JP6419657B2 - 電子部品用パッケージの蓋用素材とその製造方法 - Google Patents

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本発明は、電子部品用パッケージの気密封止として使用される5層クラッド構造を有する蓋用素材とその製造方法に関するものである。
気密封止を必要とする水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等の圧電振動デバイスのような電子部品は、開口するように成形された筐体に収容し、これに蓋体を被せて封止したパッケージとして用いられている。
前記筐体は、アルミナなどのセラミックスを主材として成形され、前記蓋体は、低膨張金属を基材として一方の表面に金属ろうからなるろう材層により形成されるクラッド材が通常使用される。
前記筐体は、前記蓋体との接合面にメタライズ膜を形成させた後、溶接施工する事で蓋体のろう材を溶融して筐体と溶着させる方法が一般的である。
この溶接施工時に、蓋体が加熱されて熱膨張するため、筐体に大きな熱応力が加わる事によって、筐体にクラックが発生するという問題がある。よって、この熱応力を極小にする必要がある。
また、コバールは鉄を40〜75質量%(以下、化学成分の表示の%は、質量%を意味するものとする)含むため、酸素や水分を含む大気環境下で前記電子部品を使用する事は、耐食性の観点から酸化還元反応(腐食)のような問題があるので、コバールの表面を耐食性の良い材料で被覆する等の対策が必要とされる。
例えば、特許文献1に開示されているように、コバール(Fe−29%Ni−17%Co合金)が有する低熱膨張の特性を維持しつつ、その欠点(耐食性)を補填するには、ニッケルを表面に被覆して最外層に銀ろうを重ねてクラッド化し、筐体との接合性を向上させたクラッド材料が存在する。
特許文献1には、最外層(第1層)にニッケル、次層(第2層)に低熱膨張金属、第3層にニッケル、第4層に銅、第5層に銀ろうとした構成の5層クラッド材が開示されている。しかし、この5層クラッド材を圧延法により製造する具体的な開示は、特許文献1にはない。
また、特許文献2には、コバールを基材層とした4層クラッド材の圧延法による製造方法と、その製造過程において圧接工程の後に380〜590℃の拡散焼鈍工程を必須要件とした技術が開示されている。
一方、電子部品用パッケージに用いられる蓋用素材は、溶接施工時の筐体への熱応力が小さいことの他、圧延法によるクラッド材製造において必要となる熱処理(拡散焼鈍)の際、銀ろう層表面に発生する膨れが無い事が要求されている。
前記膨れは、銀ろう層と基材層の接合界面に発生するボイドであって、該当部位は接合界面に空隙が存在しており未着の状態にある。よって、蓋体と筐体の溶着部に膨れが存在すると、溶接施工後に銀ろう層と基材層の間からリークが生じ、気密性を正常に保つ事ができない問題がある。
したがって、これら諸要求に対応できる特性を兼ね備えた蓋用素材およびその製造方法の開発が急務であった。
特開2003−158211号公報 特許第3850787号公報
近年、電子部品の精度の向上がより一層求められると伴に、小型化および低背化が進んでいる。電子部品用パッケージの容体であるセラミックスや蓋体素材であるクラッド材においても、薄肉化の要求に応えるための素材開発が望まれているが、薄くなればなるほど溶接施工時における蓋体の熱応力の発生およびクラッド材製造時の拡散焼鈍中に発生する銀ろう表面の膨れが発生し易いといった傾向があるため、これらの課題を解決する必要があった。
前記溶接施工時において、蓋体の厚みが薄くなるほど蓋体全面に熱が伝わり易くなり高温となるため、蓋体の熱膨張が進んで熱応力が大きくなる。さらに、筐体であるセラミックスも薄肉化されているため、蓋体の熱応力による変形によって筐体にクラックが入り易くなる。
よって、蓋体には熱膨張係数が小さい低膨張金属が使用されるが、銀ろうと組み合わせてクラッド化した場合、銀ろうの熱膨張係数が31.0〜35.0×10−6/℃と高いことから、クラッド材全体の熱膨張係数は上昇する傾向にある。このことからも、クラッド材全体の熱膨張係数を低減し、いかに筐体であるセラミックスの熱膨張係数に近付けられるかが課題であった。
さらに、クラッド材の各層間の熱膨張差を考慮した場合、銀ろうとコバール(「KOV」とも表記する。)の熱膨張差が極めて大きいため、溶接などの加熱および冷却の際に、銀ろうとコバールの層間に非常に大きな熱応力が働くことになる。特に電子部品用パッケージの気密封止溶接においては、蓋体と筐体の溶接後の冷却の際に、銀ろうが大きく収縮するため、銀ろう溶着部とコバールの層間に大きな熱応力が発生し、層間においてクラックが生じることがある。さらに、銀ろうとコバールの層間の熱応力が極めて過大の場合には、筐体であるセラミックスにも影響を及ぼし、セラミックスにクラックが生じることもある。
前記膨れについては、銀ろう層の厚みが薄いほど発生し易い。この膨れは、クラッド材製造過程における圧接後の熱処理中に、銀ろう層と基材層の間に発生するボイドによるものだが、銀ろう層の厚みが薄くなるほど層としての強度が低下するため、ボイドの発生と成長を抑制する事ができず、銀ろう層が凸状に塑性変形して表面に盛り上がるように膨れるといった現象である。
このボイドの発生原因は、銀ろうと異種金属を圧接して熱処理を行う過程において、接合界面にカーケンドール効果が生じること、圧接前の各々のクラッド素材において、合わせ面の表面に存在する水分、酸化皮膜、素材中の固溶している酸素量および水素量に起因するガスの発生によるものである。
しかし、従来の圧延法によるクラッド材製造では、銀ろうを圧接した後に350℃以上の熱処理を行い、接合界面の原子拡散を促進させて接合強度を向上させることが多く、特許文献2のように、膨れ部の面積割合を0.1%以下に抑制できる製造方法について開示はされているが、膨れを全く発生させないための製造方法については、まだ確立されていないのが現状である。
そこで、本発明では、銀ろうを圧延により基材に圧接した後の熱処理を省いて膨れを発生し難くし、かつクラッド材の接合界面の密着性に優れた電子部品用パッケージの蓋用素材および製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行い、電子部品用パッケージの蓋用素材とその製造方法に関し、以下の構成からなる発明を完成させた。
[適用例1] 電子部品用パッケージの蓋に用いられる5層クラッド構造を有する素材の製造方法において、前記5層クラッド構造は順に、第1層材をニッケル、第2層材を第1層材よりも熱膨張係数が低い金属、第3層材をニッケル、第4層材を銅、第5層材を銀ろう、とからなり、各層厚は、第1層材が2〜16μm、第2層材が17〜52μm、第3層材が2〜16μm、第4層材が11〜40μm及び第5層材が4〜15μm、の範囲内であり、前記製造方法は、第1の冷間圧延工程と、熱処理工程と、第2の冷間圧延工程とをこの順序で有し、前記第1の冷間圧延工程にて、圧下率が30〜90%で前記第1層材から前記第3層材を有する3層クラッド材を圧延し、前記熱処理工程にて、前記3層クラッド材を600〜1400℃の温度条件で熱処理し、前記第2の冷間圧延工程にて、累積圧下率が85%以上で前記第4層材を芯材とし前記3層クラッド材と前記第5層材を外層材として複数回の圧延をする、ことを特徴とする5層クラッド構造を有する電子部品用パッケージの蓋用素材の製造方法。
[適用例2] 前記第2層材は、コバルト含有量が10〜25質量%、ニッケル含有量が25〜35質量%、残部が鉄およびこれら以外の不純物であることを特徴とする前記[適用例1]に記載の5層クラッド構造を有する電子部品用パッケージの蓋用素材の製造方法。
[適用例3] 前記[適用例1]または[適用例2]に記載の製造方法により製造された5層クラッド構造を有する電子部品用パッケージの蓋用素材。
[適用例1]に係る発明によれば、クラッド材製造において、銀ろうを圧接後に350℃以上の熱処理を省略することで膨れを発生し難く、かつクラッド材の接合界面の密着性に優れた電子部品用パッケージの蓋用素材を得ることができる。
さらに、本製造方法によりクラッド材の接合界面の密着性に優れ、かつ膨れが発生し難く、溶接施工時の筐体への熱応力を低下させた5層クラッド構造の蓋用素材を得ることができる。
[適用例2]に係る発明によれば、第2層材の金属を適正な成分とすることにより、前記溶接施工時の筐体への熱応力をさらに小さくすることが可能となる。
[適用例3]に係る発明によれば、前記溶接施工時の筐体への熱応力が小さく、クラッド材の接合界面の密着性に優れ、かつ膨れが発生し難くい電子部品用パッケージの蓋用素材を用いることから、電子部品用パッケージは、気密性を高く保つことができる。
本発明による製造工程例を示す図である。 膨れ面積率と熱処理温度の関係を示す図である。
以下、本発明に係る電子部品用パッケージの蓋用素材とその製造方法の一実施形態を説明する。
前記蓋用素材は、上記課題を解決するために、クラッド材の構成をコバール、ニッケル、銅、銀ろうを選定した。また、製造方法においてもクラッド材の接合強度の向上に不可欠な熱処理を行わない方法にて、5層構造のクラッド材の製造を検討した。
まず、クラッド材全体の熱膨張係数を低減し、いかに筐体であるセラミックスの熱膨張係数に近づけるという課題に対しては、低熱膨張金属として一般的に使用されるコバールを、冷間圧延加工によって熱膨張係数をさらに低下させるという試みを行った。
その結果、通常のコバールの熱膨張係数は4.5〜6.0×10−6/℃であるが、累積圧下率を85%以上の冷間圧延加工を施すことにより3.0〜4.4×10−6/℃にまで下げられることを見出した。これは、コバールが鉄を40〜75%と多く含有するため、冷間圧延加工により加工誘起マルテンサイト相が生成し熱膨張係数が低下することが理由である。
2つめの課題である、銀ろうとコバールの層間の熱膨張差による熱応力の発生については、クラッド構成を第1層材にニッケル、第2層材にコバール、第3層材にニッケル、第4層材に銅、第5層材に銀ろうの組合せとすることにより解決を図った。ここで、第1層材であるニッケルは、耐食性の役割を果たすためだけにコバールの片面に被覆する。前記熱膨張差の緩和は、第3層材であるニッケルと第4層材である銅が機能する。前記ニッケルと銅を使用する目的は、熱膨張係数が銀ろうとコバールの中間であるため、銀ろうとコバールの層間に挿入することで熱膨張の差を段階的に軽減させるためである。
これにより、蓋体と熱膨張係数が6.0〜8.0×10−6/℃である筐体を溶接後に冷却される際、銀ろう層は熱膨張係数15.0〜20.0×10−6/℃である銅層と接合されていることから、筐体と銀ろうの溶着部に対する銅の熱膨張差がコバールよりも小さいため、層間の熱応力が小さくなる。さらに、銅層は熱膨張係数12.0〜14.0×10−6/℃のニッケルと接合されているため、銅とニッケルの層間の熱膨張差も小さく、熱応力の発生をさらに小さくすることが可能となる。
これら熱応力の緩和に必要なクラッド材の各厚さは、前記第1層材;2〜16μm、第2層材;17〜52μm、第3層材;2〜16μmの範囲であることが適正であることを見出した。
3つめの課題である、銀ろう層表面に発生する膨れについては、銀ろうの圧接後に熱処理を行わない方法で解決を試みた。従来の圧延法によるクラッド材製造では、銀ろうを圧接した後に350℃以上の熱処理を行い、接合界面の原子拡散を促進させて接合強度を向上させることが多く、この熱処理を行わないとクラッド材の接合強度を向上できず、プレスや曲げなどの二次加工においてクラッド層間の剥離が懸念される。
しかし、膨れ発生の原因工程である熱処理を省略できれば、膨れの問題は解決できる。そこで、本発明者等は、銀ろうを貼り合わせる冷間圧延工程の累積圧下率を85%以上とすることにより、熱処理工程を省略してもクラッド材の接合強度を向上できる製造方法を見出した。
次に、本発明に係るクラッド材の組立素材について説明する。本クラッド材は、第1層材がニッケル、第2層材が第1層材よりも熱膨張係数が低い金属、第3層材がニッケル、第4層材が銅、第5層材が銀ろうからなる5層構造である。
A) 前記ニッケルは、ニッケル含有量が99.5%以上であることが耐食性の観点から好ましい。ここで耐食性とは、酸素や水素を含む大気環境下で腐食しないことをいう。
B) 前記第1層材よりも熱膨張係数が低い金属は、32Ni、36Ni、42Ni、46Ni、コバールなどが存在するが、ニッケルは鉄に比べて高価であり建値変動に左右されることから、低ニッケル合金であるコバールの使用が好ましい。また本発明において、コバールは冷間圧延加工によって熱膨張係数が3.0〜4.4×10−6/℃にまで下がるのが明らかになったことにより、クラッド材全体とセラミックスとの熱膨張差を軽減させることができた。電子部材用パッケージの筐体であるセラミックスの熱膨張係数は6.0〜8.0×10−6/℃であるので、蓋用素材であるクラッド材全体の熱膨張係数は、極力これに近似することが好ましい。本発明において、前記第1層材よりも熱膨張係数が低い金属に必要な熱膨張係数としては、温度30〜400℃における熱膨張率が1.0〜6.0×10−6/℃であることを指し、この範囲である36Ni(0.5〜2.0×10−6/℃)も使用できる。好ましくは温度30〜400℃における熱膨張率が3.0〜4.4×10−6/℃である。コバールの化学組成は、コバルト10〜25%、ニッケルが25〜35%、残部が鉄およびこれら以外に不可避的に存在してしまう不純物(以下、不可避的不純物と称する)である。
C) 前記銅は、規格C1020(銅含有量99.96%、残部不可避的不純物)、C1220(銅含有量99.9%、P含有量0.028%残部不可避的不純物)およびC2680(銅含有量64%、亜鉛含有量35%残部不可避的不純物)が挙げられ、いずれの規格の銅および銅合金も本発明に用いることができる。
D) 前記銀ろうは、銀含有量が50〜80%、銅含有量が20〜50%であることが好ましい。この範囲の組成であれば、ろう材が完全に溶融する温度(液相線)が850℃以下であることから、溶接施工時の温度を780℃〜850℃の低い温度で溶接することができる。850℃を超える温度での溶接は、蓋体への熱負荷が大きくなって熱膨張が促進されることから、筐体に対する熱応力が大きくなる。銀ろうの組成として、特に好ましくは、銀含有量が70〜75%、銅含有量が25〜30%である。
E) 次に、本発明に係る5層クラッド材の製造方法について、図1を用いて工程順に説明する。
E−1) まず、本発明は5層構造のクラッド材の製造方法として圧延法を採用した。クラッド材の各層の板厚比率を制御するのに適した方法だからである。
第1の冷間圧延工程(b)で圧接する素材の第1層材(ニッケル)、第2層材(第1層材よりも熱膨張係数が低い金属)、第3層材(ニッケル)の表面を活性化させるため、前処理工程(a)において常法に従いブラッシング処理等を素材表面の全面について行う。各素材の表面を活性化させる処理であれば酸洗のような化学的処理、グラインダ、ブラストのような研磨、研削の他の機械的処理を行うことができる。
第1の冷間圧延工程(b)は、この前処理工程(a)の処理を行った後12時間を経過する前に行うことが好ましい。12時間を経過した後では、次工程の第1の冷間圧延(b)後のクラッド材において接合界面の密着性が低下することがあるからである。
次に第1の冷間圧延工程(b)にて、前記第1層材と、第2層材と、第3層材とを機械的物理的に密着させて3層クラッド材を製造する。この際の圧下率は30〜90%で行う。圧下率が30%未満では、接合が十分に行われない。90%を超えると圧延時に耳割れが生じ圧延は困難となる。ここで、耳割れとは、圧延材の板幅方向のエッジ端部寄りの板材の表面に発生する割れのことである。従って、第1の冷間圧延工程(b)での圧下率は30〜90%の範囲とした。また、圧延の回数は1または2以上の複数回の圧延を行うことができるが、1〜3回が好ましい。
第1の冷間圧延工程(b)で圧延されたクラッド材は、通常は巻取機(図示せず)により巻取られる。
E−2) 第1の冷間圧延工程(b)の後は、熱処理工程(c)に供することが必要である。この熱処理工程(c)は、クラッド材の接合界面における、金属原子の相互拡散を目的としている。これにより、クラッド材の接合界面は強固に結合される。
本発明において熱処理工程(c)は、クラッド材の温度を600〜1400℃の範囲で加熱することにより行い、熱処理炉はバッチ式であっても連続式熱処理炉であっても良い。
温度が600℃未満では、クラッド材の接合界面での相互拡散が生じ難く、十分な接合強度が得られなくなることがある。また、1400℃を超えるとコバールの融点が1450℃であるため、溶融する危険性がある。
加熱時間は特に制限はないが、1分未満では原子拡散の効果がえられず、10分を超えると生産性が低下することから、1〜10分の範囲であることが好ましい。
E−3) 第2の冷間圧延工程(e)で圧接する素材の銅、銀ろう、第1の冷間圧延工程(b)で得た3層クラッド材の表面を活性化させるため、前処理工程(d)において常法に従いブラッシング処理等を素材表面の全面について行う。各素材の表面を活性化させる処理であれば酸洗のような化学的処理、グラインダ、ブラストのような研磨、研削の他の機械的処理を行うことができる。
E−4) 第2の冷間圧延工程(e)は、この前処理工程(d)の処理を行った後12時間を経過する前に行うことが好ましい。12時間を経過した後では、次工程の第2の冷間圧延工程(e)後のクラッド材において接合界面の密着性が低下することがあるからである。
次に、第1層材から第3層材を有する3層クラッド材、第4層材を銅、第5層材を銀ろうとし、第2の冷間圧延工程(e)にて機械的物理的に密着させて5層クラッド材を製造する。ここで最も重要なことは、第2の冷間圧延以降の累積圧下率が85%以上となるよう選定することである。このため、第2の冷間圧延(e)工程は複数回の圧延となる。好ましくは5〜10回で行うことが好ましい。これにより、クラッド材接合界面の相互拡散を目的とした熱処理工程がなくてもクラッド層間の密着性を向上させることができ、本熱処理工程を省略することで前記膨れ発生の問題を解決できる。
前記クラッド層間の密着の向上は、接合界面の新生面同士の接合割合(接合面積)が増加することによるもので、累積圧下率が高ければ高いほど接合界面の加工硬化層が分断されて新生面の面積が増加する。前記新生面同士の接合強度は非常に強固なもので、前記90度繰り返し曲げ試験においても、接合部の剥離は確認されていない。よって、累積圧下率が85%未満では、クラッド材の接合強度が弱いため、後述する90度繰り返し曲げ試験において接合部の剥離が確認されている。
累積圧下率として、好ましくは87%以上であり、90%を超えると圧延時に耳割れが生じ圧延は困難となる。ここでいう累積圧下率は、以下のように計算できる。
{(“第2の冷間圧延前の各素材の合計板厚”-“圧延後の板厚”)÷“第2の冷間圧延前の各素材の合計板厚”}×100
第2の冷間圧延工程(e)後、コイル巻取機(図示せず)によりコイル状に巻取られる。その後、必要に応じてスリット工程(図示せず)し、板幅方向に分割裁断して出荷する。
第1及び第2の冷間圧延工程において加熱は一切行わず、クラッド材の温度は塑性加工による加工発熱のみ温度上昇で室温〜200℃の範囲で行うことが好ましい。さらに好ましくは、室温〜100℃の範囲である。また、第1及び第2の冷間圧延工程で供される冷間圧延機の種類は特に限定はないが、板幅方向の圧下力分布や板厚プロフィールが均一な圧延機が選ばれる。
F) 第2の冷間圧延工程(e)後の各層の厚みは、以下の範囲とする。
第1層材及び第3層材のニッケルの層厚は2〜16μmとする。2μm未満では、ニッケル層が薄いために強度が弱く、圧延時のコバールの伸びに追従できずにニッケル層が割れることがある。また、16μmを超えると、溶接施工後の冷却において、筐体と銀ろうの溶着部に対する熱応力が大きくなり、クラッド層間にクラックが生じることがある。
第2層材の第1層材よりも熱膨張係数が低い金属は、17〜52μmとする。17μm未満では、クラッド材全体の熱膨張係数が上昇し、溶接施工時に容体に対する熱応力が大きくなる。また、52μmを超えると、第2層材と銀ろう層の熱膨張差が拡大する傾向にあるため、溶接施工後の冷却において、容体と銀ろうの溶着部に対する熱応力が大きくなる。第2層材の厚みとして、さらに好ましくは20〜45μmとする。
第4層材の銅の層厚は、11〜40μmとする。層厚がこの範囲を外れると、第2層材と銀ろう層の熱膨張差が拡大する傾向にあるため、溶接施工後の冷却において、筐体と銀ろうの溶着部に対する熱応力が大きくなる。
第5層材の銀ろう材の層厚は、4〜15μmとする。4μm未満では、溶接施工時に銀ろう材の溶融量が少ないために十分な溶着ができなくなる。また、層厚が15μmを超えるとクラッド材全体の熱膨張係数が上昇し、溶接施工時に筐体に対する熱応力が大きくなる。従って銀ろう材の層厚は、4〜15μmとする。さらに好ましくは、6〜13μmである。各層をこのような皮膜厚さとすることにより、溶接施工後の冷却において、筐体と銀ろうの溶着部に対する熱応力を低減できる。
本発明に係る製造方法において、図2に第2の冷間圧延工程後に本発明に係る製造方法である熱処理無しの場合、および100〜800℃の温度範囲で熱処理を行なった場合の、銀ろう層表面の膨れ発生率を調査した結果を示す。350℃を超えると、銀ろうと銅の接合界面にボイドが発生しやすくなる。
ここで、膨れの発生率は、寸法30mm×150mmの試験片を倍率10倍の実体顕微鏡にて観察して求めた。なお、真上から観察した膨れの形状は、真円と限らず楕円であったりするので、(膨れ最大直径÷2)×(膨れ最小直径÷2)×3.14にて膨れ1個の面積を算出した。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
5層クラッド材の各層の最終板厚および製造条件に対する耐食性や溶接施工時の特性について表1に示す。なお、各層のクラッド素材は、上述した成分範囲の材料を用いた。
各層の板厚測定は、5層クラッド材の板厚方向の断面を研磨した後、光学顕微鏡により観察し測定して求めた。
なお、ここでの接合強度の評価は、JIS Z 2248に規定する曲げ試験において、90度曲げ(押金具の先端部の半径R=0.4mm)試験を破断するまで繰り返し曲げを行い、曲げ破断面を観察して、その破断面が接合部で剥離していない場合を○、破断している場合を×としている。
耐食性の評価は、JIS Z 2371に規定する塩水噴霧試験において、寸法50mm×100mmの試験片を支持角度45°で24時間実施し、試験片表面に錆が発生していない場合を○、発生している場合を×としている。
溶着性の評価は、蓋体と筐体との封止をシーム溶接機にて行い、その際の溶接温度を780℃以上で蓋体一辺当たりの溶接時間を1秒間とし、シーム溶接施工後に蓋体と筐体の間からリークが生じた場合を×、生じない場合を○としている。
筐体割れの有無は、前記シーム溶接施工後に筐体であるセラミックスに割れ(クラック)が発生しているかを光学顕微鏡により観察した。
Figure 0006419657
表1において、No.36は第1の冷間圧延工程の圧下率が低いため、熱処理工程前におけるクラッド材の接合が十分ではなかった。
No.35は熱処理工程の温度が低いため、接合強度が弱く、No.34は、第1層材であるニッケルの厚みが薄いことで表面に割れが生じ、耐食性が低下する状況となった。
また、No.25およびNo.27〜33は、クラッド材の各層の板厚が、溶接施工時の筐体に対する熱応力の緩和に必要な板厚範囲でないことから、溶接施工時に筐体が割れる結果となった。
No.26は、銀ろう層の厚みが薄いため、溶接施工時に銀ろう材の溶融量が少なく、十分な融着ができなかった。
No.3、6、9、12、15は、第2の冷間圧延工程後に355℃の熱処理を行ったため、銀ろう層表面に膨れが発生し、No.1−2、4−5は第2の冷間圧延工程の累積圧下率が85%未満であることから、クラッド材の接合強度が不十分という結果となった。
No.37は、第2の冷間圧延工程後に700℃の熱処理を行い、コバールの完全焼鈍を実施した。膨れは銀ろう層表面に面積率20.12%と非常に多く発生したが、膨れの無い箇所を選定して蓋体とした後、筐体との溶接施工を実施した。その結果、蓋体の熱膨張により筐体に大きな熱応力が加わったため筐体割れが生じた。これは、コバールが完全焼鈍により熱膨張係数4.5〜6.0×10−6/℃の範囲に回復したため、クラッド材全体の熱膨張係数が上昇したことによるものといえる。
これに対して本発明例は、銀ろうを圧接した後の熱処理を省いて膨れを全く発生させずに、かつクラッド材の接合界面の密着性に優れた電子部品用パッケージの蓋用素材を製造できることを確認した。また、これを用いた電子部品用パッケージの蓋体素材は、溶接施工時の筐体への熱応力が小さく、クラッド層間のボイドが無いことから気密性を高く保つことができ、前記蓋体素材として特性を満足する製品であることを確認した。
1−1 第1層材(Ni材)
1−2 第3層材(Ni材)
2 第2層材(KOV材)
3 ロール
4 3層クラッド材(Ni−KOV−Ni)
5 第4層材(Cu材)
6 第5層材(Agろう材)
7 5層クラッド材(Ni−KOV−Ni−Cu−Agろう)

Claims (3)

  1. 電子部品用パッケージの蓋に用いられる5層クラッド構造を有する素材の製造方法において、
    前記5層クラッド構造は順に、第1層材をニッケル、第2層材を第1層材よりも熱膨張係数が低い金属、第3層材をニッケル、第4層材を銅、第5層材を銀ろう、とからなり、
    各層厚は、第1層材が2〜16μm、第2層材が17〜52μm、第3層材が2〜16μm、第4層材が11〜40μm及び第5層材が4〜15μm、の範囲内であり、
    前記製造方法は、第1の冷間圧延工程と、熱処理工程と、第2の冷間圧延工程とをこの順序で有し、
    前記第1の冷間圧延工程にて、圧下率が30〜90%で前記第1層材から前記第3層材を有する3層クラッド材を圧延し、
    前記熱処理工程にて、前記3層クラッド材を600〜1400℃の温度条件で熱処理し、
    前記第2の冷間圧延工程にて、累積圧下率が85%以上で前記第4層材を芯材とし前記3層クラッド材と前記第5層材を外層材として複数回の圧延をする、
    ことを特徴とする5層クラッド構造を有する電子部品用パッケージの蓋用素材の製造方法。
  2. 前記第2層材は、コバルト含有量が10〜25質量%、ニッケル含有量が25〜35質量%、の範囲内であり、かつ残部が鉄およびこれら以外の不純物であることを特徴とする請求項1に記載の5層クラッド構造を有する電子部品用パッケージの蓋用素材の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により製造された5層クラッド構造を有する電子部品用パッケージの蓋用素材。
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