JPH06286049A - クラッド線材 - Google Patents

クラッド線材

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JPH06286049A
JPH06286049A JP10051493A JP10051493A JPH06286049A JP H06286049 A JPH06286049 A JP H06286049A JP 10051493 A JP10051493 A JP 10051493A JP 10051493 A JP10051493 A JP 10051493A JP H06286049 A JPH06286049 A JP H06286049A
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Kazuyuki Nakasuji
和行 中筋
昌樹 ▲高▼島
Masaki Takashima
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Sanyo Special Steel Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Sanyo Special Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面に金又は金合金が用いられ、加工性が強
化されたクラッド線材を提供する。 【構成】 形状記憶合金であるNi−Ti系合金製の丸
棒芯素材11が中間材12を介して、金又は金合金製の
外層材14の内面に嵌着され、さらにこれらが低炭素鋼
製の有底円筒形をなす保護材15の内面に嵌着されてい
る。保護材15の開口部に、同材質を電子ビーム溶接に
て固着し、蓋部16を形成して加熱し、次に押出プレス
にて外径が20mmになるように熱間押し出しし、冷間抽伸
と軟化焼鈍とを繰り返し行って外径を8.5mm にする。こ
のクラッド線材の保護材15を溶解除去して金合金層を表
面に露出させ、外径が 1.8mm〜 3.2mmのクラッド線材を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弾力特性,耐食性及び
加工性に優れたクラッド線材に関し、特に、眼鏡フレー
ム,アクセサリー,時計バンド等の装飾品素材として用
いられる金クラッド形状記憶合金に関する。
【0002】
【従来の技術】形状記憶合金は、形状記憶効果,超弾
性,疑弾性挙動等の機能を有し、その開発を含めた幅広
い研究が進められている。一般に、Ni−Ti系合金の
形状記憶合金は、Cu−Zn系合金の形状記憶合金に比
較して、その耐食性,外力,熱に対する回復能力,回復
率,寿命等の面で優れた特性を有しており、特にその耐
食性,超弾力特性に着目し装飾品である眼鏡フレームへ
の適用が試みられている(U.S.Patent 4, 772, 112
)。
【0003】ところが、Ni−Ti系合金は、加工性,
特に冷間加工性に劣っており、また加工中に発生する表
面疵の除去が困難である。このために、美麗な外観を必
要とする眼鏡フレームに適用する場合には、加工工数が
増加し、コストが上昇するという問題があった。
【0004】さらに、Ni−Ti系合金はメッキ性及び
研磨性に劣り、表面処理がうまく行えないという問題が
あり、Niを含有しているために、メッキのような被覆
処理を行わずに直接肌と接触する部位に用いた場合は、
Niアレルギーによる肌荒れを起こす虞れがある。ま
た、Ni−Ti系形状記憶合金は直接ろう付け加工する
ことが困難であるので、シンプルな装飾品には用いられ
ないという問題があった。
【0005】この対策として、本発明者は形状回復性能
及び耐食性を損なうことなくNi−Ti合金の加工性を
向上せしめるクラッド線材を提案している(特開平3─
82775 号公報)。このクラッド線材は、Ni−Ti系の
形状記憶合金に外層材としてTiを被覆したものであ
り、加工性を向上せしめると共に、加工中に発生する表
面疵の除去を容易に行うことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この提案により加工性
は大幅に向上する。しかしながら、眼鏡フレームの部品
には冷間加工度が極めて大きい部位があり、Ni−Ti
系形状記憶合金と外層材との接合強度を超えるような高
加工度の冷間加工を必要とする部位には、以下の理由に
より、このクラッド線材を用いることができないという
問題があった。
【0007】例えば、線材の端面が露出するような眼鏡
フレームのブリッジ及びテンプルにこの線材を用いた場
合は、冷間加工後に、Ni−Ti系の形状記憶合金の芯
材とTiの外層材との接合が破壊され、眼鏡フレームの
外観が悪くなる虞がある。また、使用中の眼鏡の掛け外
しにより眼鏡フレームへ外力が働き、線材の加工途中で
芯材と外層材との剥離が生じていたりすると、この剥離
程度が進展し、フレームが破損する虞がある。
【0008】さらに、眼鏡フレームのろう付部に、芯材
と外層材との接合界面不良部分が存在すると、フレーム
の組立時に例えばボイドのような欠陥を発生する。そし
て、眼鏡使用中にこのボイドを起点として剥離が生じ、
この剥離が進展し、テンプル,ブリッジが連結されてい
るリムの外層材部分が破断して、フレームが破損する虞
がある。
【0009】以上の如く、製品製造のための加工により
芯材と外層材との接合状態が悪い場合には、フレームの
商品価値が低下するだけではなく、眼鏡使用中にフレー
ムが破損する虞があるという問題があった。
【0010】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、芯材が形状記憶合金であり、外層材が金又は
金合金からなり、中間材にTa,Nb又はこれらの合金
を用いることにより、表面が金属光沢を有し、接合界面
の強度が向上して加工性がさらに強化され、研磨,メッ
キ,ろう付け加工等が容易に行えるクラッド線材を提供
すること、また加えて、外層材が金又は金合金からなる
第1層とNi.Ni基合金,Cu,Cu基合金,又はC
o基合金からなる第2層とで構成されることにより、第
1層の使用量を調整できるクラッド線材を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1発明に係るクラッド
線材は、形状記憶合金からなる芯材と、その外周を覆う
金又は金合金からなる外層材とを備え、前記芯材と外層
材との間にTa,Nb又はそれらの合金を介在させてな
ることを特徴とする。
【0012】第2発明に係るクラッド線材は、前記外層
材は、金又は金合金からなる外側の第1層と、Ni,N
i基合金,Cu,Cu基合金又はCo基合金からなる内
側の第2層とで構成してあることを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明のクラッド線材では、形状記憶合金の芯
材の外周にTa又はNbを被着させ、さらにその外周に
外層材として金又は金合金を被着させているので、表面
が金属光沢を有して装飾品に適しており、加工性に優れ
ている。また、芯材と外層材との間にTa,Nb又はそ
れらの合金を介在させているので、芯材と外層材との接
合界面での金属原子の拡散速度を遅くさせ、これにより
接合界面に生成する金属化合物を減少させて、接合界面
における接合強度を向上させる。
【0014】加えて、外層材は第1層である金又は金合
金の内周に、第2層であるNi,Ni基合金,Cu,C
u基合金又はCo基合金のような耐食性のある金属を被
着させているので、外層材の厚みを減少させずに、金又
は金合金の使用量を例えば減らして調整することができ
る。
【0015】
【実施例】以下、本発明をその実施例を示す図面に基づ
き具体的に説明する。図1は、芯材,中間材,外層材及
び保護素材を嵌着した状態の、本発明に係るクラッド線
材用のクラッド素材の縦断面構造図である。図2(a)
は、図1のII−II線での横断面構造図である。クラッド
素材1は、形状記憶合金であるNi−Ti系合金製の丸
棒芯素材11が中間材12を介して、金又は金合金製の
外層材14の内面に嵌着され、さらにこれらが低炭素鋼
製の有底円筒形をなす保護材15の内面に嵌着されてい
る。丸棒芯素材11には、Ni−Ti系合金(47〜60at
om%Ni)を用いる。形状記憶合金にはCu−Zn系合金
も存在するが、汗,化粧品等に対する耐食性、又は軽量
性を考慮して、本実施例ではNi−Ti系合金を用いて
いる。
【0016】このクラッド素材1を所定の真空度に維持
された真空チャンバー内で調整した後、保護材15の開
口部に、同材質を電子ビーム溶接にて固着し、蓋部16
を形成する。このようにして内部が略2〜3×10-4Torr
の高真空状態に保たれたクラッド素材1が形成される。
これを 800℃に加熱し、次に押出プレスにて外径が20mm
になるように熱間押し出しし、冷間抽伸と 600℃の軟化
焼鈍とを繰り返し行って外径を8.5mm にする。このクラ
ッド線材を塩酸槽に浸漬して保護素材14の低炭素鋼を溶
解除去して金合金層を表面に露出させ、さらに、冷間抽
伸及び軟化熱処理を繰り返して外径が 1.8mm〜 3.2mmの
クラッド線材を得る。図2(b) は、このときの構造を示
した模式的断面図である。
【0017】図3は眼鏡フレームの外観斜視図である。
眼鏡フレームは、レンズを保持するリム21及び耳に掛け
るテンプル22から構成されている。図4(a) はリム加工
したクラッド材の構造を示す断面構造図であり、図4
(b) はテンプル加工したクラッド材の構造を示す断面構
造図である。加工されたクラッド素材はロール成形によ
り断面を略台形状に形成され、さらに一つの面の中央に
溝を設けるリム加工が行われる。また、スウェージング
及びプレス成形により断面を偏平な楕円形状に形成さ
れ、さらに一方の側を平坦状にするテンプル加工が行わ
れる。
【0018】次に、本発明による眼鏡フレーム用クラッ
ド材と比較例のクラッド材との、接合状態の良否, 耐食
性の優劣及び冷間加工性の良否を判定, 比較すると共
に、本発明のクラッド材における外層材材料の検討を行
う。本実施例のクラッド材は、丸棒芯素材11のNi−Ti
系合金に、成分組成がNi:51atom%, Ti:49atom%, 外
径55.5mmの形状記憶合金を用い、外層材14は外径70m
m, 肉厚7mmの18Kの金合金を用い、中間材12の材料
は厚み0.1 mmのTa箔,Nb箔又はNb合金箔を用い、
保護材15は外径78mm, 内径70.5mmの低炭素鋼を用い
る。表1は、本発明クラッド材及び従来比較材に使用す
る外層材材料及び中間材材料の組み合わせを示した表で
ある。
【0019】
【表1】
【0020】まず、外層材のクラッド材全体に対する断
面積比率により形状回復性能にどのような差異が生じる
かを試験した。表1に示すNo1である、芯素材11がNi
−Ti系合金, 中間材12がTa、そして外層材14が18
Kの組み合わせで、外層材14の断面比を異ならせてク
ラッド素材を製作する。熱間押し出し後、保護材及び18
Kを外削して18Kの断面積比率が10%, 20%, 30%, 33
%, 35%のクラッド材を得る。これらにダイス伸線, 軟
化焼鈍を繰り返して外径2.5 mmに形成して 600℃で10分
間熱処理してクラッド線材を得た。
【0021】
【表2】
【0022】表2はこのようにして得た5種類のクラッ
ド線材について形状回復性能試験を行った結果を示した
表である。試験は、引張試験機を用いて夫々クラッド線
材を引張り、2%,6%の塑性歪を付与した後、 120℃
に加熱して夫々のクラッド線材について回復率を測定す
る。尚、Ni−Ti系合金単体直径2.5 mmの合金線について
も同様の試験を行っている。
【0023】ここで、形状回復性能を試験した理由は以
下の通りである。形状記憶合金は、形状記憶効果, 超弾
性特性等の機能性を有している。そして、形状記憶合金
は名称通り形状記憶効果があることを最大の特徴として
おり、この効果を有すると同時に超弾性特性を示すもの
である。本発明は形状記憶合金のクラッド線材であり、
形状記憶合金にそれとは異なる金属を接合してなるもの
であるので、単体金属の有している機能特性(形状記憶
効果, 超弾性特性等)を低下させる。従って、クラッド
線材とすることによる前記機能特性の低下の程度が重要
視される。
【0024】そして、装飾品の中でも、眼鏡フレームに
形状記憶合金を適用する場合は、前記機能特性のうち超
弾性特性を利用する。超弾性特性はこれを定量化するこ
とが難しいので、形状回復率で形状記憶効果を確認し、
これによって超弾性特性をも確認している。
【0025】以上の理由により測定した形状回復率の結
果を示した表2から明らかなように、外層材14の18K
の断面積比率とクラッド線材の回復率とは密接な関係に
あり、塑性歪2%を付与した場合の回復率は、前記断面
積比率30%を越えると70〜80%だが、30%以下では90%
以上であることがわかる。
【0026】また、塑性歪6%を付与した場合は前記断
面積比率が30%以下では70%以上の回復率を示し、断面
積比率30%を越えると50〜60%の回復率しか示さない。
これらのことから外層材14の18Kの断面積比率は30%
以下にすることが望ましく、外層材と中間材との総厚み
(t) のクラッド線材の外径(D) に対する比率t/D が、0.
005 〜0.2 であることが好ましいと言える。
【0027】
【表3】
【0028】次に、表1に示す組み合わせによるクラッ
ド材No1〜8を作成し、前述した結果に基づき断面積比
率が20%である外径3.2 mm及び1.8 mmのクラッド線材を
製作する。表3はこれらの線材についての加工性の良
否、外径3.2 mmのクラッド線材についての接合界面にお
ける接合状態の良否、界面における耐食性の優劣を示し
た表である。加工性の良否は、前述したようにクラッド
線材をリム加工又はテンプル加工した後の夫々の接合状
態の良否により判定する。
【0029】また接合状態の良否の判定は接合界面の電
子顕微鏡による観察結果に基づいて行い、耐食性の優劣
の判定は、食塩, 酢酸及び塩化銅を含有する腐食液を夫
々のクラッド線材に所定時間噴霧した後の接合状態の良
否により行う。なお、接合状態及び耐食性に関する試験
は加熱前及び眼鏡フレームへの組立てに必要なろう付け
の際の温度(900℃以上) に到達した後において夫々行っ
ている。
【0030】表3中の◎は電子顕微鏡による2000倍の倍
率での接合界面の観察の結果、欠陥が全く確認されなか
った場合であり、○は数個所の空隙状欠陥、所謂ボイド
の発生が確認された場合、△は多数のボイドが生じてい
る場合、更に×は接合界面に剥離の発生が確認された場
合を夫々示している。
【0031】表3から明らかなようにTaを中間材とする
No1のクラッド線材は全ての試験項目において優良であ
ることがわかる。また、中間材12がNb又はNb合金
であるNo2,3のクラッド線材は界面の接合状態が加熱
前後は優良であり、加熱後においては良好であり、加熱
前の耐食性も良好であった。そしてリム,テンプルへの
加工性も良好である。しかしながら、加熱後に耐食性の
劣化が見られており、これはNb又はNb合金界面に耐
食性に劣る金属間化合物が生成されたためであると考え
られる。
【0032】No2クラッド線材の加熱による影響をさら
に調べるために、加熱温度を変化させ、夫々の温度での
耐食性試験を行った。この結果、加熱温度が 800℃を超
えると耐食性の劣化が著しくなり、この劣化はTiを含
む芯材11と中間材12のNbとの界面において生じて
いる。前述したように眼鏡フレームの組立の際のろう付
けは、ろう付け部近傍の温度が 900 ℃を超える場合が
あり、No2のクラッド線材を眼鏡フレームに適用した場
合は、耐食性の劣化が生じる。
【0033】また上述したように、No2のクラッド線材
を眼鏡フレーム用材料として用いた場合は、ろう付けに
より耐食性が悪化し、長年の使用により美観が損なわれ
る可能性が高いが、ろう付けを行わない装飾品に対して
は、充分な耐食性能を有していると言える。
【0034】一方、中間材材料にNiを用いたNo4のク
ラッド線材は、加熱前は接合状態及び耐食性は良好であ
るが、加熱後は、接合界面にボイドが多数確認され、接
合性及び耐食性に劣ることが判る。さらにリム及びテン
プルに加工したものは、接合界面で剥離が発生し、加工
性が良くなかった。これは接合界面の接合強度が十分で
なく、加工に耐えられないからであると言える。
【0035】また、中間材材料にNi,Znを用いたNo
5,6のクラッド線材は、接合状態,耐食性及び加工性
が全く良くなかった。そして、中間材材料が50%Ag−
50%PdであるNo7のクラッド線材は、接合界面の接合
状態は加熱前で比較的良好であったが、加熱後剥離が認
められ、耐食性も加熱後に劣化が認められている。ま
た、リム,テンプル加工によって、多数のボイドが発生
しており、加工性は良くなかった。
【0036】さらに、中間材を介在しないNo8のクラッ
ド線材は、接合界面の接合状態及び耐食性はNo5,6と
同程度であり、リム,テンプル加工によって剥離が発生
したものもあり、加工性が十分良いとは言い難い。
【0037】以上のことから、No1のクラッド線材は、
眼鏡フレームの各構成部品への加工性、並びにろう付け
後の接合状態及び耐食性が優良であり、眼鏡フレーム用
材料としては勿論、他の装飾品用材料として好適なもの
である。TaはNbに比較して高融点であるため、加熱
の際の接合界面における金属原子の拡散初速度はNbよ
りも遅く、生成される金属間化合物の厚みが薄い。この
ことから、耐食性に関しては中間材12にはNbよりも
Taが好ましいが、ろう付けを行わずに形成される装飾
品に対しては、冷間加工を行った後の接合界面状態が優
良なNo2,3のクラッド線材も、装飾品材料として用い
ることができる。
【0038】なお、本実施例では、中間材にTa,Nb
又はNb−1%Zrを用いているが、これに限るもので
はなく、Ta又はNbを90%以上含有するTa合金又は
Nb合金を用いても良い。
【0039】このように、装飾品としては、種々の冷間
加工が施された部品をろう付けにより組み立てる眼鏡フ
レームのような複雑な形状のものから、冷間加工後に表
面処理して製作されるブレスレットのような比較的簡単
な形状のものまで存在するので、本発明のクラッド線材
は、装飾品の種類,用途に応じて中間材12を選択して
適用することができ、超弾性効果を生かすことにより、
しなやかで体にフィットする装飾品とすることが可能で
ある。
【0040】次に、本発明の第2実施例を示す図面に基
づき具体的に説明する。図5は、本発明の第2実施例の
金クラッド線材用のクラッド素材の構造を示す模式的縦
断面図である。図6(a) は図5のVI−VI線での横断面構
造図である。クラッド素材5は、形状記憶合金であるN
i−Ti系合金製の丸棒芯素材51が中間材52の内面
に嵌着され、これが外層材の第2層である金属製の外層
材53を介して、金又は金合金製の第1層の外層材54
の内面に嵌着され、さらにこれらが低炭素鋼製の有底円
筒形をなす保護材55の内面に嵌着されている。丸棒芯
素材51には、Ni−Ti系合金成分素材がNi:51at
om%,Ti:49atom%,外径が49.9mmのNi−Ti系合
の形状記憶合金を用い、第2層の外層材53には空気中
で錆びない金属である例えば純Ni管で、外径が57.7m
m, 内径50.3mmのものを用いる。そして、金合金製の管
からなる第1層の外層材54には、外径が60mm, 厚みが
0.6mmの75%Au−12.5%Ag−12.5%Cuの18K合金
管を用いる。また、保護材55には外径67.0mm, 内径6
0.5mmの低炭素鋼管を用いる。
【0041】このクラッド素材5を所定の真空度に維持
された真空チャンバー内で調整した後、保護材55の開
口部に、同材質を電子ビーム溶接にて固着し、蓋部56
を形成する。そして、上述の第1実施例と同様にして、
クラッド素材5に冷間抽伸及び軟化熱処理を繰り返し、
外径が 1.8mm〜 3.2mmのクラッド線材を得る。図6(b)
は、このときの構造を示した横断面構造図である。
【0042】このようなクラッド線材をスウェージング
及びプレス成形により、図4(b) に示すように、テンプ
ル加工及びブリッジ加工し、これを用いて眼鏡フレーム
を組み立てた。このテンプル加工及びブリッジ加工の
後、ろう付け部分の接合状態を電子顕微鏡を用いて観察
した結果、各接合界面でボイドのような欠陥は観察され
ず、良好な接合状態であった。
【0043】また、このクラッド線材を用いてブレスレ
ット等の種々の形状の装飾品の加工を行った。その結果
接合界面での剥離等の欠陥は発生せず、良好な加工性を
示した。さらに、第2実施例のTa箔の代わりにNb箔
を用いて金クラッド線材を作製し、ブレスレットのよう
な装飾品に加工した。この結果接合界面での欠陥は発生
せず、良好な加工性を示した。
【0044】以上のことから、眼鏡フレームを含む装飾
品に第2実施例のクラッド線材を用いた場合は、形状記
憶合金材料の特性である超弾性効果を生かすことによ
り、極めてしなやかで、体にフィットする装飾品を形成
でき、第1層の外層材である金又は金合金を薄くして、
コストを低減することができる。また、第2層の外層材
に空気中で錆びない金属を用いているので、眼鏡フレー
ムのテンプル又はブリッジの露出した部分が錆びること
もない。
【0045】なお、第2実施例では、第2層の外層材5
3に純Ni管を用いているが、これに限るものではな
く、Ni基合金,純Cu管,Cu基合金又はCo基合金
を用いても良く、90%Ni−7%Cr−1%AlのNi
基合金,65%Cu−20.5%Ni−4%Sn−4%Pb−
ZnのCu基合金又は41%Co−39.3%Ni−16.8%C
Vr2.5 %MoのCo基合金を用いて、良好な外観の装
飾品が加工された。
【0046】また、本実施例では芯材の形状記憶合金に
Ni−Ti系合金を用いているが、これに限るものでは
なく、Cu−Zn系合金を用いても良い。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、芯材
が形状記憶合金であり、外層材が金又は金合金からな
り、その間ににTa,Nb又はこれらの合金を介在させ
ているので、表面に金属光沢を有し、加工性がさらに強
化され、研磨,メッキ,ろう付け加工等を容易に行え、
眼鏡フレームを含む装飾品の素材として用いることがで
きる。加えて、外層材が、金又は金合金からなる第1層
とNi.Ni基合金,Cu,Cu基合金,又はCo基合
金からなる第2層とで構成されているので、金又は金合
金の使用量を調整できる等、本発明は優れた効果を奏す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のクラッド線材用のクラッ
ド素材の構造を示す模式的縦断面構造図である。
【図2】(a) は図1のII−II線での横断面構造図であ
り、(b) は第1実施例のクラッド線材の横断面構造図で
ある。
【図3】眼鏡フレームの外観斜視図である。
【図4】(a) はリム加工したクラッド材の構造を示す断
面構造図であり、(b) はテンプル加工したクラッド材の
構造を示す断面構造図である。
【図5】本発明の第2実施例のクラッド線材用のクラッ
ド素材の構造を示す模式的縦断面図である。
【図6】(a) は図5のVI−VI線での横断面構造図であ
り、(b) は第2実施例のクラッド線材の横断面構造図で
ある。
【符号の説明】
11,51 芯材 12,52 中間材 14 外層材 53 第2層の外層材 54 第1層の外層材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 形状記憶合金からなる芯材と、その外周
    を覆う金又は金合金からなる外層材とを備え、前記芯材
    と外層材との間にTa,Nb又はそれらの合金を介在さ
    せてなることを特徴とするクラッド線材。
  2. 【請求項2】 前記外層材は、金又は金合金からなる外
    側の第1層と、Ni,Ni基合金,Cu,Cu基合金又
    はCo基合金からなる内側の第2層とで構成してあるこ
    とを特徴とする請求項1記載のクラッド線材。
JP10051493A 1993-04-02 1993-04-02 クラッド線材 Expired - Lifetime JP2818995B2 (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005219478A (ja) * 2004-01-09 2005-08-18 Nippon Steel Corp クラッド板およびその製造方法
JP2011150040A (ja) * 2010-01-20 2011-08-04 Charmant Inc 眼鏡フレーム部材及びその製造方法

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JP2818995B2 (ja) 1998-10-30

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