JP6619094B2 - 負極用リード材および負極用リード材の製造方法 - Google Patents

負極用リード材および負極用リード材の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、負極用リード材およびその負極用リード材の製造方法に関する。
従来、負極と負極端子とを接続する負極用リード材が知られている。そのような負極用リード材は、たとえば、特開2003−203622号公報に開示されている。
特開2003−203622号公報には、純CuまたはCuを主成分とする芯材(Cu層)と、芯材の両面に接合され、純NiまたはNiを主成分とする合わせ材(Ni層)とを備えるクラッド材から構成された負極用リード材が開示されている。なお、特開2003−203622号公報に開示された負極用リード材を作製する際には、一般的な負極用リード材と同様に、負極用リード材に対して圧延工程と焼鈍工程とが繰り返されることによって、負極用リード材は所定の厚みまで薄くされていると考えられる。
特開2003−203622号公報
しかしながら、本願発明者は、特開2003−203622号公報に記載の負極用リード材では、負極用リード材を負極または負極端子に溶接した際に、接合強度の低下が生じやすいという問題点があることを見出した。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、負極用リード材を負極または負極端子に溶接した際に、接合強度が低下するのを抑制することが可能な負極用リード材およびその負極用リード材の製造方法を提供することである。
本願発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特開2003−203622号公報に記載の負極用リード材において、大気下で熱することによってクラッド材に対して焼鈍を行った場合、合わせ材(Ni層)の露出する表面に、大きな厚みの酸化被膜が形成されていることを見出した。そして、厚みの大きな酸化被膜に起因して負極または負極端子との接合強度が低下しているとの知見を得て、この本発明を想到するに至った。
すなわち、この発明の第1の局面による負極用リード材は、負極に溶接されるNi層を有する負極用リード材であって、CuまたはCu合金からなるCu層と、NiまたはNi合金からなるNi層と、を備えるクラッド材から構成され、Ni層は、Cu層の両面にそれぞれ接合され、Ni層のCu層に接合されない面は、3.2nm以上8.0nm以下の厚みの酸化被膜を有する。
この発明の第1の局面による負極用リード材では、上記のように、クラッド材のNi層の露出する表面が3.2nm以上8.0nm以下の厚みの酸化被膜を有することによって、酸化被膜の厚みを十分に小さくすることができるので、負極用リード材と負極または負極端子とを溶融して互いに接合(液相接合)する抵抗溶接およびレーザ溶接、または、負極用リード材と負極または負極端子とを溶融することなく接合(固相接合)する超音波溶接などにより、負極用リード材と負極または負極端子とを溶接する際に、負極用リード材の酸化被膜よりも内側のNi層と負極または負極端子とが直接的に接触しにくくなるのを抑制することができる。これにより、負極用リード材を負極または負極端子に溶接した際に、接合強度が低下するのを抑制することができる。たとえば、負極用リード材を負極に超音波溶接により溶接する場合、超音波の振動による負極用リード材と負極との摩擦によって酸化被膜が摩耗し、表面に残る酸化被膜の厚みを溶接に影響を及ぼさない程度の適度の厚み(たとえば8.0nm以下)にすることができるので、負極用リード材と負極とがより好ましく接合され、必要とされる接合強度が得られやすい。この結果、負極用リード材と負極との溶接が不十分になるのを抑制することができるので、負極用リード材と負極との間の接合強度の低下が生じるのを抑制することができる。
また、第1の局面による負極用リード材では、上記のように、Ni層を、Cu層の両面にそれぞれ接合するとともに、Ni層のCu層に接合されない面が3.2nm以上8.0nm以下の厚みの酸化被膜を有するようにする。これにより、負極用リード材の表裏のいずれの表面にも、3.2nm以上8.0nm以下の酸化被膜を有するNi層の表面が位置するので、表裏のいずれにも、溶接による接合強度の低下を抑制した状態で負極または負極端子を溶接することができる。この結果、電池内の負極および負極端子の位置関係に合わせて、負極用リード材と負極とを溶接する表面および負極用リード材と負極端子とを溶接する表面を選択することができるので、負極用リード材と負極および負極端子とを容易に溶接することができる。
上記第1の局面による負極用リード材において、好ましくは、クラッド材の曲げ応力は、500MPa以下である。このように構成すれば、負極または負極端子に溶接した後の負極用リード材を電池内において容易に曲げ変形させることができるので、負極用リード材の配置位置の自由度を向上させることができる。これにより、容易に、負極用リード材を電池内に配置することができる。
上記第1の局面による負極用リード材において、好ましくは、クラッド材のCu層のNi層が接合されない面(Cu露出面)は、Cu層の酸化を抑制する化成被膜を有する。なお、Cu露出面は、クラッド材を厚さ方向に切断した後は、切断したクラッド材の切断面に対応する。このように構成すれば、Cu層との化学的な反応により形成された化成被膜により、Cu層を確実かつ安定的に保護することができるので、Cu層の酸化の進行を確実に抑制することができる。ここで、負極用リード材をリチウムイオン電池に用いた場合、Cu露出面に酸化銅が形成されていると、電池内で酸化銅が還元されて発生したOとLiとが反応し、抵抗の大きい酸化リチウムが形成されてしまう。また、酸化銅の還元により発生したCuがデンドライト状(樹枝状)に析出してしまう。したがって、Cu露出面に形成された化成被膜により、リチウムイオン電池において、抵抗の大きい酸化リチウムが形成されること、および、Cuがデンドライト状に析出することを共に抑制することができる。
この発明の第2の局面による負極用リード材の製造方法では、負極に溶接されるNi層を有する負極用リード材の製造方法であって、CuまたはCu合金からなるCu板の両面に、NiまたはNi合金からなるNi板を配置した状態で、圧延接合を行うことによって、CuまたはCu合金からなるCu層の両面に、それぞれ、NiまたはNi合金からなるNi層が接合されるクラッド材の構成とし、構成したクラッド材に対して、非酸化雰囲気で焼鈍を行い、Ni層のCu層に接合されない面に3.2nm以上8.0nm以下の厚みの酸化被膜を有するクラッド材を作製する。
この発明の第2の局面による負極用リード材の製造方法では、上記第1の局面による負極用リード材の効果に加えて、構成したクラッド材に対して、非酸化雰囲気で焼鈍を行うことによって、非酸化雰囲気でない大気下の雰囲気で焼鈍を行う場合と比べて、Ni層の露出する表面において酸化被膜の厚みを3.2nm以上8.0nm以下に容易にすることができる。また、構成したクラッド材に対して焼鈍を行うことにより、クラッド材の応力(内部応力)を小さくすることができるので、負極用リード材の曲げ応力を小さくして容易に曲げ変形させることができる。これにより、負極用リード材の配置位置の自由度を向上させることができる。
上記第2の局面による負極用リード材の製造方法において、好ましくは、露点温度を−20℃以下に設定した焼鈍炉内において、非酸化雰囲気で焼鈍を行う。このように構成すれば、酸素濃度を十分に低下させるように焼鈍炉内の設定を行うことができるので、より確実に、酸化被膜の厚みを3.2nm以上8.0nm以下にすることができる。
上記第2の局面による負極用リード材の製造方法において、クラッド材を厚さ方向に切断し、切断したクラッド材に対して非酸化雰囲気で焼鈍を行うことができる。ここで、クラッド材を切断した際に、切断面近傍においてクラッド材が押圧され、クラッド材に許容を超える加工硬化が生じてしまうことがある。そこで、本発明では、切断したクラッド材に対して非酸化雰囲気で焼鈍を行うことによって、切断に起因する加工硬化による歪を解放することができるので、切断したクラッド材の曲げ応力を小さくすることができる。これにより、所定の大きさに切断された負極用リード材を、電池内において容易に曲げた状態で配置して、負極または負極端子に溶接することができる。
また、好ましくは、焼鈍を行った後に、クラッド材の幅方向の両端面に、あるいはクラッド材を厚さ方向に切断した後のCu層が露出したCu露出面に、Cu層の酸化を抑制する化成被膜を形成する。このように構成すれば、Cu層のNi層が接合されない面に、あるいは切断により露出したCu露出面に、Cu層との化学的な反応により形成された化成被膜を設けることによって、Cu層を確実かつ安定的に保護することができるので、Cu層の酸化の進行を確実に抑制することができる。
本発明によれば、上記のように、負極用リード材を負極または負極端子に溶接した際に、接合強度が低下するのを抑制することが可能な負極用リード材およびその負極用リード材の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態による負極用リード材を示した断面図である。 本発明の一実施形態による負極用リード材を用いた電池を示した断面模式図である。 本発明の一実施形態による負極用リード材を用いた電池において、負極用リード材と負極とを溶接した状態を示した断面図である。 本発明の一実施形態による負極用リード材を用いた電池において、負極用リード材と負極端子(筐体)とを溶接した状態を示した断面図である。 本発明の一実施形態による負極用リード材の製造工程において、ロール状のクラッド材を作製する工程までを説明するための模式図である。 本発明の一実施形態による負極用リード材の製造工程において、ロール状のクラッド材からロール状の負極用リード材を作製する工程までを説明するための模式図である。 本発明の一実施形態による負極用リード材の製造工程において、ロール状のクラッド材を幅方向に切断する工程を示した模式的な斜視図である。 本発明の一実施形態による負極用リード材の製造工程において、切断したクラッド材を非酸化雰囲気で焼鈍を行う工程を示した模式的な断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による負極用リード材5について説明する。
(負極用リード材の構造)
負極用リード材5は、図1に示すように、3つの金属層から構成されている。具体的には、負極用リード材5は、Cu層51と、Cu層の両面にそれぞれ接合された一対のNi層52および53とを備える3層構造のクラッド材50から構成されている。クラッド材50では、Z1側からZ2側に向かって、Ni層52、Cu層51およびNi層53がこの順に積層されている。
また、Ni層52のZ2側の面52aは、Cu層51のZ1側の面51aに接合されている。なお、Cu層51とNi層52との接合界面では、Cu層51の金属原子(主にCu)とNi層52の金属原子(主にNi)とがクラッド圧延によって接近し、強い引力が働いて冶金的に接合されている。また、Ni層53のZ1側の面53aは、Cu層51のZ2側の面51bに接合されている。なお、Cu層51とNi層53との接合界面では、Cu層51とNi層52との接合界面と同様に、Cu層51の金属原子(主にCu)とNi層53の金属原子(主にNi)とが冶金的に接合されている。
また、クラッド材50のZ方向の厚みt1は、約0.1mmである。また、Cu層51のZ方向の厚みtは、約50μmであり、Ni層52および53の厚みtは、共に、約25μmである。なお、厚みt1〜t3の値は、一例であり、クラッド材50、Cu層51、Ni層52および53は、この厚みt1〜t3の値に限定されない。
Cu層51は、99.0質量%以上のCuを含む、主にCuから構成された金属材料からなる。たとえば、Cu層51は、Cuを99.96質量%以上含む無酸素銅、Cuを99.75質量%以上含むりん脱酸銅、または、Cuを99.9質量%以上含むタフピッチ銅から構成されている。また、Cu層51のZ1側の面51aおよびZ2側の面51bは、それぞれ、Ni層52および53に覆われているので、Cu層51の面51aおよび51bに酸化被膜が形成されるのを抑制することが可能である。
一対のNi層52および53は、99.0質量%以上のNiを含む、主にNiから構成された金属材料からなる。たとえば、一対のNi層52および53は、JIS−H4551に規定されたNW2200またはNW2201からなる。また、一対のNi層52および53は、同一の組成の上記金属材料から構成されてもよいし、異なる組成の上記金属材料から構成されてもよい。
ここで、本実施形態では、Ni層52のCu層51に接合されないZ1側の表面52bは、クラッド材50のZ1側において露出している。同様に、Ni層53のCu層51に接合されないZ2側の表面53bは、クラッド材50のZ2側において露出している。そして、Ni層52の表面52bは、30nm以下の厚みt4の酸化被膜52cを有している。つまり、Ni層52のZ1側の最表面からZ2方向に30nm以下の範囲に酸化ニッケルの被膜(酸化被膜52c)が形成されている。同様に、Ni層53の表面53bは、30nm以下の酸化被膜53cを有している。つまり、Ni層53のZ2側の最表面からZ1方向に30nm以下の範囲に酸化ニッケルの被膜(酸化被膜53c)が形成されている。
また、表面52bの酸化被膜52cおよび表面53bの酸化被膜53cは、共に、非酸化雰囲気で焼鈍を行った後に、積極的な酸化処理に拠らず形成された酸化被膜である。つまり、表面52bの酸化被膜52cおよび表面53bの酸化被膜53cは、大気下で高温にさらされたことによって形成された熱酸化による酸化被膜(熱酸化被膜)ではなく、陽極酸化処理により形成された酸化被膜(陽極酸化被膜)でもない。表面52bの酸化被膜52cおよび表面53bの酸化被膜53cは、常温でかつ大気下(通常環境下)において、それぞれ、Ni層52の露出する表面52bおよびNi層53の露出する表面53bが積極的な酸化処理に拠らず酸化することによって形成されている。なお、熱酸化被膜および陽極酸化被膜の場合、積極的な酸化処理に拠らず形成された酸化被膜とは異なり、30nm以下の厚みの酸化被膜が形成されるように酸化反応を安定的かつ実用的に制御することが容易でないため、酸化被膜の厚みが30nmよりも大幅に大きくなりやすい。
なお、表面52bの酸化被膜52cおよび表面53bの酸化被膜53cの厚みt4は、自然に形成される酸化被膜の厚み分以上であってもよい。ここで、通常環境下におかれた99.7質量%程度のNiを含むNi材の表面の場合、GD−OES(Glow Discharge Optical Emission Spectrometry)分析による最表面近傍の酸素値が約15%で、酸素値が10%以下となるまでの深さ値が、約0.5nmであった。なお、このようなNi材を加熱した場合、Ni材の最表面近傍の酸素値が増加する傾向にあるが、表面粗さなどの表面形態の影響によって値のバラツキが大きくなる。したがって、測定精度やバラツキを考慮すれば、クラッド材のNi層の表面に自然に形成される酸化被膜の厚みは約0.5nm〜約1.5nm程度と推定される。この程度の厚みの酸化被膜52cおよび53cを有していると、表面52bおよび53bにおいて更なる酸化の進行が抑制されやすい。なお、表面52bおよび53bでは、ある時点において酸化被膜52cおよび53cの厚みt4が約0.5nm〜約1.5nmであっても、通常環境下においては、その時点から酸化が若干進行すると考えられるため、酸化被膜52cおよび53cの厚みt4が、約0.5nm〜約1.5nmよりも大きくなることがある。しかしながら、表面52bおよび53bでは、通常環境下において、酸化被膜の厚みt4が30nmを超えて大きくなるまで酸化が進行することはない。したがって、通常環境下における酸化被膜52cおよび53cの厚みt4は、大きくなったとしても、約1.5nm以上30nm以下になると考えられる。なお、比較的小さい面内において、酸化被膜はおおよそ一様に形成されている。この観点に基づいて、本発明では、溶接を行う表面上に設定した直径4mmの円内において、表面から深さ方向の元素分布をGD−OES分析により調査し、酸素値が次第に低下して2%に達したときの位置から表面までの距離(深さ)を酸化膜厚と定義する。
また、負極用リード材5と負極3bおよび負極端子(筐体1)とを溶接する場合、表面52bの酸化被膜52cおよび表面53bの酸化被膜53cの厚みt4は、できる限り小さい約20nm以下が好ましく、約15nm以下がより好ましく、約10nm以下がさらに好ましい。また、厚みt4は、約8nm以下がより一層好ましく、約6nm以下がさらに一層好ましい。これにより、負極用リード材5と負極3bおよび負極端子(筐体1)との溶接時に、酸化被膜の厚みが小さくなるにつれて表面52bまたは53bに残る酸化被膜の影響を受け難くなるため、接合強度が不十分になるのをより一層抑制することが可能である。
また、クラッド材50の幅方向(X方向)の一方側(X1側)の側面50aにおいて、Cu層51の側面51cは、Ni層52および53に覆われておらず、露出している。同様に、クラッド材50の幅方向の他方側(X2側)の側面50bにおいて、Cu層51の側面51dは、Ni層52および53に覆われておらず、露出している。また、クラッド材50の側面50aおよび50bは、後述する負極用リード材5の作製時において、クラッド材50が切断されることによって形成された切断面である。
そこで、本実施形態では、側面51cおよび51dは、それぞれ、化成被膜51eおよび51fを有している。化成被膜51eおよび51fは、共に、Cu層51を主に構成するCuとの化学的な反応により形成されている。具体的には、化成被膜51eおよび51fは、ベンゾトリアゾール銅塩と、酸化銅(Cu2O)とを含む多重化成被膜である。この化成被膜51eおよび51fは、側面51cおよび51dのCuと、防錆剤としてのベンゾトリアゾールとが化学的に反応することにより形成されている。
化成被膜51eおよび51fの厚みt5は、約1nm以上であるのが好ましく、約3nm以上さらには約5nm以上であるのがより好ましい。また、化成被膜51eおよび51fの厚みt5は、約500nm以下であるのが好ましく、約300nm以下さらには約200nm以下であるのがより好ましい。
また、本実施形態では、クラッド材50の曲げ応力は、550MPa以下である。なお、クラッド材50の曲げ応力は、500MPa以下であるのが好ましく、450MPa以下であるのがより好ましい。
なお、図1では、理解容易のため、酸化被膜52cおよび53cと、化成被膜51eおよび51fとを誇張して図示している。同様に、後述する図3および図4においても、酸化被膜52c(53c)と、化成被膜51eおよび51fとを誇張して図示している。
<電池の構造>
次に、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態による負極用リード材5を用いた電池100について説明する。
電池100は、図2に示すように、いわゆる円筒型のリチウムイオン電池である。この電池100は、円筒状の筐体1と、筐体1の開口を封止する蓋材2と、筐体1内に配置される発電要素3とを備えている。筐体1は、Niめっき鋼板から構成されており、電池100の負極端子を兼ねている。
筐体1内には、発電要素3と電解液(図示せず)とが収容されている。蓋材2は、アルミニウム合金等から構成されており、電池100の正極端子を兼ねている。発電要素3は、正極3aと、負極3bと、正極3aと負極3bとの間に配置された絶縁性のセパレータ3cとが巻回されることによって形成されている。正極3aは、マンガン酸リチウムなどの正極活物質(図示せず)が塗布されたアルミニウム箔からなる。負極3bは、炭素などの負極活物質(図示せず)が塗布された銅箔からなる。
また、電池100は、正極3aと正極端子(蓋材2)とを接続するための正極用リード材4と、負極3bと負極端子(筐体1)とを接続するための上記負極用リード材5(図2の太斜線部分)とをさらに備えている。正極用リード材4は、正極3aと蓋材2とに抵抗溶接などにより接合されている。なお、正極用リード材4は、平板状のアルミニウム箔からなる。
負極用リード材5は、筐体1の長手方向に沿って負極3bの一方端近傍から他方端まで、超音波溶接により溶接(接合)されている。なお、負極用リード材5は、負極3bのうち、負極活物質が塗布されておらず銅箔が露出している部分に溶接されている。また、図3に示すように、Ni層52の表面52bの酸化被膜52c(図1参照)は、超音波溶接時の振動によって略除去されている。
また、負極用リード材5は、筐体1の内底面1aに抵抗溶接により溶接(接合)されている。また、図4に示すように、Ni層53の表面53bの酸化被膜53c(図1参照)は、抵抗溶接によって略除去されている。
<負極用リード材の製造方法>
次に、図1および図5〜図8を参照して、本発明の一実施形態による負極用リード材5の製造方法について説明する。
(クラッド材の製造方法)
まず、図1および図5を参照して、本発明の一実施形態による負極用リード材5の材料となるクラッド材50の製造方法について説明する。
まず、図5に示すように、99.0質量%以上のCuを含むロール状のCu板151と、99.0質量%以上のNiを含む一対のロール状のNi板152および153を準備する。なお、Cu板151、Ni板152および153の板厚比率を、作製するクラッド材50におけるCu層51、Ni層52および53(図1参照)の厚み比率と略等しくなるように、Cu板151、Ni板152および153を準備する。
そして、Cu板151の両面に、それぞれ、Ni板152および153を配置した状態で、所定の圧下率(たとえば、約60%)になるように圧延ローラ201により圧延する圧延接合工程を行う。これにより、Ni層52、Cu層51およびNi層53がこの順に積層された状態で接合されたクラッド材50(図1参照)の構成となる。なお、この圧延接合工程は冷間で行われる。
その後、接合されたCu板151、Ni板152および153を、非酸化雰囲気で拡散焼鈍させる拡散焼鈍工程を行う。具体的には、接合されたCu板151、Ni板152および153を、焼鈍炉202内を通過させることによって、非酸化雰囲気で拡散焼鈍を行う。なお、焼鈍炉202は、ガス注入部202aを有する炉本体202bと、炉本体202bを囲むように配置され、炉本体202b内の温度を昇温および維持するヒータ部202cと、炉本体202b内の露点温度および炉内温度を検出する検出部202dとを含んでいる。この焼鈍炉202では、ヒータ部202cによって、炉本体202b内の炉内温度が約800℃に保持されているとともに、ガス注入部202aから導入される窒素ガスによって、炉本体202b内の露点温度が−20℃以下になるように調整されている。
なお、焼鈍炉202においては、窒素ガスが炉本体202b内に導入され続けることにより、炉本体202b内の空気が外部に排出される。これにより、炉本体202b内の水分量が減少して露点温度が低下するとともに、酸素濃度が低下する。
そして、接合されたCu板151、Ni板152および153を、炉本体202b内が非酸化雰囲気にされた焼鈍炉202内において、約1分間保持する。これにより、Cu板151の金属原子(主にCu)とNi板152および153の金属原子(主にNi)とが、Cu板151およびNi板152の界面と、Cu板151およびNi板153の界面とにおいて拡散する。この結果、Cu板151およびNi板152の界面と、Cu板151およびNi板153の界面とで、拡散接合が行われる。
また、この拡散焼鈍工程では、圧延接合工程において大きくなっていた応力(内部応力)が解放されるため、Cu板151、Ni板152および153の曲げ応力が小さくなる。さらに、拡散焼鈍工程では、大気下での焼鈍工程とは異なり、Ni板152および153の露出する表面に、厚みが30nmを超える酸化被膜が形成されるのが防止される。
その後、接合されたCu板151、Ni板152および153に対して、上記圧延工程と同様に、所定の圧下率になるように圧延する圧延工程を行う。そして、接合されたCu板151、Ni板152および153に対して、上記拡散焼鈍工程と同様に、非酸化雰囲気で焼鈍を行う焼鈍工程を行う。この圧延工程および焼鈍工程を、接合されたCu板151、Ni板152および153の厚みが所望の厚みになるまで繰り返し行う。この際、焼鈍工程では、拡散焼鈍工程と同様に、Cu板151、Ni板152および153により厚みが30nmを超える酸化被膜が形成されるのが防止される。これにより、Cu層51と、Cu層51の両面に接合された一対のNi層52および53とを備える帯状のクラッド材50(図1参照)が作製される。そして、作製された帯状のクラッド材50は、ロール状に巻き取られる。
なお、作製されたクラッド材50の幅(搬送方向と直交する方向における長さ)は、少なくとも負極用リード材5の幅W(図1参照)の8倍よりも大きい。そのため、作製された帯状のクラッド材50から少なくとも8個の帯状の負極用リード材5を作製することができる。
また、上記したクラッド材50の作製方法は、連続的に行われる。つまり、ロール状(帯状)のCu板151と、Ni板152および153に対して、連続的に圧延接合工程、拡散焼鈍工程、圧延工程および焼鈍工程が行われることによって、ロール状(帯状)のクラッド材50が作製される。
(負極用リード材の製造方法)
次に、図1および図6〜図8を参照して、上記帯状のクラッド材50から本実施形態による負極用リード材5を作製する方法について説明する。
まず、図6に示すように、上記クラッド材50の製造方法により作製したロール状(帯状)のクラッド材50を準備する。そして、スリット加工部203により、帯状のクラッド材50をスリット状に切断する切断工程を行う。このスリット加工部203は、図7に示すように、回転可能に構成され、9個の円状カッタ203aが幅方向に一定間隔で配置されたスリットカッタ部203bと、スリットカッタ部203bに対向する位置に配置され、9個の円状カッタ203cが幅方向に一定間隔で配置されたスリットカッタ部203dとを有している。そして、円状カッタ203aおよび203cに挟み込まれることによって、帯状のクラッド材50が厚さ方向にスリット状に切断される。これにより、少なくとも8個の帯状のクラッド材50が作製される。
また、切断工程において、帯状のクラッド材50の幅方向の両側面50aおよび50b(図1参照)近傍において、クラッド材50が押圧されるので、切断された帯状のクラッド材50の剛性が大きくなる。また、帯状のクラッド材50の両側面50aおよび50b(切断面)において、Cu層51の側面51cおよび51d(図1参照)がそれぞれ露出する。
その後、図6に示すように、切断されたクラッド材50に対して水洗を行うことによって、切断時に付着した切断片などの異物を除去する。そして、切断されたクラッド材50を、焼鈍炉204内を通過させることによって、非酸化雰囲気で焼鈍させる焼鈍工程を行う。この焼鈍工程は、クラッド材50の作製時に用いた焼鈍炉202と同様の構成を有している。つまり、図8に示すように、焼鈍炉204は、ガス注入部204aを有する炉本体204bと、炉本体204b内の温度を昇温および維持するヒータ部204cと、炉本体204b内の露点温度を検出する露点温度検出部204dと、炉本体204b内の炉内温度を検出する炉内温度検出部204eとを含んでいる。この焼鈍炉204では、ヒータ部204cによって、炉本体204b内の炉内温度が約800℃に保持されているとともに、ガス注入部204aから導入される窒素ガスによって、炉本体204b内の露点温度が−20℃以下になるように調整されている。
そして、切断されたクラッド材50を、炉本体204b内が非酸化雰囲気にされた焼鈍炉204内において、約1分間保持する。これにより、切断に起因する加工硬化による歪が解放されるため、クラッド材50の曲げ応力が小さくなる。さらに、この焼鈍工程では、大気下での焼鈍工程とは異なり、クラッド材50の露出する表面(Ni層52の表面52bおよびNi層53の表面53b)に、厚みが30nmを超える酸化被膜が形成されるのが防止される。また、Cu層51の露出する側面51cおよび51dにも、酸化被膜が形成されるのが抑制される。
また、焼鈍炉204の下部204fは、冷却用の水が貯留された冷却槽205に接続されている。これにより、焼鈍炉204を通過する切断されたクラッド材50は、焼鈍炉204の外部の空気にさらされることなく、冷却槽205においてそのまま冷却される。これにより、Ni層52の表面52bおよびNi層53の表面53bに、厚みが30nmを超える酸化被膜が形成されるのがより確実に防止される。なお、露点温度検出部204dは、冷却槽205内の冷却用の水の上方で、かつ、下部204f近傍に配置されている。
また、焼鈍工程が行われることにより、切断されたクラッド材50の曲げ応力が、500MPa以下に小さくなる。
そして、図6に示すように、冷却槽205において冷却されたクラッド材50に対して水洗を行った後、露出するCu層の部分(側面51cおよび51d)に対して防錆加工を行う防錆工程を行う。防錆工程では、防錆剤であるベンゾトリアゾールの水溶液206aが貯留された処理槽206内にクラッド材50を浸漬する。この際、ベンゾトリアゾールと、側面51cおよび51dに位置するCuとが化学的に反応する。これにより、側面51cおよび51dに、それぞれ、化成被膜51eおよび51fが所定の厚みで形成される。化成被膜51eおよび51fは、ベンゾトリアゾール銅塩と、酸化銅(Cu2O)とを含む多重化成被膜からなる。
一方、Niとベンゾトリアゾールとは化学的にほとんど反応しないので、側面51cおよび51d以外のNi層52の表面52bおよびNi層53の表面53bなどには、化成被膜は形成されない。
最後に、化成被膜51eおよび51fが形成されたクラッド材50を乾燥させた後、ロール状に巻き取ることによって、帯状の負極用リード材5が作製される。
また、上記した負極用リード材5の作製方法は、連続的に行われる。つまり、ロール状(帯状)のクラッド材50に対して、連続的に切断工程、焼鈍工程および防錆工程が行われることによって、ロール状(帯状)の負極用リード材5が作製される。
<電池の製造方法>
次に、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態による負極用リード材5を用いた電池の製造方法について説明する。
まず、円筒状の筐体1と、蓋材2と、発電要素3(図2参照)とを準備する。そして、負極用リード材5を用いて発電要素3の負極3bと負極端子(筐体1)とを接続する。
具体的には、図3に示すように、発電要素3の負極3bと負極用リード材5とを超音波溶接により溶接(接合)する。この場合、負極3bの銅箔が露出している部分と負極用リード材5のNi層52の表面52bとを接触させた状態において、図示しない超音波溶接機の超音波端子(ホーン)と台座とで銅箔と負極用リード材5とを挟み込む。そして、負極用リード材5および銅箔に超音波端子から超音波を印加することにより、Ni層52と銅箔とが振動により摩耗する。これにより、負極用リード材5のNi層52の表面52bに形成された30nm以下の酸化被膜52c(図1参照)が実質的に除去される。さらに、酸化被膜52cが実質的に除去されたことにより、酸化被膜52cよりも内側のNi層52と銅箔の表面が接近し、超音波振動によって発生した摩擦熱が効率よく伝導し、Ni層52と銅箔との界面で拡散が生じる。この際、NiはCuと比べて熱伝導性が低いので、摩擦熱が負極用リード材5の溶接位置から板面方向に迅速に放散する(逃げる)のが抑制され、摩擦熱が効率よく溶接部へ供給される。これにより、負極用リード材5と負極3bとが十分な接合強度で溶接される。
なお、上記超音波溶接は、一般的な出力および溶接時間で行っている。つまり、超音波溶接において、特別に大きな出力または特別に長い溶接時間で超音波溶接を行うことなく、一般的な出力および溶接時間で酸化被膜52cを摩耗させることにより、酸化被膜52cの厚みを溶接に影響を及ぼすことがない程度の適度の厚み(たとえば10nm以下)にすることが可能である。なお、上記超音波溶接の出力をより小さくする、または、溶接時間をより短くするためには、酸化被膜52c(53c)の厚みを小さくするのが好ましい。たとえば、酸化被膜52c(53c)の厚みを7nm以下(より好ましくは、6nm以下)にすることによって、超音波溶接の出力を確実に小さくする、または、溶接時間を確実に短くすることが可能である。
次に、帯状の負極用リード材5を、長手方向(板面方向のうち幅方向と直交する方向)に所定の長さで切断して、切断した負極用リード材5の端部と負極端子(筐体1)とを抵抗溶接により溶接(接合)する。この場合、図4に示すように、筐体1の内底面1aと負極用リード材5のNi層53の表面53bとを接触させた状態において、図示しない抵抗溶接機の一対の端子で筐体1と負極用リード材5とを挟み込む。そして、筐体1と負極用リード材5とに電流を印加することによって、主にNi層53と筐体1とが接触する抵抗の大きな表面領域(接触界面)において熱が発生する。これにより、Ni層53と筐体1との接触界面において、Ni層53と筐体1とが溶融する。この際、30nm以下の酸化被膜53cが十分に薄いので、酸化被膜53cに起因して溶接が十分に行われない不具合の発生が抑制される。これにより、負極用リード材5と筐体1とが十分な接合強度で溶接される。
なお、この際、負極用リード材5の剛性が小さいので、負極用リード材5を円筒状の筐体1の内面に沿うように、筐体1内に容易に配置することが可能である。これにより、筐体1内の空間を大きく確保することができるので、電池100の電池容量を大きくすることが可能である。
その後、正極3aと正極端子とを正極用リード材4を用いて接続して、図示しない電解液を筐体1内に注入する。最後に、蓋材2により筐体1を封止することによって、電池100が作製される。
<本実施形態の効果>
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、クラッド材50のNi層52の露出する表面52bおよびNi層53の露出する表面53bが、それぞれ、30nm以下(好ましくは、10nm以下)の酸化被膜52cおよび53cを有する。これにより、酸化被膜52cおよび53cの厚みt4が十分に小さい30nm以下なので、負極用リード材5を負極3bに溶接する際に、負極用リード材5の酸化被膜52cよりも内側のNi層52と、負極3bとが直接的に接触しにくくなるのを抑制することができる。同様に、負極用リード材5を負極端子(筐体1)に溶接する際に、負極用リード材5の酸化被膜53cよりも内側のNi層53と、筐体1とが直接的に接触しにくくなるのを抑制することができる。これらの結果、負極用リード材5を負極3bおよび筐体1に溶接した際に、接合強度が低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、酸化被膜52cの厚みt4が30nm以下で十分に小さいので、負極用リード材5を負極3bに超音波溶接により溶接する際に、超音波の振動による負極用リード材5と負極3bとの摩擦によって酸化被膜が摩耗し、表面52bに残る酸化被膜52cの厚みを溶接に影響を及ぼさない程度の適度厚み(たとえば20nm以下、好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは8nm以下、さらに一層好ましくは6nm以下)にすることができる。これにより、表面52bに残る酸化被膜52cの影響を受けやすい状態で負極用リード材5と負極3bとが溶接されるのを抑制することができる。この結果、負極用リード材5と負極3bとの溶接が不十分になるのを抑制することができるので、負極用リード材5と負極3bとの間の接合強度の低下が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、Ni層52および53を、それぞれ、Cu層51の両面に接合する。これにより、負極用リード材5と負極3bおよび筐体1とを接続する際に、負極用リード材5の表裏を確認する必要がない。これにより、負極用リード材5と取り扱い性を向上させることができる。さらに、Cu層の両面に接合されるNi層をめっき処理により形成する場合と比べて、Ni層52および53の硬度や曲げ応力が大きくなるのを抑制することができるので、負極用リード材5の硬度や曲げ応力が大きくなるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、Ni層52において、Cu層51に接合されないZ1側において、30nm以下の酸化被膜52cを有する表面52bを露出させる。同様に、Ni層53において、Cu層51に接合されないZ2側において、30nm以下の酸化被膜53cを有する表面53bを露出させる。これにより、負極用リード材5の表裏のいずれの表面にも、30nm以下の酸化被膜52cおよび53cを有するNi層52の表面52bおよびNi層53の表面53bが位置するので、表裏のいずれにも、溶接による接合強度の低下を抑制した状態で負極3bまたは筐体1を接続することができる。この結果、電池100内の負極3bおよび筐体1の位置関係に合わせて、負極用リード材5と負極3bとを接続する表面および負極用リード材5と筐体1とを接続する表面を選択することができるので、負極用リード材5と負極3bおよび筐体1とを容易に接続することができる。
また、本実施形態では、クラッド材50の曲げ応力は、550MPa以下(より好ましくは500MPa以下)である。これにより、負極用リード材5を電池100内において容易に曲げ変形させることができるので、負極用リード材5の配置位置の自由度を向上させることができる。この結果、容易に、負極用リード材5を電池100内に配置することができる。なお、たとえば、電池100内に負極用リード材5を配置した後、電池100の落下や振動に起因する負極用リード材5の損傷防止(耐久性)、あるいは負極用リード材5の取り扱いの容易性などを重視する場合は、クラッド材50の曲げ応力は、焼鈍後のCuまたはCu合金からなるCu層(単層)の曲げ応力(150MPa程度)よりも十分に大きいことが好ましく、具体的には約200MPa以上が好ましく、約300MPa以上がより好ましい。
また、本実施形態では、クラッド材50のCu層51が露出する側面51cおよび51dが、それぞれ、Cu層51の酸化を抑制する化成被膜51eおよび51fを有する。これにより、Cu層51との化学的な反応により形成された化成被膜51eおよび51fにより、Cu層51を確実かつ安定的に保護することができるので、Cu層51の酸化の進行を確実に抑制することができる。この結果、側面51cおよび51dにそれぞれ形成された化成被膜51eおよび51fにより、電池100において、抵抗の大きい酸化リチウムが形成されること、および、Cuがデンドライト状に析出することを共に抑制することができる。
また、本実施形態の製造方法では、構成したクラッド材50に対して、非酸化雰囲気で焼鈍を行う。これにより、非酸化雰囲気でない大気下の雰囲気で焼鈍を行う場合と比べて、Ni層52の露出する表面52bおよびNi層53の露出する表面53bにおいて、それぞれ、酸化被膜52cおよび53cの厚みを30nm以下に容易に小さくすることができる。また、構成したクラッド材50に対して焼鈍を行うことにより、クラッド材50の応力(内部応力)を小さくすることができるので、負極用リード材5の曲げ応力を小さくして容易に曲げ変形させることができる。これにより、負極用リード材5の配置位置の自由度を向上させることができる。
また、本実施形態の製造方法では、露点温度を−20℃以下に設定した焼鈍炉202および205内において、非酸化雰囲気で焼鈍を行う。これにより、酸素濃度を十分に低下させるように焼鈍炉202および205内の設定を行うことができるので、より確実に、酸化被膜52cおよび53cの厚みを30nm以下に小さくすることができる。
また、本実施形態の製造方法では、クラッド材50を厚さ方向に切断し、切断したクラッド材50に対して非酸化雰囲気で焼鈍を行う。これにより、切断に起因する加工硬化による歪を解放することができるので、切断したクラッド材50の曲げ応力を小さくすることができる。この結果、所定の大きさ(幅)に切断された負極用リード材5を、電池100内において容易に曲げた状態で配置して、負極3bおよび筐体1に溶接することができる。
また、本実施形態の製造方法では、クラッド材50を厚さ方向に切断した後に、切断したクラッド材50の切断面のCu層51が露出する側面51cおよび51dに、それぞれ、Cu層51の酸化を抑制する化成被膜51eおよび51fを形成する。これにより、切断により露出した側面51cおよび51dに、Cu層51との化学的な反応により形成された化成被膜51eおよび51fを設けることによって、Cu層51を確実かつ安定的に保護することができるので、Cu層51の酸化の進行を確実に抑制することができる。
[実施例]
次に、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。この実施例では、実際に、Cu層51、Ni層52および53とを備える3層構造のクラッド材50を負極としてのCu箔に接合し、接合状態を観察した。
具体的には、上記実施形態に基づき、無酸素銅からなるCu層51と、Cu層51の両面にそれぞれ形成され、NW2201からなるNi層52および53とを備え、酸化被膜の厚みの異なる複数(4個)の3層構造のクラッド材50を作した。この際、溶接を行う表面上に設定した直径4mmの円内において、表面から深さ方向の元素分布をGD−OES分析により調査し、酸素値が次第に低下して2%に達したときの位置から表面までの距離(深さ)を酸化膜厚とした。ここで、4個の3層構造のクラッド材50のGD−OES分析による酸化膜厚は、それぞれ、3.2nm、3.9nm、5.7nm、8.0nmであった。
また、クラッド材50の厚みを0.1mmにするとともに、Ni層52の厚みと、Cu層51の厚みと、Ni層53の厚みとの比率を1:2:1にした。また、クラッド材50を帯状に形成した。
そして、作製した4個のクラッド材50を超音波溶接機(BRANSON製のMA−Xea(発振機:2000Xea))を用いて、板厚が10μmの無酸素銅からなる銅箔に接合した。その際、溶接条件として、ディレイタイムを1秒、溶接時間を0.05秒、出力(振幅)を最大出力の40%。周波数を40kHzおよび加圧力を0.2MPaにそれぞれ設定した。この条件は、一般的な出力および溶接時間と比べて、出力は小さく、かつ、溶接時間も短い。また、幅方向(帯状のクラッド材50の短手方向)において、クラッド材50の長さよりも大きな長さを有する銅箔をクラッド材50に超音波溶接した。
その後、剥離実験を行った。具体的には、クラッド材50と銅箔との接合部に引き剥がす力を加えた。そして、クラッド材50と銅箔との接合部から剥離して、クラッド材50に銅箔が残存していない場合には、溶接強度が小さいので、「不良」であると判断した。また、クラッド材50と銅箔との接合部は剥離せずに銅箔が破れることによって、クラッド材50に銅箔が残存している場合には、溶接強度が大きいので、「良」であると判断した。
測定結果としては、酸化被膜の厚みが3.2nm、3.9nmおよび5.7nmのクラッド材50は、クラッド材50に銅箔が残存しており、溶接強度が大きい「良」となった。一方、酸化被膜の厚みが8.0nmのクラッド材50は、クラッド材50に銅箔が残存しておらず、溶接強度が小さい「不良」となった。この結果、たとえば、クラッド材50における酸化被膜の厚みが7.0nm以下(好ましくは、6.0nm以下)のように、クラッド材50における酸化被膜の厚みが小さい方が溶接強度が大きくなることが確認できた。そして、クラッド材50における酸化被膜の厚みが7.0nm以下(好ましくは、6.0nm以下)であれば、超音波溶接時の出力および溶接時間が一般的な出力および溶接時間よりも小さくても、十分な溶接強度が得られるので、電池100の製造の効率化が容易に図れることが確認できた。
また、「不良」であった、酸化被膜の厚みが8.0nmのクラッド材50を用いて、その他の溶接条件は変化させずに、出力を最大出力の50%に上げて溶接を行った。そして、上記と同様の剥離実験を行ったところ、クラッド材50に銅箔が残存しており、溶接強度が大きい「良」となった。このことから、超音波溶接機の出力を大きくすることによって、溶接強度を向上させることができることが確認できた。なお、たとえば、溶接時間を変化させずに、出力を100%に上げて溶接を行う場合には、酸化被膜の厚みが15nm程度であっても、ある程度の溶接強度が確保できると考えられる。さらに、出力を上げた状態で、溶接時間をより大きくして、一般的な溶接条件と略同じ程度にすると、酸化被膜の厚みが30nm以下で、かつ、30nm近傍の値であっても、ある程度の溶接強度が確保できると考えられる。
また、上記実施例のようにクラッド材と銅箔とを溶融することなく接合(固相接合)する超音波溶接に限られず、クラッド材と銅箔とを溶融して互いに接合(液相接合)する抵抗溶接およびレーザ溶接においても、酸化被膜の厚みが30.0nm以下(好ましくは20nm以下、より好ましくは15nm以下、さらに好ましくは10nm以下、より一層好ましくは8nm以下、さらに一層好ましくは6nm以下)であれば、超音波溶接時の出力および溶接時間が一般的な出力および溶接時間よりも小さくても、十分な溶接強度が得られるので、電池100の製造の効率化が容易に図れると考えられる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、負極用リード材5を円筒型のリチウムイオン電池(電池100)に用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、負極用リード材をリチウムイオン電池以外の電池に用いてもよい。また、円筒型ではなく、たとえばラミネート型の電池に負極用リード材を用いてもよい。
また、上記実施形態では、構成したクラッド材50に対して非酸化雰囲気で焼鈍(拡散焼鈍)工程を行うことによって、負極用リード材5において、Ni層52の露出する表面52bおよびNi層53の露出する表面53bが、それぞれ、30nm以下の酸化被膜52cおよび53cを有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、非酸化雰囲気で焼鈍(拡散焼鈍)工程を行う以外の方法により、Ni層の露出する表面が30nm以下の酸化被膜を有するように負極用リード材を構成してもよい。
たとえば、構成したクラッド材に対して大気下で焼鈍工程を行った後に、Ni層の露出する表面に形成された厚みの大きな熱酸化被膜を、研磨およびエッチングなどにより全てまたは一部除去することによって、Ni層の露出する表面が30nm以下の酸化被膜を有するように負極用リード材を構成してもよい。なお、熱酸化被膜を研磨およびエッチングなどにより全て除去した場合には、Ni層の露出する表面は、大気に接して自然に形成された30nm以下の厚みの酸化被膜を有するようになる。また、熱酸化被膜を研磨およびエッチングなどにより一部除去した場合には、Ni層の露出する表面は、除去されなかった熱酸化被膜と、熱酸化被膜が除去されて露出したNi層の表面が大気に接して自然に形成された酸化被膜とが混在した状態で、30nm以下の厚みの酸化被膜を有するようになる。
また、構成したクラッド材に対して陽極酸化工程を行った後に、Ni層の露出する表面に形成された厚みの大きな陽極酸化被膜を、研磨およびエッチングなどにより全てまたは一部除去することによって、Ni層の露出する表面が30nm以下の酸化被膜を有するように負極用リード材を構成してもよい。なお、陽極酸化被膜を研磨およびエッチングなどにより全て除去した場合には、Ni層の露出する表面は、大気に接して酸化被膜を有するようになり、その厚みが30nmを超えることはない。また、陽極酸化被膜を研磨およびエッチングなどにより一部除去した場合には、Ni層の露出する表面は、除去されなかった陽極酸化被膜と、陽極酸化被膜が除去されて露出したNi層の表面が大気に接して自然に形成された酸化被膜とが混在した状態で酸化被膜を有するようになる。なお、その酸化被膜の厚みが30nmを超えることはない。
また、上記実施形態では、Cu層51が、99.0質量%以上のCuを含む、主にCuから構成された金属材料からなる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Cu層を、約95質量%以上のCuを含有するCu合金から構成してもよい。たとえば、Cu層をCu−Fe−Zn−P合金(C194、CNS規格においてC19400)から構成してもよい。
また、上記実施形態では、一対のNi層52および53が、99.0質量%以上のNiを含む、主にNiから構成された金属材料からなる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Cu層の両面にそれぞれ接合されるNi層を、約90質量%以上のNiを含有するNi合金から構成してもよい。たとえば、Cu層の両面にそれぞれ接合されるNi層を、JIS規格に規定されたNW4400番台のNi−Cu系合金などから構成してもよい。
また、上記実施形態の製造方法では、焼鈍炉202および205において、炉本体202bおよび205b内に窒素ガスを導入することによって、炉本体202bおよび205b内を非酸化雰囲気にした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、窒素ガスの替わりに、水素ガス、水素および窒素の混合ガス、もしくは、アルゴンガスなどの不活性ガスを用いて、焼鈍炉の炉本体内を非酸化雰囲気にしてもよい。また、上記実施形態の製造方法で示した、露点温度、炉内温度(約800℃)および保持時間(1分間)は、あくまで一例であり、変更してもよい。たとえば、露点温度は、−20℃よりも大きくてもよいが、少なくとも大気下未満の露点温度である必要がある。さらに、露点温度以外のパラメータにより、焼鈍炉の炉本体内が非酸化雰囲気であるか否かを判断してもよい。たとえば、焼鈍炉の炉本体内の酸素濃度を直接的に測定することによって、焼鈍炉の炉本体内が非酸化雰囲気であるか否かを判断してもよい。
また、上記実施形態の製造方法では、圧延接合工程、拡散焼鈍工程、圧延工程および焼鈍工程を連続的に行う例を示した。さらに、上記実施形態では、切断工程、焼鈍工程および防錆工程を連続的に行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、圧延接合工程、拡散焼鈍工程、圧延工程、焼鈍工程、切断工程、焼鈍工程および防錆工程の全てを連続的に行ってもよい。また、圧延接合工程、拡散焼鈍工程、圧延工程、焼鈍工程、切断工程、焼鈍工程および防錆工程の各々を個別に行ってもよいし、一部の工程のみを連続的に行ってもよい。
また、上記実施形態の製造方法では、クラッド材50の作製時において、非酸化雰囲気で拡散焼鈍工程および焼鈍工程を行った例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、クラッド材の作製時においては、非酸化雰囲気ではなく、たとえば、大気下で拡散焼鈍工程および焼鈍工程を行ってもよい。その際、Ni層の露出する表面に形成された厚みの大きな酸化被膜を、研磨およびエッチングなどにより全てまたは一部除去した後に、切断工程を行い、最後に非酸化雰囲気において焼鈍工程を行ってもよい。
また、上記実施形態の製造方法では、帯状のクラッド材50に対して防錆工程を行った例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、長手方向に所定の長さになるように帯状のクラッド材を切断した後に、防錆工程を行ってもよい。これにより、負極用リード材の幅方向だけでなく、長手方向の両端におけるCu層のCu露出面を化成被膜で覆うことが可能である。また、クラッド材に対して防錆工程を行わなくてもよい。つまり、負極用リード材の両側面において露出するCu層のCu露出面を、化成被膜により覆わなくてもよい。
また、上記実施形態の製造方法では、帯状のクラッド材50を作製し、作製したクラッド材50を切断して負極用リード材5を作製する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、予め負極用リード材の幅でクラッド材を作製することによって、クラッド材の製造方法(圧延接合工程、拡散焼鈍工程、圧延工程および焼鈍工程)のみで負極用リード材を作製してもよい。これにより、クラッド材50を切断する切断工程等が不要になる。なお、この場合、接合されたCu板および一対のNi板に対して行う焼鈍工程において、非酸化雰囲気で焼鈍工程を行うことによって、Ni層の露出する表面が30nm以下の酸化被膜を有する負極用リード材を作製することが可能である。
また、上記実施形態では、負極用リード材5の一方側のNi層52と負極3bとを溶接するとともに、負極用リード材5の他方側のNi層53と負極端子(筐体1)とを溶接する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、負極用リード材5の一方側(または他方側)のNi層に負極および負極端子の両方を溶接してもよい。また、負極用リード材と負極または負極端子とを溶接する方法は、超音波溶接または抵抗溶接に限られず、たとえば、レーザ溶接などであってもよい。
5 負極用リード材
50 クラッド材
50a、50b 側面(端面)
51 Cu層
51c、51d 側面(Ni層が接合されない面)
51e、51f 化成被膜
52、53 Ni層
52b、53b 表面(Cu層に接合されない面)
52c、53c 酸化被膜
151 Cu板
152、153 Ni板
202、205 焼鈍炉

Claims (7)

  1. 負極に溶接されるNi層を有する負極用リード材であって、
    CuまたはCu合金からなるCu層と、NiまたはNi合金からなる前記Ni層と、を備えるクラッド材から構成され、
    前記Ni層は、前記Cu層の両面にそれぞれ接合され、
    前記Ni層の前記Cu層に接合されない面は、3.2nm以上8.0nm以下の厚みの酸化被膜を有する、負極用リード材。
  2. 前記クラッド材の曲げ応力は、500MPa以下である、請求項1に記載の負極用リード材。
  3. 前記Cu層の前記Ni層が接合されない面は、前記Cu層の酸化を抑制する化成被膜を有する、請求項1に記載の負極用リード材。
  4. 負極に溶接されるNi層を有する負極用リード材の製造方法であって、
    CuまたはCu合金からなるCu板の両面に、NiまたはNi合金からなるNi板を配置した状態で、圧延接合を行うことによって、CuまたはCu合金からなるCu層の両面に、それぞれ、NiまたはNi合金からなる前記Ni層が接合されるクラッド材の構成とし、
    構成した前記クラッド材に対して、非酸化雰囲気で焼鈍を行い、前記Ni層の前記Cu層に接合されない面に3.2nm以上8.0nm以下の厚みの酸化被膜を有する前記クラッド材を作製する、負極用リード材の製造方法。
  5. 露点温度を−20℃以下に設定した焼鈍炉内において、非酸化雰囲気で焼鈍を行う、請求項4に記載の負極用リード材の製造方法。
  6. 前記クラッド材を厚さ方向に切断し、切断した前記クラッド材に対して非酸化雰囲気で焼鈍を行う、請求項4に記載の負極用リード材の製造方法。
  7. 前記焼鈍を行った後に、前記クラッド材の幅方向の両端面に、前記Cu層の酸化を抑制する化成被膜を形成する、請求項4に記載の負極用リード材の製造方法。
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