JPH06202047A - 眼鏡フレ−ム用複合材 - Google Patents
眼鏡フレ−ム用複合材Info
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- JPH06202047A JPH06202047A JP20963792A JP20963792A JPH06202047A JP H06202047 A JPH06202047 A JP H06202047A JP 20963792 A JP20963792 A JP 20963792A JP 20963792 A JP20963792 A JP 20963792A JP H06202047 A JPH06202047 A JP H06202047A
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- brazing
- composite material
- rim
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 軽量であって耐食性にも優れており、また肌
への馴染み性も良好なTi又はTi合金の特性を生かしつ
つ、ろう付に起因した "リム切れ" を発生することのな
いTi又はTi合金製眼鏡フレ−ム用材料を提供する。 【構成】 眼鏡フレ−ム用材料を、Ti又はTi合金から成
る芯材11と、Tiよりも融点の高い高融点金属から成る中
間材12と、Ti又はTi合金から成る外層材13とによって構
成され、かつ前記各層間が拡散接合されて成る複合材10
構造とする。
への馴染み性も良好なTi又はTi合金の特性を生かしつ
つ、ろう付に起因した "リム切れ" を発生することのな
いTi又はTi合金製眼鏡フレ−ム用材料を提供する。 【構成】 眼鏡フレ−ム用材料を、Ti又はTi合金から成
る芯材11と、Tiよりも融点の高い高融点金属から成る中
間材12と、Ti又はTi合金から成る外層材13とによって構
成され、かつ前記各層間が拡散接合されて成る複合材10
構造とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、軽量であって加工
性,耐食性にも優れ、かつろう付時における材質劣化の
極めて少ない眼鏡フレ−ム用複合材に関するものであ
る。
性,耐食性にも優れ、かつろう付時における材質劣化の
極めて少ない眼鏡フレ−ム用複合材に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、眼鏡フレ−ム用材料とし
ては“メタル(金属)”がその主流を占めるようになっ
てきたが、このようなメタル製眼鏡フレ−ムは、図3の
斜視図で示す如く、レンズを固定するリム部1,1 を連結
するブリッジ部2、リム部1,1 を顔面に保持するテンプ
ル部3,3 、及びリム部1とテンプル部3とを連結する蝶
番4,智5等から構成されるのが一般的である。そし
て、上記眼鏡フレ−ムを製造する場合には、素材線から
スウェ−ジング,圧延或いはプレス等の冷間加工によっ
てリム部1,1 、ブリッジ部2、テンプル部3,3 等を所定
の形状,寸法に成形加工,機械加工した後、これらをろ
う付にて連結し組み立てを行っている。
ては“メタル(金属)”がその主流を占めるようになっ
てきたが、このようなメタル製眼鏡フレ−ムは、図3の
斜視図で示す如く、レンズを固定するリム部1,1 を連結
するブリッジ部2、リム部1,1 を顔面に保持するテンプ
ル部3,3 、及びリム部1とテンプル部3とを連結する蝶
番4,智5等から構成されるのが一般的である。そし
て、上記眼鏡フレ−ムを製造する場合には、素材線から
スウェ−ジング,圧延或いはプレス等の冷間加工によっ
てリム部1,1 、ブリッジ部2、テンプル部3,3 等を所定
の形状,寸法に成形加工,機械加工した後、これらをろ
う付にて連結し組み立てを行っている。
【0003】ところで、最近、金属材料の中でも特にチ
タン(Ti)の軽量性や耐食性が着目されるようになり、Ti
又はTi合金を適用した眼鏡フレ−ム用材料の需要が急増
している。ただ、Ti又はTi合金は他の金属と比べて“ろ
う付性" や "表面処理性" 等の点で劣ることから、眼鏡
フレ−ム用材料として適用する場合には、前記欠点を補
うべく、他の金属と複合させた“複合材”の形態で用い
るのが一般的であった。
タン(Ti)の軽量性や耐食性が着目されるようになり、Ti
又はTi合金を適用した眼鏡フレ−ム用材料の需要が急増
している。ただ、Ti又はTi合金は他の金属と比べて“ろ
う付性" や "表面処理性" 等の点で劣ることから、眼鏡
フレ−ム用材料として適用する場合には、前記欠点を補
うべく、他の金属と複合させた“複合材”の形態で用い
るのが一般的であった。
【0004】そして、これらの複合材としては、例えば
次のようなものが知られている。 a) 特公昭61−40294号公報に記載されている如
き「Ti又はTi合金製の芯材をニッケル(Ni)合金で被覆し
た二層構造の複合材」→これは、Ti又はTi合金製の芯材
に外層材として“前記Ti基金属と調和した加工性を有す
るNi合金”を被覆し、Ti基金属の軽量性とNi合金の優れ
たろう付性,メッキ性,表面光沢とを兼ね備えた材料を
目指したものである。
次のようなものが知られている。 a) 特公昭61−40294号公報に記載されている如
き「Ti又はTi合金製の芯材をニッケル(Ni)合金で被覆し
た二層構造の複合材」→これは、Ti又はTi合金製の芯材
に外層材として“前記Ti基金属と調和した加工性を有す
るNi合金”を被覆し、Ti基金属の軽量性とNi合金の優れ
たろう付性,メッキ性,表面光沢とを兼ね備えた材料を
目指したものである。
【0005】b) 特開昭63−78741号公報に記載
されている如き「Ti又はTi合金製の芯材をニオブ(Nb)か
ら成る中間層を介してNi又はNi合金外層で被覆した三層
構造の複合材」→これは、上述したTi系金属/Ni合金二
層複合材の場合と同様、Ti又はTi合金の軽量性とNi又は
Ni合金の優れたろう付性やメッキ性との兼備を目論んだ
材料であるが、更に、この種の材料に指摘された「熱処
理やろう付時の熱影響で起きるNiの拡散により芯材/外
層界面に金属間化合物の脆弱層が形成される」との不都
合をNb中間層を設けることで防ぎ、界面強度の劣化防止
を図ったものである。
されている如き「Ti又はTi合金製の芯材をニオブ(Nb)か
ら成る中間層を介してNi又はNi合金外層で被覆した三層
構造の複合材」→これは、上述したTi系金属/Ni合金二
層複合材の場合と同様、Ti又はTi合金の軽量性とNi又は
Ni合金の優れたろう付性やメッキ性との兼備を目論んだ
材料であるが、更に、この種の材料に指摘された「熱処
理やろう付時の熱影響で起きるNiの拡散により芯材/外
層界面に金属間化合物の脆弱層が形成される」との不都
合をNb中間層を設けることで防ぎ、界面強度の劣化防止
を図ったものである。
【0006】このように、外層材がNi基合金である複合
材の場合は、通常の銀ろう(ろう付温度:650〜85
0℃)を用いて容易にろう付が行えるので、特殊な技術
が必要であったTi又はTi合金同士のろう付によることな
く眼鏡フレ−ムの組み立てが可能であった。
材の場合は、通常の銀ろう(ろう付温度:650〜85
0℃)を用いて容易にろう付が行えるので、特殊な技術
が必要であったTi又はTi合金同士のろう付によることな
く眼鏡フレ−ムの組み立てが可能であった。
【0007】しかしながら、これら複合材は外層材にNi
含有金属が適用されるので眼鏡フレ−ム用としては比重
が大きくなり、芯材に使用したTiの軽量特性が十分に生
かし切れないという問題がある上、Niが肌に合わずに
“肌荒れ”を起こす場合のあることも指摘されていた。
含有金属が適用されるので眼鏡フレ−ム用としては比重
が大きくなり、芯材に使用したTiの軽量特性が十分に生
かし切れないという問題がある上、Niが肌に合わずに
“肌荒れ”を起こす場合のあることも指摘されていた。
【0008】そこで、ろう付技術や表面処理技術の急速
な進歩により“TiやTi合金同士のろう付”或いは“Ti,
Ti合金の効果的な表面処理”も比較的容易に行えるよう
になったことを背景として、Ti又はTi合金単体の材料同
士をろう付して眼鏡フレ−ムを組み立てる試みがなされ
た。このTi又はTi合金同士のろう付はTi−Cu系,Ti−Cu
−Ni系又はTi−Cu−Ni−Zr系成分のろう材を用いて行な
われるが、その際、ろう付温度は900〜1100℃で
実施される。ところが、ろう付時の温度が上述の如き9
00℃以上の高温になると、Ti又はTi合金製のリム部が
ろう付部付近から破断( "リム切れ" と呼ぶ)する事故
が起きがちであることが明らかとなった。
な進歩により“TiやTi合金同士のろう付”或いは“Ti,
Ti合金の効果的な表面処理”も比較的容易に行えるよう
になったことを背景として、Ti又はTi合金単体の材料同
士をろう付して眼鏡フレ−ムを組み立てる試みがなされ
た。このTi又はTi合金同士のろう付はTi−Cu系,Ti−Cu
−Ni系又はTi−Cu−Ni−Zr系成分のろう材を用いて行な
われるが、その際、ろう付温度は900〜1100℃で
実施される。ところが、ろう付時の温度が上述の如き9
00℃以上の高温になると、Ti又はTi合金製のリム部が
ろう付部付近から破断( "リム切れ" と呼ぶ)する事故
が起きがちであることが明らかとなった。
【0009】もっとも、作業性や仕上がりの点で問題は
あるものの、以前には溶接接合でTi又はTi合金製眼鏡フ
レ−ムの組み立てが行われたこともあったが、この場合
にも高温に加熱された溶接部やその周辺部で強度低下が
生じたことから、その防止のため、強度の高いTi基合金
を芯材としてその表面にTi製鞘材をクラッドした二層構
造の複合材が提案されている(特開昭63−76775
号公報)。そして、この複合材は、ろう付を行った場合
の“ろう付部での強度低下”に対しても抵抗性を有して
いることが認められた。しかし、このような複合材を用
いたとしても、実際にはTi又はTi合金単体の材料で製作
された眼鏡フレ−ムの場合と同様、前記 "リム切れ" の
事故を十分に防止することはできなかった。
あるものの、以前には溶接接合でTi又はTi合金製眼鏡フ
レ−ムの組み立てが行われたこともあったが、この場合
にも高温に加熱された溶接部やその周辺部で強度低下が
生じたことから、その防止のため、強度の高いTi基合金
を芯材としてその表面にTi製鞘材をクラッドした二層構
造の複合材が提案されている(特開昭63−76775
号公報)。そして、この複合材は、ろう付を行った場合
の“ろう付部での強度低下”に対しても抵抗性を有して
いることが認められた。しかし、このような複合材を用
いたとしても、実際にはTi又はTi合金単体の材料で製作
された眼鏡フレ−ムの場合と同様、前記 "リム切れ" の
事故を十分に防止することはできなかった。
【0010】このようなことから、本発明が目的とした
のは、軽量であって耐食性にも優れており、また肌への
馴染み性も良好なTi又はTi合金の特性を生かしつつ、ろ
う付に起因した "リム切れ" を発生することのないTi又
はTi合金製眼鏡フレ−ム用材料を提供することである。
のは、軽量であって耐食性にも優れており、また肌への
馴染み性も良好なTi又はTi合金の特性を生かしつつ、ろ
う付に起因した "リム切れ" を発生することのないTi又
はTi合金製眼鏡フレ−ム用材料を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意研究を行ったところ、Ti又はTi合金製
眼鏡フレ−ムの "リム切れ" は次の2点が主原因となっ
て起きるとの結論に達した。 1) リム加工時にリム線の内部に割れが発生すると、こ
の内部割れを起点として割れが進展する場合があり、こ
れが "リム切れ" にまで達する。 2) ろう付時にろう付部が異常に(1000℃以上に)
加熱される時があり、これによって材料表面に粒界割れ
が発生しその粒界割れ部にろう材が溶け込むと、ろう材
に含まれるCuがTiと共晶反応を起こして(CuとTiとの共
晶反応は875℃で起きる)加速度的に割れが進展し、
これが "リム切れ" にまで達する。そして、この内、前
者(第1の原因)についてはリム線加工工程での軟化熱
処理を適正に調整することで解決できることが分かった
が、後者(第2の原因)については加工条件等の調整の
みで解決できる有効な手段が見つからなかった。
を達成すべく鋭意研究を行ったところ、Ti又はTi合金製
眼鏡フレ−ムの "リム切れ" は次の2点が主原因となっ
て起きるとの結論に達した。 1) リム加工時にリム線の内部に割れが発生すると、こ
の内部割れを起点として割れが進展する場合があり、こ
れが "リム切れ" にまで達する。 2) ろう付時にろう付部が異常に(1000℃以上に)
加熱される時があり、これによって材料表面に粒界割れ
が発生しその粒界割れ部にろう材が溶け込むと、ろう材
に含まれるCuがTiと共晶反応を起こして(CuとTiとの共
晶反応は875℃で起きる)加速度的に割れが進展し、
これが "リム切れ" にまで達する。そして、この内、前
者(第1の原因)についてはリム線加工工程での軟化熱
処理を適正に調整することで解決できることが分かった
が、後者(第2の原因)については加工条件等の調整の
みで解決できる有効な手段が見つからなかった。
【0012】そのため、本発明者等は第2の原因への対
策について検討を続けた結果、「この共晶反応による割
れの進展を抑えるには、眼鏡フレ−ム素材たるTi又はTi
合金材の表層と芯部間に“中間材”として“Tiよりも融
点の高い高融点金属”を介在させておくことが有効であ
る」という知見を得るに至った。
策について検討を続けた結果、「この共晶反応による割
れの進展を抑えるには、眼鏡フレ−ム素材たるTi又はTi
合金材の表層と芯部間に“中間材”として“Tiよりも融
点の高い高融点金属”を介在させておくことが有効であ
る」という知見を得るに至った。
【0013】本発明は、上記知見事項等に基づいて完成
されたものであり、「眼鏡フレ−ム用材料を、 図1とし
て断面図例を示したように、 Ti又はTi合金から成る芯材
11と、 Tiよりも融点の高い高融点金属から成る中間材12
と、 Ti又はTi合金から成る外層材13とによって構成さ
れ、 かつ前記各層間が拡散接合されて成る複合材10とし
た点」に大きな特徴を有している。
されたものであり、「眼鏡フレ−ム用材料を、 図1とし
て断面図例を示したように、 Ti又はTi合金から成る芯材
11と、 Tiよりも融点の高い高融点金属から成る中間材12
と、 Ti又はTi合金から成る外層材13とによって構成さ
れ、 かつ前記各層間が拡散接合されて成る複合材10とし
た点」に大きな特徴を有している。
【0014】ここで、芯材或いは外層材としてのTi又は
Ti合金としては、工業用純Ti、或いは“Tiを主成分とし
Al,V,Mn,Fe,Cu,W,Zr,Sn等の合金成分の1種又
は2種以上を含む合金”を例示することができる。な
お、外層材と芯材との組み合わせは、純Tiと純Ti,Ti合
金とTi合金,純TiとTi合金、又はその逆、更には純Tiと
Ti合金において異なる材質であっても何ら構わないこと
は言うまでもない。また、中間材として用いる高融点金
属は、Tiよりも融点の高い金属(好ましくは融点が20
00℃以上の金属)であれば格別な制限はないが、加工
性を考慮するとNb,モリブデン(Mo)及びタンタル(Ta)が
望ましく、更にTiとの拡散接合界面での接合性や耐食性
等を考慮するとTa,Nbがより望ましいと言える。
Ti合金としては、工業用純Ti、或いは“Tiを主成分とし
Al,V,Mn,Fe,Cu,W,Zr,Sn等の合金成分の1種又
は2種以上を含む合金”を例示することができる。な
お、外層材と芯材との組み合わせは、純Tiと純Ti,Ti合
金とTi合金,純TiとTi合金、又はその逆、更には純Tiと
Ti合金において異なる材質であっても何ら構わないこと
は言うまでもない。また、中間材として用いる高融点金
属は、Tiよりも融点の高い金属(好ましくは融点が20
00℃以上の金属)であれば格別な制限はないが、加工
性を考慮するとNb,モリブデン(Mo)及びタンタル(Ta)が
望ましく、更にTiとの拡散接合界面での接合性や耐食性
等を考慮するとTa,Nbがより望ましいと言える。
【0015】そして、上記複合材は、例えば下記方法に
て製造することができる。即ち、Ti又はTi合金棒材等の
表面に高融点金属(例えばTa)を中間材として被覆し、
これをTi又はTi合金管材等に挿入して複合素材を製作し
た後(後述する図3を参照)、この複合素材を適当な温
度に加熱して熱間圧延又は熱間押出し等の熱間加工を施
し、更に目標とする寸法まで抽伸,伸線等の冷間加工を
施す方法である。
て製造することができる。即ち、Ti又はTi合金棒材等の
表面に高融点金属(例えばTa)を中間材として被覆し、
これをTi又はTi合金管材等に挿入して複合素材を製作し
た後(後述する図3を参照)、この複合素材を適当な温
度に加熱して熱間圧延又は熱間押出し等の熱間加工を施
し、更に目標とする寸法まで抽伸,伸線等の冷間加工を
施す方法である。
【0016】
【作用】さて、眼鏡フレ−ム材としてTi又はTi合金をそ
のまま適用すると“リム切れ”が多発していたが、前述
したように、これはろう付作業時の加熱温度がばらつく
結果として起きると考えられる。つまり、ろう付時の加
熱温度バラツキが異常加熱となって材料表面の粒界割れ
を誘い、この粒界割れ部にろう材が溶け込んでろう材中
のCuと眼鏡フレ−ム材のTiとが共晶反応を起こして割れ
を加速度的に進展させる訳である。それ故、ろう材中の
Cuと眼鏡フレ−ム材のTiとの共晶反応によるこの“割れ
の進展”を如何に抑制できるかが、“リム切れ”発生を
防止する上でのポイントとなる。
のまま適用すると“リム切れ”が多発していたが、前述
したように、これはろう付作業時の加熱温度がばらつく
結果として起きると考えられる。つまり、ろう付時の加
熱温度バラツキが異常加熱となって材料表面の粒界割れ
を誘い、この粒界割れ部にろう材が溶け込んでろう材中
のCuと眼鏡フレ−ム材のTiとが共晶反応を起こして割れ
を加速度的に進展させる訳である。それ故、ろう材中の
Cuと眼鏡フレ−ム材のTiとの共晶反応によるこの“割れ
の進展”を如何に抑制できるかが、“リム切れ”発生を
防止する上でのポイントとなる。
【0017】しかるに、本発明に係る眼鏡フレ−ム用複
合材は、Ti又はTi合金の芯材と外層材との間にTiよりも
融点の高い高融点金属を中間層として介在させ、これら
各層を拡散接合して成るものである。このように、高融
点金属を中間層として介在させておくと、ろう付時の異
常加熱によって発生した割れの進展がこの中間層のとこ
ろで止まり、それを越えての割れ進展が効果的に防止さ
れる。
合材は、Ti又はTi合金の芯材と外層材との間にTiよりも
融点の高い高融点金属を中間層として介在させ、これら
各層を拡散接合して成るものである。このように、高融
点金属を中間層として介在させておくと、ろう付時の異
常加熱によって発生した割れの進展がこの中間層のとこ
ろで止まり、それを越えての割れ進展が効果的に防止さ
れる。
【0018】しかも、この中間層は、非常に薄くても割
れの進展を抑える十分な効果を発揮するのでTi又はTi合
金を適用した眼鏡フレ−ム材の軽量性を損なうことはな
く、また薄い中間層を間に各層が拡散接合によって強固
に接合されているので加工性も良好である。また、肌に
接する外層が肌と良く馴染むTi又はTi合金で構成されて
いるため、本発明材で作られた眼鏡フレ−ムは肌荒れを
起こすことがない上、耐食性にも優れる。
れの進展を抑える十分な効果を発揮するのでTi又はTi合
金を適用した眼鏡フレ−ム材の軽量性を損なうことはな
く、また薄い中間層を間に各層が拡散接合によって強固
に接合されているので加工性も良好である。また、肌に
接する外層が肌と良く馴染むTi又はTi合金で構成されて
いるため、本発明材で作られた眼鏡フレ−ムは肌荒れを
起こすことがない上、耐食性にも優れる。
【0019】続いて、本発明を実施例に基づいて更に詳
しく説明する。
しく説明する。
【実施例】まず、眼鏡フレ−ム用複合材を製造するため
の素材として、外層材用に「純Ti(JIS2種)管」
を、芯材用に「Ti−10%Zr合金丸棒」を、そして中間材
用には「純Ta箔及び薄板」を準備した。そして、機械加
工にて表1に示す寸法に外層材及び芯材を仕上げ、脱脂
・清浄した芯材に脱脂・清浄したTa箔又は薄板を巻き付
け、これを脱脂・清浄した外層材に挿入した後、その両
端に脱脂・清浄した直径:49.9±0.1mm,厚さ:5.0mm の
Ti製円板を嵌め込み、 4.0×10-4Torrの真空チャンバ−
内で外層材とTi製円板とを全周密閉溶接して、長さが5
00mmの4種類の複合素材を組み立てた。図2は、この
複合素材20の組み立て状態を説明する概念図であり、外
層材たる純Ti管21内に、中間材としての純Ta箔又は薄板
22を巻付けたTi−10%Zr合金丸棒23の芯材を挿入し、そ
の両端に円板状のTi製蓋24, 24を溶接して密閉した状況
を示している。
の素材として、外層材用に「純Ti(JIS2種)管」
を、芯材用に「Ti−10%Zr合金丸棒」を、そして中間材
用には「純Ta箔及び薄板」を準備した。そして、機械加
工にて表1に示す寸法に外層材及び芯材を仕上げ、脱脂
・清浄した芯材に脱脂・清浄したTa箔又は薄板を巻き付
け、これを脱脂・清浄した外層材に挿入した後、その両
端に脱脂・清浄した直径:49.9±0.1mm,厚さ:5.0mm の
Ti製円板を嵌め込み、 4.0×10-4Torrの真空チャンバ−
内で外層材とTi製円板とを全周密閉溶接して、長さが5
00mmの4種類の複合素材を組み立てた。図2は、この
複合素材20の組み立て状態を説明する概念図であり、外
層材たる純Ti管21内に、中間材としての純Ta箔又は薄板
22を巻付けたTi−10%Zr合金丸棒23の芯材を挿入し、そ
の両端に円板状のTi製蓋24, 24を溶接して密閉した状況
を示している。
【0020】
【表1】
【0021】次に、これらの複合素材を加熱炉で900
℃に加熱した後、パスライン周りに3個のコ−ン型ロ−
ルを有する傾斜圧延機にて外径21mmφにまで縮径圧延
を施し、各接合面が拡散接合した複合棒材とした。続い
て、これらの複合棒材を矯正機にて矯正した後、センタ
−レスグラインダ−で外削して外径を20mmφに整え
た。そして、冷間減面率75%以下の範囲でのダイス伸
線と550℃の軟化熱処理を繰り返しながら外径を縮径
し、外径:1.8mmφの細径複合線材とした後、更にリム加
工を施してリム線コイルを得た。
℃に加熱した後、パスライン周りに3個のコ−ン型ロ−
ルを有する傾斜圧延機にて外径21mmφにまで縮径圧延
を施し、各接合面が拡散接合した複合棒材とした。続い
て、これらの複合棒材を矯正機にて矯正した後、センタ
−レスグラインダ−で外削して外径を20mmφに整え
た。そして、冷間減面率75%以下の範囲でのダイス伸
線と550℃の軟化熱処理を繰り返しながら外径を縮径
し、外径:1.8mmφの細径複合線材とした後、更にリム加
工を施してリム線コイルを得た。
【0022】ところで、外径が 1.8mmφでの複合線材に
おけるTa中間材の厚さは、表2に示したように、材料N
o.2では 1.5μm厚、材料No.3では 4.4μm厚、材料No.
4では14.6μm厚であった。
おけるTa中間材の厚さは、表2に示したように、材料N
o.2では 1.5μm厚、材料No.3では 4.4μm厚、材料No.
4では14.6μm厚であった。
【0023】
【表2】
【0024】次いで、このようにして得られたリム線コ
イルを用いて眼鏡フレ−ムのリムを各100個製作し、
ろう付テストを行った。この際、ろう材としてはTi−Cu
系成分のものを用い、ろう付温度が1150〜1200
℃となるように制御してろう付けを行った。このテスト
における“ろう付部不良(割れの進展)発生個数”を前
記表2に併せて示した。
イルを用いて眼鏡フレ−ムのリムを各100個製作し、
ろう付テストを行った。この際、ろう材としてはTi−Cu
系成分のものを用い、ろう付温度が1150〜1200
℃となるように制御してろう付けを行った。このテスト
における“ろう付部不良(割れの進展)発生個数”を前
記表2に併せて示した。
【0025】表2に示される結果からも、高融点金属で
あるTaの中間材を用いない場合には95%の率でろう付
不良が発生するのに対して、Taを中間材として介在せし
めることによってその不良率を激減させ得ることが分か
る。そして、Ta層厚が薄い場合にはろう付不良が若干発
生するが、その厚さが或る程度以上になると完全にろう
付不良を抑制できることが分かる。また、リム線の横断
面につき、接合界面全周を電子顕微鏡にて観察を行った
ところ、ボイド等の接合不良は何ら認められなかった。
更に、折り曲げテスト及びペンチによる切断テストを行
ったところ、接合界面での剥離は観察されず、接合界面
の接合強度が優れていることが確認できた。これより、
上述のようにして得られた複合線材は、接合性及び接合
強度にも優れていることが分かる。
あるTaの中間材を用いない場合には95%の率でろう付
不良が発生するのに対して、Taを中間材として介在せし
めることによってその不良率を激減させ得ることが分か
る。そして、Ta層厚が薄い場合にはろう付不良が若干発
生するが、その厚さが或る程度以上になると完全にろう
付不良を抑制できることが分かる。また、リム線の横断
面につき、接合界面全周を電子顕微鏡にて観察を行った
ところ、ボイド等の接合不良は何ら認められなかった。
更に、折り曲げテスト及びペンチによる切断テストを行
ったところ、接合界面での剥離は観察されず、接合界面
の接合強度が優れていることが確認できた。これより、
上述のようにして得られた複合線材は、接合性及び接合
強度にも優れていることが分かる。
【0026】なお、以上は中間材としてTaを適用したも
のの試験例であるが、Taに代えてNbを用いて複合線材を
製作し同様のろう付テストを行ったときも、ほぼ同じ結
果が得られた。
のの試験例であるが、Taに代えてNbを用いて複合線材を
製作し同様のろう付テストを行ったときも、ほぼ同じ結
果が得られた。
【0027】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、軽量であって耐食性や肌への馴染み性にも優れてお
り、また高温加熱に起因する "リム切れ" をも防止した
Ti又はTi合金製眼鏡フレ−ム用材料を提供できるなど、
産業上極めて有用な効果がもたらされる。
ば、軽量であって耐食性や肌への馴染み性にも優れてお
り、また高温加熱に起因する "リム切れ" をも防止した
Ti又はTi合金製眼鏡フレ−ム用材料を提供できるなど、
産業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図1】本発明眼鏡フレ−ム用複合材に係る断面構造例
の説明図である。
の説明図である。
【図2】本発明眼鏡フレ−ム用複合材を製造するために
組み立てられた複合素材例の断面状況説明図である。
組み立てられた複合素材例の断面状況説明図である。
【図3】一般的なメタル製眼鏡フレ−ムの斜視図であ
る。
る。
1 リム部 2 ブリッジ部 3 テンプル部 4 蝶番 5 智 10 複合材 11 芯材 12 中間材 13 外層材 20 複合素材 21 外層材 22 中間材 23 芯材 24 蓋
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来技術とその課題】近年、眼鏡フレ−ム用材料とし
ては“メタル(金属)”がその主流を占めるようになっ
てきたが、このようなメタル製眼鏡フレ−ムは、図1の
斜視図で示す如く、レンズを固定するリム部1,1 を連結
するブリッジ部2、リム部1,1 を顔面に保持するテンプ
ル部3,3 、及びリム部1とテンプル部3とを連結する蝶
番4,智5等から構成されるのが一般的である。そし
て、上記眼鏡フレ−ムを製造する場合には、素材線から
スウェ−ジング,圧延或いはプレス等の冷間加工によっ
てリム部1,1 、ブリッジ部2、テンプル部3,3 等を所定
の形状,寸法に成形加工,機械加工した後、これらをろ
う付にて連結し組み立てを行っている。
ては“メタル(金属)”がその主流を占めるようになっ
てきたが、このようなメタル製眼鏡フレ−ムは、図1の
斜視図で示す如く、レンズを固定するリム部1,1 を連結
するブリッジ部2、リム部1,1 を顔面に保持するテンプ
ル部3,3 、及びリム部1とテンプル部3とを連結する蝶
番4,智5等から構成されるのが一般的である。そし
て、上記眼鏡フレ−ムを製造する場合には、素材線から
スウェ−ジング,圧延或いはプレス等の冷間加工によっ
てリム部1,1 、ブリッジ部2、テンプル部3,3 等を所定
の形状,寸法に成形加工,機械加工した後、これらをろ
う付にて連結し組み立てを行っている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】本発明は、上記知見事項等に基づいて完成
されたものであり、「眼鏡フレ−ム用材料を、 図2とし
て断面図例を示したように、 Ti又はTi合金から成る芯材
11と、 Tiよりも融点の高い高融点金属から成る中間材12
と、 Ti又はTi合金から成る外層材13とによって構成さ
れ、 かつ前記各層間が拡散接合されて成る複合材10とし
た点」に大きな特徴を有している。
されたものであり、「眼鏡フレ−ム用材料を、 図2とし
て断面図例を示したように、 Ti又はTi合金から成る芯材
11と、 Tiよりも融点の高い高融点金属から成る中間材12
と、 Ti又はTi合金から成る外層材13とによって構成さ
れ、 かつ前記各層間が拡散接合されて成る複合材10とし
た点」に大きな特徴を有している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なメタル製眼鏡フレ−ムの斜視図であ
る。
る。
【図2】本発明眼鏡フレ−ム用複合材に係る断面構造例
の説明図である。
の説明図である。
【図3】本発明眼鏡フレ−ム用複合材を製造するために
組み立てられた複合素材例の断面状況説明図である。
組み立てられた複合素材例の断面状況説明図である。
【符号の説明】 1 リム部 2 ブリッジ部 3 テンプル部 4 蝶番 5 智 10 複合材 11 芯材 12 中間材 13 外層材 20 複合素材 21 外層材 22 中間材 23 芯材 24 蓋
Claims (1)
- 【請求項1】 チタン又はチタン合金から成る芯材と、
チタンよりも融点の高い高融点金属から成る中間材と、
チタン又はチタン合金から成る外層材とによって構成さ
れ、かつ前記各層間が拡散接合されて成ることを特徴と
する眼鏡フレ−ム用複合材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20963792A JPH06202047A (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | 眼鏡フレ−ム用複合材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20963792A JPH06202047A (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | 眼鏡フレ−ム用複合材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06202047A true JPH06202047A (ja) | 1994-07-22 |
Family
ID=16576092
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20963792A Pending JPH06202047A (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | 眼鏡フレ−ム用複合材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06202047A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100407620B1 (ko) * | 1999-10-12 | 2003-12-01 | 베르켄호프 게엠베하 | 반제품, 특히 안경테용 와이어 반제품 |
-
1992
- 1992-07-14 JP JP20963792A patent/JPH06202047A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100407620B1 (ko) * | 1999-10-12 | 2003-12-01 | 베르켄호프 게엠베하 | 반제품, 특히 안경테용 와이어 반제품 |
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