JP6612255B2 - 羅漢果甘味成分含有組成物の製造方法 - Google Patents

羅漢果甘味成分含有組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、羅漢果甘味成分含有組成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、羅漢果の甘味成分として一般に知られるモグロシド類を高濃度に含み、良好な甘味品質を呈し、抗酸化性などの機能性にも優れた羅漢果甘味成分含有組成物を工業的に効率よく製造する方法に関する。
天然甘味料の1つとして、羅漢果が知られている。羅漢果(Lo Han Kuo、学名;Siraitia grosvenori (Swingle)C.)は、ウリ科(Cucurbitaceae)に属する、つる性の多年生宿根側植物であり、その草丈は5mにも達し、地下部分には塊茎を有する。中国華南地方に分布し、涼しくて昼夜の温度差の大きい霧の多い地方の、柔らかくて腐植質に富んだ山の斜面地などを好んで生育し、中国桂林地の広西チアン族自治区を中心に独占的に栽培されている。日本には羅漢果の生の果実は輸入されておらず、乾燥した羅漢果が輸入されている。
羅漢果は、一般には、乾燥させて砕いたものを煎じて羅漢果茶として飲んだり、羅漢果を水やメタノールなどで抽出したものを料理の甘味料として用いることが多い。また、羅漢果は、気管支炎、へん桃腺炎、咽頭炎、鎮咳、去痰、急性胃炎、便秘などに効能があるため、中国では民間薬用果実として昔より食されてきた。
さらに、近年、羅漢果には、活性酸素(フリーラジカル)を消去する抗酸化作用(老化防止作用、抗ガン作用)や血糖降下作用などの薬理作用があり、高血圧症、糖尿病などの予防・治療に有効であることが次第に明らかにされつつある。
活性酸素は、大気中に含まれる酸素分子がより反応性の高い化合物に変化したものであり、酸素分子が不対電子を捕獲することによって、スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素などに変換されたものの総称である。近年、死因のトップに挙げられるガン・脳卒中・心臓病をはじめ、多くの病気の発生に活性酸素が関与していることが報告されている。一般には活性酸素の酸化力によって体の細胞を傷つけ、病気を引き起こすと考えられている。この活性酸素の1つであるスーパーオキシドを無害の酸素に変換する酵素がスーパーオキシド・ディスムターゼ(SOD)であり、この酵素はスーパーオキシドから酸素分子と過酸化水素への変換を触媒する。
生体の酸化防止能を強化すれば、活性酸素が関与する疾病のリスクを低下できる可能性がある。食品中の有効成分には活性酸素の消去作用(superoxide anion scavenging activity;SOSA)を有するものがあり、高い活性を有する食品素材の開発が活発に展開されている。
そのため、羅漢果は、天然系の甘味料としてだけではなく、健康・機能性食品素材としても注目されている。しかし、現在までに羅漢果の機能性に関する詳しい研究は殆どないのが現状である。
羅漢果の甘味特性は、主として各種のトリテルペン配糖体に由来しており、その中でも特にモグロシドV、モグロシドIV、11−オキソーモグロシドV、及びシアメノシドI(以下、これらを「モグロシド類」と称する。)が羅漢果の主要な甘味成分とされている。羅漢果に含まれる甘味成分であるモグロシド類は、ショ糖の数百倍の甘味強度とショ糖に近い甘味質を有し、同じ天然系の甘味料に属するステビア抽出物や甘草抽出物に比べて総合的に良好な甘味特性を呈するとともに、体内ではエネルギーとして使用されないことから、ダイエット甘味料などとして用いられている。
現在、市場で流通している羅漢果製品としては、概ね3つのタイプ、すなわち、「羅漢果甘味成分をわずかの量しか含まないタイプ」、「加熱処理したタイプ」、「精製処理したタイプ」の製品がある。
前記「羅漢果甘味成分をわずかの量しか含まないタイプ」の羅漢果製品は、微量のモグロシド類しか含まない製品であり、例えば、モグロシド類含量33重量%程度の羅漢果甘味成分含有組成物を0.8重量%程度のエリスリトールなどの糖アルコールに添加したものである。このタイプの場合、通常モグロシド類は製品中に0.264重量%程度しか存在しておらず、これを甘味料として使用した末端食品でのモグロシド類の濃度は5〜20ppm程度になると推定される。そして、このような微量のモグロシド類では、羅漢果による甘味品質向上や機能性を消費者が期待することは難しいと考えられる。
前記「加熱処理したタイプ」の羅漢果製品は、加熱処理を行って調製したものであり、日本国内では主に乾燥果実タイプ又は顆粒タイプで流通している。このタイプの場合、加熱により羅漢果に含まれる蛋白質などの成分が熱変性して茶褐色を呈していることが多く、また、甘味品質や機能性が大幅に劣化していると考えられる。
前記「精製処理タイプ」の羅漢果製品は、モグロシド類含量が約5重量%〜50重量%であり、主に食品添加物として市場に流通しているものである。このタイプの場合、甘味にくせがあり、食品に加えると苦みや漢方薬の臭味のような変な味になる。また、経時的に品質の劣化(苦み、漢方薬の臭味など)を起こすため、使用用途が限定されているのが現状である。これらの原因は、現在の羅漢果製品の製造方法ではモグロシド類含量が約5重量%〜50重量%まで精製した製品しか製造できないため、製品にモグロシド類以外の成分が多量に含まれることによるものと考えられる。
以上のように、現在、甘味料として市場で流通している羅漢果製品はモグロシド類含量がそれほど高くなく、他の成分を多量に含んでいるため、甘味品質や機能性が十分に満足できるものではなく、その結果、羅漢果製品の使用用途も限定されていた。
羅漢果製品は、羅漢果の果実を粉砕した後、通常の抽出及び分離方法を用いて一般に製造される。羅漢果製品の具体的な製造方法としては、例えば、モグロサイドV、モグロサイドIV、11−オキソ−モグロサイドV及びシアメノサイドIの合計含量が、33重量%以上である羅漢果エキスの製造方法として、1)羅漢果の果実をメタノール抽出してメタノールエキスを得る、2)メタノールエキスを水と混合し、N−ヘキサンで脱脂する、3)脱脂後のメタノールエキスをカラムクロマトグラフィーにかけて80%メタノール、100%メタノール、及びアセトンで順次溶出し、粗配糖体画分である80%メタノール画分を得る、4)得られた粗配糖体画分をメタノールに溶解した後、シリカゲルと混合し、乾燥し、次いでこのシリカゲルをクロロホルム−メタノールの混合溶媒で溶出することにより、配糖体画分を得る、5)得られた配糖体画分を液体クロマトグラフィーにかけることにより、さらに高純度の配糖体画分を入手し得る、ことが報告されている(特許文献1)。
また、甘味及び抗酸化作用を有する羅漢果配糖体を含有する抗酸化組成物の製造方法として、特許文献1に記載された方法と同様の方法が報告されている(特許文献2)。
さらには、羅漢果の生果実果汁又は抽出液をペクチナーゼ系酵素、セルラーゼ系酵素、ヘミセルラーゼ系酵素、キシラナーゼ系酵素、プロテアーゼ系酵素及びアミラーゼ系酵素の中から選択された1種以上の酵素で処理す酵素処理後、残存する酵素活性を加熱失活させた後、通常の遠心分離あるいは圧搾ろ過等により不溶物を除去することを特徴とする羅漢果エキスの製造方法が報告されている(特許文献3)。
その他としては、羅漢果成分特有の甘味質を保持して、常温で腐敗しないで容易に保存可能な性質及び飲用に適するマイルドな味質を有していて、しかも、水への分散性及び溶解性に優れている羅漢果粉末の製造方法として、水易溶性化分岐サイクロデキストリン若しくはそれを60重量%以上の含有物からなるサイクロデキストリン1重量部に対して羅漢果抽出物0.2〜2.0重量部の比率で存在する水相を混合攪拌処理する包接化処理工程と、混合攪拌処理した水相から急速乾燥により水分を除去してサイクロデキストリンと羅漢果抽出物との粉末にする乾燥工程からなる方法から構成される製造方法が報告されている(特許文献4)。
特開2001−211854号公報 特開2001−322934号公報 特開平9−234016号公報 特開平9−173006号公報
工業的に生産される従来の羅漢果製品は、上記のとおり、甘味成分であるモグロシド類の含量がそれほど高くなく、他の成分を多量に含んでいるため、甘味品質や機能性が十分ではなく、使用用途範囲も限定されている。そのため、モグロシド類を高濃度に含み、良好な甘味品質を呈し、抗酸化性などの機能性に優れた羅漢果製品の開発が顧客や消費者より強く求められているのが現状である。
そこで、本発明は、モグロシド類を高濃度に含み、良好な甘味品質を呈し、抗酸化性などの機能性にも優れた羅漢果甘味成分含有組成物を工業的に効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため検討したところ、羅漢果製品の甘味品質や機能性の低下を招いている原因は、羅漢果製品に含まれるモグロシド類の含量が低いことだけではなく、そこに含まれる蛋白質及びポリフェノールの含量が多い点にあることが分かった。そこで、モグロシド類の含量を高め、かつ、蛋白質及びポリフェノールの含量を低減させる方法の開発を目標とした。
そのような方法について検討を重ねた結果、実験室レベルではともかく、実製造レベルとなると、現在の羅漢果精製方法の1つである合成吸着樹脂、イオン交換樹脂による精製では、羅漢果の除去目的成分である蛋白質及びポリフェノールが回収目的成分であるモグロシド類と極性(水に溶解する能力)、分子量などの化学的性質が類似しているなどのために、目標とする羅漢果甘味成分含有組成物を得ることは困難であることが判明した。
また、製造レベルでの分子篩による精製物の製造方法として、膜処理や合成樹脂によるゲルクロマトグラフィーが使用されるが、この方法ではモグロシド類と蛋白質及びポリフェノールとの分子量が非常に近い成分のものも多く有り、モグロシド類のみを分離・精製することは不可能であると考えられる。
さらに、酵素処理により除去目的成分の蛋白質を分解した後に精製する方法も検討したが、添加酵素自身が蛋白質であることで、精製物中に蛋白質の混入を招いてしまう結果となり、目的を達成することは困難であった。
しかしながら、本発明者は、さらに鋭意努力し目的を達成するために検討を重ねた結果、羅漢果抽出液に対して、膜処理方法と酵素処理法を組み合わせた固定化酵素膜法を用いて精製することにより、最終製品に酵素自身の蛋白質の混入もなく、除去目的成分である蛋白質、ポリフェノールが効率的に除去され、回収目的成分であるモグロシド類が高度に精製されることを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
羅漢果を水系溶媒で抽出する工程と、
前記抽出工程で得られた羅漢果の抽出液を、蛋白分解酵素を固定化した固定化酵素膜に供給して、該抽出液中の蛋白質を分解しながら、該固定化酵素膜を透過させる工程と、
を含むことを特徴とする、羅漢果甘味成分含有組成物の製造方法である。
また、本発明は上記製造方法によって得ることができる高精製羅漢果甘味成分含有組成物、すなわち、モグロシド類(モグロシドV、モグロシドIV、11−オキソーモグロシドV、シアメノシドI)の含量が70〜98重量%であり、蛋白質及びポリフェノールの総含量が5重量%以下である羅漢果甘味成分含有組成物である。
本発明によれば、モグロシド類を高濃度に含み、蛋白質及びポリフェノールの総含量が著しく低減された羅漢果甘味成分含有組成物を工業的に効率よく製造することができる。その結果、従来の羅漢果甘味成分含有品に比べて、「苦みの除去」、「甘味品質の改善」、「経時的品質劣化の防止」、「機能性の強度アップ」、「使用用途の拡大」を図ることができる。
モグロシド類の添加濃度と520nmにおける吸光度強度の関係を示す図である。 モグロシドVの添加濃度とSOD活性の関係を示す図である。
上述したように、本発明は、羅漢果の抽出液に対し、固定化酵素膜を用いた処理(固定化酵素膜法)を行うことを特徴とする。固定化酵素膜法を用いることにより、モグロシド類と化学的性質が類似している除去目的成分である蛋白質及びポリフェノールが選択的に分離・除去されることは、本発明者が初めて見出したものである。以下、本発明について詳細に説明する。
本発明を実施するには、まず、羅漢果の抽出液を準備する必要がある。この羅漢果の抽出液を得るには、羅漢果を水系溶媒で抽出すればよく、具体的には、羅漢果の果実と水系溶媒を容器に入れ、80〜100℃程度で加熱した後、残渣を除去、濾過することにより調製される。前記水系溶媒としては、水、含水エタノール、含水メタノールなどが例示される。羅漢果の甘味質は収穫時期(完熟度)により大きく異なり、完熟した羅漢果の果実は甘味質が良好であるので完熟果実を用いるのが好ましい。また、羅漢果の果実は乾燥処理を施したものであるか否かは問わないが、未乾燥のものが好ましい。
本発明では、上記のように羅漢果を水系溶媒で抽出した後、得られた抽出液に対し、さらに精製処理を施すことが好ましい。この精製処理を施すことにより、羅漢果抽出液中に含まれる特に糖類、繊維類、灰分及び目的成分であるモグロシド類とは化学的性質の異なる蛋白質とポリフェノールの含量を低減させることができる。その結果、最終製品に含まれるモグロシド類の濃度をより上昇させ、蛋白質とポリフェノールの含量をより低減させることができる。
前記精製処理の方法は、羅漢果抽出液中に含まれるモグロシド類とその他の成分を分離・精製できる方法であれば特に限定はなく、現在の製造レベルでの精製方法である合成吸着樹脂、イオン交換樹脂、膜処理、合成樹脂によるゲルクロマトグラフィー、超臨界処理、疑似移動床法、酵素処理法などの少なくとも1つの方法を用いて行えばよく、それらの方法を組み合わせても構わない。好ましい1例としては、無極性の多孔質合成吸着樹脂、例えば、芳香族系合成吸着樹脂、特にスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着剤であって、細孔半径が260オングストローム程度の非常に大きな細孔を持つもの(例えば、ダイヤイオンHP20、三菱化学社製、商品名)を用いる方法が挙げられ、上記合成吸着樹脂は分子量1000以上のペプチド、蛋白質、ポリフェノール等の吸着精製に適している。この合成吸着樹脂を用いる場合、羅漢果抽出液を通液させた後、吸着したモグロシド類を脱着させるためにエタノール等のアルコール類を通液させる。その結果、目的成分であるモグロシド類が濃縮され、蛋白質、ポリフェノールの含量が低減した羅漢果抽出液が回収される。
次に、上記調製した羅漢果抽出液を、蛋白分解酵素を固定化した固定化酵素膜に供給して、該抽出液中の蛋白質を分解しながら、該固定化酵素膜を透過させる(固定化酵素膜法)。これにより、上記抽出液中に含まれる除去対象成分である蛋白質が選択的に酵素分解される。同時にポリフェノールは膜による分子篩能力によりモグロシド類成分と分離される。
固定化酵素膜法(メンブランリアクター)は、膜処理法と酵素処理法を組み合わせて目的とする分子のみを集める方法であり、膜の表面又は内部に酵素が固定された固定化酵素膜を利用して除去目的成分を酵素分解し分離する方法である。すなわち、膜中の分子の拡散と酵素反応を組み合わせて特定の分子のみを集める固定化酵素膜を用いて該膜の片側の溶液に基質分子を投入すると、基質分子が酵素と反応して生成物が形成され、目的とする分子だけを膜を透過させて取り出す方法である。この方法は羅漢果などの天然物の精製物を製造レベルで製造する方法としては未だ用いられておらず、この点において極めてユニークな方法である。この方法では酵素は膜に固定化されているため、酵素由来の蛋白質が最終製品に混入することがなく、膜によって酵素を反応器内に閉じ込めた状態で目的成分を選択的に分離・精製することが可能である。さらに、固定化酵素膜法には、「特別な処理なしに酵素を固定化できる」、「無菌的操作が可能である(今までのバイオリアクターでは無菌的な処理は不可能であった。)」などの利点もある。
本発明の製造方法において、前記固定化酵素膜に固定させる酵素は蛋白分解酵素(プロテアーゼ)である。蛋白分解酵素としては、セリンプロテアーゼ(アルカリ性プロテアーゼ)、チオールプロテアーゼ、金属プロテアーゼ(中性プロテアーゼ)、アスパラギン酸プロテアーゼ(酸性プロテアーゼ)などが例示されるがこれらに限らない。羅漢果中の蛋白質を効率よく分解する点からは酸性プロテアーゼ(例えば、プロテアーゼM「アマノ」SD、天野エンザイム社製、商品名)を用いるのが好ましい。
固定化酵素膜法で使用される膜は、一般に細孔径の小さいほうから、逆浸透(reverse osmosis、RO)膜、ナノ濾過(nanofiltration、NF)膜、限外濾過(ultrafiltration、UF)膜、精密濾過(microfiltration、MF)膜に分類されるが、本発明の製造方法では、目的成分であるモグロシド類を透過させ、蛋白質やポリフェノールの透過を阻止するために逆浸透膜やナノ濾過膜を用いることが好ましい。特に、細孔による分離(サイズ分離)と膜表面の荷電による静電気的な分離効果が組み合わさり、特徴ある透過性能を発揮することが可能なナノ濾過膜が好ましく、具体的には細孔の大きさが大体1〜50nmで塩類の阻止率が概ね70%以下と低いナノ濾過膜(例えば、NF膜型番;NP010、硫酸ナトリウム阻止率25%〜40%、ダイセン・メンブレン・システム社製)を用いることが好ましい。
前記膜の材質としては、例えば、酢酸セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリアミド、親水化ポリアミド、及び、それらを複合したもの等が挙げられる。好ましくは、芳香族ポリアミド、親水化ポリアミド、及びそれらを複合したものである。
前記膜の形状については、特に限定されず、スパイラル型、中空糸型、円管型、平板型などが挙げられる。これらのうち、大きな膜面積が確保できるスパイラル型や分離精度の高い中空糸型が適していると考えられる。
前記膜の厚さは、特に限定されず、透水性、耐久性等の点から、好ましくは1〜500nm、より好ましくは1〜10nmである。
前記固定化酵素膜を用いた処理の方式としては、拡散方式、限外濾過方式、接触方式の3方式が挙げられる。
前記拡散方式は、羅漢果抽出液をその供給液側から拡散によって膜を透過させて反対側の酵素溶液側で反応させ、酵素分解生成物やモグロシド類は前記羅漢果抽出液の拡散方向とは逆方向に、酵素溶液側から膜を透過して供給液側へ出てくる方式である。この方式の場合、酵素溶液中の酵素と膜が物理吸着等することにより固定化酵素膜が形成されている。
前記限外濾過方式は、羅漢果抽出液に蛋白分解酵素を加えて精製のための試料とし、該試料を加圧により膜を通して供給液側から透過液側へ移動させ、反応器外へ押し出す方式である。この方式の場合、該試料中の酵素と膜が物理吸着等することにより固定化酵素膜が形成されている。この方式は処理効率が高く最も工業的に望ましい操作方式である。ただし、蛋白分解酵素と反応する基質が低分子の場合、供給液の移動方向に濃度分布が存在すると、未反応基質も透過してしまうので、高い反応率を達成するには完全混合槽のようにリサイクルすることが望ましい。また、膜面への高分子酵素のゲル層形成(ダイナミックフィルター)を少なくするためには、原槽側の循環量を高速にする必要がある。この方式に適しているのはスパイラル膜である。なお、この方式には、供給液の流れの方向と同じ方向に圧力をかけるデットエンド方式と、供給液を膜面に対して水平方向に流通させながら供給液の流れの方向とは垂直方向に圧力をかけるクロスフロー形式とがあるが、膜によって阻止された粒子の膜表面への堆積・目詰まりを防ぐ点からクロスフロー形式が好ましい。
前記接触方式は、前記羅漢果抽出液中の水難溶性基質が膜に固定化された酵素よって界面で反応し、酵素分解生成物は界面から液本体へ拡散する方式である。
前記固定化酵素膜を用いた処理において、使用する酵素の量、接触条件(酵素処理条件(反応温度、時間、pH、失活方法等)は、通常、酵素の種類、酵素の至適pH、至適温度範囲、酵素量、酵素反応の進行の程度などを考慮して適宜調整することができ、特に限定されるものではない。なお、蛋白分解酵素は、通常25〜70℃の範囲で用いる。
上記のように固定化酵素膜で処理することにより、モグロシド類を高濃度に含み、蛋白質及びポリフェノールの総含量が著しく低減された羅漢果甘味成分含有組成物を得ることができる。
本発明においては、前記固定化酵素膜で処理した後に、その透過液に対し、該固定化酵素膜で用いた膜よりも細孔径が小さく(1〜2nm程度)、塩類の阻止率等が異なる別の膜を用いて膜処理を行うことにより、該透過液中の蛋白質とポリフェノールを透過除去する工程をさらに含むことが好ましい。この場合、例えば、塩類(硫酸ナトリウム)の阻止率が70%より高いナノ濾過膜(NF膜型番;NP030、ダイセン・メンブレン・システム社製、硫酸ナトリウム阻止率85%〜95%)を用いて処理すると、モグロシド類の透過が阻止され、他の成分が透過除去されて、目的成分であるモグロシド類がさらに濃縮された羅漢果甘味成分含有組成物を得ることができる。
前述した固定化酵素膜による処理、及び該酵素膜処理後の膜処理は適宜繰り返し行うことができる。例えば、第1の反応槽で固定化酵素膜を用いて処理し、その処理液を第2の反応槽に移動させて前記別の膜で膜処理を行い、その後、第2の反応槽から再び第1の反応槽に返液し、連続処理を行う。これにより目的成分であるモグロシド類がさらに濃縮された羅漢果甘味成分含有組成物を得ることができる。
本発明の製造方法により、モグロシド類を高濃度に含み、蛋白質及びポリフェノールの総含量が著しく低減された羅漢果甘味成分含有組成物を工業的レベルで製造することができる。そのような羅漢果甘味成分含有組成物は、例えば、モグロシド類(モグロシドV、モグロシドIV、11−オキソーモグロシドV、シアメノシドI)の含量が70〜98重量%、好ましくは75〜98重量%であり、蛋白質及びポリフェノールの総含量が5重量%以下、好ましくは3重量%以下の組成を有する。この羅漢果甘味成分含有組成物は甘味成分であるモグロシド類の含量が非常に高いだけでなく、蛋白質及びポリフェノールの総含量が極めて低い点で従来の羅漢果甘味成分含有組成物とは異なっており、その結果、前述したような本発明の優れた効果を奏することができる。
本発明において、モグロシド類とは、モグロシドV、モグロシドIV、11−オキソーモグロシドV、シアメノシドIを指す。また、ポリフェノールとは、1分子中にフェノール水酸基を複数個有する化合物を総称するものであり、具体例としては、カテキン類、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン等のフラボノイド類、クロロゲン酸等のフェノール類が例示される。なお、ポリフェノールにモグロシド類は含まれない。
本発明の羅漢果甘味成分含有組成物は、甘味料の有効成分として利用することができ、各種製品に対し甘味を付与又は増強することができる。
本発明の羅漢果甘味成分含有組成物は、抗酸化剤の有効成分として利用することができ、各種製品に対し抗酸化作用を付与又は増強することができる。
本発明の羅漢果甘味成分含有組成物は、飲食品(食品添加物、機能性食品、健康補助食品を含む。)、医薬品、医薬部外品、化粧品などの、甘味及び/又は機能性を必要とするもの全てに利用することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(羅漢果精製品の調製)
羅漢果乾燥原料5000gと水道水50Lをステンレス容器(50L)に入れ、攪拌しながら80℃、2時間加熱処理し、25℃まで冷却した。金網ザル(30メッシュ)にて残渣を取り除き、濾紙フィルター(孔径1μm)にて濾過し抽出液48Lを得た。この抽出液を合成吸着樹脂(三菱化学社製、ダイヤイオンHP20、2000ml)にて処理した。活性化(4%NaOH水2000mlを33ml/minの速度で通液した後、水6000mlで水洗する。次に4%HSO水2000mlを33ml/minの速度で通液した後、水6000mlで水洗した)した前記合成吸着樹脂に前記抽出液50Lを33ml/minの速度で通液し、水6000mlで水洗した。次に羅漢果甘味成分であるモグロシド類成分を溶出するため、40%v/vエタノール4000mlを33ml/minの速度で通液し、溶出液3900mlを得た。得られた溶出液のエタノールを除去するため、真空濃縮(ロータリーエバポレーター)で1100mlの濃縮液を得た。この濃縮液に水道水8850ml及び蛋白分解酵素(プロテアーゼM「アマノ」SD、天野エンザイム社製、商品名)50gを加え、10Lにして、これを固定化酵素膜法による精製のための試料とした。
前記固定化酵素膜法による精製、及びその後に行う固定化酵素膜の透過液の膜処理を、それぞれナノ濾過(NF)膜(ダイセン・メンブレン・システム社製、NF膜型番;NP010、硫酸ナトリウム阻止率25%〜40%、孔径:約50nm)、ナノ濾過(NF)膜(ダイセン・メンブレン・システム社製、NF膜型番;NP030、硫酸ナトリウム阻止率85%〜95%、孔径:約2nm)を用いて限外濾過方式にて行った。NP010膜を配置した反応槽(NP010膜反応槽)に前記試料を添加し、循環圧力0.5MPa、循環流量5L/min、35℃の条件で固定化酵素膜法を行い、当該固定化酵素膜からの透過液をNP030膜を配置した反応槽(NP030膜反応槽)に移送した。移送されたNP010膜透過液は、循環圧力1.0MPa、循環流量5L/min、35℃の条件で膜処理し、NP030膜透過液はNP010膜反応槽に戻してリサイクル運転を24時間行った。この時、両膜の透過液が同じ量になるよう循環圧力を微調整しながら行った。この操作により、NP010膜反応槽側で固定化酵素膜法が効率良く行われ、羅漢果より抽出された蛋白質及びポリフェノールが分離・除去され、低分子蛋白質及び低分子ポリフェノールと羅漢果成分であるモグロシド類がNP010膜を透過したと考えられた。また、当該NP030膜透過液は、NP010膜処理で低分子化された蛋白質及びポリフェノールだけがNP030膜より透過した液であり、モグロシド類はNP030膜を透過せず、したがって、NP030膜反応槽側にモグロシド類が精製されたと考えられた。
次に、NP010膜での処理を停止させ、NP030膜反応槽液にイオン交換水50Lを50ml/minの速度で添加して該反応槽を洗浄し、前記NP030膜反応槽液を外に移した。得られたNP030膜反応槽液を精密ろ過(0.45μm)し、粉末乾燥機(スプレードライヤー、条件入口温度180℃、出口温度80℃)で粉末化して羅漢果精製品を得た。当該羅漢果精製品の成分分析を行ったところ、モグロシド類含量75.5重量%、蛋白質含量1.1重量%、ポリフェノール含量(カテキン換算)(モグロシド類は含まない。以下、同様。)1.2重量%、水分含量0.5重量%であった。一方、前記固定化酵素膜による精製を行う前の試料については、モグロシド類含量45.2重量%、蛋白質含量17.4重量%、ポリフェノール含量3.2重量%、水分含量0.5重量%であった。このことから、前記固定化酵素膜法がモグロシド類の含量を選択的に増加させ、蛋白質及びポリフェノールの含量を低減させるうえで有効に働いたことが認められた。
なお、モグロシド類含量(モグロシドV)の測定は、HPLC分析[分析条件:カラム;SHODEX Asahipak NH2P−50 4E(ID4.6×250mm)、展開溶媒;75%CHCN(isocratic)、流速;0.8ml/min、検出;OD210nm、チャージ量;20μL]によりモグロシドV標準品(和光純薬工業社製)を用いて行った。本実施例では、モグロシド類含量(Mo)は、主甘味成分であるモグロシドVの含量(重量%)を指す(以下の実施例も同様。)。また、蛋白質含量の測定は、ケルダール法により行った。また、ポリフェノール含量の測定は、FOLIN-Denis法(カテキン換算)により行った。
[実施例2]
(甘味品質評価)
実施例1で得られた羅漢果精製品(モグロシド類含量75.5重量%、蛋白質含量1.1重量%、ポリフェノール含量1.2重量%)、市場に流通している羅漢果製品1(モグロシド含量5.0重量%、蛋白質含量9.5重量%、ポリフェノール含量15.4重量%)、羅漢果製品2(モグロシド含量50.2重量%、蛋白質含量17.4重量%、ポリフェノール含量7.8重量%)の3種類の羅漢果甘味成分含有組成物について甘味品質評価試験を行った。各試料をモグロシド類濃度が600ppmになるよう蒸留水で希釈した溶液を使用した。コントロールにはグラニュー糖(ショ糖)10%濃度の水溶液を使用した。甘味品質評価は、各羅漢果試料について、甘味品質の基本性能である、「まろやかさ、後味、苦み、こく、すっきり感、しつこさ、くせ、渋味、刺激」の項目について行った。甘味品質評価は、パネラー9人にて官能検査を行い、各項目について、該グラニュー糖水溶液と比較して各試料を以下の評価基準に基づき1〜5段階で評価した(グラニュー糖10%水溶液の評価点を1とした。)。表1にパネラー9人による全項目の評価結果の平均値と標準偏差値を示す。
<甘味品質の評価基準>
評価点 評価内容
5 : 顕著な変化
4 : 有意な変化
3 : やや変化
2 : わずかに変化
1 : 変化なし
[表1]
Figure 0006612255
(評価)
表1の結果から、本発明に係る羅漢果精製品は良好な甘味品質を有することが分かった。モグロシド類含量が多い製品ほど、前記項目全てについて甘味品質評価が良好となっており、また、標準偏差の値から甘味品質評価のばらつきも少なかったことから、羅漢果製品に含まれるモグロシド類以外の蛋白質やポリフェノールが甘味品質評価を低下させていると考えられた。
[実施例3]
(抗酸化能測定)
羅漢果甘味成分含有組成物中のモグロシド類の濃度と蛋白質及びポリフェノール成分が抗酸化性に与える影響を調べるために、実施例1で得られた羅漢果精製品(モグロシド類含量75.5重量%、蛋白質含量1.1重量%、ポリフェノール含量1.2重量%)、市場に流通している羅漢果製品1(モグロシド含量5.0重量%、蛋白質含量9.5重量%、ポリフェノール含量15.4重量%)、羅漢果製品2(モグロシド含量50.2重量%、蛋白質含量17.4重量%、ポリフェノール含量7.8重量%)の3種類の羅漢果製品の抗酸化能を、食物の抗酸化測定法として一般的であるDPPH法により調べた。
DPPH法に使用した試薬は、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)試薬、Trolox(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸)であり、いずれも和光純薬工業社より購入した。また、試験溶液として、MES緩衝液とDPPH液を調製した。MES緩衝液は、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸1.72gを水40mlに溶解して調製した(200mM、pH6.0)。DPPH液は、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル0.0128gをエタノールにて40mlに希釈(800μM)して調製した。また、標準品であるTroloxは、20ppm溶液を標準試料溶液とした。
次に、前記羅漢果製品の各試料をモグロシド類含量の最終濃度が100ppm、200ppm、300ppmになるように50%エタノールで希釈し、それぞれ1.5mlに調製した。その後、これらにMES緩衝液0.75mlとDPPH液0.75mlを試験管で混合し3mlにした。そして、室温で20分間放置後、分光光度計で520nmにおける吸光度を測定した。各試料を20分室温で放置したときの各濃度における520nmの吸光度変化を図1に示す。
(DPPH法の説明)
DPPHは活性酸素ではないが不対電子を持つラジカルで、活性酸素と同様に他の物質と反応し、酸化させる作用を持っている。DPPHは他の物質を酸化する能力を持っているときは「紫色」を示すが、他の物質を酸化する能力がなくなると「紫色」を失う性質を持っている。つまり、DPPHの紫色を消し去ることのできる物質は、DPPHの酸化能力を奪う=「抗酸化力を持っている」と理解できるので、図1に示したグラフ中の520nmの吸光度強度が低くなればなるほど、添加した物質には抗酸化能が存在することを示す。
(評価)
図1から明らかなように、羅漢果製品1、羅漢果製品2、羅漢果精製品の順に抗酸化性が高くなっていた。また、標準品であるtrolox最終濃度20ppmの時に520nmの吸光度が0.94となったことより、羅漢果精製品はtrolox濃度20ppmにおける抗酸化能力の約2倍を有していることが分かった。一方、これに対して羅漢果製品1及び羅漢果製品2はモグロシド類同濃度での抗酸化能が低く、モグロシド濃度と抗酸化能力が比例していなかった。この結果から、モグロシド類の抗酸化能を蛋白質及びポリフェノールが阻害していると考えられた。
[実施例4]
(SOD活性様作用(活性酸素消去効果)の測定)
実施例1で得られた羅漢果精製品(モグロシド類含量75.5重量%、蛋白質含量1.1重量%、ポリフェノール含量1.2重量%)、市場に流通している羅漢果製品1(モグロシド含量5.0重量%、蛋白質含量9.5重量%、ポリフェノール含量15.4重量%)、羅漢果製品2(モグロシド含量50.2重量%、蛋白質含量17.4重量%、ポリフェノール含量7.8重量%)の3種類の羅漢果製品がSOD(スーパーオキサイド・ディスムターゼ)活性様作用を有するかを、Cayman’s Superoxide Dismurase Assay Kit(Cayman Chemical社製)を用いて調べた。
Cayman’s Superoxide Dismurase Assay Kit(Cayman Chemical社製)では、SODの基質となる活性酸素の発生には、酵素キサンチンオキシダーゼによるキサンチンの酸化反応が利用される。反応溶液には生成した活性酸素を検出するためプローブを共存させておく。プローブとしてテトラゾリウム塩を用い、活性酸素によりホルマザン色素に変換した時の450nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定し、SOD活性を測定する。試料を添加していない時の検量線を作成し、各試料を添加した時の抑制率をその試料が示すSOD(U/ml)で表す。
(検量線の作成)
最終SOD活性が0、0.025、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25U/mlになるよう、緩衝液(Tris−HCl,pH8.0)で調製した溶液(10μl)に、キサンチン、キサンチンオキシダーゼ、及びテトラゾリウム塩を添加して230μlとし、20分間室温にてインキュベートした後、マイクロプレートリーダーで450nmにおける吸光度を測定した。各SOD活性濃度における吸光度のLR(linearized rate;例えばStdBのLR値=Std吸光度÷StdB吸光度)を用い、検量線を作成した。
(試料のSOD活性測定)
各試料(前記3種類の羅漢果製品)のモグロシドVの最終濃度が1、5、10、25、50、100、250、500ppmの濃度になるように緩衝液(Tris−HCl,pH8.0)で調製した溶液に、キサンチン、キサンチンオキシダーゼ、及びテトラゾリウム塩を添加して230μlとし、20分間室温にてインキュベートした後、マイクロプレートリーダーで450nmにおける吸光度を測定した。検量線作成時と同様なLR値用い、検量線の一次方程式より以下の計算式にてSOD(U/ml)を算出し、その結果を図2に示す。
SOD(U/ml)={(サンプルLR−y軸切片)÷傾き×23}、(y=aX+b:a;傾き、b;y軸切片)
(評価)
図2から明らかなように、試料のモグロシドV濃度が高いほど、高いSOD活性様作用を有していた。また、SOD活性様作用を蛋白質及びポリフェノールが阻害していると考えられた。

Claims (4)

  1. 羅漢果を水系溶媒で抽出する工程と、
    前記抽出工程で得られた羅漢果の抽出液を、酸性プロテアーゼを固定化した固定化酵素膜に供給して、該抽出液中の蛋白質を分解しながら、該固定化酵素膜を透過させる工程と、
    を含むことを特徴とする、羅漢果甘味成分含有組成物の製造方法。
  2. 羅漢果を水系溶媒で抽出する工程と、
    前記抽出工程で得られた羅漢果の抽出液に精製処理を行う工程と、
    前記精製工程で得られた羅漢果の抽出液を、酸性プロテアーゼを固定化した固定化酵素膜に供給して、該抽出液中の蛋白質を分解しながら、該固定化酵素膜を透過させる工程と、
    を含むことを特徴とする、羅漢果甘味成分含有組成物の製造方法。
  3. 前記固定化酵素膜の透過液に膜処理を行うことにより、該透過液中の蛋白質とポリフェノールを透過除去する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記固定化酵素膜において、酸性プロテアーゼを固定化する膜が逆浸透膜又はナノ濾過膜である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
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