JP6607841B2 - 果実風味飲食品用呈味改善剤 - Google Patents
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ある。また、特許文献8〜10の発明では、果実由来の画分、果実の酵母醗酵果汁を風味改善剤として利用するものであり、分画処理、醗酵処理などの煩雑な操作が必要であり、コスト高となる欠点がある。
(1)果汁を100℃〜180℃にて10分〜5時間加熱処理して得られる加熱処理物からなる、果実風味飲食品用呈味改善剤。
(2)果汁が固形分濃度として屈折糖度(20℃)でBx1°〜Bx80°である(1)に記載の呈味改善剤。
(3)果汁がオレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、アップル、グレープ、ピーチ、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、パパイヤ、ストロベリー、ペアー、アプリコット、キウイフルーツ、ザクロ、イチジク、ブルーベリー、トマトから選択される1
種または2種以上の果汁である(1)または(2)に記載の呈味改善剤。
(4)果汁が、1種または2種以上の酵素により処理された酵素処理物である、(1)〜(3)のいずれかに記載の呈味改善剤。
(5)酵素が糖質分解酵素である、(4)に記載の呈味改善剤。
(6)単糖、二糖またはオリゴ糖から選ばれる1種または2種以上を添加して加熱処理する、(1)〜(5)のいずれかに記載の呈味改善剤。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の呈味改善剤を含有する果実風味飲食品。
(8)果実風味飲食品が、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁入りアルコール飲料、ジャム、果実加工品、果実入りヨーグルト、果実風味の冷菓または果実風味の菓子類である(7)に記載の果実風味飲食品。
(9)(1)〜(6)のいずれかに記載の呈味改善剤を果実風味飲食品に添加することを特徴とする、果実風味飲食品の呈味改善方法。
る。また、これらの糖質分解酵素に加えて、プロテアーゼ、リパーゼなどを併用することもできる。
使用することが好ましい。オートクレーブの操作としては、内容物として前記果汁を仕込んだ後、容器を密閉にし、ヘッドスペースの空気をそのまま、あるいは、酸素あるいは不活性ガスにより置換して、引き続き前記条件にて加熱処理を行い、冷却後、釜内から、加熱処理物を回収する。回収物に澱が生じているときは濾過や遠心分離などの処理により、澱を除去することもできる。
市販のグレープ濃縮果汁(Bx68°)300gに、ブドウ糖を84g(全体でBx75°程度となるように添加)および30%水酸化ナトリウム水溶液を30g加え、オートクレーブを用いて120±2℃にて2時間加熱した後、30℃まで冷却して内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品1:380g、Bx73)を調製した。
市販のグレープ果汁飲料(50%果汁)(参考品1)、および、参考品1の希釈液(8質量部の参考品1と2質量部の水を混合したもの:参考品2)を調製し、参考品2に対して本発明品1を下記表1に示す量添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価基準は、果汁感+果実感、コク味についてそれぞれ、参考品1をコントロールとして、明らかに弱い:−2点、やや弱い:−1点、同程度:0点、やや強い:+1点、明らかに強い+2点として、また、グレープ果汁飲料としてのバランスの良さについ
て、悪い:−2点、やや悪い:−1点、差無し:0点、やや良い:+1点、良い:+2点として官能評価を行った。その平均点を表1に示す。なお、果汁感+果実感とは、前記の通り、果実独特の呈味を形成する感覚であって、添加することにより、実際に使用した果汁や果実の量より多く果汁や果実を使用したと感じさせる飲み応えのある感覚である。また、コク味とは、前記の通り、味の厚みとボディー感をあわせた風味であり、味の厚みとは、飲食品を口に含んだとき、または、飲み込んだ時に口中全体から喉の奥にかけてしばらく持続し、味わいが深いと感じさせるような感覚である。また、ボディー感とは、味の骨格がしっかりしていて、かつ、まろやかでふくらみがあり、呈味全体に強さをもたらすような感覚である。また、バランスとは果実の呈味バランスを意味し、酸味、甘味、の他前述の味の厚み・ボディー感、果汁感、果実感などが良好に調和した感覚を意味する。
市販のグレープ濃縮果汁(Bx68°)を水で希釈し、Bx5°、Bx10°、Bx30°、Bx50°、Bx68°(原液)を調製した。それぞれの希釈液または原液500gを1Lオートクレーブに仕込み、密閉した後、攪拌しながら加熱し、約30分かけて昇温し、120±2℃にて2時間加熱した、30℃まで冷却後、内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、以下の呈味改善剤を調製した。
本発明品3:Bx10°
本発明品4:Bx30°
本発明品5:Bx50°
本発明品6:Bx68°
実施例2と同様に、参考品2に、本発明品2〜6を固形分換算(Bxを使用)で、本発明品1の10ppm添加に相当する量添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表2に示す。
実施例1において加熱反応温度を以下の条件とした以外は実施例1と同様に処理し、本発明品1および本発明品7〜10の呈味改善剤を調製した。
本発明品7:110±2℃
本発明品8:130±2℃
本発明品9:150±2℃
本発明品10:170±2℃
実施例2と同様に、参考品2に、比較品1(未加熱)、本発明品1または本発明品7〜10を10ppm添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表3に示す。
80℃程度の範囲内では加熱による効果が出るものと考えられる。
市販のグレープ濃縮果汁(Bx68°)500gにスクラーゼN(三共社製ペクチナーゼ(登録商標))0.5gを加え、15分間攪拌した。その後、40℃にて1時間攪拌反応させ、90℃達温殺菌後、20℃まで冷却しグレープ濃縮果汁の酵素処理物を得た(比較品2)。
参考品2に、比較品2(酵素処理−未加熱)、本発明品11(酵素処理−加熱)および実施例3で調製した本発明品6(酵素未処理−加熱)のそれぞれを10ppm添加し、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表4に示す。
市販のストロベリー濃縮果汁(Bx65°)300gに、ブドウ糖を120g(全体でBx75°程度となるように添加)および30%水酸化ナトリウム水溶液を30g加え、オートクレーブを用いて125±2℃にて2時間加熱した後、30℃まで冷却して内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、呈味改善剤(本発明品12:405g、Bx74)を調製した。
下記に示す市販の濃縮果汁(Bx65°)300gに、ブドウ糖を120g(全体でBx75°程度となるように添加)および30%水酸化ナトリウム水溶液を30g加え、オートクレーブを用いて135±2℃にて1時間加熱した後、30℃まで冷却して内容物を取り出し、200メッシュサランにて濾過して、本発明品13〜30の呈味改善剤を調製
した。
本発明品14:グレープフルーツ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品15:レモン濃縮果汁(Bx65°)
本発明品16:ライム濃縮果汁(Bx65°)
本発明品17:アップル濃縮果汁(Bx65°)
本発明品18:ピーチ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品19:パイナップル濃縮果汁(Bx65°)
本発明品20:グァバ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品21:バナナ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品22:マンゴー濃縮果汁(Bx65°)
本発明品23:パパイヤ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品24:ペアー濃縮果汁(Bx65°)
本発明品25:アプリコット濃縮果汁(Bx65°)
本発明品26:キウイフルーツ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品27:ザクロ濃縮果汁(Bx65°)
本発明品28:イチジク濃縮果汁(Bx65°)
本発明品29:ブルーベリー濃縮果汁(Bx65°)
本発明品30:トマト濃縮果汁(Bx65°)
本発明品13〜30の呈味改善剤を、それぞれの果実に対応する市販の果汁飲料(50%果汁)(以下、それぞれオレンジ飲料、グレープフルーツ飲料、レモン飲料、ライム飲料、アップル飲料、ピーチ飲料、パイナップル飲料、グァバ飲料、バナナ飲料、マンゴー飲料、パパイヤ飲料、ペアー飲料、アプリコット飲料、キウイフルーツ飲料、ザクロ飲料、イチジク飲料、ブルーベリー飲料、トマト飲料という。)を水で希釈して40%果汁となるように希釈したものを基材(以下、それぞれオレンジ基材、グレープフルーツ基材、レモン基材、ライム基材、アップル基材、ピーチ基材、パイナップル基材、グァバ基材、バナナ基材、マンゴー基材、パパイヤ基材、ペアー基材、アプリコット基材、キウイフルーツ基材、ザクロ基材、イチジク基材、ブルーベリー基材、トマト基材という。)として、本発明品13〜30のそれぞれの呈味改善剤を10ppm添加して、各飲料、各基材および各基材へ本発明品を添加したものについて、良く訓練された10名のパネラーにて官能評価を行った。評価方法および評価基準は、実施例2と同じとした。その平均点を表5−1〜表5−3に示す。
態様1:固形分濃度として屈折糖度(20℃)でBx20°〜Bx80°の果汁を120℃〜180℃にて20分〜5時間加熱処理する工程、加熱処理物を回収する工程を含んでなり、かつ、果実香味を増強するための果実風味飲食品用呈味改善剤又は組成物の製造方法。
態様2:果汁が固形分濃度として屈折糖度(20℃)でBx30°〜Bx70°である(1)に態様1に記載の方法。
態様3:果汁がオレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、アップル、グレープ、ピーチ、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、パパイヤ、ストロベリー、ペアー、アプリコット、キウイフルーツ、ザクロ、イチジク、ブルーベリー、トマトから選択される1種または2種以上の果汁である態様1または2に記載の方法。
態様4:果汁が、1種または2種以上の酵素により処理された酵素処理物である、態様1〜3のいずれかに記載の方法。
態様5:酵素が糖質分解酵素である、態様4に記載の方法。
態様6:単糖、二糖またはオリゴ糖から選ばれる1種または2種以上を添加して加熱処理する、態様1〜5のいずれかに記載の方法。
態様7:態様1〜6のいずれかに記載の方法により得られる呈味改善剤又は組成物を含有する果実風味飲食品。
態様8:果実風味飲食品が、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁入りアルコール飲料、ジャム、果実加工品、果実入りヨーグルト、果実風味の冷菓または果実風味の菓子類である態様7に記載の果実風味飲食品。
態様9:態様1〜6のいずれかに記載の方法により得られる呈味改善剤又は組成物を果実風味飲食品に添加することを特徴とする、果実風味飲食品の呈味改善方法。
Claims (4)
-
果実香味を増強するための果実風味飲食品用組成物の製造方法であって、固形分濃度として屈折糖度(20℃)でBx30°〜Bx80°である果汁を120℃〜150℃にて20分〜5時間加熱処理する工程、加熱処理物を回収する工程を含んでなり、かつ、前記組成物が果実風味飲食品に0.1ppm〜100ppm添加されるものであり、前記果汁がオレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、アップル、グレープ、ピーチ、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、パパイヤ、ストロベリー、ペアー、アプリコット、キウイフルーツ、ザクロ、イチジク、ブルーベリー、トマトから選択される1種または2種以上の果汁であり、
前記組成物が添加される対象が、前記組成物の基となる果汁と同じ果汁の1種又は2種以上の果汁又は該果汁の果実を基材とする飲食品である、ことを特徴とする、製造方法。 - 加熱時間が20分〜2時間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 果汁が、1種または2種以上の酵素により処理された酵素処理物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 酵素が糖質分解酵素である、請求項3に記載の製造方法。
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