JP6612141B2 - Rfidタグ内蔵タイヤ - Google Patents
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また、送受信機能及び記憶機能を備えた回路基板とアンテナコイルとを、筒状容器内に収納して一体化したトランスポンダが知られている(例えば、特許文献3参照)。
一方、特許文献3に記載のトランスポンダでは、RFIDチップとアンテナとの接合部は破損しにくいが、通信距離が短いため、大型トラックなどのように複輪の場合には、内側のタイヤの情報を読み取るためには特殊な読取装置(リーダ)が必要であった。
また、特許文献3では、トランスポンダが配置された部位のタイヤ外表面に識別標識を設けてトランスポンダの位置を確認可能としているが、識別標識を設けた場合でも、識別標識の位置が見易いように車両を停止させなければならない等、操作性が悪かった。
このように、アンテナを、カーカスプライコードと電磁界結合させたので、十分な通信距離を確保することができる。
また、アンテナのカーカスプライコードと電磁界結合している部位である第2のアンテナを、アンテナのRFIDチップに接続される部位である第1のアンテナと電磁界結合させることで、従来のような、タイヤが大きく変形した場合に破損し易い接合部をなくす構成としたので、RFIDタグの耐久性が向上する。
なお、「直交させる」とは、第2のアンテナの延長方向とカーカスプライコードの延長方向とのなす角度を、略90°(90°±10°)の範囲とすることを指す。
また、前記第2のアンテナの前記第1のアンテナから所定距離以上離れた部分の形状を波型形状としたので、変形によるアンテナの破損を低減することができる。
また、前記第2のアンテナの前記第1のアンテナから所定距離以内にある部分の長さを前記第1のアンテナの外周の長さの半分以上としたので、第1のアンテナと第2のアンテナとを確実に電磁界結合させることができ、十分な通信距離を確保できる。
また、前記第1の固定部材とは反対側から、前記RFIDチップと、前記第1のアンテナと、前記第2のアンテナの少なくとも前記第1のアンテナとの電磁界結合している部分とを覆う第2の固定部材を設けて、RFIDタグに作用する応力を緩和するようにしたので、耐久性を更に向上させることができる。
トレッド部2は、タイヤ1が路面と接する部分で、厚いゴム層から構成される。ゴム層の表面にはトレッドパターンが形成されている。
ベルト層3は、コードをゴム部材で被覆したもので、タイヤ周方向の剛性を保つ「たが効果」を持たせるために、トレッド部2とカーカスプライ7との間に複数層配置される。
サイドウォール部4は、トレッド部2とビード部6の間に設けられたゴム層で、ショルダー部5は、トレッド部2のサイドウォール部4側のゴム層である。
ビード部6は、一対のビードコア6aとビードフィラー6bとを備え、タイヤ1の中心を通るタイヤ中心軸に垂直な平面に対して対称に配置される。
ビードコア6aは、スチールワイヤの束をリング状に形成したものをゴム部材で被覆したもので、ビードフィラー6bは、ビード部6に剛性を与えるために、サイドウォール部4のゴム層とビードコア6aとカーカスプライ7との間に充填される断面が三角形のゴム部材である。
カーカスプライ7は、複数本の導電性のコード(以下、カーカスプライコードという)7aと、カーカスプライコード7aを被覆する被覆ゴム7bとから成る、タイヤの骨格を成す部材で、一対のビードコア6a間に、ビードコア6aを跨ぐように配置される。
カーカスプライ7の両端部は、それぞれ、ビードコア6aの周りにタイヤ1の内側から外側に折り曲げられて折り曲げ部7cを形成する。
後述するように、カーカスプライコード7aは、誘電体であるビードフィラー6bを構成するゴム部材及び被覆ゴム7bを介してRFIDタグ10のアンテナ12電磁界結合され、RFIDタグ10のアンテナとして機能する。
RFIDタグ10は、図2に示すように、RFIDチップ11とRFIDチップ11に接続されるアンテナ12と、第1〜第3の固定部材13〜15とを備え、タイヤ1のサイドウォール部4の内側に装着されて、図外のリーダと通信する(図1参照)。
本例では、RFIDタグ10の装着位置としては、ビードコア6aよりも30mm上方、ビードフィラー6bの上端部から10mm下方、カーカスプライコード7aから4mmタイヤ外側とした。
本例では、図3(a)に示すように、使用周波数の帯域幅を拡大する目的で、第1のアンテナ16を、それぞれ矩形の二重ループアンテナとしている。
RFIDチップ11と第1のアンテナ16とは、PETなどのフィルム状の基板である第1の固定部材13上に形成される。
ここで、図2及び図3の紙面側をタイヤ外面側、紙面の裏側をタイヤ内面側とする。
本例では、RFIDチップ11と第1のアンテナ16がタイヤ外面側、第1の固定部材13がタイヤ内面側に位置するように、RFIDチップ11と第1のアンテナ16とを第1の固定部材13上に形成した。
以下、図2及び図3の左右方向を左右方向(横方向ともいう)、上下方向を上下方向(縦方向ともいう)という。左右方向はタイヤ1の円周方向で、上下方向はタイヤ1の半径方向である。
本例では、第1の固定部材13を、縦がa1=6mm、横がa2=7mm、厚さがt=0.1mmのフィルムとしたが、第1の固定部材13の形状及び寸法長さについては、RFIDチップ11及び第1のアンテナ16の大きさや形状により適宜決定すればよい。
延長部17bの延長方向については、特に限定はないが、導電性のコードであるカーカスプライコード7aの延長方向と直交する方向とすることが好ましい。
また、延長部17bの形状を波型とするとともに、波型の折り返し部をR付けすれば、第2のアンテナ17のバネ性を高めることができるので、第2のアンテナ17の破断を低減することができ、RFIDタグ10の耐久性を一層向上させることができる。
第2のアンテナ17の全長L17としては、通信周波数の波長の1/4以上にすることが、通信距離を確保する上で好ましい。通信周波数としては、2.45GHzやUHF帯(860〜960MHz)が主に用いられるが、本例では、通信周波数を920MHzとし、第2のアンテナ17の全長L17を128mm(2/5波長)とした。
第2の固定部材14は、RFIDチップ11と第1のアンテナ16と第2のアンテナ17の電磁界結合部17aとを第1の固定部材13とは反対側にて固定する。これにより、第1のアンテナ16と第2のアンテナ17との位置ズレを防止することができるとともに、第1の固定部材13上に形成されたRFIDチップ11と第1のアンテナ16とが、第2の固定部材14により被覆されるので、曲げ応力がかかりにくくなる。
したがって、RFIDタグ10の耐久性を大幅に向上させることができる。また、仮に、第2のアンテナ17が破損した場合でも、RFIDチップ11と第1のアンテナ16との接続部が破損することは殆どないので、RFIDチップ11を取出すことなく、RFIDチップ11に記憶された情報を確認することができる。
なお、RFIDチップ11と第1のアンテナ16と第2のアンテナ17の電磁界結合部17aとを、第1の固定部材13とは反対側及び第1の固定部材13側の両方から、第2の固定部材14により覆う構成としてもよい。
具体的には、第1のアンテナ16の外側のループとコの字型の電磁界結合部17aとの距離d12を2mm以下とするとともに、第2のアンテナ17の第1のアンテナ16に近接(d12≦2mm)している領域の全長L2を、第1のアンテナ16の外周の長さL1の1/2以上とすることが好ましい。これにより、第1のアンテナ16と第2のアンテナ17とを確実に電磁界結合させることができる。
なお、第2の固定部材14の寸法長さとしては、第1の固定部材13よりも大きく、かつ、少なくとも第2のアンテナ17の電磁界結合部17aと含む大きさであればよく、延長部17bの一部を含んでもよい。本例では、第2の固定部材14の縦の長さをb1=10mm、横の長さをb2=10mm、厚さをT=1mmとした。
カーカスプライコード7aは導電性のコードであるので、図5に示すように、第2のアンテナ17とカーカスプライコード7aとの距離Dを、2mm〜15mmの範囲とすれば、第2のアンテナ17とカーカスプライコード7aとを十分に電磁界結合させることができる。すなわち、カーカスプライコード7aをRFIDタグ10の第3のアンテナとして機能させることができる。
D<2mmである場合には、カーカスプライコード7aとアンテナ12とは十分に電磁界結合するが、アンテナ12とカーカスプライコード7aとの距離が近すぎるため、タイヤが大きく変形した場合に、アンテナ12(特に、第2のアンテナ17)が破損してしまう恐れがある。一方、D>15mmである場合には、カーカスプライコード7aとアンテナ12との電磁界結合が不十分であるため、通信距離が短くなってしまうからである。
本例では、上記のように、D=4mmとしたが、Dを上記の範囲とすれば、耐久性を損なうことなく、アンテナ12とカーカスプライコード7aとを適正に電磁界結合できるので、カーカスプライコード7aをRFIDタグ10の第3のアンテナとして機能させることができる。
また、第3のアンテナであるカーカスプライコード7aは、それぞれが、隣接するカーカスプライコード7aと電磁界結合しているので、RFIDタグ10が埋設されたタイヤ側面のみならず、タイヤ上面やRFIDタグ10が埋設された側とは反対側の側面においても、読み取り機等の外部通信装置との通信が可能となる。
また、RFIDチップ11と第1のアンテナ16と第2のアンテナ17の電磁界結合部17aとを第2の固定部材14により被覆して、タイヤの変形時における曲げ応力を緩和するようにしたので、RFIDタグ10の耐久性を大幅に向上させることができる。
図6に示すように、本発明によるRFIDタグ10の第2のアンテナ17と第3のアンテナであるカーカスプライコード7aとのなす角度(以下、アンテナ角度αという)を、0°,30°,60°,90°(直交)としたときの通信距離を測定した結果を以下の表1に示す。
なお、通信距離は、α=0°である場合を100としたときの指数である。
また、図6に示す本発明によるRFIDタグ10の通信距離と、図7に示すような、RFIDチップ51と螺旋形のアンテナ52とが物理的に結合している従来型のRFIDタグ50との通信距離とを比較した。従来型のRFIDタグ50のアンテナ52の延長方向と図示しないカーカスプライコードとのなす角度は、本発明によるRFIDタグ10と同じく90°である。
従来型のRFIDタグ50の仕様を以下の表2に、比較結果を表3に示す。
通信距離は、RFIDタグ10及びRFIDタグ50を、厚さ2mmのゴムシートで挟み込み、カーカスプライコードと第2のアンテナ17との距離、及び、カーカスプライコードとアンテナ52との距離が5mmになる位置に設置して測定した。なお、ゴムシートとしては、CBを20重量部、Siを3重量部含むゴムを使用した。
通信距離は、従来型のRFIDタグ50の値を100としたときの指数である。
これは、本発明のRFIDタグ10は、第2のアンテナ17がRFIDチップ11と物理的に結合していないので、アンテナ長(全長)を長くすることで、カーカスプライコード7aと十分な電磁界結合をさせることができるのに対し、従来型のRFIDタグ50では、耐久性の関係で全長を長くできないので、カーカスプライコードとの十分な電磁界結合がなされないからであると考えられる。
また、従来型のRFIDタグ50では、アンテナ52を螺旋状として計算上のアンテナ長を長くしているが、その効果は少ないと考えられる。
また、前記実施の形態では、RFIDタグ10を、ビードコア6aよりも30mm上方、ビードフィラー6bの上端部から10mm下方に装着したが、RFIDタグ10の装着箇所はこれに限定されるものではなく、ビードコア6aとビードフィラー6bとの間であればよい。なお、RFIDタグ10とカーカスプライコード7aとの距離Dについては、上記のように、2mm〜15mmの範囲とすることが好ましい。
また、前記実施の形態では、第2のアンテナ17の延長部17bの形状を波型としたが、螺旋状としてもよい。これにより、第2のアンテナ17のバネ性を更に高めることができるので、RFIDタグ10の耐久性を一層向上させることができる。
5 ショルダー部、6 ビード部、6a ビードコア、6b ビードフィラー、
7 カーカスプライ、7a カーカスプライコード、7b 被覆ゴム、
7c 折り曲げ部、10 RFIDタグ、11 RFIDチップ、12 アンテナ、
13〜15 第1〜第3の固定部材、16 第1のアンテナ、17 第2のアンテナ、
17a 電磁界結合部、17b 延長部。
Claims (5)
- RFIDチップとアンテナとを備えたRFIDタグが内蔵されたタイヤであって、
前記アンテナが、前記RFIDチップに接続される第1のアンテナと、
前記第1のアンテナの外部に設けられて前記第1のアンテナに電磁界結合される第2のアンテナとを備え、
前記RFIDチップと前記第1のアンテナとが第1の固定部材に固定され、
前記RFIDタグが、
前記タイヤのカーカスプライ端のタイヤ径方向外側に配置され、
前記第2のアンテナが、
前記カーカスプライを構成する導電性のカーカスプライコードと電磁界結合していることを特徴とするRFIDタグ内蔵タイヤ。 - 前記第2のアンテナの延長方向と前記カーカスプライコードの延長方向とが直交していることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ内蔵タイヤ。
- 前記第2のアンテナの前記第1のアンテナから所定距離以上離れた部分の形状が波型形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のRFIDタグ内蔵タイヤ。
- 前記第2のアンテナの前記第1のアンテナから所定距離以内にある部分の長さが前記第1のアンテナの外周の長さの半分以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のRFIDタグ内蔵タイヤ。
- 前記第1の固定部材とは反対側から、前記RFIDチップと、前記第1のアンテナと、前記第2のアンテナの少なくとも前記第1のアンテナとの電磁界結合している部分とを覆う第2の固定部材を更に設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のRFIDタグ内蔵タイヤ。
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