JP6621108B2 - 清掃ブラシ用パイル織物 - Google Patents
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Description
特に、厚手のパイル織物では、パイル層が断熱層になるので、パイル表面からパイル根元まで一定温度でヒートセットすることは難しく、セット温度にバラツキが生じる。
そしてパイル密度が緻密なパイル織物では、隣り合う一方のパイルが他方のパイルを支えることになるので、パイルを強く傾斜させることは難しくなる。
従って、本発明によると、押し倒してヒートセットするまでもなく、地組織との係合構造からしてパイル片は一定方向に傾斜し、その傾斜方向や傾斜角度にバラツキがなく品質が安定した清掃ブラシ用パイル織物が得られる。
その場合、ファーストパイル52を形成するためには、複数本の中間緯糸41a・41b・41c・41d………の少なくとも1本の中間緯糸の上をパイル糸の沈み糸53が越えるようにする。
そのようにパイル糸の沈み糸53が何れか1本の中間緯糸の上を越える限り、パイル糸の沈み糸53が他の何れの中間緯糸の上を越えるか越えないかは不問とされる。
図1に、二重丸『◎』を示す組織点は、緯糸の上を越えるか越えないかが不問とされる組織点を示す。
図6と図7と図8が図示するように、2本一組の地経糸、即ち、1本の芯経糸31と1本の締経糸32に対して2本一組のパイル糸33a・33bが配置され、その第1のパイル糸33aによって構成されたファーストパイル52と第2のパイル糸33bによって構成されたファーストパイル52とは経糸方向54に交互して連続している。
その第1のパイル糸33aによって構成されたファーストパイルの後端側パイル片21と第2のパイル糸33bによって構成されたファーストパイルの先端側パイル片11は経糸方向54において隣接しており、第1のパイル糸33aによって構成されたファーストパイルの後端側パイル片21を係止する後端側緯糸22は第2のパイル糸33bによって構成されたファーストパイルの先端側パイル片11を係止する先端側緯糸12に前後する先端側隣接緯糸13に該当し、第2のパイル糸33bによって構成されたファーストパイルの後端側パイル片21を係止する後端側緯糸22は第1のパイル糸33aによって構成されたファーストパイルの先端側パイル片11を係止する先端側緯糸12に前後する後端側隣接緯糸23に該当する位置関係にある。
同様に、第2のパイル糸33bによって構成されたファーストパイルの後端側パイル片21は第1のパイル糸33aによって構成されたファーストパイルの先端側パイル片11は経糸方向54において隣接しており、第1のパイル糸33aによって構成されたファーストパイルの後端側パイル片21を係止する後端側緯糸22は第2のパイル糸33bによって構成されたファーストパイルの先端側パイル片11を係止する先端側緯糸12に前後する先端側隣接緯糸13に該当し、第2のパイル糸33bによって構成されたファーストパイルの後端側パイル片21を係止する後端側緯糸22は第1のパイル糸33aによって構成されたファーストパイルの先端側パイル片11を係止する先端側緯糸12に前後する後端側隣接緯糸23に該当する位置関係にある。
しかし、図9と図10と図11と図12が図示するパイル織物は、図6と図7と図8が図示するパイル織物と異なり、2本一組の地経糸、即ち、1本の芯経糸31と1本の締経糸32に対して1本のパイル糸33が配置され、その隣り合う2本の各パイル糸33a・33bとそれら2本の各パイル糸33a・33bにそれぞれ配置された芯経糸31と1本の締経糸32が交絡して構成する組織図は、3杼打運動分(3 picking motion)だけ杼打位相を異にしている。
その結果、図12が図示するように、隣り合う第1のパイル糸33aと第2のパイル糸33bは、それぞれファーストパイルが形成されない無パイル部51とファーストパイル52を芯経糸31と締経糸32に沿って経糸方向54に交互に形成し、且つ、第1のパイル糸33aの形成する無パイル部51と第2のパイル糸33bの形成するファーストパイル52、および、第1のパイル糸33aの形成するファーストパイル52と第2のパイル糸33bの形成する無パイル部51がそれぞれ緯糸に沿った緯糸方向55に交互に形成されることになる。
従って、図6と図7と図8が図示するパイル織物とは異なり、図9と図10と図11と図12が図示するパイル織物では、各ファーストパイル52の先端側パイル片11と後端側パイル片21に本発明の第4と第5の要件である回転モーメント、即ち、図4における右回りの回転モーメントが作用するとき、その回転モーメントの作用は経糸方向54において隣り合う何れのファーストパイル52にも妨げられない。
従って、本発明によると、押し倒してヒートセットするまでもなく、地組織との係合構造からしてパイル片は一定方向に傾斜し、その傾斜方向や傾斜角度にバラツキがなく品質が安定した清掃ブラシ用パイル織物が確実に得られる。
従って、本発明によると、押し倒してヒートセットするまでもなく、地組織との係合構造からしてパイル片は一定方向に傾斜し、その傾斜方向や傾斜角度にバラツキがなく品質が安定した清掃ブラシ用パイル織物が確実に得られる。
従って、本発明によると、押し倒してヒートセットするまでもなく、地組織との係合構造からしてパイル片は一定方向に傾斜し、その傾斜方向や傾斜角度にバラツキがなく品質が一層安定した清掃ブラシ用パイル織物が確実に得られることになる。
図2と図7と図10と図11は、それぞれ上下二重に織成される2枚のパイル織物の製織過程での側面図であり、その各図の分図(a)が図示するパイル織物と分図(b)が図示するパイル織物とは、それらを連結しているパイル糸を上下のパイル織物の間でセンターカットして2枚のパイル織物に分割されて取り出される。
図3は、図2の分図(a)が図示するパイル織物の斜視図である。
図8は、図7の分図(a)が図示するパイル織物の斜視図である。
図12は、図10の分図(a)と図11の分図(a)が図示するパイル織物の斜視図である。
図2の分図(b)が図示するパイル織物の斜視図は図3が図示するパイル織物の斜視図と同じになり、図7の分図(b)が図示するパイル織物の斜視図は図8が図示するパイル織物の斜視図と同じになり、又、図10の分図(b)と図11の分図(b)が図示するパイル織物の斜視図は図12が図示するパイル織物の斜視図と同じになるので、それらの分図(b)が図示するパイル織物の斜視図は割愛されている。
従って、ファーストパイル52を形成するためには、複数本の中間緯糸41a・41b・41c・41d………の少なくとも1本の中間緯糸の上をパイル糸の沈み糸53が越えるようにすることが出来る。
そのようにパイル糸の沈み糸53が何れか1本の中間緯糸の上を越える限り、図1の組織図の組織点に二重丸『◎』で示すように、パイル糸の沈み糸53が他の何れの中間緯糸の上を越えるか越えないかは不問とされる。
しかし、地組織が二層構造を成す第1の要件と、締経糸32が緯糸を芯経糸31に締め付ける第2の要件と、パイル糸がファーストパイル52を形成する第3の要件と、先端側パイル片11と後端側パイル片21に作用する回転モーメントとの第4と第5の要件との五つの要件を満たす限り本発明の目的は達成される。
その限りにおいて、ファーストパイルを地組織に係止するために必要とされる緯糸の数は3本であってもよい。
従って、図5分図(a)が図示する合計9本の緯糸によって地組織に係止された1個のファーストパイルは、図5分図(b)と図5分図(c)と図5分図(d)および図5分図(e)が示すように、その沈み糸53を分断して2個以上のファーストパイルに分割することが出来る。
この場合、中間緯糸41cは先方ファーストパイル52cの後端側緯糸22となり、
中間緯糸41dは先方ファーストパイル52cの後端側隣接緯糸23となる一方、中間緯糸41fは後方ファーストパイル52dの先端側緯糸12となり、中間緯糸41eは後方ファーストパイル52dの先端側隣接緯糸13となる。
この場合、中間緯糸41eは先方ファーストパイル52cの後端側緯糸22となり、
中間緯糸41fは先方ファーストパイル52cの後端側隣接緯糸23となる一方、中間緯糸41fは後方ファーストパイル52dの先端側緯糸12となり、中間緯糸41eは後方ファーストパイル52dの先端側隣接緯糸13となる。
この場合、中間緯糸41cは先方ファーストパイル52cの後端側緯糸22となり、
中間緯糸41dは先方ファーストパイル52cの後端側隣接緯糸23となる一方、中間緯糸41dは後方ファーストパイル52dの先端側緯糸12となり、中間緯糸41cは後方ファーストパイル52dの先端側隣接緯糸13となる。
この場合、中間緯糸41cは先方ファーストパイル52cの後端側緯糸22となり、
中間緯糸41dは先方ファーストパイル52cの後端側隣接緯糸23となる一方、中間緯糸41dは後方ファーストパイル52dの先端側緯糸12となり、中間緯糸41cは後方ファーストパイル52dの先端側隣接緯糸13となる。
その場合、芯経糸31の収縮性は、熱収縮性であってもよいし、水や溶液の吸収膨潤による溶液吸収収縮性であってもよい。
又、本発明において、先端側パイル片11と後端側パイル片21の傾斜角度は、20度以上70度以下でも良く、好ましくは25度以上65度以下、更に好ましくは30度以上60度以下でも構わない。
本発明の清掃ブラシ用パイル織物は、布帛表面の塵埃拭き取り、衣服表面の塵埃拭き取り、シーツ表面の塵埃拭き取り、ソファやベッド表面の塵埃拭き取り、座席表面の塵埃拭き取り、液晶パネル表面の塵埃拭き取り、プラスチックフィルム表面の塵埃拭き取り、金属シート表面の塵埃拭き取りに使用することが出来、電気掃除機のノズルにおける吸込口の周辺に用いるなど、空気等の気体の吸込口周辺や、その他、塵芥を掃き取る何れの製品にも利用可能である。
12:先端側緯糸
13:先端側隣接緯糸
21:後端側パイル片
22:後端側緯糸
23:後端側隣接緯糸
31:芯経糸
32:締経糸
33:パイル糸
41:中間緯糸
51:無パイル部
52:ファーストパイル
53:沈み糸
54:経糸方向
55:緯糸方向
Claims (5)
- (イ) 縮率の少ない芯経糸(31)と縮率の多い締経糸(32)が形成する開口に順次打ち込まれる緯糸が、芯経糸(31)の上側と下側に織り分けられ、締経糸(32)によって芯経糸(31)へと締め付けられて地組織を構成しており、
(ロ) その地組織に織り込まれるパイル糸が、経糸方向(54)において前後する先端側緯糸(12)と中間緯糸(41)と後端側緯糸(22)との少なくとも3本の緯糸(12・41・22)によって地組織に係止され、芯経糸(31)の下側に織り込まれた先端側緯糸(12)の下を潜り抜けて先端側パイル片(11)を起立すると共に、芯経糸(31)の上側に織り込まれた後端側緯糸(22)の下を潜り抜けて後端側パイル片(21)を起立し、その先端側パイル片(11)から後端側緯糸(22)へと続くパイル糸の沈み糸(53)が中間緯糸(41)の上を越えるファーストパイル(52)を構成しており、
(ハ) 芯経糸(31)の下側に織り込まれた先端側緯糸(12)の下を潜り抜けて起立する先端側パイル片(11)は、その先端側緯糸(12)に前後して芯経糸(31)の上側に織り込まれた先端側隣接緯糸(13)と先端側緯糸(12)との間を通過して起立しており、
(ニ) 芯経糸(31)の上側に織り込まれた後端側緯糸(22)の下を潜り抜けて起立する後端側パイル片(21)は、その後端側緯糸(22)に前後して芯経糸(31)の下側に織り込まれた後端側隣接緯糸(23)と後端側緯糸(22)との間を通過して起立しており、
(ホ) 先端側パイル片(11)は、芯経糸(31)の下側に織り込まれた先端側緯糸(12)を中心として先端側隣接緯糸(13)から離れる方向である経糸方向(54)の後方寄りに傾斜しており、
(へ) 後端側パイル片(21)は、芯経糸(31)の上側に織り込まれた後端側緯糸(22)を中心として後端側緯糸(22)から離れる方向である経糸方向(54)の後方寄りに傾斜し、
中間緯糸(41)のうち、先端側緯糸(12)に最も近い中間緯糸(41)は、芯経糸(31)の下側に織り込まれていると同時に、
締経糸(32)は、前記先端側緯糸(12)に最も近い中間緯糸(41)の下を潜り抜けている清掃ブラシ用パイル織物。 - 中間緯糸(41)のうち、後端側緯糸(22)に最も近い中間緯糸(41)は、芯経糸(31)の下側に織り込まれていると同時に、
締経糸(32)は、前記後端側緯糸(22)に最も近い中間緯糸(41)の下を潜り抜けている請求項1の清掃ブラシ用パイル織物。 - (ト) ファーストパイルが形成されない無パイル部(51)とファーストパイル(52)が芯経糸(31)と締経糸(32)に沿って経糸方向(54)に交互に形成されており、
(チ) ファーストパイル(52)の先端側緯糸(12)に前後する先端側隣接緯糸(13)と後端側緯糸(22)に前後する後端側隣接緯糸(23)が、それぞれファーストパイル(52)に前後する無パイル部(51・51)を構成している請求項1又は2の清掃ブラシ用パイル織物。 - 縮率の少ない芯経糸(31)と縮率の多い締経糸(32)が形成する開口に順次打ち込まれる緯糸が、芯経糸(31)の上側と下側に織り分けられて地組織を構成しており、
その地組織に織り込まれるパイル糸が、経糸方向(54)において前後する先端側緯糸(12)と中間緯糸(41)と後端側緯糸(22)との少なくとも3本の緯糸(12・41・22)によって地組織に係止され、芯経糸(31)の下側に織り込まれた先端側緯糸(12)の下を潜り抜けて先端側パイル片(11)を起立すると共に、芯経糸(31)の上側に織り込まれた後端側緯糸(22)の下を潜り抜けて後端側パイル片(21)を起立し、その先端側パイル片(11)から後端側緯糸(22)へと続くパイル糸の沈み糸(53)が中間緯糸(41)の上を越えるファーストパイル(52)を構成しており、
芯経糸(31)の下側に織り込まれた先端側緯糸(12)の下を潜り抜けて起立する先端側パイル片(11)は、その先端側緯糸(12)に前後して芯経糸(31)の上側に織り込まれた先端側隣接緯糸(13)と先端側緯糸(12)との間を通過して起立しており、
芯経糸(31)の上側に織り込まれた後端側緯糸(22)の下を潜り抜けて起立する後端側パイル片(21)は、その後端側緯糸(22)に前後して芯経糸(31)の下側に織り込まれた後端側隣接緯糸(23)と後端側緯糸(22)との間を通過して起立しており、
先端側パイル片(11)は、芯経糸(31)の下側に織り込まれた先端側緯糸(12)を中心として先端側隣接緯糸(13)から離れる方向である経糸方向(54)の後方寄りに傾斜しており、
後端側パイル片(21)は、芯経糸(31)の上側に織り込まれた後端側緯糸(22)を中心として後端側緯糸(22)から離れる方向である経糸方向(54)の後方寄りに傾斜し、
先端側パイル片(11)と後端側パイル片(21)の傾斜角度は、20度以上70度以下であり、
中間緯糸(41)のうち、先端側緯糸(12)に最も近い中間緯糸(41)は、芯経糸(31)の下側に織り込まれていると同時に、
締経糸(32)は、前記先端側緯糸(12)に最も近い中間緯糸(41)の下を潜り抜けているパイル織物。 - 中間緯糸(41)のうち、後端側緯糸(22)に最も近い中間緯糸(41)は、芯経糸(31)の下側に織り込まれていると同時に、
締経糸(32)は、前記後端側緯糸(22)に最も近い中間緯糸(41)の下を潜り抜けている請求項4のパイル織物。
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