以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)本実施例の蒸発燃料処理装置では、制御部は、パージガスを調圧すべきであると判断される場合に、ポンプの回転数を上昇させて、調圧部にパージガスを通過させることによって調圧処理を実行してもよい。この構成によれば、パージガスを調圧すべきである場合に、ポンプの回転数を上昇させることによって調圧処理を実行することができる。即ち、パージガスを調圧すべきでない場合には、パージガスが調圧部を通過可能となる程度までポンプの回転数を上昇させずに済む。
(特徴2)本実施例の蒸発燃料処理装置では、制御部は、制御部は、パージガスを調圧すべきであると判断される場合に、制御弁によって吸気経路に流入するパージガスの流量をポンプから送出されるパージガスの流量よりも少なくして、調圧部にパージガスを通過させることによって調圧処理を実行してもよい。この構成によれば、パージガスを調圧すべきである場合に、制御弁を制御することによって、調圧処理を実行することができる。また、パージガスを調圧すべきでない場合に、制御弁を制御することによって、調圧処理を実行せずに済む。
(特徴3)本実施例の蒸発燃料処理装置は、分岐経路のパージ経路のポンプよりも吸気経路側と調圧部との間に配置されており、分岐経路の開閉を切り替える切替弁を備えていてもよい。制御部は、パージガスを調圧すべきであると判断される場合に、切替弁によって分岐経路を開いて、調圧部にパージガスを通過させることによって調圧処理を実行し、パージガスを調圧すべきでないと判断される場合に、切替弁によって分岐経路を閉じることによって調圧処理を実行しなくてもよい。この構成によれば、パージガスを調圧すべきでない場合に、切替弁で分岐経路を閉じることによって、調圧処理をせずに済む。
(特徴4)本実施例の蒸発燃料処理装置は、パージガスの濃度を検出する検出部を備えていてもよい。制御部は、パージガスの濃度に応じて、パージガスを調圧すべきであるか否かを判断してもよい。この構成によれば、パージガスを調圧すべきか否かを判断することができる。
(第1実施例)
図1を参照し、蒸発燃料処理装置20を備える燃料供給システム6について説明する。燃料供給システム6は、燃料タンク14内に貯留されている燃料をエンジン2に供給するためのメイン供給経路10と、燃料タンク14内で発生した蒸発燃料をエンジン2に供給するためのパージ供給経路22を備えている。
メイン供給経路10には、燃料ポンプユニット16と、供給経路12と、インジェクタ4が設けられている。燃料ポンプユニット16は、燃料ポンプ、プレッシャレギュレータ、制御回路等を備えている。燃料ポンプユニット16は、ECU100から供給される信号に応じて燃料ポンプを制御する。燃料ポンプは、燃料タンク14内の燃料を昇圧して吐出する。燃料ポンプから吐出される燃料は、プレッシャレギュレータで調圧され、燃料ポンプユニット16から供給経路12に供給される。供給経路12は、燃料ポンプユニット16とインジェクタ4に接続されている。供給経路12に供給された燃料は、供給経路12を通過してインジェクタ4に達する。インジェクタ4は、ECU100によって開度がコントロールされる弁(図示省略)を有している。インジェクタ4の弁が開かれると、供給経路12内の燃料が、エンジン2に接続されている吸気経路34に供給される。
吸気経路34は、エアクリーナ30に接続されている。エアクリーナ30は、吸気経路34に流入する空気の異物を除去するフィルタを備えている。エンジン2とエアクリーナ30との間には、吸気経路34内に、スロットルバルブ32が設けられている。スロットルバルブ32が開くと、図1の矢印に示すように、エアクリーナ30からエンジン2に向けて吸気が行われる。スロットルバルブ32は、吸気経路34の開度を調整し、エンジン2に流入する空気量を調整する。スロットルバルブ32は、インジェクタ4より上流側(エアクリーナ30側)に設けられている。
メイン供給経路10に並んで、パージ供給経路22が配置されている。パージ供給経路22は、燃料タンク14内の蒸発燃料がキャニスタ19で空気と混合され、その混合気体(以下では「パージガス」と呼ぶ)がキャニスタ19から吸気経路34に移動するときに通過する経路である。パージ供給経路22には、蒸発燃料処理装置20が設けられている。図2に示すように、蒸発燃料処理装置20は、キャニスタ19と、パージ経路23,24と、制御弁26と、ポンプ25と、調圧弁60と、分岐経路61と、を備える。
燃料タンク14とキャニスタ19は、連通経路18によって接続されている。キャニスタ19は、パージ経路23,24を介して、吸気経路34に接続されている。パージ経路24は、連通経路28を介して、インジェクタ4とスロットルバルブ32の間で、吸気経路34に接続されている。パージ経路24の連通経路28側の端には、制御弁26が配置されている。制御弁26は、ECU100によって制御される電磁弁であり、開弁された連通状態と閉弁された遮断状態の切替えがECU100によってデューティ比で制御される弁である。制御弁26は、キャニスタ19と吸気経路34とを連通する連通状態と、キャニスタ19と吸気経路34とをパージ経路24上で遮断する遮断状態と、に切り替わる。制御弁26は、開閉時間を制御(即ち連通状態と遮断状態の切替えタイミングを制御)することにより、蒸発燃料を含む気体(即ちパージガス)の流量を調整する。なお、制御弁26は、開度が調整可能なステッピングモータ式制御弁であってもよい。
キャニスタ19は、大気ポート19a,パージポート19b及びタンクポート19cを備えている。大気ポート19aは、大気に連通している。パージポート19bは、パージ経路23に接続されている。タンクポート19cは、連通経路18を介して、燃料タンク14に接続されている。
キャニスタ19内に、活性炭19dが収容されている。活性炭19dに面するキャニスタ19の壁面のうちの、1つの壁面にポート19a,19b,19cが設けられている。活性炭19dと、ポート19a,19b,19cが設けられているキャニスタ19の内壁との間には、空間が存在する。ポート19a,19b,19cが設けられている側のキャニスタ19の内壁に、第1仕切板19eと第2仕切板19fが固定されている。第1仕切板19eは、大気ポート19aとパージポート19bの間において、活性炭19dとキャニスタ19の内壁の間の空間を分離している。第1仕切板19eは、ポート19a,19b,19cが設けられている側と反対側の空間まで伸びている。第2仕切板19fは、パージポート19bとタンクポート19cの間において、活性炭19dとキャニスタ19の内壁の間の空間を分離している。
活性炭19dは、燃料タンク14から連通経路18、タンクポート19cを通じてキャニスタ19の内部に流入する気体から蒸発燃料を吸着する。蒸発燃料が吸着された後の気体は、大気ポート19aを通過して大気に放出される。キャニスタ19は、燃料タンク14内の蒸発燃料が大気に放出されることを防止することができる。活性炭19dで吸着された蒸発燃料は、パージポート19bよりパージ経路23に供給される。第1仕切板19eは、大気ポート19aが接続されている空間と、パージポート19bが接続されている空間を分離している。第1仕切板19eは、蒸発燃料を含んだ気体が大気に放出されることを防止している。第2仕切板19fは、パージポート19bが接続されている空間と、タンクポート19cが接続されている空間を分離している。第2仕切板19fは、タンクポート19cからキャニスタ19に流入する気体が直接パージ経路23に移動することを防止している。
エンジン2が駆動している場合、吸気経路34内は負圧である。そのため、制御弁26が連通状態であり、大気ポート19aが大気に連通している状態で、キャニスタ19に吸着された蒸発燃料は、吸気経路34とキャニスタ19の圧力差によって、キャニスタ19からパージ経路23,24を通じて吸気経路34に導入される。このとき、蒸発燃料は、大気ポート19aからキャニスタ19内に導入される空気と混合され、パージガスとしてパージ経路23に流れる。
パージ経路23とパージ経路24とは、ポンプ25を介して接続されている。ポンプ25は、例えば渦流ポンプである。ポンプ25は、パージ経路23のパージガスを吸入し、パージ経路24に送出する。パージ経路24のポンプ25と反対側の端には、制御弁26が配置されている。ポンプ25は、キャニスタ19と制御弁26の間に配置されており、吸気経路34にパージガスを圧送する。なお、エンジン2が駆動している場合、吸気経路34内は負圧である。そのため、キャニスタ19に吸着された蒸発燃料は、吸気経路34とキャニスタ19の圧力差によって吸気経路34に導入することもできる。しかしながら、パージ経路23,24にポンプ25を配置することにより、吸気経路34内の圧力がパージガスを引き込むために十分でない圧力の場合(過給機(図示省略)による過給時の正圧、あるいは、負圧であるがその絶対値が小さい)であっても、キャニスタ19に吸着された蒸発燃料を吸気経路34に供給することができる。また、ポンプ25を配置することにより、吸気経路34に所望量の蒸発燃料を供給することができる。
パージ経路24の中間位置には、分岐経路61の一端が接続されている。分岐経路61は、パージ経路24から延びて、ポンプ25を越えて、パージ経路23に接続されている。分岐経路61の中間位置には、調圧弁60が配置されている。調圧弁60は、パージ経路24の圧力が上限圧力に到達すると開弁する。調圧弁60が開弁すると、パージ経路24内のパージガスが、分岐経路61を流れて、パージ経路23に戻る。これにより、パージ経路24内の圧力が、上限圧力を超えないように調圧することができる。
図1に示すように、ECU100は、CPU及びROM,RAM等のメモリを含む。ECU100は、インジェクタ4、蒸発燃料処理装置20、スロットルバルブ32等に接続されて、これらを制御する。ECU100のメモリには、後述するパージ処理等の蒸発燃料処理装置20の処理に必要な値やデータマップ等が予め格納されている。具体的には、後述する各処理の説明の中で明らかにされている。
次いで、蒸発燃料処理装置20の動作について説明する。ECU100は、エンジン2が駆動中であってパージ条件が成立するかを監視し、パージ条件が成立すると、制御弁26をデューティ制御することによって、パージガスを吸気経路34に供給するパージ処理を実行する。パージ処理において、制御弁26が開弁されると、図1の矢印に示す方向にパージガスが供給される。パージ条件とは、パージガスをエンジン2に供給すべき場合に成立する条件であり、エンジン2の冷却水温やパージガスの濃度によって、予め製造者によってECU100に設定される条件である。ECU100は、パージガスの濃度に基づいて、制御弁26のデューティ比を制御する。これにより、キャニスタ19に吸着されていたパージガスが、エンジン2に導入される。
なお、ECU100は、スロットルバルブ32の開度を制御する。また、ECU100は、インジェクタ4による噴射燃料量も制御する。具体的には、インジェクタ4の開弁時間を制御することによって、噴射燃料量を制御する。エンジン2が駆動されると、ECU100は、インジェクタ4からエンジン2に噴射される単位時間当たりの燃料噴射時間(即ちインジェクタ4の開弁時間)を算出する。燃料噴射時間は、空燃比を目標空燃比(例えば理想空燃比)に維持するために、実験によって予め特定された基準噴射時間を、フィードバック補正係数を用いて補正することによって算出する。なお、空燃比センサは、エンジン2の排気経路内に配置されている。
図3を参照して、パージ処理を説明する。図3の処理は、自動車が始動されると、定期的に開始される。なお、処理が開始されるタイミングでは、ポンプ25は停止しており、制御弁26は閉弁している。
自動車が始動されると、S12において、ECU100は、パージ条件が成立しているか否かを判断する。パージ条件が成立している場合(S12でYES)、S14において、ECU100は、ポンプ25を駆動する。次いで、S16において、ECU100は、制御弁26を開弁する。これにより、パージガスが吸気経路34に供給される。次いで、S18において、ECU100は、エンジン2の排気経路36に配置されている空燃比センサ8の検出結果を用いて、パージ濃度を推定する。具体的には、パージガスが吸気経路34に供給されると、空燃比センサ8で空燃比がリッチであることを示す検出結果が得られる。ECU100は、空燃比がリッチである場合に、パージ濃度が予め決められたn%(n>0)であると推定して、燃料噴射量を調整する。調整後の燃料噴射量で燃料を噴射した後の空燃比がリッチである場合、ECU100は、推定済みのパージ濃度にn%を加算した値をパージ濃度と推定する。以下、空燃比が目標空燃比となるまで、n%を加算して、パージ濃度を推定する。
次いで、S20では、ECU100は、S18で推定済みのパージ濃度が、所定値以上であるか否かを判断する。ECU100には、予め実験によって特定された所定値(例えば20%)が格納されている。S18で推定済みのパージ濃度が、所定値以上である場合(S20でYES)、S22では、ECU100は、制御弁26を予め決められた調圧デューティ比でデューティ制御する。調圧デューティ比は、制御弁26の開度(即ち開弁期間)を短くして、パージ経路24内の圧力を上昇させて、上限圧力に到達するように設定されている。パージ経路24内の圧力が上限圧力に到達すると、調圧弁60が開弁してパージガスが調圧される調圧処理が実行される。調圧デューティ比は、予め実験によって特定され、ECU100に格納されている。これにより、吸気経路34に供給されるパージガスを一定の圧力に調整することができる。
一方、S18で推定済みのパージ濃度が、所定値未満である場合(S20でNO)、S24において、ECU100は、パージ濃度に基づいてデューティ比を決定し、制御弁26のデューティ制御を実行する。この結果、調圧処理は実行されない。S24では、単位時間当たりに吸気経路34に供給されるパージガスの供給量が変動しないように、デューティ比が決定される。具体的には、予め実験によって特定されたパージ濃度とデューティ比との関係(即ちパージ濃度が高いほど閉弁期間が長くなる関係)を示すデータマップが、ECU100に格納されている。ECU100は、このデータマップを用いて、パージ濃度からデューティ比を決定する。
S26では、ECU100は、パージ処理を終了すべきであるか否かを判断する。具体的には、パージ条件が成立している場合に、パージ処理を終了すべきでないと判断し(S26でNO)、S18に戻る。一方、パージ条件が成立していない場合にパージ処理を終了すべきであると判断し(S26でYES)、S28に進む。
S28では、ECU100は、ポンプ25を停止し、制御弁26を閉弁して、パージ処理を終了する。
本実施例のパージ処理では、パージ濃度が比較的に高い場合に(S20でYES)、パージガスの圧力が調整される(S22)。ポンプ25には個体差があるため、ポンプ25を予め決められた回転数(例えば10000rpm)で駆動させても、単位時間当たりに送出されるパージガスの送出量は、予め想定された送出量とは限らない。そのため、データマップに従ったデューティ比でデューティ制御を実行しても、ポンプから送出されるパージガス送出量が想定されたパージガス送出量からずれて、空燃比が乱れる可能性がある。
特に、パージ濃度が高い場合、パージガス量がずれると、エンジン2に供給される燃料量が大きく変動する。本実施例のパージ処理では、パージ濃度が比較的に高い場合に(S20でYES)、調圧処理が実行され、調圧されたパージガスを吸気経路34に供給する。これにより、パージ濃度が高いパージガスの送出量がずれた場合であっても、パージガスが調圧され、制御弁26を介した蒸発燃料の供給量を安定させることができる。
(第2実施例)
図4を参照して第1実施例と異なる点を説明する。本実施例の蒸発燃料処理装置20では、パージ処理が第1実施例のパージ処理と異なる。
パージ処理では、初期状態は、第1実施例と同様である。また、パージ処理では、最初に、図3のS12〜S20と同様のS32〜S40を実行する。なお、ECU100は、S34において、ポンプ25を比較的に低回転(例えば10000rpm)で駆動させる。また、ECU100は、ポンプ25を比較的に高回転(例えば12000rpm)で駆動させることができる。ECU100は、ポンプ25を高回転で駆動させると、ポンプ25が高回転で回転していることを示す高回転フラグをセットする。ECU100は、ポンプ25の回転数を高回転から低回転に切り替えると、高回転フラグをリセットする。
S40において、パージ濃度が所定値以上である場合(S40でYES)、S42で、ECU100は、高回転フラグが設定されているか否かによって、ポンプ25を高回転で駆動しているか否かを判断する。高回転フラグが設定されている場合、ポンプ25が高回転で駆動していると判断して(S42でYES)、S44をスキップして、S46に進む。一方、高回転フラグが設定されていない場合、ポンプ25が高回転で駆動していないと判断して(S42でNO)、S44で、ECU100は、ポンプ25を高回転で駆動し、高回転フラグをセットして、S46に進む。S46では、図3のS22と同様の処理を実行して、S54に進む。なお、S46の調圧デューティ比では、図3のS22の調圧デューティ比よりも閉弁期間が短く設定されていてもよい。
一方、S40において、パージ濃度が所定値未満である場合(S40でNO)、S48で、S42と同様に、ECU100は、ポンプ25を高回転で駆動しているか否かを判断する。ポンプ25が高回転で駆動している場合(S48でYES)、S50において、ECU100は、ポンプ25を低回転で駆動し、高回転フラグをリセットして、S52にっ進む。一方、ポンプ25が高回転で駆動していない場合(S48でNO)、S50をスキップして、S52に進む。S52では、図3のS24の処理と同様に、濃度に応じたデューティ比で制御弁26を制御して、S54に進む。
S54では、図3のS26と同様に、パージ処理を終了すべきか否かを判断し、終了すべきである場合、S56で、S28と同様に、ポンプ25を停止し、制御弁26を閉弁して、パージ処理を終了する。一方、パージ処理を終了すべきでない場合(S54でNO)、S38に戻る。
本実施例のパージ処理では、パージ濃度が高い場合に、デューティ比を調圧デューティ比に設定するとともに、ポンプ25を高回転で駆動させる。この構成によれば、ポンプ25の回転数を上昇させることによって、調圧処理を実行することができる。一方、パージ濃度が低い場合に、ポンプ25を低回転で駆動させる。これにより、調圧処理を実行せずに済む。
なお、変形例は、パージ濃度が高い場合(S40でYES)に、デューティ比を調圧デューティ比に設定せずに(即ちS46の処理を実行せずに)、ポンプ25を高回転で駆動してもよい。デューティ比を変更せずに、ポンプ25の回転数を高くすることによって、ポンプ25から送出されるパージガスの送出量を増加させ、パージ経路24の圧力を上昇させることによって、調圧処理を実行してもよい。
(第3実施例)
図5、図6を参照して、第1実施例と異なる点を説明する。図5は、分岐経路61の周辺の構成を示す。蒸発燃料処理装置20は、切替弁64をさらに備えている。切替弁64は、分岐経路61のパージ経路24と調圧弁60との間に配置されている。切替弁64は、開弁されるとパージ経路24と調圧弁60とが分岐経路61を介して連通され、閉弁されるとパージ経路24と調圧弁60とが遮断される。
パージ処理では、初期状態は、第1実施例と同様に、ポンプ25は停止され、制御弁26は閉弁されている。さらに、切替弁64は閉弁されている。パージ処理では、最初に、図3のS12〜S20と同様のS62〜S70を実行する。
S70において、パージ濃度が所定値以上である場合(S70でYES)、S72で、ECU100は、切替弁64が開弁されているか否かを判断する。切替弁64が開弁されている場合(S72でYES)、ECU100は、S74をスキップして、S76に進む。一方、切替弁64が閉弁されている場合(S72でNO)、S74において、ECU100は、切替弁64を開弁して、S76に進む。S76では、図3のS22と同様に、ECU100は、制御弁26を調圧デューティ比で制御することによって、調圧処理を実行して、S84に進む。
一方、S70において、パージ濃度が所定値未満である場合(S70でNO)、S78で、ECU100は、切替弁64が閉弁されているか否かを判断する。切替弁64が閉弁されている場合(S78でYES)、ECU100は、S80をスキップして、S82に進む。一方、切替弁64が開弁されている場合(S78でNO)、S80において、ECU100は、切替弁64を閉弁して、S82に進む。S82では、図3のS24の処理と同様に、濃度に応じたデューティ比で制御弁26を制御して、S84に進む。これにより、調圧処理は実行されない。
S84では、図3のS26と同様に、パージ処理を終了すべきか否かを判断し、終了すべきである場合、S86で、S28と同様に、ポンプ25を停止し、制御弁26を閉弁する。S86では、さらに、切替弁64が開弁されている場合、切替弁64を閉弁して、パージ処理を終了する。一方、パージ処理を終了すべきでない場合(S84でNO)、S68に戻る。
本実施例のパージ処理では、パージ濃度が高い場合に、デューティ比を調圧デューティ比に設定するとともに、切替弁64を閉弁から開弁に切り替える。この構成によれば、切替弁64を開弁することによって、パージ経路24と調圧弁60とを連通させて、調圧処理を実行することができる。一方、パージ濃度が低い場合に、切替弁64を閉弁することによって、パージ経路24と調圧弁60とを遮断して、パージ処理を実行しない。
なお、変形例は、パージ濃度が高い場合(S70でYES)に、デューティ比を調圧デューティ比に設定せずに(即ちS76の処理を実行せずに)、切替弁64を閉弁から開弁に切り替えてもよい。この場合、パージ処理では、常に、パージ経路24内の圧力を、調圧弁60で調圧される圧力よりも高く維持してもよい。
(第4実施例)
図7、図8を参照して、第2実施例と異なる点を説明する。蒸発燃料処理装置20は、差圧センサ62をさらに備える。差圧センサ62は、調圧弁60を挟んで、分岐経路61のパージ経路23側とパージ経路24側のそれぞれに接続されている。差圧センサ62は、ポンプ25の駆動中に、ポンプ25の上流側と下流側のパージガスの圧力差(即ち差圧)を検出する。蒸発燃料の密度が空気の密度よりも高いために、パージ濃度に応じて、パージガスの密度が変化する。パージガスの密度(即ちパージ濃度)が変化すると、ポンプ25の回転数が変化しなくても、ポンプ25の上下流の差圧が変化する。ECU100には、予め実験で特定されたパージ濃度と差圧との関係を示すデータマップが格納されている。このため、ECU100は、差圧センサ62で検出済みの差圧とデータマップとを用いて、パージ濃度を特定することができる。
パージ処理では、初期状態は、第2実施例と同様に、ポンプ25は停止され、制御弁26は閉弁されている。本実施例のパージ処理では、最初に、差圧センサ62に用いて、パージ濃度が特定される。具体的には、まず、S102において、ECU100は、ポンプ25が低回転で駆動されているか否かを判断する。パージ処理が開始された最初のS102では、ポンプ25は回転されていない。一方、一旦S102でポンプ25が駆動されると、それ以降のS102では、ポンプ25が既に回転されている。また、S116でポンプ25が高回転で駆動されている状況もあり得る。
ECU100は、ポンプ25が駆動されていない場合、あるいは、高回転フラグがセットされている場合には、ポンプ25が低回転で駆動されていないと判断して(S102でNO)、S104で、ポンプ25を低回転で駆動させ、高回転フラグをリセットして、S106に進む。一方、ECU100は、ポンプ25が駆動されている状態で高回転フラグがセットされていない場合に、ポンプ25が低回転で駆動されていると判断して(S102でYES)、S104をスキップして、S106に進む。
S106では、ECU100は、差圧センサ62を用いて、差圧を検出する。次いで、S108において、ECU100は、S106で検出済みの差圧とECU100に格納済みのデータマップを用いて、パージ濃度を特定する。次に、S110において、ECU100は、S108で特定済みのパージ濃度等を用いて、パージ条件が成立しているか否かを判断する。パージ条件が成立していない場合(S110でNO)、S102に戻る。一方、パージ条件が成立している場合(S110でYES)、S112に進む。
ECU100は、続いて、図4のS40〜S52の処理と同様に、S112〜S124の処理を実行する。S46の処理と同様のS118の処理、あるいは、S52の処理と同様のS124の処理が実行されると、S126において、ECU100は、エンジン2が停止されたか否かを判断する。エンジン2が停止されている場合(S126でYES)、S128において、ECU100は、S56と同様に、ポンプ25を停止し、制御弁26を閉弁して、パージ処理を終了する。一方、エンジン2が停止されていない場合(S126でNO)、所定期間(例えば10秒)待機した後、S102に戻る。
この構成によれば、差圧センサ62を用いて、パージ濃度を特定することができる。この結果、空燃比を用いてパージ濃度を推定せずに済む。また、パージガスを吸気経路34に供給せずに、ポンプ25の差圧を用いてパージ濃度を特定することができる。
なお、変形例では、ポンプ25の回転数は一定であってもよい。
(第5実施例)
図9、図10を参照して、第4実施例と異なる点を説明する。蒸発燃料処理装置20は、切替弁64を備える。切替弁64は、差圧センサ62に挟まれて配置されている。
パージ処理では、初期状態は、第4実施例と同様に、ポンプ25は停止され、制御弁26は閉弁されており、さらに、切替弁64は閉弁されている。これにより、分岐経路61にパージガスが流入することが防止されている。
図10に示すように、S202では、ECU100は、ポンプ25を駆動する。次いで、S204において、図6のS72の処理と同様に、ECU100は、切替弁64が開弁されているか否かを判断する。切替弁64が閉弁していると判断される場合(S204でYES)、S206において、ECU100は、切替弁64を閉弁してS208に進む。一方、切替弁64が開弁していると判断される場合(S204でNO)、S206をスキップして、S208に進む。
ECU100は、続いて、図8のS106〜S112の処理と同様に、S208〜S214の処理を実行する。S214において、パージ濃度が所定値以上である場合(S214でYES)、S216において、ECU100は、切替弁64を開弁する。次いで、S218において、ECU100は、S118と同様に、調圧デューティ比で制御弁26を制御して、S222に進む。これにより、調圧処理が実行される。一方、パージ濃度が所定値未満である場合(S214でNO)、S220において、ECU100は、S210で特定済みのパージ濃度に基づいて決定されるデューティ比で、制御弁26を制御して、S222に進む。これにより、調圧処理が実行されない。
S218の処理、あるいは、S220の処理が実行されると、S222において、S126の処理と同様に、ECU100は、エンジン2が停止されたか否かを判断する。エンジン2が停止されている場合(S222でYES)、S224において、ECU100は、S126と同様に、ポンプ25を停止し、制御弁26を閉弁して、さらに、切替弁64が開弁している場合に切替弁64を閉弁して、パージ処理を終了する。一方、エンジン2が停止されていない場合(S222でNO)、所定期間(例えば10秒)待機した後、S204に戻る。
第5実施例の変形例では、差圧センサ62は、分岐経路61に接続されていなくてもよく、図11に示すように、差圧センサ62の一方がパージ経路24に接続され、他方がパージ経路23に接続されてもよい。あるいは、図12に示すように、蒸発燃料処理装置20は、差圧センサ62に替えて、圧力センサ70を有していてもよい。圧力センサ70は、パージ経路24に配置されていてもよい。この場合、圧力センサ70は、パージ経路24の圧力を検出してもよい。ECU100は、圧力センサ70で検出済みの圧力と、大気圧と、の差を用いて、パージ濃度を特定してもよい。ポンプ25が駆動している間、ポンプ25の上流側、即ち、パージ経路23を大気圧に維持することによって、ECU100は、ポンプ25の差圧を算出することができる。なお、大気圧は予めECU100に格納されていてもよいし、大気圧センサを用いて検出してもよい。
また、あるいは、図13に示すように、分岐経路61以外に、蒸発燃料処理装置20は、分岐経路71を備えていてもよい。分岐経路71では、分岐経路61と同様に、一端(即ち上流端)がパージ経路24に接続されており、他端(即ち下流端)がパージ経路23に接続されていてもよい。蒸発燃料処理装置20は、さらに、分岐経路71に配置されるベンチュリ経路72を備えていてもよい。図14に示すように、ベンチュリ経路72の一方の端部72aが分岐経路71の上流側に接続されている。ベンチュリ経路72の他方の端部72cが分岐経路71の下流側に接続されている。ベンチュリ経路72の端部72aと中央部(絞り部)72bの間に差圧センサ62が接続されている。差圧センサ62は、端部72aと中央部72bの圧力差を検出する。端部72aと中央部72bの差圧を特定すれば、ベルヌーイの式よりパージガスの密度(パージ濃度)を算出する(即ち特定する)ことができる。
なお、ベンチュリ経路72に替えて、オリフィス板を備えるオリフィス経路を備えていてもよい。あるいは、ベンチュリ経路72に替えて、毛細経路式粘度計を備えていてもよい。毛細経路式粘度計の内部には、複数の毛細経路が配置されていてもよい。毛細経路の上流側と下流側の圧力差を差圧センサ62で特定し、毛細経路式粘度計を通過するパージガスの粘性を測定してもよい。これにより、ハーゲン・ポアズイユの式を用いて、パージガスの粘性を算出することができる。パージガスの粘性は、パージ濃度と相関関係があるため、パージガスの粘性を算出することにより、パージ濃度を特定することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
(1)上記の各実施例では、調圧弁60によって調圧されている。しかしながら、本明細書の開示の「調圧部」は調圧弁60に限られない。例えば、調圧部は、圧力センサと開閉弁を備えていてもよい。調圧部は、圧力センサを用いて検出済みのパージ経路24の圧力が所定値に達すると、改変弁を開弁することによって、パージ経路24の圧力を所定値に維持してもよい。
(2)上記の各実施例では、差圧センサ62等に替えて、圧力センサをポンプ54等の上流側と下流側のそれぞれに配置してもよい。この場合、ECU100は、2個の圧力センサによって検出される圧力の差を算出することによって、差圧を検出してもよい。
(3)上記の各実施例では、パージ濃度は、空燃比あるいは差圧センサ62を用いて特定されている。しかしながら、パージ濃度は、例えば、音波式濃度計を備える濃度センサを用いて測定されてもよい。音波式濃度計は、パージ経路23,24上に配置される円筒形状を有しており、円筒形状内に向けて信号を発信し、受信することによって、パージガスの濃度(即ち、バージガスの分子量)を特定してもよい。
(4)上記の各実施例では、ECU100が、濃度特定処理を実行している。しかしながら、蒸発燃料処理装置20は、エンジン2等を制御するECU100とは別に、濃度特定処理を実行するための処理装置(例えばCPU及びメモリ)を備えていてもよい。
(5)上記の各実施例では、調圧処理を実行するために、ポンプ25の回転数を高くする構成、切替弁64を開弁する構成、及び、制御弁26を調圧デューティ比で制御する構成の1個又は2個の構成を採用している。しかしながら、調圧処理では、上記の全ての構成を採用してもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。