JP2009215655A - 固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板、厚板およびそれらの素材、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板、厚板およびそれらの素材、並びにそれらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009215655A
JP2009215655A JP2009113575A JP2009113575A JP2009215655A JP 2009215655 A JP2009215655 A JP 2009215655A JP 2009113575 A JP2009113575 A JP 2009113575A JP 2009113575 A JP2009113575 A JP 2009113575A JP 2009215655 A JP2009215655 A JP 2009215655A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stainless steel
fuel cell
multilayer
outer layer
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009113575A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5246023B2 (ja
Inventor
Sosuke Hara
宗理 原
Yoshio Taruya
芳男 樽谷
Kazuhiro Ogawa
和博 小川
Kunihiko Ushio
邦彦 牛尾
Akira Seki
彰 関
Takeshi Ishiguro
毅志 石黒
Takeo Yazawa
武男 矢澤
Hideaki Yamamoto
秀昭 山元
Takeisa Oba
健功 大庭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2009113575A priority Critical patent/JP5246023B2/ja
Publication of JP2009215655A publication Critical patent/JP2009215655A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5246023B2 publication Critical patent/JP5246023B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

【課題】固体高分子型燃料電池セパレータとして最適な、ボロン(B)を含有する鋼を外層とする多層ステンレスクラッド鋼板を提供する。
【解決手段】B含有量が0〜0.3質量%であるステンレス鋼を内層とし、その外層としてB含有量が0.3〜2.5質量%であるステンレス鋼を組み合わせ、内外層のステンレス鋼が、溶接を施されて、下記(1)〜(4)式を満足する化学成分の溶接金属により接合され一体化されたクラッド鋼板用素材である。
15≦Creq≦30・・(1)、4≦Creq−Nieq≦17・・(2)、
Creq=Cr+1.5×Si+Mo−5×B・・(3)、Nieq=Ni+30×(C+N)+0.5×Mn・・(4)
式中の元素記号は、鋼中に含まれる各元素の質量%を表す。
この素材を1000〜1200℃に加熱して粗圧延を行い、圧延終了温度を600℃以上とする熱間圧延を行った後冷間圧延してクラッド鋼板を得る。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池セパレータとして最適な多層ステンレスクラッド鋼板等およびそれらの製造方法に関し、さらに詳しくは、ボロン(B)を含有する鋼を外層材として内層材の片面または両面に組み合わせ、2層または3層からなる多層ステンレスクラッド鋼板、厚板、それらの素材、およびそれらの製造方法、さらにそれらを用いたセパレータおよび固体高分子型燃料電池に関するものである。
近年、地球環境に関する問題として、特に温暖化防止に対する関心が高まるなかで、燃料電池は未来のクリーンエネルギーとして脚光を浴びている。燃料電池は、水素および酸素を利用して直流電力を発電する電池であり、固体電解質型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、リン酸型燃料電池および固体高分子型燃料電池などがある。
これらのなかでも、固体高分子型燃料電池は、運転温度が80℃前後と低く、起動−停止が容易であり、エネルギー効率も40%程度が期待できることから、小規模事業所、電話局などの非常用分散電源、都市ガスを燃料とする家庭用小型分散電源、水素ガス、メタノールまたはガソリンを燃料とする低公害電気自動車搭載用電源として、世界的な規模で実用化が期待されている。
図1は、固体高分子型燃料電池の構造を示す図であり、図1(a)は燃料電池セル(単セル)の分解図を、図1(b)は燃料電池外観の斜視図を示している。同図に示すように、燃料電池1は単セルの集合体である。単セルは、図1(a)に示すように固体高分子電解質膜2の1面に燃料電極膜(アノード)3を、他面には酸化剤電極膜(カソード)4が積層されており、その両面にセパレータ5a、5bが重ねられた構造になっている。
セパレータ5aに設けられている流路6aから燃料ガス(水素または水素含有ガス)Aが流されて燃料電極膜3に水素が供給される。また、セパレータ5bに設けられている流路6bからは空気のような酸化性ガスBが流され、酸素が供給される。これらガスの供給により電気化学反応が生じて直流電力が発生する。
従来、固体高分子型燃料電池のセパレータ材料としてカーボン板材の適用が検討されているが、カーボン板材には“割れ易い”という問題があり、さらに表面を平坦にするため、またはガス流路形成のために精密な機械加工を必要とし、製造コストが増大するという問題がある。こられはいずれも宿命的な問題であり、燃料電池の商用化そのものを難しくさせる要因になっている。
このような問題を解決するため、上記の黒鉛系素材の適用の検討に対峙する動きになるが、製造コストの削減を主な目的として、燃料電池のセパレータ材料にステンレス鋼を適用する試みが行われている。
例えば、特許文献1には、金属製部材からなり、単位電池の電極との接触面に直接金めっきを施した燃料電池用セパレータが開示されている。金属製部材として、ステンレス鋼、アルミニウムおよびNi−鉄合金が挙げられており、そのうちステンレス鋼として、SUS304が用いられている。
特許文献1に開示される技術によれば、セパレータに金めっきが施されているので、セパレータと電極との接触抵抗が低下するため、セパレータから電極への電子の導通が良好となり、燃料電池の出力電圧が大きくなるとされている。
また、特許文献2には、ボロンを含有させたオーステナイト系ステンレスをセパレータに適用することにより、ボライド(硼化物)をステンレスの表面に析出させ、接触電気抵抗を低減させた金属セパレータ用ステンレス鋼が提案されている。
一方、特許文献3には、製造面におけるBを含有した鋼の熱間圧延時の割れ防止法として、鋳込みクラッドを用いて、内層に1%以上のボロンを含有した普通鋼、その両側にSUS316、317のステンレスを貼り合わせ、耳割れを防止する製造方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、耳割れの発生を防止する熱間圧延方法として、0.3〜2.0wt%のBを含有するオーステナイト系ステンレス鋼材の側部に、ステンレス鋼材よりも変形抵抗が小さい鋼材を溶接により被覆した素材を作製し、その素材を(53B+700)℃(ただし、B:B含有量(wt%))以上の温度で仕上げ圧延する方法が開示されている。
同様に、特許文献5では、被圧延材の耳割れの発生を防止するため、Bを0.3〜2.5質量%含有するオーステナイト系ステンレス鋼片を熱間圧延するに際し、その側面に、Ni:4%以下、B:0.1〜0.4%を含有するステンレス鋼からなる厚さ3mm以上の肉盛り溶接被覆層を設けて、熱間加工する方法が提案されている。
また、特許文献6では、ステンレス鋼からなるセパレータを用いた場合に、電極構造体との間における優れた接触抵抗性が得られると同時に、プレス成形時に割れを生じない機械的特性を有するように、セパレータ用素材板が耐食性を有する表面に導電性介在物が露出する一対の鋼材の間に、この鋼材よりも高い延性を有する金属材を接合することが提案されている。
特開平10−228914号公報 特開2001−32056号公報 特開平6−246424号公報 特開平4−253506号公報 特開2001−239364号公報 特開2004−71319号公報
上述した燃料電池セパレータにステンレス鋼などを適用する試みにおいて、幾つかの問題が残されている。
すなわち、特許文献1で開示される金属製部材からなる燃料電池用セパレータでは、例えば、その表面に不働態膜を備えたステンレス鋼をそのままセパレータに用いても、耐食性が十分でなく金属の溶出が起こり、溶出金属イオンにより担持触媒性能が劣化する、いわゆる担持触媒の被毒が発生する。
また、溶出後に生成するCr−OH、Fe−OHのような腐食生成物により、セパレータの接触抵抗が増加するという問題もある。このため、金属製部材からなる燃料電池用セパレータには、製造コストを度外視した金めっき等の貴金属めっきが施されているのが現状である。
次に、特許文献2で提案するセパレータでは、B含有ステンレス鋼を採用するため、変形抵抗が高く、熱間圧延での耳割れ防止や複雑な形状にプレス成形するときの割れ防止を考慮し、セパレータの形状設計にある程度の制約を加えざるを得ないという問題がある。
一方、特許文献3が開示する製造方法では、鋳込みクラッドを出発素材とし、内層部をB含有の普通鋼で、外層部をステンレス鋼で構成するため、普通鋼とステンレス鋼の境界部で剥離が生じ易くなる。さらに、特許文献3のクラッドでは、内層部を普通鋼で構成するので耐食性が悪くなり、さらに外層部がBを含有しないステンレス鋼で構成されることから表層に不導体被膜が形成され、燃料電池セパレータとしては使用できない。
さらに、特許文献4の熱間圧延方法では、精度の高い開先形状を有するフレーム材を用意し、しかも熱間加工時にそれが剥離しないように溶接する必要がある。このため、溶接に多大な工数を要することになる。
同様に、特許文献5の熱間加工方法では、熱間圧延中に耳割れを防止するのに十分な溶接厚みを確保することが必要になり、肉盛り溶接で被覆層を設けるには溶接パス回数が多くなり、溶接工数が増加する。また、溶接割れが発生すると、それが起点となって耳割れの発生につながる場合があり、耳割れ発生を完全に防止することが困難になる。
また、特許文献6のセパレータ用鋼板は、前述の通り、内層に外層よりも高い延性を有する金属素材を接合してなる3層クラッド鋼板に関するものであり、その最大の特長は内層に外層素材よりも高い延性を有する金属材を接合することにより、プレス成形時に万が一に割れが発生した場合にも貫通する割れの発生を防止できることである。しかし、この特長は、クラッドの機能としては至極一般的に付加される機能の一つに過ぎない。また、特許文献6には、クラッドの一体化技術に関し、何ら開示がなされていない。
本発明は、上述した燃料電池セパレータにステンレス鋼を適用する場合に発生する問題点に鑑みてなされたものであり、安価で大量生産が可能であり、熱間加工性および成形性に優れ、固体高分子型燃料電池セパレータとして最適なBを含有し、2層または3層からなる多層ステンレスクラッド鋼板、その素材、およびそれらの製造方法、さらにそれらを用いたセパレータおよび固体高分子型燃料電池を提供することを目的としている。
本発明者らは、燃料電池セパレータに最適なステンレス鋼を開発するため、電気電導性に優れたボライト(硼化物)を利用することにしている。すなわち、ボライトを表面の不働態皮膜に覆われることなく突出させ、表面に直接露出させることにより、ステンレス鋼表面の電気伝導性を長時間にわたって低く安定させることが可能になる。
ステンレス鋼表面でのボライトの突出数を一定以上に確保するには、ステンレス鋼のB含有量を0.3%以上にする必要があるが、一般的にBを多量に含有すると、ステンレス鋼は強度、硬度が高くなり延性が低下し、熱間加工性や成形性が低下することになる。
ところが、B含有量が0.3%未満のステンレス鋼を選択すれば、熱間加工性が改善され、成形時の変形抵抗が小さくなる。一般に、熱間加工性は材料の変形抵抗によって支配される。クラッド鋼板の変形抵抗は、それぞれの層の変形抵抗に複合則を適用して決定される。したがって、B含有量が高く変形抵抗の大きいステンレス鋼単体に、B含有量が低く変形抵抗の小さいステンレス鋼をクラッドすることで、熱間加工性を大きく向上させることができる。
図2は、B含有量が1.0質量%のステンレス鋼とこれを用いた3層クラッド鋼板における変形抵抗の推移を調査した結果を示す図である。3層クラッド鋼板はB含有量が0.2%以下のステンレス鋼を内層とし、その外層として両側にB含有量が1.0質量%のステンレス鋼を組み合わせて構成した。
単体のステンレス鋼および3層クラッド鋼板ともに、厚さ50mm×幅140mm×長さ100mmの寸法で供試素材を作製し、1180℃に加熱後圧延加工し、このときの圧延荷重からorowanの式を用いて変形抵抗を逆算した。3層クラッド鋼板の素材は、内層の厚さを22mmとし、その両側外層の厚さをそれぞれ14mmとした。
図2に示す結果から、B含有量が0.3%以下のステンレス鋼と組み合わせて3層クラッド鋼板を構成することによって、Bを多量に含有するステンレス鋼であっても、熱間加工性を改善し、成形時の変形抵抗を小さくできることが分かる。
2層クラッド鋼板はB含有量が0.2%以下のステンレス鋼を母材とし、合せ材としてその片側にB含有量が1.0質量%のステンレス鋼を組み合わせて構成したが、2層クラッド鋼板の場合にも上述の複合則に従い熱間加工性を向上できることを確認している。
しかしながら、2層または3層からなる多層クラッド鋼板の熱間加工に際し、内層ステンレス鋼および片側または両側の外層ステンレス鋼との接合面での剥離を防止するために、初期加工(初回パス)において高加工度、例えば、大きな圧延形状比を付加することにより、十分に接合面を接合させることが必要になる。
通常、熱間圧延や熱間鍛造によって多層クラッド鋼を製造する場合に、熱間加工後の層間剪断強度が重要な要因になることから、以下の試験を行って加工条件と剪断強度との関係を調査した。
図3は、3層クラッド鋼板の熱間圧延における初期圧延で付加する圧延形状比と圧延後の剪断強度との関係を示す図である。供試した3層クラッド鋼板用素材は、厚さ130mm×幅2000mm×長さ2300mmの寸法とし、内層は厚さ90mmでB含有量が0.2%以下のステンレス鋼とし、その両側外層にB含有量が1.0%のステンレス鋼をそれぞれ厚さ20mmとして組み合わせた。
上記3層クラッド鋼板用素材を用いて熱間圧延を行い、初期圧延(初回圧延パス)で圧延形状比を0.3〜5.2の範囲で変化させ、その後25mmまで圧延した。熱間圧延された3層クラッド鋼板から試材を採取し、JIS G0601に規定するクラッド鋼の剪断試験方法に基づいて剪断強度を測定した。
図3に示す圧延形状比は、R:圧延ロール半径(mm)、H:圧延入り側板厚(mm)およびh:圧延出側板厚(mm)とし、下記(1)および(2)式の関係である場合に、ld/hmとして定義する。
ld=(R×(H−h))1/2 ・・・ (1)
hm=(H+2h)/3 ・・・ (2)
図3に示す結果から、初期圧延で加えられる圧延形状比が熱間圧延後の3層クラッド鋼板の剪断強度に大きな影響を及ぼすことがわかる。具体的には、初期圧延での圧延形状比を0.4以上にすれば、その後の熱間圧延で圧延形状比が0.4未満であっても、内層および外層の接合面の剥離もなく、熱間圧延後においてJISで規定する200MPa以上の剪断強度を確保することができる。さらに、初期圧延での圧延形状比を0.6以上にすれば、熱間圧延後の剪断強度を一層向上させることができるので望ましい。
図3に示すと同様の検討を熱間鍛造についても実施し、初期鍛造での鍛造比を1.2以上にすれば、その後の鍛造で鍛造比が1.1以下であっても、接合面に剥離が発生することがなく、熱間鍛造後における多層クラッド鋼板の剪断強度を200MPa以上にできることを確認している。
また、3層クラッド鋼板の熱間鍛造においても、初期鍛造での鍛造比を1.5以上にすれば、熱間鍛造後の剪断強度を向上させることができるので望ましい。ここで、鍛造比は、最初の板厚H0、鍛造後の板厚H1とすれば、H0/H1の比で示される。
しかしながら、上述した熱間圧延での圧延形状比および熱間鍛造での鍛造比に関する結果は、あくまでもクラッド比が7(外層):11(内層):7(外層)の場合である。このため、対象となる鋼板のクラッド比が変化した場合には、所定の剪断強度を得るための初期圧延の圧延形状比および初期鍛造の鍛造比は変化することになる。
2層クラッド鋼板に関しても、クラッド比を7(合せ材):11(母材)とした場合に、熱間圧延および熱間鍛造における加工条件と剪断強度との関係を調査した。その結果は、3層クラッド鋼板の場合と同様であり、初期圧延での圧延形状比を0.4以上にすれば、内層および外層の接合面の剥離もなく、熱間圧延後においてJISで規定する200MPa以上の剪断強度を確保することができること、および初期鍛造での鍛造比を1.2以上にすれば、接合面に剥離が発生することがなく、熱間鍛造後における多層クラッド鋼板の剪断強度を200MPa以上にできることを確認している。
したがって、燃料電池セパレータに適用できるステンレス鋼の開発に際し、内層に成形性が優れたステンレス鋼を用い、外層として片面または両面にB含有量が0.3%以上のステンレス鋼を組み合わせて多層クラッド鋼板用素材を構成し、その初期加工での加工度を規定することによって、剪断強度が確保でき、しかも熱間圧延加工性および成形性に優れた多層ステンレスクラッド鋼板を得ることができる。
これにより、3層ステンレスクラッド鋼板の表層部は不働態皮膜に覆われることなく、ボライトが露出し『電気の通り道(迂回路)』として機能することで、接触電気抵抗を低く維持することができると同時に、3層ステンレスクラッド鋼板を複雑な形状に成形加工できる。同じく、2層ステンレスクラッド鋼板の片面表層部にボライトを露出させるとともに、例えば、他の表層部に導電処理を施すことによって、接触電気抵抗を低く維持すると同時に、2層ステンレスクラッド鋼板を容易に成形加工できる。すなわち、燃料電池セパレータ用ステンレス鋼として要求されるが、従来技術では実現できなかった、低い接触抵抗と優れた成形性とを両立させることが可能になる。
さらに、本発明者らは、本発明が対象とする多層ステンレスクラッド鋼板用素材の組み合わせに際し、有効な接合手段について種々の方法やその条件について検討を加えた結果、次の知見を得ることができた。
(a)多層クラッド鋼板の素材(スラブ)を高エネルギー密度溶接することにより、素材組み合わせの工数を大幅に削減できる。
ここで「高エネルギー密度溶接」とは、エネルギー密度で105W/cm2以上のエネルギー密度を有した溶接であり、代表的な例としては、プラズマ溶接、電子ビーム溶接、およびレーザー溶接等がある。
特に、電子ビーム溶接の場合、真空中で組み合わせ溶接を行うことから、内層および外層間の空気を完全に排除でき、熱間圧延や熱間鍛造において剥離を生じない。
さらに、素材の組み合わせにおける1日当たりの製造可能な本数を比較すると、人手による多層盛溶接では1本/週が限界であるが、高エネルギー密度溶接では5〜6本/週以上が可能であり生産性は大幅に向上する。
(b)高エネルギー密度溶接に際しては、溶接後凝固した溶接金属の組成に適正な範囲があり、溶接金属の組成を適切に管理することによって、熱間圧延や熱間鍛造中に発生する割れを防止するのに有効である。
(c)高エネルギー密度溶接での溶接方向は垂直方向と水平方向とに区分され、水平方向で溶接する場合に、ビードたれが発生し易く凝固割れの発生要因となる。このビードたれは、クラッド鋼板用素材の外層と内層の接合面に起点部を設けて高エネルギー密度溶接を行うことによって防止できる。
本発明は、上記の検討結果や高エネルギー密度溶接に関する知見に基づいて完成されたものであり、次の(1)の固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材、(2)の多層ステンレスクラッド鋼板用素材の製造方法、(3)の多層ステンレスクラッド鋼厚板の製造方法およびその厚板、(4)の多層ステンレスクラッド鋼板の製造方法、並びに(5)の固体高分子型燃料電池セパレータおよび固体高分子型燃料電池を要旨としている。
(1)B含有量が0〜0.3質量%であるステンレス鋼を内層とし、その外層として片面または両面にB含有量が0.3〜2.5質量%であるステンレス鋼を組み合わせた固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材であって、前記内層とするステンレス鋼と前記外層に組み合わせるステンレス鋼が、溶接を施されて、下記の(1)〜(4)式で表される関係を満足する化学成分を有するステンレス鋼溶接金属により接合され一体化されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材である。
15≦Creq≦30 ・・・ (1)
4≦Creq−Nieq≦17 ・・・ (2)
ただし、
Creq=Cr+1.5×Si+Mo−5×B ・・・ (3)
Nieq=Ni+30×(C+N)+0.5×Mn ・・・ (4)
ここで、式中の元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
また、本発明の固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材は、前記内層とするステンレス鋼と前記外層に組み合わせるステンレス鋼とが溶接で一体化され、当該素材の加工面を除く側面に、B含有量が0〜0.3質量%のプロテクト材が、上記の(1)〜(4)式で表される関係を満足する化学成分を有するステンレス鋼溶接金属により接合され一体化されたことを要旨としている。
本発明のクラッド鋼板用素材では、前記溶接が、高エネルギー密度溶接であることが好ましい。
本発明のクラッド鋼板用素材では、さらに、質量%で、前記内層とするステンレス鋼(以下、単に「内層ステンレス鋼」という)がCr:12〜35%、Ni:7〜50%およびMo:8%以下を含有し、前記外層として片面または両面に組み合わせるステンレス鋼(以下、単に「外層ステンレス鋼」という)がCr:5%以上およびMo:5%以下を含有するのが望ましい。なお、内層材、外層材ともにMoは任意添加元素であり、添加しなくてもよい。
(2)B含有量が0〜0.3質量%であるステンレス鋼を内層とし、その外層として片面または両面にB含有量が0.3〜2.5質量%であるステンレス鋼を組み合わせた固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材の製造方法であって、前記内層とするステンレス鋼と前記外層に組み合わせるステンレス鋼を、溶接を施して、上記の(1)〜(4)式で表される関係を満足する化学成分を有するステンレス鋼溶接金属により接合し一体化することを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材の製造方法である。
また、本発明の固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材の製造方法は、前記内層とするステンレス鋼と前記外層に組み合わせるステンレス鋼とを溶接で一体化した後、当該素材の加工面を除く側面に、B含有量が0〜0.3質量%のプロテクト材を、上記の(1)〜(4)式で表される関係を満足する化学成分を有するステンレス鋼溶接金属により接合し一体化することを要旨としている。
本発明のクラッド鋼板用素材の製造方法では、前記溶接が、高エネルギー密度溶接であることが好ましい。
本発明のクラッド鋼板用素材の製造方法では、前記高エネルギー密度溶接で水平方向に溶接する場合に、溶接の起点部を予め形成し高エネルギー密度溶接を行うことが望ましい。
(3)前記(1)の素材を1000〜1200℃に加熱したのち、加工終了温度を600℃以上とし厚板圧延加工することを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼厚板の製造方法およびそれによって製造された厚板である。
上記で得られた厚板を、さらに1000〜1200℃に加熱したのち、粗圧延を行い、次いで圧延終了温度を600℃以上とする熱間圧延を行い、その後冷間圧延することで固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板を製造することができる。
(4)前記(1)の素材を1000〜1200℃に加熱したのち、粗圧延を行い、次いで圧延終了温度を600℃以上とする熱間圧延を行い、その後冷間圧延することを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板の製造方法である。
(5)前記(3)または(4)の製造方法で得られた多層ステンレスクラッド鋼板を用いたことを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータである。さらに、このセパレータを用いたことを特徴とする固体高分子型燃料電池である。
本発明の2層または3層からなる多層ステンレスクラッド鋼板によれば、安価で大量生産が可能であり、熱間加工性および成形性に優れ、固体高分子型燃料電池セパレータとして最適なB含有ステンレス鋼を提供することができる。これによりセパレータを作製すれば、電池性能に優れた固体高分子型燃料電池を製造できる。
固体高分子型燃料電池の構造を示す図であり、図1(a)は燃料電池セル(単セル)の分解図を、図1(b)は燃料電池外観の斜視図を示している。 B含有量が1.0質量%のステンレス鋼とこれを用いた多層クラッド鋼板における変形抵抗の推移を調査した結果を示す図である。 3層クラッド鋼板の熱間圧延における初期加工で付加する圧延形状比と圧延後の剪断強度との関係を示す図である。 クラッド鋼板用素材を電子ビーム溶接で一体に組み合わせる方法を説明する図であり、(a)は組み合わせ後の全体構成と溶接方向を示しており、(b)は電子ビーム溶接における起点部の形成例を示している。 実施例で供試した多層ステンレスクラッド鋼板用素材および比較例の構成を示す図であり、(a)〜(e)はそれぞれCase1〜5の構成例を示している。
前述の通り、本発明は固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板、およびその素材、並びにそれらの製造方法に関するものである。以下に、本発明の内容を、多層ステンレスクラッド鋼板およびその素材、高エネルギー密度溶接による一体化、プロテクト材の接合、並びにクラッド鋼板およびその素材の製造方法に区分して説明する。以下の説明において、化学組成の含有量は質量%を意味する。
なお、本発明では「高エネルギー密度溶接」を電子ビーム溶接の場合について以下に記すが、これにより本発明が電子ビーム溶接に限定されるものではない。
1.多層ステンレスクラッド鋼板およびその素材
本発明の多層ステンレスクラッド鋼板およびその素材は、B含有量が0〜0.3%であるステンレス鋼を内層とし、その外層として片面または両面にB含有量が0.3〜2.5%であるステンレス鋼を組み合わせたこと特徴としている。外層ステンレス鋼および内層ステンレス鋼は、次の構成による。
1−1.外層ステンレス鋼
外層ステンレス鋼は内層ステンレス鋼の片面または両面に組み合わせて構成され、そのB含有量が0.3%未満になると、不働態皮膜に覆われた表面から直接露出するボライドの突出数が少なくなり、接触抵抗が増大する。
一方、B含有量が2.5%を超えると、セパレータの加工に必要な成形性を確保することができない。したがって、外層ステンレス鋼のB含有量は、0.3〜2.5%とする。さらに、B含有量を0.8〜2%にするのが望ましい。
外層ステンレス鋼は、さらにCr:5%以上およびMo:5%以下を含有するオーステナイト系ステンレスとするのが望ましい。
Crは、耐食性を向上させるのに有効な元素であり、その効果を得るには5%以上含有する必要がある。したがって、耐食性の向上を図りたい場合には、5%以上含有することができる。一方、Crの含有が30%を超えと熱間加工性の低下が顕著になるので、Crを含有する場合には、その上限を30%にする。
Moは、添加しなくてよい。しかし、Crと同様に、必要に応じて含有することにより、一層、耐食性を向上させることができる。しかし、Moは5%を超えて含有しても効果は飽和し、かつMoは高価な元素である。このため、Moを含有する場合には、上限を5%とした。Moを含有する場合に、望ましい下限は0.3%である。
1−2.内層ステンレス鋼
内層ステンレス鋼のB含有量は少ないほどよく、0〜0.3%とする。これは、そのB含有が0.3%を超えると、熱間加工時に割れが発生するおそれがあるからである。そのため、内層ステンレス鋼はBを含有しなくてもよいが、含有する場合は0.3%以下に制限することとした。また、内層ステンレス鋼は、フェライト系またはオーステナイト系ステンレス鋼のいずれでもよいが、外層ステンレス鋼と化学組成を近似させるのが望ましい。
接触する金属の化学組成が大きく異なると電位差が大きくなり、腐食が促進されることになる。したがって、本発明ではクラッド鋼板の耐食性を確保する観点から、外層と内層に用いるステンレス鋼の電位差が少なくなるように、成分設計するのが望ましい。
内層ステンレス鋼は、さらにCr:12〜35%、Ni:7〜50%およびMo:8%以下を含有することができる。
Crは、耐食性を向上させる効果があるが、含有が12%未満では効果が発揮されず、耐食性が劣化する。一方、35%を超えて含有すると熱間加工性が著しく低下する。このため、Crを含有する場合には、含有量は12〜35%とする。
Niは、Crと同様に、耐食性を向上させる効果があるが、含有量が7%未満では効果が発揮されず、耐食性が劣化する。一方、含有量が50%を超えると、効果が飽和しコストが高くなる。このため、Niを含有する場合には、含有量は7〜50%とする。
Moも、必要に応じて含有することにより、一層耐食性を向上させることができる。しかし、8%を超えて含有しても効果は飽和するので、Moを含有する場合には8%以下とする。Moを含有する場合に、望ましい下限は0.2%である。
2.電子ビーム溶接による一体化
前述の通り、高エネルギー密度溶接には、プラズマ溶接、電子ビーム溶接、およびレーザー溶接等が例示される。しかし、以下では、高エネルギー密度溶接として電子ビーム溶接を適用した場合について説明する。
多層ステンレスクラッド鋼板に用いる素材(スラブ)を一体化する方法には各種あり、例えば、爆着法、溶接法または鋳込み法などが一般的に用いられている。特に、溶接法は特殊な設備を必要とせず、簡易な装置で手軽に実施できるので、従来から広く採用されている。
ところが、従来の溶接法では熱間加工中に外層材と内層材が剥離しないように多層盛する必要があり、多大な工数を要していた。また、溶接時に内外層間の空気を完全に抜くことが困難であり、熱間加工後の超音波検査で残存空気に起因する欠陥を多発することがある。
これに対し、電子ビーム溶接によれば、溶接を真空中で行うため、残存空気のおそれがなく、同時に1パスの溶接で十分な強度を確保することができる。このため、従来の溶接法に比較し、大幅な工数削減ができるとともに超音波欠陥の発生が殆どなく、品質および歩留まりの両面で著しい向上が見られる。
図4は、クラッド鋼板用素材を電子ビーム溶接で一体に組み合わせる方法を説明する図であり、(a)は組み合わせ後の全体構成と溶接方向を示しており、(b)は電子ビーム溶接における起点部の形成例を示している。クラッド鋼板用素材を組み合わせる場合に、電子ビーム溶接の溶接方向は垂直方向(白抜き矢印)Vと水平方向(黒抜き矢印)Hに分けられる。水平方向Hでの電子ビーム溶接では、起点部にビードたれが発生し、その部分を始点として凝固割れが発生する場合がある。
ビードたれが発生した場合に、外層ステンレス鋼7に窪みができるため、打ち直し(補修)溶接を行う必要がある。このとき2、3パスの溶接が行われるため、外層ステンレス鋼7のB濃度が変化し、希釈された溶接箇所において凝固割れが発生し易くなる。凝固割れが発生すると、熱間加工中にその部分を始点として加工割れが発生する。
ビードたれの発生を防止するには、電子ビーム溶接を開始する前に起点部9を形成するのが有効である。図4(b)に示すように、起点部9の形成例としては、外層ステンレス鋼7と内層ステンレス鋼8との接合面で、外層ステンレス鋼7に凹部を設けることができる。起点部9として形成される凹部の寸法は、幅Wが5〜15mm、長さLが60〜80mmおよび深さDが5〜15mmとできる。
例えば、凹部を設けた起点部9から電子ビーム溶接を水平方向Hにスタートさせることにより、ビードたれが発生しない溶接部を得ることができる。さらに、確実にビードたれの発生を防止するには、電子ビーム溶接のスタート時に溶接電流を逐次増大させて、所定時間後に目標電流で溶接するようにするのがさらに望ましい。
3.プロテクト材の接合
3−1.接合条件
本発明の多層ステンレスクラッド鋼板用素材では、外層材がB含有ステンレス鋼であり、熱間加工中に割れが生じるおそれがある。このため、素材の加工面を除く側面に、B含有量が0.3%以下のプロテクト材を接合するのが望ましい。
「加工面を除く側面」とは、圧延や鍛造などの加工を受ける加工面以外の面のうち、少なくとも対向する側部2面をいう。例えば、圧延の場合は、圧延ロールと接触しない長手方向の2側面、またはこれらを含めて頭部や尾部の端面が含まれていてもよい。鍛造の場合は、ラムと接触しない対向する側部2面、またはこれらを含めて3〜4面が含まれてもよい。
上述の通り、本発明の多層ステンレスクラッド鋼板用素材では熱間加工中に割れが発生するおそれがあるが、0.3%以下とB含有量が少ないプロテクト材を、当該クラッド鋼板用素材の加工面を除く側面に接合することにより、圧延中の耳割れを防止できる。
プロテクト材は圧延終了後に切断されるため、B以外の化学組成は特に規定しない。さらに、プロテクト材の寸法は、熱間加工中に座屈を起こし剥離する危険性を回避するため、板厚を10mm以上にするのが望ましい。
プロテクト材を接合する場合に、後述する図5(b)および(c)に示すように、内層ステンレス鋼8の両側に外層ステンレス鋼7を電子ビーム溶接で一体に組み合わせた後、外層ステンレス鋼7に電子ビーム溶接でプロテクト材10を接合しもよく、また、内層ステンレス鋼8および外層ステンレス7鋼の全厚さにわたり電子ビーム溶接でプロテクト材10を接合してもよい。
3−2.溶接金属の化学組成
「溶接金属」とは、プロテクト接合部の一部であって、接合前の母材ステンレス鋼およびプロテクト材が接合により溶融凝固した金属部分をいう。プロテクト材を電子ビーム溶接などで接合する場合に、接合時に生じる割れや熱間加工時に発生する割れを防止する必要がある。これらの割れを効果的に防止するには、プロテクト材と母材ステンレス鋼との接合部を構成する溶接金属の化学組成が下記の(3)〜(6)式で示される関係を満足するのが望ましい。
15≦Creq≦30 ・・・ (3)
4≦Creq−Nieq≦17 ・・・ (4)
ただし、
Creq=Cr+1.5×Si+Mo−5×B ・・・ (5)
Nieq=Ni+30×(C+N)+0.5×Mn ・・・ (6)
ここで、式中の元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
上記のCreqの値が15未満では、B含有ステンレス鋼との希釈により、Bを含有する溶接金属が生成して延性が不足し、電子ビーム溶接による溶接などのように熱応力が大きくなる場合には、延性不足に起因する割れを生じる。延性不足はボライト(硼化物)の形成にともない、オーステナイト相が不安定となって、一部が延性の乏しいマルテンサイト化することによる。
しかしながら、Creqの値を15以上とすることにより、ボライト(硼化物)が生成してオーステナイト相が安定となり、マルテンサイトの生成を抑制して延性不足を回避できる。
一方、Creqの値が30を超えると、溶接金属の熱間加工性が劣化し、熱間加工時に割れが発生する。したがって、Creqの値は、上記の(3)式で表される関係を満足する必要がある。
また、溶接時に生じる割れの回避および熱間圧延時の割れ防止のためには、Creqの値が上記の(3)の関係を満足するのみでは不充分であり、(Creq−Nieq)の値も適正範囲に調整する必要がある。(Creq−Nieq)の値が4未満では、溶接凝固割れが発生する一方、(Creq−Nieq)の値が17を超えると、熱間圧延割れが発生する。
溶接凝固割れは、Bによる低融点相の形成と、電子ビーム溶接などに特有の熱応力との重畳効果によるものである。(Creq−Nieq)の値を4以上とすることにより、凝固後期までのフェライト相を残存させて、低融点相を分散させることができるので、電子ビーム溶接などの高い熱応力下においても凝固割れの回避が可能となる。したがって、(Creq−Nieq)の値は、上記の(4)式の関係を満足する必要がある。
上述の理由により、溶接金属の化学組成を上記の(3)〜(6)式で示される適正範囲に調整することにより、プロテクト材を高能率で溶接する場合であっても、溶接時に生じる割れを回避し、かつ溶接金属の熱間圧延時の割れを防止する有効な手段となる。
前述の通り、プロテクト材が接合する母材ステンレス鋼はB含有鋼であり、プロテクト材がBを含有しない組み合わせで溶接を行うと、溶接金属の割れ感受性が高まり、溶接割れを発生するおそれがある。すなわち、プロテクト材で希釈された溶接金属では、液相からのボライト(硼化物)の生成が生じにくくなり、Bによる低融点相の消失が遅れるからである。
したがって、プロテクト材と母材ステンレス鋼とのB含有量を調整し、溶接割れを防止するため、Bを含有するインサート材として板、箔、粉末などを両者の間に挿入、または挟み込んでプロテクト材の接合を行うのが望ましい。
4.クラッド鋼板およびその素材の製造方法
4−1.初期加工の加工条件
本発明の多層クラッド鋼板の製造方法で採用する熱間加工は、分塊鍛造、厚板圧延、および熱延鋼帯圧延などが対象となる。この熱間加工時に内層および外層ステンレス鋼の接合面での剥離を防止するには、初期加工での高加工度、すなわち、圧延加工での圧延形状比、または鍛造加工での鍛造比を規定することにより、十分に接合面を密着させるのが望ましい。
具体的には、2層クラッド鋼板または3層クラッド鋼板を製造する場合に、厚板圧延および熱延鋼帯圧延の熱間圧延では、初期圧延または初期圧延を含む連続2パス以上の平均圧延形状比を0.4以上にするのが望ましい。初期圧延での圧延形状比を確保することによって、その後の熱間圧延で圧延形状比が0.4未満であっても、内層および外層ステンレス鋼の接合面の剥離もなく、熱間圧延後においてJISで規定する200MPa以上の剪断強度を確保することができる。
さらに、初期圧延での圧延形状比を0.6以上にすれば、熱間圧延後の剪断強度を一層向上させることができるので望ましい。本発明で規定する圧延形状比は、前述の通り、定義される。
一方、2層クラッド鋼板または3層クラッド鋼板を製造する場合に、熱間鍛造では、初期鍛造での鍛造比を1.2以上にすれば、その後の鍛造で鍛造比が1.1未満であっても、接合面に剥離が発生することがなく、熱間鍛造後における多層クラッド鋼の剪断強度を200MPa以上にできる。ここで、鍛造比は、最初の板厚H0、鍛造後の板厚H1とすれば、H0/H1の比で定義する。
4−2.熱間加工および冷間加工
Bを含有する素材の加熱温度が1000℃未満であれば温度が低く圧延中の変形抵抗が大きくなり、圧延中に剥離するおそれがある。一方、加熱温度が1200℃を超えるとスケール疵が発生する場合がある。このため、素材の加熱温度は1000〜1200℃とする。さらに加熱温度を1050〜1200℃にするのが望ましい。
熱間加工での仕上げ温度は、耳割れ防止の観点からは高いほどよいが、加工終了後の温度が600℃未満になると靭性が劣化する。このため、厚板圧延および熱延鋼帯圧延などでは、圧延終了温度を600℃以上とする。
さらに、燃料電池用セパレータ材としてクラッド鋼板を用いる場合には、熱間加工の後、冷間加工として冷延鋼帯圧延を施して冷延鋼板に仕上げ加工を行い、得られた薄板をプレス成形して所定の断面形状にする。
本発明の効果を確認するため、表1に示す化学成分を有するステンレス鋼スラブを準備した。スラブ寸法は、厚さ50mm、幅140mmおよび長さ100mmとした。
Figure 2009215655
これらのスラブを組み合わせて多層ステンレスクラッド鋼板用素材を作製し、必要に応じてプロテクト材を接合し、得られた素材に熱間圧延を施した。熱間圧延はレバース圧延、および連続圧延が共に可能な実験設備を用いて行った。
図5は、実施例で供試した単層、または2層若しくは3層の多層ステンレスクラッド鋼板用素材および比較例の構成を示す図であり、(a)〜(e)はそれぞれCase1〜5の構成例を示している。(a)に示すCase1は、内層ステンレス鋼8の両面に外層ステンレス鋼7を電子ビーム溶接で一体に組み合わせた構成である。さらに、(b)に示すCase2では、外層ステンレス鋼7に電子ビーム溶接でプロテクト材10を接合した後、内層ステンレス鋼8の両面にプロテクト材を接合した外層ステンレス鋼7を電子ビーム溶接で一体に組み合わせている。
また、(c)に示すCase3では、内層ステンレス鋼8の両面に外層ステンレス鋼7を電子ビーム溶接で一体に組み合わせた後、内層ステンレス鋼8および外層ステンレス鋼7の全厚さにわたり電子ビーム溶接でプロテクト材10を接合している。一方、(d)に示すCase4は、クラッド鋼を構成せず、単層のB含有鋼11に電子ビーム溶接でプロテクト材10を接合した構成である。さらに、(e)に示すCase5では、外層ステンレス鋼7に電子ビーム溶接でプロテクト材10を接合した後、内層ステンレス鋼8の片面にプロテクト材を接合した外層ステンレス鋼7を電子ビーム溶接で一体に組み合わせている。
図5に示す構成のうち、(b)〜(e)に示すCase2〜5でプロテクト材の接合を行う場合に、必要に応じてインサート材を使用している。本発明例の多層ステンレスクラッド鋼板用素材および比較例の組み合わせ条件を表2に示す。
Figure 2009215655
表2中の外層材の厚さはそれぞれ片面厚さを示しており、例えば14(mm)/14(mm)は、内層材の両面に厚さ14mmの外層材を組み合わせて3層クラッド鋼板を構成し、14(mm)/0(mm)は、内層材の片面に厚さ14mmの外層材を組み合わせて2層クラッド鋼板を構成していることを示している。
3層ステンレスクラッド鋼板用素材の組み合わせに際し、外層ステンレス鋼素材を作製するため、厚さ150mmのスラブを85mmまで熱間鍛造し、それをフライス研削して厚さ35mmまで減肉した。次いで、内層ステンレス鋼は厚さ22mmの材料を用い、両側に外層のステンレス鋼素材を溶接して一体化した後、さらに外層のステンレス鋼素材を各々35mmから14mmまで減肉し、多層ステンレスクラッド鋼板用素材とした。
上記のような煩雑な工程を適用したのは、外層のステンレス鋼素材を当初から厚さ14mmで外層材として用いると、溶接時の入熱の影響でコーナー部が溶損するおそれがあるからである。かかる処理は実施例における処置であり、実機の素材組み合わせにおいては不要となる。
さらに、プロテクト材を使用したCase2〜5については、プロテクト材を研削し、10mm厚まで減肉した。
上記スクラッド鋼板用素材の組み合わせでは、電子ビーム溶接を外層ステンレス鋼と内層ステンレス鋼の一体化およびプロテクト材の接合に採用し、その溶接方向は垂直方向と水平方向の2法で行われた。それぞれの溶接条件を表3に示す。
Figure 2009215655
Case1〜3および5の素材を構成する場合に、溶接方向が水平方向となる電子ビーム溶接では、溶接スタート時は溶接電流を小さくし、徐々に大きくして、3〜4秒後に表3に示す目標溶接電流となるように電流制御を行った。同水平方向の溶接での起点部として、外層ステンレス鋼と内層ステンレス鋼の合わせ面の外層側に深さ10×幅10×長さ70mmの溝加工を施した。
得られた多層ステンレスクラッド鋼板用素材を窒素雰囲気で1180℃に加熱し、1時間保持後、表4に示す圧延スケジュールに基づいて9パスの熱間圧延を行い、700℃で圧延を終了し、最終肉厚が6mmとなる熱間圧延コイルに仕上げた。その後、通常の条件で焼鈍および酸洗などの処理を行って、さらに仕上げ肉厚0.15mmまで冷間圧延を行った。
Figure 2009215655
得られた冷間圧延コイルを供試材としてプレス成形性の評価試験を行い、その結果を表5に示した。ただし、試験記号Nは外層材のB含有量が本発明で規定する範囲から外れるため、熱間圧延の際に割れが発生し、熱間圧延コイルに仕上げることができなかった。そのため、その後の試験は行わなかった。
供試材を流路部分が50mm×50mmのセパレータ製作用プレス金型を用いて、50トンプレス機によりプレス加工を行った。金型はガス流路となる溝の幅が2mmで、溝の深さは押し込みストロークにより0.4mm、0.5mmおよび0.6mmに調整した。
表5に示す評価試験の結果では、各供試材の溝深さにおける貫通割れの有り無しを示しており、〇は貫通割れ無し、●は貫通割れ有りをそれぞれ示している。
評価試験の結果から、試験記号O〜Qで示すBを含有する外層材の単層で構成する供試材に比べ、試験記号A〜MおよびRで示すように、多層クラッド鋼板を構成することによって、良好なプレス成形性を有することがわかる。
Figure 2009215655
同様に、冷間圧延コイルを供試材として接触抵抗を測定し、その結果を表6に示す。供試材の表面を硝酸10%フッ酸4%、残部水の酸洗液で10分間の酸洗を行い、ボライト(硼化物)を表面に露出させた。
接触抵抗の測定は、電極として市販の厚さ0.3mmのカーボンペーパー(SG3)を用いて、そのカーボンペーパーに接触面積1cm2として上記供試材の表面に接触させた。電気抵抗の測定は4端子法とし、負荷荷重は10kg/cm2に固定し、抵抗の変動を回避した。
表6に示す接触抵抗の測定結果から、試験記号A〜Mに示す多層クラッド鋼板を構成した場合でも、試験記号O〜Qで示すBを含有する外層材の単層で構成した場合と同じように低い接触抵抗を示した。しかし、試験記号Rでは、外層材として本発明で規定するB含有量より少ない鋼番号g9を採用したので、接触抵抗が増大している。
Figure 2009215655
得られた冷間圧延コイルをプレス成形したセパレータを用い、前記図1に示す固体高分子型燃料電池セル(単セル)を作製し、電池性能の評価を行い、その結果を表7に示す。
アノード極側燃料用ガスとしては99.9999%水素ガスを用い、カソード極側ガスとしては空気を用いた。電池本体は78℃±2℃に保持するとともに、電池内部の湿度制御をセル入り側で行い、電池内部の圧力を1気圧とした。
単セルで0.5A/cm2、および0.62Vの状態から継続的に発電状況の評価を実施した。電池性能の比較は50時間経過後の単セル電圧低下率とし、[1−(50時間経過後のセル電圧/初期セル電圧)]で評価を行った。
表7に示す評価結果から、試験記号A〜Mに示す本発明例では、多層クラッド鋼板を構成したにもかかわらず、試験記号O〜Qで示すBを含有する外層材の単層で構成した場合と同様の性能を示している。しかし、試験記号Rでは、外層材のB含有量が本発明の規定範囲外であるため、性能が著しく低下している。
Figure 2009215655
本発明の多層ステンレスクラッド鋼板によれば、安価で大量生産が可能であり、熱間加工性および成形性に優れ、固体高分子型燃料電池セパレータとして最適なB含有ステンレス鋼を提供することができる。これによりステンレス鋼製のセパレータを作製すれば、プレス成形性に優れ、低い接触抵抗を示すことから、電池性能に優れた固体高分子型燃料電池を効率的に製造でき、燃料電池の分野で広く適用できる。
1:燃料電池、 2:固体分子電解質膜、
3:燃料電極膜、 4:酸化剤電極膜、
5a、5b:セパレート、 6a、6b:流路、
7:外層ステンレス鋼、 8:内層ステンレス鋼、
9:起点部、 10:プロテクト材、
11:単体のB含有鋼

Claims (15)

  1. B含有量が0〜0.3質量%であるステンレス鋼を内層とし、その外層として片面または両面にB含有量が0.3〜2.5質量%であるステンレス鋼を組み合わせた固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材であって、
    前記内層とするステンレス鋼と前記外層に組み合わせるステンレス鋼が、溶接を施されて、下記の(1)〜(4)式で表される関係を満足する化学成分を有するステンレス鋼溶接金属により接合され一体化されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材。
    15≦Creq≦30 ・・・ (1)
    4≦Creq−Nieq≦17 ・・・ (2)
    ただし、
    Creq=Cr+1.5×Si+Mo−5×B ・・・ (3)
    Nieq=Ni+30×(C+N)+0.5×Mn ・・・ (4)
    ここで、式中の元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
  2. B含有量が0〜0.3質量%であるステンレス鋼を内層とし、その外層として片面または両面にB含有量が0.3〜2.5質量%であるステンレス鋼を組み合わせた固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材であって、
    前記内層とするステンレス鋼と前記外層に組み合わせるステンレス鋼とが溶接で一体化され、
    当該素材の加工面を除く少なくとも前記外層の側面に、B含有量が0〜0.3質量%のプロテクト材が、下記の(1)〜(4)式で表される関係を満足する化学成分を有するステンレス鋼溶接金属により接合され一体化されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材。
    15≦Creq≦30 ・・・ (1)
    4≦Creq−Nieq≦17 ・・・ (2)
    ただし、
    Creq=Cr+1.5×Si+Mo−5×B ・・・ (3)
    Nieq=Ni+30×(C+N)+0.5×Mn ・・・ (4)
    ここで、式中の元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
  3. 前記溶接が、高エネルギー密度溶接であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材。
  4. 質量%で、前記内層とするステンレス鋼がCr:12〜35%、Ni:7〜50%およびMo:8%以下を含有し、前記外層として片面または両面に組み合わせるステンレス鋼がCr:5%以上およびMo:5%以下を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材。
  5. 熱間圧延または熱間鍛造が施されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材。
  6. B含有量が0〜0.3質量%であるステンレス鋼を内層とし、その外層として片面または両面にB含有量が0.3〜2.5質量%であるステンレス鋼を組み合わせた固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材の製造方法であって、
    前記内層とするステンレス鋼と前記外層に組み合わせるステンレス鋼を、溶接を施して、下記の(1)〜(4)式で表される関係を満足する化学成分を有するステンレス鋼溶接金属により接合し一体化することを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材の製造方法。
    15≦Creq≦30 ・・・ (1)
    4≦Creq−Nieq≦17 ・・・ (2)
    ただし、
    Creq=Cr+1.5×Si+Mo−5×B ・・・ (3)
    Nieq=Ni+30×(C+N)+0.5×Mn ・・・ (4)
    ここで、式中の元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
  7. B含有量が0〜0.3質量%であるステンレス鋼を内層とし、その外層として片面または両面にB含有量が0.3〜2.5質量%であるステンレス鋼を組み合わせた固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材の製造方法であって、
    前記内層とするステンレス鋼と前記外層に組み合わせるステンレス鋼とを溶接で一体化した後、
    当該素材の加工面を除く少なくとも前記外層の側面に、B含有量が0〜0.3質量%のプロテクト材を、下記の(1)〜(4)式で表される関係を満足する化学成分を有するステンレス鋼溶接金属により接合し一体化することを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材の製造方法。
    15≦Creq≦30 ・・・ (1)
    4≦Creq−Nieq≦17 ・・・ (2)
    ただし、
    Creq=Cr+1.5×Si+Mo−5×B ・・・ (3)
    Nieq=Ni+30×(C+N)+0.5×Mn ・・・ (4)
    ここで、式中の元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
  8. 前記溶接が、高エネルギー密度溶接であることを特徴とする請求項6または7に記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材の製造方法。
  9. 前記高エネルギー密度溶接で水平方向に溶接する場合に、溶接の起点部を予め形成し高エネルギー密度溶接を行うこと特徴とする請求項8に記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板用素材の製造方法。
  10. 請求項1〜5のいずれかに記載の素材を1000〜1200℃に加熱したのち、加工終了温度を600℃以上とし厚板圧延加工することを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼厚板の製造方法。
  11. 請求項10に記載の製造方法で得られたことを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼厚板。
  12. 請求項1〜5のいずれかに記載の素材を1000〜1200℃に加熱したのち、粗圧延を行い、次いで圧延終了温度を600℃以上とする熱間圧延を行い、その後冷間圧延することを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板の製造方法。
  13. 請求項11に記載の多層ステンレスクラッド鋼厚板を、さらに1000〜1200℃に加熱したのち、粗圧延を行い、次いで圧延終了温度を600℃以上とする熱間圧延を行い、その後冷間圧延することを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板の製造方法。
  14. 請求項12または13に記載の製造方法で得られた多層ステンレスクラッド鋼板を用いたことを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ。
  15. 請求項14に記載のセパレータを用いたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
JP2009113575A 2004-03-17 2009-05-08 固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板、厚板およびそれらの素材、並びにそれらの製造方法 Expired - Fee Related JP5246023B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009113575A JP5246023B2 (ja) 2004-03-17 2009-05-08 固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板、厚板およびそれらの素材、並びにそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004076475 2004-03-17
JP2004076475 2004-03-17
JP2009113575A JP5246023B2 (ja) 2004-03-17 2009-05-08 固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板、厚板およびそれらの素材、並びにそれらの製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004155600A Division JP2005298960A (ja) 2004-03-17 2004-05-26 固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板、厚板およびそれらの素材、並びにそれらの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009215655A true JP2009215655A (ja) 2009-09-24
JP5246023B2 JP5246023B2 (ja) 2013-07-24

Family

ID=41187789

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009113575A Expired - Fee Related JP5246023B2 (ja) 2004-03-17 2009-05-08 固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板、厚板およびそれらの素材、並びにそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5246023B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6376703A (ja) * 1986-09-18 1988-04-07 Nippon Steel Corp 熱中性子遮蔽用高bステンレス鋼の製造方法
JPH04253506A (ja) * 1991-01-30 1992-09-09 Nkk Corp ボロン含有オーステナイト系ステンレス鋼材の熱間圧延           方法
JP2004071319A (ja) * 2002-08-06 2004-03-04 Honda Motor Co Ltd 燃料電池用金属製セパレータ用素材板およびそれを使用した燃料電池用金属製セパレータ

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6376703A (ja) * 1986-09-18 1988-04-07 Nippon Steel Corp 熱中性子遮蔽用高bステンレス鋼の製造方法
JPH04253506A (ja) * 1991-01-30 1992-09-09 Nkk Corp ボロン含有オーステナイト系ステンレス鋼材の熱間圧延           方法
JP2004071319A (ja) * 2002-08-06 2004-03-04 Honda Motor Co Ltd 燃料電池用金属製セパレータ用素材板およびそれを使用した燃料電池用金属製セパレータ

Also Published As

Publication number Publication date
JP5246023B2 (ja) 2013-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4893625B2 (ja) 三層ステンレスクラッド鋼板用素材、厚板および固体高分子型燃料電池セパレータ用鋼板の製造方法、ならびに固体高分子型燃料電池セパレータ
Chen et al. Clad metals, roll bonding and their applications for SOFC interconnects
JP5343307B2 (ja) 燃料電池スタックおよび燃料電池セパレータ並びにその製造方法
JP5108976B2 (ja) 燃料電池セパレータ
TWI515336B (zh) 燃料電池隔板用不鏽鋼的製造方法、燃料電池隔板用不鏽鋼、燃料電池隔板以及燃料電池
EP2560225A1 (en) Metal plate for use as solid polymer fuel cell separator
JP3097690B1 (ja) 固体高分子型燃料電池
JP2000328200A (ja) 通電電気部品用オーステナイト系ステンレス鋼および燃料電池
JP5637813B2 (ja) リチウムイオン二次電池ラミネートケース用オーステナイト系ステンレス鋼箔および製造法
JP3097689B1 (ja) 固体高分子型燃料電池
JP2005298960A (ja) 固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板、厚板およびそれらの素材、並びにそれらの製造方法
JP3269479B2 (ja) 固体高分子型燃料電池セパレータ用フェライト系ステンレス鋼
JP5246023B2 (ja) 固体高分子型燃料電池セパレータ用多層ステンレスクラッド鋼板、厚板およびそれらの素材、並びにそれらの製造方法
JP2877020B2 (ja) チタンクラッド薄鋼板の製造方法
JP2000309854A (ja) 通電電気部品用オーステナイト系ステンレス鋼および燃料電池
JP5217755B2 (ja) 燃料電池セパレータ用ステンレス鋼および燃料電池用セパレータ
JP2000303151A (ja) 通電電気部品用フェライト系ステンレス鋼、固体高分子型燃料電池セパレータおよび固体高分子型燃料電池
JP2005317479A (ja) 燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法、燃料電池用金属素材及び燃料電池
JP6460285B1 (ja) 板材および板材の製造方法
JP2012186176A (ja) 燃料電池セパレータ
JP2000265248A (ja) 固体高分子型燃料電池セパレータ用フェライト系ステンレス鋼
JP2005340163A (ja) 燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法、燃料電池用金属素材及び燃料電池
JP2018076552A (ja) ステンレス鋼板
JP2005238307A (ja) ろう付け用複合材及びその製造方法並びにろう付け製品
Chen et al. Engineered Metallic Strip For Fuel Cell Applications

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121009

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121011

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20121011

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20121203

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130312

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130325

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5246023

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160419

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees