ透過水量の低下を抑制する逆浸透膜処理方法および逆浸透膜処理システムを提供することにある。
本発明は、逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る逆浸透膜処理方法であって、前記逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上にし、前記被処理水のpHが7.5以上であり、前記被処理水に、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物および塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを存在させ、前記被処理水は、塩濃度が0.05〜5重量%のかん水である、逆浸透膜処理方法である。
また、本発明は、逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る逆浸透膜処理方法であって、前記逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上にし、前記被処理水のpHが7.5以上であり、前記被処理水に、臭素とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物を存在させ、前記被処理水は、塩濃度が0.05〜5重量%のかん水である、逆浸透膜処理方法である。
前記逆浸透膜処理方法において、前記濃縮水中の全塩素濃度が0.05mg/L以上10mg/L未満の範囲となるように、前記被処理水に前記安定化次亜臭素酸組成物および前記安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを存在させることが好ましい。
前記逆浸透膜処理方法において、前記逆浸透膜が、高圧膜であることが好ましい。
前記逆浸透膜処理方法において、前記逆浸透膜の表面に塩素が存在することが好ましい。
前記逆浸透膜処理方法において、前記逆浸透膜の表面のpH=8におけるゼータ電位が、7.0mV以下であることが好ましい。
また、本発明は、逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る逆浸透膜処理システムであって、前記被処理水のpHが7.5以上であり、逆浸透膜を有する逆浸透膜処理装置と、前記逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上になるように、前記被処理水を加圧する加圧手段と、前記被処理水に、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物および塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを添加する添加手段と、を備え、前記被処理水は、塩濃度が0.05〜5重量%のかん水である、逆浸透膜処理システムである。
また、本発明は、逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る逆浸透膜処理システムであって、前記被処理水のpHが7.5以上であり、逆浸透膜を有する逆浸透膜処理装置と、前記逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上になるように、前記被処理水を加圧する加圧手段と、前記被処理水に、臭素とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物を添加する添加手段と、を備え、前記被処理水は、塩濃度が0.05〜5重量%のかん水である、逆浸透膜処理システムである。
前記逆浸透膜処理システムにおいて、前記添加手段は、前記濃縮水中の全塩素濃度が0.05mg/L以上10mg/L未満の範囲となるように、前記被処理水に前記安定化次亜臭素酸組成物および前記安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを添加するものであり、前記安定化次亜臭素酸組成物および前記安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つが添加された被処理水または前記濃縮水の全塩素濃度を測定する全塩素濃度測定手段をさらに備えることが好ましい。
前記逆浸透膜処理方法において、前記逆浸透膜が、高圧膜であることが好ましい。
前記逆浸透膜処理システムにおいて、前記逆浸透膜の表面に塩素が存在することが好ましい。
前記逆浸透膜処理システムにおいて、前記逆浸透膜の表面のpH=8におけるゼータ電位が、7.0mV以下であることが好ましい。
本発明では、逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る、高圧での逆浸透膜処理において、逆浸透膜のスライム抑制効果を有し、かつ透過水量の低下を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る逆浸透膜処理システムの一例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態に係る逆浸透膜処理システムの他の例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態に係る逆浸透膜処理システムを有する水処理システムの一例を示す概略構成図である。 実施例1,2、参考例3、比較例1における通水時間(hr)に対する透過水量保持率(%)を示すグラフである。 実施例4における通水時間(hr)に対する透過水量保持率(%)を示すグラフである。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る逆浸透膜処理システムの一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。
逆浸透膜処理システム1は、逆浸透膜を有する逆浸透膜処理装置12を備える。逆浸透膜処理システム1は、被処理水を貯留する被処理水槽10を備えてもよい。
図1の逆浸透膜処理システム1において、被処理水槽10の入口には被処理水配管18が接続され、被処理水槽10の出口と逆浸透膜処理装置12の入口とは、ポンプ14を介して被処理水供給配管20により接続されている。逆浸透膜処理装置12の透過水出口には透過水配管22が接続され、濃縮水出口には濃縮水配管24が接続されている。濃縮水配管24には、全塩素濃度測定手段として、全塩素濃度測定装置16が接続されている。被処理水槽10には、スライム抑制剤である安定化次亜臭素酸組成物および安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを添加する添加手段として、添加配管26が接続されている。被処理水槽10には、被処理水のpHを測定するpH測定手段として、pH測定装置30が設置されている。被処理水槽10には、被処理水のpHが7以上になるように被処理水のpHを調整するpH調整手段として、pH調整剤添加配管28が接続されていてもよい。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および逆浸透膜処理システム1の動作について説明する。
被処理水は、被処理水配管18を通して必要に応じて被処理水槽10に貯留される。被処理水槽10において被処理水に安定化次亜臭素酸組成物および安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つ(以下、単に「スライム抑制剤」と呼ぶ場合がある。)が添加配管26を通して添加される(スライム抑制剤添加工程)。被処理水のpHが7以上である場合にはそのまま、被処理水のpHが7未満である場合には被処理水のpHが7以上になるようにpH調整剤がpH調整剤添加配管28を通して添加された(pH調整工程)後、被処理水は、被処理水供給配管20を通して、逆浸透膜処理装置12に供給される。加圧手段としてポンプ14により、逆浸透膜処理装置12では、逆浸透膜の一次側入口圧力が3MPa以上になるように被処理水が加圧され、被処理水の逆浸透膜処理が行われる(逆浸透膜処理工程)。逆浸透膜処理で得られた透過水は、透過水配管22を通して排出され、濃縮水は、濃縮水配管24を通して排出される。濃縮水配管24において、全塩素濃度測定装置16により、濃縮水の全塩素濃度が測定される(全塩素濃度測定工程)。なお、スライム抑制剤、pH調整剤は、被処理水配管18において被処理水に添加されてもよく、被処理水供給配管20におけるポンプ14の吸込側、吐出側において被処理水に添加されてもよい。また、pH測定装置30によるpH測定は、pH調整剤添加配管28の後段であれば、被処理水配管18において行われてもよいし、被処理水供給配管20におけるポンプ14の吸込側、吐出側において行われてもよいし、濃縮水配管24において行われてもよい。
逆浸透膜処理システム1において、システム内に逆浸透膜の他に、ポンプ、安全フィルタ、流量測定装置、圧力測定装置、温度測定装置、酸化還元電位(ORP)測定装置、残留塩素測定装置、電気伝導度測定装置、pH測定装置、エネルギー回収装置、ミネラル添加手段等を必要に応じて備えてもよい。
加圧手段であるポンプ14は、供給される被処理水を加圧し、逆浸透膜処理装置12内に被処理水を供給、分離するための昇圧機能を有している。この昇圧機能の形態は特に限定されない。
被処理水の浸透圧が高い場合には、被処理水を供給するポンプ14の前段または後段に、膜分離を実施するために被処理水をさらに昇圧して逆浸透膜処理装置12に供給するための昇圧ポンプを別途設置してもよい。
逆浸透膜処理システム1において、システム全体の回収率を上げる等の目的で、濃縮水側にさらに逆浸透膜処理装置を設置してもよい。
濃縮水側にさらに逆浸透膜処理装置を設置する上記システムにおいて、システム内に逆浸透膜の他に、ポンプ、安全フィルタ、流量測定装置、圧力測定装置、温度測定装置、酸化還元電位(ORP)測定装置、残留塩素測定装置、電気伝導度測定装置、pH測定装置、エネルギー回収装置、ミネラル添加手段等を必要に応じて備えてもよい。
逆浸透膜処理システム1において、透過水の水質を上げる等の目的で、透過水側にさらに逆浸透膜処理、イオン交換処理、脱炭酸処理、電気再生式脱塩(EDI)処理、脱気処理、熱交換器、膜分離処理、紫外線照射処理等の物理的または化学的な後処理、およびこれらの後処理のうちの2つ以上の組み合わせが必要に応じて設置してもよい。
透過水側にさらに逆浸透膜処理等を設置する上記システムにおいて、システム内に逆浸透膜の他に、ポンプ、安全フィルタ、流量測定装置、圧力測定装置、温度測定装置、酸化還元電位(ORP)測定装置、残留塩素測定装置、電気伝導度測定装置、pH測定装置、エネルギー回収装置、ミネラル添加手段等を必要に応じて備えてもよい。
濃縮水側にさらに逆浸透膜処理装置を設置する上記システムと、透過水側にさらに逆浸透膜処理等を設置する上記システムとを組み合わせてもよい。
濃縮水の少なくとも一部は、図2の逆浸透膜処理システム3に示すように、濃縮水配管24から分岐した濃縮水循環配管32により、逆浸透膜処理装置12の前段側、例えば被処理水槽10に循環されてもよいし、被処理水配管18に循環されてもよいし、被処理水供給配管20におけるポンプ14の吸込側、吐出側に循環されてもよい。図2の逆浸透膜処理システム3では、全塩素濃度測定手段として全塩素濃度測定装置16が濃縮水循環配管32に接続されているが、濃縮水配管24に接続されていてもよい。図2の逆浸透膜処理システム3の場合、全塩素濃度測定装置16は、通常は濃縮水循環配管32または濃縮水配管24に接続されているが、濃縮水の全塩素濃度と、安定化次亜臭素酸組成物添加後の被処理水の全塩素濃度とがほぼ同じである場合には、被処理水供給配管20に接続されていてもよい。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法では、逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上にし、被処理水のpHが7以上であり、被処理水に臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物および塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを存在させる。「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物」は、「臭素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」との混合物を含む安定化次亜臭素酸組成物であってもよいし、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」を含む安定化次亜臭素酸組成物であってもよい。「塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜塩素酸組成物」は、「塩素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」との混合物を含む安定化次亜塩素酸組成物であってもよいし、「塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」を含む安定化次亜塩素酸組成物であってもよい。
すなわち、本実施形態に係る逆浸透膜処理方法は、逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上にし、被処理水のpHが7以上であり、被処理水に、「臭素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」との混合物、または「塩素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」との混合物を存在させる方法である。これにより、被処理水中で、安定化次亜臭素酸組成物または安定化次亜塩素酸組成物が生成すると考えられる。
また、本実施形態に係る逆浸透膜処理方法は、逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上にし、被処理水のpHが7以上であり、被処理水に、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」である安定化次亜臭素酸組成物、または「塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」である安定化次亜塩素酸組成物を存在させる方法である。
具体的には本実施形態に係る逆浸透膜処理方法は、被処理水に、例えば、「臭素」、「塩化臭素」、「次亜臭素酸」または「臭化ナトリウムと次亜塩素酸との反応物」と、「スルファミン酸化合物」との混合物を存在させる方法である。または、被処理水中に、「次亜塩素酸」と、「スルファミン酸化合物」との混合物を存在させる方法である。
また、本実施形態に係る逆浸透膜処理方法は、被処理水に、例えば、「臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」、「塩化臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」、「次亜臭素酸とスルファミン酸化合物との反応生成物」、または「臭化ナトリウムと次亜塩素酸との反応物と、スルファミン酸化合物と、の反応生成物」である安定化次亜臭素酸組成物を存在させる方法である。または、被処理水中に、「次亜塩素酸とスルファミン酸化合物との反応生成物」である安定化次亜塩素酸組成物を存在させる方法である。
これらの方法により、逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る、高圧での逆浸透膜処理において、逆浸透膜のスライム抑制効果を有し、かつ透過水量の低下を抑制することができる。本発明者らは、逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る、高圧での逆浸透膜処理において、逆浸透膜の長期的なスライム抑制効果を有し、かつ透過水量の低下を抑制するために、逆浸透膜の一次側入口圧力を特定の値以上にし、かつ、被処理水のpHを特定の値以上に維持することが重要であることを見出した。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、安定化次亜臭素酸組成物または安定化次亜塩素酸組成物は次亜塩素酸等の塩素系酸化剤と同等以上のスライム抑制効果を発揮するにも関わらず、塩素系酸化剤と比較すると、逆浸透膜への劣化影響が低い。このため、本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムで用いられる安定化次亜臭素酸組成物または安定化次亜塩素酸組成物は、被処理水を逆浸透膜で処理する逆浸透膜処理方法で用いるスライム抑制剤としては好適である。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、逆浸透膜を備える逆浸透膜装置へ給水される被処理水のpHは7以上であるが、7.5以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。被処理水のpHが7未満であると、透過水量が低下する。また、被処理水のpHの上限値については、通常の逆浸透膜の適用上限pH(例えば、pH12)以下であれば特に制限はないが、カルシウム等の硬度成分のスケール析出を考慮すると、pHは例えば9以下で運転することが好ましい。本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムを用いる場合、被処理水のpHが7以上で運転することにより、逆浸透膜の劣化、処理水(透過水)の水質悪化を抑制し、十分なスライム抑制効果を発揮しつつ、十分な透過水量の確保も可能となる。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムでは、被処理水中ではなく濃縮水中の全塩素濃度が0.05mg/L以上10mg/L未満の範囲となるように、被処理水に安定化次亜臭素酸組成物および安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを存在させることが好ましい。濃縮水中の全塩素濃度が、0.1mg/L以上5mg/L未満の範囲となるように維持することがより好ましく、0.1mg/L以上0.5mg/L未満の範囲となるように維持することがさらに好ましく、0.1mg/L以上0.2mg/L未満の範囲となるように維持することが特に好ましい。濃縮水中の全塩素濃度が0.05mg/L未満の場合、スライムが十分に抑制できず、10mg/L以上であると逆浸透膜を劣化させるおそれがある。被処理水中の全塩素濃度が0.05mg/L以上であっても、被処理水および逆浸透膜の汚染度等によっては逆浸透膜の濃縮水中の全塩素濃度が0.05mg/L未満となり、スライムが抑制できない場合があるため、被処理水の全塩素濃度管理だけでは不十分である。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物」の場合、塩素系酸化剤が存在しないため、逆浸透膜への劣化影響がより低く、逆浸透膜の長期的なスライム抑制効果を有する。塩素系酸化剤を含む場合は、塩素酸の生成が懸念される。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、「臭素系酸化剤」が、臭素である場合、塩素系酸化剤が存在しないため、逆浸透膜への劣化影響が著しく低く、逆浸透膜のより長期的なスライム抑制効果を有する。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムでは、例えば、被処理水中に、「臭素系酸化剤」または「塩素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」とを薬注ポンプ等により注入してもよい。「臭素系酸化剤」または「塩素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」とは別々に被処理水に添加してもよく、または、原液同士で混合させてから被処理水に添加してもよい。
また、例えば、被処理水中に、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」または「塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」を薬注ポンプ等により注入してもよい。
全塩素濃度測定手段としては、安定化次亜臭素酸組成物または安定化次亜塩素酸組成物が添加された被処理水または濃縮水の安定化次亜臭素酸組成物または安定化次亜塩素酸組成物の濃度を全塩素濃度として測定することができるものであればよく、特に制限はないが、例えば、ジエチル−p−フェニレンジアミン(DPD)比色法、ジエチル−p−フェニレンジアミン(DPD)吸光光度法、電流滴定法、ジエチル−p−フェニレンジアミン(DPD)滴定法、ヨウ素滴定法、ポーラログラフ法、オルトトリジン法等による測定装置が挙げられる。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、「臭素系酸化剤」または「塩素系酸化剤」の当量に対する「スルファミン酸化合物」の当量の比は、1以上であることが好ましく、1以上2以下の範囲であることがより好ましい。「臭素系酸化剤」または「塩素系酸化剤」の当量に対する「スルファミン酸化合物」の当量の比が1未満であると、膜を劣化させる可能性があり、2を超えると、製造コストが増加する場合がある。
逆浸透膜に接触する全塩素濃度は有効塩素濃度換算で、0.01〜100mg/Lであることが好ましい。0.01mg/L未満であると、十分なスライム抑制効果を得ることができない場合があり、100mg/Lより多いと、逆浸透膜の劣化、配管等の腐食を引き起こす可能性がある。
臭素系酸化剤としては、臭素(液体臭素)、塩化臭素、臭素酸、臭素酸塩、次亜臭素酸等が挙げられる。次亜臭素酸は、臭化ナトリウム等の臭化物と次亜塩素酸等の塩素系酸化剤とを反応させて生成させたものであってもよい。
これらのうち、臭素を用いた「臭素とスルファミン酸化合物(臭素とスルファミン酸化合物の混合物)」または「臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」の製剤は、「次亜塩素酸と臭素化合物とスルファミン酸」の製剤および「塩化臭素とスルファミン酸」の製剤等に比べて、臭素酸の副生が少なく、逆浸透膜をより劣化させないため、逆浸透膜用スライム抑制剤としてはより好ましい。
すなわち、本発明の実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上にし、被処理水のpHが7以上であり、被処理水に、臭素と、スルファミン酸化合物とを存在させる(臭素とスルファミン酸化合物の混合物を存在させる)ことが好ましい。また、逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上にし、被処理水のpHが7以上であり、被処理水中に、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を存在させることが好ましい。
臭素化合物としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化アンモニウムおよび臭化水素酸等が挙げられる。これらのうち、製剤コスト等の点から、臭化ナトリウムが好ましい。
塩素系酸化剤としては、例えば、塩素ガス、二酸化塩素、次亜塩素酸またはその塩、亜塩素酸またはその塩、塩素酸またはその塩、過塩素酸またはその塩、塩素化イソシアヌル酸またはその塩等が挙げられる。これらのうち、塩としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム等の次亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム等の亜塩素酸アルカリ金属塩、亜塩素酸バリウム等の亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ニッケル等の他の亜塩素酸金属塩、塩素酸アンモニウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム等の塩素酸アルカリ金属塩、塩素酸カルシウム、塩素酸バリウム等の塩素酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらの塩素系酸化剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩素系酸化剤としては、取り扱い性等の点から、次亜塩素酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
スルファミン酸化合物は、以下の一般式(1)で示される化合物である。
NSOH (1)
(式中、Rは独立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基である。)
スルファミン酸化合物としては、例えば、2個のR基の両方が水素原子であるスルファミン酸(アミド硫酸)の他に、N−メチルスルファミン酸、N−エチルスルファミン酸、N−プロピルスルファミン酸、N−イソプロピルスルファミン酸、N−ブチルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数1〜8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N,N−ジメチルスルファミン酸、N,N−ジエチルスルファミン酸、N,N−ジプロピルスルファミン酸、N,N−ジブチルスルファミン酸、N−メチル−N−エチルスルファミン酸、N−メチル−N−プロピルスルファミン酸等の2個のR基の両方が炭素数1〜8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N−フェニルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数6〜10のアリール基であるスルファミン酸化合物、またはこれらの塩等が挙げられる。スルファミン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、マンガン塩、銅塩、亜鉛塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩等の他の金属塩、アンモニウム塩およびグアニジン塩等が挙げられる。スルファミン酸化合物およびこれらの塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。スルファミン酸化合物としては、環境負荷等の点から、スルファミン酸(アミド硫酸)を用いるのが好ましい。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、さらにアルカリを存在させてもよい。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ等が挙げられる。低温時の製品安定性等の点から、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとを併用してもよい。また、アルカリは、固形でなく、水溶液として用いてもよい。
被処理水のpHを調整するためのpH調整剤としては、塩酸、硫酸等の酸や、水酸化ナトリウム等のアルカリを用いることができる。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて用いられる逆浸透膜としては、一次側入口圧力が3MPa以上で運転可能な逆浸透膜であればよい。本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムは、酢酸セルロースや昨今主流であるポリアミド系高分子膜に好適に適用することができる。ポリアミド系高分子膜は、酸化剤に対する耐性が比較的低く、遊離塩素等をポリアミド系高分子膜に連続的に接触させると、膜性能の著しい低下が起こる。しかしながら、本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムではポリアミド高分子膜においても、このような著しい膜性能の低下はほとんど起こらない。
逆浸透膜としては、高圧膜、中圧膜、低圧膜、超低圧膜が挙げられるが、好ましくは最大使用圧が4.16MPaより大きい逆浸透膜である。ここで、「最大使用圧」とは、JIS K3802:2015「膜用語」に記載の、モジュールおよびエレメントの構造または性能を損なうことなく連続的に使用できる一次側最大圧力である。
逆浸透膜としては、具体的には、一般に高圧膜と呼ばれている、一次側入口圧力5.5MPa、有効圧力2.7MPa、NaCl濃度32000mg/L、温度25℃における透過流束が0.1〜3.0m/m/dayの範囲、好ましくは0.3〜2.0m/m/dayの範囲、より好ましくは0.5〜1.7m/m/dayの範囲であり、NaCl阻止率が90%以上、好ましくは99%以上、より好ましくは99.6%以上の特性を有する逆浸透膜が挙げられる。ここで、「有効圧力(有効圧)」とは、JIS K3802:2015「膜用語」に記載の、平均操作圧から浸透圧差および二次側圧を差し引いた、膜に働く有効な圧である。なお、平均操作圧は、膜の一次側における膜供給水の圧力(運転圧力:一次側入口圧力)と濃縮水の圧力(濃縮水出口圧力)の平均値で、以下の式により表される。
平均操作圧=(運転圧力+濃縮水出口圧力)/2
一次側入口圧力5.5MPa、有効圧力2.7MPa、NaCl濃度32000mg/L、温度25℃における透過流束が0.1〜3.0m/m/dayの範囲、NaCl阻止率が90%以上の特性を有し、高圧膜と呼ばれている市販の逆浸透膜としては、例えば、FILMTEC製のSW30シリーズ、SW30HRシリーズ、SW30HRLEシリーズ、SW30ULEシリーズ、SW30XLEシリーズ、SW30XHRシリーズ、SEAMAXXシリーズ、日東電工製のSWC2シリーズ、SWC3シリーズ、SWC4シリーズ、SWC5シリーズ、SWC6シリーズ、東レ製のTM800Cシリーズ、TM800Mシリーズ、TM800Eシリーズ、TM800Rシリーズ、TM800Vシリーズ、TM800Kシリーズ、SU−800シリーズ等が挙げられる。
逆浸透膜の膜形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、環状型、平膜型、スパイラル型、中空糸型等が挙げられ、4インチ型、8インチ型、16インチ型等のいずれでもあってもよい。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、逆浸透膜を備える逆浸透膜装置へ給水される被処理水の一次側入口圧力は、3MPa以上であるが、4MPa以上であることが好ましく、5MPa以上であることがより好ましい。なお、逆浸透膜の一次側入口圧力の上限値は特に限定はなく、逆浸透膜の最大使用圧(例えば、8.3MPa)以下であればよい。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、逆浸透膜を備える逆浸透膜装置へ給水される被処理水の有効圧力は、0.8MPa以上であることが好ましく、1.0MPa以上であることがより好ましい。
逆浸透膜装置において、被処理水のpH7以上でスケールが発生する場合には、スケール抑制のために分散剤を安定化次亜臭素酸組成物または安定化次亜塩素酸組成物と併用してもよい。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ホスホン酸等が挙げられる。分散剤の被処理水への添加量は、例えば、RO濃縮水中の濃度として0.1〜1,000mg/Lの範囲である。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、逆浸透膜表面(スキン層)に塩素が存在することが好ましい。「逆浸透膜の表面に塩素が存在する」とは、乾燥させた逆浸透膜の表面のX線光電子分光(XPS)分析において塩素が検出されること、すなわち検出下限値以上であることを言う。XPS分析による逆浸透膜の表面の塩素濃度は、検出下限値以上であればよいが、0.2atomic%以上であることが好ましく、0.4atomic%以上であることがより好ましく、0.46atomic%以上であることがさらに好ましい。逆浸透膜の表面の塩素濃度の上限値は、特に規定はないが、例えば10atomic%以下であることが好ましい。
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、逆浸透膜の表面のpH=8におけるゼータ電位が、7.0mV以下であることが好ましく、7.0mV未満であることがより好ましく、0mV以下であることがさらに好ましく、−20.0mV以下であることが特に好ましい。逆浸透膜の表面のpH=8におけるゼータ電位の下限値は、特に規定はないが、例えば−100mV以上であることが好ましい。
また、分散剤を使用せずにスケールの発生を抑制するためには、例えば、RO濃縮水中のシリカ濃度を溶解度以下に、カルシウムスケールの指標であるランゲリア指数を0以下になるように、逆浸透膜装置の回収率等の運転条件を調整することが挙げられる。
逆浸透膜装置の用途としては、例えば、純水製造、海水淡水化、排水回収等が挙げられる。本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムは、特に高圧で運転する海水淡水化や排水回収に好適に適用することができる。
被処理水としてはかん水(海水または汽水)、排水、淡水、工業用水、市水、井水、純水、超純水等が挙げられ、本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムは、特にかん水での効果が確認された。ここでいう「かん水」とは、塩濃度で0.05〜5重量%の水である。かん水に含まれる塩としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウム等が挙げられる。かん水の導電率は、600〜80000μS/cmの範囲である。
<水処理システム>
本実施形態に係る逆浸透膜処理方法および処理システムにおいて、図3に示すように、被処理水は、予め、前処理において処理された前処理水であることが好ましい。
例えば、図3に示すように、水処理システム5は、上記逆浸透膜処理システム1または3を備え、逆浸透膜処理システム1または3の前段に前処理システム50を備える。
水処理システム5において、前処理システム50の入口には原水供給配管52が接続され、前処理システム50の出口と逆浸透膜処理システム1または3の入口とは前処理水供給配管54により接続されている。例えば、前処理水供給配管54は、逆浸透膜処理システム1または3の被処理水配管18と接続されている。
安定化次亜臭素酸組成物および安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを添加するための添加配管26は、添加配管26aとして原水供給配管52、添加配管26bとして前処理システム50、添加配管26cとして前処理水供給配管54、添加配管26dとして逆浸透膜処理システム1または3のうちの少なくとも1つに接続されている。
水処理システム5において、原水が、原水供給配管52を通して前処理システム50に供給され、前処理システム50において、後述する前処理が行われる(前処理工程)。前処理が行われた前処理水は、前処理水供給配管54を通して逆浸透膜処理システム1または3に供給される。逆浸透膜処理システム1または3において、上記の通り、逆浸透膜処理が行われる(逆浸透膜処理工程)。
安定化次亜臭素酸組成物および安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つは、添加配管26aを通して原水供給配管52、添加配管26bを通して前処理システム50、添加配管26cを通して前処理水供給配管54、添加配管26dを通して逆浸透膜処理システム1または3のうちの少なくとも1つにおいて、原水、前処理水、被処理水のうちの少なくとも1つに添加されればよい。
前処理工程においては、生物処理、凝集処理、凝集沈殿処理、加圧浮上処理、ろ過処理、膜分離処理、活性炭処理、脱炭酸処理、軟化処理、オゾン処理、紫外線照射処理等の生物学的、物理的または化学的な前処理、およびこれらの前処理のうちの2つ以上の組み合わせが必要に応じて行われる。
逆浸透膜処理システム1または3において、システム内に逆浸透膜の他に、ポンプ、安全フィルタ、流量測定装置、圧力測定装置、温度測定装置、酸化還元電位(ORP)測定装置、残留塩素測定装置、電気伝導度測定装置、pH測定装置、エネルギー回収装置、ミネラル添加手段等を必要に応じて備えてもよい。
水処理システム5において、必要に応じて、安定化次亜臭素酸組成物または安定化次亜塩素酸組成物以外のスケール抑制剤や、pH調整剤が、原水供給配管52、前処理システム50、前処理水供給配管54、逆浸透膜処理システム1または3のうちの少なくとも1つにおいて、原水、前処理水、被処理水のうちの少なくとも1つに添加されてもよい。
<逆浸透膜用スライム抑制剤>
本実施形態に係る逆浸透膜用スライム抑制剤は、「臭素系酸化剤または塩素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」との混合物を含む安定化次亜臭素酸組成物または安定化次亜塩素酸組成物を含有するものであり、さらにアルカリを含有してもよい。
また、本実施形態に係る逆浸透膜用スライム抑制剤は、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」を含む安定化次亜臭素酸組成物、または「塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」を含む安定化次亜塩素酸組成物を含有するものであり、さらにアルカリを含有してもよい。
臭素系酸化剤、臭素化合物、塩素系酸化剤およびスルファミン酸化合物については、上述した通りである。
塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜塩素酸組成物の市販品としては、例えば、栗田工業株式会社製の「クリバーターIK−110」が挙げられる。
本実施形態に係る逆浸透膜用スライム抑制剤としては、逆浸透膜をより劣化させないため、臭素と、スルファミン酸化合物とを含有するもの(臭素とスルファミン酸化合物の混合物を含有するもの)、例えば、臭素とスルファミン酸化合物とアルカリと水との混合物、または、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物を含有するもの、例えば、臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物と、アルカリと、水との混合物が好ましい。
本実施形態に係る逆浸透膜用スライム抑制剤のうち、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物を含有するスライム抑制剤、特に臭素とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物を含有するスライム抑制剤は、塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含むスライム抑制剤(クロロスルファミン酸等)と比較すると、酸化力が高く、スライム抑制力、スライム剥離力が著しく高いにもかかわらず、同じく酸化力の高い次亜塩素酸のような著しい膜劣化をほとんど引き起こすことがない。通常の使用濃度では、膜劣化への影響は実質的に無視することができる。このため、逆浸透膜用スライム抑制剤としては最適である。
本実施形態に係る逆浸透膜用スライム抑制剤は、次亜塩素酸とは異なり、逆浸透膜をほとんど透過しないため、処理水水質への影響がほとんどない。また、次亜塩素酸等と同様に現場で濃度を測定することができるため、より正確な濃度管理が可能である。
逆浸透膜用スライム抑制剤のpHは、例えば、13.0超であり、13.2超であることがより好ましい。逆浸透膜用スライム抑制剤のpHが13.0以下であると逆浸透膜用スライム抑制剤中の有効ハロゲンが不安定になる場合がある。
逆浸透膜用スライム抑制剤中の臭素酸濃度は、5mg/kg未満であることが好ましい。逆浸透膜用スライム抑制剤中の臭素酸濃度が5mg/kg以上であると、RO透過水の臭素酸イオンの濃度が高くなる場合がある。
<逆浸透膜用スライム抑制剤の製造方法>
本実施形態に係る逆浸透膜用スライム抑制剤は、臭素系酸化剤または塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを混合することにより得られ、さらにアルカリを混合してもよい。
臭素と、スルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物を含有する逆浸透膜用スライム抑制剤の製造方法としては、水、アルカリおよびスルファミン酸化合物を含む混合液に臭素を不活性ガス雰囲気下で添加して反応させる工程、または、水、アルカリおよびスルファミン酸化合物を含む混合液に臭素を不活性ガス雰囲気下で添加する工程を含むことが好ましい。不活性ガス雰囲気下で添加して反応させる、または、不活性ガス雰囲気下で添加することにより、逆浸透膜用スライム抑制剤中の臭素酸イオン濃度が低くなり、RO透過水中の臭素酸イオン濃度が低くなる。
用いる不活性ガスとしては限定されないが、製造等の面から窒素およびアルゴンのうち少なくとも1つが好ましく、特に製造コスト等の面から窒素が好ましい。
臭素の添加の際の反応器内の酸素濃度は6%以下が好ましいが、4%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1%以下が特に好ましい。臭素の反応の際の反応器内の酸素濃度が6%を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合がある。
臭素の添加率は、逆浸透膜用スライム抑制剤全体の量に対して25重量%以下であることが好ましく、1重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。臭素の添加率が逆浸透膜用スライム抑制剤全体の量に対して25重量%を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合がある。1重量%未満であると、殺菌力が劣る場合がある。
臭素添加の際の反応温度は、0℃以上25℃以下の範囲に制御することが好ましいが、製造コスト等の面から、0℃以上15℃以下の範囲に制御することがより好ましい。臭素添加の際の反応温度が25℃を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合があり、0℃未満であると、凍結する場合がある。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[安定化次亜臭素酸組成物(組成物1)の調製]
窒素雰囲気下で、液体臭素:16.9重量%(wt%)、スルファミン酸:10.7重量%、水酸化ナトリウム:12.9重量%、水酸化カリウム:3.94重量%、水:残分を混合して、安定化次亜臭素酸組成物(組成物1)を調製した。安定化次亜臭素酸組成物のpHは14、全塩素濃度は7.5重量%であった。安定化次亜臭素酸組成物の詳細な調製方法は以下の通りである。
反応容器内の酸素濃度が1%に維持されるように、窒素ガスの流量をマスフローコントローラでコントロールしながら連続注入で封入した2Lの4つ口フラスコに1436gの水、361gの水酸化ナトリウムを加え混合し、次いで300gのスルファミン酸を加え混合した後、反応液の温度が0〜15℃になるように冷却を維持しながら、473gの液体臭素を加え、さらに48%水酸化カリウム溶液230gを加え、組成物全体の量に対する重量比でスルファミン酸10.7%、臭素16.9%、臭素の当量に対するスルファミン酸の当量比が1.04である、目的の安定化次亜臭素酸組成物(組成物1)を得た。生じた溶液のpHは、ガラス電極法にて測定したところ、14であった。生じた溶液の臭素含有率は、臭素をヨウ化カリウムによりヨウ素に転換後、チオ硫酸ナトリウムを用いて酸化還元滴定する方法により測定したところ16.9%であり、理論含有率(16.9%)の100.0%であった。また、臭素反応の際の反応容器内の酸素濃度は、株式会社ジコー製の「酸素モニタJKO−02 LJDII」を用いて測定した。なお、臭素酸濃度は5mg/kg未満であった。
なお、pHの測定は、以下の条件で行った。
電極タイプ:ガラス電極式
pH測定計:東亜ディーケーケー社製、IOL−30型
電極の校正:関東化学社製中性リン酸塩pH(6.86)標準液(第2種)、同社製ホウ酸塩pH(9.18)標準液(第2種)の2点校正で行った
測定温度:25℃
測定値:測定液に電極を浸漬し、安定後の値を測定値とし、3回測定の平均値
[安定化次亜塩素酸組成物(組成物2)の調製]
12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液:50重量%、スルファミン酸:12重量%、水酸化ナトリウム:8重量%、水:残分を混合して、安定化次亜塩素酸組成物(組成物2)を調製した。組成物2のpHは13.7、全塩素濃度は、6.2重量%であった。
<実施例1,2、参考例3>
[殺菌力の比較試験]
実施例1,2、参考例3では、図1に示すエレメント試験装置を用い、下記の試験条件で通水した。薬剤は安定化次亜臭素酸組成物(組成物1)を使用して、逆浸透膜の一次側入口圧力3MPaでpHをそれぞれ8.0,7.5,7.0に調整して通水した。
(試験条件)
・試験装置:エレメント試験装置
・逆浸透膜:SWC5(日東電工製、ポリアミド系高分子膜)
・膜種:高圧膜(一次側入口圧力5.5MPa、有効圧力2.7MPa、NaCl濃度32000mg/L、温度25℃における透過流束が0.9m/m/day、NaCl阻止率が90%以上、最大使用圧が8.27MPa)
・試験温度:25℃
・全塩素濃度の測定箇所:濃縮水
・全塩素濃度の測定方法:DPD(ジエチル−p−フェニレンジアミン)法(Hach社製、多項目水質分析計「DR−4000」)
・全塩素濃度(濃縮水):0.2mg/L(asCl
・pH調整剤:塩酸
・被処理水:かん水(pH8、塩濃度3重量%、導電率37000〜50000μS/cm)
・一次側入口圧力:3.0〜3.8MPa
・有効圧:0.8〜1.1MPa
(結果)
実施例1では透過水量保持率は100%であり、実施例2では透過水量保持率は93%であり、参考例3では透過水量保持率は81%であった。結果を表1、図4に示す。このように、逆浸透膜の一次側入口圧力3MPaではpH8.0,7.5,7.0において透過水量保持率は80%以上となり、透過水量の低下が抑制された。
<比較例1>
比較例1では、図1に示すエレメント試験装置を用い、上記の試験条件で通水した。薬剤は安定化次亜臭素酸組成物(組成物1)を使用して、逆浸透膜の一次側入口圧力3MPaでpHを6.5に調整して通水した。
(結果)
比較例1では透過水量保持率は66%であった。結果を表1、図4に示す。このように、逆浸透膜の一次側入口圧力3MPaではpH6.5において透過水量保持率は80%未満となり、透過水量の低下が認められた。
<実施例4>
実施例4では、図1に示すエレメント試験装置を用い、下記の試験条件で通水した。薬剤は安定化次亜塩素酸組成物(組成物2)を使用して、逆浸透膜の一次側入口圧力3MPaでpHを7.5に調整して通水した。
(試験条件)
・試験装置:エレメント試験装置
・逆浸透膜:TM800C(東レ製、ポリアミド系高分子膜)
・膜種:高圧膜(一次側入口圧力5.5MPa、有効圧力2.7MPa、NaCl濃度32000mg/L、温度25℃における透過流束が0.6m/m/day、NaCl阻止率が99.75%以上、最大使用圧が8.3MPa)
・試験温度:25℃
・全塩素濃度の測定箇所:濃縮水
・全塩素濃度の測定方法:DPD(ジエチル−p−フェニレンジアミン)法(Hach社製、多項目水質分析計「DR−4000」)
・全塩素濃度(濃縮水):1.2mg/L(asCl
・pH調整剤:塩酸
・被処理水:かん水(pH8、塩濃度3重量%、導電率37000〜50000μS/cm)
・一次側入口圧力:3.0〜3.8MPa
・有効圧:0.8〜1.1MPa
(結果)
実施例4では透過水量保持率は95%であった。結果を表1、図5に示す。このように、逆浸透膜の一次側入口圧力3MPaではpH7.5において透過水量保持率は80%以上となり、透過水量の低下が抑制された。
Figure 0006622424
<実施例5〜7>
[逆浸透膜の比較試験]
実施例5〜7では、図1に示すエレメント試験装置を用い、下記の試験条件で通水した。薬剤は安定化次亜臭素酸組成物(組成物1)を使用して、逆浸透膜の一次側入口圧力3MPaでpHをそれぞれ8.5に調整して通水した。
(試験条件)
・試験装置:エレメント試験装置
・逆浸透膜:日東電工製ポリアミド系高分子膜(実施例5)、東レ製ポリアミド系高分子膜(実施例6)、DOW製ポリアミド系高分子膜(実施例7)
・膜種:高圧膜(一次側入口圧力5.5MPa、有効圧力2.7MPa、NaCl濃度32000mg/L、温度25℃における透過流束が0.9m/m/day(日東電工製ポリアミド系高分子膜)、温度25℃における透過流束が0.6m/m/day(東レ製ポリアミド系高分子膜)、温度25℃における透過流束が0.7m/m/day(DOW製ポリアミド系高分子膜)、NaCl阻止率が90%以上、最大使用圧が8.27MPa)
・試験温度:25℃
・全塩素濃度の測定箇所:濃縮水
・全塩素濃度の測定方法:DPD(ジエチル−p−フェニレンジアミン)法(Hach社製、多項目水質分析計「DR−4000」)
・全塩素濃度(濃縮水):0.2mg/L(as Cl
・pH調整剤:塩酸
・被処理水:かん水(pH8.5、塩濃度3重量%、導電率37000〜50000μS/cm)
・一次側入口圧力:3.0〜3.8MPa
・有効圧:0.8〜1.1MPa
(結果)
結果を表2に示す。実施例5では透過水量保持率は98%、実施例6では透過水量保持率は94%、実施例7では透過水量保持率は83%であった。
(XPSによるポリアミド系高分子膜表面の塩素濃度測定)
ポリアミド系高分子膜の水分を、温度24℃、湿度48%RHのクリーンルーム内にて約22時間の条件で乾燥させた後、表面のXPS分析を下記条件で行った。
測定装置:PHI社製QuanteraSXM
励起X線:単色化Al(1486.6eV)
X線径:100μmφ
検出深さ:約4〜5nm
取出角:45°
検出下限:0.2atomic%
表2に通水前の逆浸透膜(ポリアミド系高分子膜)の表面の塩素濃度を示す。
Figure 0006622424
日東電工製ポリアミド系高分子膜(実施例5)および東レ製ポリアミド系高分子膜(実施例6)については、通水前のポリアミド系高分子膜の表面に塩素が検出されていることが分かった。それに対して、DOW製ポリアミド系高分子膜(実施例7)については、通水前のポリアミド系高分子膜の表面の塩素が検出下限値未満であることが分かった。このことから、逆浸透膜の透過水量保持率の低下抑制には、逆浸透膜(ポリアミド系高分子膜)の表面の塩素が影響していると考えられる。なお、逆浸透膜の表面に塩素が存在していることにより、透過水量保持率の低下が抑制されるメカニズムは明らかではないが、表面に塩素が導入されている逆浸透膜では、臭素が導入されにくくなるため、一般的に透過水量低下を引き起こす臭素系酸化剤の影響を受け難くなるものと推測される。
<実施例8〜10>
[逆浸透膜の比較試験]
実施例8〜10では、図1に示すエレメント試験装置を用い、下記の試験条件で通水した。薬剤は安定化次亜臭素酸組成物(組成物1)を使用して、逆浸透膜の一次側入口圧力3MPaでpHをそれぞれ8.0に調整して通水した。
(試験条件)
・試験装置:エレメント試験装置
・逆浸透膜:SWC4+(日東電工製ポリアミド系高分子膜:実施例8)、SWC5(日東電工製ポリアミド系高分子膜:実施例9)、SWC6(日東電工製ポリアミド系高分子膜:実施例10)
・膜種:高圧膜
(SWC4+:一次側入口圧力5.5MPa、有効圧力2.7MPa、NaCl濃度32000mg/L、温度25℃における透過流束が0.7m/m/day、NaCl阻止率が90%以上、最大使用圧が8.27MPa)
(SWC5:一次側入口圧力5.5MPa、有効圧力2.7MPa、NaCl濃度32000mg/L、温度25℃における透過流束が0.9m/m/day、NaCl阻止率が90%以上、最大使用圧が8.27MPa)
(SWC6:一次側入口圧力5.4MPa、有効圧力2.6MPa、NaCl濃度32000mg/L、温度25℃における透過流束が1.2m/m/day、NaCl阻止率が90%以上、最大使用圧が8.27MPa)
・試験温度:25℃
・全塩素濃度の測定箇所:濃縮水
・全塩素濃度の測定方法:DPD(ジエチル−p−フェニレンジアミン)法(Hach社製、多項目水質分析計「DR−4000」)
・全塩素濃度(濃縮水):0.2mg/L(as Cl
・pH調整剤:塩酸
・被処理水:かん水(pH8、塩濃度3重量%、導電率37000〜50000μS/cm)
・一次側入口圧力:3.0〜3.8MPa
・有効圧:0.8〜1.1MPa
(結果)
結果を表3に示す。実施例8では透過水量保持率は93%、実施例9では透過水量保持率は99%、実施例10では透過水量保持率は89%であった。このように、実施例10では、実施例8および実施例9と比較して透過水量の低下が認められた。
(電気泳動法におけるポリアミド系高分子膜表面のゼータ電位測定)
ポリアミド系高分子膜を平板ゼータ電位測定用セルのサンプルホルダ(約4mm×5mm)のサイズに切り出し、測定面が上になるようにホルダに接着したものを測定試料とした。塩化ナトリウム0.01mol/L溶液中に、ポリマラテックス粒子(ポリスチレン100nm径標準液Nanophene Size Standard)を分散させたものをトレーサ懸濁液とし、水酸化ナトリウム水溶液および塩酸を用いて、pH=8に調整した。サンプルホルダをセットした平板ゼータ電位測定用セルを、トレーサ懸濁液に浸して25℃で測定を行った。このときのトレーサ懸濁液pHを測定した。溶媒の屈折率、誘電率、粘度は、水の数値に設定した。再現性確認のため、繰り返し測定を行った。
測定装置:マルバーン社製ゼータサイザーナノZS(電気泳動法)
平板ゼータ電位測定用セル(ZEN1020)
表3に通水前のポリアミド系高分子膜表面のゼータ電位を示す。
Figure 0006622424
SWC4+(実施例8)およびSWC5(実施例9)についてはゼータ電位が負であることが分かった。また、SWC6(実施例10)についてはゼータ電位が正であることが分かった。このことから透過水量保持率の低下抑制にはポリアミド系高分子膜表面のゼータ電位も影響していると考えられる。
このように、実施例の方法により、逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る、高圧での逆浸透膜処理において、逆浸透膜のスライム抑制効果を有し、かつ透過水量の低下を抑制することができた。
1,3 逆浸透膜処理システム、5 水処理システム、10 被処理水槽、12 逆浸透膜処理装置、14 ポンプ、16 全塩素濃度測定装置、18 被処理水配管、20 被処理水供給配管、22 透過水配管、24 濃縮水配管、26,26a,26b,26c,26d,26e,26f 添加配管、28 pH調整剤添加配管、30 pH測定装置、32 濃縮水循環配管、50 前処理システム、52 原水供給配管、54 前処理水供給配管。

Claims (12)

  1. 逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る逆浸透膜処理方法であって、
    前記逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上にし、
    前記被処理水のpHが7.5以上であり、
    前記被処理水に、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物および塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを存在させ
    前記被処理水は、塩濃度が0.05〜5重量%のかん水であることを特徴とする逆浸透膜処理方法。
  2. 逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る逆浸透膜処理方法であって、
    前記逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上にし、
    前記被処理水のpHが7.5以上であり、
    前記被処理水に、臭素とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物を存在させ
    前記被処理水は、塩濃度が0.05〜5重量%のかん水であることを特徴とする逆浸透膜処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の逆浸透膜処理方法であって、
    前記濃縮水中の全塩素濃度が0.05mg/L以上10mg/L未満の範囲となるように、前記被処理水に前記安定化次亜臭素酸組成物および前記安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを存在させることを特徴とする逆浸透膜処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の逆浸透膜処理方法であって、
    前記逆浸透膜が、高圧膜であることを特徴とする逆浸透膜処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の逆浸透膜処理方法であって、
    前記逆浸透膜の表面に塩素が存在することを特徴とする逆浸透膜処理方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の逆浸透膜処理方法であって、
    前記逆浸透膜の表面のpH=8におけるゼータ電位が、7.0mV以下であることを特徴とする逆浸透膜処理方法。
  7. 逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る逆浸透膜処理システムであって、
    前記被処理水のpHが7.5以上であり、
    逆浸透膜を有する逆浸透膜処理装置と、
    前記逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上になるように、前記被処理水を加圧する加圧手段と、
    前記被処理水に、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物および塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを添加する添加手段と、
    を備え
    前記被処理水は、塩濃度が0.05〜5重量%のかん水であることを特徴とする逆浸透膜処理システム。
  8. 逆浸透膜に被処理水を通水して処理水および濃縮水を得る逆浸透膜処理システムであって、
    前記被処理水のpHが7.5以上であり、
    逆浸透膜を有する逆浸透膜処理装置と、
    前記逆浸透膜の一次側入口圧力を3MPa以上になるように、前記被処理水を加圧する加圧手段と、
    前記被処理水に、臭素とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物を添加する添加手段と、
    を備え
    前記被処理水は、塩濃度が0.05〜5重量%のかん水であることを特徴とする逆浸透膜処理システム。
  9. 請求項7または8に記載の逆浸透膜処理システムであって、
    前記添加手段は、前記濃縮水中の全塩素濃度が0.05mg/L以上10mg/L未満の範囲となるように、前記被処理水に前記安定化次亜臭素酸組成物および前記安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つを添加するものであり、
    前記安定化次亜臭素酸組成物および前記安定化次亜塩素酸組成物のうち少なくとも1つが添加された被処理水または前記濃縮水の全塩素濃度を測定する全塩素濃度測定手段をさらに備えることを特徴とする逆浸透膜処理システム。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の逆浸透膜処理システムであって、
    前記逆浸透膜が、高圧膜であることを特徴とする逆浸透膜処理システム。
  11. 請求項7〜10のいずれか1項に記載の逆浸透膜処理システムであって、
    前記逆浸透膜の表面に塩素が存在することを特徴とする逆浸透膜処理システム。
  12. 請求項7〜11のいずれか1項に記載の逆浸透膜処理システムであって、
    前記逆浸透膜の表面のpH=8におけるゼータ電位が、7.0mV以下であることを特徴とする逆浸透膜処理システム。
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