JP6607841B2 - 果実風味飲食品用呈味改善剤 - Google Patents

果実風味飲食品用呈味改善剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6607841B2
JP6607841B2 JP2016246452A JP2016246452A JP6607841B2 JP 6607841 B2 JP6607841 B2 JP 6607841B2 JP 2016246452 A JP2016246452 A JP 2016246452A JP 2016246452 A JP2016246452 A JP 2016246452A JP 6607841 B2 JP6607841 B2 JP 6607841B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fruit
juice
fruit juice
taste
product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016246452A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017051206A (ja
Inventor
紫乃 中西
純寛 園田
尚美 豊田
宏之 船津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
T Hasegawa Co Ltd
Original Assignee
T Hasegawa Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by T Hasegawa Co Ltd filed Critical T Hasegawa Co Ltd
Priority to JP2016246452A priority Critical patent/JP6607841B2/ja
Publication of JP2017051206A publication Critical patent/JP2017051206A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6607841B2 publication Critical patent/JP6607841B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Seasonings (AREA)

Description

本発明は果実風味飲食品用呈味改善剤に関する。さらに詳しくは、果実風味飲食品、特に果汁飲料などの飲料類、ジャムなどの果実加工品、冷菓、果実風味の菓子類などに極微量添加することで、果汁飲料などの飲料類、ジャムなどの果実加工品、冷菓、果実風味の菓子類などが有する、果実香味、例えば、果汁感や果実感、完熟感、味の厚み、ボディー感などのいわゆるコク味を増強し、バランスの改善をはかることのできる、呈味改善剤に関する。
現代の生活が豊かになるにつれて、食の洋風化、多様化、高級化が進み、それらの影響を受けたいろいろな加工食品が作り出されてきた中で、果実加工品はいろいろな形で飲料、冷菓、菓子類などの果実風味飲食品に利用され、商品のバラエティー化、高級化のために役立てられている。
果汁などの果実加工品は、加工時の殺菌工程などにより果実が本来有している風味が低減し、いわゆるレトルト臭、イモ臭といわれる加熱劣化臭が生成することが知られており、さらにこれらの果実加工品を使用した飲料、冷菓、菓子類などにおいても殺菌工程などにより、香気の散逸、加熱による香味の劣化、呈味の低下などを伴い、十分に満足のいく風味の果実風味飲食品を得ることが極めて困難であった。これらの風味劣化に対する対応に関する課題は従来から大きなテーマであった。
このような課題を解消する手段として、例えば、果汁飲食品にキシリトールを配合して風味を改善する方法(特許文献1)、甘味付与にアスパルテームが使用され、かつ、L−ヒスチジン又はその塩類を特定量添加して加熱殺菌処理する果汁飲料(特許文献2)、加熱殺菌に伴う異風味を緩和するため、果汁飲料の製造におけるリン酸の使用(特許文献3)、アミノ酸混合物、ペントース及びヘキソースから成る群から選ばれる炭水化物、アスコルビン酸、チアミン塩酸塩、濃縮かんきつ類ジュース又はかんきつ精油又はかんきつ類から誘導されるアルデヒド混合物からなる混合物を50〜120℃で反応するフレッシュなみずみずしい果物の皮様の特性を賦与して改良する方法(特許文献4)、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸からなる群から選ばれる少なくとも2種のアミノ酸を配合する柑橘系飲料の風味改善方法(特許文献5)、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン及び/又はスレオニンを特定比率で配合し、飲食品にストロベリー様、グレープ様、アップル様、メロン様の果実様香味を付与する方法(特許文献6)、天然パインアップル果汁もしくは果肉を含み、且つ/又はパインアップル様香味が付与された飲食品を調製する際に、スレオニン、リジン、メチオニン及びバリンから選ばれる少なくとも2種のアミノ酸を配合する飲食品の風味増強方法(特許文献7)、果実の果汁又は搾汁由来の画分であり、該画分は、ポリフェノールと該画分の酸加水分解後の糖類の比率が特定の割合である風味改善剤(特許文献8)、柑橘類の抽出物の塩基性成分からなる飲食品の呈味改善剤(特許文献9)、果汁を酵母により醗酵させて得られる醗酵果汁を有効成分としてなる果汁、果肉飲食品の香味改善剤(特許文献10)などが提案されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載された発明では、果汁飲料の調製時にキシリトール、L−ヒスチジン、リン酸を配合することにより果汁の加熱により生成するイモ臭、レトルト臭をある程度抑えることはできるが、果汁感や果実感、完熟感、味の厚み、ボディー感までは付与できないという欠点がある。特許文献4〜7の発明では、特定のアミノ酸等を配合して柑橘類などの風味を増強する方法が開示されているが、ある程度の風味の増強には効果があるが、果実の完熟感、味の厚み、ボディー感を付与するためには不十分で
ある。また、特許文献8〜10の発明では、果実由来の画分、果実の酵母醗酵果汁を風味改善剤として利用するものであり、分画処理、醗酵処理などの煩雑な操作が必要であり、コスト高となる欠点がある。
特開2000−308476号公報 特開2005−278605号公報 特開2011−167170号公報 特公平5−79297号公報 特公昭62−54464号公報 特公平5−33970号公報 特公平7−8205号公報 WO2010/026946号公報 特開2010−41935号公報 特開平9−191861号公報
本発明が解決しようとする課題は、果実風味飲食品、特に果汁飲料などの飲料類、ジャムなどの果実加工品、冷菓、果実風味の菓子類などに極微量添加することで、果汁飲料などの飲料類、ジャムなどの果実加工品、冷菓、果実風味の菓子類などが有する、果実香味、例えば、果汁感や果実感、完熟感、味の厚み、ボディー感などのいわゆるコク味を増強し、バランスの改善をはかることができ、簡便に、安価に調製することのできる呈味改善剤を提供することである。
本発明者らは、前記課題に鑑み、果汁そのものに何らかの処理を加えることにより、果実風味飲食品に対して有効な呈味改善剤を得ることができないかと考え、鋭意研究を行ってきた。
従来、果汁の製造において、レトルト殺菌(121℃、10分程度)やUHT殺菌(135℃、1分程度)は必須の工程であり、この工程により発生する不快臭はいわゆるイモ臭、レトルト臭、加熱劣化臭などと呼ばれており、好ましくない臭気とされてきた。したがって、果汁を加熱したところで、いわゆる加熱臭が強まるのであって、有効な呈味改善剤ができるということは全く予想されていなかった。ところが、驚くべきことに、果汁を、飲用濃度よりも高い濃度において、高温加熱(Bx50°、130〜140℃、30分程度)を行い、その加熱処理物を果実風味飲食品に添加してみたところ、わずか10ppm程度の添加でも、極めて強い呈味増強効果がある風味素材が得られた。また、果汁を調製する際、若しくは調製後に糖質分解酵素処理を行ったところ、その効果はさらに強いものとなった。本発明者らは、かかる知見のもとに本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は以下のものを提供する。
(1)果汁を100℃〜180℃にて10分〜5時間加熱処理して得られる加熱処理物からなる、果実風味飲食品用呈味改善剤。
(2)果汁が固形分濃度として屈折糖度(20℃)でBx1°〜Bx80°である(1)に記載の呈味改善剤。
(3)果汁がオレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、アップル、グレープ、ピーチ、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、パパイヤ、ストロベリー、ペアー、アプリコット、キウイフルーツ、ザクロ、イチジク、ブルーベリー、トマトから選択される1
種または2種以上の果汁である(1)または(2)に記載の呈味改善剤。
(4)果汁が、1種または2種以上の酵素により処理された酵素処理物である、(1)〜(3)のいずれかに記載の呈味改善剤。
(5)酵素が糖質分解酵素である、(4)に記載の呈味改善剤。
(6)単糖、二糖またはオリゴ糖から選ばれる1種または2種以上を添加して加熱処理する、(1)〜(5)のいずれかに記載の呈味改善剤。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の呈味改善剤を含有する果実風味飲食品。
(8)果実風味飲食品が、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁入りアルコール飲料、ジャム、果実加工品、果実入りヨーグルト、果実風味の冷菓または果実風味の菓子類である(7)に記載の果実風味飲食品。
(9)(1)〜(6)のいずれかに記載の呈味改善剤を果実風味飲食品に添加することを特徴とする、果実風味飲食品の呈味改善方法。
本発明によれば、果実風味飲食品、特に果汁飲料などの飲料類、ジャムなどの果実加工品、冷菓、果実風味の菓子類などに極微量添加することで、当該果実風味飲食品が有する、果実香味、例えば、果汁感や果実感、完熟感、味の厚み、ボディー感などのいわゆるコク味を増強し、バランスの改善をはかることができる。しかもこれらの呈味改善剤は、簡便に、安価に調製することのでき、したがって、果実風味飲食品の製造に利用できる他、これらの飲食品製造時において、コストダウンのため原料とする果汁等の果実加工品の使用量の減量を余儀なくされた場合の風味補正として有効に利用できるものと考えられる。
本発明における果汁とは、果実から通常の方法、例えば、洗浄工程、剥皮工程、破砕搾汁工程を経て搾汁された液のことをいい、果汁としては特に制限されず、例えば、柑橘類果汁(オレンジ果汁、ミカン果汁、グレープフルーツ果汁、レモン果汁、ライム果汁等)、アップル果汁、グレープ果汁、ピーチ果汁、熱帯果実果汁(パイナップル果汁、グァバ果汁、バナナ果汁、マンゴー果汁、アセロラ果汁、パパイヤ果汁、パッションフルーツ果汁等)、その他果実の果汁(ウメ果汁、ペアー果汁、ザクロ果汁、イチジク果汁、ブルーベリー果汁、キウイフルーツ果汁等)、トマト果汁、ニンジン果汁、ストロベリー果汁、メロン果汁などの果汁を挙げることができ、特に、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、アップル、グレープ、ピーチ、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、パパイヤ、ストロベリー、ペアー、アプリコット、キウイフルーツ、ザクロ、イチジク、ブルーベリー、トマトなどの果汁が好適であり、これらの果汁は単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、これらの果汁の搾汁時および/または搾汁後の搾汁液に対し、糖質分解酵素処理を行うこともできる。糖質分解酵素処理により、果実中のペクチン質などが分解され、抽出液の粘度が低下し、後に記述する濃縮時においても加熱を均一に行うことができ、好適である。糖質分解酵素としては、具体的には、例えば、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼ、アラバナーゼ、デキストラナーゼ、グルカナーゼ、マンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼなどを例示することができる。
これらの内、特に好ましい糖質分解酵素としては、ペクチナーゼ、セルラーゼを例示することができ、糖質分解酵素の使用量は、使用する酵素の種類や果汁中のペクチン質などの糖質の存在量により一概にはいえないが、おおよそ果実原料の質量を基準として通常0.1〜1,000U/g、好ましくは1〜100U/gの範囲内、または、製剤中に通常複数種類の酵素が含まれていて活性単位では表しにくいような場合は、果実原料に対して通常、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%の範囲内を例示することができ
る。また、これらの糖質分解酵素に加えて、プロテアーゼ、リパーゼなどを併用することもできる。
かくして得られた果汁はBx1°〜10°程度であり、そのまま加熱処理に供することもできるが、加熱処理に供するときの濃度はある程度高いことが好ましい。
加熱処理に供するときの果汁の濃度としては、Bx1°〜Bx80°、好ましくはBx5°〜Bx80°、より好ましくはBx10°〜70°、さらに好ましくはBx20°〜60°、最も好ましくはBx30°〜55°とすることができる。濃度が低すぎる場合は、加熱反応が進行しづらく、加熱の効果が出にくい。また、通常の飲用程度の濃度(Bx0.3〜1°程度)であると、いわゆるイモ臭、レトルト臭、加熱臭が発生することが知られているが、低濃度での加熱処理ではレトルト臭と同様な風味が生じてしまい、呈味改善剤として十分に有効な素材としては得られない。また、濃度が低いことにより、果実風味飲食品へ多量の添加が必要になる可能性がある。一方、濃度が高すぎる場合は粘度が高く、均一加熱ができなくなり、焦げ付くなどの弊害が生じる可能性がある。
果汁の濃度を高めるための方法としては、減圧濃縮、RO膜濃縮、凍結濃縮などの濃縮手段を採用することができる。また、市販の濃縮果汁を使用することもできる。
また、濃度を高めるため別の方法として、果汁に糖類を添加して濃度を高める方法を採用することもできる。使用する糖類としては、単糖、二糖またはオリゴ糖が好ましく、リボース、キシロース、アラビノース、グルコース、フラクトース、ラムノース、ラクトース、マルトース、シュークロース、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、水飴などを例示することができる。糖類の添加量としては、Bx1°〜Bx10°程度の果汁1質量部に対し、0.01〜2質量部を挙げることができる。
かくして得られた果汁を、加熱処理する点が本発明の特徴である。加熱処理により、いわゆるメイラード反応の素材となる糖やアミノ酸の他に果汁特有の成分(ビタミン類、水溶性植物繊維、ポリフェノール類、無機質など)が複雑に反応し、呈味増強成分が生成すると考えられる。
果汁の加熱処理における反応温度としては、100℃〜180℃、好ましくは110℃〜170℃、より好ましくは120℃〜150℃、さらに好ましくは120℃〜140℃とすることができる。温度が低すぎる場合は、加熱反応が進行しづらく、呈味改善剤としての効果が出にくい。温度が高すぎる場合は、加熱による変化が大きすぎ、呈味改善剤としての目的を達成することができない。
また、加熱処理における反応時間としては、反応に必要な時間を確保する必要があり、10分〜5時間、好ましくは20分〜4時間、より好ましくは1時間〜2時間とすることができる。反応時間が短すぎる場合は、反応が十分進行せず、呈味改善剤としての効果が出にくい。反応時間が長すぎる場合は、加熱による変化が大きすぎ、呈味改善剤としての目的を達成することができない。
加熱反応の際に、pH調整剤を添加して反応系のpHをpH6〜pH11、好ましくはpH7〜pH11に調整することにより糖の分解を促進し、呈味改善剤としての目的を達成することができるほか、加熱による沈殿の生成を抑制することができ、好適である。かかるpH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを例示することができる。
本発明において、加熱処理には、密閉系にて内容物を加熱攪拌できるオートクレーブを
使用することが好ましい。オートクレーブの操作としては、内容物として前記果汁を仕込んだ後、容器を密閉にし、ヘッドスペースの空気をそのまま、あるいは、酸素あるいは不活性ガスにより置換して、引き続き前記条件にて加熱処理を行い、冷却後、釜内から、加熱処理物を回収する。回収物に澱が生じているときは濾過や遠心分離などの処理により、澱を除去することもできる。
釜内から回収された加熱処理物はこのまま呈味改善剤として使用することもできるが、所望により、さらに濃縮、あるいは、デキストリン、化工澱粉、サイクロデキストリン、アラビアガム等の賦形剤を添加して、ペースト状とすることができ、さらに、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などの乾燥により粉末状の呈味改善剤組成物とすることもできる。
また呈味改善剤組成物とするに際し、組成物中に果実フレーバーなどの天然または調合香料を添加することもできる。
かくして得られた呈味改善剤あるいは呈味改善剤組成物は、果実風味飲食品に0.1ppm〜1%程度添加することにより、果汁感や果実感、完熟感、味の厚み、ボディー感などのいわゆるコク味を増強し、バランスの改善をはかることができる。なお、果汁感や果実感とは、果実独特の呈味を形成する感覚であって、添加することにより、実際に使用した果汁や果実の量より多く果汁や果実を使用したと感じさせる飲み応えのある感覚である。また、味の厚みとは、飲食品を口に含んだとき、または、飲み込んだ時に口中全体から喉の奥にかけてしばらく味が持続し、味わいが深いと感じさせるような感覚である。また、ボディー感とは、味の骨格がしっかりしていて、かつ、まろやかでふくらみがあり、呈味全体に強さをもたらすような感覚である(以下、味の厚みとボディー感を併せてコク味ということがある)。また、バランスとは果実の呈味バランスを意味し、酸味、甘味、の他前述の味の厚み・ボディー感、果汁感、果実感などが良好に調和した感覚を意味する。
本発明の呈味改善剤あるいは呈味改善剤組成物が添加される果実風味飲食品としては、例えば、ペットボトル、缶または紙容器に充填された天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁入りアルコール飲料などの飲料類;ジャム、フルーツプレパレーションなどの果実加工品;果実入りヨーグルト;果実風味のアイスクリーム、ソフトクリームまたはシャーベットなどの冷菓類;果実風味を付与したビスケット、クッキー、せんべい、饅頭、クリーム内包菓子、パンなどの菓子類を例示することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。
(実施例1)
市販のグレープ濃縮果汁(Bx68°)300gに、ブドウ糖を84g(全体でBx75°程度となるように添加)および30%水酸化ナトリウム水溶液を30g加え、オートクレーブを用いて120±2℃にて2時間加熱した後、30℃まで冷却して内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品1:380g、Bx73)を調製した。
(実施例2)
市販のグレープ果汁飲料(50%果汁)(参考品1)、および、参考品1の希釈液(8質量部の参考品1と2質量部の水を混合したもの:参考品2)を調製し、参考品2に対して本発明品1を下記表1に示す量添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価基準は、果汁感+果実感、コク味についてそれぞれ、参考品1をコントロールとして、明らかに弱い:−2点、やや弱い:−1点、同程度:0点、やや強い:+1点、明らかに強い+2点として、また、グレープ果汁飲料としてのバランスの良さについ
て、悪い:−2点、やや悪い:−1点、差無し:0点、やや良い:+1点、良い:+2点として官能評価を行った。その平均点を表1に示す。なお、果汁感+果実感とは、前記の通り、果実独特の呈味を形成する感覚であって、添加することにより、実際に使用した果汁や果実の量より多く果汁や果実を使用したと感じさせる飲み応えのある感覚である。また、コク味とは、前記の通り、味の厚みとボディー感をあわせた風味であり、味の厚みとは、飲食品を口に含んだとき、または、飲み込んだ時に口中全体から喉の奥にかけてしばらく持続し、味わいが深いと感じさせるような感覚である。また、ボディー感とは、味の骨格がしっかりしていて、かつ、まろやかでふくらみがあり、呈味全体に強さをもたらすような感覚である。また、バランスとは果実の呈味バランスを意味し、酸味、甘味、の他前述の味の厚み・ボディー感、果汁感、果実感などが良好に調和した感覚を意味する。
Figure 0006607841
表1に示した通り、市販グレープ果汁飲料(参考品1)を希釈した参考品2は参考品1と比べ果汁感、果実感、コク味などの呈味が明らかに弱く、またバランスも悪かったが、参考品2に本発明品1を添加したものは、わずか0.1ppmの添加でもバランスが改善された。また、さらに添加量を増やし1ppm〜10ppmの添加では参考品1の風味とほぼ同程度となり、20〜100ppmの添加では参考品1よりもむしろ果汁感、果実感、コク味などの呈味、バランス共に評価が高く、良好であった。
(実施例3)
市販のグレープ濃縮果汁(Bx68°)を水で希釈し、Bx5°、Bx10°、Bx30°、Bx50°、Bx68°(原液)を調製した。それぞれの希釈液または原液500gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、120±2℃にて2時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、以下の呈味改善剤を調製した。
本発明品2:Bx5°
本発明品3:Bx10°
本発明品4:Bx30°
本発明品5:Bx50°
本発明品6:Bx68°
(実施例4)
実施例2と同様に、参考品2に、本発明品2〜6を固形分換算(Bxを使用)で、本発明品1の10ppm添加に相当する量添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表2に示す。
Figure 0006607841
表2に示したとおり、加熱処理における濃度が高いものほどグレープ果汁飲料への添加による果汁感、果実感、コク味などの呈味、バランスの改善効果が高いが、Bx5°の低濃度(本発明品2)でもそれなりの改善効果が見られた。
(実施例5)
実施例1において加熱反応温度を以下の条件とした以外は実施例1と同様に処理し、本発明品1および本発明品7〜10の呈味改善剤を調製した。
本発明品1:120±2℃
本発明品7:110±2℃
本発明品8:130±2℃
本発明品9:150±2℃
本発明品10:170±2℃
(実施例6)
実施例2と同様に、参考品2に、比較品1(未加熱)、本発明品1または本発明品7〜10を10ppm添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表3に示す。
Figure 0006607841
表3に示した通り、参考品2に未加熱の比較品1を10ppm添加したグレープ果汁飲料の官能評価は、参考品2と全く差がなかった。それに対し、参考品2に加熱処理品である本発明品をそれぞれ10ppm添加した果汁飲料は、いずれも参考品2と比べ、果汁感、果実感、コク味などの呈味、バランスとも改善されて、参考品1に近い風味となった。これらの中で、特に本発明品1は良好であり、次いで本発明品9、8が良好であった。また、本発明品7、10のいずれにも効果が見られたため、加熱温度としては100℃〜1
80℃程度の範囲内では加熱による効果が出るものと考えられる。
(実施例7)
市販のグレープ濃縮果汁(Bx68°)500gにスクラーゼN(三共社製ペクチナーゼ(登録商標))0.5gを加え、15分間攪拌した。その後、40℃にて1時間攪拌反応させ、90℃達温殺菌後、20℃まで冷却しグレープ濃縮果汁の酵素処理物を得た(比較品2)。
比較品2の酵素処理物300gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、130±2℃にて2時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品11)を調製した。
(実施例8)
参考品2に、比較品2(酵素処理−未加熱)、本発明品11(酵素処理−加熱)および実施例3で調製した本発明品6(酵素未処理−加熱)のそれぞれを10ppm添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表4に示す。
Figure 0006607841
表4に示した通り、グレープ果汁飲料(参考品2)に対し、酵素処理だけを行って、高温加熱処理を行っていない比較品2を添加したものは無添加品と比べ差がなかったが、酵素処理した後、高温加熱処理を行った本発明品11を添加したものは、果汁感、果実感、コク味、バランスの評価が良好であり、酵素処理を全く行っていない本発明品6を添加したものに比べても良好であった。
(実施例9)
市販のストロベリー濃縮果汁(Bx65°)300gに、ブドウ糖を120g(全体でBx75°程度となるように添加)および30%水酸化ナトリウム水溶液を30g加え、オートクレーブを用いて125±2℃にて2時間加熱した後、30℃まで冷却して内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品12:405g、Bx74)を調製した。
市販のイチゴジャムに本発明品12を10ppm添加したところ、未添加品に比べイチゴの完熟感、コク味が格段に増強されていた。
(実施例10)
下記に示す市販の濃縮果汁(Bx65°)300gに、ブドウ糖を120g(全体でBx75°程度となるように添加)および30%水酸化ナトリウム水溶液を30g加え、オートクレーブを用いて135±2℃にて1時間加熱した後、30℃まで冷却して内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、本発明品13〜30の呈味改善剤を調製
した。
本発明品13:オレンジ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品14:グレープフルーツ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品15:レモン濃縮果汁(Bx65°)
本発明品16:ライム濃縮果汁(Bx65°)
本発明品17:アップル濃縮果汁(Bx65°)
本発明品18:ピーチ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品19:パイナップル濃縮果汁(Bx65°)
本発明品20:グァバ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品21:バナナ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品22:マンゴー濃縮果汁(Bx65°)
本発明品23:パパイヤ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品24:ペアー濃縮果汁(Bx65°)
本発明品25:アプリコット濃縮果汁(Bx65°)
本発明品26:キウイフルーツ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品27:ザクロ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品28:イチジク濃縮果汁(Bx65°)
本発明品29:ブルーベリー濃縮果汁(Bx65°)
本発明品30:トマト濃縮果汁(Bx65°)
(実施例11)
本発明品13〜30の呈味改善剤を、それぞれの果実に対応する市販の果汁飲料(50%果汁)(以下、それぞれオレンジ飲料、グレープフルーツ飲料、レモン飲料、ライム飲料、アップル飲料、ピーチ飲料、パイナップル飲料、グァバ飲料、バナナ飲料、マンゴー飲料、パパイヤ飲料、ペアー飲料、アプリコット飲料、キウイフルーツ飲料、ザクロ飲料、イチジク飲料、ブルーベリー飲料、トマト飲料という。)を水で希釈して40%果汁となるように希釈したものを基材(以下、それぞれオレンジ基材、グレープフルーツ基材、レモン基材、ライム基材、アップル基材、ピーチ基材、パイナップル基材、グァバ基材、バナナ基材、マンゴー基材、パパイヤ基材、ペアー基材、アプリコット基材、キウイフルーツ基材、ザクロ基材、イチジク基材、ブルーベリー基材、トマト基材という。)として、本発明品13〜30のそれぞれの呈味改善剤を10ppm添加して、各飲料、各基材および各基材へ本発明品を添加したものについて、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表5−1〜表5−3に示す。
Figure 0006607841
Figure 0006607841
Figure 0006607841
表5−1〜表5−3に示した通り、各果汁飲料ともに本発明品13〜30の呈味改善剤を添加したものは、果汁感、果実感、コク味などの呈味、バランスにおいて明らかに改善効果が見られた。
本発明の主たる態様または特徴として、段落[0010]に記載したものの他つぎのものを挙げることができる。
態様1:固形分濃度として屈折糖度(20℃)でBx20°〜Bx80°の果汁を120℃〜180℃にて20分〜5時間加熱処理する工程、加熱処理物を回収する工程を含んでなり、かつ、果実香味を増強するための果実風味飲食品用呈味改善剤又は組成物の製造方法。
態様2:果汁が固形分濃度として屈折糖度(20℃)でBx30°〜Bx70°である(1)に態様1に記載の方法。
態様3:果汁がオレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、アップル、グレープ、ピーチ、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、パパイヤ、ストロベリー、ペアー、アプリコット、キウイフルーツ、ザクロ、イチジク、ブルーベリー、トマトから選択される1種または2種以上の果汁である態様1または2に記載の方法。
態様4:果汁が、1種または2種以上の酵素により処理された酵素処理物である、態様1〜3のいずれかに記載の方法。
態様5:酵素が糖質分解酵素である、態様4に記載の方法。
態様6:単糖、二糖またはオリゴ糖から選ばれる1種または2種以上を添加して加熱処理する、態様1〜5のいずれかに記載の方法。
態様7:態様1〜6のいずれかに記載の方法により得られる呈味改善剤又は組成物を含有する果実風味飲食品。
態様8:果実風味飲食品が、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁入りアルコール飲料、ジャム、果実加工品、果実入りヨーグルト、果実風味の冷菓または果実風味の菓子類である態様7に記載の果実風味飲食品。
態様9:態様1〜6のいずれかに記載の方法により得られる呈味改善剤又は組成物を果実風味飲食品に添加することを特徴とする、果実風味飲食品の呈味改善方法。

Claims (4)


  1. 果実香味を増強するための果実風味飲食品用組成物の製造方法であって、固形分濃度として屈折糖度(20℃)でBx30°〜Bx80°である果汁を120℃〜150℃にて20分〜5時間加熱処理する工程、加熱処理物を回収する工程を含んでなり、かつ、前記組成物が果実風味飲食品に0.1ppm〜100ppm添加されるものであり、前記果汁がオレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、アップル、グレープ、ピーチ、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、パパイヤ、ストロベリー、ペアー、アプリコット、キウイフルーツ、ザクロ、イチジク、ブルーベリー、トマトから選択される1種または2種以上の果汁であり、
    前記組成物が添加される対象が、前記組成物の基となる果汁と同じ果汁の1種又は2種以上の果汁又は該果汁の果実を基材とする飲食品である、ことを特徴とする、製造方法。
  2. 加熱時間が20分〜2時間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 果汁が、1種または2種以上の酵素により処理された酵素処理物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 酵素が糖質分解酵素である、請求項3に記載の製造方法。
JP2016246452A 2016-12-20 2016-12-20 果実風味飲食品用呈味改善剤 Active JP6607841B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016246452A JP6607841B2 (ja) 2016-12-20 2016-12-20 果実風味飲食品用呈味改善剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016246452A JP6607841B2 (ja) 2016-12-20 2016-12-20 果実風味飲食品用呈味改善剤

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013254803A Division JP6315767B2 (ja) 2013-12-10 2013-12-10 果実風味飲食品用呈味改善剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017051206A JP2017051206A (ja) 2017-03-16
JP6607841B2 true JP6607841B2 (ja) 2019-11-20

Family

ID=58319853

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016246452A Active JP6607841B2 (ja) 2016-12-20 2016-12-20 果実風味飲食品用呈味改善剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6607841B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3452263B1 (ja) * 2002-08-22 2003-09-29 株式会社ファンケル ムメフラール高含有梅エキス及び製造方法
JP4250045B2 (ja) * 2003-09-18 2009-04-08 株式会社ファンケル ムメフラール含有果実エキス及び製造方法
JP4131961B2 (ja) * 2004-05-18 2008-08-13 中野Bc株式会社 梅エキスの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017051206A (ja) 2017-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6315767B2 (ja) 果実風味飲食品用呈味改善剤
JP5260772B1 (ja) 難消化性デキストリン含有容器詰め飲料およびその製造方法
JP4589212B2 (ja) プロアントシアニジン含有食品及びその製造法
JP5931421B2 (ja) 高甘味度甘味料の味質改善方法
JP6871677B2 (ja) 果汁又は野菜汁含有飲食品組成物、果汁又は野菜汁含有食品組成物の呈味改善剤、果汁又は野菜汁含有飲食品組成物の呈味改善方法
JP2008054667A (ja) マスキング剤
JP6071168B2 (ja) ブレンドトマトジュース及びその製造方法
JP6243864B2 (ja) ノンアルコール飲料および後味の改善と飲みやすさの増強方法
JP2011097873A (ja) 果汁飲料及びその製造方法
WO2018123159A1 (ja) 果皮エキスおよびその製造方法
JP6607841B2 (ja) 果実風味飲食品用呈味改善剤
JP2018023298A (ja) 飲料、飲料の製造方法、並びに飲料にタンニン様の刺激の強さを付与する方法
JP6924069B2 (ja) 柑橘果皮からの香気成分の回収
JP5162009B2 (ja) 梅酒様アルコール飲料製造方法
TWI610629B (zh) 加熱處理香草萃取物之製造方法
JP2003339314A (ja) フルーツ入り発酵乳
JP5989560B2 (ja) 難消化性デキストリン含有容器詰め飲料およびその製造方法
US20210261593A1 (en) Terpene glycoside derivatives and uses thereof
JP6962718B2 (ja) 飲食品用コク味増強剤及び飲食品のコク味増強方法
TW201922117A (zh) 用於改善口感品質之包含阿洛酮糖之組成物
BR112020022564A2 (pt) Derivados de glicosídeo de terpeno e usos dos mesmos
JP6902076B2 (ja) 炭酸感が改善された炭酸飲料
JP2000135062A (ja) フルーツ感、フレッシュ感の向上した果汁若しくは果肉含有食品
JP7114441B2 (ja) 酸性飲料及び酸性飲料の風香味の維持方法
JP7344562B2 (ja) 風味改善剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171128

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20171128

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180404

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180702

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180702

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20180719

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20181005

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190808

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191021

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6607841

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150